(1)...1 52 と い う 、 そ れ ら の 集 大 成 と も い え る 戦 略 爆 撃 機 が...

1

Transcript of (1)...1 52 と い う 、 そ れ ら の 集 大 成 と も い え る 戦 略 爆 撃 機 が...

昭和59年2月29日 講演記録版

シリ

ーズ研究会

『軍

技術』(皿

)

第二次大戦後の

軍用機全体について系統

にお話をするには時間が

足りませんので、今口は戦闘機

の歴史を中心

に、

これ

が将米

どう

いうように変

っていく

め、時代

別、国別

にレビ

ューして

いき

たいと思います

(別表参

照)。な

お、戦闘機以外の機

についても若干触

れてみ

たいと思

っています。

二次大戦中の戦闘機

は、

ロペラのついたも

ので

して、、零戦とか飛燕とか、

日本も優秀な戦闘機

つく

って

いたわけです。しかし、プ

μベラ機には限界

があ

ります。フ『ヘラの先端

スピードが音速を超

えると、

ロペ

ラの効率が下がり、

どうしてもそれ以上

の速度

はでな

い、という物理的制約があります。そのために

戦闘機

は、第二次大戦志木雌川で、時速七〇〇キ

ロが隈界

でした。

東京都千代田区内幸町

〒二⊥

日本

レスセンタービ

ル9階

◎社団法人

日本記者

クラブ

電話

〇三-五〇.三-二七

一=

(防衛庁航空幕僚監部技術部長)

二次大戦の終わる蘭

から、

この次に来

たる

べきも

のとし

てジ

ェット

エンジ

ンが燧めて有望であ

という

ことを、諸外国、特にド

ツやイギリスが注

したわ

です。もちろん、

これ

ついては日本も研

をして

いたわけ

です。若十の試作機がドイッやイギ

四スでで

したけれども、本格的

に実戦には使われず

に第

大戦

は終わ

った。

ェット機の技術

が花開く

二次大戦後、ジ

ェット機

の技術が発展

て、

ア{

カとイギリ

スが手を紐

んだ形で、

一方はア

ズリカで

が開き、他方ドイツの技術

はソ連に渡り、

れぞれ

本格

的なジ

ェット機が出

てぎた。最初

の本格的

なジ

ット戦

闘臨脳は、アメリカが

つく

った

齢猶闘

P-

80で

す。

これはその後、航空自衛隊でも使

っているT-33

いう練

習機

になる。

このよう

にしてジ

ェット戦闘機の時代

に入

ったわけ

です

が、

ェット戦聞機同士が初めて相敵対したのは

朝鮮戦筆

でした。P-

80

とミグー15が

空で遭

遇し空中戦を行

った。

ミグー

15の勝ちでした。

P-80

は、

T-

33を見ても分かるよう

に、プ

ロペラ機

の考え

方を脱しきれずにでき

た飛行機で、

一方、

ミグー

15は

でに後

退翼がついています。その後のジ

ェット機

原型にな

ったような飛行機

です。後退角

のついた翼を

後退翼と

いいます。翼が後

ろにドが

っているので、音

に近

いと

ころで抵抗の増加

が小さくなる、と

いう利

点を持

って

います。

P1

80が朝鮮戦争にお

いてミグー15にや

で、

アメリカは試作中だ

ったFi86戦闘機を急拠、大

に投

人しまして、や

っと互角

に戦えたという状況で

した。

ですから、ソ連にお

いてはミグー15、

アメリカ

においてはF-86が本格的

なジ

ェット戦闘機

の走

りで

あ一ろ一うかと思

います。

この頃

の戦闘機は、米

ソとも

に大体

」○

トン未満で、

レーダ

ーなどもまだ発達

しておりませんので、昼間、

敵機を

目視できる状態

で戦闘する

ことを主とした。制

壁権

の確保

のために主と

して使用されたも

のです。

このようにして、朝鮮戦争

は引き分けと

いう

ような

状態

で終わ

ったわげですが、その後さらにいろいろな

形で発

展が続くわけです。

のような方向に進

んだ

かと巾しますと、

「つは、

全天候要撃戦闘機です。まだ、当時はICBMとか、

IRBMとか、ましてやS」BMはできていな

い時代

(1)

昭和59年2月29日 講演記録版

でしたので、核を運搬す

る手段としては戦略爆撃機

一のも

のでした。

アメリカにおいては、第

二次大戦中

にB129ができ

て、そのあとB1

47とかいろいろ

つくりましたが、

九五〇年代前半

にB152という、それら

の集大成とも

いえる戦略爆撃機が完成した。

ソ連

においては、TU

-16パジャーと

いう、

アメリカのものとは形は違いま

すが、戦略爆撃機ができたわけです。米

ソともこれを

ローバルな核戦略

の主役としたわけ

です。

これ

に対応するためには、高

々度で入

ってくる爆撃

機を

いち早く発見

して、そこまで出

かけ

て行

って撃墜

する、という要撃戦

闘が重要にな

ってくる。

要撃戦闘を簡単

に説明しますQ味方

のテりトリーに

々度で敵が入

ってくる。SS

(防空監視所)のレー

ーが敵を見

つけ

て、DC

(防空指令

所)

へ情

報をど

どん送る。日本

の場合、DCが五、

SSが二八あり

ます。

一つのDC

に五

つないし六

つのSS

レーダーが

ついていて、それぞ

れに情報が入

ってき

ます。

DCでは、そこ

の担当範囲の要撃戦闘機

の数とか、

基地で待機する戦闘機

の状態を掌握し

ている。あるい

は味方の輸送機

や旅客機がどこを飛

んでいるかという

ような情報も持

って

いて、それとの照合や敵味方識別

装置により敵味方

を識別する。敵だと

いう

ことが分か

れば、CC

(防

空管制所)の統制

のも

とに要撃機

に発

進を命ずる。要撃機

は、武器を持

って発進して行き、

SSレーダーを使

って敵機の近くま

で誘導されて、近

接したら自分の

レーダー、あるいは目視

で敵機を確認

し、武器を発射し

て撃破する。

後で触れます

が、

特に低空の敵機を監視するために

は、早期警戒機

があり、

これは航空自

衛隊

にも配備さ

れています。

この地上のシ

ステム全体を日本で

はバ

ッジシステム

と呼んでいます。

SSが二八、DCが五、その他CC

(防空管制所)、

AOCC

(防空作戦管

所)でネ

トワークを作

って

おり、全国的に

コント

ロールしてい

るわけです。

撃ちもらした敵機㎜は、SAM

(地対

ミサイル)に

指令を出して撃墜す

る。あるいは敵機

の侵攻が非常に

っている場合

には、CAP

(OQ∋『卑

》一「℃国営d一)

いって、戦闘機

を上空で待機させ

て備

えるというこ

とも行われます。

これが要撃戦闘

一般的なやり方

です。相当な速さ

で侵入してくる敵機

が爆弾あるいは核

爆弾を落とす前

に、撃墜しなければ意味がないので、と

にかく大急ぎ

で上がって行かなければ

いけない。

これが要撃戦闘機

に求められる条件

です。

一九五〇年代半ば以降にな

て、これが可能

にな

ってくる。技術

には

(2)

昭和59年2月29日 講演詑録販

戦 闘 機 の 変 遷

きな力の強

いジ

ェットエンジ

ンができたこと、あ

るい

は空気力学が進歩して、飛行機が音速を超えられ

るよ

うにな

ったこと、空対空

ミサイ

ル等が発達

したこと、

電子機器

の発達がめざましく、

レーダ!に結

ついた

火器管制装置が完備したことなどによ

って、全天候要

撃戦闘機

が、

この時期戦闘機

の主役

になります。

各国とも非常

に熱意を持

って全天候要撃戦闘機

くりました。F1100も

当初

は要撃機

のっもりだ

たのです。あまり性能がよくなか

ったので対地攻撃

使うようになりました。

これがはじめて実用戦闘機

しては音速を超えまして、

このときから戦闘機

は超音

の時代

に入

ったわけです

一〇〇という、

ちょうど

切れのいいセンチ

ュリーと

いうところから音速を突

しましたも

のですから、その後

のアメリカの戦闘機

は、

センチ

ュリーシリーズと称

して

います。

センチ

ュリ!

シリーズすなわち超音速機

いうわけです。

いまから

みますと、空気取り入れ

口の設計などが極めて幼稚

して、や

っと音速を突破したという状況です。

のF1

104は航空自衛隊

にも配備さ

が、もうかなり少なくなりました。そ

の後

のF-

10

5はち

ょっと性格が違いまして戦闘爆撃機ですが、続

いてF1

106、F14などが出

てぎました。

要撃戦闘機から戦闘爆撃機

ここで要撃戦闘機

の例を

二、

三挙げて説明したいと

思います。

F-106は典型的な要畢戦闘機

です。現在でもま

だ米空軍あるいは州兵等が使

っています。要撃戦闘と

いう

のは、高速であると

ころまで行けぽ

(3)

講演記録版昭和59年2月29目

て、あまり運動性能や航続性能

は必要な

い。

上昇性能

と高速性能が極めて重要

でして、F1

106は要撃戦

闘に徹した飛行機です。

一撃離脱という精神

でできて

います。足

は短いけれども上昇力

において

は極めてす

ぐれている。中にミサイ

ル等を積み込んでいます。発

射するとき

にはこれを禺すわけです。

ソ連ももちろん要撃戦

闘機

の開発を

一生懸命やりま

した。ソ連

のSU115は時代的にはF-

106よりも、

もうち

ょっとあとに開発されたも

のです。先

般、樺太

でいろ

いろ問題にな

った戦闘機です。

フラソスのミラージ

ュ皿は、当初は要撃戦

闘機とし

つくられたものです。

の後イスラエル

使

った

り、

いろ

いろ転用されて有名

になりました。

このよう

に要撃戦睡闘機が、五〇年代後出十か・り山ハ○年代

'肘皿干にか

て出

てきたわけですo

の後

ICBM等が完成して、核

の運

搬手段が爆撃

からICBM等に変わ

ったために、この全天候要撃

戦闘機と

いう流れは、比較的鵬発

の中

心で

ります。あ

る時期アメリカはB170という戦略爆撃機

つくる

ことを考えました。ご承知の方が

っし

ゃるかと思

いますが、非常

に大きな三角翼

のも

ので、

二機試作して、あまり

にも

お金がかかるのでやめてし

った。

これに対抗するため、ソ連

は比較的最近ミグ

%という要撃専門

の戦闘機をつく

っています。おそ

らく要撃戦闘専用の戦闘機として最も新し

いのが、こ

のミグー

25であろうかと思

います。数年

前、函館に亡

命着陸しました。非常な高速と上昇力を持ち、ミサイ

ル等を積んでいますが、足

は要撃戦闘機

の性格上あま

り長くない。運動性能もあまりよくな

い。

このよう

に状況が変化

し、戦略爆撃機

がグ

ローバル

な核

戦略の主役から降 りた頃に、戦闘爆撃機

が出現し

てき

ます。高空で進行

して行くと要撃戦闘機

にやられ

る。

また、地上のレーダ

ーやSAM

(地

サイ

ル)

が発達したため、高空から敵地や敵

の船

政撃す

ことが極めて困難な状況にな

ってきた。また、戦略

爆撃

機が主役を降りた

こと

により、全天候要翠

戦闘機

があ

まり必要なくな

ってぎた。そういう状況

で、

一九

五〇年代末から戦闘爆撃機という思想が出てく

る。要

に、敵の陸地や船

を攻撃するためには、

レーダー

を避

けて低窒を高速

で侵

入していく必要が生じ

てぎた

わけ

です。

これは必ずしも新し

いアイデアではなく

て、

たとえ

戦でも、たまには爆弾を積んで行

って小規

模の爆

したということが

あります。しかし、

この時代に

ると戦闘爆撃機が多

用されるようになります

。その

必要

性については、

いま申

しあげたとおりです

が、披

術的

には、ジ

ェット

エンジ

ソの推力が増

して音

速を突

でぎるようになり、

大馬力を持

つようにな

った。そ

の大

馬力を速度にすれば

超音速が出る。速度

を犠牲に

して物を積もうと思

えば、翼下にたくさん

の爆

弾を積

める。あるいは空対艦

ミサイルとか、空

.ミサイ

ル、

PGM

(精密誘導

兵器)というような

そのような技術的

な条件が整いまして、も

ちろん

レーダーに連動する爆

撃計算機なども重要な

要素です

が、戦闘爆撃機が非常

に発達してきました。

戦闘爆撃機の用法と種類

闘爆撃機の胴法

して、

一つには艦船

への攻撃が

ます。航空自衛隊

のF-1戦闘機

の場合

例にと

ります

と、レーダーサイトから、あるいはほかの情報源

から、敵艦がどのあたりに

いると

いう情報を得たとし

ますと、

ただちにASM11を載せた戦

闘機が発進し

て、敵

のSAMの圏外

で瞬間的に自機

のレーダーで敵

を発見す

る。見えたらすぐ場所を覚え込

まっ

て、敵艦

のレーダーから見えな

いところに

す。そ

の覚えた情報をミサイ

ルに教えて発射すると、

ミサイ

ルは敵のレーダi網

の下をくぐ

って超低空で飛

し、命中します。あ

るいは

これがでぎな

い場

は、目標艦

の北緯何度、東経何度という指示だけを与

えて、発射すると

いう方法もあります。

これ

は軍艦に対する攻撃

ですが、本質的

には陸上の

目標

に対する攻撃も同じです。陸

のレーダ

ーの下をか

いくぐ

り、陸のSAMの射程

の外から撃

ち込むという

のが、戦闘爆撃機

による対地攻撃

のやり方

です。低く

で侵入するという

ことが必要なわけです。

ミラージ

ュ田なども、本来は要撃戦闘機

でしたが、

これを戦闘爆撃機

に改造して、第ゴ一次中東戦

でイ

スラ

エルが使う。イスラエルは

ミラージ

ュ皿の把対空戦闘

の能

力を落として戦闘爆撃機として使用し、奇襲攻撃

かけ

て、大勝利をおさめた。

FI

104なども、日本

では要繋戦闘機

とし

て使わ

ていますが、西ドイツはF1104Gという形にし

て核搭載の戦闘爆撃機として使用している。

F1

4Cは、元来アメリ

カ海軍が主として艦隊防空

の要撃

戦闘機として開発したものです。しかし、非常

に性能

もよく使

い勝手も

いいということでー

開発時

はF1104と同じ頃でF-4Aといっていたー

それを戦闘爆撃機

の形にしてアメリカの海軍と空軍で

使用するようになりました。なお、航空自衛隊

の持

(4)

