久保田 隆至(メルボルン大学)...

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Measurement of the Weak Boson Production Cross Section in the Events with Muons in Proton-Proton Collisions at √s = 7 TeV with the ATLAS Detector 久久久 久久 久久久久久久久久 () 久久久久久久久久久久久久久久久久 2012 2012 / 03 / 24

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Measurement of the Weak Boson Production Cross Section in the Events with Muons in Proton-Proton Collisions at √s = 7 TeV with the ATLAS Detector. 久保田 隆至(メルボルン大学) 2012年日本物理学会若手奨励賞記念講演 2012 / 03 / 24. ATLAS 実験が 2010 年 3 月、物理データ取得開始 現在まで 約5 fb -1 のデータを収集 → SM Higgs の 探索などで 物理結果を報告 - PowerPoint PPT Presentation

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Measurement of the Weak Boson Production Cross Section in the Events with Muons

in Proton-Proton Collisions at √s = 7 TeV with the ATLAS Detector

久保田 隆至(メルボルン大学)2012年日本物理学会若手奨励賞記念講

演2012 / 03 / 24

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• ATLAS 実験が 2010 年 3 月、物理データ取得開始○ 現在まで約 5 fb-1 のデータを収集→   SM Higgs の探索などで物理結果を報告

• 本研究: 2010 年 4 月から 7 月までの 4 ヶ月間のデータ○ 約 300 nb-1 の結果○ ATLAS 実験最初期の物理結果のひとつ→  検出器を理解しながら、標準模型を再発見していた時期

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 2

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講演の概要

• 研究の背景、目的、内容• 測定手法• 実験装置

○ LHC 加速器○ ATLAS 検出器

• 測定の結果○ ミューオントリガー効率○ W→mn 事象の断面積○ Z→mm 事象の断面積

• 結論

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 3

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研究の背景、目的、内容

• 研究の背景○ LHC :世界最高エネルギーの加速器  →  PDF などの陽子陽子衝突の構造がどうなっているのか知らない  → どの程度理解できてるか実験初期に見積もっておくことは、その後の全ての解析において重要○ 理論的不定性の少ない W / Z 粒子の生成断面積測定は良いプローブ

• 研究の目的○ 世界最高エネルギー(√ s = 7 TeV :当時)での pp 衝突における W / Z

粒子の生成断面積を測定し、理論予想と一致するかを検証する

• 研究の内容○ クリーンなミューオンチャンネルへの崩壊を見る  →  LHC 加速器の pp 衝突で生成される Z→mm 、 W→mn 事象の断面積の測定

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pp ( pp )衝突でのウィークボソン生成断面積測定• レプトンに崩壊するモードでの測定結果

○ SppS (CERN): UA1 実験、 UA2 実験 √ s = 0.63 TeV○ Tevatoron (Fermilab): CDF 実験、 D0 実験 √ s = 1.8, 1.96 TeV○ RHIC (BNL): PHENIX 実験 √ s = 0.5 TeV

• LHC (CERN): ATLAS 実験 √ s = 7 TeV

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 5

ATLAS ATLASZ→llW→ln

TevatoronTevatoron

PHENIX

SppSSppS

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• Next-to-Next-to leading order (NNLO) 精度の計算

• PDF (MSTW 2008 NNLO) + パートン断面積 (FEWZ) :系統誤差 5 %○ PDF の不定性

– as ( 0.1145 ~ 0.1176 )由来 : < 2.5 %– Fitting parameter 由来 (90 % C.L.): < 3.5 %

○ 断面積計算の不定性– Renormalization and factorization scale 由来 : < 1.0 %

MSTW NNLO 2008 (68 % C.L)

生成断面積計算の不定性

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演Z rapidity

C. Anastasiou et al.[arXiv:hep-ph/0312266]

6

GeV) 116 M (66 nb.05.096.0)(σnb.52.046.10)(σ

ZBRWBR

Z

W n

Graeme Watt[arXiv:1201.1295]

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2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 7

測定手法

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生成断面積測定手法

• Nsig – シグナル領域に残った事象数• Nbg – シグナル領域の背景事象の推定数• A ( acceptance ) –

geometrical / kinematical acceptance (MC シミュレーション )• C ( correction factor ) – 事象再構成の効率 (MC シミュレー

