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総合基礎薬学講義 I
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総合基礎薬学講義 I
平成 25 年 5 月 28 日
1
物質の移動1 拡散 2 沈降現象3 透過4 レオロジー
2
SBO 拡散および溶解速度について説明できる。SBO 沈降現象について説明できる。SBO 流動現象および粘度について説明できる。
1 拡散 diffusion
○ 液体や気体中を乱雑な熱運動により,分子やイオンなどの粒子が移動していく過程
○ 溶液中,溶質分子が濃度の高領域から低領域へと濃度勾配にしたがって広がっていく現象
駆動力摩擦力
溶液中の溶質の移動
F-f v
F f v m a
○ 拡散速度は 駆動力 と 摩擦力が釣り合った速度である。(定常状態の移動速度
)sv
濃度勾配
f : 摩擦係数v : 移動速度
sF
vf
6f r
r
1 拡散 diffusion
(1) 流束 J ( mol m-2 s-1 )
(2) フィックの第一法則
dd
cJ D
x
流束=-(拡散係数) × (濃度勾配)拡散係数 D : SI 単位 m2∙s-1
×n
JA t
窓を通り抜ける粒子数
窓の面積 時間( )
( ) ( )
4
d× dn c
JA t x
1 拡散 diffusion(3) フィックの第二法則
時間経過とともに,濃度の高いところから,濃度の低いところに物質が移動していく様子を表す式
in
out
in out
( ) d
( d ) d
d
n J x A t
n J x x A t
n n n
d d d dd d d d d d
c n n Jt V t A x t x
2
2d d dd d d
c J cD
t x x
フィックの第一法則を用いると
5
溶質濃度の時間変化が,濃度勾配の変化の度合いに比例する。
1 拡散 diffusion(4) 拡散の熱力学的な考え方
* lnR T c
B
A
d d dd d d
k TR T c cF
x N c x c x
○ 溶質分子1個に働く力 F (濃度勾配によって生じる駆動力)
○ 溶質分子は溶媒中を拡散していくとき,摩擦力が駆動力とつりあうまで速度が増加し,それ以後は速度一定となる。
kB : ボルツマン定数
摩擦力 = f∙vB d
dsk TF c
vf f c x
(駆動力)
拡散速度(摩擦係数)
6
1 拡散 diffusion (4) 拡散の熱力学的な考え方
B dds
k TF cv
f f c x
(駆動力)拡散速度(摩擦係数)
B Bd d dd d d
k T k Tc c cJ c D
f c x f x x
濃度 c をかけると,溶質粒子の流れ,すなわち流束 J が得られる。
Bk TD
f
フィックの第一法則
アインシュタイン - ストークスの式
温度 T を上げると,拡散係数 D は増加する。つまり,温度が高いほど物質は速く移動する。
6f r
7
濃度勾配 溶媒の温度
小 → 大 低 → 高
駆動力小 →
大 小 → 大
拡散速度小 →
大 小 → 大
溶質の大きさ 溶媒の粘度
小 → 大 低 → 高
摩擦係数 小 → 大 小 → 大
拡散速度 大 → 小 大 → 小
○ 拡散に影響を与える溶媒・溶質の性質
1 拡散 diffusion
B dd
k T cF
c x
駆動力
B dds
k T cv
f c x
拡散速度 Bk T
Df
拡散係数
6f r 摩擦係数
8
1 拡散 diffusion
(5) 分子の並進運動と拡散
拡散を分子 1 個に注目すると,
○ 分子同士の衝突による無秩序な並進運動ランダム歩行 (酔歩)
○ 二乗平均移動距離 d
2 2d D t
9
1 拡散とは,分子が薄い濃度領域から濃い濃度領域へ移動する現象である。
2 拡散は分子の並進運動であるので,乱雑な酔歩の動きと関連している。
3 拡散係数は,温度が高くなると大きくなる。
4 拡散係数は,分子の分子量が大きくなるにつれて大きくなる。
問1 拡散に関する次の記述の正誤を判定せよ。
10
2 沈降 sedimentaion
(1) 重力による自然沈降
30
4( )
3F r g
