図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移18 (10億円) (年度) アジア...

16
18 (10 億円) (年度) アジア 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」 0 01 03 05 07 09 02 04 06 08 アフリカ    オセアニア     中東     中南米     その他アジア NIEs3     ASEAN4      中国     ヨーロッパ    北米 図112-5 我が国海外現地法人企業(製造業)の地域別経常利益の推移 00 01 02 03 04 05 06 07 08 10 09 (年) 0 4 2 6 8 10 12 14 16 18 所得収支     貿易収支 資料:財務省「国際収支統計」 (兆円) 図112-6 所得収支と貿易収支の推移 05 06 07 08 10 09 (年) ▲10,000 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 アジア     北米     中南米     大洋州 欧州      全世界 備考:2005年から2009年までの「欧州」の値は、同期間の「西欧」 「東欧・ ロシア等」を合算したもの。 資料:財務省「国際収支統計」 (億円) 15,507 12,505 図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移

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18

(10 億円)

(年度)

アジア

6,000

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000

資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」

001 03 05 07 0902 04 06 08

アフリカ    オセアニア     中東     中南米     その他アジアNIEs3     ASEAN4      中国     ヨーロッパ    北米

図112-5 我が国海外現地法人企業(製造業)の地域別経常利益の推移

00 01 02 03 04 05 06 07 08 1009 (年)0

4

2

6

8

10

12

14

16

18

所得収支     貿易収支

資料:財務省「国際収支統計」

(兆円)

図112-6 所得収支と貿易収支の推移

05 06 07 08 1009 (年)▲10,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

アジア     北米     中南米     大洋州欧州      全世界

備考:2005年から2009年までの「欧州」の値は、同期間の「西欧」「東欧・   ロシア等」を合算したもの。資料:財務省「国際収支統計」

(億円)

15,50712,505

図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移

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コラム

海外で得た利益の国内への還流国際収支統計において、直接投資収益の内訳である「配当金・配分済支店収益(受取)」を、海外現地法人から国内(の親会社)への還流額を表す指標とみなすことができる。国内への還流額と海外現地法人1社あたりの経常利益額の推移を比較すると、2007年までは、海外現地法人1社あたりの経常利益の拡大に比べ、国内への還流額の拡大は緩やかであったことがわかる。これは、海外で得た収益を、海外での再投資や内部留保に回している割合が高かったためと推察される。しかし、2008年以降のデータに着目すると、海外現地法人の経常利益が連続して落ち込む一方、国内への還流額は、2008年には相対的に落ち込みが小さく、2009年には逆に増加に転じている(図1)。これは、リーマンショックに伴う国内本社の利益減少を補うことを目的として、現地法人利益の還流が促進されたという要因のほか、2009年4月より導入された外国子会社配当益金不算入制度の影響があると考えられる。同制度は、海外現地法人利益の国内への還流を促すべく導入された、内国法人が、持ち株割合が25%以上で、保有期間が6か月以上の外国法人から受け取る配当の95%相当額を益金不算入とするというものである。導入前後における海外子会社利益の使途をみると、導入後に「本邦への配当還元」をする企業が大幅に増加していることがわかる(図2)。我が国経済が持続的な成長を達成するためには、拡大する海外での獲得利益を、国内へ積極的に還流することが重要である。企業・政府においては、さらなる国内拠点の高度化、事業環境の整備などによって、国内の投資価値を高める取組が求められる。

4.0

3.5

3.0

2.5

2.0

1.5

1.0

0.5

0.001 02 03 04 05 06 07 08 09(年度)

備考:01年の値を1として指数化。資料:財務省「国際収支統計」、経済産業省「海外事業活動基本調査」より   経済産業省作成

現地法人1社あたりの経常利益

国内への還流額(配当金・配分済支店収益(受取))

図1 国内への還流状況

現地で利益を再投資

現地で利益を留保

本邦への配当還元

その他

0 10 20 30 40 50 60 70(%)

資料:財団法人国際経済交流財団「競争環境の変化に対応した   我が国産業の競争力強化に関する調査研究」

制度導入前(n=270)制度導入後(n=275)

48.5

43.6

29.1

69.5

1.1

50.7

41.9

1.9

図2 外国子会社配当益金不算入制度の導入前後における海外子会社利益の使途

第1節

我が国製造業の動向

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

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コラム

サプライチェーンの面的な拡大生産拠点の海外展開が促進され、世界各国に製品供給拠点ができあがることで、企業の生産工程に係るサプラ

イチェーンは、地理的に拡大するとともにより複雑なものとなっている。今般のアンケート結果から、海外現地法人の調達先について地域別の詳細を確認してみると、もともと日本国

