導入事例

Windows Server 2003、SQL Server 2000をプラットフォームとした、64ビットサーバー環境において、SAP R/3、SAP BWをバージョンアップ。2005年1月のカットオーバー以降、SAP R/3のパフォーマンス、夜間バッチ処理時間、SAP BWの処理時間などを大幅に改善。

ブリヂストンスポーツ株式会社は、2000年1月にWindows OS、

SQL ServerをベースとしてSAP R/3、SAP BWを導入。その後、

トランザクションの増加によりパフォーマンスが低下していたため、

2005年1月、OS、データベース、ハードウェアそしてSAP R/3、

SAP BWを全面的にアップグレード。64ビットサーバー環境において

SAP R/3 Enterpriseを運用する、国内初の先駆的な導入事例として

注目されている。

■ソリューション概要

●ユーザー ：ブリヂストンスポーツ株式会社本社所在地 ：〒140-0013 東京都品川区南大井6-22-7設立 ：1972年10月代表取締役社長 ：河野　久資本金 ：30億円売上高 ：407億円（2004年12月期）従業員数 ：460名（2004年2月末現在）事業概要 ：ゴルフ用品、テニス用品、バドミントン用品、その他

スポーツ用品の製造・仕入れ・販売。ゴルフ・テニスの　　イベント、スクールの企画・運営。各種スポーツ施設の設計・施工・運営

●システム概要SAP R/3、SAP BW、OS、データベース、ハードウェアなど、基幹システムの全面的なアップグレード

●使用ソフトウェア・Microsoft Windows Server 2003, Datacenter Edition・Microsoft Windows Server 2003, Enterprise Edition・Microsoft SQL Server 2000 Enterprise Edition・SAP R/3 Enterprise・SAP BW 3.1C

●システム導入のメリット・SAP R/3 3.1HからSAP R/3 Enterpriseへのアップグレードにより、1,200明細の処理時間が、27分から11分30秒に激減。・夜間バッチ処理時間を、従来の約9時間から約4時間に大幅短縮。・SAP BW 1.2Bから3.1Cへのアップグレードにより、従来3,400秒かかっていた処理を565秒に大幅短縮。

