テキストブック - MR Imaging...
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発行:2016年6月
テキストブック
- MR Imaging Option編 -
この資料は、製造元から提供される取扱説明書の操作方法・注意事項等を簡潔に記載したものであるため、装置の操作にあたっては、製造元から提供される取扱説明書を参照してください。
安全使用に関しての注意等は省略されている場合があります。安全使用のための注意、患者さんの安全確保のために、守っていただきたい事項などにつきましては、取扱説明書、添付文書に従ってください。
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Chapter1 アーチファクトの抑制
Chapter2 空間分解能の向上
Imaging Optionとは?
1. Imaging Optionってなに?
2. Imaging Optionの用途は?
St : Spatial Saturation (イメージングオプションではありません)
NP : No Phase Wrap
FC : Flow Compensation
RC : Respiratory Compensation
RTr : Respiratory Gating / Triggering
ECG, PG, Gate : Cardiac Gating and Triggering
BC : Blurring Cancellation
CCOMP : Cardiac Compensation
Navi : Navigator*
Z512, Z1024 : In Plane Zero Filling Interpolation
Z2, Z4 : In Slice Zero Filling Interpolation
SqP : Square Pixel
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
テキストブック
- Imaging Option編 -
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Chapter3 コントラストの強化や変化
VBw : Variable Bandwidth (イメージングオプションではありません)
TRF : Tailored RF
EDR : Extended Dynamic Range
BB : Blood Suppression
MT :Magnetization Transfer
IR Prep : Inversion Recovery Preparation
T2Prep : T2 Preparation*, **
DE Prep : Driven Equilibrium Preparation
SSRF : Spectral Spatial RF*
CL : Classic
SCIC : Surface Coil Intensity Correction
PURE : Phased array Uniformity Enhancement**
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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- Imaging Option編 -
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Chapter4 パルスシーケンスの拡張機能
SP : Smart Prep
FT : Fluoro Trigger
Seq : Sequential
MP :Multi Phase
MS :Multi Station
RT : i/Drive
AST : Array Spatial Sensitivity Encoding Technique
ARC : Auto calibrating Reconstruction for Cartesian imaging
FL : Full Echo Train
MART :Modulated Angle Refocusing Train
VERSE : Variable-Rate Selective Excitation
IDL :IDEAL*
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
テキストブック
- Imaging Option編 -
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Imaging Optionとは?- 1. Imaging Optionってなに? -
Imaging Optionは使用目的に応じて画像を改善するために使用します。
MRはPulse sequenceの選択、Pulse sequenceの設定条件、およびImaging optionの組み合わせによっていろいろな画像を撮像できます。
ここでは用途に応じたImaging optionの使い方と、Imaging optionを併用することにより取得できる画像について説明します。
【Imaging Option Window】
下図に“Imaging Option Window”を示します。シーケンス毎に選択できるOptionのみ表示されます。
(組み合わせにより選択できないImaging Optionもあります。)
図1-1. Imaging Option Window
“イメージングオプション [Imaging Option]”をクリックすると、
使用しているシーケンスに対応したイメージングオプションが
表示されます。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Imaging Optionとは?- 2. Imaging Optionの用途は?-
Imaging Optionを用途別に分類すると以下の4つに分けることができます。
• アーチファクトの抑制
• 空間分解能の向上
• コントラストの強化や変化
• パルスシーケンスの拡張機能
【アーチファクトの抑制】
St : Spatial Saturation (イメージングオプションではありません)NP : No Phase WrapFC : Flow CompensationRC : Respiratory CompensationRTr : Respiratory Gating / TriggeringECG, PG, Gate : Cardiac Gating and TriggeringBC : Blurring CancellationNavi : Navigator*
【空間分解能の向上】Z512, Z1024 : In Plane Zero Filling InterpolationZ2, Z4 : In Slice Zero Filling InterpolationSqP : Square Pixel
【コントラストの強化や変化】VBw : Variable Bandwidth (イメージングオプションではありません)TRF : Tailored RFEDR : Extended Dynamic RangeBB : Blood SuppressionMT :Magnetization TransferIR Prep : Inversion Recovery PreparationT2Prep : T2 Preparation**DE Prep : Driven Equilibrium PreparationSSRF : Spectral Spatial RF*CL : ClassicSCIC : Surface Coil Intensity CorrectionPURE : Phased array Uniformity Enhancement**
【パルスシーケンスの拡張機能】
SP : Smart PrepFT : Fluoro TriggerSeq : SequentialMph :Multi PhaseMstation :Multi StationReal Time : i-DriveAST : AssetARC : Autocalibrating Reconstruction for Cartesian imagingFL : Full Echo TrainIDL : IDEAL*MART :Modulated Angle Refocusing Train VERSE : Variable-Rate Selective Excitation
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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アーチファクトの抑制に関する代表的なイメージングオプションは下記の通りです。
【アーチファクトの抑制】
St : Spatial Saturation (イメージングオプションではありません)
NP : No Phase Wrap
FC : Flow Compensation
RC : Respiratory Compensation
RTr : Respiratory Gating / Triggering
ECG, PG, Gate : Cardiac Gating and Triggering
BC : Blurring Cancellation
Navi : Navigator*
Chapter1:アーチファクトの抑制 Chapter1
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- St -
St :Spatial Saturation (イメージングオプションではありません)
SATを受けた血流
撮像領域
SATパルス
90° 90° 180°
図1-1. SATの原理
90°
90°
180°
90°
180°
血流(SAT領域)
撮像領域
①SAT領域を励起。 ②撮像領域を励起。SAT領域から流入した励起された血流も再度励起。
③血流の磁化はほぼ飽和状態。
【目的】Spatial Saturation (SAT)は、撮像領域のデータを収集する(スライス選択方向の励起をする)前に、血流やCSFの流れ等によるアーチファクトの原因となる部分をRFパルスで励起して組織を飽和して、アーチファクトの信号強度を最小限に抑えるイメージングオプションです。
頭部(ロカライザ用を除く)、頭部サジタル内耳管、脳下垂体、眼窩、胸椎、腰椎サジタル、上腹部、動脈(フロー除く)などの部位の撮像に効果があります。
<SATを入れると、なぜ、撮像枚数が減るの?>
SATパルス1組につき(例えば、SとI、AとP、LとR)、1TR当たり数msecかかります。これは、厚さと角度が同じでパルスの“セット”と仮定した場合です。厚さと角度が異なる場合は、各パルスにつき8msecずつかかります。データ収集の時間が少なくなるため、収集できるスライス数が少なくなります。
【メリット】
・アーチファクトの抑制
・撮像枚数の減少・TRの延長・撮像したい部分に近づけ過ぎた場合には、S/Nの低下を起こします
【デメリット】
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter1
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Chapter1:アーチファクトの抑制- St -
【設定方法】FOVの外側にSATパルスを印加して、スピンがFOV内に流入する前に移動スピンを飽和させて血液やCSFの信号強度を抑制することができます。また、GRxでFOV内にSATパルスをかけることもできます。
通常、FOV外SATはスライス選択方向に、FOV内Satは位相Phase方向に設定します。FOV外SATでは、スライス位置から30mmはなれた領域に40mmの厚みでかかります(Ver.9.1以後)。
① “GRx”ボタンを押し、“Graphic Rx Toolbar”を表示します。② “SAT”ボタンを押し、SATを入れたい方向のアルファベットをクリックします。③ 初期値(デフォルト)はSATの厚さが40mmです。このまま“Accept”をクリックして、ウィンドウを閉じると、S方向に40mmのFOV外SATが入ります。
④ 入力し直す場合、あるいは、Satをコピーする場合はSATの消去で一度消去します。
40
①図1-2. SATの設定手順
③
* Concat SAT : Concatenated SAT
分割SAT:2Acq以上の時、あるいは3DTOF-MRAや、2DTOF-MRAなどの撮像時、Concat Satを選択して起動させることができます(④)。
分割スキャン毎にスライス選択方向にかけることができます。撮像するスライス選択方向に沿ってSAT領域が移動し、スライス選択方向の動きを効率よく抑制します。(Oblique撮像では、選択できません。)
1Acq.
SAT
SAT
Slice2
Slice1
Slice3
Slice5
Slice4
Slice6
SAT
SAT
2Acq.
