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【警告】 本剤投与により重篤なアナフィラキシーが発現する可能性があるので、 本剤は、緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、 投与終了後も十分な観察を行うこと。また、重篤な infusion associated reaction が発現した場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行う こと。 (「重要な基本的注意」の項参照) 【禁忌】 (次の患者には投与しないこと) 本剤の成分又はα- ガラクトシダーゼ製剤に対するアナフィラキシー ショックの既往歴のある患者(「重要な基本的注意」の項参照) 1.組成(1 バイアル中) 2.性状 本剤は、白色~灰白色の粉末又は塊で、用時溶解して用いる凍結乾燥製剤である。なお、本剤を日局注 射用水で 5 mg/mL に溶解したときの性状、 pH 及び浸透圧比は次のとおりである。 注)海外の自発報告で認められた副作用のため頻度不明。 発現頻度は、承認時までの臨床試験、使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験の 結果を合わせて算出した。 外箱に記載された使用期限を過ぎた製剤は使用しないこと。溶解・希釈後は速やかに使用すること。 なお、やむを得ず保存する場合は、 2 8℃で保存し、 24 時間以内に使用すること。 4.高齢者への投与 高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与する。高齢者 に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。 5.妊婦、産婦、授乳婦への投与 妊婦又は妊娠している可能性のある患者には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される 場合にのみ投与すること(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない)。 授乳中の患者には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせる こと(授乳中の投与に関する安全性は確立していない)。 6.小児等への投与 小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。 7.適用上の注意 他剤との混注を行わないこと。 各バイアルは一回限りの使用とすること。 投与液の調製: 溶解:溶解約30分前には室温に戻すこと。各バイアルに規定量の日局注射用水を加え、溶液が泡立 たないように静かに混和する。異物や変色の見られたバイアルは使用しないこと。溶解後は速や かに希釈すること。 希釈:溶解した液剤はアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)を5mg/mL 含有する。各バイアルか ら規定の液量を採取し、日局生理食塩液中に注入し、最終容量 500mL まで希釈する。投与液剤を ゆるやかに混和すること。 たん白質を吸着しにくいポアサイズ 0.2 ミクロンのインラインフィルターを使用することが望ま しい。 8.その他の注意 ラットを用いた生殖発生毒性試験において、 10 30mg/kg/ 日で 11 日間連続投与したところ、連日の 高用量投与による蓄積が原因と考えられる肝細胞壊死が認められた。 1212312411 バイアルを日局注射用水 1.1 mL に溶解した時の 1.0 mL 21 バイアルを日局注射用水 7.2 mL に溶解した時の 7.0 mL 3:チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生 本剤は製造工程でドナーウシ血清を使用している。 【組成・性状】 ファブリー病 【効能・効果】 通常、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)として、 1 回体重 1kg あたり 1mg を隔週、点滴静注する。 【用法・用量】 【取扱い上の注意】 ファブラザイム ® 点滴静注用 5mg 1 バイアル ファブラザイム ® 点滴静注用 35mg 1 バイアル 【包装】 遺伝子組換えファブリー病治療剤 アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)静注用凍結乾燥製剤 2016 7 月改訂(第 9 版) ●詳細は添付文書をご参照ください。 ●添付文書の改訂にご留意ください。 ●資料は当社医薬情報担当者にご請求ください。 873959 5mg:21600AMY00008000 200442004435mg:21600AMY00009000 遮光保存、 282015920018包装に表示されている期限内に使用すること 生物由来製品・劇薬・処方箋医薬品 注) 注)注意-医師等の処方箋により使用すること 成  分 ファブラザイム点滴静注用 5mg 1 ファブラザイム点滴静注用 35mg 2 性状 pH 浸透圧比 無色澄明な液剤 6.87.2 0.91.1 5.0 mg 35.0 mg 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) 本剤の成分又はα- ガラクトシダーゼ製剤に対する過敏症の既往歴のある患者(「重要な基本的注 意」の項参照) 高齢者(「高齢者への投与」の項参照) 2.重要な基本的注意 本剤はたん白質製剤であるため、アナフィラキシーショックが起こる可能性は否定できないので、 観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このよ うな症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。 本剤投与により infusion associated reaction IAR)が発現する可能性がある。 Infusion associated reaction IAR)が現れた場合には、投与速度を下げるか、一旦投与を中止し、適切な薬剤治療(副腎 皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤又は抗炎症剤)や緊急処置を行うこと。 なお、次回投与に際しては、下表を参考とすること。 121234Infusion associated reaction の発現を予測するため定期的にアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換 え)に対する IgG 抗体検査を行うことが望ましい。投与により、大部分の患者で IgG 抗体産生が予 想され、そのような患者は infusion associated reaction を発現しやすいと考えられる。 国内における第 2 相試験及び海外における第 3 相臨床試験では組織中の GL-3 除去効果を確認し た。