心臓外科 - kanazawa-med.ac.jp

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36 心臓・大血管領域における手術治療を中心に診療している。心臓疾患では虚血性心疾患、弁膜症、先天 性心疾患、不整脈疾患とすべての分野の外科治療を網羅している。大血管疾患で胸部大動脈瘤や重症急性 肺塞栓症に対する外科治療を行っている。 新生児・乳児期早期の先天性心疾患に対する外科治療では石川県のセンター的存在である。重症心不 全患者に対して、補助人工心臓や補助循環、拡張した心室の縮少術、両心室ペーシングなどを用い集学 的に治療している。心室頻拍に対する植込み型除細動器の手術も行っている。人工心肺を用いない冠状 動脈バイパス、小さい創での心臓手術など低侵襲性手術にも力を入れている。 概要 特徴・特色 心臓外科 専門分野 心臓外科 得意な分野 先天性心疾患全般 職歴 福 井 医 科 大 学 第2外 科 助 手( 1984 )、 名 古 屋 第1赤 十 字 病 院 心臓外科第4外科副部長(1994)、名古屋第1赤十字病院第2 心臓血管外科部長(2001)、名古屋大学医学部胸部外科講師 (2001)、社会保険中京病院心臓外科部長(2003)、名古屋 大学医学部心臓外科講師(2004)、金沢医科大学心血管外科部 門教授( 2007 ) 主な所属学会 American Heart Association、日本外科学会、日本胸部外科 学会、日本心臓血管外科学会、日本小児循環器学会、日本循環器 学会、日本血管学会、日本脈管学会、日本人工臓器学会 専門医資格等 心臓血管外科学会専門医、日本胸部外科学会指導医・認定医、日 本外科学会指導医・認定医、日本循環器学会専門医、日本脈管学 会専門医 研究課題 心臓外科、先天性心疾患、弁膜症、虚血性疾患、大血管の外科治 療、心不全、心筋保護 研究の概要 1.新生児心筋保護法の開発、 2.重症心不全患者に対する心臓矯正ネットの開発 科長 秋田 利明 (あきた としあき) 教授 科長のメッセージ 医師としてどれだけ成長できるかは、卒後研修の数年をどのような姿勢で過ごすかと、よき指導者に巡り会えるかで決まります。 単に医学知識を習得させるのではなく、Professionalとして要求される能力、姿勢、態度が身につくよう指導しています。また、 幅広い臨床経験を得るため症例の多い病院への国内留学を行うなど研修環境を整えています。

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 心臓・大血管領域における手術治療を中心に診療している。心臓疾患では虚血性心疾患、弁膜症、先天

性心疾患、不整脈疾患とすべての分野の外科治療を網羅している。大血管疾患で胸部大動脈瘤や重症急性

肺塞栓症に対する外科治療を行っている。

 新生児・乳児期早期の先天性心疾患に対する外科治療では石川県のセンター的存在である。重症心不

全患者に対して、補助人工心臓や補助循環、拡張した心室の縮少術、両心室ペーシングなどを用い集学

的に治療している。心室頻拍に対する植込み型除細動器の手術も行っている。人工心肺を用いない冠状

動脈バイパス、小さい創での心臓手術など低侵襲性手術にも力を入れている。

概要

特徴・特色

心臓外科

◦専門分野心臓外科

◦得意な分野先天性心疾患全般

◦職歴福井医科大学第2外科助手(1984)、名古屋第1赤十字病院心臓外科第4外科副部長(1994)、名古屋第1赤十字病院第2心臓血管外科部長(2001)、名古屋大学医学部胸部外科講師(2001)、社会保険中京病院心臓外科部長(2003)、名古屋大学医学部心臓外科講師(2004)、金沢医科大学心血管外科部門教授(2007)

◦主な所属学会AmericanHeartAssociation、日本外科学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本小児循環器学会、日本循環器学会、日本血管学会、日本脈管学会、日本人工臓器学会