②
*
④
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
St :Spatial Saturation (イメージングオプションではありません)
Chapter1
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Chapter1:アーチファクトの抑制- St -
【SATの種類】
・スライス選択方向のFOV外SAT
スライス選択方向とは、撮像面がAXIAL面の場合 :SATはS/I方向SAGITTAL面の場合 :SATはR/L方向CORONAL面の場合 :SATはA/P方向 を意味します。
FOV
S
I
・スライス面のFOV外SAT
下図においてSagittal面を撮像する際にS, I,A,P方向のSATを指します。
SAT
40mm
SAT
40mm30mm 30mm
撮像断面
1 2 3 4 5
FOV外SAT
FOV内SAT
腹壁や臓器あるいは血管などの撮像領域内で移動するスピンにSATパルスを印加して、撮像領域内で発生するアーチファクトを抑制します。例えば、頚椎検査の際に、つばを飲み込んだために動きのアーチファクトが軽減できます。数値でもグラフィックス上でも指定できます。
図1-3. Sagittal画像でのS,I,A,P方向のFOV外SAT
図1-4. スライス選択方向のFOV外SAT
SATの設定手順(図1-2)を参照し、SATスクリーンを出します。① 入れいたい方向のボタンをクリックします。・・・ この例では、A方向。
② ビューポート内をクリックし、赤い色のSATバンドを出します。
③ SATバンドの位置、幅、角度を調整します。
40
①
② ③SATの位置 :赤い線、あるいは、網目状の
場所をドラッグします。
SATの幅 :中央の赤丸をドラッグします。
SATの回転 :左右の赤丸をドラッグして回転します。
図1-5. FOV内SATの設定
注意: SATバンドの幅に関してSatパルスは薄いほうが集中してかかるため効きがよくなります。できるだけ薄くしましょう。
A P
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
St :Spatial Saturation (イメージングオプションではありません)
Chapter1
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Chapter1:アーチファクトの抑制- St -
【SATパルスの強さ*】
Ver. 23.1以後のシステムでは、SATパルスの強さを変化させることができます。下図のように、Advanceタブにおいて、UserCV : CV19の値を変更することにより強さを設定します。
注意:
・ Light(0)からStrong(2)にするに伴いMT効果が増強し、筋肉の信号が低下する場合があります(MERGE)。
・ Light(0)からStrong(2)にするに伴いSARが増加し、TRおよび撮像時間が延長する場合があります。
図1-6. Spatial Saturationパルスの強さの設定例
CV19 0: Light1: Medium2: Strong
“0=Light” “1=Medium” “2=Strong”
CV19 対応パルスシーケンス・ FSE系・ MERGE
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
St :Spatial Saturation (イメージングオプションではありません)
Chapter1
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Chapter1:アーチファクトの抑制- NPW -
NP :No Phase Wrap
【目的】
被写体がFOVよりも位相方向に大きい場合、はみ出したものがFOVの中に
折り返り、被写体の信号に重なってしまいます。
これを折り返しアーチファクトと言います。
No Phase Wrapは折り返しアーチファクトを防止するために使用します。
【どんな時にNo Phase Wrapを使うの?】撮像部位より位相方向のFOVが小さい場合にNPWを使用します。(例)下垂体、脊椎、肩など・・・
ポイント:通常、長軸方向がデフォルトでは周波数方向になっています(体幹部のSag、CorはS-I方向)。アーチファクトの問題などでSwap(位相、周波数方向の入れ替え)を行ったときは、NPWをONにしてください。
【メリット】
・折り返しアーチファクト防止
・撮像時間の延長を防ぐためにNEXが設定した半分になることによって、動きのアーチファクトが若干増える場合があります。・NEX=1で使用する場合には、撮像時間の延長
【デメリット】
信号はフーリエ変換された後で±180°の位相値によってフェーズエンコーディング軸方向のFOVの中に位置を割り振られます。
位相方向
-180° 180°
-180° 0° 180°
240°
0°
FOVの外側にも傾斜磁場が作用しているためFOVからはみだしている被写体は±180°以上位相が回転してしまいます。
A 左図のAを見てみると、この位相は240°です。これはFOV内の-120°と同じ位相
角度になってしまうため、間違った位置情報で画像が表示されてしまいます
位相方向この現象を折り返し(フェーズラップアラウンドアーチファクト)
といいます。図1-7. 折り返しの発生原因
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter1
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Chapter1:アーチファクトの抑制- NPW -
NP :No Phase Wrap
【NPWを併用できないImaging Option】
ASSETはNPWと併用できません。
NPW ON NPW OFF
表示画像
位相エンコード方向のサンプリング数を2倍することにより収集FOVを広げ、設定FOVのみの画像を表示することにより折り返しアーチファクトを防止できます。
収集FOV
表示FOVCUT CUT
NEXを2と入力しても、実際にはNEX 1となります。FOVは倍の撮像をしていますのでS/N比に変化はありません。一方、モーションアーチファクトは、NEXを加算するほど、ノイズの部分の信号が実質に対して目立たなくなりますので、動きに弱くなります。
<NPW・・・ON>S/N比は変化しない(NEX 1/2 倍 FOV 2倍)。データの加算回数の減少による動きのアーチファクト増加。
NEX 1: NEXを半分にすると0.5になってしまいますが、0.5NEXでは、データが不足してしまいオーバースキャンが必要になるために、撮像時間は若干延長します。
NEX 2以上:撮像時間には影響しません。
図1-8. No Phase Wrapの特徴
【使用方法・特徴】
アノテーションにはイメージングオプションの項目に“NP”と記載されます
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- FC -
FC :Flow Compensation
【目的】血流やCSF、腸管など撮像中に動くものは 静止部位と異なった位相情報を持ちます。異なった位相情報が動きのアーチファクトとして画像に表れます。FCは、動く部位の位相を静止部位と同じようにそろえて、フローアーチファクトを補正するImaging Optionです。
【使用できるシーケンスは?】FSE, Fast IR, SE :ただしT1wには使用しないことをお勧めします。造影後は使用可能です。SPGR, GRE :TE= In phase, Out of Phaseとは併用不可です。
【適用部位の例】脊髄領域、関節領域、体幹部、MRA等
【メリット】
・ 血流、CSF、腸管などのアーチファクトを軽減します。・ スライス方向または周波数方向のフロー抑制にもっとも効果があります。
・ FCのグラディエントはエコー信号を得る前に印加されるため、TEが延長します。・ MinTEが長くなることによって、T1wのコントラストが変化することがあります。・ TEの延長により、設定可能なスライス枚数が減少することがあります。・造影後のT1強調画像に使用した場合、微小血管が増強されて見えます。
【デメリット】
傾斜磁場に沿って移動するプロトンは静止しているプロトンとは異なった速度で歳差運動をします。移動しているプロトンは静止しているプロトンに比べ位相のズレが生じアーチファクトが出現します。
血液の流れ
傾斜磁場
低い 高い
遅い歳差運動 速い歳差運動
図1-9. Flow Compensationの原理①
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- FC -
FC :Flow Compensation
FC:On FC:Off
図1-11. Flow CompensationのON, OFF
1
-2
1
移動
移動
移動
傾きθの傾斜磁場
傾き2θの傾斜磁場
移動しているプロトン
は、移動している間に1:-2:1の傾斜磁場を受けます。ずれた位相を面積で考えると、
A
B
C
A
B
C
=
=
=
が1個分
が6個分
が5個分
FCは、1、-2,1
で強さと極性の異なった傾斜磁場をかけます。
図1-10. Flow Compensationの原理②
1 × +(-6 × )+5 × =0(位相ずれなし)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- RC -
RC :Respiratory Compensation 呼吸補正
【目的】Respiratory Compensation(以下RC)は、ベローズを巻き、呼吸波形を使って位相エンコーディングデータを並べ替えて(Sorting)、体壁運動によるゴーストを抑制します。
【RC使用時の注意点】・呼吸波形は、RCおよびRTrにのみ使用するものです。患者さんのモニタリングには使用しないでください。
・ 2NEXまたは4NEX使用時、RCなしの画像と比較した場合に、血流によるFlowアーチファクトが増加することがあります。これは折り返しアーチファクトを抑制させるためにNPWを使用しておりNEXが表記の半分になるためAveraging効果が低減するためです。・・・ 使用できるNEXは1NEX、 2 or 4NEXのみです。
・撮像中、患者さんにはできるだけ一定の呼吸パターンを続けるように指示してください。また、メッセージ欄に「Resp OK」が表示されるか見てください。「Resp OK」が表示されない状態でもスキャンは実行されますが、RCの効果は得られません。
【メリット】
・ 呼吸によるアーチファクトの補正
・ 3NEXが使用できない。・ 2NEX以上ではPhaseFOVが使用できない。
【デメリット】
ベローズの推奨位置を下図に示します。図のように体壁運動の大きいところに巻きつけることをお勧めします。
女性など胸式呼吸の患者さんには胸骨の下部肋骨に巻きます。
使用できるシーケンス
・ SE :胸、腹、骨盤部 T1強調画像
・ GRE :下肢静脈、膝、肩等
・ Cine :心臓図1-12. ベローズの巻き方例
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- RC-
RC :Respiratry Compansation 呼吸補正
D=(FOV / Nv)×F
D :ゴーストの出る距離
Nv :位相Matrix数
F :呼吸数
【ゴーストの出る距離】
ゴーストの出る距離は下式により表され、呼吸数が多いほどゴーストは離れます。
【RCの臨床応用】
a:T1強調画像 RC OFF b:T1強調画像 RC ON
図1-13 RCのON. OFF
【NEXの違い】
1NEX 2NEX
呼吸は安定させた方がデータ収集は良くなります。
図1-14 RCと加算回数の違い
加算回数(NEX)1よりも2の方がアーチファクトが少ないことがわかります。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- RTr -
RTr :Respiratory Triggering 呼吸同期
【RTrはなぜT2強調画像に使われるの?】
RTrの使用可能なパルスシーケンスは、2D FSE、3D Fast GRE/SPGRと3D Fast TOF GRE/SPGRです。RTr併用時は比較的呼吸が安定しているタイミングのみでデータを収集するので、患者さんの呼吸が不安定になるとアーチファクトの抑制効果が小さくなります。また、実効TRが患者さんの呼吸周期に依存してしまうため(最低でも3000msec程度)T2強調画像のみで使用可能です。画像にはRTrというアノテーションが表示されます。
【RTrの特徴】
Data Acquisition Window と実効TR
RTr使用時のデータ収集タイミングは下図のようにTrigger PointとTrigger Windowを設定することにより決まります。また、RTr使用時のTRは実効TR(Effective TR)と呼びます。この実効TRは呼吸周期Resp. Intervalの整数倍のみ設定できます。
【注意点】Trigger PointとTrigger Windowを小さく設定するとData Acquisition Windowが大きくなり、1 Resp. Interval内で収集できるデータ数は増加しますが、体壁運動によるアーチファクトが発生しやすくなりますのでご注意ください。
図1-15. Respiratory Triggeringの設定パラメータ
Trigger Point
Data Acquisition Window
Resp. Interval
Trigger Window
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Trigger Point
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Chapter1:アーチファクトの抑制- RTr -
RTr :Respiratory Triggering 呼吸同期
【“レスピラトリ”タブの設定方法】
①パルスシーケンス、Imaging Option等の設定後、“レスピラトリ”タブを開きます。
②各パラメータを設定します。タブを開くとその時の患者呼吸数が自動で入力されています。
変動した場合は“呼吸回数の更新”を押してください(③)。
=Eff. TRと撮像枚数が決まります。
呼吸間隔:=Eff. TRとして必要な呼吸間隔数
トリガーポイント/ウインドウ=データ収集時間の設定(図1-15参照)
シーケンス間遅延 Inter-Seq. Delay = “Minimum” or “Even Space”データ収集時間の調節
【RTrの各パラメータの説明】
16
呼吸間隔(RR Interval):呼吸の間隔数を入力ここでTR(Eff. TR)が決まり、撮像枚数が確定します。2Acqの設定ができませんので、枚数の必要に応じて
