マキシムバイオ社 マルチプレックス PCR M-PCR)...

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マキシムバイオ社 マルチプレックス PCRM-PCR)技術情報 目 次 イントロダクション 日常的なスクリーニング法として使用するマルチプレックス PCR 利点と特徴 特徴付けと定量 MPCR に関わるキーとなるファクター Dualreal PCR マルチプレックス PCR (M-PCR) キット トラブルシューティングガイド マルチプレックス PCR (M-PCR) キット Q & A イントロダクション PCR テクノロジーの進歩は遺伝子分析や重要な医学的手段をプロファイルさせる手助けとなっています。核酸をベースとした 分析テクニックというのは高感度で信頼でき、なおかつ定量結果も簡単に得られるべきものです。ゲノム配列データの前進は 次第にラージスケールの遺伝学的分析を招き、臨床の場に置いても有効になることでしょう。そして実際、DNA マイクロアレイ を含む膨大な遺伝子配列の分析に適用する手段となっています。しかし、運用費や感度、データ分析の効果等の限界がありま す。重要なことは、殆どの生物学的過程において決定的な役割を担う遺伝子は 50 個以下ということです。一度に 2030 の遺伝子サンプルを数百から数千解析し始める際は、DNA チップテクノロジーが最適なアプローチであるとは言えません。従 来の PCR で、同時に遺伝子 1 個ずつの発現を分析することがよいとも言えません。マルチプレックス PCR (MPCR) は同時 に数十個の遺伝子を分析できるため、ターゲット遺伝子の特徴付けや遺伝子発現のプロファイリングに有用です。 MBI 社の膨大な数の目的遺伝子を検出するための方法開発のストラテジーは、PCR の増幅能力と 1 本のチューブで行える 膨大な数の目的遺伝子検出の能力を併せもつ MPCR に基づいています。プライマー1 ペアの代わりに、MPCR は複数ペア のプライマーで様々な DNA サイズを一度に増幅します。つまり、1 つの PCR チューブで 510 個あるいはそれ以上のサイ

