「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」 地球サミット2012Japan サステナブルソリューションズ~小さな渦を育てる杜~ 服部 徹 1

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RIO+20向けの日経BP環境経営フォーラムでの発表資料です。

Transcript of 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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「持続可能かつ貧困根絶の文脈におけるグリーンエコノミーを考える」

地球サミット2012Japan サステナブルソリューションズ~小さな渦を育てる杜~

服部 徹

1

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地球サミットの歴史

1972年 ストックホルム 国連人間環境会議

背景 公害問題(大気汚染、土壌汚染、水質汚染、海洋汚染、etc)の深刻化

人口問題と資源制約に関する警鐘 (「宇宙船地球号」、ローマクラブ『成長の限界』)

成果 国連人間環境宣言、国連環境計画(UNEP)の設立

1992年 地球サミット(環境と開発のための国連会議、リオデジャネイロ) 背景 冷戦構造の終焉、地球環境問題の深刻化(気候変動、オゾン層破壊、酸性雨) 「持続可能性」に関する議論の高まり(ブルントラント委員会報告書)

成果 アジェンダ21の採択、気候変動枠組条約と生物多様性条約の署名開始、森林原則声明の採択

2002年 ヨハネスブルグ・サミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議、ヨハネスブルグ) 背景 グローバル化とその弊害(貧困・格差拡大、都市スラム、児童労働、感染症、etc) 世界同時多発テロ→冷戦後の理念のゆらぎ

成果 ヨハネスブルグ実施計画の採択、日本から持続可能な開発のための教育の10年(ESD)を提案

⇒ 国連で初めて本格的に環境問題を取り上げ、以降の世界的な環境世論の基礎に

⇒ 「持続可能な発展(Sustainable Development)」を人類の課題として世界が共有

国際環境レジームの形成

⇒ 環境問題とともに、貧困問題・開発問題が中心課題に

「持続可能な発展」の3つの柱(3 pillars) =環境、経済、社会の統合的発展

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(ご参考) Agenda 21@rio セクションⅠ:社会的・経済的側面

第2章 開発途上国における持続可能な開発を促進するための国際協力と関連国内施策 第3章 貧困の撲滅 第4章 消費形態の変更 第5章 人口動態と持続可能性 第6章 人の健康の保護と促進 第7章 持続可能な人間居住の開発の促進 第8章 意思決定における環境と開発の統合

セクションⅡ:開発資源の保護と管理 第9章 大気保全

第10章 陸上資源の計画及び管理への統合的アプローチ 第11章 森林減少対策 第12章 脆弱な生態系の管理:砂漠化と干ばつの防止 第13章 脆弱な生態系の管理:持続可能な山地開発 第14章 持続可能な農業と農村開発の促進 第15章 生物の多様性 第16章 バイオテクノロジーの環境上適正な管理 第17章 海洋、閉鎖性及び準閉鎖性海域を含むすべての海域及び沿岸域の保護、及びこれらの生物資源の保護、合理的利用及び開発 第18章 淡水資源の質と供給の保護:水資源の開発、管理及び利用への統合的アプローチの適用 第19章 有害及び危険な製品の違法な国際的移動の防止を含む、有害化学物質の環境上適正な管理 第20章 有害廃棄物の違法な国際的移動の防止を含む、有害廃棄物の環境上適正な管理 第21章 固形廃棄物及び下水道関連問題の環境上適正な管理 第22章 放射性廃棄物の安全かつ環境上適正な管理

セクションⅢ:主たるグループの役割の強化 第24章 持続可能かつ公平な開発に向けた女性のための地球規模の行動

第25章 持続可能な開発における子供及び青年 第26章 先住民及びその社会の役割の認識及び強化 第27章 非政府組織(NGO)の役割の強化:持続可能な開発のパートナー 第28章 アジェンダ21の支持における地方自治体のイニシアティブ 第29章 労働者、労働組合の役割 第30章 産業界の役割 第31章 科学及び技術的コミュニティ 第32章 農民の役割の強化

セクションⅣ:実施手段第33章 資金源及びメカニズム 第34章 環境上適正な技術の移転、協力及び対応能力の強化 第35章 持続可能な開発のための科学 第36章 教育、意識啓発、訓練の推進 第37章 開発途上国における能力開発のための国のメカニズム及び国際協力 第38章 国際的な機構の整備 第39章 国際法措置及びメカニズム 第40章 意思決定のための情報

http://www.un.org/esa/dsd/agenda21/

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リオ+20の目標

持続可能な発展への新たな政治的コミットメントの確保

過去の主要サミットの成果の進捗と残るギャップの評価

新たに現れた課題への対応

リオ+20の目的とテーマ

リオ+20のテーマ

持続可能な発展と貧困解消の文脈におけるグリーンエコノミー

持続可能な発展のための制度枠組み

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Page 5: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

リオ+20をとりまく国際的な動き

気候変動 (カーボンレジーム)

2013〜 ポスト京都?

1997 京都議定書(COP3)

2005 京都議定書発効

2008-12 第一約束期間

COP15 COP16 COP17(2011.12)

1994 気候変動枠組条約発効

生物多様性 (多様性レジーム)

1993 生物多様性条約発効

2003 カルタヘナ議定書

2010(COP10) 名古屋議定書、愛知目標

COP11(2012.10)

2011〜20 国連生物多様性の10年

貧困問題 (MDGs)

その他

2000 国連ミレニアムサミット 国連ミレニアム宣言

2016〜 ポストMDGs?

2015 MDGs目標年

2010 MDGサミット

2002 ヨハネスサミットでの日本提言 ESD採択(国連総会)

2005 ESD開始

2014 ESD最終年 世界の祭典(日本)?

2012.10IMF世銀総会(日本)

2012.11アメリカ大統領選

森林問題

ESD

2011 国際森林年

2015 法的拘束力検討?

