「ケアマネが行うアセスメントって何?2012/10/10 · 1 南那須地区介護支援専門員連絡協議会研修会 「ケアマネが行うアセスメントって何?
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支援環境開発論5
脱施設化と地域生活支援~直接サービスが伴うケアマネジメント
の必要性~
精神保健福祉学分野 大島 巌
きょうの到達目標
今の日本で、地域精神保健福祉のニーズが特に高い
人たちがどのような人たちか、そしてその人たちにどの
ような援助サービスが特に必要なのかを説明できる
脱施設化の定義と歴史を理解し、説明することができる
欧米の脱施設化の発展と、ケアマネジメントの誕生・発
展の関連を理解する
日本に集中型・包括型ケアマネジメントを導入するため
の課題を整理することができる
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地域精神保健福祉の発展の歴史
地域精神保健黎明期(1965-1987)1965 精神衛生法改正、1980 国際障害者年、
1980前後 小規模作業所作り運動
地域精神保健Ⅰ期(1987-1995)1987 精神保健法⇒メニュー作り・施設作りの時代
地域精神保健Ⅱ期(1995-2002)1995 精神保健福祉法、1998 精神障害者ケアガイドライン
1999 市町村による居宅生活支援事業
⇒市町村による個別対人ケアサービスの時代
地域精神保健Ⅲ期?(2002- )2002 新障害者プランで脱施設化方針、ACT-Jプロジェクト、
2004 改革ビジョン⇒脱施設化の時代??
◇ 地域精神保健福祉のニーズが特に高い人たち
身近な「個別対人ケアサービス」のニーズを持つ、
重い精神障害を持つ人たち:
1. 長期在院する精神障害者
2. 社会生活に特別の困難をもつ在宅の精神障害者
(特に自宅などでひきこもりを続ける精神障害者)
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重い精神障害を持つ人たちに特に必要な援助
住まい
身近な「個別対人ケアサービス」
※生活基盤を支える援助サービス
→地域では家族がこの両方を提供して来た。
家族ケアが継続できないときに精神病院への長期入院へという歴史があった!
【参考】地域生活支援に必要な機能:「地域ケア要素」
生活の場就労・活動の場支え手
日常生活援助(パーソナルケア)随時のサポート(相互サポート、他)専門的援助(医療的援助、心理援助、相談援助・
助言・調整、他)ケアマネジメント(総合調整)
自主的・集団的活動の場所得保障
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身近な「個別対人ケアサービス」と「住まい」を確保する二つの方法
1. 「住まい」と身近な「ケアサービス」を組み合わせて提供
-グループホームや入所型の社会復帰施設など
-「家族によるケア」
2. 「住まい」は別に用意し、訪問で「ケアサービス」を提供→より自立的な生活の実現
-ホームヘルプ、集中型・包括型ケアマネジメントなど
-援助付き住居プログラム(Supported Housing Prg)
身近な「ケアサービス」の種類
1. 従来行われてきた「ケアサービス」
①保健所で保健師などが行う「訪問指導」
②医療機関の看護師などが行う「訪問看護」
※特徴: 保健・医療の 1)専門性の高いスタッフが、
2)必要性に応じて随時訪問する。
生活支援目的の訪問は限定され、訪問頻度も少ない。
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身近な「ケアサービス」の種類2
2. 市町村(含、地域生活支援センター)が行うことが想定される「ケアサービス」
①ホームヘルプサービス
②グループホーム、ショートステイなどの
「住まい」を伴うケアサービス
③ケアガイドラインに基づく通常型ケアマネジメント
④集中型・包括型ケアマネジメント【今後の課題】
※特徴: (1) より頻繁、高密度、日常的、身近に関わる(2) 福祉的ケアを含む生活援助を行政の責任で実施
身近な「個別対人ケアサービス」に注目したサービス実施体制の見取り図
市町村の地域精神保健福祉サービス
■身近な個別対人ケアサービス(「介護等サービス」)
①①ホームヘルプサービスホームヘルプサービス
→→市町村が直接実施市町村が直接実施
②②ケアガイドラインに基づく通常型ケアマネジメントケアガイドラインに基づく通常型ケアマネジメント
→→市町村が直接実施市町村が直接実施
③③集中型・包括型ケアマネジメント(集中型・包括型ケアマネジメント(ACTACTなど)など)
保健所・精神保健福祉センター
精神科医療機関:精神科医療機関:
③③の受託実施の受託実施
生活支援センター・社会復帰施設、訪問介護
事業所など:
①+②+③の受託実施
行政的・技術的支援
専門技術的支援・連携
専門技術的支援・連携
委託実施
委託実施
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精神保健医療福祉の改革ビジョン(2004年9月)より
脱施設化の定義
精神障害を持つ人たちのケアを精神病院の長期
入院に代わって、より小規模で孤立化しない地域
の援助サービスに置き換えること。
(Bachrack, 1986; 1996; Lambら, 2001)。
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脱施設化の三つのプロセス(要素)
1. 精神病院で暮らす精神障害者を地域の代替サービスに移行すること
2. 新しく入院となる可能性のある人を地域の代替サービスに迂回させること
→回転ドア現象の回避、再発・再入院の防止3. 地域で暮らす精神障害者のための特別なサー
ビスを発展させること→生活の質の向上、よりよい地域生活の実現
米国の脱施設化・ケースマネジメント発展の歴史(1)
1950年代 州立精神病院の脱施設化運動が始まる
1963年 ケネディ教書(精神病及び精神薄弱に関する大統領教書)