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マキシムバイオ社

マルチプレックス PCR(M-PCR)技術情報

目 次

■イントロダクション

■日常的なスクリーニング法として使用するマルチプレックス PCR

■利点と特徴

■特徴付けと定量

■MPCR に関わるキーとなるファクター

■Dual、real PCR

■マルチプレックス PCR (M-PCR) キット トラブルシューティングガイド

■マルチプレックス PCR (M-PCR) キット Q & A集

イントロダクション

PCRテクノロジーの進歩は遺伝子分析や重要な医学的手段をプロファイルさせる手助けとなっています。核酸をベースとした

分析テクニックというのは高感度で信頼でき、なおかつ定量結果も簡単に得られるべきものです。ゲノム配列データの前進は

次第にラージスケールの遺伝学的分析を招き、臨床の場に置いても有効になることでしょう。そして実際、DNA マイクロアレイ

を含む膨大な遺伝子配列の分析に適用する手段となっています。しかし、運用費や感度、データ分析の効果等の限界がありま

す。重要なことは、殆どの生物学的過程において決定的な役割を担う遺伝子は 50個以下ということです。一度に 20~30個

の遺伝子サンプルを数百から数千解析し始める際は、DNA チップテクノロジーが最適なアプローチであるとは言えません。従

来の PCR で、同時に遺伝子 1個ずつの発現を分析することがよいとも言えません。マルチプレックス PCR (MPCR) は同時

に数十個の遺伝子を分析できるため、ターゲット遺伝子の特徴付けや遺伝子発現のプロファイリングに有用です。

MBI社の膨大な数の目的遺伝子を検出するための方法開発のストラテジーは、PCR の増幅能力と 1本のチューブで行える

膨大な数の目的遺伝子検出の能力を併せもつ MPCR に基づいています。プライマー1ペアの代わりに、MPCR は複数ペア

のプライマーで様々な DNA サイズを一度に増幅します。つまり、1つの PCR チューブで5~10個あるいはそれ以上のサイ

ズが異なる 短い DNA を増幅します。私たちの特許技術 (US patent 5, 582, 989) は 1個のスタンダード DNA に多数

のペアプライマーがアニールし、一度に多様な配列を増幅させるというものです (図 1)。各ペアの一方のプライマーは配列の

センス鎖と相補し、もう一方のプライマーは同じ配列のアンチセンス鎖と相補しています。交互にアニールし、プライマーを伸長

させることで増幅は行われます。従来の MPCR には非特異的増幅産物を引き起こす可能性があるミスプライミングやプライ

マー二量体のような諸処の問題や、プライマーセットの違いで増幅効率の違いを引き起こす可能性、GC含量の違いや熱力学

的構造の違いそしてハイブリダイゼーションカイネティクスなどの考えさせられる問題がありました。MBI社の特許技術では

MPCR アッセイにおけるこれらの多様な要因で起こる誤ったシグナルを全て排除することが可能です。

日常的なスクリーニング法として使用するマルチプレックス PCR

遺伝子がいつ・どこで・どの程度まで発現されているかといった分析・比較は一般的に発現プロファイリングとして知られていま

す。発現プロファイリングはよく分かっているコントロールや個々の遺伝子産物の作用形態を提供します。低感度で高コストの

ため、DNAチップは日常的なアッセイとしてよりも検出方法としてもちいるべきツールです。おおくの場合、一部分の遺伝子が

たいていの生物学的過程に関わっています。そういった遺伝子の解析には、内在的コントロールとしてハウスキーピング遺伝

子を用い、一度に 2個以上の遺伝子を定量化することが望ましいでしょう。一度にできる増幅や定量化は経済的で、より高い

処理能力を生み出します。MBI社の MPCRキットはマルチ遺伝子発現の日常的なスクリーニングを目的としており、迅速で信

頼性があり且つ経済的です。内在的コントロールを使用することで、一つのトータル RNA 中の、あるいは一つのサンプル中の

様々な mRNA の定量を行うことができます。この方法はサンプル内の異なる mRNA 種の競合分析にも適応できます。ハ

ウスキーピング遺伝子を用いることで個々の mRNA種のレベルをサンプル間で比較します。この技術の解釈は分裂停止期

の時でさえ、増幅反応が相対遺伝子率を支持するということです。加えて、ハウスキーピング遺伝子を取り入れることが遺伝子

間で起こるエラーを排除します。

Real-Time PCR は転写の定量を行う方法のスタンダードとなっていますが、一つの反応、言い換えれば複数の遺伝子の分

析にはコストが大きく不向きです。Real-Time PCR は MPCR を行った後、確認として遺伝子の定量に使用する方がよいで

しょう。

利点と特徴

MPCR技術はさらなる実験効率を提供します。MPCR は従来の PCR のような目的の遺伝子の数に応じて試薬や機材を分

けて行う方法に比べて、一つの反応で多様な遺伝子を増幅することが可能なので必要な機材の節約にもなります (Fig.2)。

MPCR と通常の PCR との比較した図が Table1 になります。MBI社の MPCR キットは操作手順、生物学的汚染、ゴミを

減らすためにあらかじめ混ぜてある試薬が提供されています。複数の遺伝子の品質結果が得られており、数時間内のうちで一

度に定量化し、次の実験に進行することが可能です。

MPCR は実験室の時間と労力の節約のための強力なスクリーニング方法です。図 3 では MPCR が中程度もしくは高感度

を必要とする膨大な mRNA種の相対的濃度を決定するのにいかに向いているかを表しています。MBI社のMPCR キットは

逆転写反応によって生じた未精製の cDNA をそのままお使いいただけます。

