シャボン玉 の液の濃度による影響 10 15 20 25 30 35 40 45 50 12 24 36 48 60...

20
シャボン~液の液の濃度による 濃度はシャボン玉の 影響するのか?~ 日高高等学校附属中学 3年 酒井光希 高木充智 古川晃嗣 前田剛志 影響 学校 東ひかり 長谷祐希乃 林那莉沙

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シャボン玉

~液の

膜に

玉の液の濃度による

の濃度はシャボン玉の に影響するのか?~

日高高等学校附属中学校

3年 酒井光希

高木充智

古川晃嗣

前田剛志

による影響

日高高等学校附属中学校

東ひかり

長谷祐希乃

林那莉沙

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1

目次

目次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1.概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2.実験1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

3.実験2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

4.実験3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

5.実験4・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

6.結論・感想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

7.謝辞・あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

8.参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

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2

1.概要

幼いころによく飛ばした不思議な泡。時には大きいものをつくろうと工夫したり、時にはたくさん

つくろうとしたり、時には液を飲んでしまったり。シャボン玉は幼い子供にとっては不思議なおもち

ゃである。そんなシャボン玉を思い出し、私たちは今回の実験を行った。

シャボン玉の実験は、日高高等学校附属中学校として今回で三年目になる。一年目には、膜

の厚さを調べるための方法を確立した。二年目には、一年目に確立した方法を使い、液の濃度を

変化させたとき、シャボン玉の膜の厚さがどう変化するかを実験した。三年目となる今年は、昨年

度のデータの正確さを、さらに細かく調べ、検証し、シャボン玉の液の濃度による膜の耐久性や、

大きさ、シャボン玉ができる濃度の許容範囲を調べた。

私たちは、今まで先輩たちが残してきたデータを基にして、シャボン玉の液の濃度による影響

を実験して考えた。

2.実験1(溶液の濃度とシャボン玉の膜の厚さ)

① 実験の目的

昨年も液の濃度と膜の厚さの関係を調べる実験を行い、40%で最大の厚さとなることがわ

かった。しかし、30%~50%の辺りが明瞭でなかったため、今年は、6%間隔(去年の5%間隔)

で実験を行った。また、昨年は、10%~50%のみを行ったので、今年は、80%まで行う事で、

広い範囲でどのような変化が見られるかを調べた。

私たちは液の濃度が高くなるほど、膜の厚さが大きくなるのではないかと仮説をたてた。

②溶液づくり

P&G ジョイ(界面活性剤 割合35%)

※昨年の使用した溶液(ジョイ)の界面活性剤の割合は 42%だったが、今年は界面活性剤の割

合が 35%のジョイを使用したため、昨年と同じ界面活性剤の割合にして実験した。(実験1~実験

3まで同様とする。)

今年と去年の液の濃度の換算表

今年の濃度(%) 12 24 36 42 48 54 60 66 72 84 96

去年の濃度(%) 10 20 30 35 40 45 50 55 60 70 80

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3

③実験の準備物

(図1) プラスチック容器

(図2) シリコンチューブに市販の

シャボン玉用ストローを付けたもの (図3) 120㎝³の注射器

(図4) 図2と図3を合わせたもの

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4

④実験の方法

1.(図1)だけの重さをはかる。

2.上の表を基に作った溶液の密度をはかり、その溶液と(図4)を使ってシャボン玉を飛ばす。

液だれを防ぐために、シャボン玉用ストローの口を上に向け下から注射器で空気を送り込む。

(下記、写真参照)

このとき、条件を同じにするために、注射器の目盛りを 100cm³のところに合わせる。

3.250 回分のシャボン玉を(図1)に集める。昨年の実験で、500 回集めたときと、250 回集め

たときの値があまり変わらなかったため、今年も 250 回分を計測することにした。(下記、写

真参照)

4.シャボン玉を集めた(図1)の重さを量り、1との差によりシャボン玉 250 個分の重さを求め、

さらに、しゃぼん玉1個分の重さを求める。

5.シャボン玉の膜の厚さを求める。

a=シャボン玉1個分の質量、b=シャボン玉液の密度、π=3.1416

Y=シャボン玉の中の空気の体積(注射器の中の体積 100cm³)