1か2以上を設定します。
トリガーポイント: データ収集を開始する時間
トリガーウィンドウ :データ収集をしない時間
・・・共に呼吸間隔を100%とした場合の%で表示します。
シーケンス間遅延:Minできるだけ最短でデータ収集を行います。
Even Space呼吸間隔を撮像枚数で均等な間隔に割った時間でデータ収集を行います。
①
②
③
図1-16. “レスピラトリ(Respiratory)”タブの設定パラメータ①
図1-17. “レスピラトリ(Respiratory)”タブの設定パラメータ②
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- RTr -
RTr :Respiratory Triggering 呼吸同期
【各パラメータの原理】
呼吸のアーチファクトの影響
・・・数値を上げると影響は少なくなります
できるだけ最短でデータ収集を行います。不規則な呼吸に強くなります。
呼吸間隔は撮像スライス数に合わせて設定します。(実行TRが4000以下にならないように注意)
呼吸は一定に。
撮像スライス数が最大スライス数より1, 2枚少なめに設定することで不規則な呼吸に強くなります。
Trigger Point/Windowは大きめに設定しましょう。・Trigger Point :20・Trigger Window:40
図1-18. 呼吸間隔の設定
Trigger Point
Data Acquisition Window
Resp. Interval
Trigger Window
呼吸間隔
Trigger Point / Window
撮像可能枚数
・・・数値を上げると撮像可能枚数は減少します
図1-19. Trigger Point / Windowの設定
Inter-Seq. Delay
Min
呼吸間隔を枚数で均等な間隔に割った時間でデータ収集を行います。クロストークの影響が少なくなります。(スライス間のRFパルスによる干渉)
Even Space
図1-20. Inter-Seq. Delayの設定
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- ECG -
ECG :Electric Cardiac Gating 心電図同期
【目的】Electric Cardiac Gating(以下ECG)はパルスシーケンスを繰り返すたびに、心周期の同一ポイントで同じデータの収集ができます。ECGを用いることにより、心臓の拍動によるモーションアーチファクト、血流由来のアーチファクトを低減することができます。
【メリット】
・ 心臓の動きによるアーチファクトの軽減(T1w、T2w、Cine、Gated2DTOF、Black Blood、fgret、CinePC、Delayed、Enhancementなど)
・ Scan Timeが延長する場合があります。・ 同期がかからない場合は撮像がStopする場合があります。・ 2 Acq.の設定ができません。
【デメリット】
図1-21. 電極貼り付け方法
白(RA)
黒(LA)
緑(RL)
赤(LL)
ケーブルは下から出したほうが体動の影響を受けにくい。
【電極の貼り方】
ECGの波形は、Cardiac Gatingにのみ使用するものです。患者さんのモニタリングには絶対に使用しないでください。患者さんの状態が反映されない場合があるため、緊急治療に誤りが生じることがあります。
*電極を貼る前には必ず、酒精綿で、拭いてください。
*電極の貼り方は、図を参照し、骨の上に小さくまとめて貼り、テープで固定します。
* 古い電極は、ジェルが乾いて波形が取れない場合がありますので新しい電極をお使いください。
* やけど防止のため電極と皮膚の間にタオル等を挟んでください。
* 場合によっては剃毛を必要とします。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- ECG -
ECG :Electric Cardiac Gating 心電図同期
【Cardiac Gating設定方法(1)】
コンソール画面下にある“Gating Control” ボタンを押します。
① ベクトルECGを選択します標準ゲーティング(ECG):従来からの心電図
② VCG Ⅰ+Ⅱ:ベクトル心電図の場合はこちらを選択します。心電図でRが反転している場合は反転を選択。
PG: 脈波センサー使用時に選択します。
自動: 標準ゲーティング が選択されているときに、VCGの電位が一番高いものを自動的に選択します。
③ トリガタイプゲーティング画面②で選択したGateが反映されます。
⑥ 心拍数 : 5秒おきにアップデートされます。
心拍数を指定 : HRを手入力できます。
不整脈の場合は手入力をした方がいい場合があります。
④ RR間隔数T1強調画像を撮像する場合 RRは1のみT2強調画像を撮像する場合 RRは4以上
⑤トリガーウィンドR-R間隔数に対するデータを取らない割合をパーセンテージで表します。大きい値の方がアーチファクトに強くなります。
VCG Ⅰ+Ⅱ
VCGⅠ+Ⅱ
VCGⅠ
VCGⅡ
① ②
③④⑤
⑥
図1-22. ゲーティング画面の設定
図1-23. “カーディアック”タブの設定
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- ECG -
ECG :Electric Cardiac Gating 心電図同期
1R-R TR1000
4R-R TR4000
・ RRを増やすとEff. TRが長くなるのでT2強調のコントラストが強くなります。
・T2強調では、心拍数が多いときに枚数を増やすためRRを増やします。
図1-25. 心拍の違い
図1-24. RR間隔数の違い
BPM60
BPM90
8Slice
15Slice
呼吸間隔数について
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- ECG -
ECG :Electric Cardiac Gating 心電図同期
⑦ トリガ遅延
データを取り始める時間 (msec)
⑧ シーケンス間遅延
データ収集の時間間隔
SAT
SAT
Min
Recommend
図1-28. SAT使用時のトリガ遅延の原理
図1-29. シーケンス間遅延の原理
Min
Even Space
不整脈の患者さんに有効
クロストークの影響が少なくなります
データ収集直前にSATをかけるためSATの効果が高くなります
トリガー遅延をできるだけ短く設定したいときに(2D TOFを使用した下肢非造影検査など)有効
【Cardiac Gating設定方法(2)】
トリガー遅延
シーケンス間遅延
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- ECG -
ECG :Electric Cardiac Gating 心電図同期
⑨ セグメントあたりのView数FastCardおよびFastCineの場合に使用できます。Fast SEでいうところのEcho Train Length(ETL)に相当し、1心拍毎のk-spaceの充填数を決めます。値を増やすとScan Timeが短くなりますが、ボケやブレが大きくなります。
⑩ 再構成するフェーズ数RR間で、ここに入力した値の心位相の異なる画像が再構成されます。基準値では20が設定されています。Autoを選択すると、システムが自動的にAvailable Imaging Time内を設定可能な最大数で分割します。
【Cardiac Gating設定方法(3)】
図1-30. “カーディアック”タブの設定
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter1
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Chapter1:アーチファクトの抑制- PG -
PG : Peripheral Gating 脈波同期
【目的】Peripheral Gating(以下PG)は励起を繰り返すたびに、血流脈動の同一ポイントで同じデータが収集できます。PGを用いることにより、CSFの拍動によるモーションアーチファクト、血流由来によるアーチファクトを低減することができます。
【メリット】
・ 心臓の動きによるアーチファクトの軽減(T1w、T2w、Cine、Gated2DTOF、Black Blood、fgret、CinePC、Delayed、Enhancementなど)
・ ECGよりも簡便に利用できます。
・撮像時間が延長します。・同期がかからない場合は撮像がStopする場合があります。・2 Acqの設定ができません。・ECGに比較するとアーチファクトが多くなります。
【デメリット】
図1-31. PG取り付け方法
【PGのつけ方】
PGの波形は、Peripheral Gatingにのみ使用するものです。患者さんのモニタリングには絶対に使用しないでください。
患者さんの状態が反映されない場合があるため、緊急治療に誤りが生じることがあります。
・ センサ部分を検査中、低温で乾燥した状態に保って下さい。爪先、骨以外の部分にセンサを取り付けて信号が正しく読み取れるようにしてください。
・ センサおよびケーブルは撮像領域に入れないでください。検査中はセンサをなるべく静止させておくように患者さんに指示してください。RFまたはグラディエントパルスの影響を最小限にするためにセンサはアイソセンタから離してください。
・ PGを強く締め付けすぎると患者さんが指先に痛みや痺れを感じる場合があります。 軽く指を挟んでいただく程度で血流を感知することができます。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter1
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Chapter1:アーチファクトの抑制- PG -
PG :Peripheral Gating 脈波同期
【設定方法】
① 患者さんの指にPGを取り付けます。
②ゲーティングコントロール画面を開きます
③ 波形表示
波形表示は 「心電図」を選択します
④ トリガリード
トリガリードは 「PG」を選択します
【注意】PGは血流脈動を検出するフォトパルスセンサを使用しています。フォトパルス波形は心臓の電気的活動ではなく、血流を表していることに注意してください。
①
②
③
④
図1-32. PGのゲーティング設定
【注意点】波形表示の「PG表示」を選択しても同期撮像にはなりません。必ず「心電図」を選択して下さい。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter1
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Chapter1:アーチファクトの抑制- PG -
PG :Peripheral Gating 脈波同期
【Gatingの方法にはECGとPGの2種類がありますがどちらを選択した方が良いのでしょうか?】
下肢(総腸骨動脈)のMRAにおいてECGとPGの2種類のGatingを使用したときのピーク流速を見積もった結果を示します。ECGを使用した場合、R波から約200ms程度のDelayをおいてピーク流速のPhaseが観察されましたが、PGを使用すると脈波のTriggerの時点もしくはその前がピーク流速のPhaseになっていることがわかります。これはピーク流速のTimingが心臓から観察部位までの距離に比例するためです。ECGの場合にはTriggerとしているのが心臓のR波であるため、心臓と総腸骨動脈の間にある程度の距離があるためピーク流速にDelayが生じます。これに対してPGの場合には指から感知される脈波が既に心臓
から距離のある場所で収集されており、しかもその距離は心臓から総腸骨動脈までの距離とほぼ同等かむしろそれよりも長いために、上記のような脈波のTrigger付近に血流のピーク流速が一致してしまう現象が見られます。
・・・ Electric Cardiac GatingとPeripheral GatingのTrigger Delay【PGのチェックポイント】
2D Fast PC w/ ECG 2D Fast PC w/ PG
図1-33. ECGとPGのTrigger Delay
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter1
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Chapter1:アーチファクトの抑制- BC -
BC : Blurring Cancellation
【目的】Fast SE系シーケンスで、混在する信号強度によるボケ(T2フィルター効果)を低減します。
Spin Echoでは1回の励起パルスにおいて収集されるエコーは1つであるため、k-space上に埋められる各データは同一のT2緩和Timingでデータ収集が行われます。そのためT2緩和が原因による画像ボケは生じませんが、FSEでは、異なる信号強度のエコーがk-space上に並ぶため、ボケを生じます。
Fast Spin Echoでは1回の励起パルスにおいて複数のエコーが収集されるため、k-space上に埋められる各データにはTEの異なる信号が混在する形になります。データ収集中にもT2緩和は起こっているため、各TEのエコー信号に含まれる各組識の信号強度は変化します。上図の例ではETL =4とETL =8で比較していますが、ETLの数が多い方が最初のエコーと最後のエコーとの間にT2緩和によってできる信号強度の差が大きくなっていることがわかります。
図1-34. T2フィルター効果
SE FSE
信号強度差信号強度差
これは同一k-space内に信号強度の異なる信号が含まれていることになるため、画像化した際にボケとして観察されます。これをT2フィルター効果といいます。ボケの度合いについは、各組織の持っているT2値によって異なります。
1エコー数・・・・
この信号強度の段差がBlurring Artifactの原因となります。
信号強度
2 3 …
図1-35. FSE系の信号強度の模式図
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- BC -
BC : Blurring Cancellation
信号強度の段差を平均化するために奇数NEXは上から1エコー、2エコーと順にk-spaceを埋めていきます。偶数NEXは上から信号の弱い6エコーから逆に埋めていきます。するとNEXごとにk-space内の配列が逆になるので、最終的に信号を画像にしたときに信号強度が平均化されボケ、ぶれが減少します。
奇数NEX 偶数NEX
下図のように傾斜磁場の勾配を反転することでk-space内の配列を逆にし、信号強度をほぼ平均化します。
【Blurring Cancellationの原理】
図1-36. BCを併用したFSE系シーケンスのk-spaceデータ補充方法(ETL=6)
1
信号強度
2 3 4 5 6 ETL 1
