しヽ房中隔欠損症の心音図所見と...

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臨床心音図第2巻2号(論文N0.56) しヽ房中隔欠損症の心音図所見と 血行動態との関係 首席阻市民病院内科 延吉正清盛岡茂文 同Jji,リ?’丿掛科 福森重剛 はじめに 心房中隔欠損症(ASD)における心音図所見と血行動態との関係については,従来いろいろの立場 から,多くの報告がなされている1)18)`21)。 ASDと機能性雑音との聴診および心音|図による鑑別が,ことにASDにおける所見が多彩であるため にしばしば困姚であるということは,目常臨床にたずさわっている人の感想であろ‰われわれは今 川,ASDの三大聴診所見5)20)の1つであるH音の固定性分裂を巾心に,収縮期雑音,および拡張期雑 音と,右心カテーテル法および一部右室造影によって僣だ血行動態諸量との関係について検討した。以 下はその成績である。 症例と方法 Ji卜f;yljは1969年7月より1971年12月までの期間に,高知市民Jf刳完内科および胸部外科でASDを疑い,心 臓カテーテルを施行した66例である。年令はTable1に示すように4才より66才にわたり,男女比は 男34人,女32人で,ほぼ1対1の割合を示す。症例は男女とも大多数は5才から20才までの間に分布し ている。このうち右心カテーテル検査でカテーテルがASDを通り,またガス分析で右房レペルでの有 意な02step-upを認めたものをASDとした。かくして本Ji’已位|』66fjや↓142例をASDと診断し,残り24例 は次の基準で正常範囲(noASD)とした。すなわち,1)心臓カテーテルでASDを通らず,2)ガス 分析で右房,右室,肺動脈レベルに02の有意なstep-upを認めず,3)心内圧分析でいずれも正常範 C〔〕1・relationbetweenhemodynamicandphonocardiographicfindingsinatrialseptaldefect MasakiyoNOBUYOSHI,ShigefumiMORIOKA,*ShigetakaFUKUMORI DepartmentsofMedicineand*1110racicSI.lrgery,KochiCityHo司)ital,NishトFlirokoji5, Kochi,780 -259-

Transcript of しヽ房中隔欠損症の心音図所見と...

臨床心音図第2巻2号(論文N0.56)

しヽ房中隔欠損症の心音図所見と血行動態との関係

首席阻市民病院内科

延 吉 正 清 盛 岡 茂 文同Jji,リ?’丿掛科

福森重剛

はじめに

心房中隔欠損症(ASD)における心音図所見と血行動態との関係については,従来いろいろの立場

から,多くの報告がなされている1)18)`21)。

ASDと機能性雑音との聴診および心音|図による鑑別が,ことにASDにおける所見が多彩であるため

に し ば し ば 困 姚 で あ る と い う こ と は , 目 常 臨 床 に た ず さ わ っ て い る 人 の 感 想 で あ ろ ‰ わ れ わ れ は 今

