「大規模災害発生後の被災者看護と公衆衛生措置」 …...第2回CBRN(化学、生物、核・放射線)災害対策セミナー 「大規模災害発生後の被災者看護と公衆衛生措置」
11 地名地名と災害と災害 - ロリポップ!レンタル...
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災害からあなた自身を守るために(地震編)
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1111 地名地名地名地名とととと災害災害災害災害
NPO法人 自然災害・地域防災対策支援センター(NAP)
(Natural disaster・Area disaster Prevention measures Support Center)
1
地名と災害
2
地形と災害
3
地震の発生周期
4
地震と災害
5
災害の防止策
6
住まいと宅地の
診断と対策
7
避難時の心得
8
災害グッズと
応急手当
9
避難時の健康
「りゅう」土石流や洪水がのたうつさまを竜に喩える
ことがしばしばあります。また、水の吐き出し口に竜
の置物を置くように、水の出るところも意味します。
鹿児島市の竜ヶ水は、1977 年、1993 年としばしば土石
流災害に見舞われています。上の写真は 1993 年の災害
ですが、左上の緑が薄い草地の部分が 1977 年の崩壊地
です。 (鹿児島大学理学部地学科提供)
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写真-1 土砂災害 -山が突然崩壊する
図-1 斜面崩壊の要因
1111.... 地名地名地名地名とととと災害災害災害災害
① 地形を言い表した地名を自然地名と呼びます。地形と土地と災害との関係が、古来より地名とそ
の土地のクセを示唆しています。
② 洪水・土砂・地震などの災害は、地形と土地のクセに強い係わり合いをもっています。
③ 地名と地形、つまり山地、丘陵地、山麓地、低地、段丘などそれぞれが特有の地盤特性をもち、
その地形で発生した災害に関わる地名がついたりしています。
④ 自然災害(豪雨、長雨、地震、台風など)の発生は2次災害(土砂災害、家屋の浸水堤防の決壊
など)を引き起こします。2次災害の起こり易さには地名と地形の地盤特性(クセ)が影響します。
2222....自然地名自然地名自然地名自然地名のののの意味意味意味意味のののの大切大切大切大切ささささ
① 「たき(滝)には住むな」「竜(土石流=山津波)がで
る」などと言い伝わり、昔から危険地帯には住まないよう
にと言われています。
② 最近は高地価により、地名とは無関係に地価の安い危険
地までもが開発され、また、高地価は宅地を細分化し、
過密住宅を生み、結果、危険宅地を作りだしています
③ 自然地名には、その土地の特徴が表れています。素因(地
形、地盤、地質のクセと特徴)に誘因(豪雨、長雨、地震な
ど地形のバランスを崩す行為)が加われば、災害に繋がるものです(図-1参照)。
④ 自然地形に「削る、崖、滑る」等の言葉が用いられている場合は、土地の動く気配があるところと考え
られます。このような地名は災害の懸念を常に心がけて
おかなければいけません。
⑤ 予想もしない災害が、豪雨、地震などの引き金によ
り発生することを自然地名の多くは示唆しています。
クセのある土地では豪雨などが無くても地盤災害が
突然起こることがあります(写真-1参照)。
3333....地名地名地名地名でででで判判判判るるるる土地土地土地土地のののの安全度安全度安全度安全度
自然地名は、地形のクセをよく表しています。自然地
名は、大きくは浸水地名か、崩壊地名に分類されます。
① 浸水地名の場合
浸水する地名あるいは洪水氾濫地名に居住しているか、マイホ-ム計画時には、その土地の経歴を