講演記録版昭和59年2月29日

ているF14EJは爆撃計算機をはず

して、戦闘爆撃

機としては使えな

いようにし、要撃戦闘

オソリーに使

っております。

フランスでは、

エタンダールという艦上戦闘機が

九五〇年代後半から出

てきます。艦上から

の要撃戦闘

を主とするものでしたが、だんだん戦闘爆撃機的に使

用され、最近ではそれ

を改造したシ

ュペー

・エタソ

ールが出てきて、イ

ラクに供給すると

いう

ことで、

問題

にな

っていると

ころです。

ミグi23も、本来

は要撃戦闊機ですが、電

子機器等

を変えたり、あるいは爆弾を載せる場所を付

け変えた

りして戦闘爆撃機

にし

ています。

これ

の発展型がミグ

27ですが、これは八割がた戦闘爆撃機

で、多少

は対

空戦闘もできるというも

のです。

蛇足ですが、要撃戦

闘機全盛時代

には、

一撃離脱と

いう

ことで、機関銃などはいらないだろう、という思

想がも

っばらでした。従

ってF14も、はじめは機関

砲が付

いていなかった。

F14Eにな

って機関砲が付

くよう

になる。機関砲

一ぺんなくな

ってしま

って、

また付

いたということは、ある意味で非常

に面白

い歴

の繰り返しではないかと思います。

ミグー23はKAL

(大韓航空機)の事件

で有名

にな

りましたが、元来

は要撃戦闘機

ですが、前述

のように

戦闘爆撃機としても使

われ

ています。

英国は爆撃機を分散配置

イギリスの戦闘機

バリアーは

一九六〇年代前半に開

発された。イギリスの考

え方は大変面白

い。戦闘爆撃

機を分散配置する。分散配置して、必ず

しも飛行場か

ら出

て行かないで、

いろ

いろなところから垂直

に離着

陸す

ることによ

って生存性を高めようと

いう考

えのも

に、

バリアーはつくら

れた。

これは滑走路が要らな

いから、どこでも使

て非常

に便

利ではないかという考えもありますが、問

題もあ

ります。まず機構が極

めて複雑になる。下向ぎ

にジ

ットを出してー

左右

二つず

つ計四か所ジ

ェットを

するところがあ

る.1

力を出して垂直

に上

がる。

っく

り返りそうになる

ので、翼端

にジ

ェヅトを噴出

する

ところがあ

って、姿勢を制御す

る。

こう

いうように複雑であ.るという

こと

の他

に、暇.量

の制

約が極めてシピ

アでして、ちょっと重くな

ったら

もう

上がれない。重心位置

の制限も極

めて

す。

あまり重心が前

へ行

ったり、後ろ

へ行

ったりする

と、

ひっくり返

ってしまう。利点もあれば

、不利な点

もあ

るということで、

必ずしも主流

にはな

って

いない

状況

です。

一九六〇年代

の中期

になると、空対空戦

使

え、戦闘爆撃機

にも使え

る両用の戦闘機を

つく

ったら

どう

かという考えが出

てき

ます。そこで出

てぎ

たのが

目的戦闘機です。

はじめから窒対座戦闘

にも使える

し、

空対地戦闘にも

使えるように考えよう

ではないか

という考え方です。

行機

の性能は妥協

の産物

でして、高空性能

をよく

しよ

うとすると、低空性能

が悪くなる。高速性能をよ

ようとすると、低

速での性能に問題が生じ

る。た

とえ

ばうんと速い飛行機

にしようとすると、着

陸や離

がし

にくくなるとか、航続距離を長くしよう

とする

と、

電たくなって加速性能が悪くなるとか、

いろいろ

相矛

盾した問題が出

てく

るわけです。そこで何

とか妥

協し

て、

いろいろな目的

に使えるような飛行機

にしよ

うと考えたのが、多

日的戦闘機です。

空対空と対地戦闘の両用に

期的

には、出てくる

のがちょ

っと遅くなりました

が、その典型的なも

のはイギリス、西ドイ

ツ、イタリ

アが共

同で開発し、

いま実戦配備が始ま

ったト!ネー

ドです。

これはもともとMRCA

(竃=一ユ

ヵ2。9

ヨー

げ鷺

「。ヨε

という計画

でスタートしたも

のです。当

から対空戦闘と対地戦闘

の両方をやろうという考え

の飛行機で、現在、イギリス、西ドイ

ツ、

イタリアで

使

われ

ています。トーネードの中に積

んである電子機

は、

一つが対地攻撃型

(INs)、

一つが対空

(ADV)と二種類

ですが、外形は同じ

です。

アメリカにはかなり早くからF1111と

いう多目

的戦

闘機があります。

F1

111は、

アメリカの戦闘

体系を空軍と海軍別

々にやるのはムダ

ではないか、

日的

に使えるのを

つく

って両方

一緒

に考

えたらどう

か、

いう

マクナ

マラの思想

によ

って生まれた飛行機

です

。海軍と空軍双方

の要求を全部包含す

るようにし

たも

ので、大変大きな飛行機になってしま

った。その

に、実際には空対空戦闘には使えなくな

ってしま

い、現在ではもっぱ

ら長距離爆撃機

に近

い使

い方をし

いる。

ソ連

のSU124。

これも多目約

です。ここ

で、

この三つの戦闘機

に共通していえることは、いろ

いろな目的を達成す

るた

めに、

一つの解決策

として、

可変後

退翼を採用している点

です。この翼

は、高速で

飛ぶ

とき

には、主翼を後退させ、低空で飛ぶ

とぎは横

(5)

昭和59年2月29日 講演記録版

に張り出す

という形になります。航続距離を稼ぐ

ため

には、細長く

て真直ぐ横

に張

った翼がきわめて有利

す。グ

ライダ

ーなどを見れば分

かりますように、き

いな細

い翼

が低速で巡航するにはも

っとも適

る。しかし、高速にはま

ったく向

かない。高速を出

ためには、後退角をうんと大き

くして空気の抵抗を小

さくする。

そうしないと高速

は出ない。

可変後

退翼

(<m募三〇〇励Oヨ9蔓)は、たしかに

一つ

のいい解

決法ですが、これ

にも

やはり欠点がな

いわけ

ではな

いo航続性能がよく高

速性能もいいという利点

はあるが、まず主翼を動かさなければいけないので、

主翼付け根

のメカ

ニズ

ムが非常

に複雑になるoたとえ

ば主翼下面

に爆弾を搭載す

ると、主翼が後退するとき、

その爆弾

の方向が変わってしま

います。従

って爆弾

取り付け角度を変化させなければ

いけない。そ

のため

複雑な

メカ

ニズ

ムが必要

にな

ります。可変後退翼機

も利点

、欠点、両方があると

いうことです。

制空戦闘機の登場

ともかく多

目的戦闘機が出現してからは、地上攻撃

においても空中戦闘においても、戦闘機がきわ

めて多

数使われるよう

にな

った。それを迎え撃

つ側から

みる

と、戦闘機

が爆弾を持

ってくる。それ自身が空対

空戦

闘も

できる

ので、それとぶ

つかり合

ったとぎ

には空中

になる。か

つては爆撃機対要撃戦闘機で、真直

ぐ高

く飛

んで

いる爆螺機

に要撃

戦闘機

がぶ

つか

って行

った

わけ

ですが、戦闘機同士の戦

いが多くなる

い、

一九七〇年代

の半ば

から制

空戦闘機が現われ

てき

ます。

英語の

〉署Qo二鴇「尊

罰讐

窓「の訳

です。戦闘機同

士の戦いを前提

にするので、まず第

一に運動性能が揮

めてよい。

ルヅクダウン、シ

ュートダウソのケーパピ

リティーが必要

とされる。

戦闘機は電子的

に敵味方を識別する装置を持

ってい

ます。また先

ほど要撃戦闘でお話したように、

レーダ

ーサイトから敵

か味方かの識別

の情報は送ってくるの

です

が、入り乱れて戦闘する場合

には、識別がは

っき

りしなくなる。どうしても

パイ

ロットの目視で敵か味

方かを識別し

て、それから武器を発射しないと、味方

を撃

ちやす

い。大体敵らしいと思

いながらも撃

てなく

て、近接戦

に入

って目視

にな

って、

巴戦にな

ってから

武器を発射す

る、ということに必然的

になります。大

昔の第二次大戦中

の巴戦と、

ここでまた同じような条

件になりまして、そのため運動性が非常に重視

される

よう

になります。

,運動性をよくするためには、まず

推力が

と、翼面積

が大き

いことが重要

です。翼の揚力

の発生

が大きくな

いと、小さい旋回半径

で回れず笑速

してし

まう。翼が大

いこと、それから重量が軽いこと等が

必要

です。機

の軽量化は、たとえぽチタ・一ウ

ムの使

用とか、複合材料の使用などで解決し、

エンジ

ソの推

力は、ターボ

ファン・エソジ

ンと

いう新しいタイプ

強力

エンジ

ンを付けることによ

って増加した。

飛行機

の性能を表わすパラメーターに、翼而荷重

いうのがあります。翼面荷重とは、飛行機が戦

闘す

とき

の重量を翼面積で割

ったも

のです。F11

04ク

スですと、

一平方メートル当

たり五三〇陶くら

いの

重さがかか

っています。それが制空戦闘機のF1

15に

なると、三〇

〇陶程度に下が

ってき

ています。

また推

力重量比

は、F-

104は自分

の電さの半分くらいの

推力しか出なか

ったが、F115くら

いになると、大体

同等、飛行機

の電さとほぼ同じ推

力が出せるようにな

った。

F1

15は、飛行機

の重さよりも約

一割増しくら

いの推力

を出

せるようにな

って

いる。

ルックダウ

・ケーパピリティーですが、戦闘爆撃

は低空でくるので、これを低空で待ち受けると

いう

ことももちろん必要ですけれども、オールラウンドに

は、先ほど話した

CAP

(OQヨげ跨

≧「

雷卿邑

)などで上で守

っていて、

下を飛んでくる飛行

機を上からも攻撃

できるも

のでなけれぽならない。下

を飛んでく

る飛行機を撃

つのは簡単で

はないかと思わ

れるでしょうが、実はそうではあ

りま

せん。

地面とか海面

の反射があ

って、そ

の反射の中

に飛行

機が入ってしまう

ので、自分より下

にいる飛行機を

ーダーで見

つけ、それを攻撃すると

いうこ

い。しかし、

一九七〇年代

に入りパ

ルス

・ド

ップ

ラー

・レーダーなど

の新しいレーダ

ーシ入テムがでぎて、

下方攻撃が可能

になってぎた。

制空戦闘機のいろいろ

いく

つか制空戦闘機

の例を挙げます。

アメリカ海軍

のF-14は可変後退翼

です。空対空

AIM-

54と

いう

、ミサイルを積

んで

いる。

航空自衛隊

のF115。これは普通

の翼です。空対

の戦闘がしやす

いように、全方向が見やすいキャノピ

(天蓋)を持

っていて、外がよく見える。

フランスには

ミラージ

ュ2000と

いう飛行機があ

ります。

ミラージ

岳皿の発展型です。強力な

エソジン

(6)

講演記録版昭和59年2月29日

に付け換

え、霞合材料等で軽くし、小さい翼を主翼

につけ

て運動性を増し、

レーダーを換装して、制空

戦闘機

にしたものです。

そのほかミグー29とか、

SU1

27などがこの範ちゅ

うに入る飛行機

です。ミグー29やSU127の想像

写真

はいろいろな雑誌にも出ていますが、本物の写真

はま

だありません。

アメリカ

にはF-16という戦闘機があります。

この

前のF1

15は大きい飛行機

ですが、

これでは

コストが

高くて仕方がないという

こと

で、

これを補完する意味

で、F1

15に付いているF1

10

0エンジンを

つだ

け付けた単発

のやや小型

のも

ので、

F-15の半分くら

いの大きさ

です。これは

ハイ

・ロー

:・・ックスと

いう

考えでつくられた戦闘機

です。

アメリ

カではさらにこの

ハイ

・ロー

・ミックスの思

想を推し進

めて、対空戦闘はあぎらめて、安くて、対

地攻撃だ

けに使える飛行機も

つくろうということ

にな

る。それがA110という対地攻撃専門

の戦闘機

です。

大体このように第二次大戦後、戦闘機は進んでぎた

わけです。そして、いまや次

の世代

の飛行機に移ろう

としている。さらに運動性能

を上げ、攻盤力を強化

し、

生存性を高

めようということで、

↓九九〇年代

の新

い飛行機

の芽ばえがいろいろ出

てきています。

これら

の新しい戟闘機を成立させ得るのは、新し

披術です。

一つはCCV(09誉亘

○雪自碧話ユ

<①三。一㊦

コンピ

ューターで飛行行動をする新しい航空機)、それ

から軽くす

るための趣合材料、

そしてステルスと

いう

技術であ

ります。

米ソの新機種開発の特徴

メリカの新機種開発

の特

微は、基礎研究に非常

カを投入す

る点です。軍の主

導であ

ったり、あ

いは

NASAの主導であ

ったり、

とも

かく国家機構

の支援

でいろ

いろな実験機をつくり

つつ、その披術を民間

提供し、会社問の競合的な環境

の中で、競争試作

う形で戦闘機

つく

ってきた。どうみても匪界二

の能

力を持

って

いると認めざるを得ません。

アメリヵは、ATF

(〉ユ≦【】器匹↓髪野印二

軍西7博αH)

を、

F115、

F116の後継と

して、

一九九〇年

の後半

につくろう

と考えているよう

です。

ヨーロッパ諸国

比べてやや遅れ気味なのですが、そのかわりア

メリ

はど

こにも絶

対に負けないよう

な最高級の飛行機

くろうという考えのようです。

の間には空軍

の場合

でいいます

と、F-15、F1

16

のイソブルーブ

型とし

てF-15Eとか、F-16Eが計両されている。

そのイ

ンプ

ルーブしたもので繋

いでおいて、

一九九〇年代

後半

に、ATFを出そうという考え方

のよ

す。ソ

のこと

はよく分かりませんが、

ソ連の戦

闘機

開発

の特徴は、

これもやはり嬉眠争状態にしてお

かなけ

れば

.いいも

のはでぎないと考え

ているようです。

グ設計局と

スホイ設計局という

つの設計局があ

りま

す。

、・・グは、

ミコヤソとグ

レビ

ッチの二人が創設

した

設計局です。

ミコヤンはもう亡くなり、グレビ

ッチは

まだ存命です。そ

こが設計した系列

と、スポイと

いう

ほう

の設計局、両者の競争

でいいも

のをつくろう

う形にな

っている。

スポイという方もすでに亡く

なり

の名

る。

ソ連

の特

です

スド

・テ

ロジ

変後

退翼

いえ

にな

った

退翼

使

。そ

って

・、・グ

i

23、

S

U1

20

可変

退

スす

皿定

です

と似

る。

いう

ミグ

を開

いま

に対

.干

って

いう

い事

メリ

ソ連

の関

と、

P

-

80

ミグ

15

15

ち。

15

F

1

86

F

-

86

の勝

、ミグ

19

、ミグー

21

ム戦

ソ連

ミグー

21

つく

これ

F1

4

の勝

いさ

ころ、

突.然

23、

ミグ

25

飛行

ソ連

S

U

1

15

これ

に負

F

1

14

F

-

15

弔㌔す

23

S

U

i

15

駕す

です

が、

ソ連

とし

いる

ミグ

29、

S

U

-

27

はな

って

いる

A

T

F

いう

って

る。

29

SU

1

27

は知

りま

Q

西

の情

ソ連

のあ

の研

って

いま

(7>

講演記録版昭和59年2月29日

フランスはミラー

ュ皿の派生型

スは

て、

『、ル

・ダ

ソ:

いう

です

ュ皿

の派

っと

つく

のあ

の系

エタ

ソダ

ル系

ュF

1

1

ュペ

.