図 3

■MPCR の利点

・ 使用が簡単

・ 生物学的汚染の排除

・ 高感度

・ 高特異性

・ 手軽

・ 時間・労力・試薬の節約

・ 1回の反応で全てを検出

・ 簡単な定量化

・ オリジナルの遺伝子サンプルの節約

・ 簡単なデータ解析

・ Short Hand on Time

MBI社の MPCR キットは生物学的過程の制御に関わっている遺伝子だけでなく研究者が興味をもつ遺伝子の特徴付けの

手助けをします。例えば、細胞制御経路、細胞制御に関わる成長因子の形質転換、細胞増殖や細胞死 (アポトーシス)等で

す。図 4参照。MBI社は細胞制御回路を分析するのに必要な鍵となる遺伝子全てを組み合わせた 3つの MPCRキットを提

供しています。MBI社は細胞制御回路で主要な役割を果たす遺伝子の広い総覧を研究者に提供しております。

MBI社はパスウェイ遺伝子発現のプロファイリングから病原体識別の診断までのアプリケーションをカバーする多様な

MPCR を提供しています (図5)。MPCRキットには異なる生物学的パスウェイの分析用に、様々な既知遺伝子の組み合わせ

たセットを用意しています。また、カスタマイズされた遺伝子増幅のための研究者独自の遺伝子を付け加えた特別な MPCRキ

ットも提供しています。

特徴付けと定量

PCRは選択的に DNAの不連続部分を増幅します。PCR の主なアプリケーションの一つは高感度で特異的な増幅による

mRNA種の検出と定量です。MPCRキットはPCR増幅技術と一つのチューブで多様な目的遺伝子の検出を可能にした技術と

を組み合わせています。MBI社の特許技術は各プライマー間で同じような増幅キネティックスをもたらし、PCR産物の非特異

的増幅を排除しています。MPCR は生物学的パスウェイの特徴や薬剤耐性アイソフォームの解析、SNP解析そして遺伝子発

現プロファイリングの定量といったゲノミクスの多様なアプリケーションに使用可能なハイスループット方法です。

■特徴付け

1. HPV ウィルスタイプ

MPCRは多くの臨床学的・疫学的な環境における病原体の特徴付けのための有効方法です。MPCRは各ウィルス及び

ウィルスが関係した兆候を調べるために使用できます。そして様々な病気におけるウィルス感染との関係を調べることが

できます。さらに、MPCR は疫学的研究におけるウィルス株のタイプやサブタイプの決定においてコスト効率が良い方法

となります。ヒトパピローマウィルス (HPV) は、世界で2番目に一般的な癌である子宮頸癌と関係があることが分かって

います。40 タイプ以上もの HPVが性感染します。これらの HPV は臨床学的関係や in vitro 形質転換能力を基に高

リスクタイプ (HPV16、18) 、中程度リスクタイプ (HPV31、33) そして低リスクタイプ (HPV6、11) にグループ分け

されています。

MBI社はリスクが異なる全ての HPV を組み合わせた MPCR キットを開発しました (Fig6)。MBI社の HPV MPCR

キットは Dr. Chudzio等により女性用異型細胞診の迅速な診断方法として承認されています。医師等は MBI社の

HPV MPCR キットが数時間のうちに HPV 感染やウィルスのサブタイプの確認を容易に行えるということに気づくでしょ

う。

2. 変異検出 : 挿入、欠損そして部位特異的変異

MPCR キットは病原体サブタイピングや遺伝子アイソフォームに使用されるだけでなく、挿入や欠損そして部位特異的

変異を含む多様な変異分析にも使用されています。MBI社は Linden やプロトロンビン遺伝子 (Factor II) の点突然

変異 G20210A をワンステップで検出する MPCR キットを開発しました。Figure7 には検出システムにおけるプライ

マーデザインの基本的な原理を記しています。Factor V 遺伝子 G1961A 変異 (Arg506 → Gln) は 1994年に

Bertina グループによって初めて検出されました。この変異は重篤な静脈血栓症を引き起こす最も一般的な欠損変異で

す。prothrombin 遺伝子 (factorII) G → A (20210) 変異は静脈血栓症の高リスクに関わっています。ASA PCR

には二つの異なる PCR 反応が不可欠で、そして正常・変異遺伝子型のアレル特異的プライマーが必要です。ネガティブ

コントロールの正当性を立証するために factor IX は PCR 内在性コントロールとして共増幅されました。Figure7 は

遺伝子変異をもつ患者ごとからの血液 DNA の結果を表しています。MBI社の Factor V Linden や G20210A

MPCR キットは Kaiser Permanent North Regional Laboratory Blood Bank で日常的な患者スクリーニングテ

ストとして使われています。

*欠損

デュシェーヌ型、ベッカー型筋ジストロフィー (DMD/BMD) は効果的な処置がない X染色体連鎖型致死遺伝子疾患

です。重要なことは DMD/BMD の防止にあたることです。防止には、遺伝学的カウンセリングや出生前診断を通して患

った男児を妊娠していそうな女性の同定も含まれています。正確なキャリア検出や遺伝学的カウンセリングは発端者の変

異自体の同定に依存しています。DMD遺伝子中の変異は、欠損・重複・点突変異といった 3つの異なるカテゴリーに分

類することができます。DMD遺伝子の 70 エキソン中の欠損は全 DMD 変異の ~60% を占めます。Beggs や

Chamberlain によって改変された MBI社 DMD/BMD MPCR キットを使ってその 98% が検出できます。MPCR の

プロトコールを使用する出生前診断は家族に欠損変異があると分かっている妊娠中の男児に同じ欠損があるかどうかを

