14 章 家族の消費行動
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14 章 家族の消費行動
香川大学経済学部堀 啓造
2003 年度初校2006 年度改校
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2節 周期性をもつ集団としての家族-家族のライフサイクル
• モデル家族の場合(テキストより細かい)
– 最近はモデル家族は少なくなってきた。いろんなバリエーションがある。
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家族のライフサイクル
独身
段階
独身
段階
こど
もの
ない
新婚
期こ
ども
のな
い新
婚期
第一
子出
生~
小学
校入
学(
育児
期)
第一
子出
生~
小学
校入
学(
育児
期)
第一
子小
学校
入学
~卒
業(
第1
教育
期)
第一
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学校
入学
~卒
業(
第1
教育
期)
第一
子中
学校
入学
~高
校卒
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第2
教育
期)
第一
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学校
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第2
教育
期)
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満(
or大
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(第
1排出
期)
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期)
末子
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こど
も全
部結
婚独
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第2
排出
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夫6
5歳
未満
(or退
職)
(向
老期
)こ
ども
全部
結婚
独立
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歳未
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職)
(向
老期
)
夫6
5歳
~死
亡(
退隠
期)
夫6
5歳
~死
亡(
退隠
期)
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伝統的家族のライフサイクル(再掲)
• 1) 独身段階(これは家族ではない)2) こどものない新婚期3) 第1子出生~小学校入学(育児期) 時間がない4) 第1子小学校入学~卒業(第1教育期)5) 第1子中学校入学~高校卒業(第2教育期)6) 第1子高校卒業~20才未満(または大学卒業)(第一排出期) お金がない7) 末子20才~こども全部結婚独立(第2排出期)8) こども全部結婚独立~夫65才未満(または退職)(向老期)9) 夫65才~死亡(退隠期)
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1節 家族と世帯 家族
血縁、結婚、養子の関係があって(一緒に住んでいる)、2人以上の集団
核家族: 両親と子ども
拡張家族: 核家族+祖父母または叔父叔母またはいとこまたは義理のいとこ
続く
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定位家族 (family of orientation ) ・原家族 (family of origin) : そこで生まれた子どもから見た核家族
生殖家族 (family of procreation) : 結婚によって生じた家族
他出家族: 家族生活の本拠となる世帯との間に、訪問・通信など
の形で接触を保 ち、また生活費と消費財の補給ルートをもち、それらを介して家族という集団が提供する基本的・長期的・包括的な福祉実現のための配慮を享受する。
(森岡清美・望月嵩『新しい家族社会学 3訂版』 培風館 1993 )
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しょたい【所帯】(《世帯)《国》
• 〈名〉 (1) 独立 ( どくりつ ) した生活の単位としての一家。「寄 ( よ ) り合い―・新―」
• [類]世帯 ( せたい ) [比較]「所帯」は、生活のにおいのつよいことばであるのに対して、「世帯 ( せたい ) 」は、戸籍 ( こせき ) や国勢調査 ( ちようさ ) など公的な場に多く使われることば。
• CD-ROM辞典 三省堂現代国語辞典
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• 親族世帯(核家族世帯とその他親族世帯),
• 非親族世帯,• 単独世帯
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単独世帯の増加 • 1955 年 1980 年
3.4%→ 20.2%
国勢調査 (千世帯) 核家族 単独 3世代 世帯 世帯 世帯 全世帯1980 21,594 7,105 5,224 35,824 60% 20% 15%1990 24,218 9,390 4,941 40,670 60% 23% 12%1995 25,760 11,239 4,594 43,900 59% 26% 10%2000 27,332 12,911 3,987 46,782
58% 27% 9%• 国政調査時系列
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国勢調査の世帯• 世帯とは、次のものをいう。
(1) 住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持する単身者ただし、これらの世帯と住居を共にし、独立して生計を営む単身者で、その世帯の家事又は営業のために使用されるものは、その世帯を構成する者とみなす。(2)(1) の世帯と住居を共にし、独立して生計を営む単身者(3)ホテル、旅館、簡易宿泊所、下宿屋その他の営利を目的とする宿泊施設又 は従業員のための宿舎に住居のある単身者(4)(2)及び (3) に該当しない単身者で住居を共にするものの集まり(5)(2) から (4) までに該当しない単身者