調べるか、専門家に聞き確認することが必要です(図-2参照)。
② 崩落地名の場合
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国土交通省によると全国には「土石流危険箇所」184千箇所、「地すべり危険箇所」113千箇所、「急
傾斜地崩壊危険箇所」330千箇所が存在します。
最近の新興住宅地で地盤沈下・がけ崩れなどの災害を引き起こしているところも多く(図-3参照)、
購入を考える場合、本来自然地名では危険と称される地名であるにもかかわらず、快適さだけを表わ
す、たとえば希望が丘、星が丘などの商品地名に惑わされないよう注意が肝要です。
③ その他
旧地名のなかには、「赤田、黒田、青漬(枝)、緑」などがあります。これは、土の色を言っている
のか、地名が土質を表しているのか検討が必要です。古い地名の中に、洪水・水に関する表現に用い
られたものがあります。降雨による水が山から滲みでる所は敬遠した方がよく、地すべりや崩壊のお
それがあります。緑(みどり)は、水・取りで、流水によって川崖になる所です。
4444....地名地名地名地名でででで判判判判るるるる軟弱地盤軟弱地盤軟弱地盤軟弱地盤
わが国には、湿地に関する地名が非常に多くあります。その多くは微地形でいうと後背湿地や旧河道、
堤間湿地、潟湖跡地、泥質な小さな谷底平野あるいは堰きとめ沼沢地跡などに位置しています。
大阪の「梅田」「福島」、豊中の「豊島」、高槻の「芥川」なども元はと言えば、湿地帯を表わした地名
です。梅田は梅ノ木が立っていた田ではなく、埋め立ててできた田で、元は「埋田」と書かれていたも
のが、天満宮の梅にちなんで「梅田」に変えられたそうです。「福島」も「泓け島(ふけしま)」、これは
湿地を意味する地名であったが、これではゲンが良くないと言うことで、「ふけ」が「ふく」と似ている
ことから幸福の「福」にちなんで「福島」としたそうです。豊中の「豊島」も元は湿地帯のような所で
あったそうです。高槻に「芥川(あくたがわ)」という川、また地名があります。芥川は京都と大阪の境、
北摂連山から流れ落ち、山間部を蛇行しながら高槻の市街地部分に入り、運ばれてきた土砂が三角州を
つくるところで、ここが湿地帯になり、塵芥(ごみ・あくた)が集まったところから「芥川」と呼ぶよ
うになったと言われています。
① 牟田・無田・仁田・仁井田など
古来、水生植物の茂った水気の多いところを「ぬ」と言う語で表され、その当て字に「野」や「沼」
が使われました。「ぬま」は水たまりのことです。淡路島の「沼島」、広島県の「沼田川」などの地名
であります。
図-2 土地の経歴調査・確認 図-3 山地、丘陵地の土地造成と地盤災害
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② 湫(くて)
開墾して水田にした湿地のことを愛知県では「くて」、「くで」と呼び、「湫」の字が当てられていま
す。「長湫(ながくて)」や中仙道沿いの「大湫(おおくて)」などがこれにあたります。愛知県から長
野県にかけて多い「久手」もその類です。
③ 赤・明
水のことを昔は「あか」といったことから、いつも水の溜まった湿地のことを「あかた」「あかだに」
と呼んでいます。四国に多い「赤田」「赤水」「赤谷」「赤崎」「赤穂(あかりほ)」「赤間(あかんま)」
などの地名は、このような湿地を呼んだものと言われています。
④ 沮沢(ふけ)
水気の多い湿地のことを「ふけ」ともいい、これが転じて「ふご」とか「くご」等と呼ぶそうです。
「くて」よりも広域的に使われ、「沮沢」「泓」「掛」などの字が当てられています。四国地方では「福
家」を当てています。北陸地方には、「くご」「ふご」の地名があり、「ふけ」の分化したものです。関
東地方に多い崖線の下の湧水が多いところを「はけ(片崖)と呼ぶのもこの類の地名と言われていま
す。
⑤ 谷地・萢地(やち)・谷津