◦専門医資格等心臓血管外科学会専門医、日本胸部外科学会指導医・認定医、日本外科学会指導医・認定医、日本循環器学会専門医、日本脈管学会専門医

◦研究課題心臓外科、先天性心疾患、弁膜症、虚血性疾患、大血管の外科治療、心不全、心筋保護

◦研究の概要1.新生児心筋保護法の開発、2.重症心不全患者に対する心臓矯正ネットの開発

科長

秋田 利明 (あきた としあき) 教授

科長のメッセージ医師としてどれだけ成長できるかは、卒後研修の数年をどのような姿勢で過ごすかと、よき指導者に巡り会えるかで決まります。単に医学知識を習得させるのではなく、Professionalとして要求される能力、姿勢、態度が身につくよう指導しています。また、幅広い臨床経験を得るため症例の多い病院への国内留学を行うなど研修環境を整えています。

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心臓外科参照

心臓外科参照

概要

特徴・特色

◦専門分野血管外科、胸部外科(胸部外傷、漏斗胸、多汗症、胸腔鏡手術)

◦得意な分野頸部から腹部、上肢・下肢の動静脈血行再建、血管内治療、呼吸器外科、縦隔腫瘍、重症筋無力症の手術

◦職歴広島大学医学部附属病院(1981)、国家公務員共済組合連合会広島記念病院外科(1982)、文部教官広島大助手医学部(生化学)に採用(1984)、広島大学医学部附属病院に採用(1989)、文部教官広島大学助手医学部附属病院に採用(1990)、米国ミネアポリス心臓研究所にて研修(1992)、広島大学助手医学部附属病院第一外科外来医長(1992)、広島大学助手講師(学内講師)(1985)、広島大学医学部附属病院周産母子センター講師(1998)、広島県立福祉短期大学講師(併任)(1999)、金沢医科大学胸部心臓血管外科助教授(1999)、金沢医科大学胸部心臓血管外科医局長(併任)(2000)、金沢医科大学呼吸器外科助教授(併任)(2000)、金沢医科大学胸部心臓血管外科助教授(専任)(2002)、金沢医科大学心血管外科助教授(改称に伴うもの)(2004)、金沢医科大学心血管外科臨床教授(2006)、金沢医科大学血管外科科長臨床教授(2011)

◦主な所属学会日本外科学会、日本胸部外科学会、日本血管外科学会、日本心臓血管外科学会、日本呼吸器外科学会、日本循環器学会、日本静脈学会、日本脈管学会、日本呼吸器学会、日本血管内治療学会

◦専門医資格等心臓血管外科学会専門医、呼吸器外科学会専門医、日本外科学会専門医、指導医。日本脈管学会専門医、日本呼吸器外科学会指導医、日本胸部外科学会認定医

◦研究課題低侵襲の血管外科

◦研究の概要血管外科での後腹膜手術法の臨床拡大、血管外科での血管内治療法の臨床拡大、血管外科での炭酸ガス造影法の臨床応用の拡大

科長

四方 裕夫 (しかた ひろお) 教授

科長のメッセージ血管は全ての領域の疾患に関与するものであり、ただ単に循環器疾患のみにかかわる訳ではありません。あらゆる疾患の血管病変に対して血管内治療を含め主として外科的に積極的な加療を行うのが当科の方針であり、このため当科では外科的手技の習得のみではなく、そのために他領域の疾患の病態を理解することが要求されます。実際には他科の先生方と共同で加療に参加する姿勢を養うことを目標にしていますので、疾患の理解と内容加療の手技の習得を目指します。将来自分のテーマとして血管外科を選択するかしないかはともかく、上級者がサポートする形で、研修の医師が手術や血管内治療を積極的に担当して頂きます。一人のスパースターだけでは外科手術は成り立ちません、平々凡々な我々は皆で血管手術を行うことを方針としています。全国の血管外科の中で特徴のある教室あるいは病院へ研修できる環境を構築してゆきます。将来の心臓血管外科専門医、脈管専門医、血管内治療専門医(ステントグラフト実施医)の習得のきっかけとなればと考えています。

