150525 教育評価論 第6講

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慶應義塾大学教職課程 (日吉)「教育評価論」第 6 テスト冊子作成演習 文部科学省 国立教育政策研究所 総括研究官 やま もり こう よう (教育心理学) [email protected] 平成 27 5 25 この内容は個人的見解であり 国立教育政策研究所の公式見解ではありません

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慶應義塾大学教職課程 (日吉)「教育評価論」第 6講

テスト冊子作成演習

文部科学省国立教育政策研究所

文部科学省

国立教育政策研究所

総括研究官やま山もり森

こう光よう陽

(教育心理学)[email protected]

平成 27年 5月 25日

この内容は個人的見解であり国立教育政策研究所の公式見解ではありません

はじめに

本日の出席とスライド

本日の出席

https:

//questant.jp/q/150525

本日のスライド

http://www.slideshare.net/

koyoyamamori/eduass150525

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 6 講テスト冊子作成演習 平成 27 年 5 月 25 日 2 / 15

はじめに

本日の内容

1 テスト項目作成演習手順 1:単元の決定と単元の評価規準の設定手順 2:単元の評価規準に対するテスト項目手順 3:A(十分満足)と評価する項目の設定テスト冊子へのまとめ

2 次回講義までの課題

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 6 講テスト冊子作成演習 平成 27 年 5 月 25 日 3 / 15

テスト項目作成演習

テスト項目作成演習

取り組んでいる課題課題の内容

講義で示した手順に沿って,自身が免許取得を希望する教科(または,それに近い教科)の中学 2年生に対して思考・判断・表現の観点別評価を行うためのテストを作成してください。テスト冊子は,Bと判断するための項目と,Aと判断するための項目 2項目で構成してください。

課題の要件評価対象となる単元を示す。単元の評価規準を示す。Bに相当する項目,Aに相当する項目をそれぞれ設定する。設定された項目について,なぜB(あるいはA)に相当するのかの理由を明示する。

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テスト項目作成演習

手順1:単元の決定と単元の評価規準の設定

教科書などを参考に各教科について中 2の単元を一つ選択する。当該単元の「思考・判断・表現」に相当する観点(英語は「理解の能力」)の評価規準を国立教育政策研究所の「参考資料」の「評価規準の設定例」より抜粋する。抜粋した評価規準が教科書の単元内容と一致している場合にはそれを単元の評価規準とする。抜粋した評価規準が単元内容を完全に反映していない場合には,抜粋した評価規準を単元内容にあわせて修正する。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 6 講テスト冊子作成演習 平成 27 年 5 月 25 日 6 / 15

テスト項目作成演習

手順2:単元の評価規準に対するテスト項目

B(おおむね満足)と判断するためのテスト項目

評価規準の例 (理科第 2分野「科学的な思考・表現」)

自然の恵みと災害について調べ、自然を多面的総合的にとらえて、自然と人間のかかわりについて自らの考えをまとめ、表現している。

どのようなテスト項目に正答すると,この評価規準に記述されている能力が発揮されたと見なされるかを検討し,テスト項目を作成する。テスト項目は正答が一義的に定まらなければならない。思考・判断・表現の評価には問題場面項目が向いている。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 6 講テスト冊子作成演習 平成 27 年 5 月 25 日 7 / 15

テスト項目作成演習

問題場面項目の例• 自然の恵みと災害について調べ、自然を多面的総合的にとらえて、自然と人間のか

かわり方について自らの考えをまとめ、表現している。

単元の評価規準  (科学的な思考・表現)

評価に用いる課題  

富山県に被害をもたらした台風にはどのような特徴があるのかを調べ,災害と自然環境との関係についてまとめよう。

課題解決評価

下の図は1959年の台風15号の発生4日後までの経路図である。この台風は伊勢湾台風とも呼ばれ、日本の各地に大きな自然災害をもたらした台風の1つである。この台風で、富山県にはどのような災害が起きたと考えられ

るか。正しいと考えられるものを次のア~エから1つ選び記号で答えなさい。

ア 台風が中国地方を通り、日本海側に抜けたため、富山県には東よりの暴風によるフェーン現象が発生し、記録的な猛暑となった。  イ 台風が本州に上陸したが、富山県上空を台風の中心が通ったため、大きな被害はな

