三け 句 削除構文 の 変 遷 者 田 度 v.,....

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ム日 v.,. 削除構文 三け l. ln rod c lon 本稿では,重出の 動詞句を一定の 条件の下で消去し 助動詞を残すいわゆる 動詞句削除と ばれる規則によって 生成されると 言われる構文を 通時的に扱う。 この構文は, (1) のような重 文だけでなく (2) のような複文, (3) ような対話文などにも 見られるが,本稿では ,重文つま 等位構文における 動詞句削除構文のみを 扱 (@1)@ David@couldn t@hit@a@home@run but@Mark@could (@2@)@ I@will@leave@when@she@does (@3@)@ Why@did@you@leave@?@-Because@Sandy@did 等位構文における 動詞句削除構文のうちで 両方の等位節に 助動詞を含むものは ,Ⅵ sser 969), 中尾・ 児馬 (1990), 中尾 (1972) ると,形式上, (4) に示した 6 種類に分類され これは,動詞句削除構文を 動詞の形態と 削除の方向を 基準として分類したものであ る。 (4@ 1. 2 つの等位項の 動詞の形態が 同一のもの A. 右側の等位項の 動詞句が伊のもの (e.g.ImustSoandw Ⅲ・ ) B.左側の等位項の 動詞句が楼のもの (e.g.ImustandwilI9o.) TT. 2 つの等位項の 動詞の形態が 異なるもの A. 右側の等位項の 動詞句が抄のもの i. 削除される動詞が 不定詞のもの (e.g.Ihavegoneandshall.) Ⅱ.削除される 動詞が不定詞以覚のもの (e.g.Icouldgoandhave.) B.左側の等位項の 動詞句が のもの i . 削除される動詞が 不定詞のもの (e.g.Icould and havegone.) h. 削除される動詞が 不定詞以覚もの (e.g.Ihave and could goJ 以下,この分類に 基づいて,第 2 節では,英語の 歴史の中で (4) の 6 種類の構文のそれぞれの 容認可能性あ るいは一般性がどうであ ったかを,王にⅥ sser(1969), 中尾・ 児馬 (1990),Quirl( れ切.㎝ 972) にしたがって 紹介しそこで 示される容認可能性あ るいは一般性の違いが文法 どのように説明されうるかの 1 つの試みを第 3 節で行ってみたい。 ただし (4) 11 型のそれ ぞれの等位節の 助動詞について ,本稿では,一方が 法助動詞で他方が 完了の HAVE の場合の みを対象とする。

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ム日

v.,.

削除構文

三け

l . ln 士 rod り c 士 lon

本稿では,重出の 動詞句を一定の 条件の下で消去し 助動詞を残すいわゆる 動詞句削除と 呼

ばれる規則によって 生成されると 言われる構文を 通時的に扱う。 この構文は, (1) のような重

文だけでなく , (2) のような複文, (3) ような対話文などにも 見られるが,本稿では ,重文つま

り 等位構文における 動詞句削除構文のみを 扱 う 。

(@1)@ David@couldn , t@hit@a@home@run , but@Mark@could

(@2@)@ I@will@leave@when@she@does .

(@3@)@ Why@did@you@leave@?@-Because@Sandy@did

等位構文における 動詞句削除構文のうちで 両方の等位節に 助動詞を含むものは ,Ⅵ sser

Ⅰ 969), 中尾・ 児馬 (1990), 中尾 (1972) に よ ると,形式上, (4) に示した 6 種類に分類され

る 。 これは,動詞句削除構文を 動詞の形態と 削除の方向を 基準として分類したものであ る。

(4@ 1. 2 つの等位項の 動詞の形態が 同一のもの

A. 右側の等位項の 動詞句が伊のもの (e.g.ImustSoandw Ⅲ・ )

B. 左側の等位項の 動詞句が楼のもの (e.g.ImustandwilI9o.)

TT. 2 つの等位項の 動詞の形態が 異なるもの

A. 右側の等位項の 動詞句が抄のもの

i. 削除される動詞が 不定詞のもの (e.g.Ihavegoneandshall.)

Ⅱ.削除される 動詞が不定詞以覚のもの (e.g.Icouldgoandhave.)

B. 左側の等位項の 動詞句が ゅ のもの

i . 削除される動詞が 不定詞のもの (e.g.Icould and havegone.)

h. 削除される動詞が 不定詞以覚もの (e.g.Ihave and could goJ

以下,この分類に 基づいて,第 2 節では,英語の 歴史の中で (4) の 6 種類の構文のそれぞれの

容認可能性あ るいは一般性がどうであ ったかを,王にⅥ sser(1969), 中尾・ 児馬 (1990), Quirl( れ切.㎝ 972) にしたがって 紹介しそこで 示される容認可能性あ るいは一般性の 違いが文法 て 。

