総務委員会視察報告 - 長久手市議会議員 なかじま和代...
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総務委員会視察報告
なかじま和代
平成28年7月25日(月)〜26日(火)
1 施設概要
アオーレ長岡は、新幹線の長岡駅よりスカイデッキを歩き3分のところにあります。
冬場は1日に1メートルの積雪も珍しくない雪国ならではの空中通路で、途中交差点
もありました。アオーレとは、長岡の方言で『会いましょう』の意味を持ち、公募で決ま
った名称です。建築家の隈研吾氏により設計され、官と民の融合を市松模様に込め
たデザインが印象的な建物でした。市役所の各種窓口を担う庁舎の役割に加え、
5,000人が収容できるアリーナ、シアター、市長室、議会など多目的な空間で、完成か
ら4年が経ち、日常的に市民の方が利用するスペースとして活用されていました。駅
前はシャッター街だったそうですが、アオーレ長岡の完成後、空き店舗の半分に新しく
飲食店などが入り、賑わいを取り戻しているということでした。
歴史ある市民協働
市民のハレの場ナカマドの配置
開かれた議会の具現化
アオーレ長岡
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2 市松模様
長岡には、長岡藩の祭の様子「蔵王権現祭禮御覧之図(ざおうごんげんさいれいご
らんのず)」という絵巻物があります。城内に町民がお祭りの屋台広げ、武士と町民が
共に楽しんだ様子が描かれています。長岡では、昔から武士と町民の間の垣根が低
かったことをヒントに、官民の明確な区分けがないようすを市松模様デザインにしたそ
うです。官と民の活動が市松模様のように混ざり合うようにということです。
アオーレ長岡はどちらを見ても、市松模様、壁に天井、床に映る影までもが市松模
様でした。
現在この市民による市民のための運営体制を担うのがNPO法人ながおか未来創造
ネットワークです。 NPOでは、利用者であり企画者である市民が実現したいことの実
現に向けてのサポートしています。アオーレの使い方のルール作りも市民が参加して
決めています。行政側は、これらを黒子となって環境づくりのために安全対策、法令
に基づく業務部分などをバックアップしています。
一般利用は、基本無料で利用ができます。アリーナも当日までに予約がなければ、
一般への無料開放をしています。ナカマドは結婚式の会場になったり、保育園の遠足
の目的地になったり、高校の会場になったりと使われ方が成長しています。
アリーナ、ナカマド、ホールその他の稼働率は83%ほど、市民の利用は82%となっ
ています。
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3 市役所の移転・大改革
長岡市は3度の合併により庁舎スペースの老朽化に加え、不足、市役所機能が分
散するなどが問題でした。それに加え、平成16年の中越大震災では旧本庁舎の耐
震性の不足から緊急時の防災拠点としての必要性も認識されました。移転先として
は、長岡駅前はシャッター通りが続き賑わいがなくなっていたこと、交通弱者のために
も長岡駅に直結していることを考え、中心市街地にUターンすることになりました。
市役所はワンストップ窓口を採用し、平日は午後8時、休日も5時まで窓口をオープ
ンしています。窓口に市政全般に精通した係長級の職員3名がコンシェルジュとして
窓口案内をしています。
市役所内に食堂がなく、市職員は近隣の飲食店へ積極的に昼食で利用しすることを
市長が働きかけているそうです。長岡駅周辺の空き店舗は市役所のUターン後、4
7%が減少し店舗数も増加しています。多くは飲食店です。
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2 開かれた議場
開かれた議場を具現化するために、議場入口のロビーには長岡藩の祭の様子「蔵
王権現祭禮御覧之図(ざおうごんげんさいれいごらんのず)」が展示していあります。
議場はナカマドに面した1階に配置されていて、外からの光が議場内を照らしていま
した。ガラス越しなので、外から中の様子、中から外の様子がわかります。議会の開
会中、当初は見えるようにしていたそうですが、現在は閉じるそうです。
座席の配置形状は、全体が見渡せる「円形すり鉢状」で、傍聴席、記者席から全体が
見渡せ、手元までよく見える作りでした。真上の天井には3cm幅はある厚めの杉板が
放射線を表すように取り付けてありました。この板は長岡花火をイメージしたものだそ
うです。
傍聴席の数は65席、車椅子席2席、防音対策をした親子傍聴室が用意されていまし
た。車椅子のかた、親子のかたの利用は少ない数ですがあるそうです。
本会議中はケーブルテレビでの配信とともにナカマドの大型モニターにもリアルタイム
で中継がされるそうです。
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今回の視察は平日の暑い時間でしたがアオーレ、ナカマド、市役所のどこを歩い