決定します。

■定量

1. アイソフォーム検査/定量:Toll-Like Receptors について

細胞内での遺伝子発現は、一時的なものや正常な細胞増殖・分化を維持する組織特異的に綿密に制御されています。

細胞外カルシウムはケラチノサイトの分化を促進し、そしてその過程は皮膚の表皮部分を保護する主要な細胞過程の一

つです。他の細胞システムにおいて、CD14 や TLR-4 (Toll-like receptor-4) は細胞増殖に関わる遺伝子発現に制

御されていないということが言われています。TLR シグナリングパスウェイに関わるケラチノサイトの分化をテストするた

めに、私たちは、MBI社の MPCR キット (MP-70190) を使って異なる Toll-like receptorの遺伝子発現における

細胞外カルシウム (Cao) の影響を評価しました。CD14 と TLR-4 の遺伝子発現は低細胞外カルシウム

(0.03mM) ではなく高細胞外カルシウム (1.2mM) 状況下で検出されました。TLR-4 と CD14 はそれぞれ、

631bp と 203bp に検出され、内在性コントロール GAPDH 遺伝子でノーマライズした後の遺伝子発現の相対数が

図 8 に載っています。標準イメージングシステムを使うことで、私たちは MPCR結果の semi-quantitate な遺伝子発

現の半定量を可能にしました。

2. 薬剤耐性遺伝子

Dr. Ruediger Salowsky 氏 (Agilent Technologies Deutschland GmbH) の協力で、候補遺伝子の迅速な発現

スクリーニングのために、RT-MPCR と microfluidic amplicon end-point 分析とを組み合わせたアッセイの開発を

しました。

近年、私たちは薬剤耐性腫瘍のうち 11つを選び、メラノーマモデルシステムでの規制が解除を実証しました。アッセイの

パフォーマンスを評価するために、Dr. Salowsky 氏がアレイとノーザンブロット分析からこれまでの結果を比較し、そし

て悪性メラノーマ細胞株4つまで実験の手を広げました (図 9)。両アッセイは RT-MPCR アッセイが多様な候補遺伝子

において発現パターンが再現可能な信頼性のあるスクリーニング方法であるということを実証しました。(図 9の結果は

Dr. Ruediger Salowsky と Rainer Wittig グループによるもの)。どんな市販のゲルイメージシステムでも MBI社

の MPCR キットの結果を定量するために使用できます。私たちは Agilent 2100 Bioanalyzer が素早く、クリアなそ

して遺伝子アンプリコン毎の定量を必要とせずに自動定量化できることを実証しました。Agilent 2100 Bioanalyzer に

は広い線形力学範囲があり、選択された数の遺伝子に関するデータを呈し、自動化された方法で簡単に他の機器とデー

タを共有できます。

各プライマー間の干渉を最小限に抑えることが MPCR 増幅を成功させる重要なファクターになります。また、反応効率

を最大にすることは鋳型の初期濃度の範囲をより広め、正確な定量が可能ということです。増幅を目的とした 2つの遺伝

子の PCR産物間の初期コピー数が大きく異なるというのは、ハウスキーピング遺伝子や興味ある珍しいメッセージをもつ

サンプルをスクリーニングする時には共通に言えることです。それ故に、鋳型の初期濃度を変えることが PCR 効率を最

適化するために不可欠でし。MPCR では、最初のコピー数に関わらず指数関数的に個々の遺伝子を増幅することも重要

です。図 10には、異なる量の cDNA を使って MPRCR を行い、連続的なサイクルを試行することで増幅サンプルが視

覚化できることが示されています。ここで 2つのキーポイントがあります。1) MPCR で表される個々の遺伝子全てが

PCR サイクルの回数に応じて比例的に増幅される。 2) 初期材料 5ng の total RNA (10倍希釈) を用いると、マル

チプル遺伝子の intensity は初期材料 50ng (25 サイクル) を用いたものに比較するとおよそ 1/10 レベル (28サ

イクル) で表されます。この結果は MPCR が増幅状況下でどんなターゲットの増幅でも変化せず一度にマルチプル遺

伝子発現を定量するということを示しています。

MPCRに関わるキーとなるファクター

マルチプル遺伝子の定量は一度に遺伝子全ての正確な増幅を必要とします。プライマーデザインやバッファーシステム、そし

てアニーリング温度などのキーとなるファクターがあります。MPCR 実験を成功させるために、各反応の効率を最大且つ均一

にし、個々の反応のいかなる交差活性も最小にしなければなりません。プライマー間の 3’ 側のオーバーラップの排除が非特

異的増幅を避ける重要な要因となります。多様な反応のコンポーネントが混ざる際にどんな違いも増幅されるので個々の反応

が同じような効率になることが重要です。遺伝子定量がより簡単に、より正確に、そして時間が節約されるようにそして再現不

可能な定量のせいで試薬コストがかからないように、MPCR 実験の反応動態もまた同じ個々の PCR 実験の反応動態に近

づける必要があります。PCR増幅効率は各シングルPCR と MPCR とを比較するとわずかに異なります。各ターゲットの反応

動態を近似のものにするにはプライマー濃度の調製が必要になるでしょう。

MPCR では同じ増幅反応で異なるプライマーペアーを使用します。MPCR では異なるプライマー鋳型システムの増幅効率

を最適化するためにアニーリング条件を最適化する必要があります。異なる PCR バッファーシステムは異なる増幅効率を示