2006 UNFF6

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リオ+20の準備プロセス

5月 第1回準備委員会(NY)

2010年 2011年 2012年

1月 第1回中間会合(NY)

3月 第2回準備委員会(NY)

10/19- アジア太平洋地域準備会合(ソウル)

11/1 国連事務局へのインプット提出締切

12/15・16 第2回中間会合(NY) →compilation report

1月初 共同議長ゼロ・ドラフト公表

1/16〜18 成果文書ゼロドラフト検討会合(NY)

2/13〜17 成果文書交渉会合(NY)

3/19〜23 成果文書交渉会合(NY)

3/26〜27 第3回中間会合(NY)

4/30〜5/4 成果文書交渉会合(NY)

5/28〜30 第3回準備委員会(リオ)

6/4〜6 リオ+20(リオ)

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Page 7: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

成果文書に向けた国内の動き

サポート

参加

国連リオ+20事務局

成果文書に向けたインプット

日本政府

国内準備委員会

政府以外の様々なステークホルダー

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成果文書に向けた国内の動き

2010年

10月 地球サミット2012Japan 委員会設置を政府等に提案

2011年

3月23日 社会的責任に関する円卓会議 委員会設置を政府に提言

7月13日 設立会合・1次会合

8月23日 2次会合

9月1日 第1回ワークショップ

9月14日 3次会合

10月2日 第2回ワークショップ

10月11日 4次会合

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Page 9: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

持続可能な開発と貧困解消の文脈におけるグリーンエコノミー

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Page 10: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

「持続可能」とは?(何が真の問題か?)

成長の限界?

人口抑制

食料と水

環境問題?

汚染と破壊

回復力(レジリエンス)

市場創造力(Innovation)?

ビジネスモデル

Stay Hungry, Stay Foolish.

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Page 11: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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急増する世界人口

(出典)国連人口基金

90億人の地球

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グリーンエコノミーのベースに“自然資本”

UNEP Green Economy Initiative

「資本の誤分配の時代」

現在の様々な危機の根本的な原因は、自然資本の減損と劣化とひきかえに、物理的・金融的・人的資本の急激な蓄積を促進してきたこと。

OECD Green Growth Strategy

Page 13: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

• PART I: Investing in natural capital Agriculture(農業) Fisheries(漁業) Water(水) Forests(森林)

• PART II: Investing in energy and resource efficiency Renewable energy(再生可能エネルギー) Manufacturing(製造業の効率化) Waste(廃棄物) Buildings(建築物) Transport(交通) Tourism(旅客) Cities(都市)

• PART III: Supporting the transition to a global green economy Modeling global green investment scenarios Enabling conditions Financing(金融)

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Page 14: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

主要グリーン経済セクターにおける事例 UNCTAD 2010

• 1.農業:有機農業(ウガンダ)、認証持続可能な農業(米国:ハワイ)

• 2.漁業:持続可能な在来魚の管理(ペルー)、持続可能なマグロ漁業(MSC)

• 3.水:淡水生態系サービス(エクアドル)、水管理システム(ペルシア湾沿岸)

• 4.林業:持続可能な林業施工(ブラジル)、REDD+プログラム(ザンビア)

• 5.エネルギー:マイクロ水力発電(ネパール)、低炭素バイオ燃料生産(ブラジル)

• 6.製造:効率的製造(日本)、低炭素サプライチェーン

• 7.廃棄物:リサイクルシステム(ドイツ)、都市・産業廃棄物からのエネルギー再生国家プログラム(インド)

• 8.建築:エネルギー効率的建設(米国)、ゼロエネルギー建設(ドイツ)

• 9.輸送:同乗やカーシェアリング(ドイツ)、渋滞への課金(チリ:サンティエゴ)

• 11.都市計画:持続可能な都市計画(ブラジル:クリチバ、スウェーデン:ベリングビー)

• 10.観光:持続可能な海洋観光(ホンジュラス)、アブロルホス諸島での保全課金(ブラジル)

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貧困を克服しつつ、より環境に優しくより賢明な成長を引

き出すために世界のGDPの2%をいかに活用できるか?

• 世界の GDP の 2%をグリーン経済を支える主要 10 セクターに投資す

ることで、低炭素かつ資源効率の高い経済に向けて移行できる。 – 小規模農場を含む農業の環境対策に対しては 1,080 億ドル。

– エネルギー効率化で建設業セクターの環境対策に 1,340 億ドル。

– エネルギー供給の環境対策に 3,600 億ドル強。

– 世界の船団規模の削減を含む漁業の環境対策にほぼ 1,100億ドル。

– 気候変動対策の重要な恩恵を受けるための林業の環境対策に150 億ドル。

– 製造業を含む業界の環境対策に 750 億ドル強。

– 観光セクターの環境対策にほぼ 1,350 億ドル。

– 運輸業の環境対策に 1,900 億ドル強。

– リサイクルを含む廃棄物にほぼ 1,100 億ドル。

– 衛生対策を含む水セクターに1,100 億ドル。

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Page 16: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

持続可能な開発実現に向けた8つの日本提案(日本政府案)

• 1.防災 – ポスト「兵庫行動枠組み」の策定と開発政策への統合

• 2.エネルギー – 代替なエネルギーシフトへ向けて

• 3.食料安全保障 – 21世紀型新食料安全保障戦略

• 4.水 – 持続可能性のネクサス:統合水資源管理

• 5.環境未来都市 – 誰もが暮らしたい街

• 6.持続可能な開発のための教育 – “持続可能な市民”育成イニシアティブ

• 7.地球観測システム(GEOSS) – “地球観測ネットワーク”の強化

• 8.技術革新とグリーンイノベーション – 快適な次世代環境の実現

2011/10/11時点

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Page 17: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

世界のグリーンエコノミーに対するスタンス

• 日本と世界の温度差

• アジア

–雇用

• アフリカ

–再生エネルギー

• ラテンアメリカ

–自然資本

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投資したい未来 地球環境問題を解決した2020年のグリーンエコノミーの社会のビジュアル化 ~2020年 愛知ターゲット Post MDGsが推進される未来~

Page 18: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

貧困解消×ビジネス

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Page 19: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

「貧困根絶の文脈」とは?

