塩素系難燃剤 - MS-JSWEee-net.ne.jp/dp/20131115/2013.11.pdf · · 2013-11-22TDS試料中DP...
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Dechlorane Plusの概要
Dechlorane Plus®
塩素系の難燃剤
殺虫剤や難燃剤として使われて使用禁止となったMirex(Dechlorane)の代替品として登場してきた
・ポリマー樹脂に混合して使用(10‐30%)・主に電気ケーブルやワイヤーの被膜に用いられる。(トラッキングを起こしにくい)・安価である
製品の特徴
Occidental Chemical Corporation (OxyChem)により1960年代から生産されている・
・
現在でのアメリカにおける生産および輸入量は少なくとも450 t /year日本における2003、2004年度の需要量600 t (難燃剤・難燃材料の活用技術、2010)
22013/11/18
DPの工業的合成
Cl
Cl
Cl
Cl
Cl
Cl+ 2
(65‐75%)
Diels‐alder反応
シクロオクタジエンヘキサクロロシクロペンタジエン
工業原体ではAnti体がSyn体より多い 32013/11/18
DPの危険性
Mirex(Dechlorane)Aldrine
Heptachlor
OXyChem社が行なった試験(これらの試験をクリア)
・急性毒性試験(経口、経皮、吸入)、・皮膚過敏性試験、・亜慢性毒性試験(経口、経皮、吸入)、・生分解性試験、・水生毒性、・変異原性試験
・高いオクタノール/水分配係数 Log Kow = 9.3 > 3.5 (化審法で高濃縮性の判断基準)を有する
上記の毒性試験の他は行なわれていない
・これまでのPOPsとの構造的類似性 Dechlorane Plus
環境中、または生体内蓄積の懸念42013/11/18
DPの検出事例
北米5大湖周辺の環境(大気、土壌、魚)中から初めて検出 (Hoh et al.)
土壌中の垂直濃度分布解析1970年代後半から増加していることがわかった (Hoh et al.)
Environmental Science&Technology (2006)
OxyChemの所在地ナイアガラ滝の近く
52013/11/18
DP検出試料とその採集地点
大気(8)
水(河川水 海水)(3)
土壌(8)
ハウスダスト(2)
樹皮(2)
魚(5)
鳥(4)
ヒト(血清、髪)(2)
中国(4)、北米(3)、その他(1)
中国(2)、その他(1)
中国(5)、北米(3)
中国(1)、北米(1)
中国、ドイツ、イタリア、韓国、北米
中国(2)、北米(2)、韓国(1)
北米(3)、スペイン(1)
中国(2)
試料(報告数2011時点) 採取地点
非生物試料
生物試料
62013/11/18
“Dechlorane Plus”論文報告数推移
0
5
10
15
20
25
30
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013(~May)
報告件数
(中国)
2006年の論文を皮切りに年々論文報告数は増加特に中国からの報告が多数を占めている
72013/11/18
大阪府における塩素系難燃剤デクロランプラス濃度レベル(食品・大気)
食事 大気
食事
大気
1.魚試料(環境汚染物質の影響を受けやすい)2.トータルダイエットスタディー試料(2012)
・石英繊維フィルターにより捕集した大気粉塵
予想される主要DP曝露源
汚染実態調査(大阪府)
9
を想定
2013/11/18
食品試料分析フロー
食品試料
ジエチルエーテル/ヘキサン
抽出
GPC
硫酸処理
GC‐HRMS分析JMS‐800Dカラム:DB‐1
水洗濃縮
濃縮
Std 1ppb
トータルダイエットスタディー試料
syn‐DP anti‐DP
クロマトグラム例
濃縮
102013/11/18
魚試料中DP濃度
スズキで も高く、サワラ、イワシ、アジ、カンパチで比較的高い値となったPBDEの10~100分の1
DP (pg g‐1 wet wt) PBDE (pg g‐1 wet wt)syn‐ anti‐ ΣDP ƒantia #28 #49 #47 #66 #100 #99 #126 #154 #153 ΣPBDE
サワラ Hyogo, Japan 0.67 0.84 1.51 0.56 7.7 7.4 25.3 4.4 N.D. 3.2 N.D. 3.5 N.D. 52 サワラ Toyama, Japan 1.27 1.87 3.14 0.59 6.0 21.0 39.9 2.3 11.1 7.1 2.5 24.6 N.D. 115 サワラ Kyoto, Japan 1.10 1.56 2.66 0.59 16.9 68.2 119 9.5 43.7 20.9 18.7 55.4 11.7 364 カツオ Kochi, Japan N.D. 0.37 0.37 ‐ N.D. 2.1 2.5 N.D. N.D. N.D. N.D. 5.8 N.D. 10 カツオ Miyagi, Japan N.D. 0.28 0.28 ‐ N.D. 2.8 2.5 N.D. N.D. N.D. N.D. 2.8 N.D. 8 タイ Fukuoka, Japan N.D. 0.62 0.62 ‐ N.D. 1.5 3.7 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. 5 タイ Fukuoka, Japan N.D. 0.45 0.45 ‐ N.D. N.D. 3.0 N.D. N.D. N.D. N.D. 3.8 N.D. 7 サバ Fukuoka, Japan 0.92 1.68 2.60 0.65 11.7 112 265 20.8 91.1 89.1 15.9 204 68.7 878 サバ Chiba, Japan 0.33 0.83 1.16 0.72 1.7 9.2 16.1 N.D. 5.5 3.5 N.D. 12.4 N.D. 48 ヨコワ Nagasaki, Japan 0.54 1.04 1.58 0.66 9.2 76.3 161 18.4 67.9 38.7 11.6 118 27.3 529 舌ヒラメ Hyogo, Japan 0.59 0.78 1.37 0.57 N.D. N.D. 3.5 N.D. N.D. N.D. N.D. 2.6 N.D. 6 イサキ Wakayama, Japan N.D. N.D. ‐ ‐ N.D. 1.7 4.0 N.D. N.D. N.D. N.D. 3.5 N.D. 