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年齢 • 人口ピラミッド
• 船津 好明教授(明星大学経済学部)リンク
• 多くの年齢別統計がインターネットに公開されている
• 例.平成 13 年社会生活基本調査 (生活時間)http://www.stat.go.jp/data/shakai/index.htm
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3 家族・世帯の多様化
• 晩婚化• 単独世帯の増加• 単身赴任• 世帯の縮小 • 少子化• パラサイト・シングル
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• 厚生労働省統計表データベース 世帯人員別にみた世帯数と平均世帯人員の年次推移
世帯構造別にみた世帯主の年齢階級別世帯数の構成割合(平成12年)平成 1 2年 国民生活基礎調査の概況 図参照「単独世帯」と「夫婦のみの世帯」は世帯主の年齢が高い層(60歳以上)で増加 重要図高齢者世帯は全世帯の13.7%(平成12年度) などの表と図(平成 12年 国民生活基礎調査の概況)
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平成12年 国民生活基礎調査
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• 家族と世帯構造の変容朝日新聞社編 (1995) 『戦後 50 年 4 豊かさの中で』朝日文庫(朝日新聞社)のなかの少子家族 p43
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• 離婚と消費者行動 • シングルマザーはどのくらいいるのか
http://www.nri.co.jp/report/survey/06.php#18→ こっちに
• 再婚と再離婚• 独身者の同棲 • 単身赴任
– 労働大臣官房政策調査部編 1991 転勤と単身赴任-転勤と勤労者生活に関する調査報告会報告書 大蔵省印刷局モジカンパニー編 1992 帰ってきたお父さん スターツ出版
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• 世帯構造別にみた1世帯当たり・世帯人員1人当たり平均所得金額 厚生省平成11年 下の方にある図家計簿から見たファミリーライフ(平成13年) 特に第2章,第3章平成14年度 平成15年度 平成17年度
• エルダー市場http://www.athill.com/LAB/TARO/taro_148.html
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パラサイトシングル
• 親世代からみた「パラサイト・シングル」の実態– http://www.nli-research.co.jp/doc/syo0510d.pd
f
• パラサイトシングルの消費 http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/survey/06.html#22
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3節 世帯での購買意思決定過程の特徴
• 1 役割
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1 役割•
(1)役割行動
• 手段的(道具的)役割 外部への適応と課題遂行にかかわる。感情を抑える。(父)
• 表出的役割 集団の維持と成員の統合 (母)
• (関係的役割 関係的地位の相手側の欲求を充足させる役割)
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(2) 家族購入の個人の役割 (田中・丸岡 『新広告の心理』電通 p114-116 )
• 提唱者(先導者):子供-テレビで広告している○○社の自転車が欲しい。
• 影響者:学校の先生-子供が外で遊ぶ習慣をつけるのに自転車はよい玩具だと思う父親-○○社なら自転車の専門メーカーだし、耐久性も優れていると聞いているからよいのではないか。
• 決定者: 母親-いいわ、今度の日曜日に自転車屋さんにいって○○社の自転車を買いましょう
• 購入者: 母親と子供-一緒に自転車屋にいくが、母親は特売の▲▲社の自転車に少し心が動かされる。結局、○○社の自転車を購入。
• 使用者(消費者): 子供-○○社の自転車を使用。
• 次のサイクル• 提唱者:母親-子供が楽しそうに乗っているから、弟にももう1台○○社
の自転車を買ってやりましょう。
ここでは「影響者」が「影響者」と「専門家」になる。
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2 夫婦間の役割分担 • 3:5:1 家族 消費に見る日本の家族力学 (博報堂生活総合研究所 ) http://www.athill.com/ARCHIVE/key.cgi?num=9
• 博報堂 (1993) 『「半分だけ」家族-ファミリー消費をどう見るか』日本経済新聞社 4つの家計タイプ (p19)
• 財団法人家計経済研究所編 (1992) 『ザ・現代家計-家計の組織化に関する研究』大蔵省印刷局財団法人家計経済研究所編 (1991) 『現代核家族の風景-家族生活の共同性と個別性』大蔵省印刷局
• 朝日新聞社広告月報 2002 年 6 月号 家庭における主婦の決定権 インターネット pdf ファイル
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4つの家計タイプ (p19)博報堂 (1993)
• ・ゼロ型 =妻の収入がゼロ。妻は専業主婦・有職Ⅰ型=妻の収入が夫の扶養範囲内 (1997年なら約 150万円以内)・有職Ⅱ型=妻の収入が夫の扶養範囲を越え,かつ均等型以外・均等型 =妻の収入が夫の収入の6割以上(ただし,夫の収入が250万円以下の世帯は除く。
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財団法人家計経済研究所編 (1992)
• 妻常勤世帯• 妻パート世帯
– (夫も妻もこづかい割合(世帯収入にしめるこづかいの割合)が低く,特に妻のこづかいの割合が低い。食事,会話,レジャーのいずれにおいても共同性が低く,その反面,空間的側面では個別性が低く,妻も夫も自分のテリトリーを持つものがもっとも少ない。
• 専業主婦世帯