川,ASDの三大聴診所見5)20)の1つであるH音の固定性分裂を巾心に,収縮期雑音,および拡張期雑

音と,右心カテーテル法および一部右室造影によって僣だ血行動態諸量との関係について検討した。以

下はその成績である。

症例と方法

Ji卜f;yljは1969年7月より1971年12月までの期間に,高知市民Jf刳完内科および胸部外科でASDを疑い,心

臓カテーテルを施行した66例である。年令はTable1に示すように4才より66才にわたり,男女比は

男34人,女32人で,ほぼ1対1の割合を示す。症例は男女とも大多数は5才から20才までの間に分布し

ている。このうち右心カテーテル検査でカテーテルがASDを通り,またガス分析で右房レペルでの有

意な02step-upを認めたものをASDとした。かくして本Ji’已位|』66fjや↓142例をASDと診断し,残り24例

は次の基準で正常範囲(noASD)とした。すなわち,1)心臓カテーテルでASDを通らず,2)ガス

分析で右房,右室,肺動脈レベルに02の有意なstep-upを認めず,3)心内圧分析でいずれも正常範

C〔〕1・relationbetweenhemodynamicandphonocardiographicfindingsinatrialseptaldefect

MasakiyoNOBUYOSHI,ShigefumiMORIOKA,*ShigetakaFUKUMORI

DepartmentsofMedicineand*1110racicSI.lrgery,KochiCityHo司)ital,NishトFlirokoji5,

Kochi,780

- 2 5 9 -

延 吉 , 盛 岡 , 福 森

囲 を示したもの,しかしこの中でガス分析

(アストラップ法)で右房,右室,肺動脈が

有意の02のstep-upなトものはnoASD

に含まれるものとする。またこのASDの

中 に は , 一 次 口 開 存 お よ び 部 分 的 肺 静 脈 還

流 異 常 は , 心 臓 カ テ ー テル 法 で 確 認 し た 範

囲内では含まれてなト。

心音図はフクダ製6要素MCM-600,マ

イクは同社製ダイナミックマイクTY-301

を用い,記録ペーパー速度1()Omm/secで

記録した。

Table1.Materials= = 〃 = = = = = 〃 ■ ㎜

∧ ザ ゜ 1〃 - = = = ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜

一 一

e l

一 一

一 一

FemaleJ

一 一

一 一 一 一 ・

N o . o f

C a S e S

- ・ -一

一 一 - 一 一 一 一

I T o t a 1一 一

-

1一66

- 一 一

6 1 ~ | 1 l o一 一 一 一 一 一 ・

- ‥ - ‥ - - - ‥ - 一 一 ‥ 一 一 一 一 - 一 一

~ 4 o i 1 1 3 1 4

- - - 一 一 一 一 - 一 一 一

~ 5 o ’ 1 1 4 1 5

- 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一

~ 6 0 1 1 1 1 0 1 1

. - … - . - - . | - - . 一 一 l - _ _ _ _ _ _ . _ - -

■ ㎜ ㎜ ■ ㎜ ■ ㎜ ㎜ ■ ■ ㎜ ■

~ 2 o ! 1 6 1 1 5 1 3 1- 一 一 - 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ‥ 一