X=シャボン玉の膜の厚さ

→ r=3Y

4π (シャボン玉の半径を求める式)

→ r=2.8794cm

(シャボン玉の質量を求める式) a=4πr²×X×b

(シャボン玉の膜の厚さを求める式) X= a ÷ b ÷ 4πr²

写真(実験の様子)

Y=4πr3

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0.00000000000

0.00000200000

0.00000400000

0.00000600000

0.00000800000

0.00001000000

0.00001200000

36% 42%

⑤実験1結果(表)

結果はすべて、シャボン玉の

有効数字5桁とした。実験1~

い。

溶液の濃度と膜の厚さの関係

濃度 全体の重さ

36% 0.1800

42% 0.2510

48% 0.2680

54% 0.1960

60% 0.1900

66% 0.1800

72% 0.2040

78% -

84% 0.1990

90% -

96% 0.1940

溶液の濃度と膜の厚さの関係

5

42% 48% 54% 60% 66% 72% 78% 84% 90% 96%

膜の厚さ(今年) X(㎝)

の膜の厚さなので有効数字5桁ぐらいが妥当だと考

~4まで同様とする。ただし、膜の厚さはこの通りではな

関係

一個の重さ 密度 膜の厚

0.0007 0.9254 0.000007509

0.0010 0.9492 0.000010152

0.0010 0.9549 0.000010775

0.0008 0.9624 0.00000781

0.0008 0.9431 0.00000773

0.0007 0.9536 0.00000724

0.0008 0.9781 0.000008007

- - -

0.0008 0.9798 0.000007798

- - -

0.0008 0.9814 0.000007589

関係(今年の実験)

膜の厚さ X(㎝)

考えて

りではな

厚さ 日付

0.000007509 7/25

0.000010152 7/30

0.000010775 7/30

0.000007819 7/31

0.000007735 7/31

0.000007247 8/2

0.000008007 8/2

-

0.000007798 8/2

-

0.000007589 8/3

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⑥実験1考察

(参考)

溶液の濃度と膜の厚さの

去年と今年のデータを比べると

ボン玉の膜が厚くなった。この

今年のデータから、36%(昨年

なり、48%(昨年の 40%)~54

が分かった。また、42%(昨年

になっていることが分かる。このことから

果だったが、42%(昨年の 35%)~

可能性があると結論づけられる

昨年の、「一定の濃度を超えると

また、濃度が高くなるほど、シャボン

違っていたことがわかった。

0

0.00001

0.00002

0.00003

0.00004

0.00005

0.00006

0.00007

10%

膜の

6

さの関係(去年の実験)

べると、昨年の40%と今年の48%(昨年の 40%にあたる

この結果は、昨年のデータが信頼できることを裏付けている

昨年の 30%)~42%(昨年の 35%)のところで急激に

54%(昨年の 45%)のところで急激に膜の厚さが小

昨年の 35%)~48%(昨年の 40%)のところで膜の厚さの

このことから、昨年は 40%の時に膜の厚さが最も大

%)~48%(昨年の 40%)の間に、膜の厚さが最も

づけられる。

えると、厚さの値が小さくなってしまう」という推測を

シャボン玉の膜の厚さは小さくなっていったので、私

20% 30% 40% 50%

の厚さ(昨年) X(㎝)

膜の厚さ

にあたる)が一番シャ

けている。そして、

に膜の厚さが大きく

小さくなっていること

さの変化が緩やか

大きくなるという結

も大きくなるという

裏付けできた。

私たちの仮説は間

さ X(㎝)

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7

3.実験2(溶液の濃度とシャボン玉の割れにくさ)

①実験の目的

シャボン玉はすぐに割れてしまう。物に当たればすぐに割れ、消えてしまう。そのす

ぐに割れてしまうシャボン玉を少しでも割れにくくするために、溶液の濃度が膜の厚さ

とシャボン玉の大きさや割れるまでの時間に影響するのかを調べた。

私たちは膜が厚くなるにつれて割れるまでの時間が短くなると仮説を立てた。

②実験の溶液づくり

実験1の溶液の作り方と同じにした。

③実験の準備物

(図5)シャボン玉の膜を作る枠 (図6)シャボン液の容器

(図7)スタンドにシャボン玉の枠を取り付けたもの

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8

05

101520253035404550

12 24 36 48 60

膜の平均耐久時間(秒)

