経営学 Ii 14b

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経経経 II-14b 経経経

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経営学 II-14b

原泰史

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去年のおさらい• NPO とは?

• 営利企業と非営利企業の違い• ワークショップ

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今日のポイント• ナショナルイノベーションシステム• イノベーションと国の経済成長

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講義予定 ( 後期 )1. 2013/9/25: イントロダクション : 経営学Ⅰの振り返り - 「組織」

と「戦略」について - 2. 2013/10/2: 企業成長 (1) : どのようにして企業は成長するのか 3. 2013/10/9: 企業成長 (2) : 参入戦略 , 成長戦略と組織 4. 2013/10/16: ( 休講 ; 台風 26 号のため , 2 限のみ )5. 2013/10/23: ( 休講 ; 学会 @ ロッテルダム参加のため ) 6. 2013/10/30: グローバル戦略 : グローバルとは? 7. 2013/11/6: グローバル戦略 (2): グローバルに対応した組織

イノベーション (1) : イノベーションの種類 8. 2013/11/13: イノベーション (2) : 研究開発とイノベーション 9. 2013/11/20: 中間テスト

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講義予定 ( 後期 )10. 2013/11/27: 研究開発 : なぜ企業は研究開発をするのか 11. 2013/12/4: 研究開発 (2 – IT と経営 ) 12. 2013/12/11: NPO (1) : 非営利企業と営利企業の違い13. 2013/12/18: NPO (2) : 非営利企業の組織と戦略 ( ゲスト講義 )14. 2014/1/8: イノベーションと経済・経営 : ナショナル・イノベーション・

システム 15. 2014/1/15: イノベーションと経済・経営 : 日本企業の経営課題     2014/1/22: 補講 ( 講義なし )   2014/1/29: 期末テスト

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今日の内容• ナショナルイノベーションシステム

• Intermission : 期末テストと任意レポートのはなし

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National Innovation System

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ナショナルイノベーションシステムとは?• 企業は「オープンシステム」の中に属している

• 市場• 政府• 消費者 ( 市民 )

• 企業を取り巻く市場、制度は国によって大きく異なる• 産業技術の動向は産業の技術開発や企業戦略だけによって決ま

るのではなく、産業の外の様々な要因に影響される

• 企業や産業の動向に大きく作用する、市場や国家の制度上の特徴をナショナルイノベーションシステムと呼称する

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Lundvall, Freeman および Nelson によるナショナルイノベーションシステムの定義• (Lundvall 1995)

• 製品の買い手が技術動向に大きな影響を与えること、また製品の買い手は多くの場合自国の企業ないしは消費者であることから、国によって技術のありかたに相違が出てくる

• (Freeman 1992)• 政府と産業の密接な関係の中から、新たな技術が開発される [ 日本の技術政策 ]

• (Nelson 1993)• 進化経済学の議論とリンクさせて国ごとのイノベーションシステムを観察

• 国のイノベーションシステムは、産業、大学および政府から成り立つ• これらのセクターがそれぞれの役割を果たし、相互に影響しあう• 国家(経済)の成長には経路依存性 (path-dependency) が存在する ( 奥野 , 1993)

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市場

(営利)企業モデル

企業

情報

入力される「モノ」 出力される「モノ」ヒト

ヒト

Blackbox

カネ

新技術

経営理念

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(営利)企業モデルと National Innovation System

国 A

Private Sector(企業)

国 B

Public Sector( 政府、大学 )

Monetary Sector(金融)

Private Sector

Public Sector

Monetary Sector市場企業

情報

入力される「モノ」

出力される「モノ」ヒ

トヒト

Blackbox

カネ新技

経営理念

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日本のナショナルイノベーションシステムの特徴

• 江戸時代• 明治、大正• 第二次大戦前

• 利潤創出が目的の市場システム• 高い労働流動性、直接金融が中心

• 第二次大戦中• 政府による統制体制 : 「統制会」、「物資動員計画」

• 第二次大戦後• 護送船団行政• 企業家による企業活動• 「官僚主義による経済計画を企業や企業グループを実行組織として実現するシステ

ム」

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労働

銀行

企業

政府

Before 1930s 1937-40 1941-45 1945 – 1980s (?)「戦前」

「インセンティブ・システム」

利潤動機の排除→ 修正 (1943)