どのように説明されうるかの 1 つの試みを第 3 節で行ってみたい。 ただし (4) の 11 型のそれ

ぞれの等位節の 助動詞について ,本稿では,一方が 法助動詞で他方が 完了の HAVE の場合の

みを対象とする。

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2 天理大学学報

2 . The Data

2. 1. 1. IA

重出の動詞句が 省略されていない 形式も用いられてきたが ,それ以上に TA 型は , 例えば

(5) 一 (8) のように, 0E 期 以来,普通に 用いられてきた。

(@5@)@ OE@ Gospel@MT . 6,19 , fa@syrwde@Herodias@ymbe hine@and@wolde

then@plotted@Herodias@concerning@him@and@wished hine@ofslean@and@heo@ne@mihte

him@slay@ and@she@not@was@albe@to

(@6@)@ ME@:@cl374@Chaucer , Troil , Ill , 376 , if@I@late@or@yerne@Wolde@it@bi reye , or

if@I@ later@ or@ soon@would@it@reveal@ or

dorste , or@sholde@konne dared@ or@should@be@able@to

(@7@)@ ModE:@1816@Scott , Old@Mortality@ (tauchn ・ )@ 318 , Monmouth ・ , , cannot@protect

you;@Dalzell@will@not;@I@both@can@and@will (@8@)@ PE:@He@can@demand@repayment , and@ (he)@ will@tj>

. フ

2

「・Ⅰ

) る

けぁ

ばで

え詞

例定

ま |

B

式通

L

こは

ヨ田

2

一一一

- 月

(@9@)@ OE@ Wulfstan , Horn . (Bethurum)@ XI , 232 , He@ure@heipe@&@us@geunne@ past

He@us@help@and@us@grant@ that

we@magan@ &@ motan his@willan@aredian

we@are@able@to@and@are@permitted@ his@will@ carry@out

(10)@ ME:@cl380@Wyclif , Wks , (1880)@ 116 , Wise@clerkis ・・・ Pat@mygten , couden

and@wolden@teche@ Pe@peple@ pe@gospel (11)@ ModE:@cl592@Rob , Greene , Orlando@Furioso@ (Mermaid)@ I , i@p , 176 , By

hook@and@crook@I@must@and@will@have@both

(12)@ PE:@They@could@iji,@and@ (they)@ should , have@saved@more

2. 1. 3. 11 Ⅳ

この形式は, (13) 一 (15) に示したように , MR 期 以降,一般的に 用いられるようになった。

省略されない 形式も併用された。

(13)@ME:@cl386@Chaucer , C . T . B@1077 , Ther@is@noon@lyk@that@any@creature@Hath@seyn , or shal@whil@that@the@world@may@dure

(14)@ ModE:@1611@Shakesp ・, Cymb , Ill , vi , 48 , I@have@stol , n@nought , nor@would@not ,

(15)@ PE:@1961@Alan@Sillitoe , Key@to@the@Door@ (Pan@Bks , )@ 171 , she@hadn , t@had@the@best@out

of@life@and@never@would

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動詞句削除構文の 変遷

2. 1. 4. 1IA Ⅱ

この lIA 五型は, OE 期では用いられず , MR 期でもほとんど 用いられなかった。 16 世紀 半

ばから IIAll 型 ( 例えば, (16), (17)) は徐々に頻度を 増すが,いぜんとして 省略されない 形 ,

特に HAVE のあ とに done を補った形が 好まれる。

(16)@ ModE:@ 1580@Lyiy , Euphues@ (Arber)@ 343 , Medicines@there@are@that@can@bring@it@to passe,@and@men@there@are@that@haue

(17)@ PE@ 1951@Rob . Maugham , The@Rough@and@the@Smooth@ (Four@Sq , Bks , )@ 71 , I , ve@al

ways@been@hoping@ my@ father@ would@ make@ over@ some@ money@ to@ me , but@ he@ never has ・

2. 1. 5. IIBi

11 図の形式は, LME から用いられているが , 同じ時期の IIB Ⅱの形式に比べてその 使用頻

度は 低い。 (17 世紀以降に衰退し 始め , )19 世紀以降は前以て 準備されていない 話し言葉 (unpre

meditated conversation) 以外ではほとんど 用いられなくなり ,現在はくだけた 口調の会話 は

外では用いられない。 (18) と (19) がその例であ る。

(18)@ ModE:@St . Thomas@More@Wks , 523@AI , But@then@whyle@he@sayeth@that@al@these@na

cions@may@&@hath@al@this ・ VIII ・ hundred@yere@so@ entierlye@fallen@into@heresyes ・ / 1739-40@Richardson , Pamela@(Dent)@I , 55 , remorse@may , and@I@hope@has , smitten@him to@ the@ heart@ at@ once

(19)@PE:@1944@Lt , Gen ・ Omar@N ・ Bradley@(in:@Stars@&@Stripes , Dec 、 12)@American@soldiers

can@and@have@beaten@German@solders@on@the@field@of@battle ・Ⅰ ?@*@Peter@would , and

John@has , apologized

2. 1. 6. 1IB Ⅱ

IIBii 型は, (20), (21 に示したよ う に, T,ME 期 以来用いられ ,同じ時期の 11 団の形式より

は 使用頻度は高い。 11 団 と同様, は 7 世紀以降に衰退し 始め , ) 19 世紀以降は前以て 準備され

ていない話し 言葉以覚ではほとんど 用いられない。 例えば, PE のこの形式 ( 例えばⅡ 22N

に 関して, Quirk 勿 ㎡. (1972: 584) は , 疑わしいもので , くだけた口調の 会話でのみと き

どき用いられるとしている。

(20)@ ME:@cl374@Chaucer , Troil , II , 827 , 0@Love , to@whom@I@have@and@shal@Ben@humble

subgit

(21)@ ModE@ St , Thomas@More@Autogr . Lett . (Delcourt , Essai)@ VI , 34 , he@dowteth@not

but@yor@grace@hath@ &@will@provide@therfore (22)@ PE@:@ ?@*Peter@has , and@John@may , apologize