内からの調達が相対的に少なかったヨーロッパに加え、北米、中国、ASEANといった地域でも、日本国内企業からの調達は減少し、現地の日系・非日系企業からの調達を拡大する傾向がみてとれる。また、割合としてはまだ大きくないものの、現地周辺国の日系・非日系企業や、その他の世界各国企業からの調達は将来にかけて各地域で拡大傾向にある。特にASEANにおける現地周辺国の非日系企業からの調達拡大傾向は顕著である(図1)。次に仕向地についてみると、中国、ASEANは日本国内を仕向地とする割合が比較的高い傾向にあるが、将来

にかけての伸びは現地国、現地周辺国、その他の世界各国の伸びと比べると小さい(図2)。これは、現地国、現地周辺国を仕向地とする割合が元々高い北米・ヨーロッパ型に近づいているという見方ができる。ただし、中国とASEANにおいては、その他の世界各国も販売先として比重を高めつつあることが特徴的である。以上から示唆されるのは、我が国企業の海外現地法人が、日本国内と相互に完結した取引構造にとどまること

なく、進出先の各地域において、周辺国を巻き込んだ面的なサプライチェーンを構築しているということである。特に中国、ASEANといった地域は、各地域内にとどまらず、世界各国への製品供給基地としての性格を強めつつある。このような状況において、我が国のものづくりが引き続き主導的な役割を担うためには、範囲を広域に設定し

た経済連携等により、他地域とのイコールフッティングを実現する必要性が高まっているといえるだろう。

資料:経済産業省調べ(11年1月)

(%)

日本国内企業         現地国の日系企業現地国の非日系企業      現地周辺国の日系企業現地周辺国の非日系企業    その他の世界各国企業

北米 ヨーロッパ 中国 ASEAN

設立当時(n=

86)

現在時点(n=

95)

将来予定(n=

99)

設立当時(n=

30)

現在時点(n=

35)

将来予定(n=

34)

設立当時(n=

336)

現在時点(n=

344)

将来予定(n=

344)

設立当時(n=

226)

現在時点(n=

234)

将来予定(n=

239)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

100

90

図1 我が国海外現地法人(製造業)の調達先の推移

日本国内       現地国現地周辺国      その他の世界各国

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

資料:経済産業省調べ(11年1月)

北米 ヨーロッパ 中国 ASEAN

設立当時(n=

87)

現在時点(n=

97)

将来予定(n=

102)

設立当時(n=

30)

現在時点(n=

35)

将来予定(n=

35)

設立当時(n=

340)

現在時点(n=

347)

将来予定(n=

348)

設立当時(n=

230)

現在時点(n=

238)

将来予定(n=

242)

(%)

図2 我が国海外現地法人(製造業)の仕向地の推移

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コラム

躍進する中国経済中国の経済成長が著しい。中国の名目国内総生産(GDP)は急激な成長を続けており(図1)、2009年には2001年の3倍以上にまで拡大した。今後も高い成長率の継続が見込まれており、IMFによると、世界主要国・地域の名目GDPに占めるシェアは、2009年の8.6%から2016年には12.4%まで拡大すると予測されている(図2)。経済成長に伴い、中国は、原材料や部品を最終製品に仕上げる「世界の工場」という役割から、最終製品を消費する「世界の市場」としての重みも増してきている。中国の経済発展をプラスの要因として捉え、我が国の経済発展の原動力に取り込むことが重要である。

資料: 中華人民共和国国家統計局

(1,000 億元)

(年)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09

純輸出総投資総消費GDP

図1 中国のGDP成長

日本      米国       EU      ブラジル     ロシア中国      中国除アジア主要国・地域     その他地域

備考:USドルベース。中国除アジア主要国・地域はASEAN、インド、韓国、台湾。資料:IMF「World Economic Outlook Database,April2011」

0

10

20

30

40

50

60

70

80(%)

先進国 新興国等 先進国 新興国等 先進国 新興国等

2000年

3.78.6

12.4

2009年 2016年(予測)

図2 世界主要国・地域の名目GDPシェアの推移

第1節

我が国製造業の動向

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

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(2)企業収益の改善東日本大震災以前、企業収益はリーマンショック後の落ち込みから持ち直しの動きを見せていた。震災直前の2010年第Ⅳ四半期とリーマンショックが起きた2008年第Ⅲ四半期を比較すると、経常利益は11.8%と増加しているのに対し、売上高は9.7%の減少と、経常利益の回復が売上高の回復ペースを上回っている。これは、コスト削減等の努力により、企業が従前よりも利益の出やすい体質となっていたためと考えられる。2011年第Ⅰ四半期および第Ⅱ四半期には震災の影響から特別損失を計上す