→ 戦況悪化(1944-45)

「官僚主義による経済計画を企業や企業グループを実行組織として実現するシステム」

「戦中」 「戦後」

戦時体制の構築

年功賃金 , 長期雇用 (S-Curve)

メインバンク制協調融資

統制会 業界団体

発展産業の発見優遇手段裁量的行政指導

護送船団行政

GHQ

による民主化

重工業 (軍需 )軽工業

移動制限 ,

「労働動員計画 (1939) 」

資金統制計画

高い流動性 , 賃金の volatility の高さ

2,000 以上存在

株式や社債発行による資金調達 (直接金融 )

軍需会社法(1943)

下請けの整備重工業 (軍需 )

安定した雇用制度 ,

社内 R&D 環境の整備 => 戦略的補完性

消費から貯蓄への誘導 ,

それに従う投資の増加

(固定相場制 )

「物資動員計画」貿易統制 (1937)

間接金融 , 株式持合

利潤創出が動機( 目的 ) となる市場システム

Japan’s National Innovation System (from Odagiri and Goto, 1996)

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日本のイノベーションシステムの特徴 (岡崎・奥野 1993)• 第二次大戦以前

• Private sector• 財閥の傘下企業に対するモニタリングシステム

• 株主が企業経営に対して大きな発言力をもつ• 労働者の流動性は高い• 企業の投資資金や事業資金の多くは株式や社債

発行により確保される• 銀行からの貸付率は低い

• Monetary sector• 不況時には銀行の倒産が発生、銀行数は 2000以

上• 企業活動に対する金融機関の発言権は低い

• 欧米型の自由経済主義システム• 第一次産業と軽工業が中心

• 戦時経済体制 (1930s-) における変化• Private Sector

• 大企業は熟練技術者の定着を図る• ボーナスや賃金の生活給化が行われる• 「資本と経営の分離」

• 株主の権限が制限される• 「統制会」の設立

• Monetary Sector• 地方銀行の整理統合が実施される• 共同融資の制度化 (メインバンク制の端緒 )

• Public Sector• 労働者の企業間移動を制限する• 価格統制、貿易統制の実施• 市場のパワーではなく、政府が能動的に市場のコントロールを行う

• 「総力戦体制」を実現するための官僚統制による計画経済型経済システム

• 重工業への転換が開始• 資本の集中投入

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日本のイノベーションシステムの特徴 (岡崎・奥野 1993)

• 第二次大戦後 (~ 1990 年代 )• 「官僚主導による経済計画を企業や企業グ

ループを実行組織として実現するシステム」

• Private sector• 長期雇用、「永年雇用」

• 技術者 , 労働者をひとつの企業 ( または企業グループ ) 内で永続的に雇用しつづける

• 勤続年数と給与額が強くリンクする : 「年功序列」• 退職金と年二回のボーナス

• 内部昇進制度• 低い離職率• 常勤者の解雇は緊急手段

• (パートやバイトの解雇が最初、時短などで労働時間を調整)

• 下請け、ケイレツに基づく企業間関係

• Ex.) トヨタとデンソー , 2 次 , 3 次下請け• 株主の低い影響力

• 取締役会はほとんどが内部昇進者• 銀行による株式の持ち合い• 高い安定株主率⇒ 敵対的買収がほとんど存在せず

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日本のイノベーションシステムの特徴 (岡崎・奥野 1993)

• Monetary Sector• 重点産業へと積極的に融資する

• 日銀による協調融資の凱旋• メインバンク制度 (不良債権を抑止する高い審査制度 )

• 個別企業への貸付リスクを複数の銀行で分担し、審査活動を社会的に低いコストで実現する

• 企業をモニタリングし、不具合が発生した場合は積極的に介入し改善を図る (岡崎 , 1993)

• 個人株主の企業への影響力は極めて低い

• 間接金融による企業の資金調達• 金融機関に企業の長期的な安定と成長にコミットするインセンティブを与える

• Public Sector• 民間の経済活動を能動的にコントロールする

• 臨時物資需給調整法 (1946.10)• 傾斜生産方式 ( 資材を戦略産業に重点的に配分する )

• 産業の単一の行政当局による縦割りコントロール• 通産省による「産業政策」 :

• (1) 発展産業の発見• (2) 発展産業や成長業種の育成や援助 ( 産業内調整 , 補助金 , 税制上の優遇措置 )

• (3) 金銭的手段をベースとした裁量的行政指導「計画的資源配分」

• 大蔵省による「護送船団行政」

• 企業は産業の動向が政府によって一定程度コントロールされているため、政策手段を活用し他社を抑え事業での優位性を確保しようとする .