しかし臨床症状の改善効果については確立されていない。 【使用上の注意】 IARの重症度及び頻度 軽度~中等度のIARの初回 又は再発 0.15mg/分より開始し、異常が見られなければ徐々に0.25mg/分まで 投与速度を上げる。 重度のIARの初回 又は再発 投与開始1時間前 ・抗ヒスタミン剤 ・解熱鎮痛剤/抗炎症剤 投与開始約12時間、6時間及び1時間前 ・副腎皮質ホルモン剤 投与開始1時間前 ・抗ヒスタミン剤 ・解熱鎮痛剤/抗炎症剤 前投薬 投与速度 3.副作用 国内で行われた第 2 相試験では、 13 例中 8 例に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められた。主 な副作用は infusion associated reaction と考えられる悪寒 5 例(38%)、発熱 4 例(31%)、倦怠感、呼吸 困難、鼻炎、高血圧各 2 例(15%)であった。[承認申請時] 使用成績調査および特定使用成績調査において、安全性解析対象症例 381 例中 125 例(32.8%)に副作 用(臨床検査値異常変動を含む)が認められ、主な副作用は「発熱」 44 例(11.5%)、「悪寒」 34 例(8.9%)、 「頭痛」 15 例(3.9%)、 「発疹」 13 例(3.4%)、 「呼吸困難」 10 例(2.6%)等であった。 [再審査終了時] 外国における第 1/2 相試験、第 3 相二重盲検比較試験、その継続試験、及び第 4 相二重盲検比較試験、 その継続試験、第 2 相小児臨床試験で認められた副作用 (評価例数 168 例、投与期間 1 回投与から最長 5 年) 10% 5 10% 1 5% 心臓 頻脈 動悸 流涙増加 胃腸 悪心、嘔吐 腹痛 上腹部痛、腹部不快感、胃不快感、 口の感覚鈍麻 全身および 投与局所様態 悪寒、発熱、冷感 疲労、胸部不快感、 熱感 末梢性浮腫、疼痛、無力症、胸痛、倦怠感、 顔面浮腫、高熱 臨床検査 血圧上昇、体温上昇 心拍数増加、血圧低下 筋骨格系および 結合組織 四肢痛 筋痛、背部痛、筋痙縮、関節痛、筋緊張、 筋骨格硬直 神経系 頭痛、錯感覚 (ファブリー痛) 浮動性めまい、傾眠 感覚鈍麻、灼熱感、嗜眠 呼吸器、胸郭 および縦隔 呼吸困難 鼻閉、咽喉絞扼感、喘鳴、咳嗽、 呼吸困難増悪 皮膚および 皮下組織 そう痒症、蕁麻疹 発疹、紅斑、全身性そう痒症、 血管神経性浮腫、顔面腫脹 血管 潮紅 高血圧、蒼白、低血圧、ほてり アガルシダーゼ ベータ (遺伝子組換え) 3 30.0 mg 210.0 mg マンニトール 2.75 mg 19.25 mg リン酸二水素ナトリウム 一水和物 8.0 mg 56.0 mg リン酸水素二ナトリウム 七水和物 12■効能・効果に関連する使用上の注意 本剤はファブリー病と確定診断された患者にのみ使用すること。 ■用法・用量に関連する使用上の注意 投与速度:Infusion associated reaction が発現するおそれがあるため、初回投与速度は0.25mg/15mg/ 時)以下とすること。患者の忍容性が十分に確認された場合、徐々に速めてもよい。ただし、 投与速度は 0.5mg/ 分を超えないこと。 (「重要な基本的注意」の項参照) 溶解及び希釈方法:用時 1 バイアルを 35mg 製剤は日局注射用水 7.2mL で、 5mg 製剤は日局注射 用水 1.1mL でそれぞれ溶解し、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)として 5mg/mL の溶液とす る。患者の体重あたりで計算した必要量を採取し、日局生理食塩液で希釈して 500mL とする。 心ファブリー病患者を対象とした製造販売後臨床試験において、安全性解析対象症例 6 例中、 4 例(66.7%に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められ、その内訳は、大腸癌、動悸、咽喉絞扼感、結腸ポリープ、 びらん性胃炎、悪心、そう痒症、悪寒、熱感、浮腫、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、血圧 低下、血中尿素増加、体温低下及び白血球数減少が各 1 例(16.7%)であった。 [再審査終了時] 1)重大な副作用(頻度不明) Infusion associated reaction IAR;本剤投与当日に発現する反応) :悪寒、発熱、体温変動感、悪心、 高血圧、嘔吐、潮紅、錯感覚(ファブリー痛)、疲労、疼痛(四肢痛)、頭痛、そう痒症、胸痛(胸部不快感)、低 血圧、頻脈、動悸、徐脈、呼吸困難、喘鳴(咽喉絞扼感)、咳嗽、鼻炎、発疹、蕁麻疹、流涙増加、腹痛、筋痛、浮 動性めまい、蒼白、酸素飽和度低下、浮腫等が報告されている。投与中あるいは投与終了後は、観察を十 分に行い、これらの症状が発現した場合は、点滴速度を下げ、あるいは投与を一時中止し、抗ヒスタミ ン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等の投与を考慮すること。 (「重要な基本的注意」の項参照) 薬価基準収載 頻度不明 注) 頻脈 血液およびリンパ系 心臓 胃腸 2)その他の副作用 全身および投与局所様態 筋肉痛 感染症および寄生虫症 筋骨格系および結合組織 神経系 呼吸器、胸郭および縦隔 皮膚および皮下組織 血管 体温変動感 1%以上 悪心、腹痛、嘔吐 疼痛 頭痛 そう痒症、蕁麻疹、発疹 潮紅 胸痛、悪寒、発熱、 疲労、末梢性浮腫 1%未満 好酸球増加症 徐脈、動悸 流涙増加 胃腸炎 背部痛 鼻炎 呼吸困難、 咳嗽 錯感覚 高血圧、低血圧 呼吸窮迫、喘鳴 日本標準商品分類番号 使  用  期  限 〒163-1488 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号 製造販売 ファブラザイム ® 適切にご使用いただくために 【警告】 本剤投与により重篤なアナフィラキシーが発現する可能性があるので、本剤は、緊急 時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を 行うこと。また、重篤な infusion associated reaction が発現した場合には、本剤の 投与を中止し、適切な処置を行うこと。 (「重要な基本的注意」の項参照) 【禁忌】 (次の患者には投与しないこと) 本剤の成分又はα- ガラクトシダーゼ製剤に対するアナフィラキシーショックの既往歴 のある患者(「重要な基本的注意」の項参照) 生物由来製品 劇薬 処方箋医薬品:注意医師等の処方箋により使用すること 遺伝子組換えファブリー病治療剤 アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)静注用凍結乾燥製剤 873959 日本標準商品分類番号 会員限定疾患情報サイト ファブリーN@viでは、ファブリー病の早期診断・早期治療を実現するために、 診断や治療のポイントなどを解説しています。 2019年11月作成 GZJP.FABR.19.11.1643