る企業も多かったが、2008年第Ⅲ四半期との比較において、経常利益はそれぞれ6.5%、5.8%の減少にとどまり、売上高に比して減少幅は小さかった(図112-8)。また、企業の自己資本比率は長期的に上昇傾向にあり、かつ、全産業において製造業の自己資本比率は非常に高い水準にある(図112-9)。加えて、企業の現金・預金も増加傾向にあり、企業の財務体質の改善とともに、震災後の売上減少などの状況変化に備え、手元資金を増やしている様子がうかがえる(図112-10)。

11

▲200

0

600

400

200

800

1,000

1,200

1,400

▲140

▲120

▲60

▲80

▲100

▲40

▲20

0

11.8

▲6.5▲5.8▲9.7

▲12.8▲22.5

20経常利益売上高経常利益回復率(右軸)売上高回復率(右軸)

資料:財務省「法人企業統計」

(1,000 億円) (%)

Ⅰ Ⅱ

10

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

09

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

08

Ⅲ Ⅳ (四半期)

(年)

図112-8 経常利益・売上高の推移

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

090807060504030201009998979695949392919089888786858483828180

全産業製造業非製造業

資料:財務省「法人企業統計」

(年度)

(%)

図112-9 自己資本比率の推移

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23

30

32

34

36

38

40

42

44

46

ⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠ

資料:財務省「法人企業統計」

1110090807060504030201

(兆円)

(四半期)(年)

図112-10 製造業企業の現金・預金の推移

(1)設備投資設備投資の先行指標とされる機械受注(設備用機械の受

注実績を調査)をみると、東日本大震災後、2011年第Ⅰ、第Ⅱ四半期と連続で前期比プラスの推移をしており、機械受注は持ち直し傾向にある(図113-1)。しかし、2010年第Ⅲ四半期から前年同期比プラスで推移していた設備投資は、足下で前年同期比マイナスに転じている。また、稼働

3.持続的な成長のために 率が低下傾向にあることと、稼働率の向上と設備投資の増加が連動する過去のトレンドを考慮すると、企業が設備投資に慎重になる可能性も考えられる(図113-2)。一方、企業の設備投資の遅れを反映して、設備年齢は

年々高まる傾向にある(図113-3)。設備年齢が高まると、設備の老朽化とそれに伴う生産性の低下が懸念される。そして、設備年齢の高止まりによる生産性の悪化は、企業の競争力の劣化とそれに伴う更なる設備投資の抑制という悪循環を引き起こす可能性もあるため、留意が必要である。

ⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠ

機械受注額(左軸)前期比(右軸)

備考:船舶・電力を除く民需(季節調整値)。資料:内閣府「機械受注統計」

1110090807060504030201

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

▲20

▲15

▲10

▲5

0

5

10(兆円) (%)

(四半期)(年)

図113-1 機械受注額の推移

第1節

我が国製造業の動向

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

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設備投資額(前年同期比伸び率、右軸)稼働率指数(左軸)

備考:稼働率指数は、05年=100、季節調整済指数。設備投資額は、原数値。資料:経済産業省「鉱工業指数」、財務省「法人企業統計」

95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11ⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠⅣⅢⅡⅠ▲50

▲40

▲30

▲20

▲10

0

10

20

30

60

70

80

90

100

110

120 (%)

(四半期)(年)

図113-2 製造工業稼働率指数と製造業の設備投資額伸び率の推移

4

6

8

10

12

14

16

18

090807060504030201009998979695949392919089888786858483828180

資料: 内閣府「民間企業資本ストック」、「国富調査」

(経過年数)

(年)

全産業製造業化学鉄鋼電気機械輸送機械

図113-3 設備年齢の推移

増額・上方修正12%

ほぼ同じ81%

減額・下方修正7%

資料:経済産業省「東日本大震災後の産業実態緊急調査②」(11年8月)

(n=58)

図113-4 2011年4月以降の2011年度設備投資計画の変更2011年度の設備投資見込み額について、2011年6月時点の調査において、多くの企業は4月以降の設備投資計画に変更はないと回答しており(図113-4)、2010年度と比較して「大幅に増額」「やや増額」という企業が7割以上を占めている(図113-5)。また、設備投資の重点分野は、国内では「合理化・省力化」「新製品・製品高度化」「維持・補修」のための設備投資が多く、海外では「能力増強」のための設備投資が多い(図113-6)。2011年度の海外/国内設備投資比率は、製造業全体で51.4%、自動車では127.9%と高い水準にあり、前年度と比べても増加傾向にある(図113-7)。新興国など成長市場での需要取り込みを念頭に、各社が海外での能力増強を優先している様子がうかがえる。長期的な視点に立った設備投資の実施は、競争力の源泉を確保するうえで非常に重要である。企業においては、短期的な利益の追求のみに陥ることなく、機を捉えた設備投資を着実に実施するバランス感覚が求められている。