以上 6 種類の形式の 容認可能性あ るいは一般性は ,概略, (23) のようにまとめられる。

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4 天理大学学報

OE ME ModE PE

IA

I B

II@Ai

IIAii ホ ( 稀 ) ム ム

II@Bi ホ (EME@ ? (LME) A 卍 ?@ #@

IIB Ⅱ *@(EME)@ A@(LME)@ 0@ ? つ ?

(0 丁容認可能, ホ = 容認不可能, ム = 容認可能であ るが,一般性あ るいは使用頻度が

低い )

以下, 3 節では,この 容認可能性,一般性あ るいは使用頻度の 相違に対する 1 つの説明を試み

るが,本稿では 特に, (24) に示した問題を 中心に考察する。

(24) i. IIAi に関して, OE と ME 以降の容認可能性の 違いはどのように 説明されるか。

ii. IIAii に見られる容認可能性あ るいは一般性の 史的変化はどのように 説明される

か O

Ⅲ・ ME 一 PE における TT 肘と TTAli の容認可能性あ るいは一般性の 違 い はどのよ う

に 考えたらよいか。

iv. IIB 」と ITRi に見られる容認可能性あ るいは一般性の 史的変 ィヒ はどのように 考え

たらよいか。

v. LMF 期 以降の 1IBBi と IIB Ⅱの使用頻度の 違 い はどのように 考えたらよ いか 。

3 . Hypothes ㎏

本節では,初めに ,等位構文,および 法助動詞 (modal auX Ⅲ ary(M)), 両法助動詞 (Pre

modal(PM)), 完了の HAVE に関して本稿で 前提とすることを 紹介し次に,その 前提に基

づい て前節の (23) に示された史的事実と (24) のト v はきとめられた 問題がどのような 分析に

基づいてどのように 説明され ぅ るかを考察する。

3. 1. Assumpti0ns

3. 1. l. Coordinate structure

本稿では, Goodall (1987) や岩田 (1987 ; 1991, etc.) で提案および 論証されている よう

に ,等位構文は 三次元構造を 持っと仮定する。 そして,岩田け 987;1991, etc.) で仮定さ

ている条件などに 従うと,例えば ,概略, (25) の三次元基底構造が 生成される。

CP2

CP1 Spec c ,

Spec C IP c , C IP

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動詞句削除構文の 変遷 5

この構造において , CP, は, CP, の背部の姉次元の 空間に生成された 範時 ( 三一方の等位節 )

であ り, も う 一方の等位節であ る CP, と,構造上,対等の 位置にあ る。 本稿では,このよう

な三次元構造を 次の (26) のように略記する。

CPI@ Spec@ ・ 。 C@ IP Ⅰ

CPZ@ Spec@ [c , C@ IP]]

文法でこのように 生成される三次元 D 構造は,必要な 変形操作を受けたあ と, PF 部門で

(27) の直線 ィヒ 規約㎝ nearization convention(LC)) に従って適用される 音韻解釈規則によっ

て直線的㎝ near) な音声形式に 変換されると 仮定する。

(27) LC 次の構造において ,

(a) Xl と X' の 右側に同一の 要素があ る場合は,その 同一の要素より 先に X 。 と X2 を

解釈しなければならない。

(b) すべての xl と X2 は同じ順序に 解釈されなければならない。

(c) Xl と X2 の平行的な位置に 共通して含まれる 要素の二度目およびそれ 以降の解釈に

際しては, それ ( ら ) をゼロと解釈してもよい。

Ⅰ 毛

( 岩田 (1987, etc.))

3. 1. 2. PM, M, HAHVEE

初期の英語において , m ㏄ g, aceal などの両法助動詞 (PM) および完了の HAVE が本動

詞であ ったのか助動詞であ ったのかということと , それらがどのように 下位 範 幅 4 ヒ されていた

のか,つまりどのような 神部をとっていたかについては , 付 len (1975), Br 」 nton (1988),

Griffith(1996), van Kemenade(1987), Ⅱ ghtf00t(1979; 1991), Ⅶ tchell(1985), Robe Ⅱ s

(1993), Traug0tt(l992) (2) などによっていくつかの 提案がなされているが ,本稿では (28) のよ

、フ に 仮定する。

(28) OE

PM/M [+V]

[ 一 Auxl

[+clause@ ]

HAVE [+Au Ⅹ /[-Au Ⅹ

Ⅱ VP

ME

[+V]

[@Au Ⅹ

[+@ VP]

[+V]

[+Aux]

[+@ VP]

ModE

[+V]

[+Aux]

VP]

[+V]

[+Aux]

[+@ VP

PE

L+v]

[+Aux]

[+@ VP

[+V]

[+Aux]