溶液の濃度(%)

時間(秒)

ジョイの濃度と膜が割れるまでの平均時間

④実験の方法

1.スタンドにシャボン玉の枠を取り付け、10°傾ける。

※10°傾けたのは、水平にしてしまうと膜が不安定な厚さになってしまい、正しい記録

が測定できないと考えたからである。ある程度傾けることによって、余分なシャボン液

が落ちる。

2.シャボン液(実験①と同じつくり方のもの)を入れた容器を枠に押し当てて、平面の膜を作る。

3.ストップウォッチをスタートさせると同時に容器を枠から離し、割れるまでの時間を計測する。

4.割れるまでの時間を記録し、2と3を合計 250 回繰り返す。これを、濃度別に行う。

5.溶液の濃度別に、250 回の記録の平均値・最頻値を出す。

⑤実験2結果

溶液の濃度と膜が割れるまでの平均時間との関係

溶液の濃度(%) 12 24 36 48 60

膜が割れるまでの平均時間(秒) 44.610 37.958 38.160 21.567 28.051

気温(℃) 32.5 31.7 31.2 32.0 31.3

湿度(%) 63 63 69 60 66

日付 8/23 8/24 8/2 8/3 8/16

溶液の濃度と膜が割れるまでの平均時間との関係

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0

20

40

60

80

100

120

X<5

5≦

X<10

10≦

X<15

15≦

X<20

20≦

X<25

25≦

X<30

30≦

X<35

35≦

X<40

40≦

X<45

割れるまでの平均時間

溶液の濃度別に割れるまでの

⑥実験2考察

今回の実験によって得られた

まず、「溶液の濃度と膜が割

とが分かる。

さらに、「溶液の濃度別に割

濃度が高いほど、最頻値が含

濃度が高いほど割れやすくなる

ているように思えるが、よく見ると

値や小さな値が混じり、ばらついている

が一番大きく、ばらつきも少ない

れる。また、12%~36%を見ても

したがって、これらのことから 48

48%だけは濃度の割にばらつきが

9

40≦

X<45

45≦

X<50

50≦

X<55

55≦

X<60

60≦

X<65

65≦

X<70

70≦

X<75

75≦

X<80

80≦

X<85

85≦

X<90

90≦

X<95

95≦

X<100

100≦

X<105

105≦

X<110

110≦

X<115

115≦

X<120

120≦

X<125

125≦

X<130

平均時間の最頻値の度数分布多角形

れるまでの平均時間の最頻値の度数分布多角形

られた結果のグラフと数値からは、次のようなことが分

割れるまでの平均時間」のグラフから、48%の時に

割れるまでの平均時間の最頻値の度数分布多角形

含まれている階級の階級値が小さくなることが読み取

れやすくなる。一見、48%~60%の部分の膜が割れるまでの

ると60%の値は他の濃度と違い、広範囲に分布しているので

ばらついている。それに比べ、48%の値は他の濃度よりも

ない。このことが膜が割れるまでの平均時間に影響

ても濃度が上がるにつれてばらつきが多くなっていることが

48%を除くと濃度が上がるごとにばらつきが多くなること

にばらつきが少なく、安定していることが分かる。

125≦

X<130

130≦

X<135

135≦

X

12%

24%

36%

48%

60%

度数分布多角形

分かる。

に急激に短くなるこ

度数分布多角形」のグラフから、

取れる。つまり、

れるまでの平均時間と違っ

しているので大きな

よりも最頻値の度数

影響したのだと考えら

くなっていることが分かる。

くなること、そして

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4.実験3(シャボン玉の濃度とシャボン玉の大きさ)