信号強度
2 3 4 5 6 ETL
Frequency
k-space
Ph
ase 6
54321
k-space
Ph
ase
Frequency
123456
6ETL(エコートレイン)
奇数NEX
1
偶数NEX
信号強度
Signal
図1-37. BCを併用したFSE系シーケンスのデータ補充方法(ETL=6)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- BC -
T2値の短い組織は、信号強度の落差が激しくなるために、ETLが増加することによるボケの度合いは大きくなります。それに対して、水のようなT2値の長いものは同じETLの変化でも信号強度の落差が小さくてすむため、ボケの度合いは小さくて済みます。
【メリット】
・ FSE系シーケンスのブラー(ボケ)を軽減します(T2強調、PD強調、T1強調)。
【デメリット】
・ 1NEXで使用すると、撮像時間が長くなります。・ NPWを併用した場合、1NEX、3NEXが使用できません。・ 最小TEが約1.5倍になります。
【Blurring Cancellationの設定】
図1-38. Blurring Cancellationの設定
アノテーションには“BC”と記載されます。
FSE 32ETL BC off FSE 32ETL with BC on
図1-39. Blurring Cancellation OnとOffの比較
“詳細”タブにて、CV7を「1」に設定するとBCがONになります。
BC : Blurring Cancellation
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- NAVI -
NAVI : Navigator*, **
【目的】横隔膜の動きをモニターしながら、心電図同期と呼吸ゲートを併用して3D Coronary MRAおよび
Delayed Enhancementの画像をスキャンするためのオプションです。
Navigatorでは横隔膜の動きを追跡するナビゲータパルスを使用します。
ナビゲータトラッカーを右側横隔膜に配置し、呼吸の終末呼気時に収集を同期させ、呼吸によるゴー
ストアーチファクトを低減します。
【設定方法】
① NavigatorのTracker設定用の画像をi/DriveあるいはFIESTAにて取得します。
Go
Coronal像から横隔膜の位置のSagittal像を設定をします。
横隔膜の画像をSaveImageして、Tracker用の画像を取得します。
図1-40. Navigatorの設定例
図1-41. Navigator設定スライスの描出例
①
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter1:アーチファクトの抑制- NAVI -
【設定方法(続き)】
Trackerの大きさは、Tracker Length(縦の長さ):200mm、Tracker Thickness(横の長さ):20mmがデフォルトになっています。必要な大きさに変更してください。
② TrackerボタンをクリックしてOnにし、選択した画像上で左クリックしてTrackerの十字カーソルを
表示します。その後、撮像断面の設定を行います。
③ 開始手順
通常の撮像と同様に“スキャン(Scan)”をクリックします。
プリスキャン後にスキャンが開始されると、
Navigatorモニターウインドウが表示されます。
呼吸周期のベースラインが自動的に収集され、
画面に表示されます。
④ ラインの色について
ー: Threshold -:Acceptance Window
収集されたデータのうち、この2つのパラメータで
規定された範囲に入ったデータのみが採用されます。
青いポイントはデータが採用されたことを表しています。
⑤設定ポイントなるべく呼吸の安定したレベルでデータが収集されるようにThresholdとAcceptance Windowの値を調整しながら撮像することが可能です。ThresholdやAcceptance Windowの値を変更するとNavigatorウィンドウの表示もリアルタイムに変化します。
NAVI : Navigator*, **
図1-42. Trackerの設定例
②
③
図1-42. Navigator Monitorの設定例
Chapter1
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空間分解能の向上に関する代表的なイメージングオプションは下記の通りです。
【空間分解能の向上】
Z512, Z1024 : In Plane Zero Filling Interpolation
Z2, Z4 : In Slice Zero Filling Interpolation
SqP : Square Pixel
Chapter2:空間分解能の向上
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter2:空間分解能の向上- ZIP -
ZIP : Zero Fill Interpolation Processing
【目的】・データ補間法のひとつであり、Slice ZIPとIn-Plane ZIPの2種類が存在します。・高分解能Reconstruction(In Plane ZIP:Slice ZIP)
In Plane ZIP :撮像時間を増やすことなく解像度を上げることが可能です。Slice ZIP :撮像時間を増やすことなくスライス枚数を増やすことが可能です。
図2-1. In Plane ZIP と Slice ZIP の違い
In Plane ZIP
Slice ZIP面内で補間を行います。
スライス方向の補間を行います。
25
6
256
512
51
2
256以上のデータを「0(ゼロ)」で埋めて512マトリクスで計算を行います。
25
6
256
51
2
512
【In Plane ZIP(面内ZIP)の原理】下図のようにイメージマトリクスを多くして見た目の分解能を向上させます。
図2-2. In Plane ZIP の原理
データ = 0
k-space
MR画像
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter2:空間分解能の向上- ZIP -
【In Plane ZIPのメリット】・ 256以下のマトリクスで収集した画像データを再構成することにより、撮像時間を延長することなく見かけ上の空間分解能を向上します。
図2-3. In Plane ZIP 512の画像比較
【In Plane ZIPのデメリット】・ データ量の増大(再構成時間の延長)・ 高周波成分を補間することによりトランケーションアーチファクトが発生する場合があります。
ZIP512なし ZIP512あり
【ご参考まで】・ Fourier変換を行う前のデータにZero充填を施し、高精度なRe-Sampleを行う手法であり、
Fourier補間とも呼ばれます。・ ZIP512は512×512、ZIP1024は、1024×1024のk-spaceにデータを充填して、再構成を行います。
ZIP : Zero Fill Interpolation Processing
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter2:空間分解能の向上- ZIP -
図2-5. Slice ZIP の原理②
ZIP×2
隣り合うスライスデータから収集スキャンデータを補間することによって、スライス間のイメージを新しく作成し、 画像の連続性を向上させ、スライス方向の空間分解能を向上させます。Slice ZIPでは、スライスセンタは変更されますが、スライス厚、Scan Time、S/N比は変化しません。
図2-4. Slice ZIP の原理①
元のスライスロケーション
補間されたスライスロケーション
ZIP×2(Z2)の場合
Overwrap:50%
Imaging OptionでZIP×2(Z2)を選択すると50%、ZIP×4(Z4)で75%のオーバーラップになり、設定したロケーション数の2倍及び4倍のイメージ数になります。
ZIP : Zero Fill Interpolation Processing
【Slice ZIP(スライスZIP)の原理】
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter2:空間分解能の向上- ZIP -
【Slice ZIPのメリット】・ IVIプロジェクション画像やリフォーメーション画像のスムージング・ スライス内部位の位置による局所的アーチファクトの低減・ 3Dボリュームの収集スライス数の低減による撮像時間の短縮
【Slice ZIPのデメリット】・ スライス厚を薄くすると全体のスラブ厚が薄くなり、必要な撮像領域が不足してしまう事があります。・ スライス厚が厚すぎる場合、例えば頭部では2mm以上、身体では4mm以上の時に、リンギングアーチファクトを生じる場合があります。
SliceZIPなしのイメージではスライスの段差が目立ちますが、ZIP×2を使用したイメージでは段差が目立たなくなり、なめらかになります。
アノテーションはZ2と表示されます。
【ZIP×2、ZIP×4を使用できるパルスシーケンス】・3D FGRE / FSPGR・3D TOF-MRA・3D FastVasc TOF・3D Fiesta・3D LAVA系・3D VBRANT・Cube系
ZIP : Zero Fill Interpolation Processing
Slice ZIP off Slice ZIP on
図2-6. MRAのZIP2適用例
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter2
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Chapter2:空間分解能の向上- Square Pixel -
SQ : Square Pixel
【目的】スクエアピクセルは、正方形のピクセルを使用するイメージングオプションです。撮像時間を延長することなく、分解能を向上することができます。
マトリクス数が周波数方向・位相方向で同じ大きさではない時に、 マトリクスサイズを正方形にして分解能を上げることができます。撮像条件(撮像時間)を変えずに、高分解能の画像が得られます。
図2-7. Square Pixel On Offの違い
例えば、FOV:20cmでMatrix:256(周波数方向)×192(位相方向)で見てみると、下図のようになります。
20cm(256個) 20cm(256個)
位相方向
周波数方向
位相方向
周波数方向Square Pixel OFF Square Pixel ON
15cm
( x192個)
スクエアピクセルを使用すると分解能は向上しますが、収集FOV・ピクセルサイズ共に小さくなりますので、S/N比が低下します。位相方向のマトリクス数は変化しませんから、撮像時間は変化しません。被写体がSquare Pixel使用時のFOVに十分収まっていない場合は、折り返し現象が発生しますのでご注意してください。
【メリット】・ 撮像時間の延長なしで分解能向上。
【デメリット】・長方形FOVでは、折り返しが発生する場合があります。・ピクセルの大きさが小さくなるため、S/N比が下がります。・PhaseFOVは併用できません。
20cm
( x192個)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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コントラストの強化や変化に関する代表的なイメージングオプションは下記の通りです。
【コントラストの強化や変化】
VBw : Variable Bandwidth
TRF : Tailored RF
EDR : Extended Dynamic Range
BB : Blood Suppression
MT :Magnetization Transfer
IR Prep : Inversion Recovery Preparation
T2Prep : T2 Preparation*
DE Prep : Driven Equilibrium Preparation
SSRF : Spectral Spatial RF*
CL : Classic
SCIC : Surface Coil Intensity Correction
PURE : Phased array Uniformity Enhancement
Chapter3:コントラストの強化や変化
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter3
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Chapter3:コントラストの強化や変化- VBw -
VBw :Variable Bandwidth (イメージングオプションではありません)
【目的】Variable Bandwidth(VBw)は、RF信号受信のバンド幅を狭めて、ノイズを減らし、S/N比の増大を図る技法です。受信バンド幅を広げることによりデータサンプリング時間を短縮し、動きによるアーチファクト、あるいは、体内金属***等による磁化率の差による影響を軽減することができる場合もあります。
【メリット】
・VBwを小さくするとS/N比は大きくなります。・VBwを大きくするとデータ収集時間(サンプリング時間)が短くなります。
【デメリット】
ノイズ
信号
受信バンド幅(サンプル幅)
<受信バンド幅32kHzの場合>中心周波数から±32kHzの帯域幅を持つ周波数を、周波数エンコード方向の信号として受信する。
+32kHz
-32kHz
中心周波数(プリスキャンで設定される)
0
図3-1. Variable Bandwidthの原理
・VBwを小さくするとS/N比は大きくなるが、動きなどのアーチファクトに弱くなります。・VBwを大きくするとデータ収集時間(サンプリング時間)が短くなるが、S/N比が小さくなります。
【臨床画像例】
図3-2. 臨床画像例 1.5T、3.0Tとの比較
1.5T
3.0T
<3.0Tの場合>ケミカルシフトアーチファクトの影響からバンド幅を広く設定する必要があります。
→SNの低下に注意してください。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
BW 小 BW 大
Chapter3
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Chapter3:コントラストの強化や変化- TRF -
TRF :Tailored RF
【目的】Tailored RFはFSEおよびFIRでエコー振幅を安定させるために使用します。画像のぶれ(Blurring Artifact)が少なくなります。また、SARの減少により1TRあたりのスライス枚数が増えます。