[+@ VP

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6 天理大学学報

3.2. X- VP- &- Y- 砂 (IA, IIAi, IIAii)

ここでは,説明の 便宜上, (4) の 6 つの形式を,右側の 等位節の動詞句が 表現されていない

もの ( 即ち, IA 型, lIAi 型, lIA Ⅱ型 ) と,左側の等位節の 動詞句が表現されていないも

の ( 即ち, TR 型, TTRi 型, IIBii 型 ) の 2 種類に分けて 考察することにする。 さらに, 本

稿 では,重出動詞句の 省略可能性を , (29) の 3 つの基準に基づいて 考察する。

(29) 重出動詞句が ,構造上,平行 白 りな位置にあ る。

Ⅱ.重出動詞句に ,構造上,最も 近い位置にあ る動詞の種類が 同一であ る。

Ⅲ.重出動詞句に ,構造上,最も 近い位置にあ る動詞のり Aux] の値が弁別的に 対

立しない (non-distinct), あ るいは同一であ る。

i は 重出動詞句についての 基準であ り, ⅡとⅢは重出動詞句に 最も近い位置にあ る conteXt

term としての法助動詞,両法助動詞,および 完了の HAVE に関する基準であ る。 さらに, i

とⅡとⅢは (27) の (c) の条件の「重出要素が 平行的であ るかどうか」に 関する基準であ る。 つ

まり, この i , 五 ,Ⅲの 3 つの基準を多く 満たすものほど 重出動詞句同士の 平行性が高くな

り,重出動詞句は (27) に従ってそれだけゼロと 解釈されやすくなると 考える。

3. 2. 1. IA

OE : OE 一 16, 17 世紀頃 までは,本動詞も Verb Raising の適用を受ける (cf. Roberts

(1993), Ⅱ 9h は o0t (1991)) と 仮定すると,その 派生構造,即ち (27) の条件に従って 直線化さ

れる直線の構造は (30) のようになる。 @3)

ⅠⅡ cpNP'j@ [c@ [c@ PM'E-AuxJiJEiptjErEvpEvEPRoLvpiJILvt.lJJEiti]]]]] cpNP2. EC [c [email protected]]]]]]

(30) では,, VPl と VP2 は共に PRO の sister であ り,重出動詞句に 最も近い位置にあ る動詞

は共に PM で同一であ り,重出動詞句に 最も近い位置にあ る動詞の [ ば Aux] の値は共にマイ

ナスで同一であ る。 したがって, (29) の ト Ⅲの基準をすべて 満たしその結果, (27) に従っ

て NPl-PMl-VPl-8- (NP2-)PM2- 伊が生成される。 そして, ME の (31) と ModE 以

隆の (32) でも, (29) の基準がすべて 満たされるので , TA 型が生成される。

ME

CP@ [c'C@ [ip@ NP1@ [r@ [iPM1@ [@Aux]],@ [vp@ [v@ti]@[vpi@ ]]]]]] CP@ [c 。 C@ [ip@ NP2@ [r@ [iPM2@ [@Aux]]i@ [vp@ [vti][vp2@ ]]]]]]

(i, ii, Ⅲの基準をすべて 満たす。 )

づ NPl-PM@- VP@- 8 (NP2-)PM2- ゅ

ModE 以降

(32) ⅡⅡ

CP@ [c.C@ [ip@ NP1@ [r@ [iM1@ [+Aux]]i@ [vp@ [v

cp 「 e.c [lP NP2 卜 [IM2 [+ Aux]], [vp 卜 t, Ⅱ vp2 ]] ココ ] コ

げ , 11, Ⅲの基準をすべて 満たす。 )

づ Npl-Ml-vpl- &@ - (Np2-)M2- ゅ

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動詞句削除構文の 変遷 7

以上, TA 型は, OK 期 以来 3 つの基準をすべて 満たし VPl と VP2 の平行性が非常に 高く

(, LC に従って重出動詞句をゼロと 解釈しても復元可能性が 非常に高 い ので ), したがっ

て,重出動詞句が 省略されない 余剰的で不経済な 形式よりも一般的に 用いられたと 考えられ

る。

3. 2. 2. II、i

OE

く 33) ⅡⅡⅡ

cpNP1;@ [c@ [c@ HAVE[+Aux],/HAVE[-Aux]i][iptj[r[vp[v[vpi

cpNP2. [c' [c PM[-Aux],][iptj[r[vp[v[PRo[vp2

( 基準 i : VP2 と VPl は平行的な位置にない。 基準 ii : HAVE と (P)M で異なる。 基

準Ⅲ : HAVE が「 +Auxl の場合は満たさず , [-Aux] の場合は満たす。 )

このように,平行,注に 関する基準 i, l1, Ⅲのうち, i と h は常に満たされず ,Ⅲも多くの 場

合は満たされないので (cf. 注 (2)( Ⅱ )a), 平行性の度合いは 非常に低く , LC(c) に従って VP2

を ゼロと解釈することはできないと 考えられる。

ME :

[ II ( いくし ) 二 [ [ 卜し c P P [ [ Ⅰ し Ⅰ し 1 しハ 1 し ハ [ [ 1 @@ P, P Ⅱ い ⅠⅣⅡ N ハト上ト Ⅰ ト l Ⅰ Z [ [ [iHAVE[+Aux]].ーvp[vti][vpi‐]]]]] [i‾M[@Aux]],ーvp[vb][vp2‐]]]]] ( 基準 i : 満たす。 基準 h : HAVE と (P)M で異なる。 基準Ⅲ : [ 十 AuX] とに AuX]

