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地形データについては、国土地理院の航空レーザー測量(以下、LP) データ等を用いて10mメッシュの標高データを作成した。河川については、 10mメッシュで表現できる流域の河床標高データを作成した。さらに、海 岸および河川の堤防高も資料を収集し、データとして入力した。 なお、本検討における潮位(水位)は、標高表示(基準はT.P.(東京湾平均 海面))とする。本検討の中で示された標高値をN.P値(名古屋港基準面)と するには、標高値に+1.41m足すこと。 津波シミュレーション結果 表-1. 地形データ作成に用いた収集データ 1.津波シミュレーションの流れと検討項目 2.計算条件 (1) 計算メッシュサイズ:10m(沿岸域)~2430m(波源域)(下図参照) (2) 堤防条件:堤防あり(堤防が機能する場合) 堤防なし(堤防が機能しない場合) (3) 潮位:満潮位:T.P.+1.22m 3.作成した地形・海岸構造物データ 図-2. 飛島村周辺の標高分布 図-3. 海岸構造物 1 資料-2 海図 飛島周辺海域 日本水路境界 遠州灘等深線 デジタイズ済み 日本水路境界 海岸堤防 既往報告書(※) 愛知県 河川堤防 2級河川 計8河川 愛知県 収集データ 5mメッシュ標高点(DEM) 航空レーザー測量 5mメッシュ標高点(DEM) 写真測量 10mメッシュ標高点(DEM) 縮尺2500・基盤地図 基盤地図情報 国土地理院 国土地理院 国土地理院 国土地理院 -10.0 -7.5 -5.0 -2.5 0.0 2.5 5.0 7.5 10.0 i T.P.値とN.P.値の比較 ※海岸保全地作工事の内海岸保全施設老朽化調査業務委託 報告書 図-1. 計算メッシュサイズ T.P.=N.P.値-1.41 T.P.±0.00(N.P.+1.41m) T.P.+1.22(N.P.+2.63m) 本検討基準値 (平均満潮位) (平均潮位) (名古屋港最高潮位) T.P.+3.90(N.P.+5.31m) 5mメッシュ標高 データ (航空レーザー測量) 5mメッシュ標高データ (航空写真測量) 10mメッシュ標高データ 海底地形データ 海岸堤防データ 河川データ (河床・堤防) 海岸構造物 データ作成 非線形長波方程式( 浅水理 論式)による差分計算 「内閣府ほか (2004) 津波・高潮ハザードマッ プマニュアル」による 中央防災会議(2002)「東南海、 南海地震等に関する専門調査 会」で設定された東海・東南 海・南海地震(Mw8.8) ①の波源モデルをMw9.0 とし たモデル 最大浸水深分布 (浸水域 浸水深 津波高さ (海岸域) 津波到達時間 時刻歴波形 計算結果の 整理および図化 津波シミュレーション 波源モデルの設定

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Page 1: -2 津波シミュレーション結果 - Tobishima津波シミュレーション結果 6.時刻歴波形 (1) 津波高さは、湾深部の日光川河口域において最も高くなる傾向にある。(2)

地形データについては、国土地理院の航空レーザー測量(以下、LP)データ等を用いて10mメッシュの標高データを作成した。河川については、10mメッシュで表現できる流域の河床標高データを作成した。さらに、海岸および河川の堤防高も資料を収集し、データとして入力した。

なお、本検討における潮位(水位)は、標高表示(基準はT.P.(東京湾平均海面))とする。本検討の中で示された標高値をN.P値(名古屋港基準面)とするには、標高値に+1.41m足すこと。

津波シミュレーション結果

表-1. 地形データ作成に用いた収集データ

1.津波シミュレーションの流れと検討項目

2.計算条件

(1) 計算メッシュサイズ:10m(沿岸域)~2430m(波源域)(下図参照)

(2) 堤防条件:堤防あり(堤防が機能する場合)

堤防なし(堤防が機能しない場合)

(3) 潮位:満潮位:T.P.+1.22m

3.作成した地形・海岸構造物データ

図-2. 飛島村周辺の標高分布 図-3. 海岸構造物

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資料-2

海図 飛島周辺海域 日本水路境界遠州灘等深線 デジタイズ済み 日本水路境界海岸堤防 既往報告書(※) 愛知県河川堤防 2級河川 計8河川 愛知県

収集データ5mメッシュ標高点(DEM)航空レーザー測量

5mメッシュ標高点(DEM)写真測量

10mメッシュ標高点(DEM)

縮尺2500・基盤地図

基盤地図情報

国土地理院

国土地理院

国土地理院

国土地理院

-10.0-7.5 -5.0 -2.5 0.0 2.5 5.0 7.5 10.0

i

T.P.値とN.P.値の比較

※海岸保全地作工事の内海岸保全施設老朽化調査業務委託 報告書

図-1. 計算メッシュサイズ

※ T.P.値=N.P.値-1.41

T.P.±0.00m (N.P.+1.41m)

