テスト駆動開発を支援するための

デバッグ関心事グラフ

　　塩塚 大　鵜林 尚靖

九州工業大学

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ＤＣＧ

生成

概要

利用

ＴＤＤ実行

• モチベーション– 同じバグ，失敗を繰り返したくない– しかし，修正過程をいちいち手作業で記録するのは大変

• アプローチ– 修正過程を自動収集する仕組みを提案– テスト駆動開発（ＴＤＤ）に着目しテスト失敗 / 成功をもとに実現– 修正過程の表現　⇒　デバッグ関心事グラフ（ Debug Concern Graph: ＤＣＧ）

今回はＤＣＧ生成の仕組みについて説明

目次

１．問題意識２．デバッグ関心事グラフ（ＤＣＧ）３．ＤＣＧを用いたデバッグ４．議論と今後の課題

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１．問題意識失敗したケースＡＳＴ操作で生じたバグ　－ insert メソッドー修正過程を記録する際の課題

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失敗したケース

• 慣れていない言語でプログラミングし失敗したケース

– PHP 言語の例• 型が曖昧な言語　

⇒同じ変数が配列になったりオブジェクトになったりする

• このことを十分に理解していなくて発生したバグ　⇒具体例：ＡＳＴ（抽象構文木）操作で発生した

バグ

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ＡＳＴ操作で発生したバグ　－ insert メソッドー

• insert メソッドを実装中– insert の定義：ＡＳＴを操作し指定した箇所に式を挿入するメ

ソッド– insert 内では，あるクラスのフィールド $statements を参照

（ reads ）– $statements を常に配列であると勘違いし実装– しかし，実はオブジェクトの場合もありテスト testInsert でエ

ラー発生

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if ( 1 ) { return $a == 1;}

ＡＳＴへの入力（括弧あり）

IfStatement Object|_ $condition => 1|_ $statements Array |_ [0] => Statement Object |_ $expr => return $a == 1;

ＡＳＴのイメージ

配列

if ( 1 ) return $a == 1;

ＡＳＴへの入力（括弧なし）

IfStatement Object|_ $condition => 1|_ $statements Statement Object |_ $expr => return $a == 1;

ＡＳＴのイメージ

オブジェクト

ＡＳＴへ変換 ＡＳＴへ変換エラー発生

修正過程を記録する際の課題

• 既存のアプローチ– 修正過程のドキュメント化 / コミットの際のコメント

⇒手作業で作成するのは大変– バージョン管理ツール

⇒履歴だけ見ても，どういったバグ / テストに関わったか分からない

• 本研究のアプローチ– 修正過程の自動収集　

⇒手作業の負担を軽減– バージョン間にテスト結果を関連させて表現

⇒ある修正に関係したバグ，テスト，テスト結果が分かる

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insert(Ver. 0.1)

testInsert

insert(Ver. 0.2)

error succeeds

アプローチのイメージ

２．デバッグ関心事グラフ（ＤＣＧ）自動収集の仕組み

修正履歴の管理方法関心事グラフとの関係

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－ Debug Concern Graph －

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① ルートノード新規作成② testInsert の追加③ insert(Ver. 0.1) の追加

c) testInsert の成功b) コード修正a) testInsert の失敗⑤ insert(Ver. 0.2) の追加 ⑥ 修正履歴の追加⑦ 修正理由の追加

TDD プロセス

DCG プロセス

「この修正はこのテストでエラーが発生したからなんだ」というのが自動で残る！

自動収集の仕組み

④ $statements の追加

insert(Ver. 0.1)

testInsert

insert(Ver. 0.2)

error succeeds

insert のバグ修正（ルー

ト）

修正履歴

$statements

修正理由

①

②

③

④

⑤

⑥

⑦adds to

reads

adds toadds to

：テストの失敗を　契機に作られる：テストの成功を　契機に作られる：開発者が適宜付け足す

reads

例： insert メソッドの修正過程の自動収集

修正履歴の管理方法

• テスト失敗の後に再びテスト失敗した場合⇒ テスト失敗ごとにコードの差分だけを保存

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insert(Ver. 0.1)

testInsert

insert(Ver. 0.2)

error succeeds

insert のバグ修正（ルー

ト）

修正履歴

$statements

修正理由adds to

reads

adds toadds to

reads

差分 n

差分１Ver. 0.1

テスト失敗

テスト単位でリプレイが可能！普段は圧縮，必要に応じて展開

Ver. 0.2

ＤＣＧ　＝　関心事グラフ　＋　ＴＤＤ

– 関心事グラフ• プログラムの構造を大ざっぱに理解したい

例：クラス間をまたいで，大規模なプログラムの修正をするときなど• クラス / メソッド / フィールドを declares, reads, writes などを関係とするグラフで表