で,部分的に 満たす。 )

-@NP1・ (NP2・

3 つの基準のうち 2 つを満たし したがって一般的に 用いられたが , ii の基準を満たされない

ため平行性の 度合いがその 分低く、 重出動詞句が 省略されない 形式も併用されたと 考える。

ModE 以降 :

[i?AVE+Au ( I@ II ハ十し ) Ⅰ [ [ Ⅰ し 卜し P P [ [ コし Ⅰ し 1 しハ 1 し ハ @ [ 1 @@ D, P Ⅱ い ⅡⅣ い N L ト上 Ⅰ Ⅰ ト l Ⅰ 2 @ [ [i`[+Au Ⅹ ] , Ⅹ [vp[vt ]iーvPvt; , Ⅰ vp2‐]]]]] Ⅰ vpi‐]]]]]

( 基準 i ' 満たす。 基準 n : HAvE と M で異なる。 基準Ⅲ : [+ Aux] と「 + Aux]

で完全に満たす。 ) (3 つの基準のうち 2 つを満たし一般的に 用いられた。 )

-@NP1・ (NP2・

つまり, OE では,両法助動詞は [ 一 AuXl で,重出動詞句は 前法助動詞の 神文 (sentenialcom-

plement) の一部であ ったが, ME 期 以降は,両法助動詞は 徐々に [ 土 AuX] さらにはⅡ

Aux] へと変化し,それに 伴って VP 神部をとるようになり ,基準Ⅲだけでなく 基準Ⅰも満

たされるようになった。 その結果, OE の場合と異なり , ME 期 以降は, VPl と VP2 の平行性

が高くなり,二度目の VP2 をゼロと解釈することが 可能となった。 したがって (24i) で提

示された問題,つまり TTAi 型の OE 期と ME 期 以降の容認可能性の 違いは,両法助動詞が 補

文 をとる ト Auxl から VP 神部をとるに Aux] さらには「 +Auxi へと素性が変化した ( 即ち,パラ ... タ 一の値が変 ィヒ した結果,完了の HAVE と統語素性が 類似あ るいは同一のも

のとなり,重出要素の 平行性の度合 いが 高まった ) ことによると 考えられる。

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天理大学学報

3. 2. 3. HAii

OE

口 CPCPCp ㍑ ;: ニ ㌍Ⅲ㌦用な出 Pi/ 仕ど [vr[V, 上 ㍊ 0:Vp;[W,eJxl,lfIPtif 「 はよ f:]][v, 穏 ]lIb+ 盟 Ⅲ ,胡 ⅡⅥ 川

( 基準 i :VP2 と VPl は平行的な位置にない。 基準 ii : (P)M と HAVE で異なる。

基準Ⅲ HAVE が「 +Aux] の場合は満たさず , ト Aux] の場合は満たす。 )

このように, (29) の基準がほとんど 満たされないので , VP2 をゼロと解釈することはできな

いと考えられる。

ME : ー ((l(( 3 ) [i‾M[@Au 二 ll [[ cc PP [[ c し Ⅰ c cc Ⅰ lL ⅠⅠ I@@ DtDp 、 NN PP l つ @ [[ [i?AVEー 、u Ⅹ ]i Ⅹ Ⅱ ]( Pv´ilvpi Ⅰ p´´ーp2´」erb・ ・ verb+@ Ⅰ ⅠⅠ Ⅰ ⅠⅠ

( 基準 i: 満たす。 基準 ii : (P)M と HAVE で異なる。 基準㎡ [ 土 Auxl と [ ヰ

Au 幻で,部分的に 満たす。 )

ModE 以降 :

@@ II ( ) 二 [ [ ハし C P P [ [ Ⅰ し Ⅰ し 1 しハ 1 し ハ [ [ l l P P uN い ⅡⅣ い L ト上 L Ⅰ ト 上り 2 l [ [ [i`[+Au [i?AVE[+Au Ⅹ ]i Ⅰ Ⅹ Pvt;lvpiL」erb+zil ]i[Pv》 , ]´pz 」erb・ ⅠⅠ ] Ⅱ ] Ⅰ ]

( 基準 i : 満たす。 基準 h :M と HAvK で異なる。 基準面 : [+ Auxl と「 + Aux] で完全に満たす。 )

このように, ME 期 以降は,重出動詞句の 平行性が徐々に 高くなったので ,重出動詞句をゼ

ロと解釈しても 復元できる可能性が 徐々に高まったと 考えられる。 これが,省略されない 形式

や HAVE のあ とに done を補った形式ほどではないが TIAH 型の構文が ME 以降徐々に用い

られるようになった 理由であ ると考えられる。 すなわち, TI Ⅳの場合と同様, (28) で仮定し

た 素性の変化 ( 二 パラミタ一の 値の変化 ) が引き金となり ,重出動詞句の 平行性が徐々に 高く

なった結果, IIAii 型の構文がそれと 平行して使用されうるようになったと 考えられる。

(cf. (24ii) の間 題 )