エタ

ソダ

にな

と考

ュ2

0

0

0、

に戦

ラー

ュ配

いう

ュ皿

の大

のも

って

一つ

の技

こと

て、

が、

り方

A

C

X

(〉<δ5

60ヨげ自。ρ

×)

に繋

これ

一九

ので

いま

将来戦閥機JAS39

そのほか独自

の地位を占

めているのが

スウ

ェーデ

です。

スウ

ェーデ

ァは、ご承知

のよう

にNATOにも

っておらず、永世中立を掲げている国

です。JA-

35ド

ラソケソと

いう戦闘機

を独自に

一九四〇年代に開

した。超音速

のJA37ビゲンを

一九

六〇年代に開発

して、さらにJAS39グリ

ッペ

ンという

のを現在開発

中です。

これが

一番、将来戦闘機としては先行してい

ます。もうすぐ出てくるのではないか。

スラ

エルは、第

三次中東戦でミラージ

ュ皿を使

て大勝利をおさめたが、途中で国際的な圧力

のために

7ラソスがミラージ

ュ皿の輸出を禁止したため、非常

な窮

地に立

った。

これは

いかん、自分のと

ころで開発

しな

ければ

いけな

いという

ので、ミラージ

ュ皿を

母体

とし

て、F-4のJ79と

いうアメリカ製の

エンジ

ソを

付け

て、さらに性能向上

のためのいろいろな施策

を行

い、

ク7イルという戦闘機を

つくった。先

ほど、昼の

ニュースでシリアの戦闘機

がクフィルを

一機

撃墜

した

いうので、写真が出

てたのですが、どうも落

ていた

飛行機

はクフィルとは違

っていました。外形

、.・ラー

ュ皿にきわめて似た戦

闘機です。さら

に将

に向か

って、ラビという戦闘機

を自国で開発すべくイ

スラエ

ルは努力している。

いでに日本を申

しあげます。第二次大戦中

、だい

ぶ頑

張ったわけですけ

れども、

一九四五年

から

一九五

四年

までの九年間、日本は航空機の研究をはじ

め運用

をす

べて禁止されました。

この時期は

レシプ

ロ機から

ェット機に移る時代

であり、あるいは超音速

に移る

めて重要な時期

でした。

この大事な時期を

、われ

われ

は空白で過ごしたために、技術的には

ハソデ

ィキ

ップを背負

っています。私など

一生懸命ば

ん回した

いと

っています

が、残念ながら日本

の主力戦

闘機は

Fー

総Fの導入以来、

F-

104、F1

4EJ、F1

15Jを導入すると

いう格好

で進んでいます。わずかに

わが国で開発したT1

2と

いう超音速練習機

を、近距

離戦闘爆撃機という形

で使

っている。これが唯

一の自

国製

戦聞機です。あ

とは全部

アメリカ製

のも

ののライ

ソス生産をや

って

いるわけ

です。

注目される

CC

Vとステルス

C

C

V

(68

胃o一9

コ{㎡5巴

く畠7[巳①)

戦闘機

の基礎技術として、

一つの大きな目玉

になるだ

ろうと申しあげまし

たが、わが防衛庁でも

CCVの突

験機を持ち、試験を

しようとしています。小

さい翼を

つ付け加えてありますが、

この元はT-

2です。正

にいうと主翼等

はち

っと変えてあ

りますが、小さ

い翼

を付け加えて、

これを動

かすことによ

って、チ

のごとく飛ぶという

のが

CCVです。先般、第

一回

のフライトをやりましたところ、電気系統

の故障で

離陸直後、大変揺れましてあやうく落ちそう

になりま

したが、いま原西を探究中です。

これは実験機

です

ので、

CCVとして働

かな

いとぎ

びには、

CCVを切り離

して、普通のT12として使用

るために尾翼が

つい

ています。が、本当

のCCVオ

ンリーの飛行機

には、尾翼

などいらなくな

す。

7ラソスの将来戦闘機ACXもそのような形で、

ったくCCVで、前翼

とデ

ルタ翼だけ

で尾翼はあり

せん。

英国と西ドイツが共

同で開発する可能性がある将来

戦闘機ACA

(〉αq葦

9

ヨげ葺

≧Hq山ε

CCVで

す。C

CVとともに

ステルスという技術が将来

、非常に

になると思われ

る。

ステルスという

のは、本来的

な意味

“忍び込むクと

か、そういうような意味だと

いています。敵

から見

えにくくすると

。見えにくくする技術

にはいろいろあ

るわけで、

ーダ

ー反射而積を小

さくすることもそ

一つです。

飛行機を前から

レーダーで見ますと、主翼

の前縁と

か空気取り入れ

口のようにとがっていると

ころは非常

に反射しやすい。そう

いう反射しやす

いところに電波

吸収材を張りつけ

るとか、水平尾翼と垂直尾翼がお互

(8)

講演記録版昭霜59年2月29日

いに直角に付いていると、電波を反射

しやす

いので、

それを斜めにして反射させないようにす

るとか、いろ

いろな技術でこのステ

ルスというの

ってい

る。電波からも見え

にく

いし、人の目

からも見えにく

いという

ステルス技術

は、将来

の戦闘機

一つの技術

的な要素

になるものと思います。

コスト高の戦略爆撃機

これで戦闘機を終わりまして、次

に他

の軍用機

に移

ります。第

一は爆撃機

です。アメリカにおける爆撃機

は、B152以来試作機

つく

ったりやめたりしており

ました。B-

1爆撃機

も、

B-1Aと

いう

のがまず

くられたのですが、

カーター政権時代、あまりお金が

かかり過ぎ

るからやめようという

ことで

一時中上にな

った。

が、

レーガ

ソ政権

にな

って復活

して、多少性能

を落として、

B1

1Bと

いう形で

つくられるようにな

ったo

これは可変後退翼

の戦略爆撃機

で、当初

マッハ2

まで考えていたが、B11Bは

マッハ一・二五程度で

す。爆

撃機がどうしてこのように試作された

れたりするかと申しますと、ICBMと違

って、たと

えば空中待機ができると

いう

フレキシビリティーがあ

るという利点はあるも

のの、何しろ

コストが高い。I

CBM

一基あたりと、戦略爆撃機

一機が落とす核兵器

の量がだいぶ違うと

いう

ようなことから、どちらが決

定的

にいいかという

ことが、なかなか明確にならずア

メリカもソ連も試行錯誤を繰り返している。しかし、

なくともB--Bはア

メリカで運用されることにな

つつある。運用

のしか

は、最近ALCM

(空

中発射巡航

ミサイ

〉ぼ蕾旨nプ巴

○謹陣器

ζ『い苛)

いう言葉をお聞き

にな

ったことがあ

ると

旧心い

が、

このALCM

の母機としての使用を特

に考

えてい

るようです。

これに次いで有名

なのが、最近、極東

に現れました

ソ連

のパックファイアー、TU122

Mです。B1

1B

に比

べると、重量的

には半分です。そんなに長

距離ま

で飛

べる戦略爆撃機

とは思えませんが、速度

において

マッハ2まで出

るといわれている。またASM14

という空対地/艦長

距離ミサイルが付

いている。太平

における米海軍、あ

るいは日本

の海

上自衛隊

にと

ては相当脅威

になるものではな

いかと思

います。

早期警戒機と空中早期警戒管制機

は早期警戒機と空中早期警戒管制機

です。

最近、航空自衛隊

に配備された£1

2Cは早期警戒

です。地球がまるいために、低高度

の目標は相当高

く上

がらないと見

えない。そのために、先年

ミグー25

が侵

入してきたとき

に、地上レーダ

ーで見

つけきれな

くて侵入を許してしま

った。ところが、中

型または大

型の飛行機にロ!

トドームに入れたレーダ

ーを

て、

これが高度

一万

フィートあるいはそれ以上

にあが

って上から見ていると、低空に入

ってく

る飛行機がよ

く見

える。E1

2Cは要撃

システムの中

のいわば空飛

レーダーステーシ

ョンです。この飛行機

はターボブ

ップ機で、中

コソソールがあり、

主として

レーダ

!情

報は電波でDC

(防空指令所Vに送ります。DC

で、地上のレーダ

ー情報などと総合

して、要撃戦闘

指示を出すという

ことにな

っている。

E13AWACS。このあいだのKAL機

の事件

とき

には、AWACS(空中早期警戒管制機)が進出し

たという話もあ

りましたが、これはAEW機

(早期警

機)

のレーダーの機能

にDCの機能が追加されたも

と思

っていただけば

よい。自分でレーダーを持

ってい

るだけでなく、

いろいろな情報を処理する

コンピ

ュー

タi等を備えています。伝送されてくる味方

の情報、

たとえば味方の要撃戦闘機が、何機、ど

こに、ど

のく

いの待機状態で

いるかとか、味方のSAMがどう

う状態であ

るか、味方

の旅客機

がどこを飛

か、他

の飛行機はど

こを飛んでいるかなどという情報

を全部取り入れて、自分

のレーダー情報とこれらを総

合し

て、味方の要撃戦闘機を

コント

ロー

ルする。さら

には味方の地上軍も

コント

ロー

ルす

る。

これに相当する

ソ連

のも

がTU1

126モスで

す。性格的にはま

ったく同じも

のですが、性能はやや

劣る

のではないかと思われます。

ソ連はこの種

の新型

の航空機を聞発中とも

いわれています。

戦術偵察機と戦略偵察機

偵察機は、戦術偵察機と戦略偵察機

に大まかに分け

られ

ます。戦術偵察機は、戦術戦闘をするための支援

に当

たる。味方

の陸海空軍

の戦術戦闘

の支援をするの

が主です。航空自衛隊

のRF1

4Eは戦術

す。機関銃をと

ってしま

い、そ

こにガラスの窓がいっ

いあ

って、

カメラが付

いている。パノラ、ミックカメ

ラとか、斜めに写す

ヵメラとか、光学的な

か、

一種の赤外線

カメラとか、

サイド

・ルッキング

(9)

昭和59年2月29日 講演記録版

レーダーー

あまり遠くまで届きませんが、精密な

ーダ

で、

して地形を見る装置1

そう

いうも

のが付

いている。

戦略偵察機

の典型的なものとしては、SR171があ

ります。沖縄

に駐留しています。非常

に特殊な飛行機

で、高度

三万五千

メ!トルくら

いを

マヅハ3で強行偵

察する。敵

のミサイルをかわして

でも敵地を偵察

して

こようと

いうもので、速度が

マッ

ハ3で非常

に高く飛

べるという

こと以外は極秘にな

っているq

そのほか偵察機

としては、電子偵察機というのが最

近盛んです。

これはたいてい爆撃機と

か、旅

か、輪送機

とかを改造したも

のが多く、各種のレーダ

ー波を受げるためのアソテナを付けている。

一種

のパ

ラボ

・ア

ンテナを付け、受信装置を載せまして、対

象国

の電波

を各局波数帯にわた

って、どんな種類

の、

どんなパル

ス繰り返しの電波をど

こが出しているかと

いうのを偵察す

る。これが電子偵

です。もちろ

ん、

アメリ

カも使

っています。

このあ

いだのKAL機

の事件で問題

にな

ったKC-

135Rというのがそれ

です。

ソ連も

これをたくさん持

っていて、よくわが国

近海

へ飛

んできます。

に対潜哨戒機

の例としてP3Cを説明します。対

潜暇戒機

は、海中に潜

っている潜水艦、あるいはシ

ノーケルや潜望鏡を発見すること

が目的で、もし可能

ならば攻撃もしようというも

のです。見つけ方はいろ

いろあります。強力なレーダ

ーによってシュノーケル

を出している

のを見

つける方法もある。最も特徴的な

のは、

M

A

D

(慈

σqロΦ腎

〉自o暮

9

§

δ「)と

気の異常状態を検出する装置を使う方法です。

あら

じめ地球

の磁気状態を綿密

に調べておいて、船

その

下にいると、船は鉄で磁性体です

から、たとえ沈

んで

いる潜水艦

であろうとも、その上の地球磁気が乱

れる

わけ

です。非常

に敏感なMAD装置で、地磁気

の乱れ

を検出して潜水艦を捜すわけ

です。

の他音響探知器といいますか、

ソノ

・ブイと

いう

筒状

のも

のがありまして、そ

の中

マイク

ロホ

ンの精

密なものを入れ

て、たくさん海

に投げ込む方法。潜水

艦が出している音がそ

こに入

ってぎ

て、そ

の音を

電波

に換

えて対潜哨戒機

に送り、それを情報処理し

て強

とか方向を

コンピ

ュータ:で計算することによ

って、

潜水艦

の位置を出すわけ

です。

レーダー、

ソノ

・ブイ、MADなどからの惰

を総

合し、潜水艦

の音には各

々特徴があるので、そ

の特徴

と照合して、

これはどこの潜水艦

であ

別す

る。敵か味方

かを識別し、敵艦

であ

ることが分か

れば、

対潜哨戒機

は爆弾とか機雷を持

っているので、

それで

攻撃する。

ソ述も同様なも

のを持

っています。TUI1

42F

がそうです。だ

いぶ旧型ですが、

いまだに使

って

いる

ようです。

これよりイソプ

ルーブされたものがあ

ですが、それがどうも調子がよくないようで、

ソ連

さらに高性能

の対潜哨戒機を開発中だという情

報があ

ります。戦

術輸送機と戦略輸送機

に輸送機

ついて若干触れたいと思います

。輸

機には大

まかにいって二種類あります。

【つは戦術輸

送機といわれるもので、もう

一つは戦略輸送機

といわ

れるも

のです。

戦術輸送機

の例としては航

空自衛隊のC11があ

ますが、敵地近くに強行着陸

て物質や兵員をおろす

という

ことで、機構的には非常

にズ

ングリした胴体で

大きな脚

ついている。着陸

すると後ろの大きな扉が

いて、積

んでいたトラックがすぐに発車

でき

るよう

にな

って

いる。短距離

の離着

陸性能を最視して

つく

てあ

って、前線の不整地にも

、大きな車輪とSTO

L

(Q。ぎ嵩

↓舞甲Oゑ冒ユ

コ匹『σ自)性能を利用して強行

着陸し、

ハウザー砲とかジ!プなどをおろす。ある

は落下傘

で物質等を空中から投下するとか、空挺隊員

を空中から降下させる。

C1

1はわが国で開発したも

のです。こ

で、このく

らいの高速がでて、

一充○○メート

ルの距

離で離着陸

ができる輸送機

は、小さいとはいえ他

にな

いと思

っています。

戦略輸送機

は、アメリカや

ソ連

のような大国が世界

戦略

の中

で、海外に大量の兵員

とか戦車を送るた

めの

ものです。短距離の離着陸性能

よりも大量輸送を重視

した輸送機

です。アメリカにはCi5という戦略輸

機があります。その小型

のも

のがC1141です。

ソ連

には、

アントノフー22と

いうターボブ

ロップ

戦略輸送

機があります。C1

5ができる以前は

これが

世界最大

の輪送機でした。

アメリカのC15はたしかに大量輸送がでぎ

るので

すが、残念な

ことに短距離

の離着陸、あるいは不整

地の

離着陸性能があまりよくな

い。C15のあとに、

いわ

ゆる緊急展開軍をアメリカ本

土から派遣し前線

に運ぶ

(10)