T.P.+1.22m (N.P.+2.63m)

本検討基準値

(平均満潮位)

(平均潮位)

(名古屋港最高潮位)T.P.+3.90m (N.P.+5.31m)

5mメッシュ標高データ(航空レーザー測量)

5mメッシュ標高データ(航空写真測量)

10mメッシュ標高データ

海底地形データ

海岸堤防データ

河川データ(河床・堤防)

海岸構造物データ作成

非線形長波方程式(浅水理論式)による差分計算

「 内 閣 府 ほ か (2004) :津波・高潮ハザードマップマニュアル」による

① 中央防災会議(2002)「東南海、南海地震等に関する専門調査会」で設定された東海・東南海・南海地震(Mw8.8)

② ①の波源モデルをMw9.0としたモデル

最大浸水深分布(浸水域、浸水深)

津波高さ(海岸域)

津波到達時間

時刻歴波形

計算結果の整理および図化

津波シミュレーション

波源モデルの設定

Page 2: -2 津波シミュレーション結果 - Tobishima津波シミュレーション結果 6.時刻歴波形 (1) 津波高さは、湾深部の日光川河口域において最も高くなる傾向にある。(2)

4.想定地震(1)中央防災会議による東海・東南海・南海地震モデル(Mw8.8)(2)中央防災会議による東海・東南海・南海地震モデルをMw9.0になるようすべり量を変更したモデル

津波シミュレーション結果

図-4. 中央防災会議による東海・東南海・南海地震モデル(Mw8.8)の断層すべり量分布(上図)および上下方向の地殻変動量分布(下図)

図-5. 中央防災会議による東海・東南海・南海地震モデルをMw9.0になるようにすべり量を変更したモデルの断層すべり量分布(上図)および上下方向の地殻変動量分布(下図)

資料-2

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Page 3: -2 津波シミュレーション結果 - Tobishima津波シミュレーション結果 6.時刻歴波形 (1) 津波高さは、湾深部の日光川河口域において最も高くなる傾向にある。(2)

津波シミュレーション結果

図-6. 海岸津波高さ分布_Mw8.8

図-7. 海岸津波高さ分布_Mw9.0 図-9. 津波到達時間_Mw9.0

図-8. 津波到達時間_Mw8.8

5.海岸津波高さと津波の到達時間(1) 飛島村における津波高さはMw8.8で2.0m~2.9m程度、Mw9.0で2.9m~4.0m程度である。(2) 飛島村における20㎝の津波到達時間は、Mw8.8で100分~120分程度、Mw9.0で90分~120分程度である。

※20㎝の津波高さとは、地震前の満潮水位(1.22m)を20cm上回る津波である。

資料-2

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Page 4: -2 津波シミュレーション結果 - Tobishima津波シミュレーション結果 6.時刻歴波形 (1) 津波高さは、湾深部の日光川河口域において最も高くなる傾向にある。(2)

津波シミュレーション結果6.時刻歴波形

(1) 津波高さは、湾深部の日光川河口域において最も高くなる傾向にある。(2) Mw8.8、Mw9.0どちらのケースにおいても、第2波が最も大きくなる(最高水位は4時間前後と予想される)。

図-10. 時刻歴波形_Mw8.8 図-11. 時刻歴波形_Mw9.0

資料-2

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津波シミュレーション結果7.浸水深分布

(1) 堤防が健全である場合、津波による浸水はごく一部に留まると予想される。(2) 堤防が機能しない場合、浸水域は村内全域に及び、浸水深は2.0m~3.0m以上に達する。

図-12. 満潮位(1.22m)における浸水深_Mw8.8

図-13. 満潮位(1.22m)における浸水深_Mw9.0

満潮位(1.22m)_堤防あり_Mw8.8 満潮位(1.22m)_堤防なし_Mw8.8

満潮位(1.22m)_堤防あり_Mw9.0 満潮位(1.22m)_堤防なし_Mw9.0図-14. 村役場周辺の浸水深_Mw8.8

図-15. 村役場周辺の浸水深_Mw9.0

資料-2

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津波シミュレーション結果

8.まとめ1. 海岸津波高さと津波の到達時間

(1) 飛島村における津波高さはMw8.8で2.0m~2.9m程度、Mw9.0で2.9m~4.0m程度である。(2) 飛島村における20㎝の津波到達時間は、Mw8.8で100分~120分程度、Mw9.0で90分~120分程度である。

※20㎝の津波高さとは、地震前の満潮水位(1.22m)を20cm上回る津波である。

2. 時刻歴波形(1) 津波高さは、湾深部の日光川河口域において最も高くなる傾向にある。(2) Mw8.8、Mw9.0どちらのケースにおいても、第2波が最も大きくなる(地震発生後4時間前後)。

3. 浸水深分布(1) 堤防が健全である場合、津波による浸水はごく一部に留まると予想される。(2) 堤防が機能しない場合、浸水域は村内全域に及び、浸水深は2.0m~3.0m以上に達する。

資料-2

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