血管外科

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指導担当医

プログラムの目的

 心臓血管外科領域における臨床医、教育者および研究者の

養成を目的とする。

 本プログラムでは、初期研修2年終了後、外科学会が定め

る外科専門医を取得するとともに、心臓血管外科専門医を取

得するための専門分野トレーニングを行う。一般外科はもと

より心臓血管外科医専門医養成の基礎とともに、より専門的

な技術を修得することが可能である。臨床研修プログラムは

初期研修も含めて、7〜8年間で完結する。

1)初期研修期:国試合格し、初期臨床研修の2年間。金

沢医科大学病院で定めるローテート研修医となるが、2

年目は外科系研修が中心となる。 

2)後期研修期:

 a.外科一般後期研修(外科専門医取得)

 初期研修2年目より、日本外科学会専門医試験の受験

資格をうるために、消化器外科・心臓血管外科・呼吸器

外科・小児外科と幅広い研修を2年間積む。

 修練開始登録後満4年以上を得た段階で、予備試験と

なる筆記試験を受験することが出来る。修練開始登録後

満5年以上を経過した予備試験合格者は最低手術症例を

充足した段階で、認定試験となる面接試験を受けること

が出来る。最低手術症例数とは、術者あるいは助手と

して、消化管および腹部内蔵(50例)、乳腺(10例)、

呼吸器(10例)、心臓・大血管(10例)、末梢血管(頭

蓋内血管を除く)(10例)、頭頚部・体表・内分泌外科

(10例)、小児外科(10例)、各臓器の外傷(10例)、

内視鏡下手術(腹腔鏡・胸腔鏡を含む)(10例)。総数

350例以上、術者としての経験は120例以上が必要で

ある。

 b.心臓血管外科後期研修(心臓血管外科専門医取得)

 外科専門医取得後(卒後修練期間8年以上を有するこ

川平 洋一 (かわひらよういち)教授◦専門分野 心臓外科、先天性心疾患の外科◦学会活動 日本外科学会指導医、日本胸部外科学会認定医

◦得意な分野 先天性心疾患

小畑 貴司 (こばたたかし)講師◦専門分野 血管外科◦学会活動 日本外科学会専門医、日本脈管学会専門医◦得意な分野 血管内治療

森岡 浩一 (もりおかこういち)准教授◦専門分野 心臓外科◦学会活動 日本外科学会専門医、心臓血管外科専門医、日本外科学会専門医

◦得意な分野 虚血性心疾患

教育関連施設

病院名 所在地 規模 指導者

宇 出 津 総 合 病 院 能登町 188床 小森和俊、瀬戸啓太郎、ほか指導医2名

博 愛 会 病 院 岐阜県 199床 浅野元和、松原純一、中西正樹、ほか指導医2名

以下心臓外科・血管外科共通事項

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と)心臓血管外科専門医の受験資格をうるためのトレー

ニングを行う。

期間割(後期臨床研修開始後)

第3年次

 金沢医科大学にて外科全般に関するトレーニングを行う。

外来診療における基本的知識技術を学ぶと共に、医師として

必要な態度や考え方を身につける。外科専門医取得に向けて、

外科学会の定める手術症例を経験するため外科系他科のロー

テートを行う。平行して心臓血管外科専門医取得のためのト

レーニングを行うが、Academicsurgeonを目指して大学

院入学を推奨している。

第4年次

 日本外科学会専門医試験の受験資格をうるために、残りの

他科ローテートあるいは教育関連施設にて外科研修を行い、

予備試験となる筆記試験を受験する。

第5年次

 修練登録開始後満5年以上を経過した予備試験合格者は最

低手術症例を充足した段階で、認定試験となる面接試験を受

ける。

第6年次・7年次

 外科専門医取得後(卒後修練期間8年以上を有すること)