すおそれがあります (図 11)。これらの結果は、サイクリング条件でさえ個々のプライマー鋳型システムの効率的な増幅をもた

らすということを示しています。この影響は、恐らくプライマー分子自身やプライマーと MPCR で生じた PCR 産物間での非特

異的ハイブリダイゼーションによるものです。これらの影響をなくすために、異なるサイズの PCR 産物の効果的な同時増幅の

ためにバッファーシステムを用いて MPCR キットを最適化しました。また、私たちがもつ特許 MPCR バッファー組成は非特

異的ハイブリダイゼーションを減らし、同一条件下で異なるプライマーの効果的増幅を可能にします。

PCR ターゲット配列の二次構造は増幅成功率や PCR産物の下流使用においてマイナスの影響があります。プライマーデザ

インは二次構造の形態を排除するための重要なファクターです。さらに、最適なアニーリング温度が二次構造を排除する手助

けをします。そして PCR のローバスト性を上昇させる手助けをします。

Dual、real PCR

遺伝子同定や定量の他に、MPCR や Real PCR、Dual quantitative PCR もまた遺伝子発現の定量に使用されていま

す。前述のように、Real Time PCR は病気の予後診断あるいは MPCRで得られた遺伝子定量の追認に有用です。しかしな

がら Real-Time PCR は日常的なアッセイとして使用されるには選ばれやすくはありません。MBI社は特許技術を適用して

関連ある遺伝子発現レベルを決定するために Dual Quantitative PCR 技術を開発しています。MBI社の Dual

Quantitative PCR キットというのは一つのチューブで特異的なハウスキーピング遺伝子とそれぞれのターゲット遺伝子を共

増幅して Quantitative PCR 増幅するものです。最適化された Dual Quantitative PCR 技術は標準 PCR として簡単に

行えます。そして高発現ハウスキーピング遺伝子の増幅は低発現ターゲット遺伝子あるいはその反対においても干渉はしませ

ん。図 13では、パネル Aで示されてある 5倍希釈毎のヒト脳 cDNA の Real-Time PCR 分析と関係する Dual

Quantitative PCR の結果がパネル B に示されています。パネル Bにおいてもまた、内在性コントロールはターゲットとする

遺伝子発現を干渉しません。この結果は、MBI社の特許技術が通常の Real-Time PCR と同じくらいの簡単さでハイスルー

プットアッセイを必要とする研究者に大きな利点をもたらします。

MBI社のDual quantitative PCR 増幅キットはユーザーによる最適化を要せず、使いやすく、信頼性のある有用な定量技

術です。ユーザーはトリートメントによって変化しないくらいの発現レベルを有する適切なハウスキーピング遺伝子を選ぶだけ

です。加えて、MBI社は、研究の際、適切なハウスキーピング遺伝子の特徴づけを行うユーザーのために GAPDH (G)、

18S (S)、T-Transferin Receptor (T)、P-Phospholipase A2 (P) そして L32 (L) を含む様々なハウスキーピング遺伝

子を提供しています。選択したハウスキーピング遺伝子とターゲット遺伝子の共増幅は定量的結果をもたらします。遺伝子発

現レベルの変化はサンプルからサンプルへのローディング変化を避けながらモニターされます

この Dual quantitative PCR 増幅キットは Real-Time PCR 遺伝子発現に必要な試薬一式を提供しています。

Dual、real PCR

遺伝子同定や定量の他に、MPCR や Real PCR、Dual quantitative PCR もまた遺伝子発現の定量に使用されていま

す。前述のように、Real Time PCR は病気の予後診断あるいは MPCRで得られた遺伝子定量の追認に有用です。しかしな

がら Real-Time PCR は日常的なアッセイとして使用されるには選ばれやすくはありません。MBI社は特許技術を適用して

関連ある遺伝子発現レベルを決定するために Dual Quantitative PCR 技術を開発しています。MBI社の Dual

Quantitative PCR キットというのは一つのチューブで特異的なハウスキーピング遺伝子とそれぞれのターゲット遺伝子を共

増幅して Quantitative PCR 増幅するものです。最適化された Dual Quantitative PCR 技術は標準 PCR として簡単に

行えます。そして高発現ハウスキーピング遺伝子の増幅は低発現ターゲット遺伝子あるいはその反対においても干渉はしませ

ん。図 13では、パネル Aで示されてある 5倍希釈毎のヒト脳 cDNA の Real-Time PCR 分析と関係する Dual

Quantitative PCR の結果がパネル B に示されています。パネル Bにおいてもまた、内在性コントロールはターゲットとする

遺伝子発現を干渉しません。この結果は、MBI社の特許技術が通常の Real-Time PCR と同じくらいの簡単さでハイスルー

プットアッセイを必要とする研究者に大きな利点をもたらします。

MBI社のDual quantitative PCR 増幅キットはユーザーによる最適化を要せず、使いやすく、信頼性のある有用な定量技

術です。ユーザーはトリートメントによって変化しないくらいの発現レベルを有する適切なハウスキーピング遺伝子を選ぶだけ

です。加えて、MBI社は、研究の際、適切なハウスキーピング遺伝子の特徴づけを行うユーザーのために GAPDH (G)、

18S (S)、T-Transferin Receptor (T)、P-Phospholipase A2 (P) そして L32 (L) を含む様々なハウスキーピング遺伝