90°
RF
180° 180° 180° 180° 180°
1st Echo
Stimulated Echo
<Stimulated Echoってなに?>
180度パルスを2回(RFパルスが3発)打たれると、残留縦磁化によりスティミュレイティッドエコー(Stimulated Echo)というごみエコーが出てきます。 これが、ブラー(ボケ)の原因の一つになります。
図3-3. FSEのRFパルスとEcho
【TRFの動作/原理】TRFをOnにすると、先頭の2つのRefocus Pulseのフリップアングルを調整し、残りのRefocus Pulseを一定に保ちます。3つ目以後のRefocus Pulseのフリップアングルを浅くすることにより、SARおよびRFパルス振幅が低減され、その結果1TRあたりのスライス数の増加します。約160°のRefocus Pulseから発生した誘発エコーが発生しますが、一次エコーの振幅が低減されるためにエコートレインの先頭部分における総エコー振幅は少なくなります。
Refocus Pulseのフリップアングルを180°から160°に下げると、信号強度が下がります。しかし、そこから発生するごみエコーも低下しますはじめの信号は強いので画像に与える信号の低下も小さく、ごみエコーを減らせます。
図3-4. FSEにおける各Echoの信号強度の模式図
信号強度
Stimulated Echo
1st Echo
時間(ETL)
TRF ON
TRF OFF 1st Echo
Stimulated Echo
1st Echo
Stimulated Echo
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Chapter3:コントラストの強化や変化- TRF -
TRF :Tailored RF
【メリット】
・ ブラー(画像のボケ)の軽減。・ スライス枚数の増加。・ SARの低下。
【デメリット】・ コントラストが若干低下する。・ S/Nが若干下がる。
FSE系シーケンス(FSE-XL、FRFSE-XL、FastIRなど)を選択時に設定可能です。
【Tailored RFのチェックポイント】
アノテーションにはイメージングオプションの項目に“TRF”と記載されます。
図3-5. TRFを使用した撮像例(頚椎T2強調画像)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter3:コントラストの強化や変化- EDR -
EDR :Extended Dynamic Range
【目的】通常16ビットで行っているデータサンプリングを32ビットで行うことにより、S/N比を改善します。
【EDRの原理】下図に、16ビットと32ビットで信号を受信したときの真の信号とデジタル信号の差を表します。この差が、小さい程量子化ノイズが少ないのでS/N比が向上します。
図3-6. 16ビットと32ビットの違い
真の信号
16bitの場合
真の信号
32bitの場合
32bitで信号を受信した時のほうが、真の信号とデジタル信号との差が少なく、S/N比が向上します。
【メリット】
・ 量子化ノイズの低減によるS/N比の向上。
【デメリット】
・ データ量の増加(データ収集に2倍のメモリを必要とします)。
もともとのアナログ信号のS/N比Rが悪い場合は、そのノイズの方がデジタル化によるノイズの影響よりも大きくなるために、EDRを使用しても効果は望めません。
【EDRのチェックポイント】
アノテーションにはイメージングオプションの項目に“ED”と記載されます
図3-7. EDRを使用した撮像例(頚椎T2強調画像)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter3:コントラストの強化や変化- BB -
BB :Blood Suppression
【目的】Blood Suppressionは、血液の信号を抑制するPreparationパルスをかけて、血流が黒い画像を作ります。FSE、FSE-IRにGateをかけたシーケンスに使用可能です。FSE+BBはDouble-IR、FSE-IR+BBは脂肪も抑制され(STIR法)Triple-IRと呼びます。
【Blood Suppressionシーケンスチャート】
【メリット】
・ 血流の信号を抑制することができます。
【デメリット】
・ 脈波同期、もしくは心電図同期の為に撮影時間が長くなります。・ 動きに弱くなります。
IRを複数使用しているのでS/N比は厳しくなる撮像シーケンスです。息止めが必要になるような部位では1枚ずつ撮像することをお勧めします。なお、Double IR + 脂肪抑制(Fat SAT)という組み合わせで撮像するのも一つの手法です。
【BBのチェックポイント】
アノテーションにはイメージングオプションの項目に“BSP”と記載されます
図3-9. BBを使用した撮像例(心筋)
Non Selective pulse
RF
ECG
Slice Selective pulse
TI
Double IR
Non Selective pulse
RF
ECG
Slice Selective pulse
TI
Triple IR
図3-8. Double IR, Triple IRのシーケンスチャート
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter3:コントラストの強化や変化- MT -
MT :Magnetization Transfer
【目的】マグネタイゼイショントランスファー(Magnetization Transfer)は、たんぱく質(白質、灰白質、骨格筋)の信号を落とし、3DTOF-MRAなどで血液と実質のコントラストを高めます。中心周波数から約1200Hzずれた広帯域パルスを印加します。
【Magnetization Transferの原理】MTパルスは結合水を飽和させて結合水の信号が落ちますが、自由水は水の交換が起こらないため、飽和しません。結合水の信号が落ちることでコントラストがつきます。
【メリット】
・ 抹消血流の描出能向上します。
【デメリット】
・ TRの延長します。・ 脂肪信号が目立つようになります。・ 流入部の信号が若干落ちます。
頭部TOF-MRAにおいてMTを使用すると脂肪信号が目立ちますが、脂肪抑制 (Fat SAT)を併用する事により脂肪信号を軽減できます。このときのFatSATパルスは、撮像時間が大きく延長されないような工夫がなされています。
【MTのチェックポイント】
アノテーションにはイメージングオプションの項目に“MT”と記載されます
図3-11. MTを使用した撮像例(頭部MRA)
図3-10. Magnetization Transferの原理
結合水
自由水(血流)MTパルス
結合水
自由水(血流)
MT なし MT あり
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter3:コントラストの強化や変化- IR Prep -
IR prep :Inversion Recovery preparation
【目的】IR Prepは、シーケンスに先立って180度パルスを印加して、T1強調を強化します。Sequentialと組み合わせて使用できます。* 2DFSPGR、3DSPGR系シーケンスにおいて使用可能です。
【IR Prepパルスシーケンス】IR Prepは、T1強調コントラストを強調する時や、選択組織からの信号を抑制する時に使用します。
【メリット】
・ 2D、3D SPGR系シーケンスにおけるT1強調コントラストが向上します。
【デメリット】
・ TI(Prep Time)によって目的のコントラストとは異なります。
図3-12. IR Prepパルスシーケンス
Echo
TRPrep Time(TI) TR
180°
α° α° α° α°
TR
RF
TE TE TE
【IR Prepの臨床応用】
最初の180度パルス印加後、待ち時間(プリパレーション時間)が続き、このプリパレーション時間(Prep Time: TI)に、必要なコントラストを得ることができます。RF励起パルスは、このTI後に印加されます。プリパレーション時間に、IR(インバージョンリカバリ)シーケンスの180度反転パルスを印加したと同様に縦磁化(T1)が変化します。その結果、T1強調コントラストを更に強調することが出来ます。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter3
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Chapter3:コントラストの強化や変化- IR Prep -
IR prep :Inversion Recovery preparation
・ 最初の180度プリパレーションパルス印加からプロトンが回復するにつれてT1緩和量は変化します。・ 画像には、アノテーションは表示されません。設定したTIのみが表示されます。
【IR Prepのチェックポイント】
図3-13. IR Prepを使用した撮像例(体幹部)
表3-1. 腹部臓器の平均T1緩和時間(1.5T & 3.0T)*
* de Bazelaire CMJ, at al : MR imaging relaxation times of abdominal and pelvic tissues measured in vivo 3.0T : preliminary results,, Radiology 230: 652-659, 2004.
Prep Time 300msec Prep Time 500msec
Prep Time 1000msecPrep Time 700msec
FIRM:
2DTOFにIR Prepを入れたシーケンスです。1枚1Secで撮像されるため、動きに強いシーケンスです。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
組織 1.5T T1値(msec) R2値(%) 3.0T T1値(msec) R2値(%) Difference(%)
腎皮質髄質
966 ± 58
1,412 ± 58
0.999
0.9971,142 ± 154
1,545 ± 142
0.990
0.999
18
9
肝 586 ± 39 0.995 809 ± 71 0.987 38
脾 1,057 ± 42 0.998 1,328 ± 31 0.998 26
膵 584 ± 14 0.982 725 ± 71 0.976 24
傍脊椎筋 856 ± 61 0.988 898 ± 33 0.988 5
骨髄 549 ± 52 0.991 586 ± 73 0.994 7
皮下脂肪 343 ± 37 0.997 382 ± 13 0.999 11
子宮筋層内膜頚部
1,309 ± 35
1,274 ± 64
1,135 ± 154
0.998
0.997
0.998
1,514 ± 156
1,453 ± 123
1,616 ± 61
0.999
0.998
0.998
16
14
42
前立腺 1,317 ± 85 0.999 1,597 ± 42 0.998 21
Chapter3
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Chapter3:コントラストの強化や変化- T2 Prep -
T2 prep** :T2 Preparation
【目的】T2 Prepは、Spiralシーケンスにおいて、非スライス選択的に90度/180度パルスを使用し、心筋コントラストを抑制するために使用します。
【T2 Prepパルスシーケンス】T2 Prepは、心筋の信号を抑制する時に使用します。
【メリット】・ 心筋の信号を抑制し、血流のコントラストを向上します。
【デメリット】
・ 若干S/N比が下がります。
図3-14. T2 Prepパルスシーケンス
Echo
TRPrep Time(TI) TR
180°
α° α° α° α°
TR
RF
TE TE TE
90°
心筋の信号を抑制し血流(冠動脈)のコントラストを上昇させている例です。
【T2 Prepの臨床応用】
図3-15. T2 Prepを使用した1.5T撮像例(冠動脈)
非造影 冠動脈 3D Heart, 4スラブ
RCA LAD
(画像提供:聖路加国際病院)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter3
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Chapter3:コントラストの強化や変化- DE Prep -
DE prep :Driven Equilibrium Preparation
【目的】90° 180° 90°のプリパレ-ションパルスを利用して2DFGREシーケンシャル撮像でT2コントラストを強調します。セントリックビューオーダーが併用できます。
【DE Prepパルスシーケンス】DE Prepは、GREシーケンスにおいてT2コントラストを強調する時に使用します。
【メリット】・ プリパレーション時間が長いほど、ディフェージングが多く行われT2強調が増加します。
【デメリット】
・ 若干のブレが発生することがあり、ブレを抑制するにはセントリックフェーズエンコードを使用します。
図3-16. DE Prepパルスシーケンス
2D Fast GREにDE Prepを併用した例です。
【DE Prepの画像例】
図3-17. T2*強調画像 Fast GRE w/ DE prep
Echo
TRPrep Time(TI) TR
180°
α° α° α° α°
TR
RF
TE TE TE
90° 90°
10msec 20msec 30msec
40msec 50msec 60msec
70msec 80msec 90msec
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter3
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Chapter3:コントラストの強化や変化- SSRF -
SSRF :Spectral Spatial RF
【目的】バイノミナルパルス(Binominal pulse)によって水を選択的に励起します。DWI-EPI, LAVA系シーケンス, MERGE, Spiral*系シーケンスなどに併用可能です。なお、DWI-EPIは初期値(デフォルト)でONの設定になっています。
【Binominal pulseの原理】
【メリット】・ CHESS法に比較し、磁場不均一に強い手法です。
【デメリット】
・ CHESS法と比べると使用シーケンスが限られます。
図3-18. Binominal pulseの原理
3D MERGEにSSRFを併用した例です。
【SSRFの臨床応用例】
図3-19. SSRFを使用した撮像例(膝関節)