2015年までの貧困問題解決

MDGs(ミレニアム開発目標)

• 貧困根絶に向けた基本的なニーズ

– BOP

– 人的資本の原理

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Page 20: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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Correspondence between Percentiles and income

Income in 1999 int. Dollars

Percentiles of global Income distribution

WORLD INCOME DISTRUBUTION,2000

50%

Trends in Global Income Distribution, 1970-2000, and Scenarios for 2015 (Dikhanov, Yuri. 2005.)

2%

20% 20% 60%

24% 74%

1$/day

Page 21: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

MDGs(国連ミレニアム目標) 2015年までに貧困を半減しよう

• 1. 極度の貧困と飢餓の撲滅

– ターゲット1:2015年までに1日1ドル未満で生活する人口比率を半減させる。

– ターゲット2:2015年までに飢餓に苦しむ人口の割合を半減させる。

• 2. 普遍的初等教育の達成

– ターゲット3:2015年までに、全ての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする。

• 3. ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上

– ターゲット4:初等・中等教育における男女格差の解消を2005年までには達成し、2015年までに全ての教育レベルにおける男女格差を解消する。

• 4. 幼児死亡率の削減

– ターゲット5:2015年までに5歳未満児の死亡率(乳幼児死亡率)を3分の2減少させる。

• 5. 妊産婦の健康の改善

– ターゲット6:2015年までに妊産婦死亡率を4分の3減少させる。

• 6. HIV/エイズ、マラリアその他疾病の蔓延防止

– ターゲット7:HIV/エイズの蔓延を2015年までに阻止し、その後減少させる。

– ターゲット8:マラリア及びその他の主要な疾病の発生を2015年までに阻止し、その後発生率を下げる。 21

*ロゴは「特定非営利活動法人 ほっとけない 世界のまずしさ」が作成したもの。

Page 22: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

MDGs(国連ミレニアム目標) 2015年までに貧困を半減しよう

• 7. 環境の持続可能性の確保 – ターゲット9:持続可能な開発の原則を各国の政策や戦略に反映させ、環境資源の喪失を阻止し、回復を図る。

– ターゲット10:2015年までに、安全な飲料水と基礎的な衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減する。

– ターゲット11:2020年までに最低1億人のスラム居住者の生活を大幅に改善する。

• 8. 開発のためのグローバル・パートナーシップの推進 – ターゲット12:開放的で、ルールに基づいた、予測可能でかつ差別のない貿易及び金融システムのさらなる構

築を推進する。(グッド・ガバナンス《良い統治》、開発及び貧困削減に対する国内及び国際的な公約を含む。)

– ターゲット13:最貧国の特別なニーズに取り組む。

• 最貧国からの輸入品に対する無関税・無枠

• 重債務貧困国に対する債務救済及び二国間債務の帳消しのための拡大プログラム

• 貧困削減に取り組む諸国に対するより寛大なODAの提供を含む)

– ターゲット14:内陸国及び小島嶼開発途上国の特別なニーズに取り組む。(バルバドス・プログラム及び第22国連総会の規定に基づき)

– ターゲット15:国内及び国際的な措置を通じて、開発途上国の債務問題に包括的に取り組み、債務を長期的に持続可能なものとする。

– ターゲット16:開発途上国と協力し、適切で生産性のある仕事を若者に提供するための戦略を策定・実施する。

– ターゲット17:製薬会社と協力し、開発途上国において、人々が安価で必須医薬品を入手・利用できるようにする。

– ターゲット18:民間セクターと協力し、特に情報・通信分野の新技術による利益が得られるようにする。

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*ロゴは「特定非営利活動法人 ほっとけない 世界のまずしさ」が作成したもの。

Page 23: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

国連ミレニアム開発目標報告 2010 http://www.unic.or.jp/pdf/MDG_Report_2010.pdf

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Page 24: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

インクルーシブビジネス

• 役割と参加を共に~“インクルーシブ・ビジネス”

– アクセスの欠如を補う

• 所得創出機会と生活必需品サービスの同時提供

– 世界の経済構造の底辺(BOP, Base of the Pyramid)で生活する人々を、経済パートナーと捉え、「消費者」、「生産者」、或いは「流通者」として位置づけ、様々な付加価値の創出プロセスに参加を求めて投資するビジネス形態。

– 成功のデザイン

• HIB&SPORK、ミニフランチャイズ、非公式チャネル

• 現物支給の運転資本貸し付け

• 小袋、モジュール式、プロセスの単純化

• 利用回数性、段階的価格設定、プリペイド

• Ex) BAISX ヒマラヤ一帯の乳製品ビジネス

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国際金融公社(IFC)

Page 25: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

UNEP CREATING VALUE FOR ALL

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• Chapter 1: Opportunities to create value for all

• Chapter 2: Constraints standing in the way

• Chapter 3: Adapt products and processes

• Chapter 4: Invest in removing market constraints

• Chapter 5: Leverage the strenghts of the poor

• Chapter 6: Combine resources and capabilities with others

• Chapter 7: Engage in policy dialogue with governments

• Chapter 8: Taking action

http://www.undp.org/gimlaunch/

/

ケーススタディ ・伝統的なアグリビジネスを変革(ブラジル) ・貧しい農民のためのコンピューター(中国) ・衛生的なトイレを作って負荷植民を開放(インド) ・電子マネーが貧困地域を変える(ケニア) ・持続可能な畜産プロジェクト(ブラジル) ・すべての人に医療を提供する方法(インド) ・マラリアを防ぎ、雇用を生み出す(タンザニア) ・低所得者のための教育ローン(南アフリカ) ・現地企業を育てて電力サービスを提供(マリ) ・現金の代わりに住宅を送金(メキシコ) etc…

Page 26: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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http://io.tudelft.nl/index.php?id=24031&L=1

Water Supply in Slums:P.I.P.A. System

Mobile Solar Kiosk for Micro-Entrepeneurs

Water4Kenya

http://other90.cooperhewitt.org/

• 世界を変えるデザイン展

http://exhibition.bop-design.com

Page 27: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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貧困と自然資本

途上国の貧困層は、自然資本に直接に依存

⇒気候変動や過度な自然資本の毀損が、貧困層の生活基盤を直撃

(台風、洪水、海面上昇、海岸浸食、土壌流出、水へのアクセスの喪失など)

2025年まで生じる7億人の労働力

労働集約性が高いグリーン産業へのシフト

自然資本の保全による生活基盤の強化

貧困層の所得向上、キャパシティ・ビルディング、社会参画によるエンパワメント

貧困解消と自然資本?

