図書館総合展ネクスト主催フォーラム「アカデミックとリアルの谷を埋める道」基調講演...

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Copyright (c) 2011 NEXT Co.,Ltd. All Rights Reserved. ネクスト・リッテル研究所の これまで・これから 2011111113回図書館総合展 株式会社ネクスト リッテル研究所 所長 (兼 東京大学情報基盤センター 特任講師) 清田 陽司

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ネクスト・リッテル研究所の これまで・これから

2011年11月11日 第13回図書館総合展

株式会社ネクスト リッテル研究所 所長 (兼 東京大学情報基盤センター 特任講師)

清田 陽司

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自己紹介

• 研究分野 • 自然言語処理技術の情報検索への応用 • 大規模分散処理技術の活用(Hadoop) • Webと図書館情報資源の融合

• 経歴 • 京都大学工学部電気系(長尾研)→大学院情報学研究科→東京大学情報基盤センター学術情報研究部門 助手・助教

• 2007年に(株)リッテルの設立に参画 • 2011年より現職

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Agenda

• ネクスト・リッテル研究所のミッション

• マイニング探検会(マイタン)の活動

• アカデミックとリアルの谷を埋めるには?

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株式会社ネクスト 事業概要

• 国内最大級の不動産・住宅情報ポータル HOME’S の運営

• 300万件以上の物件情報を網羅 • 一般ユーザ自身が簡単に検索できる

• 生活全般にわたる情報提供サービスの展開 • 地域/金融/医療/教育/…

• 「情報の非対称性解消」が大きなテーマ

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リッテル研究所 設立の経緯

• 東京大学との産学連携企業 (株)リッテルを母体として 2011年4月に発足

• ネクストグループの研究開発拠点

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株式会社リッテル

情報リテラシーの向上を軸とした事業展開 • 図書館向け情報検索サービス

• リッテルナビゲーター • 国立国会図書館「リサーチ・ナビ」

• 自然言語処理技術の応用 • マーケティング支援

• Hadoop活用ノウハウの展開 • Hadoop構築支援・コンサルティング • セミナー開催

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リッテルナビゲーター

Wikipediaと図書館情報の統合による情報ナビゲーションシステム

• 2007年よりサービス提供開始

• 国内の約10大学図書館で利用中

• 国立国会図書館「リサーチ・ナビ」のエンジンとして利用

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国立国会図書館「リサーチ・ナビ」

「調べ方のヒント」を探すシステム

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Hadoop構築支援・セミナー

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リッテル研究所 研究活動のミッション

解決すべき課題 氾濫する情報の洪水の中から心からの 「安心」と「喜び」を見いだすには?

情報サービスを受ける人々すべてが潜在的に持っている情報活用能力を引き出すために必要とされる要素技術を生み出し続ける

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リッテル研究所のビジョン

• 付加価値の高い情報サービス(WebサーチエンジンやSNS)が人々に大きな影響

• 膨大な情報を生活の向上にどう生かすかは個人の能力に大きく依存

ユーザとシステムのインタラクションの中で

• ユーザが何を感じているかを読み取る

• 情報を探し、新たな価値を見つけているプロセスを楽しむ体験を生み出す

仕組みを提供する

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なぜ大学教員からビジネスの世界へ?

• 情報検索の本質に迫るには実運用が不可欠 • 実運用評価は論文の「生産性」があまり良くない? • 評価基準が明確なテーマならばもっと論文が書ける?

• そもそも研究者の道を選んだ理由は「みんなにとって役に立つシステムを作りたかった」から

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2006年頃に考えていたこと

• リッテルナビゲータのアイディアなら「みんなの役に立つシステムを作りたい」という自分のミッションと合致

• 根拠はないけど自信はある • でも、自分ひとりの力ではとても無理 • 大学の中の世界ではスピードが不足

• 外部の力を借りることはできないか?