以上のことを , (29) の @ 面の基準をいくつ 満たすかによってまとめると , (39) のようにな

る 。

OE ME@ ModE PE

IA 3 3 3 3

II@Ai 0/ 1 1.5 2 2

HAii 0 / 1 1. 5 2 2

これが IA と I1 №, lIA Ⅱの一般性の 度合 いの 違 い ,および TT 付と lTAii の形式の一般性に

ついて (23) に見られる史的変化 (cf. (24 り, (24i 川をあ る程度表していると 考えられる。

しかしこの (29) の基準では (24iii) の間 題 ,つまり TT 付と IIAjj の一般性の相違は 説明され

ない。 この相違は重出動詞句の 平行性ではなく , 被 接続要素の順序に 関係していると 考えられ

る。 即ち,その相違は ,削除に関する 条件 ( 二 (27 いによって説明されるものではなく , (27)

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動詞句削除構文の 変遷 g

0 条件に従って 直線化されたあ と,文の要素の 線形順序㎝ near 0rde パが 自然なものであ る

かそうでないかという 文体的相違であ り, したがって文体的条件 ( 三一種の出力条件 ) によっ

て説明されるものであ ると考えられる。 一般に,非対称的接続 文 (asymmetric conjunc-

tion) においては,因果関係 (causality), 時間の流れ (temporal priority) に基づいて文は

接続され,接続される 文がそのような 関係になければ 不自然になる (Lakoffl971 : 130) とい

ぅ のがその条件であ り, lIAh の方が IlAi より一般性が 低 い のは, この時間の流れが TIAi と

比べて不自然だからであ ると考えられる "

3.3. X- %-&-Y-VP (IB, IIBi, IIBii)

この形式は,一般的には , (27) の条件の Xl と X2 に関して (40) のように分析された 構造か

ら 生成されると 仮定する。

X1-1 Xl-2 ,卜

cp@ [c , C@ [ipNP1@ [r[iX] , [vp[vti][vpi@ ]]]]]]

[ 。 , [c,C 「 lpNP, [T 。 [IY Ⅱ [W [v ti][vp2 コ ]]] ココ 一 " X2-1 x@z

即ち, (27a,b) の条件に従って (40) が Xl- l-X2-l-X@ 2-X に 2 ( あ るいは Xl-l-X2-

l- X2-2- X@-2) の順に解釈される 際に, (27c) の条件に従って 二度目の VP がゼロと解釈

されて NP@X-&@ - (NP2-)Y-VP- 砂という IB, lIBi, IlBii の形式が生成されると 考

える (6) 。

3. 3. 1. IB

IR 型の構文は,上述の 仮定にしたがって ,以下のように 生成される。 即ち, それぞれ,

OE, ME, ModE 以降の構造であ る (41), (42), (43) では, (29) の 3 つの基準がすべて 満た

されるので, (41) 一 (43) に示した分析が 可能で,それぞれから TR 型の構文が生成されると 考

えられる。

OE :

Xi-1 y-2 " 一 "

cc 二 [[ cc P Ⅱ NN PP l2 .@J [[ [c‾M'E-Aux],]ーip》i[r[vp[v[PRo[vpi‐]ーv》,]]]ーi》,]]]]] [c‾M@-AuxJi]ーip》j[r[vp[v[PRo[vp2‐]ーv》,]]]ーi》,]]]]] X2-1 X2-2

-@NP1@-@PM1@-@&@-@(NP2@-@)PM2@-@VP@-@<fi ME

く 42) Xl- Ⅰ Xl-2 (

ⅡⅡ

CP@ [c'C@ [ipNP1@ [r@ [iPM@AuxIMvptilEvpi@ ]]]]]] CP@ [c , C@ [ipNP2@ [r@ [IPM2[@Aux]]i[vpti][vp2@ ]]]]]]

Ⅰ,

X2-1 X2-?

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Ⅰ 0 天理大学学報

づ NPl-PMl- & - (NP2-)PM2 一 VP 一 %

ModE 以降

(43) X1-1 X1-? , 干 "

L [ ⅠⅠ [ [ C NP1ーrーiM@+AuxJMvpEvtilCvpi‐]]]]] CP@ [c , C@ [ipNP2@ [r@ [iM@+AuxBLvpLvt.@vpz@ ]]]]]] 一 "

X2-1 xz-2

-@NP1・

3. 3. 2. IIBi, llB Ⅱ

( 以下, (44) 一 (47) の a は lIBi 型の場合で , b は TTR Ⅱ型の場合を 示す。 )

OE

(44) a ⅡⅡ

CP@NP'@j@ [c@ [c@PM@[@-@Aux]@i]@[ip@t , [r@[vp@[v@[PRo@[vpi@[v@verb@+@@]@]@]@[v@t , ]@]@]@[i@ti]@]@]@]@]

, NP2) [c [c?AVE[+Aux],/HAVE[-Aux]i]ーip》j[r[vp[v[vp2[v」erb+en]]ーv》i]

ココⅠ l 七片 ] コ ] コ ] これらの構造では , 1B タイプの (41) の場合と異なり , (29) の基準 i 一面のすべてあ るいはほ

とんどが満たされず , VPl と VP2 が平行的な位置にないので , (40) のような分析が 不可能で

あ り, その結果, IIBi あ るいは IIBi タイプの構文は 生成されえない。

ME :