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25

資料:経済産業省「東日本大震災後の産業実態緊急調査②」(11年8月)

(n=59)

大幅に減額(5%以上)15%

大幅に増額(5%以上)66%

やや増額 (5%未満 )8%

ほぼ同じ8%

やや減額(5%未満)3%

図113-5 2011年度設備投資計画(2010年度対比)

(%)

0

10

20

30

40

50

60

70

海外   国内

能力増強

合理化・省力化

(省エネ・

 省資源対応)

新製品・

製品高度化

維持・補修

環境分野

その他

変更なし

資料:経済産業省「東日本大震災後の産業実態緊急調査②」(11年8月)

(n=61)

57

36

28

48

28

56

11

41

10

16

7 710 10

図113-6 2011年度設備投資の重点分野

(%)

0

20

40

60

80

100

120

1402010年度   2011年度

製造業 電気機械自動車 化学 非鉄金属

備考:海外/国内設備投資比率=(連結海外設備投資÷連結国内設備投資)×100。海外投資額が   国内投資額を上回る場合、100%を超える。資料:(株)日本政策投資銀行「2010・2011・2012年度 設備投資計画調査」

39.551.4

87.2

127.9

23.7 26.0 27.9 32.2

65.1

92.4

図113-7 海外/国内設備投資比率

第1節

我が国製造業の動向

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

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26

コラム

利益予想値達成と設備投資計画のトレードオフ利益予想値達成と投資計画が相反する関係にある場合(投資計画に従って設備投資すると予想利益の達成が困

難になる場合等)、「必ず利益予想値達成優先」「どちらかといえば利益予想値達成優先」と回答した企業が全体の77.7%を占める(図1)。これは、多くの企業にとって利益予想値達成と設備投資計画がトレードオフの関係にあり、利益予想値を達成するためには設備投資を削減するという考え方が太宗を占めていることを示している。しかし、この結果を企業の業績別に分析すると、直近5年間で営業利益が増加した企業は利益が減少した企業と

比較し、「投資計画優先」と答えた企業の割合が高いことが分かる(図2)。好業績を達成している企業は、企業の姿勢として、相対的に「投資計画優先」という傾向が強く、その姿勢が一定程度企業の業績と関係していることがうかがえる。

また、企業が利益予想値達成を重視する傾向は、減価償却について採用している方法からもみることができる。5年前と現在を比較すると、定額法を選択している企業の割合が若干増加しているが、定額法を採用する理由としては、定率法を採用する理由と比べ、「償却費の計算が容易なため」に続き「償却負担が重いため」の回答割合が多いことが特徴となっている(図3・4)。

資料:経済産業省調べ(11年2月)

必ず利益予想値達成優先22.5%

(n=1,547)

どちらかといえば利益予想値達成優先

55.2%

必ず投資計画優先2.8%

どちらかといえば投資計画優先19.5%

図1 利益予想値達成と投資計画が   相反する場合の優先順位

(%)

利益増加企業(n=371)

利益減少企業(n=820)

備考:利益増加(減少)企業とは、直近5年間の営業利益が増加   (減少)した企業。資料:経済産業省調べ(11年2月)

0 20 40 60 80 100

投資計画優先 利益予想値優先

25.6

20.0 80.0

74.4

図2 利益予想値達成と投資計画が   相反する場合の優先順位(業績別)

(%)

5年前(n=2,045)

現在(n=2,046)

資料:経済産業省調べ(11年2月)

0 20 40 60 80 100

定率法 定額法 その他

84.8 12.4 2.7

83.3 13.9 2.8

図3 減価償却について採用している方法

(%)

定率法(n=1,656)

定額法(n=274)

資料:経済産業省調べ(11年2月)

0 20 40 60 80 100

実態に合っているため 償却負担が重いためIFRSの導入に備えるため却費の計算が容易なため特段の理由なし税負担を軽減するため

47.5 7.5

1.4

2.9

31.611.6

46.0 8.8 17.9 3.3 21.2

0.5

図4 採用方法の理由

Page 10: 図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移18 (10億円) (年度) アジア 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」

27

他国の状況をみると、近年シェアの拡大が著しい韓国のサムスン電子は、市況が落ち込んだ時にこそ積極的な設備投資を行っている(図5)。逆に日本企業は上述したように業績が悪くなると利益確保のために設備投資を抑制する傾向が強く、結果として、サムスン電子は市況の落ち込んだ時に大きくシェアを拡大している(図6)。なお、今般実施したアンケートにおいても、「リーマンショック後に競争力強化のために取り組んだこと」として「積極的な設備投資」を挙げた割合は低水準にとどまっており、日本企業の設備投資は、相対的に利益水準によって左右される度合いが強いことが推察される(図7)。

