【1 太良町 Tara Town】 -...

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【1 太良町 Tara Town】 道の駅太良(たら)の前に広がる干潟から(漁具の棚じぶ越しに) 太良町では、町の東側に広がる有明海の干潟をはじめ、道の駅太良や竹崎城址展望台、たら 竹崎温泉や太良嶽温泉、多良岳山中など、町内各地から有明海越しに“北面~北西面の雲仙岳” が眺望できます。温泉宿の露天風呂からは、湯船越しに雲仙岳が楽しめます。 本町にそびえる多良岳は、佐賀県と長崎県にまたがり、両県で県立自然公園に指定されていま す。約 100 万年前に噴火活動を開始した多良岳は、約 50 万年前に活動開始した雲仙岳より古い 火山で、約 40 万年前には活動を休止したとされています。雲仙岳と同様、僧・行基によって 700 年 代に山岳信仰が開かれたとされ、雲仙岳と共に肥前国を代表する山岳信仰の霊場でした。山系を 構成する山々の名前も、国見岳、野岳、舞岳、鉢巻山など両山で共通するものがあり、両山の文化 的なつながりが垣間見られます。 太良・多良の名は、平安時代初期(713 年以降)に編纂された肥前国風土記において、当地を 訪れた景行天皇(第 12 代)が、食物が豊かに足りている“豊足(ゆたたり、たらい)の村”と表現され たことに由来するとされますが、当地の特産品は竹崎カニとミカンです。竹崎カニは、ガザミ(ワタリ ガニ)の地域ブランドで、有明海を遊泳しながら季節的に回遊すると言われ、対岸の雲仙岳北麓多比良(たいら)地区周辺では“多比良ガネ”と呼ばれて、やはり名産になっています。 町の南端には竹崎島があり、中世の南北朝時代には島原半島の領主・有馬氏が竹崎城を築き、 戦国時代には佐賀領主の龍造寺氏との間で奪い合ったと言います。その城跡に整備された竹崎 城址展望台からは、眼前に雲仙岳全体が眺められ、幕末の知識人たちはこの付近の海上から仙岳を漢詩に詠んでいます。また、展望台や多良岳からは東に阿蘇山が眺望でき、阿蘇山雲仙 の間の歴史的な大三角形(※阿蘇地域のページ参照)を視覚的にイメージすることも可能です。 本町の前面に広がる有明海の干潟は、全国一の規模を誇りますが、その干潟の泥は、かつての 阿蘇山の大噴火による噴出物を六角川や筑後川が日々流し込んでいるもので、その泥が外洋に 流れ出さないのは、雲仙岳そびえる島原半島が有明海の水の出入口を狭めているためです。 雲仙岳の様々な表情を探しながら、太良町内を旅してみませんか? ●太良町の観光情報はこちら ⇒ 太良町観光協会 http://www.tara-kankou.jp 竹崎周辺から 特産ミカンを食べているように見える雲仙岳 草野 俊彦氏 藤松 政晴氏 藤松 政晴氏

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【1 太良町 Tara Town】

道の駅太良(たら)の前に広がる干潟から(漁具の棚じぶ越しに)

太良町では、町の東側に広がる有明海の干潟をはじめ、道の駅太良や竹崎城址展望台、たら

竹崎温泉や太良嶽温泉、多良岳山中など、町内各地から有明海越しに“北面~北西面の雲仙岳”

が眺望できます。温泉宿の露天風呂からは、湯船越しに雲仙岳が楽しめます。

本町にそびえる多良岳は、佐賀県と長崎県にまたがり、両県で県立自然公園に指定されていま

す。約 100 万年前に噴火活動を開始した多良岳は、約 50 万年前に活動開始した雲仙岳より古い

火山で、約 40 万年前には活動を休止したとされています。雲仙岳と同様、僧・行基によって 700 年

代に山岳信仰が開かれたとされ、雲仙岳と共に肥前国を代表する山岳信仰の霊場でした。山系を

構成する山々の名前も、国見岳、野岳、舞岳、鉢巻山など両山で共通するものがあり、両山の文化

的なつながりが垣間見られます。

太良・多良の名は、平安時代初期(713 年以降)に編纂された肥前国風土記において、当地を

訪れた景行天皇(第 12 代)が、食物が豊かに足りている“豊足(ゆたたり、たらい)の村”と表現され

たことに由来するとされますが、当地の特産品は竹崎カニとミカンです。竹崎カニは、ガザミ(ワタリ

ガニ)の地域ブランドで、有明海を遊泳しながら季節的に回遊すると言われ、対岸の雲仙岳北麓の

多比良(たいら)地区周辺では“多比良ガネ”と呼ばれて、やはり名産になっています。

町の南端には竹崎島があり、中世の南北朝時代には島原半島の領主・有馬氏が竹崎城を築き、

戦国時代には佐賀領主の龍造寺氏との間で奪い合ったと言います。その城跡に整備された竹崎

城址展望台からは、眼前に雲仙岳全体が眺められ、幕末の知識人たちはこの付近の海上から雲

仙岳を漢詩に詠んでいます。また、展望台や多良岳からは東に阿蘇山が眺望でき、阿蘇山と雲仙

岳の間の歴史的な大三角形(※阿蘇地域のページ参照)を視覚的にイメージすることも可能です。

本町の前面に広がる有明海の干潟は、全国一の規模を誇りますが、その干潟の泥は、かつての

阿蘇山の大噴火による噴出物を六角川や筑後川が日々流し込んでいるもので、その泥が外洋に

流れ出さないのは、雲仙岳そびえる島原半島が有明海の水の出入口を狭めているためです。

雲仙岳の様々な表情を探しながら、太良町内を旅してみませんか?

●太良町の観光情報はこちら ⇒ 太良町観光協会 http://www.tara-kankou.jp

竹崎周辺から 特産ミカンを食べているように見える雲仙岳

草野 俊彦氏 藤松 政晴氏

藤松 政晴氏