(45)@ a 口

CP@ [c , C@ [ipNP1@ [i , [iPM[@Aux]]i[vp[vti][vpi[vverb+@]]]]]]]

CP@ [c'C@ [ipNP2@ [r[iHAVE[+Aux]].[vp[vti][vp2[vverb+en]]]]]]]

b

CP@ [c , C@ [ipNP1@ [r[iHAVE[+Aux]]i[vp[vt.][vpi[vverb+en]]]]]]]

CP@ Ⅱ , C@ [ipNP2@ L [iPM[@Aux]]l vpL ti] Ⅰ p2 Ⅰ verb+@@]]] Ⅰ ]

ModE 以降

(46) a 口

{cp [c , C [ipNP1 [r[iM[+Aux]],[vp[vti][vpi[vverb+@]]]]]]]

CP@ [c , C@ [ipNP2@ [r@[i@HAVE@[+Aux]@];@[vp@[v@t,][vp2l:v@verb@+@en]@]]]]]]

b ⅡⅡ

CP@ [c , C@ [ipNP1@ [r@[i@HAVE@[+Aux]@] , [vp@[v@t.][vpi[v@verb@+@en]@]]]]]]

CP@ Ⅰ , C@ [ipNP2@ Ⅱ [i@M@[+Aux]@ Ⅰ Lp@L@ ti][p2v@verb+@i]@]]]] Ⅰ

LME の頃 には, (45) からも分かるように ,重出動詞句の 構造上の位置が 平行的になっていた

ばかりでなく ,両法助動詞の 助動詞性が一層高くなり , 15, 16 世紀の頃 には, (46) のように,

完全に [+Aux] になり,この 素性の変 ィヒ ( 二 パラミタ一の 値の変化 ) の結果, 句 構造の平行,性

の 度合いが高くなったので , OE 一 KMR の場合と異なり , (47) のような分析が 可能となった。

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動詞句削除構文の 変遷 11

(47) a X'-l xl-2 C [ に C ・ NP'ーrーi・ , ]ーvpiーv」erb・ CP@ [c , C@ [ipNP2@ [r@ [i@HAVE] , [vp@[v@tiUvpzEv@verb@+@en]@]]]]]]

X2-1 Xz-2

b Xl - Ⅰ xl-2 ⅡⅡ

CP@ [c , C@ [,pNP1@ [r@[i@HAVE]@i@[vp@[@v@ti]@[vpi[v@verb@+@en]@]]]]]]

CP@ [c'C@ [ipNP2@ [r[i@ (P)M]i[vp[vti][vp2[vverb+@]]]]]]] X2-1 X2-2

(47a) では HAVE[+AuxK はその右側に 過去分詞であ る V+en ( あ るいは Aux+en) を選

択 ( あ るいは要求 ) し , (47b) では (P)M はその右側に 不定詞であ る V を選択する ( あ る ぃ

は要求する ) ので, Xl-l-X2- Ⅰ -X2-2-X@- 2 の Jl ほ ほ 解釈され, (47a) と (47b) からはそ

れぞれ, NPl- (P)M -&- (NP2-)HAVE-verb+en- がと NPl-HAVE-&- (NP2-)

(P)M-verb 十 リークが得られる。 しかし, (17 世紀以降,特に ) 19 世紀以降は, (40) のタイプ

0 分析をするにはより 厳格な平行,注が 要求されるようになり (cf. Ⅵ㏄ erl969:1856), 句 構造

の平行性が TB 型の (43) の場合のように 完全でない場合は , (47) のような分析が 一般的には不

可能になったと 考えられる。 その結果,特定の 話し言葉を除いて ,一般には ITHi あ るいは 11

B Ⅱタイプの構文は 生成されなくなったと 考えられる。 以上が (24iv) の間 題 に対する 1 つの考

え 方であ る。

最後に, (24v) の間 題 ,つまり, IIBll 型の方が IIR 型 よ り使用される 頻度が高 い 理由に

ついては次のように 考える。 その理由のⅠ つ 目は,助動詞の 階層が「 Modal-HAVE- 不定

詞 / 過去分詞」だとすると , この 11B の形式から元の 完全形 ( 例えば, (47)) を復元する場

合, IIR Ⅱの「 HAVE- 砂 &- (P)M-V 」の ク の方が IIBi の「 (P)M- ゅ -&-HAVE- 過

去分詞」の ゅ より復元しやすいためであ ると考えられる。 しかし, この理由では TT ハと llAii の 容認可能性の 違いを説明できないこ とからこの 1 つ 目の理由は当たらない。 2 つ目の理由

