リアルな本をつくる理由 — 編集ライター養成講座 講義シナリオ

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編集・ライター養成講座 総合コース 2013.04.13 第 37 回 講師:栗原 勲

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編集・ライター養成講座 総合コース

2013.04.13 第 37 回 講師:栗原 勲

本日のお品書き

~~~ 前菜 ~~~

・自己紹介

・中身と入れもの

・伝えたいことは何か

・デジタルと紙(リアル)

・『消える紙、消えない紙。』の話

・いろいろな印刷物

~~~ メイン ~~~

・ワークショップ 「装丁を考えよう」

まずは自己紹介

栗原 勲(くりはら いさお)

1997年 大洋印刷に印刷部営業職として入社

2009年 制作部へ異動 Webディレクター

2011年より、コピーライター

・クリエイティブディレクターとして

働いています。

主なクライアントは、自社の他に髙島屋・森ビル

・ぺんてる・LVMH・ロジエ・浦和ルーテル学院など。

受賞歴

全国カタログ・ポスター展 経済産業商務情報政策局長賞および金賞

SPBS 第一回コンペティション 最優秀賞

手がけた仕事

ブランドブック「消える紙、消えない紙。」 大洋印刷 / 企画・ライティング(一部)

手がけた仕事

PR誌「ヒルズゴルフ」 森ビルグループ / 編集・ライティング

手がけた仕事

パッケージ「カチット」 ぺんてる / ディレクション・コピー

手がけた仕事

交通広告ポスター・駅看板 浦和ルーテル学院 / コピー

手がけた仕事

展示会 「慶應義塾図書館100年記念展」慶應義塾大学 / ディレクション・コピー

DM 「ニューイヤーコスメ」髙島屋 / コピー

手がけた仕事

手がけた仕事

ブランドサイト「髙島屋特選ひな人形」 髙島屋 / ディレクション・コピーhttp://www.takashimaya.co.jp/store/special/hina/index.html

店頭VPhttp://youtu.be/xYJkyWa4xfE

手がけた仕事

コーポレートサイト・オンラインショップ 富士商事 / ディレクション・コピーhttp://www.fuji-pearlagar.co.jp/http://www.fuji-onlineshop.com/

手がけた仕事

コーポレートサイト・ブログ 大洋印刷 / ライティング・ディレクション(ブログ)http://www.taiyo-p.co.jp/http://blog.taiyo-p.co.jp/

手がけた仕事

新社屋レセプション 大洋印刷 / ディレクション・コピー

では、お待たせしました。

本日のテーマ

プロダクトデザインとしての本づくり

わ   け

リアルな本をつくる理由

中身と入れもの

入れもの

中身

入れものがないと・・・

中身

中身

中身

中身中身中身中身

中身

入れもの

入れもの

入れもの入れもの

入れもの入れもの

入れもの

入れものがないと・・・

寿

栗原 勲

ご祝儀袋

金参萬圓

入れものがないと・・・

勇気

心強さ

いとしさ

切なさ

入れものがないと・・・

パッ

中身と入れものセットで、

一つのもの(こと)を表現している。

どちらかを失うと、

たとえ機能を果たしていたとしても、

そのものの本質や意味が変わる。

伝えたいことは何だ?

1445年、活版印刷技術を考案・実用化した人物。

羅針盤、火薬と並んでルネサンス三大発明といわれる。

たとえば、グーテンベルク。

1927年、並製本で小型の文庫本を発刊。

高価な書物をより多くの人が手に入れられるようになった。

たとえば、岩波文庫。

必要だったのは、コンテンツ。

グーテンベルクは、手書きで書き写していた書物を

印刷により大量複製を可能にした。

岩波文庫は、より多くの人たちに

知識と教養を広め、戦後復興にも大きく貢献した。

インターネットが普及しきったこの時代。

コンテンツを伝えるために、

わざわざ紙の本をつくる理由は

あるのだろうか。

デジタルと紙(リアル)の違いって何だ!?

デジタル 紙(リアル)

制作スピード

デジタル

ポチッとで、ビューン

紙を仕入れてインクを用意して機械を回して製本して納品して・・・

紙(リアル)

制作スピード

デジタル 紙(リアル)

重さ

デジタル

充電しても重さが変わらないってスゴイよなあ

デバイスの重さのみ

本により、内容により、重さが変わる

紙(リアル)

重さ

デジタル 紙(リアル)

増やす

売っていれば買うことはできる

デジタル

コピペドラッグ&ドロップ

できない

紙(リアル)

増やす

デジタル 紙(リアル)

折る曲げる

デジタル

壊れる できるが、戻らない

紙(リアル)

折る曲げる

デジタル 紙(リアル)

匂い

デジタル

しない紙や素材で匂いが異なる

紙(リアル)

匂い

デジタル 紙(リアル)

デジタル

でる する

紙(リアル)

デジタル 紙(リアル)

食べる

デジタル

ムリ 食べられるものもある

紙(リアル)

食べるできる人がいたら見たい

デジタル 紙(リアル)

時の流れ

デジタル

変わらない退色する劣化する古くなる

紙(リアル)

時の流れ

デジタル 紙(リアル)

制作スピード

重さ

増やす

折る曲げる

匂い

食べる

時の流れ

早い

デバイスの重量のみ

増やせる

できない

しない

出る

できない

変わらない

遅い

重い

増やせない

できる(戻らない)

素材の匂い

素材の音

食べられる(一部可)

劣化する

早く、広くは、デジタル。

じっくり、深くは、紙(リアル)。

デジタルはその手軽さ故、消費されやすいのでは。

ただし、パッケージされるとまた別の意味を持ちはじめる。

またデジタルは、どんなにリアルに近づけても、それは疑似の範囲を超えない。本物にはなれない。

紙はただ一つのもの。時が経てば劣化してしまうが故、大切にされやすいのでは。

ただし、対象にとって無益なものはゴミになってしまう。

デジタルの進化が

リアルなものづくりの意味を

再確認させてくれている。

紙の本は、

五感で感じることができる。

想いを込めることができる。

読者の本能を揺さぶる本や冊子を

つくって行きましょう。

どうやって本能を揺さぶる?

デザインするな。ドラフト代表 宮田識さん

飾るだけの装飾は意味がない。

紙の本であるための意味を持とう。

本質を考えよう。

[ステップ]

課題 → 課題を解決するコンセプト

→ コンセプトに沿った表現(アイデア)

表現(アイデア)How to say

本質 = コンセプトWhat to say

水素と酸素で水をつくる。アートディレクター 寄藤文平さん

表現はコンセプトを増幅させるもの

消える紙、消えない紙。

いろいろな印刷ブツ

ワークショップ

装丁を考えよう