ション )• Lint – 積分ルミノシティ

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各要素を測定し組み合わせる

MCで算出、 Cには実データ測定の補正

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• Van der Meer Scan でビームの断面のプロファイルを測定• 加速器の設定値と合わせてルミノシティを算出

ルミノシティ測定

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演

z

LUCID 検出器:

Beampipe

Al. tubes filled with C4F10

5.5 < |h| < 6.0, |z| = 17 mカウンティング系統誤差: 5 %

x

9

int

bgsig

LCANN

xy 断面のプロファイル

Van der Meer Scan ( x – y 2 次元)pp 非弾性散乱の計数

DxDx

加速器の設定値

系統誤差:11 %ATLAS collaboration[arXiv:1101.2185]

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2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 10

実験装置

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LHC 加速器

• 世界最高エネルギー√ s = 7 TeV (当時)の陽子陽子衝突型加速器(デザイン値: 14 TeV )

• ルミノシティ :1032 cm-2s-1 を達成(デザイン値: 1034cm-2s-1 )

• 4 つの大型検出器

○ ATLAS 、 CMS 、 LHCb 、 ALICE

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ATLAS 検出器

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演

内部飛跡検出器( ID ) (|h|<2.5, r< 1150mm, B=2T): •  シリコンピクセル検出器•  シリコンストリップトラッカー•   TRT 検出器/pT ~ 0.05 % ×pT (GeV) 1 %

ミューオン検出器 (|h|<2.7, 5m < r < 10m) : 空芯トロイド磁場 + トリガー、トラッキングチェンバー

電磁カロリメータ (|h| < 3.2, 1500mm < r < 1970mm): Pb-LAr アコーディオンエネルギー分解能 : /E ~ 10 %/E 0.7 %

Proton(3.5TeV)

Proton(3.5TeV)

12

ハドロンカロリーメータ (|h|<4.9, 2280mm < r < 4250mm):•  鉄・シンチレータータイル (|h| < 1.7)•   Cu / W-LAr (|h| > 1.7)エネルギー分解能 :/E ~ 50 %/E 3 %

x

y

z

○  右手系○   h = -ln (tan(θ/2))

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内部飛跡検出器( Inner Detector: ID )

• ソレノイド磁場 ( 2.0 T )• 3種類の飛跡検出器

○ Pixel Detectors (Pixel)– |h| < 2.5– 3 ヒット / track– チャンネル分解能:

10mm (Rf), 115mm (z)○ Semiconductor Trackers (SCT)

– |h| < 2.5– 8 ヒット / track– チャンネル分解能:

17mm (Rf), 580mm (z)○ Transition Radiation Tubes (TRT)

– |h| < 2.0– 36 ヒット / track– チャンネル分解能: 130mm

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衝突点z

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ミューオン検出器( Muon Spectrometer:MS )

• トロイド磁場• 三層構造( Inner + Middle + Outer )• 飛跡検出器( |h| < 2.7 )

○ Monitored Drift Tubes ( MDT )– |h| < 2.7– チャンネル分解能: 80mm

○ Cathode Strip Chambers ( CSC )– 2.0 < |h| < 2.7 for inner only– チャンネル分解能: 60mm

• トリガー検出器( |h| < 2.4 )○ Thin Gap Chamber ( TGC )

– 1.05 < |h| < 2.4○ Resistive Plate Chamber ( RPC )

– |h| < 1.05

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演

|h| = 1.05

14

m

m+

ドリフトチューブ

z

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ミューオン飛跡再構成

• ID トラック○ 運動量分解能が良い

• MS トラック○ ミューオン検出器でミューオンと識別されている

• コンバインドトラック○ ID と MS のトラックをつなぐ○ 運動量分解能の良いミューオン

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ミューオントリガー• ヒットコインシデンス

○ 3層( R1, 2, 3 or TGC1, 2, 3 )○ 2 次元座標( h f )

• 曲率の見積り( dhdf )○ d :仮想無限大運動量トラックとのズレ

• pT閾値レベルの算出○ dhdf情報を LUT ( look up table )で統合

(コインシデンスマトリックス)○ pT閾値レベルの決定( 6段階)

