銀河・銀河団13:00 銀河05 瀬田 裕美(埼玉大) 電波銀河Cygnus Aのジェットのエネルギー放出 13:15 銀河06 渡辺 泳樹(東京理科大) 銀河団の暗黒物質とガスの温度分布
銀河系力学構造の 構築方法について
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銀河系力学構造の構築方法について
上田晴彦 ( 秋田大学 ), 郷田直輝 , 矢野太平 ( 国立天文台 ), 小山博子 ( 名古屋大
学 ),阪上雅昭 ( 京都大学 )
JASMINE ワークショップ2010年2月23日 国立天文台
2
本日の内容
1. 力学構造と位相分布関数 銀河系の力学構造を決めるに際しての困難さとは?
2. Torus Fitting トーラス構築に関する新しい手法の提案
3. 力学構造構築の全体像 銀河系の力学構造をどのように決めるか?
3
1 力学構造と位相分布関数位置天文学は新時代に突入
Nano-JASMINE GAIA
http://www.jasmine-galaxy.org/nano/nano-ja.html
http://sci.esa.int/science-e/www/area/index.cfm?fareaid=26
4
高精度位置天文データが入手可能に
⇒ 新たなサイエンスの誕生
銀河系の力学構造の決定が可能になるのでは?
位相分布関数は力学構造を記述する基本量
⇒ しかしながら位相分布関数は観測データからは
直接は求まらない。
なぜ求まらない?
5
欲しい情報
我々の銀河の全ての構成要素(重力物質)を表現 する位相分布関数 fmatter(x,v)
アストロメトリ・データが持つ情報
観測された星の位相分布関数 fobs(x,v)
アストロメトリ・データから、重力物質全体の位相分布関数をどのように構築していくか、という理論的な研究の必要性(サイエンス WG の研究課題)
註)星の軌道とトーラス構造
3次元ポテンシャル( Three-dimensional Triaxial Potential ) のもとでの星の軌道は、 かなり複雑
コア内部では box orbit
コア外部では box orbit + tube orbit
⇒ 位相空間内では単純 (3次元トーラス上を動
く)
配位空間 ⇒ 軌道は box 型 または tube 型
位相空間 ⇒ 3次元トーラス構造
Epx 22
2
1
2
8
2 Torus Fitting
銀河系の位相分布関数を決定することを考える。
⇒ 銀河系の力学的時間尺度は宇宙年齢に比べ 十分に短いことを考慮する
基本的仮定:銀河系の構造は定常状態
ただし現実的には銀河は非定常であるかもしれない。
⇒ ずれが小さいと期待できるので、定常状態からの
摂動として計算可能
f(x,v,t)f(x,v)
9
銀河系の構造が定常であると?
⇒ ほぼすべての星の軌道は規則的
強いジーンズの定理
位相分布関数は3つの孤立積分(作用変数)の関数
⇒ f(J1,J2,J3 )
J は位相分布関数をコンパクトに表現する際に有用
vdxJ21
10
位相分布関数のコンパクトな表現はモデル作りに有用
しかし、弱点も存在する
fmodel は J の関数 ⇒ fmodel(J)
fobs は (x,v) の関数 ⇒ fobs(x,v)
もし我々が J ⇔ x,v の変換を知らなければ、モデルと
観測の結果を比べることが出来ない。
よって、これらの変換を求めることは、とても重要 !!