○ 半径rの球形粒子が粘度 の溶媒中を 自由落下する場合の駆動力 F
○ 摩擦力 Ff = f (摩擦係数) vs (沈降速度)
6f s sF f v r v
6f r 11
2 沈降 sedimentaion
(1) 重力による自然沈降
202 ( )
9sr gF
vf
(駆動力)沈降速度
(摩擦係数)
駆動力 F が摩擦力 Ff とつりあうところで沈降速度が一定になる。
ストークスの式
粒子の沈降を抑えるには,① 粒子径 を小さくする。② 粒子と溶媒の密度差を小さくする。③ 粒子の粘度を上げる。 12
2 沈降 sedimentaion
(2) 超遠心による沈降
○ コロイド粒子(粒子径 1 mm 以
下)○ 巨大分子(たんぱく質,核酸,
多糖類など分子量が 10 ~ 100 kDa )
沈降平衡: 拡散速度=沈降速度
溶液をあまり大きくはない回転数で回転
↓沈降効果により溶質分子は管の底部
沈降↓濃度勾配ができる。↓拡散効果が発生する。↓沈降平衡に達する。↓ 溶質の濃度比,↓ 溶媒の密度,↓ 溶質の部分比容
溶質のモル質量が求まる。13
問2 沈降に関する次の記述の正誤を判定せよ。
1 粒子の沈降速度は,粒子の直径の 2 乗に正比例する。
2 沈降粒子の摩擦力は,粒子半径の 2 乗に正比例する。
3 沈降中の粒子の加速度はゼロである。
4 沈降中の粒子の加速度は正の一定値である。
5ストークスの式が適用できるのは,粒子が一定の速度で沈降している場合である。
6粒子が分散溶媒に完全に溶解している系には,ストークスの式は適用できない。
7 測定条件が同じであれば,粒子径が 2 倍になると,沈降速度は8 倍になる。
8一定の距離を落下するのに必要な時間は,粒子径が一定ならば溶媒の粘度に正比例する。
14
3 透過 permiation
2 3dd
c ccJ D D
x L
膜内での溶質分子の拡散はフィックの第一法則で表され
る。
分配係数 ( K = c2/c1 = c3/c4 )を考慮すると,
4 14 1
c cJ D K P c c
L
膜透過係数D K
PL
(1)膜透過
3 透過 permiation (1)膜透過
流束: 4 14 1
c cJ D K P c c
L
膜透過係数: D KP
L
B 28k T
Df
拡散係数 :
6f r 摩擦係数:
膜透過の指標 ① 膜への分配が高いほど② 分子サイズが小さいほど③ 溶液の温度が高いほど
膜透過係数は大きくなる。
3 透過 permiation
(2) 溶解 dissolution
1 dd
sc cnJ D
A t h
溶質分子の拡散はフィックの第一法則で表される。
dd
sc cnA D
t h
d 1d
sc cn A Dt V V h
dd
sc cc A Dt V h
Nernst – Noyes – Whitney 式
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A : 固体の表面積
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① 溶解度 Cs を高くする。② 固体表面積 A を大きくする。③ 拡散層の厚さ h を薄くする。④ 温度を上昇 → D の増大
3 透過 permiation
(2) 溶解 dissolutiondd
sc cc A Dt V h
Nernst – Noyes – Whitney 式
○ 溶解速度を速くするための条件
k TD
f
拡散係数
問3 薬物が膜を透過して移動する現象を左図で説明するとき,記述の正誤を答えよ。ただし, c1 - c4 は各点における薬物濃度, L は膜の厚さ, S は膜の断面積,M は薬物量, K は膜-溶媒間の分配係数 ( K = c2/c1 = c3/c4 ) を示す。
aフィックの第一法則とは,薬物の移動速度がその点における薬物の濃度勾配に比例することである。
bフィックの第二法則によれば,膜中にある断面 P における濃度は, P の一点における濃度勾配が一定であれば,常に一定に保たれる。
c単位面積当たりの薬物の移動速度は, で表される。
dシンク条件とは, または であることをいう。
2 3d
d
c cMD K
S t L
2 3c c 3 0c
19