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【警告】本剤投与により重篤なアナフィラキシーが発現する可能性があるので、本剤は、緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。また、重篤な infusion associated reactionが発現した場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)本剤の成分又はα- ガラクトシダーゼ製剤に対するアナフィラキシーショックの既往歴のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)

1.組成(1バイアル中)

2.性状本剤は、白色~灰白色の粉末又は塊で、用時溶解して用いる凍結乾燥製剤である。なお、本剤を日局注射用水で 5 mg/mL に溶解したときの性状、pH 及び浸透圧比は次のとおりである。

注)海外の自発報告で認められた副作用のため頻度不明。発現頻度は、承認時までの臨床試験、使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験の結果を合わせて算出した。

外箱に記載された使用期限を過ぎた製剤は使用しないこと。溶解・希釈後は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存する場合は、2~ 8℃で保存し、24時間以内に使用すること。

4.高齢者への投与高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与する。高齢者に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。5.妊婦、産婦、授乳婦への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある患者には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない)。授乳中の患者には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること(授乳中の投与に関する安全性は確立していない)。

6.小児等への投与小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。7.適用上の注意

他剤との混注を行わないこと。各バイアルは一回限りの使用とすること。投与液の調製:

溶解:溶解約30分前には室温に戻すこと。各バイアルに規定量の日局注射用水を加え、溶液が泡立たないように静かに混和する。異物や変色の見られたバイアルは使用しないこと。溶解後は速やかに希釈すること。希釈:溶解した液剤はアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)を5mg/mL含有する。各バイアルから規定の液量を採取し、日局生理食塩液中に注入し、最終容量 500mLまで希釈する。投与液剤をゆるやかに混和すること。

たん白質を吸着しにくいポアサイズ 0.2 ミクロンのインラインフィルターを使用することが望ましい。

8.その他の注意ラットを用いた生殖発生毒性試験において、10~30mg/kg/ 日で 11日間連続投与したところ、連日の高用量投与による蓄積が原因と考えられる肝細胞壊死が認められた。

(1)

(2)

(1)(2)(3)1)

2)

(4)

※1:1バイアルを日局注射用水 1.1 mL に溶解した時の 1.0 mL 中※2:1バイアルを日局注射用水 7.2 mL に溶解した時の 7.0 mL 中※3:チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生 本剤は製造工程でドナーウシ血清を使用している。

【組成・性状】

ファブリー病

【効能・効果】

通常、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)として、1回体重 1kg あたり 1mg を隔週、点滴静注する。