講演記録版昭和59年2月29日

ために、長

距離大型機で、

つ短距離の離着陸性能

ったCX計画がいま進んで

いて、五、六年後に

は出

てくるのではないかと予想さ

れます。

空中給油機ですが、アメリ

カはKC1135を多数

っています。戦略爆撃機

が長距離を飛ぶために、

中で空中給油をするときに使

うというのが、普通

の用

法です。

↓般

に、長距離機だ

に空中給油が利用

され

ると考え

がちですが、必ず

しもそうではありません。

戦術的な

用法

にも、この空中

給油機は多用

る。む

しろ最近では、戦術的

な用法にこの空中給油

利用され

ているほうが多い。

戦闘爆撃機

は低空で侵

入しなければいけない。ジ

ット機と

いう

のは、低空で飛

のと高空で飛ぶのと

は燃料消費

がものすごく違う

。た

F14

です

と、高度

一万メートルくら

いで飛ぶと、自動車式

に換

算して○

・二五㎞/皿くら

いの航続性能を持

つが、

面スレスレで飛ぶと、○

・一一㎞/皿程度に落ち

るo

低空で侵

入するためには、多

の燃料を食う

ので、

闘爆撃機

を使用するためには、空中給油が

る。ベト

ナム戦争のときも、

あるランデブi

・ポ

トを決

めておいて、戦闘爆撃機

がそこで空中給油をし

て爆撃

に行くという形がしば

しばとられた。

ただし、空中給油機があ

れば戦闘機は幾らでも遠

に行けるかというと、決してそうではありません。た

とえ空中給油機と戦闘機

がラ

ソデブーできなくても

戦闘機

つねに基地まで引き返

してこられるだけ

の余

裕燃料を持

っている。そう

でな

いと行

ったきりにな

て、帰

ってこられなくなる可能

性があるので…。

こう

いう点を考

えると、決して無

際限に行けるわけ

ではな

いが、空中給油

の戦術的用法が目立つという

ことも事

実です。

要撃戦闘

においても、先

CAP

(9

ヨげ碧

≧「℃舞「&

で、空中待機をしていると、当

然燃料

がなくな

ってきます。それでこのCAP機

に対

してI

CAP機というのはた

いていの揚合は、数

所に上が

っているわけですが1

空中給油機で燃料を

配給

して

いけば、かなり長

いあ

いだ使用できるわけ

す。

そう

いう用法も考

えられます。

ヘリ

コプターの種類

と用法

最後

ヘリ

コプターについて中

しあげます。

ヘリ

プターにも

、いろいろな用法

があ

ります。

一番

目が輸

送、

二番目

が救難、三番目には対戦車攻撃ある

いは対

地攻撃、四番

目に対潜噴戒

・攻・撃。

この四

つくら

のカ

テゴリー

に分けられるのではな

いかと思います

。輸送

一番最初

に考えられた使われ方

ですが、ご.蕉知

のよ

うに

ヘリ

コプターは

一種の垂直離着陸機でして、滑走

路がなく

ても飛び上がれると

いう非常な利点を持

って

いる。

ソ連

は陸地が広くていろ

いろなところに物を運

ばな

ければ

いけないので、非常

ヘリコプター

が発達

して

いる。特に輸送用の

ヘリ

コプ

ターが発

る。

ソ連

はMi126という陞界最大の輪送用

ヘリ

コプ

ターを持

っています。これは二〇

トソのペイ

ロードを

積む

こと

がでぎます。

メリ

カにも、西欧諸園[にも、

いろいろな

ヘリ

コプ

ターがあ

りますが、大体、Mi1

26の八割がたの大きさ

のも

のが多

いようです。大型

ヘリ

コプタ:では、

ソ連

が世界を抜

いているという状況

です。

ヘリ

コプ

ターの最大の欠点

は速度が出ないという

とです。先

ほど戦闘機

のと

ころで、プ

ロペラ戦闘機

どうしても音速を超せないと申

しあげましたが、

ヘリ

コゾ

ターも同様

で、どうしても速度に限界

す。どんな

に頑張っても

二五〇

ット、四〇〇キ

ロく

らいが限界

です。

救難

ヘリ

コブタ:は略し

て、対戦車攻撃用

ヘリ

コプターの例として、陸上自衛隊が最近使用しはじ

たAH1

1Sを挙げます。ほか

ヘリコプターは、たと

えば救難用

のヘリコプターが輸送用のヘリコプターか

ら変換

した

のが多いのに比べまして、これはもともと

対戦車用

つく

ったもので、敵

からやられな

いように

幅を非常

に狭くしてある。パイ

ロットと射手は常

に前

方から

の面積を狭くするために縦

に並んでいて、

パイ

ロットが後

ろで、射手が前

にいる。射手は機関砲を

ント・ールし、

pケット弾で戦車

を攻撃する。ず

っと

低空を飛

んで行

って、

フッと浮き上がって戦車に狙

つけ

て、

三〇

ミリの機関砲

で撃

つとか、

ロケ

ット弾

を撃

つとか、あるいはTO

Wと

いう対戦車

ミサイ

ルを

撃ち込む。

これが対戦車

・対地攻撃用

ヘリコプ

ター、

AH-

1Sの用法です。

次に対潜用

ヘリコプター

の例を説明します。

現在、海上自衛隊は、だ

いぶ旧型のHSS-

2とい

ヘリ

コプ

ターを使

っている。近くこれを更新する

とにな

って

います。米海軍

が使

っているSH-60

Bと

いう

ヘリ

コプターの機体だけを買

ってきて、

日本

で開

発した電子装置等を載せて、次期対潜

ヘリ

コプ

ターに

する予定

にな

っています。

(11)

講演記録版昭和59年2月29日

対潜哨戒機

と対潜

ヘリ

コプターの用法

の違

いを申し

あげます。対潜哨戒機は自分

の中で情報処理をして、

攻撃をするよう

にな

っています。と

ころが、対潜

ヘリ

コブ

ターには母艦がある。母艦

に三機

ないし四機くら

いの対潜

ヘリコプターが債まれていて、母艦

の指示に

って、

ソノ

・ブイをー

これは対潜哨戒機

のと同じ

ですがー

分散して撒きまして、そ

の電波

ヘリコプ

ターが中継して母艦

に全部送

る。母艦が情報処理をし

て、

ヘリ

コプターにおまえはあ

っち

に行け、何を落と

せとかいう指示をす

るわけです。母艦を中

心として

コプ

ターは手足にな

ってやるというと

ころが、対潜

哨戒機と違うところです。

質問

西ドイツの戦闘機

はどのような状況になって

いるか。

鷹尾

西ドイツも、残念ながら日本と同じように、

二次大戦後

一〇年間、飛行機

の研究を禁止されまし

て、日本と同様に出遅れ

ています。さら

に東西に分割

されたということで、

つてのメッサーシ

ュミット

.

ハイ

ンケルという世界最高級の戦闘機を

つく

った国に

しては、だ

いぶ出遅れております。現在、大体

アメリ

カのも

のを買

っていますが、西ドイツではF1

104

をF1

104G型と

いう

ことにして、対地攻撃

の戦闘

爆撃機

に使

っている。またF14を改造

した

F-

4F

いう戦闘機を導入して、これを要撃戦闘機

として使

っています。

いま

トーネードを英、独、伊で共同開発して、F11

04Gの後継

の対地戦闘爆撃機

としての使用を始めよ

うとする

段階

す。現在は、F-104G、

F14

F、

トーネードと

いう

ような形にな

って

いますが、近

い将

来はF14F、

トーネードというよ

うな形

になる

だろうと思われます。

の先になると、

一つはトーネード

の後継として、

イギ

リスが中心にな

って音頭をと

っているACAの共

同開発計画に参加

しようか、それともM

BB社で独自

に開発をしようとか、あるいはノー

スロッブとドルニ

エの共同で新し

い戦

闘機を導入しようか、と迷

ってい

ると

ころらしい。多

分、F14Fの後継

の制空

戦闘機

とし

ては、イギリ

スと共同でアジ

ャイ

・コソパ

ット

・エアクラフトを開

発するのではないか、と想

疎して

います。

ステルスは、何パーセソトくら

いまで、レ:

ダー

の波を吸収でき

るのだろうか。ど

の程度有

効なの

か。鷹

これも、

いろいろなものとの兼

ね合

いです。

電波

吸収材という

のは非常に電い。重さ

をいとわず付

ければ、相当に吸収

ができるが、それと性能と

の組み

合わ

せが必要です。B-

-Bの場合

のステ

ルス性能は、

主翼前縁に電波吸収材

を使って、空気取

り入れ

口など

の設計をし直して反射

しにくくしたため、八〇%下が

り約

二〇%までにな

ったと聞いています

質問

戦闘爆撃機

は、朝鮮戦争をはじ

め地域紛争の

舞台

で、代理戦争な

らぬ代理テストを米

ソが、あ

るいは

フラ

ンスも入るかも

しれませんが、や

ってぎ

たのでは

いかという感じ

を受

ける。しかし、第

四次中東戦争

以降

での制空戦闘機

の分野でいいますと、米ソがはっ

りぶつかり合う舞

台がなかったよう

に思う。

そうい

うとぎに米ソはどう

いうことで性能比較と

いう

か、実

戦的な想定をして

いるのだろうか。設計図

で性能を探

り合

っているような感じなのでしょう

か。

鷹尾

その探り合

いは極秘中の極秘だ

と思

いますけ

れども、たとえば

ミグー

29とかSUI

貯は分からない

と申しましたが、衛

星から撮

った写真

から推定してい

るようです。それから代

理戦争、イ

スラ

エルとシリア

が戦

って、向

こう

はミグー23を出して、

スラ

エル

はクフィルを出す。そ

のとぎの戦訓を岡くとか、

エジ

トでミグー21をろ獲するとか。逆に

ソ連

側は、イラ

ンに供給したF1

14をどうやら持

ってい

ったらしい。

それで相手の技術を調

べたとか、

いろんな

ことでや

ているようです。

もちろん、わが方

がろ獲したミグー痴

は、アメリカ

にとっては大変有効

な情報になったのではな

いでしょ

か。わが方のみならず

……。(笑)

質問

日本として独自

の、特徴

のある軍用機を開発

したいという意図を強

く持

つべきなのか。もし、そう

としたら、どういう

ところに重点を置

いて考えるぺ

きなのか。

鷹尾

大変

いい質問をしていただ

いてあ

りがたい。

私個人としては、ぜ

ひ日本独自の飛行機

つくりたい

と思

っています。

アメリカのように、大

変な技術とお

金を投入して、実験機を

つくりやって

いる国には、な

かなか及ばな

いかもしれない。

ソ連も同様

ですが。し

かし、少なくとも

スウ

ェーデ

ソとか、

スラ

エルに遅

れをとるような

こと

はしたくない。

フランスくらいに

は何とか追い着き

い。イギリスはか

つて

スピ

ットフ

ァイアとか、ああ

いう戦闘機をつく

って、

かなりの軍

用機王国でしたけれ

ども、最近はだ

いぶ斜陽

にな

って

いるので、イギリ

スは考えないとして、少なくともフ

(12)

講演記録版昭和59年2月 四日

ラγスくら

いには追

い着きたいと思

っています。

やり方次第

では決して不可能

ではな

いと思う。われ

われもCCVの研究などをや

っているし、複合材

の研

究とか、そう

いう基礎研究もや

っているので……。そ

の上に、日本として非常に有利な条件として、一つには

電子機盟がある。電子機器に

ついては、最近、対米技

術供与と

いう

ことが話題にな

って

いるくらいで、日本

の電子機器

に対してアメリカは

一番興味を持

っている

わけです。電子機器の技術によ

って、

FCS

(火器管

制装置

9

コけ「色

も。養

Φ∋)

とか、

ヘッド

・ア

ップ

・ディ

スプ

レイとか、あるいは航

法装置とか、そう

うような装置

では、世界に負けな

いも

のができるので

はないか。

もう

一つは、日本の環境条件

です。専守防衛という

立場をと

っている自衛隊にと

って、そんなに大きい飛

行機は必要

ない。しかも日本と

いう国

は、海で周りを

守られている。ある音喋

一種

の砦でして、その海を

ってくる敵

の船とか、飛行機

から防御すればいい。

って、欧州戦線

のようにそんな

に逮距離までいかな

くてもいいわけで、日本なりの口本に合

った小型の軍

用機を、われわれの技術で、特

に進んだ電チ技術を踏

まえて、も

頑張りすれば

つくれるはずです。AT

Fには及ぱ

ないとしても、ACXとかACAに匹敵す

る飛行機ができるという自信を持

っています。

質問

の場合、やはり、戦闘機

「番

の念頭に置

かれるわけ

ですか。

鷹尾

戦闘機を考えたいと思

います。職闘機とい

ても、あ

る意

味の多目的戦闘機

になると思います。あ

くまでも個人的見解ですが、空対空戦闘もでぎるし、対

艦攻撃もできると

いう多目的戦闘機を、その場合は考

えた

い。

ヘリ

コプ

ターなどにはある程度無人のものが

ありますが、将来、無人戦闘機みた

いなものができ

可能性はあ

るだ

ろうか。

無人機

というの・で最近よく

いわれ

いる

に、RPV

(遠隔操縦機

ズ舞

。窓

℃ま乞

く。}・喜

)