自然資本の保全と貧困解消の両立

Page 28: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

貧困国の GDP の 9割ほどが森林や淡水などの

自然や自然資源につながりがある

• より高い成長に加え、グリーン経済への全体的な移行は、従来の場合と比較し、2050 年にはエコロジカル・フットプリントをほぼ 50%減らすと同時に、現行の経済モデルよりも1人当たりの所得向上を実現すると思われる。

– 「25 億人の人が 1 日 2 ドル以下で生活し、2050 年までに世界の人口は 20 億人以上増加するため、我々の経済を発展させ、成長させ続けなければならない。しかし、この発展は我々の経済や、我々一人ひとりの生命を維持している陸地や海、大気という、生命を支えるシステムを犠牲にしては不可能である。

– グリーン経済では成長や繁栄を止めるのではなく、単に自然資源を掘り起こすのではなく、再投資する。そして、真の富であり、少数よりも多数に対して有利な富を生む。

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Page 29: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

SEED Initiative http://www.seedinit.org • The SEED Initiative is a global partnership for action on

sustainable development and the green economy.

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Page 30: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

まかないの輪

山菜

木材

エネ ルギー

海産物

民俗 行事

教育

福祉

産業

保険1

保険2

保険3

保険4

保険5 保険6

保険7

保険8

保険9

保険10

不作時の 分配

水源林用水

有縁の野菜

有縁の加工品

子どもの学び

祭り

古民家宿泊

まかない学校

移住相談

災害疎開

保険機能の輪

有縁の米

かみえちご山里ファンクラブ (棚田学校)より :元気大賞受賞団体

Page 31: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

かみえちご山里ファンクラブ (棚田学校)より :元気大賞受賞団体

Page 32: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

自然資本×ビジネス

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Page 33: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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限界を超えた地球の容量

(出典)WWF, エコロジカル・フットプリント・レポート 2009 日本

エコロジカルフットプリント

Page 34: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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なぜ、自然“資本”?

資本 将来、財やサービスのフローを産み出すストック

・産業資本 (工場、機械、インフラなど)

・金融資本 (現金、株式、債券など)

・人的資本 (労働、知識、組織など)

生態系財 ・供給サービス

(食糧、淡水、木材、燃料など)

・自然資本

再生可能自然資本 (森林、土壌、漁業資源、水、大気など)

再生不可能自然資本 (鉱物、石油、石炭、天然ガスなど)

自然資本

生態系サービス

・基盤サービス

(土壌形成、栄養循環など)

・調整サービス

(気候調整、洪水制御、水質保全など)

・文化的サービス

(レクリエーション、教育など)

自然所得

Page 35: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

Ecological and Economic Foundation 自然の価値を可視化する

価格がつけられないものに価格を設定する

将来の価値評価

TEEB/D0 生物多様性を測る経済学

1.生物多様性から産み出される、生態系サービスを洗い出す 2.生態系サービスのキャッシュフローを予測する 3.見えない価値の部分を仮の金銭価値で仮置きする 4.最適な未来を導く割引率を設計して現在価値へ割り戻す 5.経済的定量化できない文化的価値は、別載する

Page 36: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

(ご参考)自然の価値の推計方法

• 成果物価値:Output Value

– Use Value

• Direct Use Value, Indirect Use Value

• Option or Quasi-Option

– Non-Use Value

• Legacy Existence Altruism

– Social Justice Deontological Values Lexicographic Preferences Non Human Value

• 保険的価値:Insurance Value

– Residence value

• 物理的消費:Physical Consumption

– Physical cost 36

Page 37: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

For Policy Makers 保護地区が金銭的な価値をもたらす よりよい管理のための、よりよい測定 とは インセンティブの変更

TEEB/D1 新たな国富論

1.生物多様性は国土の管理コストを下げる内助の功がある 2.生態系サービスのユーザーと価値と危機を特定せよ 3.国は自然資本(国富)を測り会計評価報告せよ 4.国は自然資本への投資で、生態系サービスを増産せよ 5.自然資本を増加させる、インセンティブ体系に一新せよ

Page 38: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

For Local and Regional Policy

リスクと不確実性に対する説明責任

自然資本と貧困の減少

TEEB/D2 自然の恵みと共に生きる

1.世界の120の政策事例に続け 2.自然資本への投資は、貧困を緩和する効果がある 3.都市部・農村部・地域向けに方法論やツールがある 4.生態系サービスの運用者と利用者のギャップを埋める ための支払いシステムを設計せよ 5.生態系改変の際には、未来シナリオを描いて、リスク と不確実性への説明を行い合意形成の上、選択せよ

Page 39: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

39

長期の価値を維持するために

図書館、レンタカーと同じで、使ったら元の状態に戻す。

「利用者回復の原則(URP)」

長期資本財版の「汚染者負担の原則(PPP)」

再生可能な自然資本の多くは、共有財的性質をもつ ⇒“コモンズの悲劇”がおきやすい

“自然の回復速度を超えて利用した場合、 原状回復と機会費用負担の責任を有する”

Page 40: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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劣化分を可視化する(回復時間)