は, ITAi 型が IIAh 型より一般的であ る理由と同じであ る。 即ち, IIB の形式に関して 言え

ば ,完了の意味が ( 法の意味に ) 先行するほうがその 逆よりも自然な 時間の継続を 表すからで

あ り (cf. 中尾・ 児馬 1990), IIBi と TTR Ⅱの頻度の違いは , TTAi と TTAii の一般,性の 違いに

関して仮定したのと 同じ文体的出力条件によって 説明されると 考えられる。

4 . S し mmary

以上,等位構文における 動詞句削除構文と 言われる (4) の 6 種類の形式の 構文を通時的に 観

察し (23) および (24) の i 一 v はきとめられたそれぞれの 構文の容認可能性の 史的変化と構文

ごとの一般性や 使用頻度の違いに 対する 1 つの説明を試みた。 それをまとめると 以下のように

なる。

(48@ i . (23) に示した 0E から PE に見られる言語変化 (cf Ⅱ 24i, h, Ⅲ )) は , (11 団

と IIB Ⅱの 19 世紀以降の一般性の 低下を除いて , )(28) で仮定した前法助動詞と 完了

の HAVE に関する素性の 変化として捉えられるということを 示した。 これがパラ

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12 天理大学学報

ミタ一の値の 変 ィヒ だと言えるとすると , このことはⅡ ghtfoot(1991) の「言語 変ィヒ

はパラミタ一の 選択に基づいて 述べられる」という 考えを支持するものであ る。

ii. (23) に示した 11 Ⅳと IIATT の一般性の違 い および IIBi と lIBTT の使用頻度の 違

い (cf. (24 Ⅲ, v)) は,文体上の 相違であ り,一般に,非対称的接続 丈 において

は ,因果関係,時間の 流れに基づいて 文は接続され ,接続される 文がそのような 関

係になければ 不自然になる (cf. Lakoff(1971 : 130), 中尾・ 児馬 (1990)) という

文体上の ( 出力 ) 条件によって 説明される。

; 三 i

木本稿は,近代英語協会第 13 回大会 (1996 年 5 月 24 日, 於 成蹊大学 ) に 掩 いてロ頭発表した 原稿に加

筆・修正を施したものであ る。 本稿の作成にあ たり,有村兼 杉 先生,安藤貞雄先生,加藤正治先生,

M.W. シュタール先生,田中紀男先生,中尾 佳 行先生。 平木多聞先生,真鍋 和瑞 先生, l11 本 圭子先生,

渡辺征児先生から 貴重な 御 助言, 御 示唆を い ただいた。 この場を借りて 感謝の意を表したい。

(1@ (4) の ( ) 内の 6 つの事例は,すべてが 実際に使用可能なものということではなく ,それぞ

れの種類の形式を 表したものであ る。 また, (4) の 6 種類の構文を , それぞれ, lA 型, IB

型, 11 用型, IIA Ⅱ型, IIBi 型, llB Ⅱ型と呼ぶことにする。

(2) (28) は,概略,以下の ( @ と (ii) の 仮定に基づいて 表したものであ る。

(i@ a. OE の PM については, Lightfoot や Rnhferts などに従って ,神文をとる 本動詞であ

ると仮定する。 ( 補文 をとることを 表す [+clause ] は informal な表言 己であ り,正

式には恐らく [+CP ] と考えられる。 )

b. MR になると, OE から MnddF 以降への過渡期にあ って, PM は OE 以来の本動詞

的特徴だけでなく ,形態的には 他の動詞と別個のものになり ,統語的にも 意味的にも助

動詞的特徴も 合わせ持つ よう になる。 にのことを (28) ではは Aux] と表記したが , こ

れはプラス,マイナスの 点では 無 指定という意味であ り, Aux の前の士は,表記上,

ないほうが よ いかもしれない。 ) そして, ME の PM は,助動詞的になると 共に VP 補

部 をとるようになったと 仮定する。

c. MndE になる頃 には, PM は助動詞として 文法化した。

げ @ a. OE の完了の HAVE が・ to possess, の意味を表す 本動詞 ([ 一 Aux]) として用い ら

れる場合は少なく ,ほとんどの 場合は助動詞 ([+Au 幻 ) として用いられたと 仮定され

る 。

b. 完了の HAVE は,初期 ME になると,。 topossess, の意味を表す 本動詞 ([ 一

Au 幻 ) として用いられるのはほんのわずかしかなく , ME では助動詞 ([+Au 幻 ) で

あ ると仮定する。

(3) 文 構造としては ,本稿では,スペースと 説明の便宜上, Chomsl(y(1986) の ムほ @[email protected]?3 タイプ

のものを用いる。

(4) この「時間の 流れ」に係る 条件は,文体的条件と 考えるよりも ,なんらかの 語用論的条件,

あ るいはテクスト 性 (teXture) を決定するための 基準の 1 つであ る Beaugrande.Dressler

(198U の「一貫性」 (coherence) という条件であ ると考えるべきかもしれない。

(5@ この仮定は,動詞句削除の 場合だけでなく ,一般に,等位構文の 左側の等位項の 重出要素が

省 m 各 されている場合 ( 例えば,等位構文の 重出の目的語の 省略の場合 (e.g.John@esd, and

B Ⅲ hates,Mary 刀に対して適用できると 考えられる。

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動詞句削除構文の 変遷 13

(6) なお, (27) の (b) の条件は PE( 例えば, B Ⅲ respective@heardandsawtheconcertandthe

f Ⅱ Im. に 関して岩田 (1987, etc. で 提案されたもので ,初期の英語には 適用されない。

(7) 通例はこの選択制限にしたがった 順で解釈されるが , X2- 2 より先に X@- 2 が解釈される

場合もあ る (cf. Ⅵ sserl969 Ⅱ 854) 。

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