いう

のがあります

。この間イスラ

エルがレバノ

ンにお

ける戦いで使用しましたけれども。RPVの使

用法と

して、対戦闘機戦

闘が考えられな

いわけ

ではあ

りませ

んが、やはり、人

間が乗

って、もう少

しデリケートな

ことをしなくては能率が悪いという

ので、あまりそ

ちのほう

へは進

んでいないように思われます。

では、どう

いうところに利用されるかという

と、

番利

用される

のはデ

コイ、オトリに使

われるのではな

いか。これはイ

スラエルが使

って大成功をおさ

めたわ

けですけれども、わざわざ小さ

い無人機

に、レーダー

の.反射面積を大ぎくするようなリフレクターを付けて

飛ば

すと、敵は慌

てて戦闘機がきたと思

ってミサイ

なんかを撃

ってしまう。その隙をめがけ

て本当

の飛行

機が突

っ込んで

いくとか。あるいはRPVに偵

察機材

を載

せてと

った情報を、テレビで後方

に送り偵察

をす

る。強行偵察

をす

るときは、やられる可能性があるの

で、特

にイ

スラ

エルのような人

口の少な

い国では人命

が大

切ですので、そういう偵察

にも使われるのではな

いかと思います。

らにいうならば

、電子的な妨害を加えるための無

人機

。撃ち落

とされるのを覚悟の上

で、妨害用

の電波

を出

しながら敵地

に突

っ込ませる飛行機。

こんなと

ろが将来

の無人機

の用法ではな

いかと思

います。

質問

先ほど

ステルスですが、八〇%反射

がダウ

ンするという

のは、二〇%

はやはり映

って見えると

ことですか。

鷹尾

そうです。

これは

レーダーと

の関孫

で、私も

レーダー関係

のことは数値的

にはよく分からな

いんで

すが、人きいものであればある

ほど遠くで見えるわけ

です。

レーダー反射面積が

一〇〇から

二〇

った

ら、相当近くにこないと見えな

い。たとえばB1ーク

ラスのものが、そのままだと、日本

の地上のレーダ

でしたら、

二五〇

ノーチカルマイ

ルくらいまでで捕

えられると思

います。それが八〇駕ダ

ウソすると、ど

のくらいになるのか。は

っき

りした数字

は分かりませ

んが、たとえば

一〇〇

ノーチカル

マイ

ルくらいまで近

づかないと映らな

いとか、と

いうことです。完全

にゼ

ロにするという

ことはほとんど難

しいので、遠く

で見

つからないようにという

ことです。

質問

ソの開発競争です

が、両者

の弟が広がり

つあるのか、それとも縮まり

つつある

のか。

鷹尾

は縮まりつつある

のではな

いか。米

ソの技

比較などが、よく

アメリカの國防報告

に出

が、四五年頃はソ連がミグー

15、アメリカはP1

80で、

ちょっと

ソ連

が先に進んだ感

じで、

アメリカが

一生懸

命追

い着いた……。そして、

アメリカが抜く。

ソ連

いぶ抜かれたけれども、

いまはそ

の差が少しず

つ狭

まりつつ進行しているような気

がする。

「時

はだ

いぶ

れていたけれど、差は縮まり

つつあるのではな

いか

という気がします。これは私

の感じですが。

(文責・縮災部

58・U・22)

(13)

昭和59年2月29日 講潰記録版

たな

”自信

”を得

か世

界経済

私、去年

一月にもこち

らで内外経済

の見

通しを話

しています。ぎ

ょうは正直

にど

こが当た

ってど

こが違

ったか、自己批判もしよう

と思

っています。

昨年

のいまごろは匿界的

な同時不況でした。

この同

時不況

から抜け出せる

のだ

ろうか、という

のが大ぎな

問題意識

であ

ったわけです

。そういうことを反映

して、

日本経済

の見通しについても、わりと弱気

のも

のが多

った。

一つの例を挙げると、昨年

一月十五口付

「週刊

東洋経済」に

ウ第

一線

エコノミスト三〇氏

の五十八年

度景気予測少が出ています

。三〇人中の二三人が、五

十八年

度の実質経済成長率

は三%以下と答

す。わず

かに七名だけが三%を超えるとい

っている。

実は私自身も

この七名の中

一人でして、三%強、三

%は超

えるという言い方

をしました。

しかし、実際はどうな

っているか。昨年

の七~九月

の実質

GNPを前提

にしますと、十~十二月、そして

〔日本熱

竹金融研児所

副所

)

この

一~三月に前期

比0

・七%ず

つ伸びれば、政府見

通し

の三

・四%成長は達成されます。おそらく

はO

七躬

などというも

のではなくて、もう少し高

いと私

みて

います。三

・四%以上、三

・五とか六とか

いうの

が、

五十八年度

の成長率

になるだろうと、私

はみてい

ます。

んと三〇人中の二三人までが三%以下

た、

という

のは驚くべぎ弱気であ

ったと、

いま

にして

思えば感ずるわけです。

なぜ多数派が弱気方向

に間違えたのか。

いろ

いろ理

はありますが、私

は、二

つ、大きな理由を指

摘した

いと思います。

まず第

一は、

アメリカにおいて、あ

のような政策主

導型

の景気

の急阿復が起き

るとは

かった。ま

た、それにつられて日本の輸出が去年あ

のよう

に伸び

て、そ

の結果日本であ

のような輪出t導型

の景

気回復

が起きるとは思わなかった。

この点は、私も間

違えま

したG

二番目はこういうこと

です。咋年すでに物価が安定

したわけ

ですが、多数派

は、市場経済に内在す

る自律

的な均衡回復力が働

いて、景

気が同復してく

るという

ことを、必ずしも評価して

いなかった。

この物価

安定

にも

とつく経済の自律的均衡

回復力については、私は

昨年

のこの席で鵡強調した

つもりです。

したが

って、私は半分

はず

れて半分当た

った。自律

回復力

で景気の回復が起きます、という

ことを申しあ

た限

りでは正しかったQし

かしながら、ア

メリカが

世界中を引

っ張るだろうと

は思わなかった。そ

の点で

は間違

えました。その限り

では、私が考えて

いたより

も力強

い回復が起こったと

ってよろしい。

米国の拡張的財政政策

さて、しからばなぜ、

アメリカのあの回復

を、日本

の多く

エコノミストが予見

できなか

った

のか。アメ

カ経済

の急回復は大変なも

のです。昨年

の第

2四半

が年率九

・七%成長、第

3四半期が年率七

・六%成

長、先般

の商務省の発炎

によると、第4四半期

もほぼ

・五%

となっています。

この勢

いです

ので、

一九八

四暦年

のアメリカの経済成長率のチ測は、大体

五%台

のと

ころに並んでいます。も

っと強気の人

が、大体

は五%台です。

こうしたアメリカの景気

の急

回復

は、あの非常に拡張的な財政政策と、それ

を7

モデ

イト

(追認)していく金融政策のポリシー

ミック

スによ

って実現した、と私

は考えています。

レーガノミックスは、

いわゆる

ウ小さな政府”を漂

しています。民間経済

の再活性化を図る、

いって

)14(

講i寅記録版昭和59年2月29日

いたも

のですから、

三年連

の累計二五%

におよぶ所

得税減

税とか、あるいは償却期間短縮など

によ

る投資

減税

といったものも、“小さな政府”へ向か

っていく過

であ

る、と考えられたわけです。しかし、結果的に

みると、税収のほうは縮

めたかもしれませんが、支出

のほうを必ずしも縮めて

いません。

“小さな政瑠”に

って民間の活性化を図

るど

ころか、政府自体

は依然

として大き

い。したが

って、減税はもっばら財政赤字

の拡大

のほう

へ向か

ってし

まった。

して八三年度の財政赤

字は二、OOO億

ルに達

した。

これは何のことはな

い民間のネ

ットセービング

(減価澱却を差し引

いた純

貯蓄)の約八割

る。民間純貯蓄の約八割

に相当する金を、政

府が国債

発行

で吸い上げておいて、そ

れを所得税減税

だ、投資減

税だ、

あるいは住宅

ロー

ソの利子の所得控

除だ、

さら

には軍事支出の拡大だ、と

って民闘にペイパ

ックし

いったわけです。

これ

は大規模なケインジ

アンのフ

ィスカルポリシーと、本質

はま

ったく同じです。

これ

を見誤

った。

“小さな政府ク

への過程だと思

っていた

ら、実

はそうでない。政府自体はちっとも小

さくなっ

ていな

い。も

っぱら財政赤字をふくらまして、民問経

を刺激したケインジア

ン的

フィスカルポ

シーであ

った、

ということです。

金融もアコモデイ

トなスタンスに

これ

に対する金融政策

はどうであったか。

の点も

は日本では、必ずしも正確に理解されていな

った

よう

に思

います。連邦準備制度当局は、八

二年

の秋か

ら咋年

の夏ごろにかけて、

かなり

マネーサプ

ライの増

加率

ふやしているのです

が、それに対す

る説

は次

のよ

うなものでした。

呵、ネーサブライの急増

は、NOW勘定-

決済

のあ

る預金にかなり高

い金利がついているも

のー

の全

国的な普及など金融革新

に伴

って、通貨

の流通速

度が

下が

ったのに対応す

るためである。

つまり、

みん

が以前

よりたくさん通貨

を持

つようにな

った。普通

預金

に定期預金並の金利

つくと

いえば、それ

ならと

いって普通預金を以前

よりたくさん持

つことに

なる。

そう

いう

ことで通貨

の流

通速度が下が

った。

れに対

処し

マネーサブライを

ふやした

のであ

って、

いうな

れば

技術的な調整だと

いう説明を最初のうち:…・、と

いいます

か、公にはそう

いう説明をポ

ルカt以

はや

って

いた。

んなも、そう思

っていたのですが、実

はそ

の後、

の公開市場委員会の議事録が三か月後に手

入る。

でみると、それだけ

ではないんですね。

コモデ

イテ

ィブな

スタソスに少し切り替えた、と

いう

ことが

はっきり出

ています。

つま

り、

一咋年

の秋

から昨年

にかけてのマネ!サプ

ライの増加の

一原因

は、やは

り政

策姿勢

の切り替

えであ

った。当初

一、00

0億ド

ルと

考えられていた八三年度

の政府予算

が、

二、

000億ドルにふくら

んでいったのを、金

融的に

まか

ってやったという

こと

です。

から

こそ、財政赤字が

ふくらんでいる

に、

金利

は下がりました。もちろん、財政赤字

が予想

大き

いという

ことが分

ったために、少

し下が

た金

利は昨年

になってから下げ止まってし

た。

しかし、それでも八

二年前半までの水準

に比べれ

短期金利

で四~五%、長期金利で三~

四%

は下が

った。

財政赤字がふく

らんでいるときに金

利が下がっ

たと

いうことは、金融

がア

コモデイトした

て、

うでなければ

こう

いう

ことは絶対

に起ぎないQ

ことからも、あのとき

の金融政策の本質

はアコモ

イティブなスタンスであ

った、といってよろしい。

このような財政政策

と金融政策の組み合わ

せがあ

から

こそ、アメリカ

の景気

は急激に回復

できた。い

にして思うと、その

ことを私に最初

に指摘

してくれ

のは、

ウィリアム

・プ

ルという有名な

アメリカの

経済

学者です。現在、大統領経済諮問委.員会

のメンバ

ーですが、彼に

一昨年

の十

二月、アメリ

カで会

い、

いろ雑談をしたとき・に、彼が両

エンジ

ン全閉

でブー

ソと飛行機が上が

って

いくという動作をしたのを、い

でも憶えています。もうあ

の時点で、大統領経済諮

問委員

会のメンバーであ

るウィリアム

・プ

ルは、財

政政策

と金融政策の両

エソジソを両方とも吹かせた、

いう意識を持

っていたわけです。

当初

は、あまりそれを気に止

なか

ったので

す』

昨年

の暮れの時点

で、アメリカの景気

が両

エソジ

ン全開

で、財政と金融

の両政策によってブ

ッと上が

っていく、などという意見はほとんど聞

かれなかった

ので、私は、ウィリアム・プールの言葉を頭

の片隅に置

いた程度でした。しか

し、

いまにして思えぽ、も

っと

のい

っていたことを重視すべきだ

ったな、と思

って

省を

しています。

功を奏した三年間の物価安定策

こう

いう

ンジ

ソ的

ルポ

ーと

モデ

マネ

(15)