11
変換 J ⇔ x,v に関する注意
変換 J ⇔ x,v が解析的に実行可能なのは、ポテンシャルの形が理想的な場合のみ。
2つの例外 (Ideal Potential)
A ) Harmonic-Oscillator Type B ) Isochrone Type
一般のポテンシャルものとでの J ⇔ x,v の変換を数値的に求めることは、とても重要。
222222
2
1
2
1
2
1zyx zyx
22 rbb
k
12
このプロセスはトーラス構築と呼ばれる。
もっとも洗練されたトーラス構築の1つとして、 Binney とその協力者たちによって提案された方法が有名。
変換の母関数 S を用いる
一般のポテンシャルのもとでの作用変数 J’
⇔ 理想的なポテンシャルのもとでの作用変数 J
我々は J と x, v の関係は知っているので、最終的に J’ と x, v の座標変換が得られる。
⇒ J’ = J’ ( J ) = J’ ( x 、 v )
13
系のエネルギーが保存する
⇒ J’⇔J の変換を引き起こす母関数を、洗練された
方法で求める。 この手法は優れているが、トーラス構造が複雑に
なってくると、 J’⇔J の変換を求めることが難しくなってくる。
よって我々はこの手法を採用しない
⇒ 不変トーラスの幾何学的情報を用いる (Torus fitting)
複雑な系のもとで、 J’ ⇔ J の変換を求める際に力を発揮する
14
アルゴリズム
1) 与えられたポテンシャルのもとで、星の軌道を計算
⇒ いくつかの位相空間上の位置を保持 (xi,vi)
(x1,v1)
(x2,v2)(x3,v3)
(x4,v4)
(x5,v5)
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2) Ideal potential の型を決定
A ) Harmonic-Oscillator B ) Isochrone
保持している位置 作用・角変数
(x i 、v i ) ⇒ ( J i 、 θ i ) ⇒ ( J 、 θ )
補間
16
3) 以下の関係式を満たすように( J 、 θ ) を修正
: 実数 母関数
最終的に変換 J’ ⇔ J が求まる
0
)cos(2'n
n nnSJJ nS
J
'J
'JJ
17
3 次元ポテンシャルにおけるデモンストレーション
1) Logarithmic potential
Rc =0.14, q1 =0.9
q2 =0.8
2) Ferrers potential n=1
a2=0.9a 1
a3=0.8a 1
与えられた J’ の値をもとに、関係 J’⇔(x,v) を探す
⇒ 与えられた J’ のもとで、不変トーラスを再構築
0 3
1
2
13
12
2321 11
ii
n
i i
i
a
d
a
x
n
aaa
)log(2
1 222
2
21
22
cRq
z
q
yx
18
x
px
y=z=0
J’1=0.4
J’1=0.06
Logarithmic potential
19
x
px
y=z=0
J’1=0.28
J’1=0.04
Ferrers potential
20
3 力学構造構築の全体像先に述べた方法で、数値的に J’=J’(x,v) が得られ
る。
⇒ しかしこれは、銀河系の力学構造構築のための
第一歩に過ぎない。
位相分布関数を決める必要がある。
力学構造構築のためのアルゴリズムは、以下の通り
21
1)銀河系の重力ポテンシャルを仮定
A) Logarithmic potential (Disk 部分 )
B) Ferrers potential (Bulge 部分 )
どのようなものがよいのか、現在考察中
0 3
1
2
13
12
2321 11
ii
n
i i
i
a
d
a
x
n
aaa
)log(2
1 222
2
21
22
cRq
z
q
yx
22
2) J ⇔ x,v の評価
仮定したポテンシャルのもとで、作用変数とx、vとの
変換を求める
⇒ Torus fitting ( サイエンス WG )
Torus construction (Binneyグループ )
その他の手法
位相分布関数を J の関数として求める準備完了
23
3)重力物質の位相分布関数の作成 仮定したポテンシャルのもとで、初期条件を変え
た テスト粒子の軌道を多数計算。
ポアソン方程式 を通して、密度分布を計算
各々の軌道をある重みで足し上げる
⇒ 密度分布を再現できるような重みを求める
⇒ 位相分布関数f( J )およびf(x、v)を推定
G4
24
4)観測データから重力物質の位相分布関数を 推定
観測データは、明るさや色で選択された特定の星のみ
の情報を含む
⇒ 選択効果が働いている!!
・選択効果を取り除く手法の確立
・観測にかからない星+ダークマター等を加える
25
5)両者の比較
一般に食い違うので、より近くなるようポテンシャルの
パラメータを変更
⇒ かなりの試行錯誤が必要?
26
Φ(x) を仮定
made-to-measure 法で f(J) の形を決定
全ての重力物質 の DF を推測
比較
J ⇔ x,v を評価
改良!
( 2章の内容 )
Syer & Tremaine (1996)
27
ご清聴ありがとうございました