Chemical Shift法の応用で一度に90度倒すのではなく、水と脂肪の位相差を利用していくつかに分割して倒すことで脂肪抑制効果を高める方法です。Binominal pulse自体に周波数選択性があり、Prepulseを付加することなく脂肪信号を抑制(水選択励起)することができます。
(a+b)nの係数を並べたもの
パスカルの三角形1
1 1
1 2 1
1 3 3 1
1 4 6 4 1
1 5 10 10 5 1
6 15 20 15 6 1
45° 45°
22.5° 45° 22.5°
11.25° 33.75° 33.75° 11.25°
90°
・・・
1
分割してRFパルスを印加する方法 SSRFパルスの模式図
静脈瘤3D MERGE w/ SSRF (VR処理)
半月板損傷3D MERGE w/ SSRF
F W
Mx
MzMy
W
F
1-1パルス(45°パルスを2回照射)
45°倒す out of phaseまで待つ 横磁化には水成分のみが倒される
パルスを増やすと脂肪抑制効果が上がるが、TEが延長する。
アノテーションにはイメージングオプションの項目に“SSRF”と記載されます
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter3
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Chapter3:コントラストの強化や変化- Classic -
Classic
【目的】ClassicをONにすると脂肪信号を若干軽減することができます。
【Classicの原理】
【メリット】・ 脂肪信号を若干軽減します。
【デメリット】
・ Classic OFFと比べると若干S/Nが下がります。
図3-20. Classicを併用したパルスシーケンス
Classic ONの方が脂肪の信号強度が低下しています。
【Classicのチェックポイント】
図3-21. Classicを使用した撮像例(頚椎領域)
Classicは90度パルスのスライス選択Gradientの極性を反転させます。これにより脂肪の励起位置ずれが逆方向になってスピンエコーを結像する脂肪信号が小さくなります。
FSE w/ ClassicFSE
90°
RF
Gz(slice)
180° 180°
Gy(phase)
Echo
Gx(frequency)
注意:脂肪抑制FatSAT(CHESS)のFat ClassicとImaging OptionのClassicは別の機能です。ご注意ください。
アノテーションにはイメージングオプションの項目に“CL”と記載されます
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter3:コントラストの強化や変化- SCIC -
【目的】サーフェイスコイルの感度補正技術です。フィルタ処理によって、サーフェイスコイルに近い組織からの過剰な輝度を最小限に抑えると同時にコイルから離れている組織の信号を増幅し、信号を均一に表示します。
【SCICの設定方法】
【メリット】・ Calibration Scanを撮像することなく感度補正ができる。・ 患者さんが動いても、Calibration Scanと本撮像の差による補正ムラがない。
【デメリット】・ コントラストがフラットになりやすい。・ 事前に自動でSCICをかける設定を行うと、元画像が出てこない。
図3-22. SCICの設定例
サーフェスコイルを使用して撮像された画像では、コイルの特性に起因する信号強度の強弱が発生します。この信号強度の違いによってアーチファクトが発生し、単一のウィンドウ/レベル設定で画像を撮像するのが困難になります。サーフェスコイル輝度補正(SCIC)機能は、低空間周波数強度変調を補正し、ノイズを削減、
さらに、画像のコントラストを強調する技法です。コイルの近辺で強度が減少した画像をフィルタしてシリーズを作成し、明るく表示される領域を減らします。
【SCICのチェックポイント】
図3-23. SCICを使用した撮像例(頚椎)
図3-22のように詳細タブで設定します。
SCIC:OFF(元画像)SCIC:ON
SCIC :Surface Coil Intensity Collection
使用可能なコイル: マルチチャンネルコイル(フェイズドアレイコイル(システムにより対応コイルが若干異なります。)
SCIC
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter3:コントラストの強化や変化- PURE -
【目的】PUREは、感度補正技術の一種です。ガントリー内蔵BodyコイルとSurfaceコイルで同一部位を撮像し、キャリブレーション処理(感度補正マップ etc.)を行うことによってコイル感度による信号強度ムラが補正されます。
【PUREの設定方法】
【メリット】・ Calibrationで得られる受信コイル感度分布をもとに補正を行うので、スライス毎の感度差が少ないです。・ SCICと比べるとコントラストが良くなります。
【デメリット】・ Calibration Scanを行う必要があります。・ Calibration Scanと本撮像の間で位置がずれると感度補正がうまくかからない場合があります。・ 事前に自動でPUREをかける設定を行うと、元画像が出てきません。
図3-24. PUREの設定例
PUREでは本撮像の前にCalibration Scanを行います。このCalibration Scanには、サーフェスコイルとBodyコイルで撮像したデータが含まれています(図3-25)。サーフェイスコイルとBodyコイルの信号強度差を事前に調べることにより、サーフェイスコイルで得られた信号強度を感度マップを元に補正していきます。つまり、Calibration Scanの成否が重要になります。
【PUREのチェックポイント】
図3-24のように詳細タブで設定します。
図3-25. PUREのCalibration Scanデータ例(腰椎領域)
PURE** :Phased array Uniformity Enhancement
使用可能なコイル: マルチチャンネルコイル(フェイズドアレイコイル(システムにより対応コイルが若干異なります。)
注意2:
本撮像で虫食いやドット状のアーチファクトが出ている場合は、再度Calibration Scanから行うことをお勧めします。
内蔵BodyコイルでCalibration
= 全体に均一な感度サーフェイスコイルでCalibration
= コイル近傍の感度が高い
注意2:コイル設定を変更した場合は、コイルコンフィグ毎にCalibrationが必要です。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter3:コントラストの強化や変化- SCIC/PURE -
感度補正技術SCICとPUREの違いを頚椎領域および骨盤領域において比較した例です。
図3-26. 感度補正技術の比較(SCIC, PURE)
感度補正技術の比較 : SCIC vs PURE**
<頚椎領域の撮像例>
コイルから離れてる部分に対してSCIC、PURE共に感度補正が行われています。
元画像 SCIC PURE
<骨盤領域の撮像例>
SCICでは膀胱の信号が低くなっています。
元画像 SCIC PURE
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter3
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パルスシーケンスの拡張機能に関する代表的なイメージングオプションは下記の通りです。
【パルスシーケンスの拡張機能】
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能
SP : Smart Prep
FT : Fluoro Trigger
Seq : Sequential
MP : Multi Phase
MS : Multi Station
RT : Real Time(i/Drive)
AST : Asset
ARC : Autocalibrating Reconstruction for Cartesian imaging
FL : Full Echo Train
MART : Modulated Angle Refocusing Train
VERSE : Variable-Rate Selective Excitation
IDL :IDEAL*
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Smart Prep -
SP : Smart Prep
【目的】SmartPrepは、造影MRA時に造影剤の流入タイミングを測って撮像を開始させるImaging Optionです。Trackerを設定することにより、造影剤を自動感知し、自動的に本撮像を開始させます。
【Smart Prepの原理】
【メリット】・ Trackerの位置を決めれば、MR装置が撮像タイミングを自動的に決定します。・ オペレータによるばらつきが少なくなります。
【デメリット】
・ 患者さんが動いた場合やTracker位置によってはSmart Prepが上手くかからない場合があります。
図4-1. Smart Prepの概略図
“Tracker”を置く場所
【Classicのチェックポイント】
図4-2. Trackerの設定例
Base Lineデータ領域(a)で造影剤注入前の信号強度を測定します。造影剤が注入され、信号強度が上昇し始めます(b)。Base Lineデータより信号強度が約15%上昇すると、自動的に撮像を開始します。息止め撮像が必要な場合は、Acquisition Delay Timeの間に息止め指示を行い(e)、本撮像に移行します。
注意:Trackerは血管からはみ出ないように設定してください。Trackerの設定は慎重にお願いします。
a b c
d
ef
g
time
SI a. Base Lineデータ
… 信号をモニターしています。
b. Begin Contrast Injection
… 造影剤を入れます。
d. 造影剤感知
e. Acquisition Delay Time
… 息止め指示を行います。
f. 撮像開始
c. 感知した時間+ Scan Time
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Fluoro Trigger -
FT : Fluoro Trigger
【目的】Fluoro Triggerは、造影MRA時にリアルタイムで画像(造影剤の流入)を確認しながら造影剤が到達したところを目で見て、撮像を開始させることができるImaging Optionです。
【Fluoro Triggerの設定】
【メリット】・ 造影剤のテスト撮像が不要です。・ 目視で確認しながら撮像が行えるので安心です。
【デメリット】
・ リアルタイムで描出した血管の位置が良くないと造影剤の流入が見えない可能性があります。・ Smart Prepと比べると、オペレータによる個人差があります。
図4-3. Fluoro Triggerの撮像手順
【Fluoro Triggerのチェックポイント】
リアルタイム(i-Drive)を使用して造影剤の流入を確認しながら撮像を行います。
注意:
・ リアルタイムでの血管位置決めは慎重に!・早すぎる撮像開始(Go3d)に注意!
①
②④
① 目的の血管が出ている位置を探します。
② “Sat”ボタンを押して、造影剤の流入を見やすくします。
③ 画像確認後、造影剤を入れます。
④ 造影剤が到達した時点で“Go3D”ボタンを押して撮像を開始します。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Sequential -
SQ : Sequential
【目的】一度に一画像を順番通りに収集するデーター収集モードです。励起パルス(位相スッテプ数×NEX×TR)がすべて一つのロケーションに対して印加されてから、別のロケーションで同じプロセスが繰り返されます。
【Sequentialの特徴】
【Sequentialの臨床応用】
以下に示すような状況でSqを使用することがあります。・2D収集でスライス間のクロストークをなくしたい場合・腹部または胸部の息止め撮像・簡単なロカライザスキャン
図4-4. Sqの設定例
2D Sequentialでは、ひとつのスライスから全てのデータを収集してから、次のスライスに移ります。合計スライス数は、収集回数と等しくなります。
したがって、「撮像時間」= “TR” × “位相マトリクス” × “NEX” × “スライス数”となります。
アノテーションにはイメージングオプションの項目に“SQ”と記載されます
図4-5. Sqを使用した撮像例(下腹部ロカライザー)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Multi Phase -
MP :Multi Phase
【目的】Multi Phaseは、同一スライスを同一条件の元に、経時的に複数回自動撮像する機能です。イメージングオプションで“Multi-Phase”を選択すると、“アディショナルパラメータ(Additional Parameters)”ウィンドウのMulti-Phaseウィンドウが使用可能になります。
【Multi Phase対応シーケンス】
【Multi Phaseのチェックポイント】
Multi Phaseに対応しているシーケンスは下記の通りです。
・SE系・FSE系・FGRE系・FSPGR系・Fast TOF-SPGR/GRE・EPI系・LAVA系・Vibrant系
・ “スライス/ロケーション” × “スライス数”≦ “最大枚数”を超えないように設定してください。シーケンスによって枚数は異なります。
・複数の位相が単一ロケーションで収集された画像の場合、表示された時にシフトされているように
見える場合があります。これが最も顕著になるのは、これらの画像をページングループ(動画)モードで表示した時です。
・ Delay After Acquisition(収集後の遅延時間)の許容範囲は、50ms~2000ms(20sec)です。
・遅延時間は Delay After Acquisitionの他に、【#of Locs Before Pause】を使っても設定できます。この場合は、Multi-Phaseウィンドウの最小時間(50ms)を選択してください。
・ ラビットフレームでは、シーケンシャルモードよりも早く1フレームのデータ収集ができます(約1ms)。一回の収集で1ロケーションの設定しかできません。
【Multi Phaseウィンドウ】
Additional Parametersは下記の通りです。
Parameter 説明
Phase per Location
1ロケーション当たりの収集スライス枚数を示します。
Phase Acq. Orderシーケンシャル【Sequential】、インターリーブド【Interleaved】、ラピッドフレーム【Rapid Frame】のどのモードで収集するか設定します。
Delay After Acq.