講演記録版昭和59年2月29日

タリーポリシーの組み合わせと

いう、ケインズ的な政

策が景気刺激面

で成果を上げ得た

のは、それに先立

一九七九年~

八二年までの三年間

にわたり、物価安定

最優先

の政策

が行われたからであ

ります。失業率が

〇%に達す

るのも顧みず、物価安定を最優先させる政

策をと

ってき

たからです。苦しい思

いをしたけれども、

インフレ率

ニケタから

[ケタ

に入り、さらに

一ケタ

の前半に入

ってきた。人びとのイ

ソフレ心理も鎮静し

てきた。とりあえず

一九八三年中

はイソフレの再燃な

んてな

いと、

みんなが信じたから

こそ、あ

のケイ

ンズ

的政策が景気刺激の効果を持

った。もし依然としてイ

ンフレ心理

が残

っているとぎに、

ケイ

ソズ的政策をと

ったとすれば、効果のかなりの部分

はインフレ率の再

上昇のほう

へいってしま

ったであ

ろう。しかし、す

かりインフレ心理が鎮静して

いた。だからこそケイ

ズ政策が景

気刺激

の効果を晒狩ったo

経済学

の用語を使

っていえば

、短期

フィリッブ

ス曲

線が安定して

いる限り、ケイ

ンズ政策

は有効です。短期

フィリ

ップ

ス曲線が安定するため

の条件は、予想イ

フレ率が

一定

で安定していることです。予想イソフレ

率が上がれば、短期

フィリッブ

ス曲線

は上にシフトし

ますから、幾

ら景気刺激をしても、そ

の成果はみんな

インフレ率

の上昇

のほうにとられて失業率の低下には

ならない。

これが現代の経済

の教科書

の教えです。

とんどの

エコノミストが、

ケインジアソであろうと、

マネタリ

ストであろうと、アクセプトしているセナリ

ーです。

実は

レーガ

ン政権という

のは、さ

っきいいましたよ

うに

“小さな政府”を実現し、

サブ

ライサイドを刺激

して民間

に活力を与えると

いって

いた。そこがどうも

のと

いな

い。

一つ、

ン政

って

す。

マネ

イを抑

レを

る、

これ

は成

功.し

戒功

ンジ

シー

いう

こと

は、

レー

ック

はバ

やら

なく

いけ

い、

に考

、成

る。

いう

ろが

いま

同時不況から自律回復

に第二の問題

つまり日本

の多数派

エコノミスト

が市場経済

に内在

する自律回復力を評価しなか

ったか

らだ、というふう

に私は申しあげ

ましたが、そ

の点に

言及したいと思

います。

単に申しあげ

ますけれども、第

二次石油危機が発

生した七九年以降

、主要先進国は

一斉

に通価抑制を軸

とするインフ

レ克服策、いわゆる

コンサーティ

ッド

ディスインフ

レーシ

ョナリ・ポリ

シーをとったわけで

す。その結果

二年

の中ごろになると、アメリカ、日

本、西ドイ

ツ、

イギ

リスといった主要

国のイソフレ率

一ケタに入り、

五%罰後にな

ってきた。世界

インフ

レの収束に関す

る隈り、予想を上回

る成果を上げた。

しかし、半面

で世界同時不況が進行

して、多く

の先進

国の失業率が

一〇%前後に達した

のは、ご承知

のとお

りです。

これがいわゆ

る同時不況ですが、

この同時不況につ

いて、私、昨年

この席でこういう

ことを申しあげた

もりです。三年余

におよぶ先進国

コンサーティ

ッド

。ディスイ

ンフレーショナリ

・ポ

リシーの推進は、戦

後史

に例をみな

いと

いう意味で、

いわば海図なき航海

である。三年

間も主要先進国がイ

ンフレ克服策を

一斉

にとったなどと

いう

ことは、戦後史

の中

に前例があり

ません。そう

いう意味で何が起

こるかわからない海図

なき航海であ

る。だから物価安定最優先政策という

が、現在

の世界同時不況の悪循環を生んでいる、と心

配する人が出

てくる

のも無理はな

い。

たしかにイ

ソフレが収束する初期

の段階では、賃金

上昇率の下落

は、イ

ンフレの収束

に遅れていくもので

すから、企業収益

はスクイズされ

る。その結果、雇用

が縮小し、投資も落ち、

「種の悪循環が起きる。また

インフレ率が収束していく局面

では、金利はしばらく

まだ高止まりをしますから、実質金利が上がってしま

い、

これが投資活動を抑える。

こう

いう

ことで各国

経済

は停滞

していくと、貿易を通じ

て各国がお互いの

足を引

っ張

り合うo世界的な規模

の悪循環が起きる。

これがいまの世界同時不況の本質

であ

ると申しあげま

した。

しかし、イ

ンフレ収束の初期段階

では世界同時不況

が起きるけれども、インフレ収束

があ

る程度進んでい

けば、タイムラグを伴うけれども、必ず市場経済の自

律的な均衡回復力が働く。たとえば賃金上昇率という

のは、イン7レの収束には遅れ

るけれども、しかし、

これは下が

ってくる

はずだ。そうすれば、そ

の局面

ら企業収益

は回復し始めるはずだ。金利

のほうも、

ンテンポ遅れ

るけれど、名目金利

はイ

ンフレ率

の収束

を追い駆けて下

がり始

めるから、実質金利も下が

って

くるはずだ、

いう

ことを申しあげ

ました。

そして私

は、事実

こうした自律的な均衡回復力

の芽

(16)

講演記録版昭和59年2月29日

はあるのだとして、あとはタイ

ムラグに耐えていくな

らば、自律回復力

は累積不況

のカをやがて上回るよう

にな

って、

八三年中

には世界景気

の回復

が始まるだろ

う、とも

いった。そ

の意味で海図なき航海について、

私は成算を持

っている、ということを申しあげたはず

です。

あれから

一年経

った今日、程度

の差はあれ申しあげ

たような

メカ

ニズ

ムが働いたとい

っても、許していた

だけるのではないかと思

っています

四つの自律回復力

まず第

一に、物価安定によって、世界的な規模で在

庫調整が進

み、

これが完了した。物価

が安定しないあ

いだは在雄調整

は進みません。投機的な在庫保有が必

ず起きます

から。

しかし、物価が安

定したと、みんな

が見届けたために、在庫調整が非常

に進捗して、完了

しました。

この完了が昨年から今年

にかけての各国

景気

に浮揚力を与えています。

二番日に、賃金上昇率Qこれもさす

がに鈍化し始

た。

エスカレーター

・クpーズがあ

るから欧米では賃

金はなかなか下がらな

いとか、あ

るいは欧米の実質賃

金は硬直的な

のだとか、様々なことが

いわれましたけ

れど、私は、これ

は要するにタイ

ムラグ

の問題である、

と考えていた。

外国の場合、日本

のよう

にすぐには下

がらない。しかし、

アメリカでも

ヨー

ロッパでも、あ

のイギリ

スにおいてさえ、賃金上昇率

がはっきり下が

ってきました。

その結果、昨年中、日本はもちろんの

こと、アメリ

カでもイギリスでも西ド

イツでも、企業

収益がそのことによって回復してきた。過剰履用を整

理し生産性が上がり始めたところに、賃金上昇率は下

がりましたから、賃金

コストの上昇率

一斉

にこの四

か国とも下が

ってきています。

賃金

コストの上昇率が下がり、それ

が遂に物価上昇

よりも低くな

った。そうすれば、そ

の差額

は企業収

の回復に向かう

のは理の当然です。

この理屈

で咋年

、この四大隅を

はじめとして多く

の先進国

で、久方

ぶりに企業収益が増益基調に転じた。

これが

二番目の

律阿復力でした。

三番目の回復力

は、消費

マイ

ンド

の好転でした。イ

ンフレが鎮静してき

たために、先行き

の不安感がなく

なり、多くの国で消費

マイソドが好転

してき

た。個人

得の伸びはまだ低

いため、そ

の意味

ではパイは制約

されていますが、そ

のパイの中で消費

マインド

の好転

がみられた。典型的

にはイギリスにおいてです。イギ

スの場合、昨年

よりもっと前、

一咋年

のクリスマス

の頃からこの傾向

が出ていますが、程慶

の差

はあれ各

にみられた。物価

が安定した国

では消費

マインドが

転している。

四番目は金利

の低下ですD仮に

マネ

ーサプ

ライの増

加率を

一定にして

いても、インフレが収ま

と、突質で測

った

マネーサプライの伸

びはふえるから

利は下がる。またイソフレが安定し

てくれば、先行

不安から予備的

な動機

で通貨をたく

さん持

とうとい

需要が落ちる

ので、

これまた金利

の低下要因

になり

ます。事実、欧州

でも日本でも、

マネ

ーサプ

ライの増

率はこの局面で

ふやしていません。

ふやしていない

のに金利は下が

ってぎている、と

いう

こと

。少なくとも、

この四つの自律回復力

によって、程度

の差はあれ主要先進国の景気と

いうも

のには浮揚力が

ついてきた、と

いうふうに私はみています。以上がい

わばおさら

いです。

今年はさらに景気加速

さて、今年

の経済

はしからばどうなるのか。

本年

の世界経済は、政策主導のアメリカ景気のけん

引力と、いま申

しあ.げた各国の自律

的な回復力がお互

いに相乗作用を起

こすことによ

って、さらに拡張

のテ

ソポを速めていくだろう、と私は思

います。OECD

も加速すると

いう見通しを出しています。昨年末

に発

撮されたOECD加盟国全体

の実質成長率見通しによ

ると、昨年

六月

に発表したも

のを大きく上

て、平均して八三年

に二二一.%、八四年

に三・三%

の成長

になるとい

っております。OECD加盟先進国

の平均

の成長率としては、大体二

・五%を超えれば、景気が

いいといってよろし

いQ三駕前後

のと

ころへくれば、

問題はかなり薄

てまいります。

八三年に二

・三瑠というのはまだち

ょっと低

いので

すが、八四年

の三

・三%というのは平均的な成長率を

上同

っています。すう勢よりも高

い。そ

の意味でデ

フレ

ャップが縮む成長墨です。私自身

は、OECDの八

四年三

・三%

という数字は低過ぎ

ると思

っています。

もう少し実際

は上がるだろうと思

います。なぜなら、

この八四年

の三

・三の前提にな

っているアメリカの成

長率は四

・六です。現在、大方

の意見

では、

アメリカ

については五%台

とな

っていますから、OECDの四

・六%は低

い。

日本については、OECDは四%と

いっ

(17)

昭和59年2月29日 講演記録版

す。しかし、新年

の新聞、雑誌

に出たいろいろな方

の経済

予測

でもお分

かり

のように、昭和

年度

-

年度ですから-四半期ずれますがー

の成長率は

四%とすれば低いほうの少

数派

に入ります。平均的

は四%台

です。

の意味でアメリカに

ついても日本についても、O

ECDは過小評価をしている。したがって、八四年

OECD加盟先進国全体

の成長率は、OECDのみて

いる三

・三%を上回る、と私

は考えています。

いま景気を引

っ張

っている

アメリヵ経済は大変なも

のでして、勢

いがいいだけではなくて、三つの意味で

股行性が後退し裾野が広が

って

います。

一に、需要項目別に裾野が広が

っている。昨年

アメリカの景気を引

っ張

った主な需要

のコソポーネ

トは、消費

と住宅投資です。し

かしながら今年

は、

の消費と住宅投資に、企業収益

の自律的回復

に根ざす

設備投資と在庫投資の増加

がの

っかってくる、と思

ます。需要項目別のよりバ

ンスのとれた回復

にな

てくる。

二に、広範な産業

への展開。昨年よか

った産業

いえば、たとえば

ハイテクの関係とか軍需産業が中心

でしたけれども、今年

は、

これらを中心とす

る投資活

動から、構造

不況といわれて

いる鉄鋼など

業、さら

には農業に至る広範な産業を含む分野

で、投

の回復が起ぎてきそうです。

三番目

に、地域的拡大。昨年

は、

ハイテクが展

開し

ている西部あ

るいは南部

が中

心で、構造不況

のシカゴ

とか北部、東部は悪かったが、

この地域にも久方ぶり

に回復

の芽が出てきています。

アメリカの景気

はかな

りし

っかりしてきており、裾野が広が

ってぎ

ていると

いう

ふうに、私はみていますQ

て、

それではまったく問題

はないのか。

メリカ

の景

にと

っても、あるいは世界経済、ひいて

は日本

経済

にと

っても、先を展望した場合に、アキ

ス腱

いますか、

チヱック

・ポイ

ソトが三つある。

この三

つがうまく動けば、今年

の景気は、さらに明年

以降

持統的な安定成長に繋がる。しかし、この三

つのう

のど

こかがおかしな動きを始

めると、今年はとも

かく

来年

は再び妙なことになる可能性がある。

米国の高金利は続く

の三

つのチヱック

・ポイ

ントと申しますか、

アキ

ス腱

の第

一は、非常

に多く

の方が指摘され

いるよ

に、高

金利の問題です。

アメリカの財政赤字

が続く

り、金利

はこれ以上下がらないだろう。金利

はたし

八二年

の中ごろまでに此べれぽ下がったのです

が、

れでもなお現在のアメリカの短

は、

八~九

%

、長期金利は

↓○~

一一%、あるいは

=

一%

いう

ころです。

この金利水準

はヒストリカルな

スタ

ソダ

ードからみたら、明らかに高

い。高過ぎる。景

気回復

の金利水準ではない。

しかし、

この金利水準が本年巾に財政赤字

の縮小

って低下する可能性はほとんどない。

一九

四年度

アメリカの財政赤字は縮小すると思います。

最気回

に伴う税

の自然増収、失業減少

に伴う保険

の支払

減少

といった、景気循環的な要因によ

って答干

ると

います。

しかし、そのことによってクラウデ

γグ

・アウト発生の可能性が減

って、金利が下がる

は思

れな

い。

なぜ

かと申しますと、景気循環的に財政赤宇

の縮小

が生じるような景気局面にお

いては、反面で民間の資

金需要が景気循環的に増大

してくるからです。財政赤

宇が引

っ込

んだ分、民間

の資金需要が出てく

る。両方

合わせてみたときに、資金

の需給が緩むという条件

ないわけです。したがって、

クラウディング

・アウト

の可能性が減退するとは限

らな

い。

将来

のク

ラウディング

・アウト発生の予想

に関わ

ているのは、景気循環的な意味

の財政赤字の変動では

ない。そう

ではなくて、

いわゆ

る景気循環に関係のな

い構造的な財政赤字なのです。

この構造的な財政赤字

という

のは、財政支出構造

を制度的

に手直しするか、

ある

いは租税制度を制度的

に変

える、という

ような政

の変.更がない限り、縮小

しません。

しかしながら大統領選挙

の運動が展開される本年

おいて、

レーガノミックスの修

正を意味するような増

税が行われる可能性はまず

いといってよろしい。ま

“強

いアメリカウというイ

メージを売り込

んでいる

レーガ

ンが、その看板を

おろすような軍事支出

の削減

を、軍縮交渉の進援がないま

まにやるはずもない。し

たが

って、

レーガンサイドからみて、財政赤字を

カッ

トしていく条件はない。他方、民主党側にお

いては、

福祉政策

の後退

に繋がる支出削滅を認める

い。本年

は共和党側からみ

ても民主党側からみても、

大統領選挙

の運動が展開し

ているあいだに、財政赤字

の構遺的な

カットに手を

つけるということは、まず望

み薄だと思

っていいよう

に思

います。したが

って、ク

ラウデ

ング

・アウトの予想

に基づく金利の高止まり

が修正される可能性は、本年

の経済見通しに関する限

り、除

いておいてよろしいと私は思います。

(18)