子を提供しています。選択したハウスキーピング遺伝子とターゲット遺伝子の共増幅は定量的結果をもたらします。遺伝子発

現レベルの変化はサンプルからサンプルへのローディング変化を避けながらモニターされます

この Dual quantitative PCR 増幅キットは Real-Time PCR 遺伝子発現に必要な試薬一式を提供しています。

マルチプレックス PCR (M-PCR) キット

トラブルシューティングガイド

※以下、マルチプレックス PCRをMPCRと呼びます。

I. マルチプレックス PCRキット使用時のよくある問題点

1. 目的のバンドが見られず、余分なバンドが出現

2. バンドがスメア状になっている

3. バンドのサイズまたは(及び)分子量がはずれている

II. 問題点は、PCR操作にあるのか、cDNA調整にあるのか?

1. 必ずポジティブコントロールを流してください。

• キットを使用する前に添付のプロトコルをご一読下さい。本キットで最適な結果を得る為のポイントが

記載されています。

• ポジティブコントロールは、問題が PCR操作に由来するか、cDNAサンプルに由来するかを判定する

最適な方法です。

2. ポジティブコントロールのバンドが検出された場合、問題が PCR操作、あるいは cDNA調整法にある可能

性があります。

3. cDNAサンプルのバンドが見られた場合、問題点は PCR操作法にある可能性があります。

III. ポジティブコントロールについての問題点

1. ポジティブコントロールのバンドが見えない。

• アニーリングの温度を徐々に(2℃ずつがお薦めです)下げてみましょう。

反応条件の緩和がアニーリングを促進させます。温度が高すぎるためにアニール出来ず、バンドが出

現しない場合もあります。

• PCR反応に使用する cDNAテンプレート量をふやしてみましょう。

反応チューブに、より多くのテンプレートの追加が可能でしたら、より簡単にプライマーがアニーリング

サイトを見つける事が可能になります。

• PCRのサイクル数を増やしてみましょう。

サイクル数が少ないとゲル上で見えるほど十分な DNAを複製することが出来ませんので、サイクル数

を増やすことは対数的に PCR産物量を増やすことになります。

• アニーリング時間を延長してみましょう。

より感度の高いプライマー/cDNA相互作用のアニーリングを促進させます。

• Taq polymerase濃度を調整してみましょう。

これはキット中には含まれていませんので、Taqの濃度を最適化する必要があります。バンドが見えな

い時は、一般的に濃度を上げる必要があります。

• dNTPによって起こる問題もテクニカルサービスでは調査済みです。使用するまでdNTPサンプルは分注

し、凍結してください。溶解しないように-20℃で保存してください。凍結融解を繰り返すと、活性の低下

を招きます。

Note :バンドが見られないことは、プライマー間の相互作用によって起こる可能性があります。この影響はプライマーの選択とバッファー

の調整にもとづいたキットの開発/最適化によって最小限に抑えられています。プライマー間の相互作用が疑われる場合には、このガイドの

セクション Vに記述してある"hot-start"法を利用してください。

2. ポジティブコントロールの結果で、余分なバンドが出現した。

• アニーリングの温度を徐々に下げましょう(2℃ずつがお薦めです)

反応条件を大幅に緩和すると、生じている非特異的結合を減らすことが出来ます。

• テンプレート量を減らしてみましょう。

少量のテンプレートであれば、プライマーがアニーリングサイトを見つけることが困難になるために、非

特異的結合の可能性が減少します。

• プライマー量を減らしてみましょう。

個々のプライマー濃度は調整できません。相対的濃度は、最適化テストにおいて最高の結果を得るた

めに最終的に調整されています。反応溶液に、より少ないプライマー成分の量を加え、全体のプライマー

濃度を下げましょう(5uL以下がお薦めです)。

• Taq polymerase濃度を下げてみましょう。

反応条件をさらに緩和すると、非特異的結合の可能性を低下させます。

• ミスプライミングを避けるために、このガイドのセクション Vに記述してある"hot-start"法を利用してくだ

さい

3. バンドの分子量が、プロトコル内で述べられている予想される分子量と一致しない。

• バンドのサイズが DNA ラダーと比較して、サンプルバンドの分子量が大きい。

→電気泳動の際のPCR産物量を減らしましょう。PCR産物量が多すぎると、DNAラダーサンプルよりも

遅くゲルマトリックスを通過するので、バンドサイズの相関上、不一致の原因となります。

• バンドのサイズが DNA ラダーと比較して、サンプルバンドの分子量が小さい。

→電気泳動の際の PCR産物量を増やしてみましょう。電気泳動サンプル量が少なすぎると、DNA ラダ

ーサンプルよりも速くマトリックスゲルを通過するので、バンドサイズの相関上、不一致の原因となりま

す。

4. Taq polymeraseについて (キット中には含まれておりません)

使用ブランドにより、実施方法が多少異なります。

• お薦めのブランド

→Perkin-Elmer AmpliTaq (AmpliTaq Goldではありません。バッファーに関しては

Perkin-Elmerに添付のバッファーを使用してください。)

• お薦めできないブランド

→Gibco-BRL (反応に 2倍の容量が必要になります)

→BMB

5. 温度について

プロトコル内に記載されている通り、2段階の温度サイクルを使用してください。これは PCR反応で見られる 3段階のサーモサイクルとは異なり、マル

チプレックス PCRでは良い結果が期待できます。

• マルチプレックス PCRにおける変性段階では、94-96℃に設定してください。

• このキットは複数のプライマーペアを使用して良い結果を得る為に開発されました。最適な特異性はアニ

ーリングと伸長の温度が統合する時に得ることができ、2段階サイクルを作り出しています。この 2段階

サイクルにおいては、アニーリング温度の平均値より少し上で、より低い伸長温度は、厳密な反応条件や

プライマーテンプレートとテンプレート cDNAサンプル間の特異性をより促進する為に併用し、良い結果

をもたらします。

• これらの温度パラメーターの補正により、結果の反応収率向上が期待できます。

6. サーマルサイクラーについて

Perkin-Elmer サーマルサイクラーをお薦めします。

III. cDNAサンプルについての問題点

cDNAサンプルでおかしな結果がでた場合は、PCRの手技または cDNAサンプルの精製に問題があると思われ

ます。ポジティブコントロールを含めて実施して下さい。まだポジティブコントロールを実施していないのであれば、

適切な PCR手技を確認するためにも、ポジティブコントロールを実施して下さい。

1. DNAサンプルでのバンドがでない。

予想される DNAサンプルのサイズがわかっていればテクニカルサービスに連絡した時に役立ちます。

最初に下記の解決策を試して下さい。

• dNTP溶液を分割し、凍結したことを確認する.