【用法・用量】

【取扱い上の注意】

ファブラザイム ® 点滴静注用 5mg:1バイアルファブラザイム ® 点滴静注用 35mg:1バイアル

【包装】

遺伝子組換えファブリー病治療剤

アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)静注用凍結乾燥製剤

*2016年 7月改訂(第 9版)●詳細は添付文書をご参照ください。●添付文書の改訂にご留意ください。●資料は当社医薬情報担当者にご請求ください。

8739595mg:21600AMY00008000

2004年 4月

2004年 4月

35mg:21600AMY00009000遮光保存、2~8℃2015年 9月2001年 8月

包装に表示されている期限内に使用すること生物由来製品・劇薬・処方箋医薬品注 ) 注)注意-医師等の処方箋により使用すること

成  分 ファブラザイム点滴静注用 5mg※1 ファブラザイム点滴静注用 35mg※2

性状 pH 浸透圧比無色澄明な液剤 6.8~7.2 0.9~1.1

有効成分

5.0 mg 35.0 mg

1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)本剤の成分又はα- ガラクトシダーゼ製剤に対する過敏症の既往歴のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

2.重要な基本的注意本剤はたん白質製剤であるため、アナフィラキシーショックが起こる可能性は否定できないので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。本剤投与により infusion associated reaction(IAR)が発現する可能性がある。Infusion associated reaction(IAR)が現れた場合には、投与速度を下げるか、一旦投与を中止し、適切な薬剤治療(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤又は抗炎症剤)や緊急処置を行うこと。  なお、次回投与に際しては、下表を参考とすること。

(1)

(2)

(1)

(2)

(3)

(4)

Infusion associated reaction の発現を予測するため定期的にアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)に対する IgG 抗体検査を行うことが望ましい。投与により、大部分の患者で IgG 抗体産生が予想され、そのような患者は infusion associated reaction を発現しやすいと考えられる。国内における第 2 相試験及び海外における第 3 相臨床試験では組織中の GL-3 除去効果を確認した。しかし臨床症状の改善効果については確立されていない。

【使用上の注意】

IARの重症度及び頻度 軽度~中等度のIARの初回 又は再発

0.15 mg/分より開始し、異常が見られなければ徐々に0.25 mg/分まで投与速度を上げる。

重度のIARの初回 又は再発

投与開始1時間前・抗ヒスタミン剤・解熱鎮痛剤/抗炎症剤

投与開始約12時間、6時間及び1時間前・副腎皮質ホルモン剤投与開始1時間前・抗ヒスタミン剤・解熱鎮痛剤/抗炎症剤

前投薬

投与速度

3.副作用国内で行われた第 2相試験では、13例中 8例に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められた。主な副作用は infusion associated reaction と考えられる悪寒 5例(38%)、発熱 4例(31%)、倦怠感、呼吸困難、鼻炎、高血圧各 2例(15%)であった。[承認申請時]使用成績調査および特定使用成績調査において、安全性解析対象症例 381例中 125例(32.8%)に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められ、主な副作用は「発熱」44例(11.5%)、「悪寒」34例(8.9%)、

「頭痛」15例(3.9%)、「発疹」13例(3.4%)、「呼吸困難」10例(2.6%)等であった。[再審査終了時]

外国における第 1/2相試験、第 3相二重盲検比較試験、その継続試験、及び第 4相二重盲検比較試験、その継続試験、第 2相小児臨床試験で認められた副作用

(評価例数 168例、投与期間 1回投与から最長 5年)

>10% 5~ 10% 1~ 5%心臓 頻脈 動悸眼 流涙増加

胃腸 悪心、嘔吐 腹痛 上腹部痛、腹部不快感、胃不快感、口の感覚鈍麻

全身および投与局所様態 悪寒、発熱、冷感 疲労、胸部不快感、

熱感末梢性浮腫、疼痛、無力症、胸痛、倦怠感、顔面浮腫、高熱

臨床検査 血圧上昇、体温上昇 心拍数増加、血圧低下筋骨格系および結合組織 四肢痛 筋痛、背部痛、筋痙縮、関節痛、筋緊張、

筋骨格硬直

神経系 頭痛、錯感覚(ファブリー痛) 浮動性めまい、傾眠 感覚鈍麻、灼熱感、嗜眠

呼吸器、胸郭および縦隔 呼吸困難 鼻閉、咽喉絞扼感、喘鳴、咳嗽、

呼吸困難増悪

皮膚および皮下組織 そう痒症、蕁麻疹 発疹、紅斑、全身性そう痒症、

血管神経性浮腫、顔面腫脹血管 潮紅 高血圧、蒼白、低血圧、ほてり

アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)※3

添加物

30.0 mg 210.0 mgマンニトール

2.75 mg 19.25 mgリン酸二水素ナトリウム一水和物

8.0 mg 56.0 mgリン酸水素二ナトリウム七水和物

(1)

(2)

■効能・効果に関連する使用上の注意本剤はファブリー病と確定診断された患者にのみ使用すること。

■用法・用量に関連する使用上の注意投与速度:Infusion associated reactionが発現するおそれがあるため、初回投与速度は0.25mg/分

(15mg/ 時)以下とすること。患者の忍容性が十分に確認された場合、徐々に速めてもよい。ただし、投与速度は 0.5mg/ 分を超えないこと。(「重要な基本的注意」の項参照)溶解及び希釈方法:用時 1バイアルを 35mg 製剤は日局注射用水 7.2mL で、5mg 製剤は日局注射用水 1.1mL でそれぞれ溶解し、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)として 5mg/mL の溶液とする。患者の体重あたりで計算した必要量を採取し、日局生理食塩液で希釈して 500mL とする。