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起業に参画したきっかけ

学部時代のバイト先の社長と再会

• 私「こういうシステムを実現したいと考えています」

• 社長「だったら出資するからぜひ一緒にやってみない?」

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マイニング探検会 ~図書館の未来を探る勉強会~

• 知識情報産業に携わる方々を対象とした勉強会(通称マイタン)

• 清田&岡本さん@ARG社を発起人として2010年4月より毎月開催

• 図書館業界、出版業界の枠を超えて新たなアイディアを語る場

• 主な活動 • 要素技術の講習 • 実践的な情報サービス

の開発

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マイニング探検会で扱った主なトピックス

• 情報検索とは? • 自然言語処理とは? • 情報レコメンデーションとは? • Wikipediaの活用 • ブログやTwitterのデータ活用 • 大規模データ処理技術(Hadoop) • プライバシー保護とデータマイニングの両立

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マイニング探検会のメンバーによる主な活動

• さまざまなAPIを活用したサービス開発 • CiNii、レファ協、Twitter、…

• 既存ツールを組み合わせたサービス開発 • 連想検索(GETAssoc) • 専門用語抽出ツール「言選Web」

• OPACログデータの活用 • メタデータ連携Wiki

• NDL、JST、NIIなどで別々に管理されているメタデータを「ゆるく」つなぐ

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言選Web

• 文章中から専門用語を自動的に切り出すツール

• シンプルな実装 • 前田さん@東大柏図書館を中心に開発

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マイニング探検会で意識していること

• メンバーひとりひとりが「情報サービスのプロデューサー」として活躍されることを目指す • プログラミング技術はなくてもよい • ひとりひとりがリーダー

• 「所属組織」よりも「個人」としての立場を重視 • 発言の責任はあくまで個人に帰属 • 成果物も個人に帰属

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マイニング探検会 開発合宿@真鶴(2011年7月)

マイタンメンバーおよびネクストのエンジニアによる「共生プログラミング」の実践

俺CiNiiチーム

ブクリスチーム ブクリスチーム

シービブリオチーム

Ref.Masterチーム

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アカデミックとリアルの谷を埋めるには?

• 「枠」を超えて行動してみる

• 「組織」と「個人」の両面を意識する

• 「ルール」と「ガイドライン」の違い

• 「リスク」に対する考え方

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情報検索システムのモデル(アカデミックの世界)

情報検索システム ヒットした テキストの

集合

検索質問 入力 出力

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現実のWeb検索エンジンの使われ方

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情報検索システムのモデル(リアルの世界)

情報検索システム ヒットした テキストの 集合+α

検索質問 入力 出力

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「組織」と「個人」の違い

• 強み • 組織: クレジットの蓄積 • 個人: スピード

• 全ての人が両面を持っているにもかかわらず、「個人」は忘れられがち

• 組織を構成する個人はそれぞれ異なる目的を持っていて当たり前 • お互いの目的へのリスペクト

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「ルール」と「ガイドライン」の違い

• ルール • 「~べきである」 • 秩序維持に欠かせない • 往々にして守ることが自己目的化しがち

• ガイドライン • 「~のが望ましい」 • 大まかな指針を与える • 制定の目的にそぐわなければ改めることも厭わない

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Wikipediaモデルから学べること

• ガイドラインの精神の尊重 • 「百科事典を作る」という目的を最重要視

• システムを現実世界で機能させる仕組み • 情報検索が現実の人間の営みである以上、ad hocな仕組みがビルトインされている必要がある

• 一方で、秩序維持の努力も要求される • 試行錯誤は避けられない

• ビジネスモデルとして成立するか?

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リスクに対する考え方

• Zuckerbergのことば (Facebookの創業者) 「最大のリスクは一切リスクを取らないこと。急速に変化する世界では、リスクを一切とらないのが失敗を保証する唯一の戦略である」

• やみくもにリスクを取ればいいというわけでもない

• 必要なのは、リスクを主体的にコントロールすること

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おわりに

• 図書館の「未来」は私たちひとりひとりの「いまこの瞬間」の行動にかかっている

• ひとりでも多くの方が枠を超えて活動されることを期待します