• アニーリング温度を下げる。

• アニーリング時間を増やす。

• Taq polymeraseの濃度を上げる。

• サイクル数を増やす。

• エタノール沈殿法で、cDNAサンプルからインヒビターを取り除く。

2. サンプル cDNAの結果で、余分なバンドが出現している

予想される DNAサンプルのサイズがわかっていればテクニカルサービスに連絡した時に役立ちます。

最初に下記の解決策を試して下さい。

• アニーリング温度を上げる。

• テンプレート量を減らす。

• 反応に加えられているプライマー量を減らす。

• 酵素量を減らす。

• 他のターゲット RNA/DNAで実験自体がコンタミをしている。実験場所を点検して下さい。実験作業の流れ

は一方向性ですか?増幅前と増幅後の分業エリアによるクロス-コンタミネーションを最小限度にするよ

う心がけてください。

• 反応と反応の間の DNA クロスオーバーを防ぐ為に、dUTP/UDGのような無菌手技を利用して下さい。

• 余分なバンドが現れる原因である、ゲノムDNAのコンタミネーションである可能性があります。このことが

疑われる場合は、RNAサンプルを RNase-free Dnase処理して下さい。

• cDNAがMPCRを妨げている場合は、フェノール/クロロフォルムで cDNAを再抽出することを考慮して

下さい。

3. cDNAサンプルのサイズが予想していたものと一致しない。

• 予想サイズよりも大きいサイズの場合。

→電気泳動する PCR産物量を減らす。PCR産物が多すぎるとDNA ladderサンプルよりも遅くゲルマト

リックスを通過するので、バンドサイズの相関上、不一致の原因となります。

• 予想サイズよりも小さいサイズの場合。

→電気泳動する PCR産物量を増やす。PCR産物が少なすぎると DNA ladderサンプルよりも速くゲル

マトリックスを通過するので、バンドサイズの相関上、不一致の原因となります。

• cDNAサンプルのゲノム DNA コンタミネーションの可能性があります。この場合は、サンプルのバンド分

子量は予想されるものよりも大きくなります。問題解決のために、RNAサンプルを RNase-free Dnase

処理して下さい。

4. 実験サンプルとコントロールが同じサイズである。

• 特異的遺伝子の PCR増幅が上限を超えてしまっている可能性があります。PCR サイクル数または入れた

DNAを減らす。

• サンプル調製、RT反応、入れるcDNA量における相違は、変異を除去する為に、ハウスキーピング遺伝

子で平行に PCRを実施することにより分離されるでしょう。

5. 様々な種類の cDNAでの実験結果について

異なる種類からの cDNAでは、偽の結果を招くことがあります。いくつかの細胞ではmRNAを産生しない場合も

あります。バクテリアのプラスミドは、mRNA塩基を放出するとして知られてきました。テクニカルサービスは

cDNA抽出源を研究することが可能で、過去の研究で見られる散発的な結果ではあるが、調べることが可能で

す。

• cDNAは直接組織から抽出された RNAですか?

• cDNAはプライマリーカルチャーから抽出された RNAですか?

• cDNAは株化細胞から抽出された RNAですか?

• Human/mouse/rat/その他のゲノム DNAの遺伝子導入されたバクテリアから抽出された RNAです

か?

• Human/mouse/rat/その他の cDNAの遺伝子導入されたバクテリアから抽出された RNAですか?

Ⅴ. 補足

Hot start法について

反応液成分を室温で混合する場合は、反応が始まってしまうのに十分な温度となってしまいます。低い温度では

あるが、非特異的な増幅及びプライマーダイマー形成のような、不必要なサイド反応を促進します。これらのサイ

ド反応は、反応における Hot start PCR法を取り入れることにより、避けることが可能です。Hot start法は、一

般的に 60℃以上に達するまでに、特定の反応成分の有効性を制限することによって働きます。下記に今現在、リ

サーチコミュニティーにおいて使用されているいくつかの方法を示してあります。

• Hot start法はマニュアルで実施して下さい。反応混合液がより高い温度に達した時に、重大な成分を加

えることにより実施されます。これは集中的な仕事であり、コンタミネーションの可能性を減らす Hot

start法を組み込む経済的な方法です。

• 他の方法では 60℃以上で溶解するワックス成分を取り入れています。ワックスが溶解すると同時に、成

分は混合液に放出され、そして反応が始まります。この方法には、AmpliTaq Taq polymerase と一

緒に Ampliwaxの使用をお薦めします。(Perkin-Elmer社)

• 3番目の方法として polymeraseに対する抗体(temperature-sensitive)があります。これは酵素が

働かない低い温度に限り結合します。温度が達した時に、この抗体は酵素からそのもの自体を放出し、

反応は進みます。この方法には、Clontechの Taq antibodyをお薦めします。

マルチプレックス PCR (M-PCR) キット Q & A集

※ 以下、マルチプレックス PCRキットを”MPCR”と呼びます。

Q1. MPCR と通常の PCR との違いは?

A1. 一般的な PCRは通常、特異的な配列を増幅するプライマーを 1組しか使用していません。

一方、MPCRは同時に多くの配列を増幅するための複数組のプライマーを使用しています。1

つのチューブ中に多数の PCRプライマーが存在することは、ミスプライミング PCR産物、プラ

イマーダイマー、短いDNA断片に偏った増幅などの多くの問題の原因になる可能性があります。

Q2. MPCRバッファーと通常の PCRバッファーの違いは?

