天然酵母レシピ by 宝楽陸寛さん

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1 大豆酵母 を楽しむ そのしくみ 2013.06.30 大豆×植物性乳酸菌 日本人の体に馴染む組み合わせ 日本人にとぅての発酵食品 お味噌 お醤油 植物性乳酸菌が「関わっている」

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大豆酵母 を楽しむ そのしくみ

2013.06.30

大豆×植物性乳酸菌

日本人の体に馴染む組み合わせ 日本人にとぅての発酵食品

● お味噌 ● お醤油

植物性乳酸菌が「関わっている」

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1,はじめまして『酵母』 ● 酵母のプロフィール ・ 単細胞生物 ・ 5~10ミクロン ・ 丸/卵型 ・ 無色透明 ・ アミノ酸・エステル類を生み出す ・ 空気、水中、土中、体内にいる ・ 無害で育てやすい ・ 自己繁殖する ・ 甘酸っぱいものが好き ・ 酸素があっても無くても育つ ・ 1つの酵母から約30の酵母が生まれる ・ コロニーを作る ・ 1億個以上で白く見える ・ アルコールと炭酸ガス、有機酸類 ※ 本資料での酵母とは 60属500種類の分類の内 サッカロミセス・セレビジエのこと

酵母は吸収と排泄を絶えず繰り返します。 栄養源からエネルギーを摂取し、その代謝の過程で さまざまな『副産物』が生み出され、 酵母の体外に排出されます。

● 酵母の味

+多様なうまみ

+エステル類の芳香

+微量の有機酸類がもたらすさわやかな後味

吸収 ・ くだもの ・ 野菜のブドウ糖(グルコース) ・ アミノ酸

排出 【味】 ・ アミノ酸(うまみ) ・ ペプチド(うまみ) ・ 有機酸類 ー酢酸:柔らかい酸味 -乳酸:柔らかい酸味 りんご酸:柔らかい酸味 コハク酸:さんみと旨味

【香り】 ・ 高級アルコール類:芳香 ・ エステル類 (高級アルコール類+酢酸) →芳香

・ エタノール ・ 炭酸ガス

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2,『酵母』の楽しみ方

そのまま飲む。 シュワシュワした酵母を一口に飲んでみましょう! 香りはどう? 舌で味ってみてどう? のどからお腹へ、体へしみわたります。 多様な命が生まれ育つ、 菌の循環システムを感じみて下さい

そのまま食べる。 瓶の中で熟れた、酵母の実を食べてみましょう! 口に入れるとシュワっと発泡して実が崩れ、 鼻の中に広がる芳香。 実をすみかにする乳酸菌や酵母。 そこには濃縮された栄養や、うまみ、あまみが含まれます

料理できる。 よく育った酵母はそれだけで完成されたレシピです。 注ぐことで・・・だしのもとに 浸すことで・・・肉を柔らかく、魚のくさみを消す 混ぜる・・・酵母をドレッシングにして、野菜にかける

さらに育てる。 果物や野菜であれば多くのモノが酵母の元になる りんご 大豆 いちご うめ みかん 昆布

トマト バジル ミント たまねぎ 桃 とうもろこし

米 ゆず 大根 キウィ レモン バナナ

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3,『酵母』の育ち方 酵母は生きています。とどまること無く変化し続けます。まず冷蔵庫の中ではじめに乳酸菌が動きはじめます。乳酸やビタミンを生み出します。 次に室温に戻すと、シュワシュワと炭酸を出す酵母の出番です。ミネラル、ビタミン B群、アミノ酸、核酸がたくさん生まれます。うまみのダンスの始まりです。 素材を食べきってしまうと、酵母は減り、酢酸菌が働き始めます。うまみを含んだ、まるい酸味になります。

あまみ>うまみ>さんみ =植物性乳酸菌>酵母>酢酸菌

4,『酵母』の命の連鎖 酵母を仕込む際に、低温環境に置くことで、乳酸菌を活かして雑菌を遠ざけ、酵母の働きをより活発にさせることで、「酵母」誕生の循環が生まれます。日本酒の「寒仕込み」という酒造法に習っています。 古来、味噌・醤油・みりん・つけものなど、寒い時期に食品を仕込んでいたのも、ゆっくりと菌を繁殖させ、粗食の時代に多くのうまみを活かした前人の智恵と言えます。 酵母 カビ バクテリア 植物性乳酸菌 酢酸菌 1日目 フタ付きのビンを用意、酵母のエサを入れ、冷蔵庫へ ビンについた菌は煮沸消毒

空気中には乳酸菌、酢酸菌、酵母以外に、 バクテリア、カビをふくむたくさんの菌が、 浮遊している。 2日目 寒仕込みで、密閉空間 瓶の中の空気には、まだ雑菌も存在。 フタを締めて、空気を遮断した空間になり 酸素がないと生きれない雑菌が死滅。