このように、企業は決算時等における利益予想値の達成を非常に重視しており、さまざまな達成努力のなかで、設備投資計画やそれに伴う償却費の負担を重荷に感じている。しかし、長期的な成長を視野に入れた場合、競争力の醸成のためには、短期的な利益予想値ばかりにとらわれるのではなく、不況時こそ、将来に向けての投資を行うことが重要である。

サムスンの市場シェア(左軸)市場成長率(右軸)

資料:サムスン電子ウェブサイト

0

5

10

15

20

25

30

35

40

95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08-60

-40

-20

0

20

40

60

80(%) (%)

(年)

図5 半導体におけるサムスンのシェアと市場成長率

サムスン電子半導体関連設備投資額日本企業平均(東芝、NEC、パナソニック、富士通、日立、三菱電機、ルネサステクノロジ、エルピーダメモリ)半導体関連設備投資額

資料:「半導体産業計画総覧」(産業タイムズ社)および各社ウェブサイトを基に三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)作成

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000(億円)

(年)91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08

図6 サムスンと日本企業の半導体関連投資額比

資料:経済産業省調べ(11年2月)

0 10 20 30 40 50 60 70(%)

優秀な人材の確保、積極的な人材育成

積極的な研究・技術開発

積極的な設備投資

雇用調整

販売価格の引き下げ

調達コストの削減

競争力が高い製品への絞り込み 26.6

62.6

22.5

50.8

9.5

15.5

23.4

図7 リーマンショック後に競争力強化のため取り組んだこと

第1節

我が国製造業の動向

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

Page 11: 図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移18 (10億円) (年度) アジア 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」

28

(2)為替の動向近年の実効為替レートの推移をみると、ドルやユーロと比較し、円については急激な円高傾向で推移していることがわかる。特に東日本大震災直後の3月17日には、瞬間値で1ドル76円25銭を付けて史上最高値を更新。その後も世界的な景気減速懸念等を背景に記録的な円高水準が継続し、8月15日には75円95銭と再び史上最高値を塗り替えた。一方、韓国ウォンは低水準で移行しており、対円のウォン安の影響により、韓国企業との競合が激化していることが推察される(図113-8)。

また、至近の円高は、輸出企業の想定を上回る勢いで急速に進んでいる(図113-9)。特に対ドルの円高が広範な企業の経営に影響を与えており、2011年8月時点の調査では、大企業、中小企業(輸出を行う企業が中心)ともに7割以上の企業が「深刻な減益」あるいは「多少の減益」となったと回答している(図113-10・11・12)。そして、1ドル76円程度という当時の水準が半年以上継続した場合、「深刻な減益」となる企業の割合はさらに高まる傾向にあり、円高が企業収益に与える影響の大きさがうかがえる。

60

70

80

90

100

110

120

130

(月)

(年)07

通貨安

通貨高

備考:07年1月=100として指数化。資料:国際決済銀行(BIS)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111208

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111209

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111210

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111211

1 2 3 4 5 6 7

日本円   米国ドル   ユーロ   韓国ウォン   中国元

図113-8 実効為替レートで換算した主要通貨の価値の推移

(円 /ドル)

70

80

90

100

110

120

130

140

(四半期)(年)

当該期の為替レート想定為替レート

07Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

08Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

09Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

10Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

11Ⅰ Ⅱ Ⅲ

資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」

図113-9 輸出企業の想定為替レートの推移(%)

深刻な減益(営業利益対前年比20%以上) 多少の減益(同20%未満)ほとんど影響なし 多少の増益(同20%未満)大きく増益(同20%以上)

備考:調査期間は11年8月22日~8月26日。資料:経済産業省「現下の円高が産業に与える影響に関する調査(大企業・   製造業編)」(11年8月)

0 20 40 60 80 100

現在の円高水準の影響

(n=59)

現在の円高水準が半年以上継続した場合の影響(n=59)

15 61 12 12

32 47 8 12

図113-10 為替レートが収益に与える影響(大企業製造業・対ドル)

Page 12: 図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移18 (10億円) (年度) アジア 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」

29

円高によって減益となる原因は、大企業、中小企業ともに「海外で他国企業との競争激化」を挙げる割合が高く、中小企業では特に「取引先からの値下げ要請」の割合も高いことが目立つ(図113-13・14)。1ドル76円程度の水準が半年以上続くと仮定すると、大企業では「取引先の海外移転による需要減」、中小企業では「取引先の業績悪化による需要減」を減益要因と考える企業の割合が増加している。円高への対応策としては、「経営努力、製品設計変更等