• ⇒利潤ではなくシェア率を獲得するための競争の発生

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日米のナショナルイノベーションシステムの違い

• 企業• 日本 : 労働者の終身雇用、企業内での技術開発、給与の S カーブ⇒ 長期のコミットメントを企業、労働者双方に要求する。それに対応したマネジメント・システムを用意し、ステークホルダー間の協力や協調を促進し、効率的な企業活動を実現しようとする。

• アメリカ : 同一クラスタ内での労働者の高い流動性、能力主義⇒ 短中期のコミットメントを労働者に要求する。プロジェクトベース。マネジメントの階層、および権限が明確に区別される。

• 政府• 日本 : 政府による技術計画の主導• アメリカ : 科学コミュニティのバックアップ (NIH etc…)

• 金融• 日本 : メインバンク制 , 銀行による融資 ( 間接金融 )• アメリカ : VC 、プライベートイクイティによる投資活動 ( 直接金融 )

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(Lazonick, 2007)

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The Organization Impact of Technological Change in United States and Japan

United States Japan

Pacific Rim Countries; Singapore, Malaysia, Thailand and Philipines.

VC Market formulations; VC Market formulations;

Technical Labor Market; Technical Labor Market;

Buyer-Supplier Relations; Buyer-Supplier Relations;

life time employment, S-curve wage ( 年功 ), immobility of workforces, shuko, tenseki, job turning among the "keiretsu" firms. 

high turnover rate, mobility within the cluster,  stock option plan, lack of retirement plans, focusing on same technologies.

the scale of VC is immediaty small, funded by the debt, the backupground of investor in accounting or taxation., no "exit" options.

stock market is open for young companies, funded by pension, university and foundation endowments, have "exit" options.

independent relations with no loyalty, licensing system, not lock-in to typical supplier, incentives to take risks to advance technology.

cross shareholdings, reduce the customer's engineering investment, affliate with rival companies, disinsentives to take new technology.

OffshoreProduction

strategies ; "first-mover advantage" strategies ; "follower, catch up and overtake"

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ナショナルイノベーションシステムの経路依存性• (奥野 , 1993 )

• 「現代日本の労使関係が他国のそれと異なるのは国民の嗜好や国土の広狭といった物理的な要因によるのではなく、歴史的要因や文化的要因、あるいは単なる偶然のために、現代日本と他国あるいは戦前の日本が異なる均衡に落ち着いてしまったからということになる。しかも、このような歴史的・文化的偶然が創りだした日本型労使関係は、それが社会に普遍的に存在しているという理由自体のために、安定的な社会慣習(制度)として維持されることになるのである。」

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Intermission

• 成績評価 (updated)• 中間試験 35点• 必須レポート 10点• 期末試験 55点+ 任意レポート +α点

• 任意レポートについて• 期末試験について

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任意レポートについて• テーマ : 産学官連携のケーススタディ•提出期間 : 2014/1/8 14:40 – 2014/1/15 23:59•提出方法 : DotCampus•配点 : max 30点 – min 0点•回答方法

• (1) 産学連携の具体事例についてひとつまたは複数を取り上げ , • (a) 企業 (b) 大学 (c) 政府 , 公的機関 がそれぞれ果たした役割を明示する .

• (2) (1) で示した三者の関係性について , Box And Arrow で明示する .• (3) 事例の成功要因 (もしくは失敗要因 ) についてまとめ , なぜ産学連携が成功 (失敗 ) したのか考察する .