持続可能性指標への“回復速度”概念の導入

財・サービス、

産業資本など

自然 生態系の回復能力

自然資本の ストック

変換

生産

既存の指標に含まれている

回復速度 資源生産性

既存の指標にはない

Time Credit

Page 41: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

3章.生物多様性と生態系に対する影響および依存の測定と報告

3.2.BES に関する情報管理および会計システムの設計

3.2.1 企業統治と説明責任: 出発点

3.2.2 領域、対象範囲および重要性の計画

3.2.3 目標と対象の設定の際に考慮すべき原則

3.2.4 進捗の測定と監視

3.2.5 BES と主流の環境会計システムとの関連付け

3.3 BES を資本投資決定に組み込む

3.3.1 資本投資における BES の適正な評価の障壁

3.4 製品レベルにおける情報の収集と利用

3.4.1 ライフサイクルアセスメント(LCA)の概要

3.4.2 生物多様性と生態系サービスを LCA に組み込む

3.5 グループレベルにおける情報の収集と利用

3.5.1 財務会計基準と BES

3.5.2 社会報告

3.5.3 BES 報告に対する指針

3.5.4 統合報告

3.5.5 BES 会計および報告の改善に対する障壁 41

Page 42: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

4章.生物多様性および生態系リスクのビジネスに対するスケールダウン

4.2 生物多様性と生態系を企業のリスク管理に組み込む

4.3 生物多様性および生態系リスクを管理するためのツール

4.3.1 標準、枠組み、方法論

4.3.2 データ収集ツール

4.3.3 モデリングとシナリオの構築

4.3.4 生物多様性と生態系のためのツールの改善

4.4 生物多様性および生態系リスクのスケールダウンのための戦略

4.4.1 ステークホルダーの関与

4.4.2 提携

4.4.3 適応管理

42

Page 43: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

5章.増加する生物多様性のビジネスチャンス

5.2 価値提案としての生物多様性と生態系サービス

5.2.1 農業、5.2.2 生物多様性管理サービス

5.2.3 化粧品、5.2.4 採掘業 、5.2.5 金融 、5.2.6 漁業

5.2.7 林業 、5.2.8 衣類 、5.2.9 手工芸品、5.2.10 製薬

5.2.11 小売業 、5.2.12 観光業

5.2.13 生物多様性:ビジネス拡大のチャンス

5.3 新興の生物多様性と生態系サービス市場

5.3.1 生物多様性と生態系サービスの規制的市場

5.3.2 生物多様性と生態系サービスの自主参加型市場

5.3.3 生態系サービス市場のビジネスチャンス

5.3.4 REDD+と新しい生態系サービス市場のための教訓

5.4 生物多様性と生態系サービス市場を支援するツール

5.4.1 生物多様性と生態系サービス市場のための認証制度

5.4.2 生物多様性と生態系サービス市場の評価と報告

5.4.3 生物多様性ビジネスの自発的インセンティブ

5.4.4 機関投資家のための一歩進んだ検討

5.4.5 生物多様性ビジネスを支援する公共政策 43

Page 44: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

6章.ビジネス・生物多様性と持続可能開発

6.1 ビジネスへの生物多様性と生態系サービスの統合の影響

6.2 持続可能な開発と生物多様性保護の対立する側面

6.3 BES と社会開発の統合における企業の課題

6.3.1 生態系サービスと貧困の関係に対する乏しい理解

6.3.2 持続可能な開発におけるビジネス取引のリスク

6.3.3 プロジェクトに誘引される住民流入

6.3.4 企業の貧困削減プログラムへの生態系サービスの統合

6.3.5 成功の測定における困難

6.3.6 アクセスと利益配分方法に関する合意の欠如

44

Page 45: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

生活者が約束できる貢献=商品選択

今後、自然や生き物を未来の世代に遺すために、あなたが世界に約束できる「自分の目標」を、以下から選んでください。(現在実践しているもので、引き続き実行できるものは、あわせて選択してください。)(いくつでも)

n %全体 30313 100.01 食べるとき、「いただきます」と、食べる命に感謝する 19805 65.32 身近な産地で取れた食べ物や、生き物にやさしいマークのついた商品を必ず選ぶ

14710 48.5

3 好きな生き物をひとつ見つける 12938 42.74 食品や衣料品や化粧品を買うとき、マークはなくても、いつも生物多様性に配慮しているか考えて買うようにする

6718 22.2

5 庭やベランダや屋上を生き物に提供するビオガーデン、ビオトープにする

6010 19.8

6 7% 値段が高くても、身近な産地で取れた食べ物や、生き物にやさしいマークのついた商品を優先的に買う

4090 13.5

7 「いきものみっけ」(環境省)など、いきもの調査に積極的に参加する

2461 8.1

8 生態系を守ることについて話し合える友達を、4人持つ 2226 7.39 自然観察会に年4回、参加する 1379 4.510 動植物園のボランティア/外来種駆除のボランティアに

年4回、参加する1375 4.5

11 日本自然保護協会 あるいは 日本野鳥の会 などの自然保全系の団体の会員になる

1069 3.5

12 どんな命をいただいたか?見かけたか?行動したか?「いきもの環境家計簿/日記」を毎日つける

1002 3.3

13 生物多様性に配慮した服を着たり、生き物に似せたファッションを楽しむ

991 3.3

14 自然保全、ナショナルトラスト、生物多様性保全 などに、ひと月 1,000円以上募金する

823 2.7

15 以上からあてはまるものが何もない 4084 13.5

65.3

48.5

42.7

22.2

19.8

13.5

8.1

7.3

4.5

4.5

3.5

3.3

3.3

2.7

13.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

「いきもの意識しらべ2009」 特定非営利活動法人アースデイ・エブリデイ 2009 45

私のポスト2010年目標、「商品を必ず選ぶ」 48.5%

Page 46: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

保全と関連する商品・サービス

46

n %全体 800 100.01 食品 344 43.02 水族館/動物園/植物園 325 40.63 自動車 271 33.94 飲料水 264 33.05 キッチン用品、洗剤 256 32.06 衣料 246 30.87 家電 242 30.38 ミュージアム/博物館/美術館 240 30.09 コーヒー、チョコレートなど嗜好品 219 27.410 リゾートホテル 215 26.911 家 205 25.612 遊園地 202 25.313 グリーンツーリズム(農産滞在型レジャー) 201 25.1

保全のために、 5%値上げしても満足度が変わらない商品・サービス群

「いきもの意識しらべ2009」 特定非営利活動法人アースデイ・エブリデイ 2009

Page 47: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

必要な表記情報

1.[成分情報] その商品やサービスそのものが、生態系を破壊しうる物品を使用している(化学物質の使用等) (70.7%)

2.[商品情報] 提供に至るまで(サプライチェーン)の情報原産地・製造場所 情報 (69.6%)

3.[監査情報] この記載情報は、誰が監査(本当だと認定)しているのか (60.1%)