~ 3 o l o l 4 J 4- ‥ - ‥ - - 一 一 ‥ - 一 一 ‥ 一 一 一 一 一 一 一

~ 4 o i 1 1 3 1 4- - - 一 一 一 一 - 一 一 一

~ 5 o ’ 1 1 4 1 5

- 一 一 … 一 一 一 -

5 1 0 1 2 i 2㎜ ㎜ ㎜ | ‾ ¬ ‾ ・ ‾ ’ ‾ | ‾ ‾ ‾ ‾ | ‾ ‾ ‾ ‾ ‾

1 0 1 4 1 4 1 1 8_ _ り _ ‥ _ _ _ _ _ 二 _ _ _ _

2 0 1 1 6 1 1 5 1 3 1一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ‥ 一

心音図所見の分析は,胸骨左縁第2,3,4肋間,心尖部およびmesoapexで記録したものについて

行なった。n音分裂間隔は,臥位万正常呼吸させながら記録した2~3呼吸間で測定し,その平均を求

めてnA - nP間隔とした。次に肺動脈領域で記録した高音部のnA振幅に対する振幅の比をもって,

HP/HAratioとし,nP充進度をあらわす指標とした。

心雑音の分析:収縮期雑音(SM)はLevineの表示方法に従ったが,拡張期雑音(DM)は振幅が

小さいために高音のHAで除し,これをおのおの校正曲線を用いて補正し,この値をDM/HAratio

とした。心雑音とH音でASDの波型を次のように分類した。

n音を中心に分類した場合,H音分裂が0.04sec以上で固定性を示すものをGroupl,分裂は0.04

sec以上であるが0.0Dec以上の呼吸性移動を示すものをGroupH,0.04sec以内の分裂を示すも

のをGroupⅢとした。

雑音をEIニl心に分類した場合,収縮期雑音と拡張期雑音が同時に存在する型をAtype,収縮期雑音の

みの型をBtype,収縮期雑音と肺動脈弁閉鎖不全雑音の存在するものをCtypeとした。またA,B

typeにおいては,Levine3度以上を示すものをおのおのAI,B1,同2度以下を示すものをおのおのA2,

B2とした。これを図式化したものがFigure1である。なお右室造影を行なった症例で,右室流出路

(Rout)と主肺動脈(MPA)の収縮期における径の比を求め,これをMPA/Routratioとした。

このようにして求めた,1)心雑音とH音をもとにした波型分類,2)nP/HArati0,3)収縮

期雑音および拡張期雑音の強さのおのおのと,血行動態諸量との関係を検討し,さらにMPA/Rout

ratioと収縮期雑音との関係を検討した。

- 2 6 0 -

心房中隔欠損症の心音図所見と血行動態との関係

-

-

i C= = = -

… 一 一 ‥ 一 一 一 一 一 一 一 一 一I 1 1 1 , 1 0

- 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 - 一 一 一 一 一 一 一 一

1 1 1 1 1 0‥ - 一 一 - - - -

| エ 1 1 1 1 1 2

- 2 6 1 -

㎜ ■ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ - = = = ・ = ■ = = = = = -I I ト 3 レ 旦 < - し 丿 - 1 一 一 十 一 1 - ク レ ー 一 一 ト ー - ‥ i 2

! B 2 5 ! i 1 1 1 1 6_ _ ‥ ノ ソ ニ ○ ∧ ∧ 二 口 - ノ 二 ∧ 二 丁 二 ∇ ノ ー - ▽ レ ー 二

I A I 1 1 2 ! 2 1 1 1 1 1 41 匹 ) し △ ▽ _ 千 口 二 二 ∇ し て 二 二 〇 口 二 〇 〇 二 △ ! ニ ‾

, c , i l l l l l i o

〉 ○ コ ∧ ニ ニ > ○ コ ○ ∇ コ > ⑤ 聯 し \ ○ ‾ \ ○ ニ △ ○ ▽ _ 上 二 こPFR:pulmonaryflowratio.I,n,Ⅲ,A,B,Cetc:seeFigure1.PFR=1meansnoshunt(groupof”noASDつ.

I B 2- -

C㎜ = - ・ ・ =

A I A I

_ ‥

よ … … … て y l 、 i 1 ~ 2 i ~ 3 i ~ 4 1 ̈ j べ i ≒ ご一---一一~一一① 二 ∩ ▽ ∧ ! 1 1 3仁 二 ∩ ‾ 言 口 6 二 〇 二 コ 工 ∧ ‾ ○ ニ 二 二 ∇ ニ ‾ ‾ ▽ 1 2

∩ ∧ ノ ノ \ ニ > ソ ノ ∧レ ノ レ ノ ニ ○ 丁 二 ▽ 丁 1

- - ‥ - ‥ ヽ 一 一 - 一 一 -

犬 I 豆 Ⅲ

AAI しwy萌VI,,?訟 L 沁la,宍昌レA2 沁順911911司a- 巨多毎ホi露励㈱⇒

BBI 図帽ト口 叫 晰 回

ト哺聯4μ--睡B2 ト袖鵬卵叫0 ト4噺y,・44訓

C 04帽㈲9,- ト剛胆4t阿叫- 阿愉tR・・・り・・・,ヽ

ECG , ソ | 六 十 一 ☆ ~Figure1.Schematicillustrationofl〕110noc,lr(liographicfindingsinvarioustypes

Groupl:splitintervalofthesecondheartsound(HA-IIP)ismorethan0.04secanditwasjudgedtobefixed(respiratoryvariationislessthan0.01sec).GroupH:HA-HP≧0.04sec.,butnotfixed.Groupm:TIA一HPく0.04sec.TypeA:bothsystolicanddhstohcmurmursarel)resent(A1:systohcmurmur

isilreaterthanm/VI,A2:lessthanH/VI).TypeB:diastolicmurmurisabsent(B1卜戸tohcmurmurisμeaterthanⅢ/Ⅵ,

B2:1essthanH/VI)・TypeC:caseswiththemurnlurofpulmonicinstlfficiency.