ブリヂストンスポーツ株式会社は、ゴルフボール、ゴルフクラ

ブ、ゴルフウェアなどのゴルフ用品の製造・仕入れ・販売、テニ

スラケット、テニスボール、バドミントンラケットなどのテニス用

品・バドミントン用品の製造・仕入れ・販売を行っている。また、

クラブ選択・診断を行うゴルファードックやブリヂストンゴルフア

カデミー、テニススクールなどのイベントやスクールの企画・運

営、およびスポーツ施設の設計・施工・運営などの事業を展開し

ている。

同社では、2000年からWindows OS、SQL Serverをプラッ

トフォームとして、SAP R/3、SAP BWを導入していたが、ト

ランザクションの増加によるパフォーマンスの低下を改善するため

に、64ビットサーバーの導入をはじめとして、OS、データベー

ス、SAP R/3、SAP BWの全面的なアップグレードを計画。

ブリヂストンスポーツ株式会社ITネットワーク企画部IT企画推進グループマネージャー井上敏彦氏

MSCS

●ストレージユニット・NEC iStorage 4300・10TB・キャッシュ：48GB

●SAP R/3 APサーバー2・NEC Express 5800/1160Xd・64ビット・CPU：Itanium2 1.5GHz 4Way・メモリ：16GB

●SAP R/3 APサーバー1・NEC Express 5800/1160Xd・64ビット・CPU：Itanium2 1.5GHz 4Way・メモリ：16GB

●SAP BWサーバー・NEC Express 5800/1080Xd・64ビット・CPU：Itanium2 1.5GHz 4Way・メモリ：16GB

●SAP R/3 DBサーバー2・NEC Express 5800/1320Xd・64ビット・CPU：Itanium2 1.5GHz 8Way・メモリ：12GB

●SAP R/3 DBサーバー1・NEC Express 5800/1320Xd・64ビット・CPU：Itanium2 1.5GHz 8Way・メモリ：12GB

●SAP R/3関連サーバー構成

64ビットWindowsサーバー環境で、国内で初めてSAP R/3 Enterpriseを運用

ブリヂストンスポーツでは、製品の出荷量、基幹情報システム

のトランザクションが増加する傾向にあり、サーバーマシンのパ

フォーマンス低下が問題になっていた。また、ソフトウェアも、

ハードウェアに合わせて、Windows OS、SQL Server、SAP

R/3、SAP BWを全面的にアップグレードする必要が高まって

いた。

同社ITネットワーク企画部IT企画推進グループマネージャー井

上敏彦氏は、プラットフォーム、SAP R/3、SAP BWの全面的

なアップグレードに至る経緯について以下のように語っている。

「2004年1月当時、SAP R/3 3.1H、SAP BW 1.2Bを運用

していました。SAP R/3のモジュールは、FI/CO（財務／管理

会計）、MM（購買・在庫管理）、SD（販売管理）が稼働してい

ました。

夜間バッチ処理が、翌朝のシステム立ち上げぎりぎりまでか

かったり、SAP BWのレスポンスが2～3時間もかかったりし

て、正直のところ、システムがようやく機能しているという状

態でした。

システムの全面的なアップグレードの目的は、今後の業務拡大

のためにSAP R/3を十分な余力を保ちつつ運用していくこと、

2005年8月の新流通センターの運営のためのパフォーマンスを

確保したいということでした」

2004年1月から検討を行い、2005年1月に運用を開始した。

業務拡大、新流通センター開設に対応した、基幹情報システムの全面的なアップグレードを計画

●SAP R/3 バックアップサーバー・Windows Server 2003, Enterprise Edition・SQL Server 2000 Enterprise Edition

●SAP R/3 APサーバー2・Windows Server 2003, Enterprise Edition・SQL Server 2000 Enterprise Edition

●SAP R/3 APサーバー1・Windows Server 2003, Enterprise Edition・SQL Server 2000 Enterprise Edition

●SAP BWサーバー・Windows Server 2003, Enterprise Edition・SQL Server 2000 Enterprise Edition

●SAP R/3 DBサーバー2・Windows Server 2003, Datacenter Edition・SQL Server 2000 Enterprise Edition

●SAP R/3 DBサーバー1・Windows Server 2003, Datacenter Edition・SQL Server 2000 Enterprise Edition