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任意レポート(続き)•文字数 : 6000字以上 (英語または日本語 )• レポート様式は必須レポートと同じ

• グループワークでも OK• グループで執筆した場合、全員の名前と担当箇所を明記すること• ただし、得点は人数分で割られる

• 2人で執筆した場合 : max 30点 /2人 = 最大 15点• 5人で執筆した場合 : max 30点 /5 人 = 最大 6点

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期末テストについて• 1/29 日

• 水曜 2 限 10:50-11:50 (60分 )• 水曜 3 限 13:20-14:20 (60分 )

• (すべて)持ち込み可• 教科書やスライド、参考資料など自分が必要だと思うものをもってきてください

• スマホ• ケータイ• 経営のくわしいお父さん• 学校の先生

• 内容が多岐に渡る ( イノベーション , ナショナルイノベーションシステム , NPO, CSR….) ので、暗記しても仕方ない問題です ( かといって簡単ではない )

• 大問がふたつで合計五問。マークシートなし。• 後半のトピック : NPO, 技術開発 , ナショナルイノベーションシステム・日本企業の経営課題

• レポートと同じく、 1. サーベイして 2. 自分の意見を考察としてまとめる問題 .• 教科書や問題文の丸写しだと得点が下がる仕様です。

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期末テストの教室水 2 8-33 法   法律  

200800122~201300292

法   自治行政201000535~201300590

経済  経済  200601437~201300900

水 2 8-34 経済  経済  201300901~201301425

経済  現代ビジ200901467~201201744

人間科 人間科学 201104206

水 3 8-21 科目等      201390517

法   法律  200800296~201300379

水 3 8-21 法   自治行政201200512~201300634

経済  経済  200800789~201301341

水 3 8-33 経済  経済  201301353~201301400

経済  現代ビジ200901765~201301795

外国語 英語英文 201001807

人間科 人間科学201104275~201104397

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期末試験の注意• 「学生証」は必ず試験場に持参してください。 • 「学生証」を忘れた者は、証明書自動発行機(1号館1階)で仮学生証を申請してください。

仮学生証の発行には手数料100円が必要です。 • 2 「学生証」は必ず写真を上にして、監督者の見やすい通路側に置いてください。 • 3. 「履修登録確認表」に記載された授業科目以外は受験できません。また、担任者・クラ

ス・時限などを誤って受験した場合は無効となります。 • 4. 「個人別試験時間割表」で指定されている試験日・時限・講堂・座席で受験してください。 • 5. 「答案用紙」の学部・学科・年次・組・学生証番号・座席番号・氏名は、必ずペンまたは

ボールペンで記入してください。無記名の答案は無効となり、成績評価の対象外になります。 • 6. 試験開始後は棄権できません。また、試験開始後40分間は退出できません。 • 7. 「答案用紙」を持ち帰ることは、不正行為扱いとなります。 • 8. 試験場においては、私語その他、不正行為の疑惑を招くような態度はとらないでください。

なお、携帯電話、ふでばこは机の上には置かないでください。携帯電話は時計としての使用も認めません。

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期末試験の注意 (2)

• 遅刻者は試験開始後30分まで認めます。ただし、正当な理由があり、追試験の受験を希望する場合には監督者に申し出て、その指示にしたがってください。

• 不正行為者は「不正行為等取扱規程」により当該試験期間の受験を無効とし、以下の処分の内容について保証人に通知します。

• 単純不正行為=「戒告」(当該試験期間の受験を無効とします) • 悪質不正行為=「停学」(当該年度の定期試験期間の受験は無効)

• 不正行為が二度にわたったとき=「退学」

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勉強会?• 前期と同じく勉強会をする予定• 29 日の前週 ( 金曜日または週末 )

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まとめ• ナショナルイノベーションシステム• ナショナルイノベーションシステムの観点に基づく国家の経済

成長パターンの違い• 知識経済と政府主導型経済

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情報発信• Twitter

• @harayasushi

• Facebook• http://www.facebook.com/yasushi.hara

• LINE• グループがあるのでトモダチに誘ってもらってください

• Facebook Page• https://www.facebook.com/businesstheoryk2013

• 講義の予定を掲載したり、講義資料をアップしたりします• 9月 +10月のパスワード : globalstrategy • 11月のパスワード : creativeresponse• 12月 +1月のパスワード : christmassteps

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1月の予定• 2014/1/8: イノベーションと経済・経営

• イノベーションシステム• 2014/1/15: 日本企業の経営課題(最終回)

• 2014/1/29: 期末テスト

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Thanks.