1960年代 地域精神保健センターやハーフウェイハウスなどの地域精神
保健プログラムが急速に成長する。脱施設化が進行する。
1970年代 ホームレス問題などで、重い精神障害者に対する継続ケア・
包括的サービス提供の必要性が高まる
70年代後半、地域サポートシステム実験プロジェクト(国立精神保健研究所)
で、サービス統合のあり方を実践し検証する。
⇒ケアマネジメントの有用性が実証される。
1980年前後 「ケアマネジメント」の概念化、基本原理・基本機能など
が整理される
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米国の脱施設化・ケースマネジメント発展の歴史(2)1980年代
○1984年迄に36州が精神保健サービスにケアマネジメントを位置づけ
○集中型・包括型ケアマネジメントモデルの必要性・有効性が明らかになる。
1990年代
○州立精神病院の病棟閉鎖が進む。
○重症精神障害者に対する集中型・包括的ケアマネジメントシステムの整備が州レベルで行われる。
1998年 米国家族会連合会(NAMI)がACTマニュアルを出版し、普及活動を
強化する。
1999年 連邦厚生省の「事実に基づく実践(EBP)」国家プロジェクトの中心に
ACTが位置づけられる。
全国で実施するACTの標準モデルの検討が進む。
直接的ケアサービスの提供
※集中型・包括型ケアマネジメントの必要性
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ケアマネジメントの機能
Ⅰ. 基本機能 (Agranoff, 1977)1. ニーズのアセスメント2. 包括的なサービス計画の作成3. 提供されるサービスの手配4. 提供されたサービスのモニタリングと評価5. 結果の評価とフォローアップ
Ⅱ. 付加的機能 (Ross,1980)1. アウトリーチ(訪問サービス)2. 直接サービスの提供(直接ケースワーク等)3. 弁護的機能(新規社会資源の開発を含む)4. 危機介入、24時間対応サービス5. その他
表 ケアマネジメントモデルの特徴
仲介型モデル臨床型モデル
(CCM)集中型モデル
(ICM)包括型モデル
(ACT)
スタッフ:利用者比 1:50+ 1:20-30程度 1:10-15 1:10
利用者との接触頻度 ± + ++ ++
直接サービスの提供 ± + ++ ++
アウトリーチ(訪問) ± ± ++ ++
24時間/365日対応サービス なし なし 原則あり 原則あり
ケアマネジャーの担当制 担当制 担当制 担当制 チームで関わる
治療の統合 ± + ++? ++
注1:Muesser KT,1998より一部改編。± 低, +中程度, ++ 高
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ケースマネジメント・ACTの効果
・精神保健サービスの継続
・入院期間の減少
・住居定着期間の増加
・患者満足度、家族満足度の向上
・生活の質(QOL)の上昇
・精神症状の減少
・薬物治療態度の向上
・社会適応度や職業機能の向上
⇒ケアマネジャーが直接援助サービスを提供する
ケアマネジメントでなければ十分な効果がない
(仲介型ケアマネジメントでは効果がない)
フィラデルフィア市の体系的な公的ケアマネジメントシステム
● 十分なカバリッジ:
人口160万人都市で、重症精神障害者5500人に直接
サービスが伴う集中型・包括型ケアマネジメントを提供
● ニーズに応じた多様なプログラムの提供:
ニーズに応じて多様なケースマネジメントプログラムを用
意(ACT、ICM、資源コーディネーション, 混合型CM等)
●州立精神病院閉鎖と並行してシステム構築:
病院閉鎖を契機に、包括的な地域生活支援プログラムを
発展させる
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フィラデルフィア市の社会資源の現在利用者数
包括型地域生活支援プログラム(ACT): 495人集中型ケアマネジメント(ICM):
2782人資源コーディネーション(RC):
2232人
住居プログラム: 約2000
人(2000.4 現在)
CTT(地域治療チーム)
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イギリス南ロンドン地区におけるケアマネジメントシステム
地域精神保健チーム<ABT; Assessment & Brief Treatment Teamおよび Continuing Care Team>
人口25万人の区に4チーム
包括型アウトリーチチーム(AOT)、1チーム
危機解決とHome Treatment Team
早期介入チーム
英米の地域精神保健福祉におけるケアマネジメントシステムの特徴
精神障害をもつ人たちの状況に応じてさまざま
な種類のケアマネジメントが用意されている
提供されているケアマネジメントは、直接サービ
スが伴うケアマネジメントである
行政の責任においてシステム構築が行われて
いる
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日本に集中型・包括型ケアマネジメントを導入するための検討課題
仲介型ではなく、直接対人援助サービスが伴う集中型・包括型ケアマネジメンの実施は可能か
実施体制は他の障害者や高齢者と同一で良いか
実施財源は何か
集中型・包括型ケアマネジメントの実施可能性
実施体制と実施財源に関わる
これまで精神障害者の対人ケアサービスに関わっ
てきた機関(社会復帰施設、精神科病院・診療所
など)がケアマネジメントに関与する必要性
医療保険の財源の活用、自立支援法の財源の柔軟
な活用
「脱施設化」に伴う財源の移転が必要!
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重度の障害者に対するサービス確保(厚労省:自立支援法説明資料)
参考文献
大島巌編著ACT・ケアマネジメント・ホームヘルプサービス精神看護出版、2004年刊