Phase Acq. Orderに【Sequential】もしくは【Interleaved】を選択すると表示されます。収集
後の遅延時間を示します。スキャンは、指定した遅延時間後に自動的に再開します。単位はmsです。
Delay After Acq.Phase Acq. Orderに【Rapid Frame】を選択すると表示されます。k-spaceの分割数を表示します。
図4-6. Multi Phase ウィンドウ
Chapter4
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Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Multi Phase -
MP :Multi Phase
②収集順序
○“シーケンシャルモード”最初のスライスロケーションで指定数の画像をすべて収集し(パス1)、次のスライスロケーション(パス2)へ進みます。
○ “インターリーブドモード”
最初の位相を全てのスライスロケーションで収集し(パス1)、次に2番目の位相を各スライスロケーションで収集する(パス2)、というように進みます。
最初のスライスロケーションで設定した数の画像を全て収集し、次のスライスへと進みます。パスは、画像ごとに更新されます。
① Phase Per Location
繰り返しの数。
③データ収集後の間隔(Delay after Acq.)
各PhaseとPhaseの間の時間
⑥オートサブトラクション(Auto Subtraction)
自動でサブトラクション(Subtraction)されます。注)同一LocationでSubtractionします。
Collaps画像やProjection画像の数も同じにしてください。
【Multi Phaseウィンドウの設定】
【Dyna Plan:Multi Phaseウィンドウの設定】
造影ダイナミック撮像時などに、各Phaseの前後に任意のDelay Timeを設定することが可能です。この機能をご使用いただく場合はImaging OptionからMulti Phaseを選択し、Multi Phase screenで“可変遅延(Variable Delays)”を選択します。* Dynamic PlanはAuto Voiceと併用可能です。
⑧可変遅延(Variable Delays)
Delay after Acq. に入力したDelay Timeを全てのPhaseに設定します。
④全フェーズに適用
Mask画像の設定が可能になります。
⑤マスクフェーズ(Mask Phase)
各Phase毎のDelay Timeを任意に設定できます。
⑨ Delay Time
各Phase毎にAuto Voiceの設定ができます。最初のメッセージと最後のメッセージは常にOnになります。* Auto Voiceの詳細設定は別紙参照。
⑩ Auto Voice
①
②
③
④
⑤
各PhaseのImageをそれぞれ別のSeriesとして保存します。
⑦シリーズ分割保存
⑥
⑦
⑧ ⑨ ⑩
図4-7. Multi Phase ウィンドウの設定例
図4-8. Multi Phase ウィンドウの設定例(Auto Voice)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Multi Phase -
MP :Multi Phase
Dynamic PlanのExamの撮像中にマニュアルスタートに切り替えが可能です。マニュアルスタートを選択した場合、Delay timeが終了前でもScanをスタートすることができます。また、Delay Time終了後、Scanは自動ではスタートしません。手動でScanを行ってください。
Scan TimeウインドウにはScan Timeのほかに各Delay Time, 現在のPhase数、Total Time(全てのPhaseとDelay timeの合計)が表示されます。
【Multi Phaseの撮像時間(Scan Time)】
【Auto Voiceの設定】
患者さんへの息止めの指示を自動音声で行うことが可能になります。またオートボイス機能はDyna Planとの併用も可能です(図4-7参照)。
オートボイスは全てのScanでご利用できます。
Auto Voiceの詳細設定
①“Auto Voice”アイコンをクリックし、Auto Voice Screenを起動します。
② “オートボイス(Auto Voice)”のチェックボックスにチェックを入れます。
①
②
③ 使用言語を選択します。
③
④ メッセージを選択します。・ Inspiration : 息を吸って止めてください・ Expiration : 息を吸って吐いて止めてください・ Suspension :息を止めてください
⑤ 遅延時間の事前設定自動音声の再生終了後にDelay Timeを設定する場合に入力します。
④
⑤
図4-9. Multi Phaseの撮像時間1:45がTotalのScan Timeです。0:15が、各PhaseのScanTimeになります。
図4-10. AutoView time window
図4-11. Auto Voiceの設定
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Multi Phase -
MP :Multi Phase
オートボイスの各種設定を変更する場合は、サービスツール のを選択、“システムプリファレンス”→“オートボイスボタン”をクリックし、オートボイス設定を開きます。
【Auto Voiceの各種設定】
【Auto Voiceの設定】
図4-12. Auto Voiceの各種設定
③サイトメッセージは音声の録音が可能です。④ GE メッセージの編集はできません。⑤デフォルトの言語を変更する場合は言語編集より変更できます。⑥最小化するとボリュームコントロール画面のみの表示に変わります。
②
③
④
⑤
⑥
注意:
・ Examを開始している間は言語編集およびサイトメッセージの編集はできません。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
①
Chapter4
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【目的】テーブルを自動に移動させながら広範囲の造影MRAスキャンを行うことを目的としています。
造影剤ボーラスを追跡するSmartPrep を使って最初のステーションを開始できます。ボーラスが検知されると、ステーション1 の3D ボリュームが収集されます。最初のステーションが終了するとテーブルが自動的に移動し、ステーション2 のボリュームが収集されます。すべてのステーションが収集されるまで、システムがテーブルを自動的に移動してデータ収集を開始します。
※Fluoro Trigger を使ってスキャンを開始させることもできます。
【Multi Phaseのチェックポイント】
【Multi Stationの設定】
k-spaceの充填方法、静脈撮像の有無などを設定します(別紙を参照)。
図4-13. Multi Station撮像例・・・造影MRA
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Multi Station -
MS :Multi Station
図4-14. Multi Stationの詳細設定タブ
注意:
・ 点滴のチューブ等の長さは余裕を持たせ、またクレードルに挾まれないよう取り回しには十分気をつけて下さい。
・ テーブルが長い距離を移動することを被験者に予め説明しておいて下さい。
・ スキャンを開始する前に、造影剤の準備やインジェクターの準備は終了しておいて下さい。
・ ガントリー脇で、スキャンに立ち会われる方が居ることが望ましいです。
Multi Station設定時には以下の項目に注意してください。
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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CV 13. Centric (0=off, 1=on)
k空間の中心から埋めていく方法です。スキャン時間の
前半でコントラストが決定します。
Elliptic Centricよりもコントラストを支配する時間は長いため、
大きなFOVで腹部造影MRAを行う場合に有用です。
CV 14. Reverse Centric (0=off, 1=on)
Centricの埋め方と逆の充填方法です。スキャン時間の最後のタイミングが画像のコントラストを決定します。
CV 17.Mask Acquisition (0=off, 1=on)
各ステーションにおいて造影前のMask像を追加スキャンする際にOnに設定します。
CV 18.Venous Acquisition (0=off, 1=on)
各ステーションにおいて静脈相を追加スキャンする際にOnに設定します。
CV 19.Real-time SAT(0=NON-axial, 1=Axial, 2=In-plane, 3=IRP)
Fluoro Trigger を使用するときのSATの設定を選択します。
CV 23. Slice Resolution (70% - 100%)
kz方向にFractionalなサンプリングを行います。再構成にHalf Fourier法が用いられています。
70%~100%の範囲で設定が可能です。小さな値を設定すると、スキャン時間が短縮します。
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Multi Station -
MS :Multi Station
【Multi Stationの詳細設定】
CV 4. Image acq. delay (msec)
Scanボタンを押してから実際にデータ収集が
始まるまでの間の時間を設定します。
SmartPrepやFluoro Triggerの時に有用です。
CV 6.Turbo Mode (0=off, 1=Faster, 2=Fastest)
RF持続時間を短縮することにより、TRの短縮を行います。
CV 11. Reverse Elliptical Centric (0=off, 1=on)
Elliptic Centricの埋め方と逆の充填方法です。
CV 12.Elliptical Centric (0=off, 1=std, 2=delay)
位相エンコード、スライス選択エンコードの両者をk空間の中心から埋めていく方法です。
スキャン時間の前半でコントラストが決定します(Centricよりもコントラストを支配する時間は短時間です)。
2 を選択した場合にはk空間の中心より若干外側から中心に向かって収集を始め、その後また外側へ 向かって充填していきます。
1 を選択した場合に比較すると、k空間の中心を充填するタイミングが若干後ろにずれます。
図4-15. Multi Stationの詳細設定タブ(1/2)
図4-16. Multi Stationの詳細設定タブ(2/2)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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【目的】リアルタイムにて画像を表示させながら、様々な断面を表示することが可能です。また、画像保存も行えるため複雑な部位のロカライズも可能となります。そのコントラストはGRE(FGRE)シーケンスにおけるT1強調画像となります。
【Real Timeのチェックポイント】
【Real Timeの操作画面】
“Acquire”タブと“Review”タブを使用して撮像を行います。
RT : Real Time(i/Drive)
図4-17. Real Timeの操作画面
下記の用途に使用できます。
① 複雑な断面のロカライズ② 患者の呼吸、動態、造影剤のボーラスなど経時的なモニタリング③ Fluoro Triggerにおける造影剤到達時間の把握④ 動態機能検査
Reviewタブ
現在までに表示された画像を呼び出す画面
Acquireタブ
リアルタイムにて様々なオブリークを表示する画面
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Real Time(i/Drive) -
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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【Real Time: Acquire操作画面】
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Real Time(i/Drive) -
マウスカーソールをムーブメントカーソールに移動させるとアクティブになり、画像の回転、移動が可能となります。
図4-18. ムーブメントカーソール
1 :パンカーソル
2:ローテートカーソール
3:チルトカーソール
4:トランスレートカーソール
スキャンロケーションとスキャン面を変えずに、ビューワ内の画像のセンタ位置を変更します。
スキャンロケーションとスキャン面を変えずに、ビューワ内の画像を回転します。
カーソルの矢印方向に画像を傾斜させます。X 方向、Y 方向、または両方向に傾斜します。
スキャン面を変えずに、スキャンロケーションをmm単位で移動します。mm単位の移動量は調整できます。
・ 回転、移動させて表示した画像は画面右側の にてシステムディスクに保存することができます(図4-16)。
RT : Real Time(i/Drive)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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ASSET :Array Spatial Sensitivity Encoding Technique
【目的】ASSET併用可能コイルを使用する撮像にて、Scanを高速化する機能です。BodyコイルとSurfaceコイルで同一部位を撮像し、キャリブレーション処理を行うことによって、撮像時間を短縮します。
【ASSETの原理】
【メリット】・ 撮像時間の短縮・ 空間分解能、スライス枚数の増加・ ETL減少による効果(位相エンコードステップを減少)→ J-Couplingの影響による脂肪組織の高信号化の抑制、EPI系の歪み軽減 etc.