心ファブリー病患者を対象とした製造販売後臨床試験において、安全性解析対象症例 6例中、4例(66.7%)に副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められ、その内訳は、大腸癌、動悸、咽喉絞扼感、結腸ポリープ、びらん性胃炎、悪心、そう痒症、悪寒、熱感、浮腫、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、血圧低下、血中尿素増加、体温低下及び白血球数減少が各 1例(16.7%)であった。[再審査終了時](1)重大な副作用(頻度不明)Infusion associated reaction(IAR;本剤投与当日に発現する反応):悪寒、発熱、体温変動感、悪心、高血圧、嘔吐、潮紅、錯感覚(ファブリー痛)、疲労、疼痛(四肢痛)、頭痛、そう痒症、胸痛(胸部不快感)、低血圧、頻脈、動悸、徐脈、呼吸困難、喘鳴(咽喉絞扼感)、咳嗽、鼻炎、発疹、蕁麻疹、流涙増加、腹痛、筋痛、浮動性めまい、蒼白、酸素飽和度低下、浮腫等が報告されている。投与中あるいは投与終了後は、観察を十分に行い、これらの症状が発現した場合は、点滴速度を下げ、あるいは投与を一時中止し、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等の投与を考慮すること。(「重要な基本的注意」の項参照)

薬価基準収載

頻度不明注)

頻脈血液およびリンパ系心臓眼胃腸

(2)その他の副作用

全身および投与局所様態

筋肉痛感染症および寄生虫症筋骨格系および結合組織神経系呼吸器、胸郭および縦隔皮膚および皮下組織血管

体温変動感

1%以上

悪心、腹痛、嘔吐

疼痛頭痛

そう痒症、蕁麻疹、発疹潮紅

胸痛、悪寒、発熱、疲労、末梢性浮腫

1%未満好酸球増加症徐脈、動悸流涙増加

胃腸炎背部痛

鼻炎 呼吸困難、 咳嗽錯感覚

高血圧、低血圧

呼吸窮迫、喘鳴

日本標準商品分類番号 販 売 開 始

貯       法

国 際 誕 生承 認 番 号

薬 価 収 載使  用  期  限規 制 区 分

再 審 査 結 果

〒163-1488 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号

*製造販売

ファブラザイム®を適切にご使用いただくために

【警告】本剤投与により重篤なアナフィラキシーが発現する可能性があるので、本剤は、緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。また、重篤なinfusion associated reactionが発現した場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)本剤の成分又はα-ガラクトシダーゼ製剤に対するアナフィラキシーショックの既往歴のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)

生物由来製品 劇薬 処方箋医薬品:注意̶医師等の処方箋により使用すること遺伝子組換えファブリー病治療剤

アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)静注用凍結乾燥製剤

873959日本標準商品分類番号

会員限定疾患情報サイト

ファブリーN@viでは、ファブリー病の早期診断・早期治療を実現するために、診断や治療のポイントなどを解説しています。

2019年11月作成GZJP.FABR.19.11.1643

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ファブリー病の概要

ファブリー病は遺伝性疾患であるライソゾーム病の一種です。ファブリー病はα-ガラクトシダーゼという酵素をつくる遺伝子に変化がみられるため、その活性が弱く(あるいは無く)、グロボトリアオシルセラミド(GL-3)が分解されず、細胞内に蓄積する疾患です。そのため、ファブリー病では、全身にさまざまな症状が出現します。

ファブリー病の病態

ファブリー病では、本来分解されるべき物質であるGL-3が全身の細胞に蓄積するため、心臓や腎臓、脳をはじめ、さまざまな臓器に症状が現れます。症状の種類や時期、程度には個人差があります。

ファブリー病の症状

酵素補充療法とは

● 古典型ファブリー病の進行モデル(イメージ図)

● 治療開始時期

酵素補充療法(ERT)の意義

ファブリー病では、全身にさまざまな症状が出現します

細胞の中にあるライソゾームで、α-ガラクトシダーゼという酵素の働きが低下していると…

GL-3がライソゾームに徐々に蓄積していきます。

ライソゾームミトコンドリア

核粗面小胞体

リボソーム

ゴルジ体

ヒトの細胞 GL-3

GL-3

ファブリー病の治療には、蓄積したGL-3を除去する根本的治療の「酵素補充療法」があり、2週間に1回、点滴で行います。

酵素補充療法の意義ファブリー病が進行すると、心臓の症状や腎臓の症状、脳血管の症状などがみられるようになり、突然死などのリスクが高まる可能性があります。そのため、酵素補充療法の大きな目的は、GL-3を各種細胞から除去することにより、心不全、腎不全、脳梗塞などの発症を抑えることです。