講演記録版昭和59年2月29日

明年は財政赤字縮小に農手か

大統領選挙が終わ

った明年

には、構造的財政

赤字縮

の可能性が逆に高

いと思

います。なぜなら

アメリヵ

の経済学者は、ケインジ

アンであろうと

マネ

タリスト

であ

ろうと、ほとんどす

ての経済学者は、

一九八〇

年代後半

にクラウディ

ソグ

・アウトが現実

のも

のにな

る、

とい

っております。

現在

のところはそ

の予

想なの

ですけれども、これが深

刻な形で表面化し

てく

るとい

っております。したが

って、政治的に可能な条件が生

まれれば、誰が大統領

であ

ろうと、財政の構造

的赤字

ットしないと、経済

運営はうまくいかな

い。選挙

であれば、私は、政治

に可能になるだろうと思

ます。

まず

レーガンが仮

に再選

された場合を考え

てみます

と、私

のような政治

の素人

が申すまでもなく、

レーガ

ソは二期目ですから最後

の任期になります。そうなれ

ば、

レーガン自身の人気

とり

のための政策

はもう

いら

い。

レ!ガノミック

スの修正に通じるような増税を

ったからといって、

レーガ

ソ自身もう選挙

に出ない

のです

から、よろし

いと

いう

ことになります。

では共和党にとってはどうか。共和党にと

っては、

の選挙を展望した場合

に、大事なのはレーガ

ンがひ

っ下げ

ている看板ではな

て、むしろ実績であ

りまし

、出う。

つまり経済の現実

のパフォーマソスであ

りまし

ょう。経済のパフォー

マソスのために必要なら

、共和

党としても増税を実行す

る可能性は十分考えら

れると

思う

のです。新しい共和党

の大統領候補は新し

い看板

を考

えればよろしい。事実、

レーガンの大統領

経済諮

問委

員会委員長フェルド

ュタイ

ン教授は、非

に早

くか

ら増

税の必要を説

いています。ですから大

領選

に勝

ち残れば、レーガ

ンと

いえども増税をす

る可能

はあ

る。

てや民主党

の大統領候補が実現した場合

には、

構造

的財政赤字のカットは、政治的により容易

であ一り

まし

ょう。

レーガノミック

スを批判して増税

を行

い、

軍審支出

カットをしていけば

よいわけです。

こう

いうわけです

ので、私

は、高金利は八四年

中に

直ら

いとみています。

しかし、その高金利が世

界景

の回復

を挫折させるかと

いいますと、私は、

そうは

みてお

りません。そう

いう意見

の方もいます

が、

私は

そう

はみていないo

高金利の中での景気回復

アメリカ自体にと

ってはどうかといいます

と、

この高

金利のもとで住宅投資

と消費の回復が起

てい

る。彼

らは支払い金利を所得

から控除でき

す。

の意味

のタックス

・リリーフがあります

すで

にいま

の金利水準のもとで起き

ている住宅投資

や耐久

財消

が、

これから縮小す

ると考える理由はな

い。

に企業についてはどう

か。

アメリカにお

いても企

業収

は増益基調に転じ

ています。その意味

で企業

予想

収益率はいま非常に高くな

っている。それ

に加え

て、投資

の水準がここまで落ち込んだところで、

企業

収益

が回復

していますから」企業

の自己資金

と投資水

準を

比較す

ると、非常に自

己資金が登雷であ

ります。

自己資金依存度が高

い。別

のいい方をすれば、

企業

キ4,ッシ

」・フローが好転し

ている、という

す。

この二点から考

えて、

いまの金利水準

のもとにお

いても、

アメリカの企業投資

が回復す

ると

いうことは

十分

に考

えられるし、事

実、そういうふうに動き始め

ている。

です

から、アメリカにと

って、いまの高

金利

が仮に

下がらなくても、そ

のこと

で米悶経済の成長が止まる

は、私

には考えられな

いo

しからば欧州諸国

にと

ってはどうか。

これまでアメ

リカ

の高金利に対し

て欧州諸国ぱず

いぶん文句を

いっ

てぎ

ました。なぜなら崇気刺激のために、自分

の国の

金利

を下げようとすると、

アメリカの高金利との金利

差が拡大

して対ド

ル相

場が下落する。対ド

ル相場が下

落す

ると、諭入インフレが始まる。輸

入イ

ソフレが始

まると、それがイン7レ心理

に火をつけて、

こんどは

ホー

ムメイドのイソ7レが始まる。だから、

アメリカ

が金利を下げてくれな

いと、われわれは景気刺激

のた

めの金利引きFげができ

いのだ、といって文句を

ていましたが、注意深く囮

いておられた方はお気づ

きだと思

いますが、昨

年中、

この声

はどんどんどんど

んしぼ

んだ

んですね。

なぜしぼんでいったか。

らからみると、

アメリカの紫気があれだけの勢い

で回復

し始

め、そし

て単独機関車で世界を引

っ張り始

めた以上、欧州諸題も

この機関車に引

っ張

ってもらわ

なけ

れば

いけな

い、と

いう

ことになる。列車

に飛び乗

って機

関車

に引

っ張

っても

らわなければ

いけな

い、と

いう

ふう

に考え始めた。そ

のためには、対ド

ル相場が

実はち

ょっと下がった

ほうが都合がいい。対ド

ル相場

が下が

って愉出がふえ

て、それで自分の国

の景気がよ

くな

った

ほうが都合が

いい。

ですからだんだん文句を

いわなくな

った。

(19)

講演記録版昭和59年2月29日

おそらく今年

はチャソスをみて欧州諸国は金利を下

げると思います。金利を下げ

て自分

の国

の景気を刺激

すると同時に、若干の対ドル相場

の下落をむしろ利用

して、対米輸出を

ふやしたいと思

っている。

そんなことをしたら、インフレが起きるではないか

と思うのですが、彼らのいい分を聞

いてみますと、ド

ル建ての輸

入は石湘が中心なんですね。ド

ル建ての輸

入物資は、石油をはじめとする輸入原材料です。この

輸入.原材料は、世界的な国際原料品市況の落ち着きを

反映して殖下がりをするか、少なくとも上がらない。

したが

って、対ド

ル相場が崩れても、ド

ル建ての輸入

物資の価格が安定

しているので、その

ことによる輸

コストブ

ヅシ

ュは比較的小さ

いと踏

んでいます。

また、彼ら

にと

ってド

ル建ての輸入は、

いまいいま

した

↓部

のも

のでして、あとの国際

取引

はむしろ欧州

内部の通貨同士ですから、これはたとえ対ドルが弱く

なっても、

EM

S

(欧州通貨制度)全体

の通貨が対ド

ルで弱くな

って

いるのでしたら、

ヨー

ロッパの

一つの

の総合的な実効為替相場の下落は、そんなに大ぎく

はないのですね。そ

の隈りでも、輸

コストブ

ッシ

はそんなに大きくな

い。こう

いう思惑があ

るのです。

したが

って、八四年中にアメリカの高金利が修正さ

れなくても、

ヨー

ロッパ諸国はそんな

に困らない、と

私はみています。

最後

に後進国

にとってはどうか。後

って

は、高金利が続くと、債務累増

の問題が残り、それが

国際金融不安

の種

になる。遺憾ながらこの状況は、今

年も頁らな

いと思います。しかし、債務累増に悩んで

いる中南米や東南

アジア諸国の中

には、

いま対米輸出

が非常な勢

いで伸びて、貿易収支が好転して外貨事清

が回復している国が少なくありま

せん。高金利

にもか

かわらず、世界景

気が回復する限り

にお

いて、後進国

の債務累積問題

にも多少は救いはあ

のです。

アメリカの高

金利問題の世界経済

に対す

は、八四年中

いう短期の問題ではな

いと

す。八四年中と

いう

ふうにみれば、

いま申しあげまし

ように匿界景

の同復にとって、そ

んなに邪魔

にな

らな

いと思

います。そうではなく

て、も

っと長

い目で

たとぎに問題

です。

この高金利

は、

やはり、基本的

には後進国の債

務累積問題を解決しな

い。ある

いは先

へ進国

の財政赤字

を雪ダ

ルマ式に大きく

してしまう。

いう点が長期的

には問題です。

本年の景気と

いう観点からみて、第

一のアキ

レス腱

であるアメリカの高金利の持続は、そ

んなに問題では

い、という

のが私

の意見ですが、そ

れではあと何も

題がないかと

いわれれば、そうではな

い。

アキレス腱

つあると申しあげ

ましたが、

二番目

三番目のほう

が深刻ですし、特

に日本

にと

って問題

と思います。

懸念は米国

のインフレ再燃

二番目のアキ

レス腱は何かという

と、

メーーカにお

いてインフレが今年

の後半に再燃す

る可能性があると

いうことです。

これはまず

い。

これ

があ

りますと、来

年以降の安定成長

の条件が崩れる。

アメリカにおける

現在

の物価安定

と景気急同復の両立

は、賃金、物価、

生産性、利潤

の非常

に微妙なパ

ラγスの上

に立

ってい

ます。たとえば

最新

の数字で、咋年

の七~九月期

のア

メリカの産業

(農業を除く全産業)

の統計

と、前年同期比

で賃金上昇率は五

・四%

にとどまって

いる。半而、労働生産性の上昇率は、ここで生産性が急

上昇しているも

のですから、こういう

ことも手伝

って

・二%。かつて労働生産性の上昇がゼ

ロだ、

マイナ

スだといっていた

アメリカでは考えられな

いような数

です。そうします

と、差し引きをした賃金

コストは

一・二%しか上昇

していない。

現在、製品単位あ

たりの賃金粗利潤

つまりGNP

フレーターの上昇率

は、アメリカの場合、四%であ

ります。製品単位当

たりの賃金粗利潤が四%上がって

いるときに、賃金

コストは

一・二%し

か上がっていな

いのですから、かな

りの部分が利潤

の回復に向かって

いるqこういうバ

ランスの上に立

って、

いま物価安定

と景気の急回復が起

こっているわけ

です。

このパラソスは今年

いっばいも

つのだ

ろうか。も

とすれば、その条件

は何だろうか。私

は、もつとすれ

ば、その条件は、賃

金上昇率が引き続ぎ落ち着いてい

ることだと思う

のです。賃金上昇率が

五%~五

・五%

といったようなと

ころに落ち着

いて

いる。あるいはも

う少し上がってき

ても、六%以下にとどま

っていると

いう

ことが必要

です。

景気回復初期の生産急上昇に伴う生産性

の向上が鈍

化しても、八四年

の成長率が五%台

という

ことであれ

ば、労働生産性だ

って二%やそ

こらは上がります。五

%台の賃金上昇率

のもとで、賃金

コストの上昇は三%

にとどまるでし

ょう。いまの四%

のイ

ンフレ率

のも

とでも、賃金

コストの上昇率が三%強

にとどまれば、

より多くが利潤

のほう

へ向かいますから、企業収益の

回復は続く。したが

って、物価の安定と企業収益

の回

による景気回復

が成立するわけ

です。

(20)

講演記録版昭和59年2月29日

しかし、

一体

こう

いうバランスが保

てるのか。まず

一に、そして

一番

心配なことは、

アメリカの失業率

低下のテンポが速

過ぎ

るということ

です。

一〇%台に

った失業率が急

速に落ちてぎて、

八三年十二月には

早くも八

・二%まで下が

った。アメリカの場合、イソ

フレなぎ成長と両立する失業率、すなわち最近の経済

の言葉

でいえば、自然失業率は何

バーセソー・くらい

のか。慎重な見方

をする人と、わりと

ケイ

ンジアン

的な拡張工義者とでは意見が違います

が、中心的な意

では大体、自然失業率は六~七%

とみら

す。逆

にいいますと、失業率が八%を切

って七%台に入

ってきたときは、完全

に赤信号なのです。七%に達し

たらイ

ンフレが始

まるぞ、というふう

に多く

の人が考

え始めます。中

には

「六%まで大丈夫

だ」と

いう人が

いるかもしれませんが、

「いや七駕

だ」という人がか

なりいます。事実、七〇年代後半の統計分析をすると、

七%という可能性

は十分ある。

そうすると、七%台に入ってくると、これはまたイン

フレ再燃だ、とみ

んなが思う。思うだけ

でも予想イン

フレ率が上がってき

ますから、ここで崩

てくる可能

性がある。それは賃金上昇率に敏感

に反映されます。

ただ

一つだけ楽観的な

ことを申しますと、景気回復

のこの局面では、普

通は

一度労働市場

からリタイアし

た女子労働力、若年

労働力がまた労働

市場に戻

ってく

る。つまり、労働

の供給がふえてくる。そ

のために労

の需要がふえても、失業率

の低下

のテンポは

一度や

わらぐということが、過去においては観測

されていま

す。もし、そう

いう

ことが八四年中に起

ば、急速に落ちてき

たこの失業率が、な

かなか八%を

切らないでいてくれるかもしれな

い。

そう

であれば、

この労働需給逼迫

の局面から、物価と賃金と生産性と

利潤

のパラソスが崩れる、ということ

は今年いっばい

はな

いかもしれな

い。このへんが

一つの見どころなの

です。

もう

】つち

ょっと

アメリカ経済

ついて気になるの

は、あとで述べます

が、ドル安が起き

たときに貿易依

の低いアメリカといえども、イ

ンフレ心理

に火が

つかないか、という

ことです。ド

ル安

がかなり急激に

起き

た場合には、物価

の先高感が出て、

予想イ

ンフレ

の上昇、ひいては賃金の上昇率の上昇

という

ことに

ならないか、と

いう

心配があります。

ドル安になれば引き練め

かし、

いずれ

の原因によるにしろ、

つまり、労働

需給

の逼迫による

にしろ、急激なドル安

によるにせよ、

賃金、物価の上昇率

が高まる気配が出れば、ボ

ルカー

邦準備制度理事会

議長は、たとえ大統領選挙運動の

最中であろうとも

、遅滞なく引ぎ締

に転ず

る、と

いう

ふうに私は思

っています。引き締

めといっても、

激な引き締めとは限りません。レス

・アコモデイテ

ィブ

・スタンスに、

っきりと切り替

える。そ

して金

の上昇を許容す

る。場合によって促進す

るだろう、

と私

はみています。

それはボ

ルカー議長

の人と

なり、

および政策観を私自身、個人的に知

っているからです

し、

連邦準備制度内部

のエコノミストたちと、

いつも

議論

しているから、そう感じるのであります。彼らは

おそ

らく遅滞なく

レス

・アコモデイティブ

・スタンス

に切

り替えると思

います。

さて、そのとき

にうまくいくかどう

か。

これは結局

レス・アコモデイティブ・スタン

スに切り替えるのが

予防的に行えるかどうかなのです。

つまりイ

ンフレ心

理がパァーッと広がり始

めて、追

い込

まれてやむを得

ず、政策選択

は引き締

めしかな

いと

いう状態で引き締

めに転じた場合、

これはダメだと思

います。このとき

は短期金利はもちろん上がりますが、長期金利も上が

ります。

つまり、

「ああ、とうとう

いやが

っていた連

銀までも引き締

めに転じざるを得なくな

ったな。大統

選挙中だからなるべく

やらないです

まそうと思

って

いた、連銀までも追

い込まれて引ぎ締

めを始

めたな」と

びとが受け取るような

タイミングでやれば、ダ

メで

。長短金利の全面高、そして

「それほど悪いのか」

いうことですから、インフレ心理も簡単

には引

っ込

まない、という状況になりまし

ょう。そうしますと、

ンフレの再燃

から、来年

のアメリカ経済

は、景気にも赤信号が

ついてくると思

います。

しかし、そうではなくて非常に早

い段階

で、今年

前半どこかで、危険を感じて遅滞なく金融政集を修正

る。そのことによ

って人びとが、

「これならインフ

レは芽のうちに摘

みとれるな」と感ずるよ

ば、

これは非常

にいいのですね。

この場合

には短期金

は上が

っても、長期金利は必ずしも上がりません。

短期金利は引き締

めだから上がりますが、長期金利は

将来

のインフレの予想

に依存す

ると

ころが大ぎ

いので

上がらない、と思

います。そして、来年以降

の成長持

に期待が繋げ

るという話にな

ろうかと思

います。ど

っちになるか。

これも

アメリカ経済

の今年

の見どころ

になろうかと思います。

さて、そういうとき

に第三番目

のアキ

レス腱、円

(21)