Table2.Relationshipbetweenpulmonaryflowratioandphonocardiographicchssification一 一 - 一 一

☆ ブ ヅ

延吉,41盛岡,福森

Table3.Rehtionshipljetweenshuntlatioandi)110nocarcliollraphicclassification

Group

II

_____

レ ニ ニ ヅ ド o ド ⌒ ` ’ 2 0~ 4 0 1 ~ 6 0

iレサlスレノニレ一iレニ,∧711 1 1 ・ |ザ ∧ \ ○-ダ〈ニ〉し‥レ1レー1

ノ ド ‾ コ i j i◇ ゾ ゾ ニ l l¬

レ ス-

卜 ‾I C

1 ! 1 1- - 一 一

l l

1 1 1 21 ! 4

0〃

66

AU 0

BI 1 1 2

B2 5 1 6

-2 1 1 4

3 1 4| 1 0

j ・- 一 一

l o-

SR:shuntratio.I,n,Ⅲ,A,B,C,etc:seeFigurel.SR=Olneansnoshunt(groupof”noASD”)

成 績

1.Table2は肺血流量対体血流量比(以後P/Sflowratio)と波型分類を示したもので,Table

3は短絡率との関係を表示したものである。

Grouplでは50fj仰-|=137例(77が)がASDであった。

TypeAのうちAIは13例すべて(100%)がASDであり,A2は12例中2例がnoASDでASDは

83%であった。B型のうちAIは9例巾6例(67%)がASDで,注目すべきことはこの型には比較的

短絡率の多いものが半数以上存在したことである。B2は12例中7例がnoASDで,ASDは41%であ

った。H群ではA型は1例も存在せず,B1型では2例中1例がASDで,比較的短絡率の多い症例であ

った。B2型ではASDは6例中1例しか存在しなかった。H祥はA型が4例巾2例がASDで,B型

は 3 例 中 1 例 が A S D で あ っ た 。 な お こ の 波 型 分 類 で は 示 さ な か っ た が, 1 例 心 房 収 縮 雑 音 を 呈 し た

smallshuntのASDが存在した。

2.HP/HAratioと血行動態との関係

Figure2に示すように,HP/HAratioと肺fl刺刷又縮期圧との間には一定の関係は存在しなかっ

た。症例は少ないが,肺高血圧症(肺fl功脈収縮指圧50mnlHg以上)でHP/nAratioが高くなるよ

うな結果は得られなかった。

3.収縮期雑音および拡張期雑音の強さと血行動態との関係

i)収縮期雑音と血行動態

-262-

Figure2.R(lhtionshipbetweenthe

loudnessofHPandPA乱stolicpres一

SUre

Theloudnessis(2xpressedasthe

ratioofHPandnA(HP/HAratio)

measuredinthesecondleftinter-

space.Therewasnodefinterelation-

shipbetweenthem.

[`1zニぞ`])乱詣丿一昏゛ly2={

3 4Pulrnollaryflowratio

ご● -

つ● 皿←CS

6.0

263-

1.0

5.0

-

3、0

J』三ペー

Figure3.Rehtionshipofpulmonaryflow

ratio(P/Sratio)withtheloudnessofsysto-

1icmurmur

opendrclemeansthecaseswiththeRV-

PAsystolicpressureFadientlessthan12mm

Hg.Thecaseswiththispressuregradient

greaterthen12mmHg(dot)shoxvedsomerelationshipbetweenP/Sflowratioandthe

loudnessofthemurmur.

心丿剔1陥欠損症の心音図所見と血行動態との関係

0 0

○△△O

○△

九 乱2 “ o ム△ O O O

○○○△

○ ^ % ( ン 即 ゜

1 0 2 0 3 0PAI;ystoliりressljre(mm

(1乱

○○○

ト4こ1一)

、一L=E12}S一ふ1←=一

諮nt

〇 〇

o言胤△=NO皿

OO

40Hg)

○ ○(£

・ - ・ つ

●● { X ⊃ ● ● ● ○

●OOC(X)Cこ)○●

O O O

C O

40riltio㈲

60 80

100

Figure4.R(ご1ationshipofshuntratiowith

thelondnessof町stoHcmurmur

Seelegendoffigure3.