4.[商品情報] 提供に至るまで(サプライチェーン)の情報その商品やサービス提供にあたって直接使用している主な生物多様性の命の種類と大きさ(55.4%)

5.[効果情報] 保全するプログラムに協賛している場合その保全プログラムがもたらす期待効果は何か、保全活動の成功率はどれくらいなのか (50.0%)

47 「いきもの意識しらべ2009」 特定非営利活動法人アースデイ・エブリデイ 2009

原産地 : インドネシア 製造場所: 日本・愛知県 成分情報: 食品 (遺伝子組換でない) 商品情報: エコロジカルフットプリント 0.2平方km

効果情報: 熱帯雨林オフセット実施済

監査情報: アジア生態系監査法人

Page 48: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

顧客層を分けて、考える

生物多様性を配慮している商品を購入したり・投資を行ったり・募金をするなど、/自らのお金を使うことに対して、以下のいずれのスタンスが最も近いと考えますか。 n %

全体 30313 100.0挑戦派: すでに、自然や生物多様性の保全のために寄付や投資・活動などを積極的にお金を使って、社会を変えようと挑戦している。

776 2.6

率先派: 良い機会があれば、率先してお金を使って、がんばっている企業やNGOを応援し、世論や市場を導きたいと思う。

4313 14.2

現実派: 世論も動き出し、具体的で現実的な手段や方法が整ったら、比較的早めにお金を出そうと思う

12190 40.2

保守派: 世論が熟し、多くの友達から誘われたらお金を出さないことはないと思う

8574 28.3

否定派: 自分のお金を使うつもりはない 4460 14.7

48

6人に1人が、生物多様性に配慮した商品を心待ち

「いきもの意識しらべ2009」 特定非営利活動法人アースデイ・エブリデイ 2009

Page 49: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

49

ウォンツの違いを、見逃さない

精神的に満ち足りた生活を送りたい

自分なりの考え/主張をし

っかり持

っていた

い いろいろな経験をして自分を成長させていき

たい

ストレスのない生活をしたい

趣味や好きなことを深く極めたい

自分の感性やセンスを磨いていたい

環境問題を意識した生活をしたい

同じ趣味を持つ仲間と楽しく交流したい

既成の概念にとらわれず

、新しい発想を大切

にしたい

弱い人の身にな

って考え

、行動していきたい

便利で快適な生活をしたい

社会や友人/知人のために貢献する生き方を

したい

周りから好かれる人間になりたい

合理的でむだのない生活をしたい

800 65.0 61.9 53.5 66.9 50.9 47.5 39.0 43.0 39.8 36.5 49.8 32.4 42.3 32.3

挑戦派129 62.8 65.1 54.3 58.1 49.6 45.7 56.6 45.7 52.7 48.8 48.1 44.2 36.4 45.0

率先派216 72.7 68.1 66.7 61.6 58.8 58.8 57.9 52.8 51.4 50.0 47.2 47.2 42.1 26.9

現実派258 64.0 62.8 51.2 70.9 48.8 44.6 33.7 41.5 35.7 30.2 46.5 27.5 42.2 32.9

保守派197 59.4 51.8 41.6 73.1 45.7 40.1 13.7 32.5 23.9 21.8 57.9 14.7 46.2 28.9

「いきもの意識しらべ2009」 特定非営利活動法人アースデイ・エブリデイ 2009

「挑戦派」、「率先派」 = 精神的に満ち足りたい、自分の主張を示したい 「現実派」、「保守派」 = ストレスのない生活をしたい

生活感覚

Page 50: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

自然に学ぶものづくり(Nature Technology)

50

○タイトル:アメリカアマガエルの色変化・温度節約 ○機能分類 色変化、 温度調節 ○生物名 学名:Hyla cinerea 和名:アメリカアマガエル ○概要 体温調節と捕食者回避のために体色を変化させる北アメリカの乾燥地帯で見つかる両生類。 ○生物の説明 比較的乾燥した地域を好む北アメリカの定住性小型両生類。捕食者から隠れるためと、乾燥や相対湿度の変化に反応できるように、体の色を瞬時にブロンズ、茶色から黄緑にまで変えられるように進化した。 ○機能の説明 アマガエルの色素を作る細胞は色素胞と呼ばれている。色素胞はクロマトソームと呼ばれる色素を含み、色の変化はその細胞の中にある色素の顆粒が中央に集まっているか、分散しているかによって起こる(Wallin 2002)。環境の温度が高いときには、アメリカアマガエルは入射光の反射率を大きくするために明るい色になり、熱の流入が減少する。温度が低いときには、体温を維持するために、熱エネルギーの吸収がよい暗い色になる(King 1994)。 ○どんなところに使えるか? アパレル、ビルの外装

Page 51: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

90億人の、持続可能で、 「健康で充実した人生」を考える

51

Page 52: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

EcoWealthとは

• 従来の経済活動の指標:GDP(フロー)

人の生活の豊かさはフローだけで表現可能?

「豊かな生活」が社会活動の目標なら、新たな指標が必要では?

• 新たな価値:EcoWealth

1.金(自由に使える)

2.社会とのつながり

3.健康で平和な生活(含:自然資本)

○生活の豊かさを示す1,2,3をリンクした考え方

○従来の経済価値の評価時間軸を伸ばすことで得られる

○蓄積された資産価値を反映する

52 ※エコウェルス研究会より

Page 53: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

53

n %全体 6122 100.01 自然や生き物の豊かさ 4462 72.92 健康でいる日数 4001 65.43 笑顔の数 3778 61.74 きれいな水の量と肥沃な土の面積 3485 56.95 未来への見通しの明るさ 3086 50.46 100年後も自然が変わらないこと 2662 43.57 コミュニティ活動機会の選択肢の幅が広いこと 1872 30.68 収入源の選択肢の幅が広いこと 1689 27.69 地域に貢献する有力企業の数 1221 19.910 人口の安定性 1155 18.911 人脈の数 1018 16.612 エコを実行した日数 929 15.213 余命の長さ 854 13.914 祭への参加者数や神社仏閣などの場所への参拝者数 620 10.115 一人当たりの平均知り合い数 339 5.516 名物、名士、自慢の数 334 5.517 あなたのお住まいの地域に特に必要な指標(_) 109 1.818 このような指標は不要だと考える/関心が持てない 84 1.419 わからない 150 2.5

72.965.4

61.756.9

50.443.5

30.627.6

19.918.9

16.615.213.9

10.15.55.51.81.42.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

123456789

10111213141516171819

2009年7月実施※回答者調整済み

あなたが考えるエコで健康で充実した人生の指標を、以下よりすべてお選びください。/(いくつでも)

健康で充実した人生とは?