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 16

d

衝突点

衝突点へ

ミューオン

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• 実験データ○ 2010 年 4 月~ 7 月に取得されたデータを使用○ 解析に適した検出器状況を要求  ( LHC安定、磁石安定、トリガー OK 、 ID OK 、ミューオン OK 、カ

ロリーメータ OK )○ W / Z 解析: pT閾値 = 6 GeV のシングルミューオントリガー

解析用データサンプル

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 17

積分ルミノシティ:W→mn : 310 nb-1

Z→mm: 331 nb-1

W→mn 解析のみ

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解析用データサンプル( MC )

• MC シミュレーションデータ○ PYTHIA (POWHEG for tt) + MRST LO* の組で生成○ Geant4 + 検出器シミュレーション + 事象再構成アルゴリズム○ NNLO 計算の断面積で規格化○ QCD di-jetサンプルのみ、実データで規格化定数を求める○ Z→mm 、 W→mn には pile –up ( ~2 minimum bias反応を追加)

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 18

Process Generator S x BR (nb.)Z→mm (mℓℓ > 66 GeV) PYTHIA 0.99 ± 0.05

W→mn PYTHIA 10.46 ± 0.52

Z→tt (mℓℓ > 66 GeV) PYTHIA 0.99 ± 0.05

W→tn→mnn PYTHIA 3.68 ± 0.18

tt POWEG 0.16 ± 0.01

QCD di-jet (1 muon with pT > 8 GeV)

PYTHIA 10.6×106

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2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演

ミューオントリガー効率の評価

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ミューオントリガー効率の評価

• (評価対象) pT閾値 = 6 GeV のシングルミューオントリガー• TGC と RPC の 2 ビンで評価• トリガーバイアスを避ける

A.  ジェットトリガー事象を用いるB.   Z→mm 事象のタグ & プローブ法

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 20

1.ミューオントラック(コンバインド)を選択

2.トラックを外挿(磁場、物質を考慮)

3.トリガーシグナルを探す

ミューオン検出器

衝突点

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A.ジェットトリガー事象を用いた評価

• ジェットトリガー = カロリーメータ情報  → バイアスとならない• Heavy Flavor メソンの崩壊 → 高統計• p 粒子バックグラウンドの除去

○ ct =7.8 m 、検出器中で折れ曲がるトラック○ ID とミューオン検出器の pT の差( pT

ID - PTMS )で排除

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 21

muon

jet

崩壊点

m

p

外挿

ミューオンが飛んで無い方向にトリガーを探すことになる

p 事象によるバイアス

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ミューオン選別

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 22

ミューオン選別:○ コンバインドト

ラック○  |h| < 2.4○  pT > 20 GeV○  pT

MS > 10 GeV ○  |pT

ID – pTMS| < 15

GeV○  |z0| < 10 mm

pTMS :ミューオン検出器で測定された pT

pTID : ID で測定された pT

z0: 崩壊点との z方向インパクトパラメータ

p 粒子除去宇宙線除去

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ミューオンの分布

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 23

h 分布

f 分布 pT 分布

endcap

barrel

endcap

barrel

Endcap - 2307 (+: 1187, -: 1120)Barrel - 3173 (+: 1670, -: 1503)

m-

m+

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ミューオントリガー効率分布

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 24

h 分布 f 分布( endcap ) f 分布( barrel )

構造を支える”脚”:RPC に穴が空いてる

endcapbarrel

x

y

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トリガー効率長期安定性

• 2010 年 4 月 11 日~ 2010 年 7 月 18 日

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 25

endcap

barrel

時間 時間

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MC への補正• ミューオントリガー効率の MC への補正

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 26

Data: 0.865 +- 0.007 (stat) +- 0.017 (syst)MC : 0.950 +- 0.001 (stat) +- 0.006 (syst) SF : 0.911 +- 0.008 (stat) +- 0.017 (syst)

Data: 0.763 +- 0.008 (stat) +- 0.015 (syst)MC : 0.793 +- 0.002 (stat) +- 0.010 (syst) SF : 0.961 +- 0.010 (stat) +- 0.018 (syst)