衞藤 義勝 編: ファブリー病UpDate, p.106-110, 2013 診断と治療社. より改変

衞藤 義勝 編: ファブリー病UpDate, p.62, 2013 診断と治療社. より作成

ファブリー病診断治療ハンドブック編集委員会 編: ファブリー病診断治療ハンドブック2015: p28, 2015, E・N MEDIX.より改変

心症状

注)症状の種類や時期、程度には個人差があります。

0 30 60(歳)

成人期から現れることの多い症状としては、右記のようなものが挙げられます。

心症状(心肥大、不整脈、心不全)

腎症状(蛋白尿、腎不全)

脳血管症状(脳梗塞、脳出血) など

脳血管症状

腎症状

四肢疼痛

女性の場合男性の場合

現在のところ治療開始時期は明確ではないが、明らかな臓器障害を認める場合は酵素補充療法を開始するべきと考える。年齢的に20歳くらいを目安にしてもよいと思われる。患者本人が希望する場合は、より早期に開始してもよい。

ファブリー病の症状が一つでも出現したら治療を開始するべきと考える。初発症状は4~5歳の四肢疼痛であることが多いので、およそこの時期が酵素補充療法の開始の目安となる。

1 2

ファブラザイム®を適切にご使用いただくために

腎臓蛋白尿、腎不全

消化器腹痛、下痢など

呼吸器咳、喘息

眼角膜混濁など

脳血管頭痛、梗塞、卒中

頭痛、眩暈、うつ、片麻痺、知能障害など

神経

耳眩暈、難聴など

心臓左室肥大、胸痛、不整脈など

四肢疼痛、低汗、無汗、知覚異常など

自律神経

皮膚被角血管腫

【ファブラザイム®の使用上の注意(抜粋)】6.小児等への投与 小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

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Infusion Associated Reaction(IAR)の症状 酵素補充療法におけるIAR発現時の対処法

3 4

100

80

60

40

20

0

(%)

IARの発現率

海外第Ⅲ相臨床試験におけるIARの発現率の推移(3年)(海外データ)

Wilcox WR, et al: Am J Hum Genet 2004; 75: 65-74.Eng CM, et al: N Engl J Med 2001; 345: 9-16.(承認時評価資料)

: 海外第Ⅲ相延長試験における30ヵ月間のファブラザイム®投与の安全性および有効性を評価する。: 多施設、多国籍、非盲検、延長試験: 20週間のファブラザイム®1mg/kgによる第Ⅲ相二重盲検比較試験を完了した女性2例を含むファブリー病患者58例(本試験の対象は16歳以上であり、血清クレアチニン値2.2mg/dL未満の患者。透析中または腎移植を受けている患者は除外): 海外第Ⅲ相二重盲検比較検証試験において、ファブラザイム®1mg/kg群とプラセボ群に無作為に割り付け、ファブラザイム®

1mg/kgまたはプラセボを20週間隔週投与した。その後、延長試験において非盲検下で全例にファブラザイム®1mg/kg(0.9~1.1mg/kg)を隔週最長30ヵ月投与した。: 皮膚生検によるグロボトリアオシルセラミド(GL-3)の蓄積、バイタルサイン、身体機能、血液検査、尿検査、血清クレアチニンおよび

eGFR、蛋白尿、12誘導心電図、SF-36健康関連スコア、疼痛スコア、血漿中GL-3濃度、抗IgG抗体の発現の有無、安全性 など: 各治療群におけるeGFR、疼痛スコア、SF-36健康関連スコアのベースラインから30ヵ月後までの平均変化量を一標本t検定を用いて解析した。: 本研究は仏サノフィ社の支援によって行われた。

目 的試験デザイン対 象

試 験 方 法

評 価 項 目

解 析 計 画

利 益 相 反

海外第Ⅲ相臨床試験におけるIARの発現率は、0~6ヵ月では66%、6~12ヵ月では59%、12~18ヵ月では46%、18~24ヵ月では29%、24~30ヵ月では21%、30~36ヵ月では14%であった。

0~6ヵ月

66%(19/29例) 59%

(34/58例)46%

(26/57例)

29%(16/56例) 21%

(11/52例) 14%(7/51例)

6~12ヵ月 12~18ヵ月 18~24ヵ月 24~30ヵ月 30~36ヵ月追跡期間

二重盲検 オープンラベル

参考

IARとは、「酵素製剤投与の当日に発現し、酵素補充療法自体に関与すると思われる反応」のことであり、以下のような症状がみられます。

IARとは

● IARの重症度分類別にみた症状

重症度 症状

軽症

中等症 軽い呼吸困難、喘鳴、咳、血管浮腫、全身性発疹(体表の5%以上)、潮紅、頻脈、嘔吐、中等度の全身瘙痒

重症 上記のすべての症候に加えて重症の呼吸困難、気道の閉塞、血圧低下、心血管虚脱など

限局性の発疹(体表の5%未満)、瘙痒、くしゃみ、流涙、鼻閉、熱感

衞藤 義勝 編: ファブリー病UpDate, p.206-211, 2013, 診断と治療社. より改変

IARが認められた場合、ただちに投与速度を下げるか、一旦投与を中止し、ステロイド薬、抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬などの治療を行います。

IAR発現時の対処法および次回投与時の対応

● 重症度分類別にみたIAR発現時の対処法

衞藤 義勝 編: ファブリー病UpDate, p.178-183, 2013, 診断と治療社. より改変

IARの重症度および頻度

軽度ないし中等度のIARの初回または再発

重症のIARの初回または再発

前投薬

投与速度

投与開始1時間前 ・抗ヒスタミン薬 ・解熱鎮痛薬/抗炎症薬

0.15mg/minから開始し、異常を認めなければ徐々に0.25mg/minまで投与速度を上げる

投与開始1、6、12時間前 ・副腎皮質ホルモン製剤投与開始1時間前 ・抗ヒスタミン薬 ・解熱鎮痛薬/抗炎症薬

● 重症度分類別にみた次回投与時の対応

IARの重症度および頻度

軽度~中等度のIARの初回または再発

重症のIARの初回または再発

前投薬

投与速度

投与開始1、6、12時間前経過観察

投与開始1時間前抗ヒスタミン薬+解熱鎮痛薬

0.15mg/minから開始し、異常を認めなければ徐々に0.25mg/minまで投与速度を上げる

投与開始1、6、12時間前ステロイド薬

投与開始1時間前抗ヒスタミン薬+解熱鎮痛薬

解熱鎮痛薬(経口)

例 : アセトアミノフェン500mg以下(小児10mg/kg)またはイブプロフェン200mg以下(小児5mg/kg)

抗ヒスタミン薬(経口)

例 : ヒドロキシジン30mg以下(小児0.8mg/kg)

ステロイド薬例 : プレドニゾロン

40mg(小児1mg/kg)を12時間前30mg(小児0.8mg/kg)を1、6時間前

衞藤 義勝 編: ファブリー病UpDate, p.206-211, 2013, 診断と治療社. より改変

ファブラザイム®を適切にご使用いただくために

【ファブラザイム®の用法・用量】 通常、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり1mgを隔週、点滴静注する。用法・用量に関連する使用上の注意(抜粋) (1)投与速度:Infusion associated reactionが発現するおそれがあるため、初回投与速度は0.25mg/分(15mg/時)以下とすること。患者の忍容性が十分に確認された場合、徐々に速めてもよい。ただし、投与速度は0.5mg/分を超えないこと。(「重要な基本的注意」の項参照)

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東北大学病院小児科における外来パスの取り組み

6

 患者さんが特に気にされているのは、ERTの効果だと思いますので、まずは初回導入時の治療説明において、ERTの意義をしっかりと説明するように心がけています。その後、副作用、特にInfusion Associated Reaction(IAR)について説明するようにしています。IARの症状に関しては、重症度別に軽症の症状から重症の症状までを具体的にお話し、患者さんが不安に感じることがないように配慮しています。また、IARの発現時期に関しては、その大半が投与開始初期の数ヵ月以内に出てくる可能性を説明しておくことも大切なポイントではないでしょうか。 実際のところ、IARが起こった場合でも、軽症のものがほとんどだと思いますが、まれに重症の呼吸困難などが起こることもありますので、初回導入時にきちんとお伝えしておくことが大切だと考えています。ERTは1回で終わる治療ではなく、長期にわたり継続していく必要がある治療ですので、最初にベネフィットとリスクをきちんとお話しておくことが重要だと思います。当科ではIAR対策として、初回投与時から開始後数ヵ月は、前投薬を必ず行うようにしています。その後、患者さんの様子をみながら、経口ヒスタミン薬、抗炎症薬などによる前投薬に切り替えて、病院に来る前に家で服用してきてもらうようにしている症例もあります。

 当科では外来でERTを行っていますが、その際ERTを適正かつ安全に行うために、「ファブラザイム外来パス(図)」を用いています。私がこのファブラザイム

外来パスを作成した経緯としては、外来看護師が誰でも同じような対応ができるようにするためでした。ファブラザイム外来パスには、バイタルなどの検査項目、ファブラザイムの調製方法だけでなく、IARでよくみられる症状やその対処に使用する薬剤、緊急処置なども記載しています。また同時に、IAR発現時の処置に用いる薬剤を救急カートに標準化されている薬剤から指定しています。

 ファブラザイム外来パス運用後は、どの看護師でもスムーズな対応ができるようになり、患者さんに副作用の徴候がみられる場合には、すぐに適切な対応が行えるようになっています。今後も、新たにファブリー病と診断され、治療の必要性がある患者さんに対しては、ファブラザイム外来パスに従って治療導入を行い、適切に投与が行えるようにしていきたいと考えています。