延吉,盛岡,福森

Figure3に示すように,

P/Sflowratioと収縮期雑音

とには,右室一肺動脈IJ[ミ較差が

12mmHg以上の群(黒丸)では

正 の 相 関 関 係 が 存 在 し た が,

12mmHg以下に)群(:白丸)では

一定の関係が存在しなかった。

短絡率と収縮期雑音の強さと

の関係を求めたのがFigure4

であり,右室一肺釧11fU]已較差が

e-EJE

Cぶm

m l

OOnD

(X⊃○ CX⊃ O

O O A △ ○ ○ ○ ○ ○

乙 8 E 戸 ⊃ 乙 ( M O O O △ ○ ○ △ ○

と ) さ O j £ △

RVIPAsptoliりressuregradient(m吻)

oAS乙NO

DASD

32

△(42)

△(40)

12mmHg以上の群(黒丸)ではFigure5.R(2htionsipofRV-PA町stolicl3rc,ssuregradientwith

両 者 に 正 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ

たが,12mmHg以下の群では

theloudnessofsystolicmurmur

Nocarrelationwasfound.

ば ら つ き が 大 き く 一 定 の 関 係 は な か っ た 。

F汝ure5に右室一肺動脈圧較差と収縮期雑音との

関係を求めたが,ばらつきが大きく一定の関係は

存在しなかった。しかU工較差15mmHg以上の

群では収縮期雑音の比較的強いものが多く存在し

た。

ii)拡張期雑音と血行動態と口7:)関係

Figure6に図示すように,拡張期雑音の大き

さと短絡率の間には一定の相関関係は存在しなか

った。

右房平均圧と右室拡張早期圧との差と,拡張期

雑音の強さとの関係を求めたのがF汝ure7であ

る。多少のばらつきは存在するが,この圧差が大

きくなるにっれて,拡張川雑音が強くなる傾向か

見られた。

4.MPA/Routratioと収縮期雑音との関係

Figure8に示すごとく,ばらつきが大きく,

0.6

0.5

0.4

0.3

.E

・gz0.2一二- Zfrrl

0.1

2{j4011hurltratio㈲

Figure6.RelationshipofDM/nAratiowithleft-to-rightshuntratio(%)Theamplitudeoftricuspiddhstolicmurmur

xvasdevidedbyamplitudeofnA(DM/HAratio)inordertoestimatetheroughexpres-sionoftheloudnessofthismurmur.Therewasnocloserelationshipbetweenthem.

~ 2 6 4 -

0 70 60 50 40 N0 1

Iこ=血

1 4 8 1 2 1 6flA(meanMVeDd・diill;toli{3pressurqradjelt (闘Hg)

Figure7.RelationshipofDM/IIA

ratiowithmeanRA-Rvearlydhstolic

pressuregradient

Therelvasroughrelationship.The

largerthellradient,thelouderthe

diastolicmurmur.

つ● ㎜←

Dni

3.0

2.0

1.0

心房中隔欠損症の心音図所見と血行動態との関係

1 2 3 4

111tmity()(1;ystoliclllurm皿13villlfsgrade)

Figure8.RdationshipofMPA/Rvoutratio

withtheloudnessofsystolicmurmur

MPA/Rvoutratiomeansrnainpulmonary

arterydian!etervs.rightwlltricularoutHow

rneasuredbyrightventriculography.

両者間に高い柳期生を有するとは考えられなかった。

考 案

AsDにおけるn音の幅広い固で定性分裂昿この疾患におけるもっとも重要な心音図所見の1っである

ことは,Barbarら18)以来良く知られている7り11)-9)12)18)-21),その呼吸性移動をどの範囲まで許容するかは

諸家によって一定してないようである。Perloff&Ha17vey12)は0.02sec以内の呼吸性移動を固定性と

考えており,一方Castleら16)は0.01sec以内と定義している。どちらの基準をとるかによって固定性

分裂の頻度は大きく変わるが,今回|の発表では,深呼吸による分裂の移動を見てないなどの理由により,

0.01sec以内の呼吸性移動を固定性分裂とした。今|ハに)成績ではASD42例中37例に固定性分裂(88X)