MSCS

●テープライブラリ ●ストレージユニット

ブリヂストンソフトウェア株式会社システム技術運用部システム技術課長

高田幸二氏

●システム構成図

ブリヂストンスポーツでは、2004年4月からシステムの全面

アップグレードのための計画をスタート。現行のシステムの改善

ポイントのピックアップ、検証作業などを経て、同年8月からテス

トフェーズに入り、2005年1月のカットオーバーまでにリハー

サルを繰り返した。

ブリヂストンソフトウェア株式会社システム技術運用部システ

ム技術課長高田幸二氏は、ブリヂストンスポーツのシステムアップ

グレードの経緯について、以下のように述べている。

「SQL Serverを採用したデータベースとしては、1.3TBとい

うデータ容量は、世界でも最大級です。安定した運用と将来に対

応できるパフォーマンスを確保するために、新システムは余裕を

持ったものにしたいと考えていました。

そのため、今回は64ビットのサーバーマシンNEC 5800

Expressシリーズを採用し、データベースサーバーはMSクラス

ター構成とし、Windows Server 2003, Datacenter

Edition、SQL Server 2000 Enterprise Editionを搭載しま

した。2台のアプリケーションサーバー、SAP BWサーバーにも

64ビットサーバー、Windows Server 2003, Enterprise

Editionを採用しています」

SAP R/3のアップグレードについては、2段階の処理が必要

だった。まず、SAP R/3 3.1Hから4.6Cへ、さらにEnterprise

へとアップグレードを行った。この間、6回にわたる慎重な検証

を繰り返した。ブリヂストンスポーツでは、2005年1月に国内

1.3TBを超すデータ容量に対応するため、余裕のあるアップグレードを目指す

販売会社を5社から東西の2社に統合したため、システムのアッ

プグレードにも大きな影響があった。2005年の正月休みを利用

し、販売会社の統合処理に2日、アップグレードのために5日、

計7日間システムを停止した。業務開始の週の土曜日を全社出勤

日とするなど、社員の協力も不可欠だった。

「ブリヂストンスポーツのSAP R/3、SAP BWには、数多く

のアドオンソフトウェアが使用されています。レポート機能など

の細かいものを含めると、トータルで2,000本以上のアドオンソ

フトを、アップグレードの際に、新しいバージョンに合わせて改

修する必要がありました。

SAP R/3のアップグレードでは、アドオンソフトの簡易アセス

メントを行うためのインテリグループジャパン株式会社の

UptimizerSMが用意されています。このツールを2回使用して、

改修作業を進めたところ、80％程度はカバーすることができま

した。手直しの必要なアドオンもありましたが、ツールを利用す

ることができたため、作業効率は高かったと思います」（高田氏）

●ブリヂストンスポーツ株式会社〒140-0013 東京都品川区南大井6-22-7大森ベルポートE館http://www.bs-sports.co.jp/

●ブリヂストンソフトウェア株式会社〒187-0031 東京都小平市小川東町3-1-1http://www.bsw.co.jp/

©2005 Microsoft Corporation. All rights reserved.※Microsoft、Microsoftロゴ、Windows、Windowsロゴ、Windows NT、Windows

Server、Windows Server Systemは、米国Microsoft Corporationの米国および

その他の国における登録商標または商標です。

※Uptimizerは、インテリグループの登録商標です。

※その他、記載されている会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。

Microsoftは、ここに記載した情報に対していかなる債務を負うものではありません。

このカタログは情報提供のみを目的にしています。

Microsoftは、明示的または暗示的を問わず、このカタログの内容に関していかなる保

証も与えるものではありません。

コスト面、マイクロソフトのサポートを期待して、Windows OS、SQL Serverを採用

ブリヂストンスポーツでは、システムアップグレードに際

して、Windows OSとSQL Serverを継続して選択した理由

を以下のように挙げている。

・ハードウェアまで考慮すると、UNIXよりWindows OSの

方が、低コストである。

・Windows Server 2003, Datacenter Editionでは、

8CPUを超える場合、99.99％以上のアップタイムギャ

ランティが得られ、周辺機器とのコンフリクトもほとんど

ない。

・SQL Server 7.0では、障害発生時に原因究明が困難な

ケースがあったが、SQL Server 2000ではログ機能、ト

レース機能が強化されており、恒久的な対策が立てやすい。

・Windows OSを採用する場合、DBMSは同じマイクロソ

フトのSQL Serverの方が相性がよく、また、マイクロソ

フトからの全面的なサポートが期待できる。

・1.3TBもの大容量のデータマイグレーションを行うには、

SQL Server同士の方が効率がよい。

「今回のSAP R/3のアップグレードは、NECをパートナー

として推進しました。新しい64ビットサーバー上では初めて

の経験であり、インストール手順からして異なっています。

プロジェクトが進むにつれて、課題もたくさん出ましたが、

NECをはじめ、バックで支えてくれたマイクロソフトのおか

げで、無事にアップグレードを完遂することができました。

その後も、問題なく快適に稼働しています」（高田氏）

SAP R/3、SAP BWのパフォーマンスは飛躍的に向上、夜間バッチ処理時間も1/2以下に削減

同社のSAP R/3のユーザー数は、コンカレントで約400

である。同社では、今回のシステムの全面的なアップグレード

の導入効果について次のようなポイントを挙げている。

・SAP R/3のパフォーマンス向上の一例：1,200明細の処

理時間が、従来の27分から11分30秒に激減。

・夜間バッチ処理：従来の約9時間から約4時間へと激減。

・SAP BWのパフォーマンス向上の一例：従来の処理時間

3,400秒から565秒へと激減。

・パフォーマンス向上により、データベースのテーブルの

チェック、再構成などに時間をかけることができるように

なった。

「当社の顧客企業、取引先企業から求められるサービスレベ

ルは、さらに高くなってきています。新システムは、今後5年

間程度は運用・保守面でも高い品質をキープしていくことが

できるでしょう。

今後は、SAP BWを分析的な業務に活かしていくこと、

mySAP CRMなどのアプリケーションの導入なども検討し

ていきたいと考えています」（井上氏）