山間の湿地を示す語に「やち」があり、この地名が関東から東北によく見られます。「萢(やち)」
は津軽平野に特徴的に分布しています。関東地方になると、「谷津」や「谷地」「谷戸」あるいは単に
「谷(やつ)」などとなります。台地や丘陵に挟まれた谷底の細長い湿地のことを「谷津」「谷津田」
などとも呼ばれています。
⑥ 新田・新開
湿地自体を指すのではなく、湿地で軟弱地盤のため開発が遅れた結果できた地名に「しんでん」「し
んかい」があります。古い湿地が水田として開墾されたところに命名されたものと言われ、「新田」「新
開」「新改」などと書かれ、「開作」と名付けられたところもあるとされます。有明海沿岸では、新た
に干拓したところに「牟田」「古賀」「古閑(こが)」「空閑(くが)」などの地名がつけられています。
東北地方の米沢盆地や庄内平野あるいは新潟平野などでは、このような新しい開墾地は「興屋(こう
や)」「荒野」「小屋」「高屋(こうや)」などと書かれ、「はったつ」あるいは「はだち」(派立・羽立な
ど)という地名でも呼ばれます。越後平野では「白根郷(ごう)」や「亀田郷」など「郷(ごう)」の
名が新田につけられると言われています。
⑦ 和太・和田・曲浦・浦
「わだ」は入江や入海あるいは山の窪地のことをいい、「曲浦(わだ)」と書かれることがあるとし
ています。「浦」は海や湖に面したところを言い、これらの地名のところは入江や入海であったところ
が干拓されたり埋立てられたりした土地です。
5555....地形的分類地形的分類地形的分類地形的分類とととと地名地名地名地名
(1)斜面
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②土砂災害に見舞われた熊本県
阿蘇郡(アソウ)一宮町の災害地
①広島県三次市の水害(中国地
方建設局提供)
写真-2 ①② 洪水氾濫と土砂災害
斜面が崩壊する場合、その要因(素因・誘因)には次の 3通りが挙げられます。
① 土質-風による乾燥や水に弱い土質、逆に水を通さない土質。
② 地質の構造-地質の構造が斜面に対してどの方向か、断層はあるかなど。
③ 地下水の状態
さらに、これらの要因に外力(豪雨・地震など)による引き金には、
� 設計・施工の不備(排水工・保護工など)
� 集中豪雨・長雨(霖雨)・地下水の異常な上昇
� 地震による活動力の大小
などが挙げられ、そのような土地のクセのあるところには、それなりの地名が存在しています。
(2)問題地名
① “土地がすべる”地名(地すべり地)
もも・あんず・すもも(桃・杏・李) くす・くず(楠・葛・崩・久須) ふき(吹・保木・蕗)
さかり(盛・十八女・下痢)
② “急激に変動するという地名(崩落地)
すき・すけ・すぎ(須木・助・杉) ぬけ・ぬき(抜・貫・脱) たき・たけ・たか(滝・竹・高・
岳) ひら・ぴら(平・比羅) つぼ(川沿いの坪地名)など。 例えば、「貫名(ぬきな)」は崩壊
地名。北九州の小倉南地区には「貫(ぬき)」と言う地名があり、近くには「貫山(ぬきやま)」とい
う標高 712mの山があり、崩壊地名として残っています。
③ 氾濫地名
地名の中に「三次郷」というのがあります。これが、みすき、みずき、みすぎと各地によって、そ
れぞれ呼称の違いがあります。広島県の三次(みよし)市は元はみすきの地名を「三好(みすき)→
(みよし)」と転訛した地名と言われます。例えば、みずきは、み(水)・ずき(浸き-ずき)で、洪
水が氾濫して、水浸しになる所を意味し(写真-2 ①参照)、みずきは、み(水)・すぎ(剥ぎ、また
は削き)で、洪水によって川崖になる所です。写真-2 ②は熊本県阿蘇郡の崩壊例です。
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図-4 問題地名と土砂災害
写真-4 高磯山の土砂災害 写真-3 鹿児島市上竜尾平之町の崖崩れ