を見ており,I-.atham&Gray1)の40例中35佩Barb21rら18)の62例中52例という報告と一致する。また

病的呼吸性分裂を示したものは2例で,うち一例は肺高血圧症,他の一例は軽度の心不全と合併していた。

他の3イj弔よ0.04sec以内の分裂を示しているが,ECGで不完全右脚ブロック以外異常所見は見あたら

ない。最近Kumar&Lu沁ada8)は,HPの遅れは右室の駆出時間の延長ではなく,肺動脈における血

流のlatereboundが問題であると指摘しているが,固定性分裂を示さないものは,肺動脈における血

流分布,血管の仲展性などに問題かおるのかも知れない。なお今後十分検討を加えなければならない問

題と思われる。

HP/HAratioは正常者では94%が1.0以下であり,とくに20才以上では1.0以上にならないとの報

-265-

延古,盛岡,福森

告13)もある。一方AsDでは,nP尤進の傾向があるため,この比が1.0またはそれ以上となることが

多いが,1.0以下のこともあるとの報告1)3)“)21)もある。今㈲の成績でもこの比が1.0以上のものは50X

に見られたが,肺動脈収縮几肛|]モ7う;50mmHg以上の2例では0.3と1.2で,HPの充進が見られず,他

方noASD24例中,このJニヒが1.0以上なものが36%認められた。nPの充進は肺動脈圧上昇につれ

て大となるとするものもある1)1 ≒しかしHP完進の程度はASDにおげる肺高血圧症の有無判定の指

標にはならないと考えるものもおり5)14),本研究の成績もそれを支持している。

次に波型分類であるが,1排(固定性分裂のあるもの)の巾でのいわゆるdiagnosti(プ(・rl’or’≒つま

りASDではなかった例はTable3から明らかなように,H音の固定性分裂が診断的意義をもつもの

は拡張期雑音を有する場合に限られる(A型)。拡張期雑音のないB群では,ことに収縮期雑音の小さ

いB2群でerrorが生じ易い(12例中7例)。また固定性分裂のなトH群ではASDと判定すること

は多くはl困難である。

ASDの収縮期雑音は,一般に肺血流量の川大によると考えられている1)3)9)-`“)15)2≒またこのさい

P/Sflowratioと収縮川雑音の強さには相関がないとするものもあるI≒しかし。確かに全損例ついて

見ると何ら柑関関係がないよう見にえるが(:Figure8),右室一価肺脈圧較差12mmHg以上の群では,

P/Sflowratioと収縮川郊音の強さに正の相関性かおる。ただしここで問題となるのは軽度の肺動脈

弁狭窄合併の有無である。短絡のない軽症郎動脈弁狭症での右室一肺動脈圧較差は,40mnlHg↓ス下2仏6~26mmHg23),60mmHg以下22),最低10111mHg以上2刎DimondandLin)などいろいろ報告されて

いる。このうち,10mmHg,あるい6~26mmHgの圧較差をもって軽症肺動脈弁狭窄症が存在する

とすれば,AsDの雑音の発生機序には2つの可能性が考えられることになる。すなわち1つはnow

murmur,他の1つはpulmonaryistenoticml。lrmur(二次的infundi1)t1121rtractの肥厚など)で

ある。

本研究における拡張期雑音の出現率はI.,Gtham&Weitzmanl)(21/50例),Dimond&B(jn(jlimo13)

(14/32例)の成績と大体一致する。この雑音は三尖弁を通る血流の川加によって起こるとされている1)15)。

AI`nfred19)は拡張期雑音と短絡率との間に一定の関係はないと報告している。われわれも今回類似の成

績を得た。しかし右房平均圧と右室拡張早計圧との差とは,多少のばらつきはあるが相関性のある成績

を得た。すなわち拡張早期の右室圧下降が急であれば,拡張早期に速い流速力こ成形され,乱流ヽを起こし

易くなり,拡張期雑音も大きくなると予想される。

次に肺動脈弁閉鎖不全雑音との関係であるが,一般に短絡率の多い例I)3)とか,肺高血圧症のある例3)