MC

datacorrected ε

εCC

scale factor

pT > 20 GeV

pT > 20 GeV

データと MC の差( 8% ) :•  チェンバーのヒット効率•  コインシデンスウィンドウのチューニング

endcap barrel

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トリガー効率評価における系統誤差の導出

• スケールファクターの系統誤差

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 27

Endcap (%) Barrel (%)飛跡再構成アルゴリズム中のトリガーバイアスの不定性

0.5 1.5

pT = 20 GeV カットに対する安定性 0.8 1.0

p 粒子バックグラウンドの効果( *1 ) 0.4 0.1

トラックの外挿方法 1.0 0.4

トラックに 2 つ以上のトリガーがマッチした時の優先順位の付け方( *2 )

1.2 0.1

トラックの先にトリガーを探す領域の大きさ( *3 )

0.2 0.1

W / Z 事象とのミューオンの h 分布の違いの効果

0.3 0.5

合計 1.9 1.9

MC

datacorrected ε

εCC

scale factor

1. |pTID - pT

MS| カット値( 20±5GeV )2. 最も近いトリガー or 最も pT閾値の高いトリガー3. DR = 3 ± 1

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• Z→mm 事象の 2 本のミューオン(タグ & プローブ)○ 不変質量のカットでバックグラウンドを排除

• タグミューオンがイベントトリガーを鳴らしたことを要求○ プローブミューオンのトリガーバイアスが無くなる

• プローブミューオンでトリガー効率を測定

B. タグ&プローブ法による評価

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 28

•   109 の Z→mm 事象 = 218 ミューオン•   Z→mm 断面積測定と同じ事象

•  ジェットトリガー事象での評価との比較 (実データ)•  統計誤差内で一致

endcap: 0.865 +- 0.035 (stat)barrel : 0.747 +- 0.047 (stat)

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2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 29

W / Z 断面積測定

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W/Z プリセレクション

• 宇宙線、検出器ノイズのイベントの排除○ 1 つ以上のバーテックスを要求し、宇宙線事象を排除

– 再構成に用いられたトラック数 > 2– 原点からの距離( z座標) < 150 mm

○ ETmiss を用いる W→mn 測定では、フェイクジェットを排除

• high-pT のミューオン(コンバインド)を要求○ pT > 15 GeV○ |h| < 2.4○ pT

MS > 10 GeV○ |pT

ID – pTMS| < 15 GeV

○ |z0| < 10 mm

• W→mn 、 Z→mm MC はバーテックスの数(パイルアップ)を事象毎にウェイトアクセプタンスへの影響 ~ 0.2 %

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 30

イベント毎のバーテックスの数トリガー効率測定と同一

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2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演

W → mn 事象の断面積測定

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W→μν 事象

本解析での事象選択• 1本の high-pt ( > 20 GeV ) , isolated ミューオン• High-pt ニュートリノ  → Large missing ET(> 25 GeV)• 大きな横質量( mT > 40 GeV )

2011年 3月 24日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 32

))cos(1(2m TTT mnnm fD pp

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W→mn :カットフロー

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 33

• W→mn 事象数 = 1181 (W+: 709, W-: 472)

12345

6

789

10

1

10

2 3

4 5

67

89

プリセレクション

W→mn 事象選別

int

bgsig

LCANN

ミューオンの pT > 8 GeV@ QCD MC

7.  ミューオン pT > 20 GeV8.   Isolated9.   ET

miss > 25 GeV10.   MT > 40 GeV

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W→mn :ミューオン分布

• 全事象選別後のミューオン分布○ スケールファクター、 QCD スケール補正後○ ミューオン数で規格化○ エラーは統計誤差のみ

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 34

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ミューオンアイソレーション

• ミューオンから DR < 0.4 の中の ID トラックの pT の和をミューオンの pT で割った値が 0.2以下

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 35

•    W→mn 全事象選別後•  プリセレクション後

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• (自分以外の)全事象選別後の ETmiss 、横質量

○ スケールファクター、 QCD スケール補正後○ イベント数で規格化○ エラーは統計のみ

W→mn : ETmiss 、 MT

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 36

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W→mn :背景事象

• QCD 事象 : QCD 、 non-QCD 事象の Isolation カットへの効率を評価し、   シグナル領域に残る事象数を推定

• 宇宙線:○ 宇宙線がイベントセレクションを通過する確率( non-colliding bunch ):e = ( 1.1±0.2 (stat) ) ×10-10

○ ミニマムバイアスの断面積:50±10 (stat) mb

○ オーバーラップ:1.1×10-10×50 mb×310 nb-1 = 1.7±0.8 (stat)