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3日目 味見はできない、我慢の時間(~1週間) 酸素が無くても生きられて、 低い温度にも強い、乳酸菌が先に 少しのエサを食べて、繁殖します。 乳酸菌の出す乳酸に、雑菌類はタジタジ。 4日目 ビンを常温へ。乳酸菌の酸味とあまみに変化する 乳酸菌と酵母がエサを食べて、 競いながら共生。 そして繁殖します。 7~8日目 シュワシュワ、プクプクと泡が。 酵母が活発に働き始め、うまみとあまみが生まれます。 25度くらいが好きな、酵母が元気になり、 エサを食べて、繁殖し、乳酸菌が減少。 酵母は、アルコールと炭酸ガスを活発に出します。 10日目以降 酵母がエサを食べつくし、泡が少なくなります。 酵母が出したアルコール分が強くなり 酵母の優勢が弱まります。 酢酸菌がアルコールを食べ始め、 「お酢」になり始めます。

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5,『酵母』の育て方 0,準備物 ①旬のフルーツまたは野菜 ②フタ付きの 900ml のガラスビン(密閉性の高い、スクリュータイプ) ③水(ペットボトルのものより、流水を使う。浄水器の水は◎) ④はちみつ(小さじ1杯)もしくは、きび砂糖大さじ3 1,ビンに詰める(1日目)

①ビンを消毒:煮沸したお湯の中にビンを入れて、 2-3分間煮沸消毒し、自然乾燥。 ②旬の食材を適当な大きさにカット。 ③水をあふれるくらいに注いで、空気を遮断。 フタをしっかり閉めて、密閉。 ※しょうが、玉ねぎはすりおろして、水をヒタヒタに入れる。 2,冷蔵庫に入れる(3日~7日) ①仕込んだらすぐに冷蔵庫へ ②3-7日間は気になってもフタを開けないこと。 ※この間、嫌気性の植物性乳酸菌が ビンの中に残った雑菌を退治します。 低温に強い、乳酸菌が育ちます。 3,常温に戻す(3日~) ①常温に出してもすぐにフタを開けないコト。 ②素材の表面に気泡が見えたら、フタを開ける ③気泡が見えたら、フタを開けた時に 小さく「シュワッ」と音が聞こえます ④植物性乳酸菌と酵母が拮抗し、 乳酸独特の甘酸っぱい香りがします。 ★甘酸っぱい香り、ほのかなあまみと香りがします

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4,シュワシュワを感じる(5日目~) ①常温に出して、2-5日後、ビンからあふれるほど シュワシュワすれば、酵母が最も元気に働いています。 ②発酵力の強い時は、パンや料理の使いどき。 ③炭酸ガスが発生し、うまみが最高潮に ★ツンとした香り、うまみのピーク、あまみ減少 ★シュワー 5,冷蔵庫に保存 ①酵母の美味しさをできるだけ長く味わうために、 シュワシュワしたら、瓶ごと冷蔵庫でストック ②冷蔵庫内でゆっくり熟成されるので、 やさしいうまみに変化します。 ③使いたいときに冷蔵庫から出して、常温に置いて味をチェック ★フルーティーな香り 6,酵母酢にする(3ヶ月~6ヶ月) ①酵母の生み出した、アルコールをエサにして 酢酸菌が育ちます ②素材を取り出して冷蔵庫内で長く熟成させると まろやかにお酢に変身! 5,『酵母』でパンづくり ●準備 ・酵母の状態 ①冷蔵庫から出して4~6日目 ②シュワシュワ元気よく、泡立っている時がタイミング ・材料 ①強力粉(できれば国産)300g ②酵母液 200ml ③塩 小さじ1/2 ④はちみつ 小さじ1(発酵を手助け)

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1,まぜる ①ボウルに、粉、塩を入れさっさっと手で混ぜる まぜながら、酵母液+はちみつを少しづつ加える 少し固いくらいが◎ 2,こねる ①ボウルの中で、親指の付け根でこねる。 ②ある程度固まったら、記事を外側から4つに折りたたみながら やさしくこねる ③あかちゃんの肌のようになめらかになったらOK 3,1次発酵 ①記事を丸くまとめ、ボウルに入れ、ラップを貼る(乾燥を防ぐ) ②乾燥していない25度くらいの場所で発酵 ③生地が2倍くらいに膨らむまで発酵(10時間~12時間) ④小さな気泡がたくさん見られたらOK 4,整形 ①まな板に粉をフリ、生地を取り出す ②生地を6等分して外側から中心に丸める ③あまりこねない。ガスも抜き過ぎない 5,二次発酵 ①天板にクッキングシートを引き ②間隔を空けて整形した生地を置く ③乾燥しないように濡れふきんをかける(霧吹きで生地に水分を) ④30度ほどの湿度の高い場所に置く 6,焼く ①180度で余熱 ②15-20分ほど焼く ③頭がきつね色になったらアルミホイルを被せる 7,食べる ①焼きあがったらゆっくり冷まし、粗熱をトル ②室温にさましてからの方が香りと風味が際立つ