によるコスト削減」が最も多く、次いで大企業は「為替予約によるリスクヘッジ」、中小企業は「取引の円建て化」という回答比率が高い。(図113-15・16)。さらに、1ドル76円程度の水準が半年以上継続した場合には、大企業は「原材料等の調達方法・割合の変更(海外からの調達量の増加)」、「部品の調達方法・割合の変更(海外からの調達量の増加)」、「生産工場や研究開発施設の海外移転」、中小企業では「海外生産比率の増加」といった回答が増加する傾向にある。

(%)

深刻な減益(営業利益対前年比20%以上) 多少の減益(同20%未満)ほとんど影響なし 多少の増益(同20%未満)大きく増益(同20%以上)

備考:調査期間は11年8月22日~8月26日。資料:経済産業省「現下の円高が産業に与える影響に関する調査(大企業・   製造業編)」(11年8月)

0 20 40 60 80 100

現在の円高水準の影響

(n=53)

現在の円高水準が半年以上継続した場合の影響(n=51)

9 30 60

12 39 49

図113-11 為替レートが収益に与えた影響(大企業製造業・対ユーロ)

(%)

深刻な減益 減益 影響なし 増益

備考:調査期間は11年8月22日~8月26日。資料:経済産業省「現下の円高が産業に与える影響に関する調査(中小企業   編)」(11年8月)

0 20 40 60 80 100

現在の円高水準の影響

(n=89)

現在の円高水準が半年以上継続した場合の影響(n=89)

21 52 21 6

33 51 10 7

図113-12 為替レートが収益に与えた影響(中小企業・対ドル)

(%)

深現在の減益の原因(n=45)現在の円高水準が半年以上継続した場合の原因(n=46)

備考:調査期間は11年8月22日~8月26日。資料:経済産業省「現下の円高が産業に与える影響に関する調査(大企業・   製造業編)」(11年8月)

海外で他国企業との競争激化

取引先からの値下げ要請

円換算の目減り

輸入品との競合激化

取引先の業績悪化による需要減

取引先の海外移転による需要減

その他

6167

3630

3435

3239

2533

1639

1611

図113-13 円高によって減益となる原因(大企業製造業・対ドル)

0 10 20 30 40 50 60 70(%)

現在の減益の原因(n=65)現在の円高水準が半年以上継続した場合の原因(n=75)

備考:調査期間は11年8月22日~8月26日。資料:経済産業省「現下の円高が産業に与える影響に関する調査(中小   企業編)」(11年8月)

海外で他国企業との競争激化

取引先からの値下げ要請

輸入品との競合激化

取引先の業績悪化による需要減

取引先の海外移転による需要減

その他

65

61

65

64

17

21

28

39

22

23

17

24

図113-14 円高によって減益となる原因(中小企業・対ドル)

0 10 20 30 40 50 60 70

第1節

我が国製造業の動向

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

Page 13: 図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移18 (10億円) (年度) アジア 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」

30

次に、2011年2月の調査から、円高による国内企業からの部品・原材料調達への影響を詳細に分析すると、現在対応をとっている企業は「調達単価を引き下げ、円高の影響の一部を転嫁」と回答した企業が最も多い。また、「(既存取引先の)調達を縮小又は停止して、より安価に調達できる海外企業に切り替え」たという回答割合は「(既存取引先の)調達を縮小又は停止して、より安価に調達できる国内企業に切り替え」たという回答割合を上

回っており、円高をきっかけに海外との取引を加速しようとしていることが分かる(図113-17)。また、為替レートの変動が発生した後、どの程度の期間で対応をとったかを確認すると、多くの企業が「6か月以内」に対応を完了している(図113-18)。円高への対応は各社非常に速やかに取り組んでおり、至近の為替水準が継続した場合、さらに急激に国内の取引先から海外の取引先へのシフトが進行する可能性も考えられる。

(%)

現在の対応策(検討含む)(n=60)現在の円高水準が半年継続した場合(n=61)

備考:調査期間は11年8月22日~8月26日。資料:経済産業省「現下の円高が産業に与える影響に関する調査(大企業・   製造業編)」(11年8月)

経営努力、製品設計変更等によるコスト削減

為替予約によるリスクヘッジ

原材料等の調達方法・割合の変更

(海外からの調達量の増加)部品の調達方法・割合の変更(海外からの調達量の増加)

製品価格(輸出価格)への転嫁

マリーによるリスクヘッジ

高付加価値商品への変更

生産工場や研究開発施設の海外移転

スワップないしオプションによるリスクヘッジ

海外企業のM&A

取引の円建て化

特に対応なし

その他

6759

6552

4756

4352

3738

3226

2531

2346

1313

815

710

77

1015

図113-15 円高への対応策(大企業製造業・対ドル)

0 10 20 30 40 50 60 70(%)