心臓血管外科専門医の受験資格をうるため、心臓血管外科で

の研修で、より専門知識や技術を修得する。平行して博士号

取得のための研究を行う。

第8年次

 博士号及び心臓血管外科専門医を取得する。

研修内容と到達目標

 日本外科学会の専門医と心臓血管外科専門医を取得するた

めの高度な知識および技術を学ぶ。主として病室において

5〜8人の患者を受け持ち、心臓血管外科に関する診療技術

と知識を学ぶ。他科、他病院でのローテートも行う。学会に

症例報告、臨床研究発表を行い、論文として雑誌に投稿する。

プログラム修了後のコース

 心臓血管外科専門医としてさらなるトレーニングを積み指

導医取得を目指すコースをとる。

取得できる認定医、専門医(必要な期間)資格と、その取得にかかわる概要

日本外科学会専門医 5年以上

 修練開始登録後(初期研修を含み)、満5年以上を得た段

階で、日本外科学会専門医の予備試験となる筆記試験を受験

する事が出来る。

 修練登録開始後満5年を経過した予備試験合格者は、最低

手術症例数に記載を充足した段階で、認定試験となる面接試

験を受ける事が出来る。

心臓血管外科専門医 7年以上

 外科学会専門医取得後(卒後研修期間7年以上を有する事)

心臓血管外科専門医の受験資格を得る。

 心臓血管外科専門医に必要な最低手術症例は、日本心臓血管

外科専門医規定に準じた手術症例を充足した段階及び、心臓血

管外科に関する一定の業績を有した段階で受験資格を得る。

日本外科学会指導医 10年以上

 日本外科学会専門医を取得後、日本外科学会の会員として

10年以上を要し、また所定の業績と手術症例数を有するも

のは日本外科学会に申請し認められたもの。

取得可能な認定医・専門医および指導医

日本外科学会専門医 5年以上

日本外科学会指導医 15年以上

心臓血管外科専門医 7年以上

スタッフ

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大学院進学と研究内容、概要、学位取得後の道すじ

 心臓血管外科医として必要な臨床能力だけでなく、統計学

を含む科学的な思考能力を体系的に習得するためにも大学院

進学を強く勧めている。初年度は心臓血管外科全般に関する

臨床研修を行う。また大学院の必須の実習項目、講義を受講

する。2〜3年度以降は研究テーマに関する実験あるいは臨

床研究を行い、最終年度には研究成果の学会および論文発表

を行い、学位を取得する。

他科研修、他教室での研究、留学の可能性

 外科専門医習得、心臓血管外科専門医習得のためにも金沢

医科大学他科研修あるいは国内留学を積極的に勧めている。

大学院での基礎実験に関しては基礎医学教室との連携を必要

に応じて行う。学位習得後は国内外への留学を希望に応じて

紹介する。

日本外科学会専門医資格要件

最低手術経験数:350例

領域別分野を問わず

術者として 120例

術者・助手を問わず

消化管及び腹部内蔵 50例

乳腺 10例

呼吸器 10例

心臓・大血管 10例

末梢血管 10例

頭頸部・体表・内分泌外科 10例

小児外科 10例

外傷 10例

領域別分野、術者・助手を問わず

鏡視下手術 10例

共通項目 外科総論

⇦認定試験(面接)⇦予備試験(筆記)

救急(外傷・熱傷)(卒後初期臨床研修)

7654321*必修

*必修2年間スーパーローテート(含む外科・救命救急)

消化器

小児

心・血管

呼吸器

図 卒後年数と外科専門医および関連外科専門医カリキュラムの概要

週間スケジュール

午   前 午   後

月 当直報告(教授以下全員出席)、その週のスケジュ-ルを検討、病棟業務、手術 手術、術後管理

火 当直報告(教授以下全員出席)、教授回診、病棟業務、検査 外来診察、検査 循環器内科との合同症例検討会

水当直報告(教授以下全員出席)、病棟業務、受け持ち患者の診察

手術、術後管理

木 当直報告(教授以下全員出席)、教授回診、病棟業務、検査 外来診察、検査小児循環器科との合同症例検討会、抄読会、リサーチカンファレンス

金 当直報告(教授以下全員出席)、病棟業務、検査 手術、術後管理

土 当直報告、病棟業務、受け持ち患者の診察 外来診察