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家庭における主婦の決定権
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4節 家庭の機能• (1) 世帯の生産機能
1) 購入機能 2) 世帯生産 3) 消費機能 4) 労働市場機能 5) 家族維持機能
• (2) 世帯の貯蔵(資源) 1) 情報 2) 財政資源 3) 市場財 4) 特性 5) 時間
• (3)外生または先験変数1) データ2) 労働市場機会3) 製品市場機会4) 世帯構造5) 満足
• →機能の縮小
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家族観
• 現代の家族観はイギリスヴィクトリア時代のものがベースになっている。
• 産業革命とも結びついている• 夫が外で働き,妻が家を守る。
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5節 家族類型と消費
• 1) 劇場家族2) サナトリウム家族3)要塞家族4)ホテル家族
小此木啓吾 (1992) 『家庭のない家族の時代』ちくま文庫 (オリジナル 1983) p68
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1 劇場家族• 家庭とは,家族たちがそれぞれの演技を競う劇場である。こ
の家族はお互いに家族同士が演技者であって,家族の拍手喝采を浴びようと一所懸命になっている。 奥さんは,どんなに自分が夫に対してよい妻であるかを一所懸命に演じる。夫も,「おまえが私の女房なので私は幸せだ。 ... 」といって誉める。 お互いに俳優になって,かっこいいところを演じ合うことによってお互いの間に団結心が生まれ,家族間の連帯感が生まれる。 この家族の特長は,家族全体が,「よい家族である,幸福な家庭である,みんなすばらしい人たちのあつまりだ」というふうに近所からも,親戚からも思われたがっているところにある。自分たちもそう思いたいし,みんなからもそう言われたいために,家族全員で旅行したり,食事に行ったりする。
家族を確かめる 博報堂生活総合研究所
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2 サナトリウム家族 • 家族全体に不安感が強く,いつも家族のだれか
が病気になったり,不幸な目に遭うのではないかと,傷ついたりするのではないかと心配し,家庭はそれを癒すサナトリウムだと思っている。
彼らの最大の生活目標は,安全な状態に身をおくことである。危険をおそれる。いつも家族同士がお互いに「危険が起こったら大変だ」といって脅かしあっている。家庭の中にはいつも不安の種がつきない。
• 大辞林 第2版 CD-ROM版サナトリウム [4] _ sanatorium_療養所。海浜・高原などの閑静で日当たりがよく空気のきれいな場所に建てられ,慢性病,特に結核患者の療養を目的とする施設。
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3 要塞家族
• 家族はみんな要塞のなかにたてこもって暮らしている。自分たち家族だけが絶対正しくよい人間であって,周囲の人間はみんなどこかまちがっていたり,すきさえあれば自分たちを陥れたり,いじめたりするのではないかという,被害妄想的な気分が家庭内に漂っている。外の世界を攻撃し,非難し,軽蔑することで,家族同士の団結心を高める仕組みが家庭の中にできあがっている。お互いの美化(理想化)と家庭の要塞化によって,心の安らぎを得て暮らすのが要塞家族である。
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4 ホテル家族
• p43 いい家族とは、家庭でなんでも思うようなサービスを受けることのできる高級ホテルとみなし、自分たちはみんなお客様と思いこんでいる家族。
•4つのタイプとも自分の家庭を良い家庭だと思っている。ホテル家族と劇場家族は消費傾向があるのでやりやすい
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6節 マーケティングにおいて考慮すること
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1 独身者へのマーケティング
• 単身成人未婚者における親子関係 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news0207a.pdf
(1) 独身ブーム (2)熟年独身者 (3)若年独身者(パラサイトシングル) (4)ゲイ (5)個食,個人化
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2 女性の役割の変化• 専業主婦 平成7年国勢調査 4専業主婦
(1)女性の雇用 平成10年版働く女性の実情 (労働省)女性の労働力率 第2-1図 男女別年齢階級別有業率・潜在的有業率(重要)第1-1図 年齢階級別女性の労働力率(昭和62年 1987 と平成9年 1997 の比較) (労働省)パートタイム 第1-4図 短時間雇用者数の推移(非農林業) (労働省)
• 博報堂生活総合研究所 連立家族 連立する家族
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• (2)女性と時間 パートや労働→時間節約型
• (3)女性的役割
• 日経新聞『女たちの静かな革命』 が新しい動向をレポートしている.
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3 男性の役割の変化 • 夫の家事・育児は、もはや当然 NHK 世論調査
「日本人の意識・ 1998 」調査 • 労働省「家庭にやさしい企業」(仮称)研究会報告書-「ファミリー・フレンドリー」企業をめざして-
• 総理府 男女共同参画社会に関する世論調査(平成12年9月調査) (平成12年2月調査)
• メンズリブ東京• などの意識はあっても行動はしていない。
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4 児童期の社会化と影響 • NHK 一般世論調査• 現代の父親像調査 あたたかさか権威か NHK 世論調査• “ぶつからない”親子関係 NHK 世論調査 だれが子供を社会化す
るのかに対する考えといってよい。• 大人になりたくない中高生の親子関係 2004年 11月「放送研究
と調査」
• ベネッセ モノグラフ・小学生ナウ 14-4 -国際比較調査 (4) -「家族の中の子どもたち」
→ 児童を社会化する商売
→ 児童を商売の相手と見る