※ アメニティ(Amenity)とは、「心地よさ、快適に暮らす(QOL)のために必要な環境、基盤」。

2009年度報告(服部・荒山):エコ・ウェルス

「エコウェルス調査 2009」 (Earthday Everyday)

Page 54: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

健康で充実した人生のための要素。

あなたが健康で充実した人生を送ったと感じるために、重要な要素は何ですか。

n %全体 7997 100.01 家族の存在(子供、配偶者、両親など) 6129 76.62 友人・仲間との信頼関係 5337 66.73 心の平穏や調和 5290 66.14 自然の恵み(水、空気、土など)、自然の美しさ 5049 63.15 お金 4841 60.56 安定した政治、平和 4381 54.87 愛し、愛されること 4330 54.18 自由な時間 4198 52.59 長寿、健康、快眠 4104 51.310 経済的な豊かさ、貧富の差の縮小 3873 48.411 安心安全・保険 3329 41.612 仕事の機会、仕事での報酬 3225 40.313 医療機関の質 3175 39.714 音楽、芸術、スポーツ 2881 36.015 家・邸宅・マンション・土地 2870 35.916 質の良い教育、教育を受ける場所 2357 29.517 成し遂げたい目標 2338 29.218 住みやすい気象条件 1961 24.519 歴史や伝統、文化 1590 19.920 生まれ育った地域 1524 19.121 生態系の維持 1508 18.922 移動・自動車 1201 15.023 便利な都市空間 1149 14.424 社会的な名誉・地位 707 8.825 自分がコントロールできる人がいること 676 8.526 その他(_) 30 0.427 わからない 16 0.2

76.666.766.1

63.160.5

54.854.152.551.3

48.441.640.339.7

36.035.9

29.529.2

24.519.919.118.9

15.014.4

8.88.50.40.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

123456789

101112131415161718192021222324252627

※回答者調整済み 「エコウェルス調査 2009」 (Earthday Everyday)

Page 55: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

生活感覚 : 充足感←→欠乏感 (求めるものー手に入れたもの)

n %全体 800 100.01 移動・自動車 -274 -34.32 生まれ育った地域 -164 -20.53 家・邸宅・マンション・土地 -58 -7.34 便利な都市空間 -56 -7.05 歴史や伝統、文化 2 0.36 住みやすい気象条件 1 0.17 社会的な名誉・地位 5 0.68 仕事の機会、仕事での報酬 38 4.89 生態系の維持 50 6.310 音楽、芸術、スポーツ 61 7.611 質の良い教育を受ける場所 75 9.412 家族の存在(子供、配偶者、両親など) 75 9.413 成し遂げたい目標 76 9.514 友人・仲間との信頼関係 102 12.815 自由な時間 109 13.616 安心安全・保険 109 13.617 愛し、愛されること 123 15.418 医療機関の質 156 19.519 自然の恵み(水、空気、土など)、自然の美しさ 182 22.820 経済的な豊かさ、貧富の差の縮小 212 26.521 心の平穏や調和 228 28.522 長寿、健康、快眠 232 29.023 安定した政治、平和 269 33.624 お金 289 36.125 その他(_) 2 0.326 わからない -12 -1.5

-34.3

-20.5

-7.3

-7.0

0.3

0.1

0.6

4.8

6.3

7.6

9.4

9.4

9.5

12.8

13.6

13.6

15.4

19.5

22.8

26.5

28.5

29.0

33.6

36.1

0.3-1.5

-40% -20% 0% 20%

Page 56: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

EcoWealthと環境

• 環境汚染の費用は高くつく – 一度汚染した土壌や大気は汚染に要したエネルギーに比べ大変大きなエネルギーが必要

• 従って環境汚染を考慮した資産の価値は

• P’=P-除染に必要な費用(エネルギー)

• 現在の価値をP’で表記すれば環境保存の費用が実は安いことが見えて来る。

• 環境対策はEcoWealthを増大させる。

• 従来の環境対策は経済活動に反するとは根本的に異なる結論に至る。

• 環境対策を促進と企業活動や市場経済と合致させられる。

Page 57: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

57

きれいな水 利用コスト 20時間/年・家計 持続可能コスト 50時間/年・家計

オーダー前待ち時間

直接費用

(時間換算

オーダー後待ち時間

サービス時間

間接使用資源回復時間

資源回復

費用

(時間換算)

レスポンスピリオド

ターンアラウンドピリオド

注文注文入店 商品到着

直接使用資源回復時間

次の客 の入店

「きれいな水」の利用コスト = 20時間/年・家計 「きれいな水」を得るための待ち時間は、上水道が整っている地域では、 蛇口をひねれば、同時に、水が出るのでほぼゼロ。 必要な水道料金は、ひと世帯あたり2万5~7千円/年間で家計の0.7%程度、 有職者の仕事時間で換算すると年間およそ20時間、一日平均3.2分。 「きれいな水」の持続可能コスト = 50時間/年・家計 回復も考慮する持続可能コストで見るとき、上水道サービスとほぼ同額の下水道サービスが加わる。この金額を仕事時間で換算するとひと世帯あたり年間およそ40時間になる。 また、障害時間については、年間平均0.4日=10時間として加算する。 5年に一度、渇水時に1日程度の断水が行われるとしたとき、0.2日(4.8h) 。 また、50年に1度程度の災害からの復旧に、10日かかるとし、0.2日(4.8h) 。