3836

87

66

2028

17 20

18 23

2021

19 21

13 17

2315

2322

7 10

経営努力、製品設計変更等によるコスト削減

為替予約によるリスクヘッジ

金融取引によるリスクヘッジ

原材料等の調達方法・割合の変更(海外からの調達量の増加)

海外生産比率の増加

部品の調達方法・割合の変更(海外からの調達量の増加)

製品価格(輸出価格)への転嫁

高付加価値商品への変更

生産工場や開発拠点の海外移転

取引の円建て化

特に対応なし

その他

20 30100 40

備考:調査期間は11年8月22日~8月26日。資料:経済産業省「現下の円高が産業に与える影響に関する調査   (中小企業編)」(11年8月)

現在の対応策(検討含む)(n=84)現在の円高水準が半年継続した場合の対応策(n=86)

図113-16 円高への対応策(中小企業・対ドル)

調達単価を引き下げ、円高の影響の全てを転嫁調達単価を引き下げ、円高の影響の一部を転嫁調達を縮小・停止し、安価調達できる国内企業に切り替え調達を縮小・停止し、安価調達できる海外企業に切り替え現在特段対応なし、円高継続なら新たな対応予定現在特段対応なし、円高継続でも新たな対応予定なしそもそも円高の影響を受けていないその他

資料:経済産業省調べ(11年2月)

10.1%3.5%

5.5%

24.8%

23.6%

29.3%

3.0%

0.3%

(n=1,925)

図113-17 円高時における国内企業からの部品・原材料調達 (%)

16.7     33.3       33.3     16.7

8.2 8.2       56.5         19.6 4.3 3.3

7.7 4.6      55.4        18.5  9.2 4.6

5.1 4.0    45.5        26.3    16.2 3.0

調達単価を引き下げ、円高の影響の全てを

転嫁(n=6)

調達単価を引き下げ、円高の影響の一部を

転嫁(n=184)

調達縮小・停止し、安価調達できる

国内企業に切り替え(n=65)

調達縮小・停止し、安価調達できる

海外企業に切り替え(n=99)

1週間未満        1週間後~1か月未満   1か月後~6か月以内6か月後~1年未満    1年超          その他

資料:経済産業省調べ(11年2月)

0 20 40 60 80 100

図113-18 対応に要した時間

Page 14: 図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移18 (10億円) (年度) アジア 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」

31

(3)合併と買収(M&A)の動向我が国製造業におけるM&A件数は2005年をピークと

して減少傾向にある(図113-19)。一方で、「海外製造業による国内製造業へのM&A」および「国内製造業による海外製造業へのM&A」は増加しており、製造業において、海外企業とのM&Aの割合が相対的に高くなっていることがわかる(図113-20・21)。我が国製造業による海外製造業へのM&Aの内訳をみ

ると、地域別の内訳においてアジアの比率が昨年実績(20.0%)の約2倍ほどまで高まっている。逆に海外製造業による我が国製造業へのM&Aにおいてもアジアの比

率は41.4%と米国・欧州を上回っており、我が国とアジア地域間のM&Aが活発化していると考えられる。また、業種別内訳において両者を比較すると、海外製造業によるM&Aは精密機械、輸送用機器、電機といった業種で我が国製造業によるM&Aより割合が高くなっていることが特徴的である(図113-22・23)。至近の円高傾向は、我が国製造業による海外製造業へのM&Aにとっては追い風となる。重要技術の獲得や販路の拡大等により業界における競争優位を保つためにも、M&Aは有効な手法となりうる。国内、海外双方に視野を広げながら、企業同士の連携を探る取組が求められている。

0

(件)

100

1,000

700

400

200

900

600

800

500

300

海外製造業による国内製造業へのM&A国内製造業による海外非製造業へのM&A国内製造業による国内非製造業へのM&A

国内製造業同士のM&A海外非製造業による国内製造業へのM&A

備考:M&Aとは、(株)レコフデータの定義に基づき、企業や事業の経営権の移動や経営参画につながる株式取得に関するものを指す。資産、負債の移転を   伴わない単なる業務提携は除く。資料:(株)レコフデータの資料から作成

97 99 02 04 06 080096 98 01 03 05 07 09 10 (年)

286331 358

473

670 658715

674

769

936 910842 853

662594

国内製造業による海外製造業へのM&A国内非製造業による国内製造業へのM&A

図113-19 我が国製造業におけるM&A件数の推移

0

(件)

(年)0

20

40

60

80

100

120

(17)314

4

23

4

25

8

63

8

61

13

56

14

54

22

42

46

27

51

35

27

38

76

34

49

36

18

37

16

58(27)(29)

(71)(69)(69)(68)(64)

(73)