てもくつろぐ人の姿がみられました。杉材をふんだんに使う市松模様のデザインは
この複合施設全体の統一感を深めていました。市役所は、夜8時まで開いているこ
と、窓口から全体が見渡せる棚などが低い作りになっていること、窓が多く内装は
白が基調で明るい雰囲気なこと、窓口の案内スタッフが市政全般に精通した中堅の
かたであることなど機能的であり、利用する市民にとって敷居の高くないものになっ
ていると感じました。長久手の庁舎は古く、構造的な部分で変更は難しいと思いま
すが、開館時間の見直し、ワンストップサービスなど、工夫次第だと考えます。
地元素材は、市松模様の杉、壁紙や椅子に「小国和紙(新潟県指定文化財)」、椅
子に「栃尾紬」などへ積極的に利用していました。長久手でも、木曽川の上下流域
の交流自治体である南木曽の檜の活用が小学校などで行われていますが、もっと
積極的な活用ができるのではないかと考えます。
職員のかたがアロハを着ていました。雰囲気を明るくし、一目で職員とわかります。
1枚目は支給、2枚目以降は 2,000 円弱の実費で購入するそうです。クールビズの
期間は職員かどうかの分かりにくさがあるので、一案だと思います。
全体を通しては、笑顔の職員のかたを多く見たことも印象的でした。出会いの場、活
動交流の場として、長久手のキャッチフレーズ「まずは笑顔でこんにちは」を実践し、
まず作り笑顔から、本当の笑顔が生まれるといいと思います。
長久手市へ活かす
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千代田区は、江戸城の面影を残す皇居のほか、国会議事堂、首
相官邸や霞ヶ関官庁街、 高裁判所など日本の主要機関があり
ます。東京駅は、日本の中心、東京の顔です。人口は都心回帰の
流れで 5 万 9,243 人と長久手と同程度ですが、定住人口の十数
倍が昼間区民として活動しています。
議場は庁舎7階にあり、議場としての機能を持つとともに本会議期
間以外では多目的ホールとして使えるということで視察させていた
だきました。
千代田区議会
新議事堂の整備について
千代田区議会
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多目的利用に配慮した議場
議場は傍聴席側から正面が議長席、その後ろ
に大型のスクリーンがあります。議員席25と、区
職員22は対面式に配置されていました。 議場内全ての机と椅子が可動式で傍聴席下の
スペースへ移動収納できます。 議場の机、椅子は姉妹都市秋田県五城目町で
製作されたものです。 議席には、マイク、スピーカー、出席ボタン、投票
時の賛成反対ボタンが設置されています。 正面の200インチスクリーンのほかに、傍聴席
からは左右に65インチのスクリーンで、投票の
様子、資料の画像などが映されます。傍聴席は
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69席、このうち車椅子席が3あります。 本会議の様子は4台のカメラで録画し、リアルタ
イムで庁舎内モニター、インターネット中継をして
います。 平成19年の完成から9年が経ちましたが、国の
機関との合同庁舎なので平日5時以降、土日の
利用にはエレベーター利用にセキュリティ上の手
続きが必要なこと、マイクなど電気系統の適切な
取り扱いが必要なため移動の際に設置業者に頼
む必要があることなどが理由に区民のかたの利
用はあまりないそうです。 庁舎1階に、区民ホールと呼ばれる広いフリース
ペースがあり、そちらは活発に利用されていると
いうことでした。
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委員会の放映
委員会室は大小4つあり、天井のカメラで撮影
し、庁舎内へ配信しています。機能的には、ケー
ブルテレビ、インターネットなど外部配信も可能
な設備だと言うことでした。
傍聴者へのアンケートは傍聴の感想のほかに
「ちよだ区議会だより」への意見なども盛り込ん
だものでした。
議員活動のためのスペースとして図書室、印刷
スペースがありました。
千代田区が全国で初めて罰則付き路上喫煙禁
止を盛り込んだ条例の「路上喫煙禁止」の看板
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が庁舎外にありました。
コミニティサイクルは試験中だと言うことです。
長久手市へ
本会議以外の期間でスペースを有効に活用す
る当初の案は斬新だと思う。現在の議場では形
が決まっているので、利用したい団体も限られて
くると思うが、貸せる体制作りは考えておきたい。
長久手の議場の建替えの際には、緊急の召集
時の対策など課題をよく議論する必要がある。
議員活動のための印刷スペースが長久手では
無いので、少し充実できたら良いと感じました。
委員会室ほか