利用費用

回復費用

パフォーマンス指標

持続可能のための時間コスト支払い

Page 58: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

エコ・ウェルスによる成長戦略

長期に価値を高める富を形成し、次世代に渡す

世代20-30年程度の長期的な観点での経済の損益を指標にすることによって資産形成や国富の観点が見える化され、実際に行動に反映できる。

従来、経済活動にマイナスと思われてきた環境活動・対策が価値創造側に入り、企業活動や市場経済と合致させられる可能性がある。

成長戦略例) 100年住宅 → 森林資源過利用抑制 水素燃料自動車システム → 国富流出防止

58

Page 59: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

伝統的な知恵に学ぶ :例)90歳ヒアリング

1. 自然のリズムに合わせる心地 2. 自然のサインを読む 3. 自然を活かす 4. 自然災害への備え 5. 生き物との距離が接近している 6. 水・農業・屋根づくり共同作業 7. 大事なことでつながる地域 8. 地域住民のよりどころ(神社・祭) 9. 山、燃料、水の共有 10. 暮らしながら次世代に伝える 11. 子供に役割がある 12. 生活品は育てて保存する

13. 手入れする 14. 持たない 15. 役立つ庭 16. 小屋や蔵がある 17. 生活の中に音があった 18. エンタメ商店街 19. 出前商売 20. 物に感謝する 21. 自然を敬う 22. 先祖を敬う 23. 異なる贅沢 24. ゆるさ、おおらかさ

現代社会が、知らず知らずのうちに、失ってしまった低環境負荷で持続可能な暮らし方を学ぶ手法。今なら、90歳の人々にヒアリングを実施し、先人の偉業である自然と共に生きる暮らし方や知識を聞き出し、現代社会に再導入し、後世に伝えることができる。90歳の人々は戦前(1942年)に20歳、1960年頃に40歳で一家を支える人々。90歳は自然との共生に必要な知識の宝庫。地域らしさも見出せる。急がなければ、数年のうちに喪失する。

<気づきを与える90歳の言葉の例>

<方法>

<どのように活かすか> ・「昔は水、燃料など大事なものを共有し、それがコミュニティをつなげていた。」(90歳の言葉)それを現代版に焼き直し、「共有電池でつなげるコミュニティ」を構想。 ・仙台で実証研究実施中。数件の家で蓄電池を共有し、各家庭からあふれ出る太陽光発電の電気をコミュニティでシェア。電池に入れた電気を近所で貸し借りする技術的に低環境負荷に最適化されたシステム導入と、新しいライフスタイルを提案。(昔はしょうゆの貸し借りをしていた)

・宮城県在住の90歳程度の高齢者65名以上にヒアリングを実施(2ヶ月間)、ヒアリングメモ作成。 ・現地の言葉を理解できる人と同行(一人2時間程度)。 ・ヒアリングメモの横断的分析。

宮城県の事例

東北大学環境科学研究科

59

東北大学 環境科学研究科 石田・古川

Page 60: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

等身大の人生のために

60

現代の暮らしでは、いつのまにか、多くのモノに囲まれて、たくさんのエネルギーが使われています。/あなたの暮らしを等身大のシンプルライフにしようと決断した場合、何をスッキリしようと思いますか。/上位5つまでを選択してください。 /(5つまで)

すっきりシンプルに暮らすために、60%の人がまずモノを、 およそ4割の人が、気持ちと生き方とを整理したいと回答。

Page 61: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

必要な財を得るまでの目標期間

61

In 5Years In 20Years Over the life Others

Earn Money (お金)

「エコウェルス調査 2009」 (Earthday Everyday)

Bio Diversity (自然資本)

All personal growth (人格的成長)

Relationships with others

(つながり)

Page 62: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

活動サイクル毎に、時間予算を割り当てる • それぞれの周波数に何を蓄え、配分するかが健全な成長の鍵

– より周波数に、大きなエネルギーが蓄えられる – 多様性も蓄えの形態のひとつ。

工業

農林水産業

コミュニティ

【社会資本】公共サービス

【自然資本】生態系サービス・地球環境サービス

商業

家計

個人

【文化資本】文化サービス

Private Economy Innovative Economy Ecological Economy

10年

30年

50年

1年

1季

1月

1日

62

半年

5年

例)

Page 63: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

持続可能な社会へ向けての新商品・サービス

63

2/3の人が、自分でエネルギーを生み出すエコハウスに関心がある。 またおよそ半数の人が、量り売り、種売り売り可能な家電、廃木材によるバイオ燃料に賛成である。

おとなり-ism

Page 64: 「持続可能かつ貧困根絶の文脈にお けるグリーンエコノミーを考える」

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1.Invest Bio- Regions toward Aichi Targets:愛知目標を達成する生命流域圏づくり グリーン経済の基礎としての国連生物多様性の10年の推進 愛知ターゲットを達成するための生命流域圏づくりの推進 グリーン復興; 東日本大震災の経験を踏まえたレジリアンスのある持続可能な地域づくり 2.Empower Open Social Networks: グリーン経済を支える個人のエンパワーメント 自分の行動が社会の行動の変化をおこすことができる人づくりとその仕組み作り 文化資本の充実と伝承:愛の眼差しのある近傍のコミュニティ 3.Set URP policy(利用者回復の原則): 自然資本利用のルール整備 4. Measure Time Credit for Post MDGs:新たな発展パターンと持続可能性指標の確立 指標への“回復速度”と「Time Credit」の概念の導入 各レベルにおける持続可能性指標の確立 Post MDGsへ向けた新たな発展パターンの検討 5.Standardise Green Info Structure: グリーンエコノミーに関わる情報環境の整備 「Eco-Wealth」を管理、運用するための基礎的な情報構造の標準の規定 自然資本の賦存量等についての国際的なデータベースの構築、各主体による情報提供等 社会的責任購買を可能とする、商品表示の標準化と義務化の推進 6.Design Eco-Wealth : 回復待ち時間最小化原理に基づく豊かさの再設計 健康で充実した人生を送るための回復待ち時間を最短にする社会基盤への投資 サステナブル・デザイン、有限設計研究に係る関係機関の連携、共通プロトコルの策定 7.Utilize ISO26000: グリーン経営を支える枠組みの整備 グリーン経営を支えるマネジメントツールとしてのISO26000の活用 グリーン経済を支える資本市場の形成