(86)

(65)

(110)

(85)

(55)

(74)

120

100

60

20

80

40

備考:カッコ内数値は、海外企業による我が国製造業へのM&A件数の合計値。資料:(株)レコフデータの資料から作成

グラフベースの線 0.1mmグラフの文字の級数 9Q凡例の級数 8Q備考欄の文字 7Q

タイトル2行版

97 99 02 04 06 080096 98 01 03 05 07 09 10

海外非製造業による国内製造業へのM&A海外製造業による国内製造業へのM&A

図113-20 海外企業による我が国製造業へのM&A件数の推移 図113-20 海外企業による我が国製造業へのM&A件数の推移図111-2 家計最終消費支出成長率の

要因分解(前期比要因分解(前期比)要因分解(前期比))

7mm空ける

0

(件)

(年)0

50

100

150

200

250

(128)

28

100

24

96

26

113

28

113

57

154

41

116

29

111

24

85

27

106

33

154

37

135

23

104

48

120

27

105

24

118

(120)(139)(141)

(211)

(157)(140)

(109)

(133)

(187)(172)

(127)

(168)

(132)(142)

250

200

100

150

50

備考:カッコ内数値は、我が国製造業による海外企業へのM&A件数の合計値。資料:(株)レコフデータの資料から作成

グラフベースの線 0.1mmグラフの文字の級数 9Q凡例の級数 8Q備考欄の文字 7Q

タイトル2行版

97 99 02 04 06 080096 98 01 03 05 07 09 10

国内製造業による海外非製造業へのM&A国内製造業による海外製造業へのM&A

図113-20 海外企業による我が国製造業へのM&A件数の推移 図113-21 我が国製造業による海外企業へのM&A件数の推移図111-2 家計最終消費支出成長率の

要因分解(前期比要因分解(前期比)要因分解(前期比))

7mm空ける

第1節

我が国製造業の動向

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

Page 15: 図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移18 (10億円) (年度) アジア 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」

32

〔業種別内訳〕 〔地域別内訳〕

資料:(株)レコフデータの資料から作成

その他製造業22.9%

米国30.5%

欧州25.4%

アジア39.8%

その他4.2%

機械15.3%

電機15.3%輸送用機器

9.3%

医薬品10.2%

化学13.6%

鉄鋼5.1%

窯業2.5%非鉄・

金属製品5.9%

図113-22 我が国製造業による海外製造業へのM&Aの内訳(2010年)

〔業種別内訳〕 〔地域別内訳〕

資料:(株)レコフデータの資料から作成

化学13.8%

食品1.7%

米国24.1%

欧州32.8%

アジア41.4%

その他1.7%

医薬品8.6%

窯業3.4%鉄鋼3.4%

非鉄・金属製品3.4%

機械8.6%

電機22.4%

輸送用機器13.8%

精密13.8%

その他製造3.4%

繊維3.4%

図113-23 海外製造業による我が国製造業へのM&Aの内訳(2010年)

Page 16: 図112-7 地域別対外直接投資(製造業)の推移18 (10億円) (年度) アジア 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 資料:経済産業省「海外事業活動基本調査」

33

コラム

グローバル競争を勝ち抜くためのM&A (株)アドバンテスト市場の変化に対応し、自社が求める経営資源を迅速に獲得するためには、速効性の高いM&Aが極めて有効な手法となりうる。半導体検査装置を製造する(株)アドバンテストは、DRAMなどのメモリー向け試験装置の分野で強みを持つ。しかし、同分野は市況の変化の影響を受けやすく、長期的な収益安定のためには市場規模がメモリー向けより大きいシステム LSI 装置分野での成長が悲願だった。同社は、その解決のために、M&Aという手法を選んだ。相手先はシステム LSI 向けに強く、研究開発が得意と評されるVerigy 社(シンガポール)。東日本大震災の影響がまだ色濃く残る本年3月28日、同社はVerigy 社の普通株式を全株取得し、完全子会社とすることで合意したと発表した。このM&Aにより、両社の強みが補完し合い、半導体試験装置全般にわたる顧客への提案が可能になる。また、両社の重複する経営資源を、技術力向上や新規事業分野へ再配分し、さらなる成長に向けて有効活用する狙いだ。同社は、震災後の危機下においてこそ、成長戦略の推進を重視し、飛躍に向けた投資に踏み切った。至近の円高傾向で推移する為替は、輸出企業にとっては大きな減益要因である一方、海外企業にM&Aを仕掛けるチャンスでもある。今後さらに激化するグローバル競争を見据え、長期的な成長に向けた投資に臨む姿勢が求められている。

図1 M&Aに至る変遷

資料:(株)アドバンテスト資料

第1節

我が国製造業の動向

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向