9 スズキ Hyogo, Japan 6.10 8.09 14.2 0.57 17.4 25.7 89.3 9.4 16.2 5.1 3.1 32.6 6.8 206 ヒラメ Aomori, Japan N.D. 0.70 0.70 ‐ 17.9 109 291 8.8 62.6 21.4 15.8 84.0 19.8 631 イワシ Chiba, Japan 1.62 2.47 4.09 0.61 4.3 17.2 31.6 2.4 7.3 6.4 9.6 15.9 N.D. 95 アジ Hyogo, Japan 1.54 2.15 3.69 0.58 2.8 8.1 21.6 N.D. 8.3 N.D. 6.8 9.4 N.D. 57 カレイ Ishikawa , Japan 0.25 0.54 0.79 0.68 1.0 11.0 28.0 N.D. 6.4 N.D. 3.3 13.9 N.D. 64 タラ Hokkaido , Japan N.D. N.D. ‐ ‐ N.D. N.D. 2.2 N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. N.D. 2 カンパチ Unknown, Japan 1.76 3.23 4.99 0.65 17.3 100 199 4.5 106 39.3 41.4 138 24.0 670 カラスガレイ Unknown, Denmark N.D. 0.44 0.44 ‐ 9.4 19.4 144 4.4 19.6 15.8 N.D. 10.4 N.D. 223
112013/11/18
1.米・米加工品
2.穀類・種実類
3.砂糖・菓子類
4.油脂類
5.豆・豆加工品
6.果実
7.緑黄色野菜
8.淡色野菜、海藻
9.嗜好飲料
10.魚介類
11.肉・卵
12.乳・乳製品
13.調味料その他
1日摂取量(g/day)
334
176
32
10
52
107
95
184
679
72
120
111
101
食事経由1日DP推定曝露量 576 pg day−1であることがわかった PBDE 61800 pg day−1
100分の1
TDS試料中DP濃度
DP (pg g‐1 wet wt) PBDE (pg g‐1 wet wt)
Groups syn‐ anti‐ ΣDP ƒantia #209 ΣPBDE
1 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐2 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐3 0.98 2.36 3.34 0.71 153 153 4 ‐ ‐ ‐ ‐ 75.9 79.1 5 0.94 1.88 2.82 0.67 74.6 74.6 6 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐7 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐8 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐9 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐
10 0.99 0.95 1.94 0.49 31.8 308 11 0.58 0.94 1.53 0.62 87.2 94.8 12 ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐13 ‐ ‐ ‐ ‐ 186 186
0.620 0.09
122013/11/18
大気試料
ジクロロメタン
超音波抽出
シリカゲルカラム
硫酸処理
GC‐HRMS分析
濃縮
濃縮ハイボリウムエアーサンプラ―石英繊維フィルターを装着
500L/hr、1週間捕集total 5040m3
2012.11月~2013.3月の間
大気粉塵試料分析フロー
捕集後のフィルター
132013/11/18
DP (pg m‐3) PBDE (pg m‐3)
filtera syn‐ anti‐ ΣDP ƒantib #209 ΣPBDE1 5.5 9.9 15.4 0.64 9.82 11.7 2 2.6 7.8 10.4 0.75 21.1 23.3 3 3.4 11.0 14.4 0.76 8.13 9.9 4 1.8 6.4 8.2 0.78 12.2 13.5 5 3.2 11.0 14.2 0.77 13.8 15.5 6 1.9 5.2 7.1 0.74 17.2 19.4 7 2.1 6.0 8.1 0.75 11.3 12.9
mean 11.1 0.74 ### 15.2 a sampling period 3.5 4.7
1Nov.21‐Nov.28,20122Nov.29‐Dec.6,20123Feb.13‐Feb.19,20134Feb.20‐Feb.26,20135Feb.28‐Mar.7,20136Mar.7‐Mar.14,20137Mar.14‐Mar.21,2013
大気粉塵試料中DP濃度
大気経由1日DP推定曝露量 174 pg day−1 PBDE 238 pg day−1であることがわかった
同程度
Std 100ppb
大気粉塵
呼吸率 15.7 m3 day‐1(US EPA, 2011) 142013/11/18
Std 1ppb Std 100ppb
大気粉塵TDS試料
syn‐DP anti‐DP
Fanti=anti‐DP
anti‐DP + syn‐DP工業製品(0.65‐0.75)
大気試料ではanti‐DPの割合が食品試料に比べ多い傾向が見られた。
DP異性体組成比の傾向
152013/11/18
まとめ
1・大阪における食事、大気からのDP曝露量を明らかにすることができた2・食品試料中濃度はPBDEの100分の1程度であったが、大気中濃度はPBDEと
同程度であることがわかった
3・DPとPBDEで食品と大気中濃度比が異なる
・使用量が減少しているPBDEに比べてDPは 近使用量が増加してきたばかり(汚染段階の差)
4・食品試料と大気試料でsyn‐とanti‐比に違いが見られた(生体蓄積性に差がある可能性)
今後、臭素系難燃剤の製造禁止(PBDE、HBCD)の影響を受けDPの使用量の増加が見込まれる
対象範囲をデクロラン類に広げモニタリング調査(大気中デクロラン類の季節変動および日本以外の大気、粒径分布等)を続けていく
DP曝露量750(pg/day)
食事
大気
PBDE曝露量62000(pg/day)
食事
大気
172013/11/18