【デメリット】
・ S/N比の低下・ Calibration Scanが別途必要・ 撮像方法によってはASSET特有のアーチファクトが出現することがあります。
図4-19. ASSETの原理概念図
(i) ASSETは位相エンコードステップを間引いて撮像時間を短縮します。(ii) 位相エンコードを間引いただけでは下図のように折り返しが発生します。(iii)そこで、本撮像前に行うキャリブレーションデータを元に折り返ってしまう部分を展開しています。
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- ASSET -
0.84 0.35コイル1
コイル1で得られるPhaseFOV画像
0.40 0.84 コイル2
コイル2で得られるPhaseFOV画像
Aの信号値が105だったとすると、これは元々のAの信号と、折り返ったBの信号の合計と考えられる。感度マップからAの位置の感度0.84、Bの位置の感度0.35とすると
105=0.84A+0.35B 96=0.48A+0.80B
同様にBの信号値が96だったとすると元々のBの信号と折り返ったAの信号の合計。感度マップからAの位置の感度0.48、Bの位置の感度0.80とすると
105 = 0.84A + 0.35B
96 = 0.48A + 0.80B
連立方程式↓
A=100、B=60
各ボクセル毎に計算を行い折り返し画像を元に戻す
A B
A B A B A B
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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発行:2016年6月
ASSET :Array Spatial Sensitivity Encoding Technique
【ASSETのチェックポイント】
図4-20. ASSETを使用した撮像例
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- ASSET -
SNRSENSE系
=
この式の読み方:
・ Rを増やすとS/N比は1/√で減少します。
→撮像時間を早くするとS/N比低下
・ コイルの配置が悪いとgが増加してS/N比が悪くなります。
SNRFull
g √R
ご参考:ASSETのFactorが“2”の時はConventionalな撮像に比べ約30%のS/N比低下となります。
【ASSETの使用方法】
サーフェスコイルとBodyコイルで各々のCalibration Scanを行います。
Ax T1w LAVAInRx 00:19
注意:コイルを変更した場合は、コイルごとにCalを行います。
【ASSETの臨床応用】
拡散強調画像DWIの応用例
DWI-EPI w/ ASSET
DWI-EPI w/o ASSET
T2強調画像(FSE + ASSET)
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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ARC :Auto calibrating Reconstruction for Cartesian imaging
【目的】k-space上でデータの処理を行うパラレルイメージング技術(k-space Driven)です。
【ARCの原理】
【メリット】○ アーチファクトの低減・ 折り返しは通常通りFOVの端に出ます。→ FOVをぎりぎりまで絞っても大丈夫です。
・ PhaseFOVの使用も問題ありません。・ Calibrationが必要ない(本撮像データがCalibrationの役割を持つ)ため、動きや呼吸による補間ミスがありません。
○さらなる高速化(*一部の撮像シーケンス)・ スライス方向へも適応することで3.5倍以上のFactorを実現しています。
【デメリット】
・ 適用シーケンス、コイルの制限*- HDxt系 :Cube、LAVA-XV、3DDualEcho- Optima/Discovery系:Cube、LAVA、3DDualEcho、2DFSE、2DSSFSE
図4-21. ARCの原理
(i) k-spaceを間引いて撮像を行い時間短縮を行うっているのはASSETと同じです。→間引き方は均一ではなく、画像はキャリブレーションデータ(感度マップ)を使用した展開は行っていません。
(ii) k-spaceの中央部分は間引きをせず、そのデータを元に周辺の間引いたデータを逆算する。→キャリブレーションデータ(Calibration)は必要ありません。
(iii)コイル毎の画像を別に作成し、最後に合成します。
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- ARC -
① k-spaceの中央部分において、1エンコードずつ隣のデータとの関係を求めます。
② k-spaceから離れた間引いた領域に関して、①で求めた関係を用いてデータを充填します。スライス方向に間引いた場合は、同様の処理を行ってデータを充填していきます。
ASSET
(LAVA)ARC
(LAVA-XV)
図4-22. パラレルイメージング使用時の折り返し
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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【ARCのチェックポイント】
図4-24. ARCを使用した撮像例
【ARCの臨床応用】
3D T1w画像(CUBE2.0*)の撮像例 EOBの撮像例(LAVA-FLEX)
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- ARC -
ASSET
(LAVA)ARC
(LAVA-XV)
「ARCはセルフキャリブレーション」という言い方をする場合もありますが、実際にはCalibrationが本撮像と別には存在しません。そのため呼吸深度のズレによるアーチファクトは発生しません。
※ 呼吸性のアーチファクトが出ないという意味ではありません。息止めは必要です。
※※ PURE**による感度補正を使用する場合は従来のCalibrationが必要です。
図4-23. ASSETとARCの違い(肝臓領域)
(データご提供:聖路加国際病院)
ARC :Auto calibrating Reconstruction for Cartesian imaging
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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FT :Full Echo Train
【目的】TE1とTE2で、どちらも全てのエコー信号からそれぞれ異なるコントラストの画像を作成します。FSE系シーケンス(FSE, FSE-XL, FRFSE-XL)で2エコーを選択した場合に使用できます。
【Full Echo Trainの原理】
図4-25. Full Echo Trainの原理と設定例
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Full Echo Train -
Full Echo Train OFF Full Echo Train ON
TEのMinとMaxの値が異なります。
TE1とTE2でエコートレインを分割し、エコー信号を収集して、異なるコントラストの画像を作成します。
TEのMinとMaxの値が同じです。
TE1とTE2で、どちらも全てのエコー信号からそれぞれ異なるコントラストの画像を作成します。
TE1
TE2
90°
180°
Full Echo Train : OFF
Echo Trainを分割
Full Echo Train : ON
Echo Trainを全て使用
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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FT :Full Echo Train
【Full Echo Trainのチェックポイント】
Full Echo Trainは比較的近い2つのTEの画像を得たいときに使用します。(例えばTE60とTE90のような場合です)
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- Full Echo Train -
① Imaging Options画面で“Full Echo Train”を選択します。
②“詳細”タブでエコー数(# of Echoes)で“2”を選択します。
【Full Echo Trainの臨床応用】
図4-26. Full Echo Trainの詳細設定
Full Echo Train : ON
Full Echo Trainを使用すると設定したETL数のEchoでそれぞれのTEのイメージを構成します。 そのためETL
が多くなるほどプロトン強調を目的としたようなShortTEのイメージにBlurring Artifactが目立ちます。
ETLを半分に分割します。前半のETLでTE1の画像を作成し、後半でTE2の画像を作成します。そのためFT使用時に比べてTE選択範囲が狭くなります。
Full Echo Train : OFF
図4-27. Full Echo TrainのON/OFFの比較
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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IDEAL : Iterative Dixon water-fat separation with Echo Asymmetry and
Least-squares
φ2 = π/2
φ3 =7π/6
φ1 = -π/6
Fat
Water
Field Mapの作成
(局所磁場不均一の計算)
Field Mapによって磁場不均一の影響を排除
水画像
①
脂肪画像
②
Out of Phase画像
④
③
In Phase画像
合成画像
FatSat IDEAL
図4-28. IDEALのアルゴリズム概略図とChemSAT(FatSat)/IDEALの比較
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- IDEAL -
【目的】3Point Dixon法と磁場不均一フィールドマップを利用した脂肪抑制が撮像できます。従来のCHESS法脂肪抑制に比較し、均一な脂肪抑制画像を得られます。一度の撮像で4つのコントラストを同時に取得可能です
【IDEALの原理】
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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【IDEALのチェックポイント】
・ 水画像、脂肪画像は必ず作成、InPhase及びOutOfPhase画像は作成は任意で選択できます。・ 使用可能シーケンス ; 2DFSE, 2DFRFSE, 3DFSPGR, 3DFGRE・ IDEALの1NEXは通常シーケンスの3NEX相当になります。・ エコースペースが延長します(~5ms)。
【IDEAL & FLEXの臨床応用】
IDEAL & FLEXを使用した各部位の画像を下図に示します。FLEXは2point DIXON法を応用した水/脂肪分離技術です。
図4-29. IDEAL & FLEXの応用例
IDEAL : Iterative Dixon water-fat separation with Echo Asymmetry and
Least-squares
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- IDEAL -
アノテーションにはイメージングオプションの項目に“IDL”と記載されます
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
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図4-30. FSEとMARTの組み合わせ
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- MART -
MART :Modulated Angle Refocusing Train
【目的】3Tシステムにおいて、FSE系シーケンス(特にSSFSE)においてSARを低減させる目的で開発されたパルスシーケンスです。3Tシステムのみ対応可能です。
【MARTの原理】下図に示すように、一般的なFSE系シーケンスではほぼ一定のFlip AngleでRefocusパルスを照射していきますが、MARTを使用した場合は実効TE(Eff. TE)近傍から徐々にFlip Angleを下げて行くことにより、SARの低減を図っています。
Eff. TE
SSFSE+MART
SSFSE+TRF
SSFSE Only
SSFSE
SSFSE+MART
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4
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図4-31. VERSEのRFおよびGradient印加パターン
Chapter4:パルスシーケンスの拡張機能- VERSE -
【目的】3Tシステムにおいて、全てのFSE系シーケンス(特にSSFSE)においてSARを低減させる目的で開発されたパルスシーケンスです。3Tシステムのみ対応可能です。
【VERSEの原理】下図に示すように、一般的なFSE系シーケンスではRFパルスおよびGradient波形(Amp)を一定で印加しているのに対して、VERSEでは局所、および、TotalのSARが上昇しないようにRFおよびGradientの波形を最適化して印加しています。
VERSE :Variable-Rate Selective Excitation
【VERSEのチェックポイント】・ Auto MinTR機能をサポートしないので、TRは自動的に伸縮されません。撮像枚数がTR内に収まらない場合は、システムが収集の数を自動的に増加します。従って、撮像時間を短くする場合は、シングル(1 Acq.)の収集内に全てのスライスを収納できるようにTRを手動で調整します。
・ Flow CompensationはVERSEの周波数方向のみに使用できます。
0
0.5
1
0 200 400 600 800 1000 1200
time (us)
Gz (
G/c
m)
-0.5
0
0.5
1
0 200 400 600 800 1000 1200
time (us)
B1
(re
lati
ve
)
SAR = 66%
RF Amplitude Gradient Amplitude
Conventional FSEVERSE
* Option(システムにより異なります)** 3T システム未対応*** MR Conditional
Chapter4