かった。  ウ 台風が中国地方を通り、日本海側に抜けたため富山県には西よりの暴風が吹き、建物

の倒壊などの被害が大きかった。  エ 台風が本州に上陸したことから富山県では

暴風雨や高潮の被害が出た。

4日目

3日目2日目1日目

項目応答型評価

調べて考えを広げたり,まとめたりする過程と課題解決の結果を表現させることで,単元の評価規準に対する実現状況の一部分を評価。

単元で身についた知識と思考力を発揮させながら一つの正解を選択させることで,単元の評価規準に対する実現状況の一部分を評価。

図1-­‐15 課題解決評価と項目応答型評価の組み合わせ  (理科第2分野「(7)自然と人間 イ 自然の恵みと災害」における「科学的な思考・表現」の例)

Figure 1: 問題場面項目の例

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テスト項目作成演習

手順3:A(十分満足)と評価する項目の設定• 自然の恵みと災害について調べ、自然を多面的総合的にとらえて、自然と人間のか

かわり方について自らの考えをまとめ、表現している。

単元の評価規準  (科学的な思考・表現)

評価に用いる課題  

富山県に被害をもたらした台風にはどのような特徴があるのかを調べ,災害と自然環境との関係についてまとめよう。

課題解決評価

下の図は1959年の台風15号の発生4日後までの経路図である。この台風は伊勢湾台風とも呼ばれ、日本の各地に大きな自然災害をもたらした台風の1つである。この台風で、富山県にはどのような災害が起きたと考えられ

るか。正しいと考えられるものを次のア~エから1つ選び記号で答えなさい。

ア 台風が中国地方を通り、日本海側に抜けたため、富山県には東よりの暴風によるフェーン現象が発生し、記録的な猛暑となった。  イ 台風が本州に上陸したが、富山県上空を台風の中心が通ったため、大きな被害はな

かった。  ウ 台風が中国地方を通り、日本海側に抜けたため富山県には西よりの暴風が吹き、建物

の倒壊などの被害が大きかった。  エ 台風が本州に上陸したことから富山県では

暴風雨や高潮の被害が出た。

4日目

3日目2日目1日目

項目応答型評価

調べて考えを広げたり,まとめたりする過程と課題解決の結果を表現させることで,単元の評価規準に対する実現状況の一部分を評価。

単元で身についた知識と思考力を発揮させながら一つの正解を選択させることで,単元の評価規準に対する実現状況の一部分を評価。

図1-­‐15 課題解決評価と項目応答型評価の組み合わせ  (理科第2分野「(7)自然と人間 イ 自然の恵みと災害」における「科学的な思考・表現」の例)

Bと評価するために設定した項目より難易度を上げる。内容的な難易度 (未習の内容など)を上げるのではない。抽象度や複雑さが高いものにする。

より多面的,多角的に考える必要がある。判断すべき条件が多い。

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テスト項目作成演習

テスト冊子へのまとめ

テスト項目の作り方 56効果的な形成的フィードバックの方法

通過率

評価規準に対してCに相当する生徒が正答可能な項目

評価規準に対してBに相当する生徒が正答可能な項目

評価規準に対してAに相当する生徒が正答可能な項目

○○なことができれば,この評価規準を上回る(A)と評価可能

○○なことができれば,この評価規準を満たす(B)と評価可能

Figure 2: テスト冊子へのまとめ

このように 2つの項目をまとめると,当該評価規準 (達成目標)に対する実現状況のレベルを評価することができる小さな冊子となる。橋本 (1972)[重治, 1972]が参考になる (絶版で入手困難のためログブックの掲示板に載せています)

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次回講義までの課題

次回講義までの課題

作成したテスト冊子の提出課題の要件

評価対象となる単元を示す。単元の評価規準を示す。Bに相当する項目,Aに相当する項目をそれぞれ設定する。設定された項目について,なぜB(あるいはA)に相当するのかの理由を明示する。

提出A4判用紙 2枚程度 (スライド 2枚)にまとめる。プレゼンテーションに耐えられる構成にする。グループ名とメンバーの名前を明記すること。5月 30日 (土)中に教職ログブックに全員が提出。

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References

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引用文献 I

[1] 橋本重治.教師自作テストのつくり方 : 思想・創造・理解・技能などの作問法.図書文化, 1972.

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本日の出席とスライド

本日の出席

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本日のスライド

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