に見られるとの報告かおる。しかし本研究では3例中2fタ琲ま肺高血圧症は存在せず,smanshuntの例

であった。一方ASDのない1例に先天性肺動脈弁閉鎖不全と考えられる雑音かおり,右室造影で右室

流出路の収縮期対拡張期比が14:42であった例,すなわち収縮川と拡張期比の非常に大きアtn例に存在

- 2 6 6 -

心|)j中陥欠損症の心音|刈所見とjfIL行動態との関係

した1例があった。従ってこの研回察におけるPIの出現にも同様の既序によるものが含れているかもし

れない。

総 括

心音図上,心房巾隔欠損症(ASD)を疑って心カテを施行したC56例につき,心音図所見と血行動態

諸錨:とるニ検討した。この66例中,個例4;llぞ功丿巾|㈲欠批症(ASD),124例はnoASDと診断された例

である。

1,H音の国友iムシ|生分裂(呼吸による分裂LMij隔の変勁か0.0Dec以内)を示す中で,収縮期雑音がLe-

vine3度以上,かつ低訃|生拡張JUU雑音(以fセモ糾広張期雑音という)を伴ったものは,全例ASDであった。

この場合収縮期雑音が2度以ドであればASDのない場合かおり,又一方収縮期雑音がLevine3度以

上 で 乱 拡 張 期 雑 音 の な ト も の は , 半 数 近 く A S D が な か っ た 。 ㈲ じ く 拡 張 期 雑 音 を 欠 如 し , そ の 上 収

縮期雑音カ12度以下のものは,大多数がASDではなかった。

2.収縮川雑音の強さと縦組率および肺f心ぽljL流比:右室一肺動脈圧較差カ;12mmHg1よLス)群では,

雑音と短絡率,肺休血流量比(7:)11j1証こ正川関があったが,121nmHg以ドの群では一定の関係がなかった。

3.HP/FIA比はJ即効脈用と一定の阻係を示さなかった。

4.拡張期雑音は短絡率と一定の関係になかったが,右房ヽト均川ミと右室拡張早期圧との差と少しのば

らつきはあるが一応帽耶生かあった。

5.肺動脈弁閉jミt11不全雑音を呈する4例中,肺高血圧症を呈するものは1例のみであった。ASDが

存在せず,また肺jヌズ顔UI:モカlflミ常であるのに肺動脈弁閉鎖不全雑音を呈した1例があ‰本例は右室流出,

路の収縮丿剔対拡張期の維が13:42であり,大きく変動する症例であった。

柚を終えるにあたり,木論文作成に種々のご助言およびご指導を蔵きましyiニ岐阜大学第二内科教授早瀬正二先生,

および回内科助教早J11千里先生にljfj謝します。

Summary

!E;ixty-sixcasesdiagnoseda!;havingatl‘ialseptaldefect(ASD)basedontheauscultatory

andphonocardiographicfindingswerestudiedhemodynamicallyandthecorrelativestudy

wasperformdinviewofthephonocardiographicandhemodynanlicparameters.

Hemodynamic5;tudiesfinallyconfirmedthepresenceofASDin42cases,andanother

24caseshadnooxygenstep-upintherightatriumandthecatheterdidnotpassthrough

theseptun^1(noASD).

Thegroupwhichshowedthephonocardiographictrias(fixedsF)littingofHS,pulmonary

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延古,盛岡,扁森

systolicmurmurS11’eaterthangradeⅢ/Vlandtl’icuspidrumble)hadASDinallcases.lf

thesystolicn!urnlurxvaslessthangradeH/VI,sonlecaseshadnoASD.lntheabsenceof

tricuspidrumble,themajorityofthecaseswiths5ystolicn!urnlurofFadem/Vlorless

hadnoASD.

lnagroupofASD,therexvassornerelationshipb(2tweenthegradeofs;ystolicnlurmur

andtheshuntratioorP/Sratio,whenevertherightventricular-pulnlonaryarterysystolic

pressuregradientwasmorethan12mnlHg・

Therewasnodefiniterelationshipbetweenthepulmonaryarterypressureandtheaccen-

tuationofthepulmoniccomponentofHS(HP/HAratio).

TherexvassornerelationshipbetweenthepresenceoftricuspidrumbleandthemeanRA

I)res;sur(?-earlydiastolicRVI)1’(2ssuregradient.

Thenlurmurofpulmonic柚sufficiencywasobs;ervedin4,inwhichonlylcasehad

pulmonaryhyl)ertensionandlcasewithoutASDhadnlarkedvariationofRvoutflow

diameterduringcardiaccycle(syst()le/diastole=13/42).

文 献

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-69乙-

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延吉,盛岡,柚森

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