A2. 主として MPCR バッファーには Taq polymerase 付加剤(Additive)が含まれています。

これは増幅産物間の競合を減らし、MPCR中の長い DNA断片の増幅を増やす働きがあります。

その他のバッファー組成は、MPCRと通常 PCRとで同様です。

Q3. MPCRにより増幅された DNA断片が、目的の遺伝子に特異的であるかを、どのように測

定できますか?

A3. MPCR産物は、遺伝子特異的プローブを用いたハイブリダイゼーションによる検出が可能

です。ほとんどすべての PCR産物に対して通常のプローブとビオチン標識プローブの両方を用

いて証明されています。

Q4. MPCRキットを使用した結果から何の情報を得ることができますか?

A4. これらのキットは各キット特異的に目的のmRNAを検出し、研究目的だけに使用します。

ここ結果の解釈は、研究している特異的システムによります。

Q5. MPCRで使われているプライマーの配列を入手できますか?

A5. 配列は企業秘密ですのでお教えすることは出来ません。どうかご了承下さい。

Q6. 2段階 PCRサーマルサイクラーとは?また、通常の 3段階 PCR法をどのように編集すれば良

いですか?

A6. 一般的な PCR条件は、変性反応: 94℃/1min.、アニーリング反応:40-60℃/2-5min.、

伸長反応: 70℃/2-5min.となっています。これは 3段階 PCR法とも呼ばれています。2段階

PCR法では、アニーリングと伸長温度は併合されており、変性反応: 94℃/1min.とアニーリ

ング/伸長反応: 60-70℃/2-5min.となっています。Taq polymeraseによるプライマーの伸

長反応は 72℃でもっとも効果的な結果が期待できます。2段階 PCR法において、60-70℃の温

度範囲が伸長には十分で、逆に PCRの結果には影響はありません。2段階 PCR法は炎症関連性

のサイトカインMPCRを含む、多くの適用として成功しています。一般的に特異的なターゲッ

トを 100倍に増幅するには 25-40サイクル数が必要です。

Q7. MBI社の PCR ポジティブコントロールを自分の PCRプライマー用に使用することがで

きますか?

A7. RT-PCRにおいては、いくつかのコントロールは全長の cDNAクローンです。この場合に

は特異的遺伝子のプライマーに使用可能です。また、いくつかのポジティブコントロールは特異

的な RT-PCR産物です。この場合はMBI社プライマーに限り使用できます。

Q8. なぜMPCRで ampli-Taq Goldが使用できないのでしょうか?

A8. Taq Goldには独自のバッファーが必要になるのでお薦めできません。

Q9. MBI社ポジティブコントロールのバンドが検出出来ないのですが、どうしたら良いです

か?

A9. MBI社ポジティブコントロールは、特にMPCR キキットに含まれているMPCRプライマー

とバッファーでの使用用としてデザインされています。異なる機械では操作性も違いますので、

マニュアルにおいてアニーリング温度の参考範囲をご提供しています。アニーリングの至適温度

は使用しているサーマルサイクラーにより決定しなければなりません。バンドの消失は PCR条

件が厳しい、及びアニーリング温度が低いということを示唆します。

Q10. MBI社ポジティブコントロールで余分なバンドや、非特異的なバンドが出現した時、ど

うしたら良いですか?

A10. 一般的には、アニーリング温度はプライマーの Tm値が基本となっています。非特異的

なバンド゙が検出されたら、余分なバンドが消失するまでアニーリング温度を 2-5℃上げて下さ

い。テンプレート、プライマー、Taq polymerase条件も最適化することが出来ますが、この

場合には各容量を増加するようにして下さい。

Q11. 反応中のすべての産物はもろくなっています。どのように回収量を増やすことができま

すか?

A11. 回収量を増やすにはいくつかの方法があります。

• 徐々にアニーリング温度を下げる。(2℃ずつをお薦めします)

• アニーリング時間を延長する。

• テンプレート濃度を上げる。

• 反応に加えるプライマー量を増やす。

• Taq polymerase濃度を調整する。

• PCRサイクル数を増やす。

• 上記に示したことを組み合わせて実施してみる。

Q12. 反応で非特異的産物が出現しました。これを取り除くにはどうしたら良いでしょうか?

A12. いくつか解決法があります。

• 徐々にアニーリング温度を上げる。(2℃ずつ上昇をお薦めします)

• テンプレート量を減らす。

• プライマー量を減らす。

• 酵素量を減らす。

• 上記に示したことを組み合わせて実施してみる。

Q13. MPCRキットには、どのくらいの RNAサンプルが必要ですか?

A13. 下記の表を参照してください。

サンプル 最終容量 希釈

106-107細胞 (RNA) 100uL -

cDNAに転写された RNA 5uL 50uL 1:20

PCRに使用される cDNA 1uL - 1:50

*106-107細胞個から抽出された RNAの最終希釈倍率は 1:1000です。106-107細胞個からの total RNAは、Maxim Multiplex PCR Kit使

用で十二分な cDNA量を提供します。