講演記録版昭和5眸2月 四日

ドル相場がどうなるか。

まず

アメリカがいまいったようにインフレの危険を

感じて、金融政策をレス

。ア

コモデイティブに転じ

ときにどうなるか。もし追

い込まれてイγフレ再燃

至という雰囲気

で引き締

めに転じたのであれば

これ

は円安要因

にはなりません。

メリカの金利が上

ても、円

は安くならないoなぜならイソフレの再燃を

反映して

アメリカの金利が上

っているわ

ら、向

こう

の購買力平価が落

てきます。価格競争力

が落ちてき

ます。したがって、

必ずしもこれは円安要

因にはならない。

そう

ではなくて、わりと早目に金融政策がレス・ア

モデイティブに転じて短期金利

が上がる。この場合

どうか。さ

っきいいましたよう

に、畏期金利は必ず

も上がらな

い。為替相場には、

どちらかといえば

長期

金利のほう

が強く響いてく

る。短期金利の運用

で動

ている金

は、

カパーをとる金

が多い。アンカパ

ーで相

場を動かしながら動いている金は、多くの場合

は長期

投資

に向か

っていきますから、

アメリカの長期金利

上がらな

い限りにおいては、

これも円相場

への影響

小さいだ

ろう。ただアメリカはうまいことイ

ンフレ再

燃の危険を芽のうちに摘みと

った、アメリカ経済強

という感じ

になれば、長い目

でみたら、これはド

ルを

強くし円を安くする要因にな

るだろう。

経常収支不均衡と為替相場

しかし、本年

の円

。ド

ル相場

のカギを握

って

いる

は、実

こう

いう微妙なア

メリカの金利の動き

はな

い、と私

は思っています。

日米経常収支不均衡

の拡

が為替相場に響くのかどうか。

こっちがより本

質的な

問題

だ、と私はみています。

経常収支

の黒字という

のは、日本の居住者の立場

らみれば、

カパーをとって

ヘッジすること

い、

いわめるアンカパーのド

ル建

て資産の増加

か、

ンカパー

のド

ル建て負債

の減少

になる。同じことを

メリカ側からみれば、彼らの赤字拡大は、カバ

!を

ることのできない円建て資産

の減少か、円建て負債

増加

です。

カパーをと

っていないと

いうことは、為替

変動

スクにさらされているという

ことです。

日本

立場

からみ

てド

ル建て資産

ふえるということ

は、

ルの先安感が生まれたとぎ、あ

ぶなくてし

よう

い。向

こう

からみれば、円建

て負債

がふえるという

こと

は、円

の先高感が生まれたとき、あぶなくて仕

方がな

い、

という話

になります。

昨年中は、みなさんの相場感、あるいは相場

に幕

つく

日本人のド

ル建

て資産保有意欲が結構強か

った。

いろ

いろな理由がありまし

ょう。

アメリカの金

利が高

かったという

こともあるでし

ょう。あるいはア

メリ

の金

融市場が

オープ

ンで非常

に発達している。

だから

ドル建ての資産で運用すると便利

だという

こと

があり

まし

ょう。あ

るいは国際政治が不安定な今日、

レフ

ジー

・カ

レソシーとしてド

ル建

て資産は安全だ

いう

配慮

もあ

ったでしょう。様

々な理由

によって、

日本人

がド

ル建

て資産

の保有をふやそうという気持

ちが強

った。ある

いは逆にアメリカ人が、円建ての資

産を減

らそうと

いう気持ちが強か

った。

のデ

ィザイアードなキ

ャピ

タル・フロi、相

場感

の他

に基づ

いて、自分

の意図からドル建ての負債

を持

ちた

いと

か、あるいは円建

ての負債を持ちたいとか

うデ

ィザイ

アードな資本の移動額が、現在、日本

から

アメリ

カに流出しているわけ

です。

このデ

ィザイアードな流出超

の額が、経常収支

のU

本の黒字

を上回

っている限り、

円は弱くな

ってド

ルが

強くな

る。昨年中は、この両者

が相拮抗していた。あ

るいはも

っと正確にいえば、昨年

の前半はデ

ィザ

イア

ードな

アウトフロー

・オブ

・キ

ャピタルのほうが、経

常収支

の黒字を上回るくらいだ

ったから、ドルは強目

に動

いたと思うのです。昨年

の後半にな

って、それが

少し修

正気味

になってきた。

今年

は日米経常収支の不均衡

一段と拡大す

る。デ

ィザイ

アードなキャピタルのアウトフローは、そ

れを

追い駆け

て同じように拡大す

るでしょうか。中

には拡

大すると

いう人もいる。

「ド

ル建

て資産多々益

々弁ず」

なんていう人もいます。

マーケ

ットに近い人

ほどそう

いう。

「ド

ルほど確かなものはないん

から、多

々益

々弁ず

だ」というのですが、私

は、そうではな

いと思

う。

この勢

いで日米経常収支

の不均衡が拡大し

ていけ

ば、ど

こかでディザイアードな

アウトフロー

・ナブ

キャピ

タルを上回ると思います。そのとき柑場感

の訂

正が起

きます。そしてド

ル安

・円高になると、私

はみ

ている

のです。これがいつ起きるかということが第

のポイ

ントです。

二に、

これは急激な訂

正相場であろうか、ある

はグラジ

ュアルな訂正相場

であ

ろうか。この二点が非

に大事

なポイ

ントだと思

います。

とにかく円高

・ドル安

は、日本経済にとっては今年

はどうしても必要なこと

であります。さっき私はわざ

と日本

のことをいわなかったのですが、

アメリカの高

金利は

ヨー

ロッパにと

っては困

らないということを、

(22)

講演記録版昭和59年2月29日

先ほど申

しあげました。

おそらく

ヨーロッパは、対

ル相場

の下落を許容して、輸出を

ふやすという選択

するだろう。

ヨーμヅパはそれ

ができる。しかし、日

本はそれができません。す

でに日本の輸出は十分

に伸

びている。す

でに日本の経常収支黒字はものすご

い額

にな

っている。この日本が

ヨi

ロッパの真似を

して、

口本

の金利を下げて円安

にし

て、も

っとふやし

ましょ

うなどと

いう

ことは国際的

に通用しない。

です

から、日本にとっては依然として深刻な内外

レンマが続

いています。口本

はむしろ、そういう意味

は今年

は孤立しました。去年

は日本と

ヨー

ロヅパが声

をそろえて、

アメリカに向

って金利を下げ

ろ、

っていれば

よか

った。しかし、

ここへきて

ヨー

ロヅパ

は、そ

の声

をト:ソダウ

ソさせている。日本だけが孤

立しました。日本は完全な内外

レソマケースです。

必要な円高

・ドル安

その日本

にと

って、今年

の日本経済が安定した拡

軌道にのるためには、どうし

ても円高

・ド

ル安が起き

てくれな

いと困る。私は、

それが起ぎると思

っていま

す。なる

べく早く起ぎてほし

いと思

います。

ただ、急

激にくる

と困るのです。

一挙

に二〇円、三〇円

の幅

相場に走

られますと、やはり

かく乱ですね。

一種

のサ

プライシ

ョック、逆オイ

ルシ

ョヅクですから、短期的

は日本経済

にとってもかく乱

です。

ヨーロッパも、

ルが

ヨー

ロヅパ通貨

に対し

てもあまり急激

に下がると

悲鳴をあ.げます。できることならば、グラジ

ュア

ルな

ドル安

がベ

ストのシナーーオだ

と思

っています。

ただ急激なドル安がぎた場合

でも、短期的

にはかく

乱ですが、しかし長い目

でみると、少なくとも

日本経

にと

っては、やはりベターな

シナ”オなのです

ね。

ペタ!

・ザ

・ナッシソグです。円高

・ドル安

がな

より

は、

はるかにましな

シナリオになります。

そう

う円高

・ド

ル安の状況

のも

とでなら、日本経済

の本年

度の展望

はかなり明るい。

そし

て、私

の立場上、金利政策

のことを云々したく

ありませんが、もし円高

・ド

ル安が相当に

き、そ

の結

果、日本

の落ち着

いているイ

ンフレ率

がも

っと落ち着

き、消費者物価上昇率

はゼ

pだ、卸売物価

上昇

マイナ入だ、という状況

にな

ってくれば、場

合によ

っては日本銀行

は政策的

に金利を下げる

かも

れな

い。少

なくとも市場調節

を通じて下げると

いう形

で、円高

・ド

ル安からくる量気

に対するブレー

キは、

金融政策

のほうでキャァセル

・アウトしていき

ます。

たが

って、円高

・ド

ル安

は景気に対しても

マイ

スにならな

い。世界経済と

の協

調がうまくいく

。輸

原材料

が値下がりして、そ

の面から企業収益も

よくな

る。

そして、物価が急激

に下がる

ことによる実

質金利

高は、金融政策で調整をし

いく。こういうこと

にな

れば

、今年

の日木経済

の成長率

は、多数派の意

どお

り四%台を軽く達成する。

しかもなおかつイン

フレは

鎮瞳し

ている、というシナリオは十分に描ける

のであ

ります。

に、円高

・ドル安が起

こらない。経常収支

の黒字

がど

んどん拡大していく。

貿易摩擦が激化する

いう

こと

にな

って、大統領選挙

中であり叢すから、

共和党

も民

主党も

一緒

にな

って日本を非難するという

ことに

ったとぎが、

一番悪

いシナリナだと思

って

います。

しかし私

は、そ

のシナリオ

の可能性は少な

いと

みてい

ます◎

つまり円高

・ド

ル安

が起きる可能性

のほうがは

るかに高

い、とみているのであります。

(文

・織

59

・1

・6

)

(23)

◆ 諸 料 金 に つ い て(1984年2月 現在)

1.

2.

3.

貸 室 料

クラブは ,つ ぎの料金でクラブ施設内の各室を会員にお貸しします。

料金はいずれ も2時 間単位です。カッコ内の料金は2時 間を超えた場合の30分 ごとの追加料金です。

① 大 会 議 室

② 小 会 議 室

③ 応 接 会 議 室

④ 宴 会 場

⑤ 記 者 会 見 室

10,000円(2,000円)

8,000円(1,500円)

ユ0,000円(2,000円)

20,000円(3,000円)

15,000円(2,500円)

※ 各施設 ともクラブの利用としてふさわ しい ものにか ぎってお貸 ししています。

※ 利用 申し込み者な らびに請求書送付先は原則 として クラブ会員にか ぎります。

クラブ利用費

① 食事を ともなう会合利用(パ ーテ ィーを含む)に ついて次の料金を頂戴します。060人 以 上 の 会 合 の 場 合

030~59人 〃

030人 未 満 〃

※ 計 算 の 墓 礎 とな る 人 数 は オ ー ダ ー さ れ た 料 理 の 数 と な ります 。

② の み もの,ケ ー キ だ け の 会 合 は 対 象 とな り ませ ん 。

堵 施 設 ・機 器 ・サ ー ビ ス 提 供 料 金

① マ イ ク ロ ホ ン

②16㎜ 映 写 機(ス ク リー ン)

③ ス ラ イ ド映 写 機(コ ダ ッ ク)

④ オ ー バ ー ・ヘ ッ ド ・プ ロ ジ ェ ク タ ー

.④ ビデ オ ・プ ロ ジ ヱ ク シ ョ ン ・シ ス テ ム

ビデ オ ・プ ロ ジ ェ ク シ ョ ン(ソ ニ ー)1日

ビデ オ ・デ ッキ(ソ ニ ー 、 べ 一 タ方 式 施 テ ー プ)1日

⑦ ピ ア ノ1日

調 律 代*

⑨ 同 時 通 沢 殺 傭1式(調 整 ず み)

ブー.ス(マ イ ク と も),接 続 盤,操 作 盤 ほ か

⑨ 同 時 通 訳 レシ ー バ ー(電 池 と も,調 整 ず み)*

1個1日1回

同2日 以 上 連 続 使 用

⑩ 組 立 ステ ー ジ1日

⑪ 屏 風Cト 双)1日

⑫ 場 内 看 板*

⑬ 飾 花*

1人 当 た り

ユ本1日(1回)

1日(1回)

1日(1何)

1日(1回)

レ コー ド ・プ レー ヤ ー,録 音 機(録 音 ・再 生 ,オ ー プ ン ま た は カ セ.ソ ト)1日(11司)

(1回)

(1回)

(1同)

1日(1同)

1日

(1回)1台

(1回)

以上 は,整 備ずみの機器を,会 員が自分で操作す ることを原則と します。

操作を自分で行わない場合 は,つ ぎのような費用が必要とな ります。

⑭ 録音代(カ セ ッ トテー ブ録音のみ受託)1口(1回)

テー プ代(実 費)は 別。 テープは持ち込みが原則o

⑱ 電気技術者*1人1回4時 間 まで

同8時 間 まで

放送 ミキシング,録 音,同 時通訳施設運用を カバー。

蛉 ホステス出張代*1回2時 間 単位

(注>1.*印 はすべて実費,そ のまま委託業者に支払われます。

2.

それ らの損害賠償をお願いすることもござい ますのでご注意 くだ さい。

100円

70円

50円

2,000円

3,000円

2,000円

2,000円

2,500円

5,000円

3,000円

2,500円

実 費

6,000円

750円

600円

1,000円

3,000円

実 費

卓 上3,000円 か ら

2,500円

12,000円

18,000円

実 費

故意 ・過失にかかわ らず、上記の機械器具及び クラブ保有の什器類に損傷を与えた場合は ,