2
2d dd d
c cD
t x
b フィックの第二法則 slide 5
2
2d d
0d d
c cx x
が一定であれば,
c 薬物の移動速度 slide 132 3 1 4d
d
c c c cMD D K
S t L L
d シンク条件高濃度側に比べて,低濃度側の溶質濃度が 0 とみなせる条件
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a フィックの第一法則 slide 4dd
cJ D
x
4 レオロジー Rheology
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○ 応力 stress S : 外力 F の作用によって生じた内力 ( Pa = N m-2)○ ひずみ strain g : 物体の大きさに関係しない相対的な
変形量○ 弾性 elasticity ; 応力がゼロになったとき,
直ちに元の平衡状態に戻る性質○ 粘性 viscosity : 力を取り除いても元にはもどらない性質○ 塑性 plasticity : ごく小さい応力に対しては固体とし
て弾性を示すが,ある限界以上の応力では流動し,粘性を示す。
“ r heo” = “flow” 「物質の変形と流動に関する化学」 by E. C. Bingham
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せん断応力 S (Pa)F
SA
せん断速度 D1d
( )d
D st
: せん断ひずみ(ずりひずみ)=tan
力(応力)-物質の変形(流動)-時間の関係を定量的に解析
4 レオロジー Rheology
4 レオロジー Rheology
(1) 変形および流動 ○ ニュートン流動
1
1= or
[Pa] = [Pa s] [s ]
S D D S
応力 粘度 ひずみ速度
純溶媒 粘度 (mPa∙s)
水 1.002
アセトン 0.322
エタノール
1.200
ベンゼン 0.652
グリセリン
141223
4 レオロジー Rheology
○ 非ニュートン流動
24
4 レオロジー Rheology
(2) 粘度 ○ 温度上昇に伴い,粘度は低下する
○ 純液体の粘度 ( Pa∙s = N∙s∙m-2 = kg∙m-1∙s-1 ) 動粘度(動粘性率) / ( m2∙s-1 )
密度 流動度(流動性の指標) 1/
eE
R TA
25
アンドレードの式
(2) 粘度
4 レオロジー Rheology
○ 溶液の粘度相対粘度 rel
比粘度 sp
還元粘度 red
固有粘度 [] (L/g)
濃度 c の溶液の粘度 溶媒の粘度 0
rel0
0sp rel
0 0
1 1
spred c
spred0 0
[ ] lim limc cc
マーク – ハウインクの式
[ ] aK M
26
4 レオロジー Rheology
(3) 粘度測定法
(a) オストワルド粘度計 (b) 回転粘度計 (c) 落球粘度計ウベローデ型粘度計 ニュートン流体
ニュートン流体非ニュートン流体
非常に高粘度のものの測定
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問4 流動に関する記述の正誤を判定せよ。
1ニュートン流動では,せん断速度に無関係に粘度は一定となる。
2塑性流動において,降伏値より大きいせん断応力ではせん断速度に無関係に粘度は一定となる。
3準粘性流動では,降伏値より大きいせん断応力ですぐに流動を起こす。
4ダイラタント流動では,急激にせん断応力が加わると流動性が増加する。
5ダイラタント流動は,粘度はずり速度の増大とともに減少する。
28
問5 温度が上昇するとき,次の値はどのようになるか。
1 溶媒の粘度2 粒子の摩擦係数3 粒子の拡散係数
4 粒子の沈降速度
問6 日本薬局方で規定された (1) 粘度、 (2) 動粘度、(3) 固有粘度の単位は?
(1) 粘度
(2) 動粘度
(3) 固有粘度
減少減少増大
増大
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Pa∙s = N∙s∙m-2 = kg∙m-1∙s-1
m2∙s-1
mL∙g-1