酵素補充療法(ERT)初回導入時に心がけているポイント

【監修】東北大学病院 小児科 准教授 坂本 修 先生

5

ファブラザイム®の投与量および投与速度の算出

初回投与速度は0.25mg/分(15mg/時)以下としてください。患者さんの忍容性が十分に確認された場合は、徐々に速度を速めることが可能ですが、0.5mg/分(30mg/時)を超えないようにしてください。

(1mg/kg投与量を生理食塩液で希釈して500mLにした時の1時間当たりの輸液投与量と投与終了までの時間)

体重(kg)

2021222324252627282930313233343536373839404142434445464748495051525354555657585960

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989694929088878583828079787675

(133分)

(140分)

(147分)

(153分)

(160分)

(167分)

(173分)

(180分)

(187分)

(193分)

(200分)

(207分)

(213分)

(220分)

(227分)

(233分)

(240分)

(247分)

(253分)

(260分)

(267分)

(273分)

(280分)

(287分)

(293分)

(300分)

(307分)

(313分)

(320分)

(327分)

(333分)

(340分)

(347分)

(353分)

(360分)

(367分)

(373分)

(380分)

(387分)

(393分)

(400分)

375357341326313300288278268259250242234227221214208203197192188183179174170167163160156153150147144142139136134132129127125

(80分)

(84分)

(88分)

(92分)

(96分)

(100分)

(104分)

(108分)

(112分)

(116分)

(120分)

(124分)

(128分)

(132分)

(136分)

(140分)

(144分)

(148分)

(152分)

(156分)

(160分)

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(184分)

(188分)

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(200分)

(204分)

(208分)

(212分)

(216分)

(220分)

(224分)

(228分)

(232分)

(236分)

(240分)

500500500500500500500500500500500484469455441429417405395385375366357349341333326319313306300294288283278273268263259254250

(40分)

(42分)

(44分)

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(84分)

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(102分)

(104分)

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(108分)

(110分)

(112分)

(114分)

(116分)

(118分)

(120分)

0.15mg/分の場合(mL)

0.25mg/分の場合(mL)

0.5mg/分の場合(mL)

体重(kg)

616263646566676869707172737475767778798081828384858687888990919293949596979899

100

(407分)

(413分)

(420分)

(427分)

(433分)

(440分)

(447分)

(453分)

(460分)

(467分)

(473分)

(480分)

(487分)

(493分)

(500分)

(507分)

(513分)

(520分)

(527分)

(533分)

(540分)

(547分)

(553分)

(560分)

(567分)

(573分)

(580分)

(587分)

(593分)

(600分)

(607分)

(613分)

(620分)

(627分)

(633分)

(640分)

(647分)

(653分)

(660分)

(667分)

74737170696867666564636362616059585857565655545453525251515049494848474746464545

(244分)

(248分)

(252分)

(256分)

(260分)

(264分)

(268分)

(272分)

(276分)

(280分)

(284分)

(288分)

(292分)

(296分)

(300分)

(304分)

(308分)

(312分)

(316分)

(320分)

(324分)

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(332分)

(336分)

(340分)

(344分)

(348分)

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(372分)

(376分)

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(396分)

(400分)

123121119117115114112110109107106104103101100

99979695949391908988878685848382828180797877777675

(122分)

(124分)

(126分)

(128分)

(130分)

(132分)

(134分)

(136分)

(138分)

(140分)

(142分)

(144分)

(146分)

(148分)

(150分)

(152分)

(154分)

(156分)

(158分)

(160分)

(162分)

(164分)

(166分)

(168分)

(170分)

(172分)

(174分)

(176分)

(178分)

(180分)

(182分)

(184分)

(186分)

(188分)

(190分)

(192分)

(194分)

(196分)

(198分)

(200分)

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0.15mg/分の場合(mL)

0.25mg/分の場合(mL)

0.5mg/分の場合(mL)

投与速度を0.15mg/分とする場合 … ●1分間の輸液投与量:500(mL)/55(mg)×0.15(mg/分)=1.36(mL/分)●1時間の輸液投与量:1.36(mL)×60(分)=82(mL)

投与速度を0.25mg/分とする場合 … ●1分間の輸液投与量:500(mL)/55(mg)×0.25(mg/分)=2.27(mL/分)●1時間の輸液投与量:2.27(mL)×60(分)=136(mL)

投与速度を0.5mg/分とする場合 … ●1分間の輸液投与量:500(mL)/55(mg)×0.5(mg/分)=4.55(mL/分)●1時間の輸液投与量:4.55(mL)×60(分)=273(mL)

例) 体重55kgの場合→ 1回投与量:55mg

外来パス導入の背景とメリット

【ファブラザイム®の用法・用量】 通常、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり1mgを隔週、点滴静注する。用法・用量に関連する使用上の注意(抜粋) (1)投与速度:Infusion associated reactionが発現するおそれがあるため、初回投与速度は0.25mg/分(15mg/時)以下とすること。患者の忍容性が十分に確認された場合、徐々に速めてもよい。ただし、投与速度は0.5mg/分を超えないこと。(「重要な基本的注意」の項参照)