(鹿児島大学理学部地学科資料による)
写真-4 高磯山の土砂災害
④ 宅地として要注意地名
あず(づ)・あつ:昔から土砂災害のある地名として伝えられています。小豆島(古事記・日本書紀
にはあずき=香川県)、小豆(あずき=長野県その他)、阿津江(あずえ=徳島県)、熱海(あたみ・福
島県郡山市・静岡県熱海市=転訛語)、熱田山(新潟県)など。
たき・たけ・たか:「たきには住むな」、滝「土石流=山津波のこと」があります。
6666....土地土地土地土地にもにもにもにも個性個性個性個性があるがあるがあるがある
土地には個性を示唆している自然地名(図-4参照)がありま
す。平坦地でも山裾とか山麓地名、ひらのつく地名の所は崖崩れ
のおそれがあります。文字に平野(ひらのの字)が多いから、平
坦地の意味と早合点してはなりません。砂地盤や地下水の浅い所
では、排水に常に考慮すべき土地です。
① 山崩れの起きやすい土地の地名
すぎ、しだ、ずき、ひら、すげなど
例えば、昭和 61(1986)年 7月 10日、梅雨期に鹿児島市平
之町の崖崩れが起こり、多くの犠牲者が出ました(写真-3参照)。ひらの多くは崖崩れが山裾に起こ
る土地。
② 土石流に襲われやすい土地の地名
たき、たけ、たか、あず、たこなど。
例えば、「たか」「高磯山」、明治 25(1892)年 7月 25日の徳島県那賀郡の高磯山の崩壊で、那賀川
を堰き止め、一村全域が大惨事となったのです(写真-4参照)。
③ 地すべりの起きやすい土地の地名
さる、され、さら、いた、かき、うめなど。
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④ 洪水に襲われやすい土地の地名
ぬき、はやし、こうち(かわち、かわうち)、わだなど。
⑤ 津波に襲われやすい土地の地名
あま、あまべ、ひろ、入江地形など。
⑥ 過去に地崩れした土地また現在活動している地名
かに、かの、すき、くぬぎなど
例えば、「地附山」の「じずき」の「すき」は、土地を削り剥ぐの意味です。昭和 62(1987)年 7
月 26日、長野県上松地区湯谷団地を襲った「地附山」の大地すべりは、凝灰岩が長雨の水を含んだた
めの結果であったとされています(写真-5 ①②参照)。
① 湯谷団地への土砂の流下状況
(大洋航空提供)
②建物を巻き込みながら団地内の市道に
土砂が押し寄せる
写真-5 ①② 地附山地すべりによる土砂災害(信州大学自然災害研究会による)
7777....あとがきあとがきあとがきあとがき
地名は、古代の人々が大地に書き残した文字であったと言われ、その命名当時には、その土地柄にふ
さわしい表現をしたものと考えられています。
後世、漢字が伝わってから地名に当て字が使われ、それが長い年月を経て今日、私たちの生活の地名
として溶け込んでおり、その土地の特徴(クセ)をよく表しているのです。
自然災害には地域性があり、洪水災害、土砂災害、地震災害など、地形と土地のクセに関係が深いの
です。土地のクセを知ることは、自然災害に対して自分自身の防災意識を高めるだけでなく、災害を最
小限にとどめることにもつながります。
引用・参考文献
1)小川 豊:宅地災害と地名、株式会社山海堂、平成 4年 9月、第 2刷発行
2)地盤工学広報企画委員会:土はおしゃべり、社団法人地盤工学会関西支部、1998年 11月
3)今村 遼平:地震タテ横ななめ、株式会社電気書院、2004年 9月、第 1版第 1刷発行
4)木下 浩二:地名と歴史-地名が語る日本の生い立ち-、音羽印刷株式会社、昭和 62年 4月初版発行
5)インタ-ネット:日本の地名あれこれ、「災害地名」について、2008年 9月
本書は予告なく変更することがありますので、あらかじめご了承ください。(非売品)
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