現

関心事グラフとの関係

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Robillard, M. P., et al. 2002

replace

insert

ASTConverter

$statements

class ASTConverter { public function insert ($IfSta, $sta, $idx) { $block = &$IfSta->statements; if (!is_array($block)) $block = array($block); $pre = array_slice($block, 0, $idx); $post = array_slice($block, $idx); $block = array_merge($pre, array($sta), $post); }

public function replace ($IfSta, $sta, $idx) { …. }}

declares

declares

reads抽象化

クラス

メソッド

フィールド

関心事グラフＰＨＰプログラム

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replace

insert(v. 0.1)

ASTConverter

$statements

declaresdeclares

reads

ＤＣＧ

insert(v 0.2)

error succeeds

insert のバグ修正（ルー

ト）

修正履歴 修正理由

adds to adds toadds to

reads

testInsert

• ＤＣＧ：あるデバッグに関連した主要な要素を大ざっぱに把握したい例：あるバージョンでテスト失敗の原因となった要素を知りたいときなど

⇒　ＤＣＧ　＝　関心事グラフ　＋　修正情報（テスト情報 / バージョン情報）

３．ＤＣＧを用いたデバッグＡＳＴ操作で生じたバグ　－ replace メソッドーＤＣＧの選択ＤＣＧの利用

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ＡＳＴ操作で発生したバグ　－ replace メソッドー

• replace メソッドを実装中– replace の定義：ＡＳＴを操作し式を別の式で置換するメソッド– replace 内では，あるクラスのフィールド $statements を参照– $statements を常に配列であると勘違いし実装– しかし，実はオブジェクトの場合もありテスト testReplace で

エラー発生

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if ( 1 ) { return $a == 1;}

ＡＳＴへの入力（括弧あり）

IfStatement Object|_ $condition => 1|_ $statements Array |_ [0] => Statement Object |_ $expr => return $a == 1;

ＡＳＴのイメージ

配列

if ( 1 ) return $a == 1;

ＡＳＴへの入力（括弧なし）

IfStatement Object|_ $condition => 1|_ $statements Statement Object |_ $expr => return $a == 1;

ＡＳＴのイメージ

オブジェクト

ＡＳＴへ変換 ＡＳＴへ変換エラー発生

ＤＣＧの選択

• 既存のＤＣＧを利用したい–類似したＤＣＧを探す

⇒部分グラフの探索

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class ASTConverter {

public function insert ($IfSta, $sta, $idx) {

….

}

public function replace ($IfSta, $sta, $idx) {

$block = &$IfSta->statements;

$block[$idx] = $sta;

}

}

replace

ASTConverter

$statements

declares

reads

replace のＤＣＧ（一部）

insert

ASTConverter

$statements

declares

reads

insert のＤＣＧ（一部）

ＤＣＧの利用

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① ルートノード新規作成② testReplace の追加③replace(Ver. 0.1) の追加

④ 「 insert のバグ修正」　　 DCG の参照⑤ 修正理由の確認⑥ 修正履歴の取出しと　　修正方法の決定

TDD プロセス

DCG プロセス

c) testReplace の成功b) コード修正a) testReplace の失敗

insert(Ver. 0.1)

testInsert

insert(Ver. 0.2)

error succeeds

insert のバグ修正

修正履歴

$statements

修正理由adds to

reads

adds toadds to

reads

replace のバグ修正

replace(Ver. 0.1)

testReplace

error

adds to

①

②

③

④

⑤⑥

例：「 insert のバグ修正」のＤＣＧを利用した replace のデバッグ

⑦ replace(Ver. 0.2) の追加

⑧ 修正履歴の追加⑨ 修正理由の共有

replace(Ver. 0.2)

succeeds

修正履歴

adds to

⑦

⑧⑨adds to

４．議論と今後の課題

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議論と今後の課題• 議論

– 選択方針• 膨大なＤＣＧから欲しいものをどうやって見つけるか

– グラフ間の距離– マイニング

– 利用方針• 見つけた後それをどう活用するか

– 単純に参照するだけなのか– 履歴 / テストを活用し，ある程度自動修正できないのか

– グラフ構造• ルート はそもそも必要なのかﾉｰﾄﾞ

• 今後の課題– 今回はＤＣＧ生成の仕組みを説明

今後は上記の解決と，システムの実装 18