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 37

int

bgsig

LCANN

QCDQCDnonQCDnonQCDisol

QCDnonQCDloose

NεNε N

NNN

+

+

QCDnonQCD

isolnonQCDlooseQCD εε

NεN N

• Nloose: Isolation 以外のカットをかけた事象数 (1272) • Nisol: W→mn 事象数 (1181)• enonQCD: W / Z 事象のミューオンが isolated な確率

○ Z→mm 事象で見積り: 0.984 +- 0.10 (syst)• eQCD: QCD 由来のミューオンが isolated な確率

○ プリセレクション後、 15 < pT < 20 GeV のミューオンを コントロールサンプルとして見積り :   0.226 +- 0.006 (stat)

MC

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• 信号事象数: 1181○ W+: 709○ W- : 412

• バックグラウンド事象数: 103.3 ± 10.9 (syst)○ W+: 56.4 ± 6.5 (syst)○ W- : 47.1 ± 4.6 (syst)

• アクセプタンス( A×C ) : 0.364 ± 0.018 (syst)○ W+: 0.370 ± 0.019 (syst)○ W- : 0.355 ± 0.018 (syst)

• 積分ルミノシティ : 310 ± 34(syst) nb-1

W→mn :生成断面積 × 崩壊分岐比

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 38

int

bgsig

LCANN)Z/W(Brσ Z/W

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2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演

Z mm 事象の断面積測定

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Z→μμ 事象

本解析での事象選択•2本の high-pt (> 20 GeV), isolated ミューオン(反対電荷)•Z 粒子の不変質量( 66 < Mμμ < 116 GeV )

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Z→mm :カットフロー

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•   Z→mm 事象数 = 109

1234

5

6789

1 2

3 4

5

6 7 8 9

プリセレクション

6.   2 本のミューオン7.   2 本とも isolated8.  電荷が反対9.   66 < Mmm < 116 GeV

int

bgsig

LCANN

Z→mm 事象選別

ミューオンの pT > 8 GeV@ QCD MC

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Z→mm :背景事象

• MC を信頼してバックグラウンド数を見積もる• total: 0.364 +- 0.163

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int

bgsig

LCANN

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Z→mm :ミューオン対不変質量

• 全事象選別後のミューオン対の不変質量○ スケールファクター、 QCD スケール補正後○ イベント数で規格化

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 43

pT 分解能の悪化

66 < Mmm < 116 GeV

linear

log

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Z→mm :ミューオン運動量スケール、分解能

• 上記パラメータで c2 検定• C1 = 0.97 - 1.01 、 C2 = 0.03 – 0.10

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 44

)C1(p1

C1

p1

2MCT1dataT

+

gauss

スケール 分解能

Dc2

Dc2 =1

C1=0.99, C2=0.07, c2 = 0.49

c2 計算領域

C2

C1

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• 信号事象数: 109• バックグラウンド事象数: 0.364 ± 0.163• アクセプタンス( A×C ) : 0.369 ± 0.023• 積分ルミノシティ : 331 ± 36(syst) nb-1

Z→mm :生成断面積 × 崩壊分岐比

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 45

int

bgsig

LCANN)Z/W(Brσ Z/W

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2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 46

結論

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結論

• W→mn 、 Z→mm共に理論予想と一致• W→mn は電荷ごとの生成断面積も一致

2011 年 3 月 24 日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 47

ATLASW→ln

Tevatoron

PHENIX

SppS

ATLASZ→ll

Tevatoron

SppS

√s = 7 TeV の陽子陽子衝突構造が QCD の理論計算と一致する事を世界で最初に示した

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謝辞

今回、すばらしい賞をいただいたことを機に、以下の方々にあらためてお礼を述べさせて頂きます。

• 5年間指導してくださった山下准教授

• 5年の間研究の場を提供してくださった近藤、小林、徳宿教授はじめ ATLAS 日本グループの皆さん

• 駒宮センター長はじめ東京大学素粒子物理国際研究センターの皆さん

ありがとうございました

2011年 3月 24日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 48

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バックアップ

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パートン運動学

• √s = 7 TeV でも Tevatron では見えなかった領域をみている

2011年 3月 24日 日本物理学会若手奨励賞記念講演 50

W.J.Stirling, Private Communication