①実験の目的

シャボン玉の液の濃度によって、シャボン玉の大きさに変化があるかどうかを調べた。

私たちは、液の濃度が高くなるにつれて、シャボン玉が小さくなるのではないかと仮説を立てた。

②溶液づくり

実験1の溶液の作り方と同じにした。

③準備物

(図8)定規

(図9)定規をスタンドに設置した様子

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(図10)ビニール袋にろうとを取り付け

たもの

(図11)(図2)と(図9)と(図10)を合

わせたもの

赤丸・・・ろうと

④実験の方法

1. 一定の速度でシャボン玉に空気を送り込むために扇風機を使った。扇風機のスイッチを入れ、

溶液を(図2)の先端につける。

2.(図2)の先端に目線を合わせ、シャボン玉が割れたときに(図8)の値を読み取り、シャボン玉

の直径を求める。

3.1と2の動作を 100 回行う。100 回行ったとき値があまり変わらなかったため、この方法を採用し

た。また、図2の先端を下にしたため液だれができた。しかし、シャボン玉が出来てから下にた

まった液だれをティッシュの端で吸い取ったときと、液だれが出来たままで測った値はあまり変

わらなかった。よって、液だれは考えずに実験した。

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⑤実験3結果

溶液の濃度とシャボン玉の大きさの関係

グラフからは読み取れないが、96%のときだけシャボン玉の大きさの最大値と最小値の差が大き

かった。

⑥実験3考察

12%~84%にかけてシャボン玉が小さくなっていったことから、この実験の中で、もっとも濃度

が低い 12%の時、シャボン玉は最も大きくなることが分かった。シャボン玉の中の溶液と水が、

12%のとき、シャボン玉の大きさが一番大きな値を示す最適な濃度であると考えた。また、シャボ

ン玉の膜は、重力によって膜の厚さが部分によって変化し、圧力に耐えられなくなると割れるので、

もっとも密度が小さい 12%でシャボン玉が大きくなったとも考えられる。

また、84%~96%のときにシャボン玉の大きさが大きくなったのは、シャボン玉が膨らんでいる

途中に市販のシャボン玉ストローに余分についていたシャボン玉液が、大きくなるために程よく補

給されていったのだと考えられる。そのため、シャボン玉の大きさの数値が乱れた。

しかし、上記のような余分についていたシャボン玉液で補給されていったのは、96%の時以外

は 84%の時に若干見られただけだった。また、最大値と最小値の差は、12%~84%まで安定し

ているので、この実験の結果に、問題はないといえる。

仮説は合っていたと考える。

0

2

4

6

8

10

12

14

12% 24% 36% 48% 60% 72% 84% 96%

シャボン玉の大きさの平均値(㎝)

平均値(㎝)

(cm)

溶液の濃度

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5.実験 4(シャボン玉ができる液の濃度の許容範囲)

①実験の目的

昨年行った実験の考察で、2.2%~3.0%のあいだにシャボン玉ができるかできないかの境界線

があると結論づけられていた。しかしそれでは値が明瞭でないため、私達はその境界線を明瞭に

するためにこの実験を行った。

②溶液づくり

今回の実験では実験 1~3 のように昨年と同じ界面活性剤の割合(42%)に計算せず、35%の

ジョイのままで行った。

③準備物

実験 1 と同じものを使った。

④実験の方法

(方法1)

溶液を(図 4)の装置の先端につけ、100cm³の空気を送りこみ、シャボン玉が出来るかどう

かをみる。10回同じことを行って、1回でもシャボン玉がつくることができればシャボン

玉が出来たこととみなす。

(方法2)

市販のシャボン玉ストローを使い、口で吹いてシャボン玉を作る。体感的にゆっくり息

を吹き込む場合と早く息を吹き込む場合の2種類をつくる。10回同じことを行って、1回

でもシャボン玉がつくることができればシャボン玉が出来たこととみなす。

※方法1と方法2の両方の場合でシャボン玉が出来ないところを、シャボン玉ができるかできない

かの境界線とする。

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⑤実験4結果

3.0%~2.2%までは、1 と 2 のどちらの方法でも一回でつくることが出来た。

0.4%から、変化が見られたので、0.4%から表記することにした。

0.4% 1・・・(上を向けて)シャボン玉はできるが、空気中に飛ばせなくなった。

2・・・大がつくれる。

シャボン玉が色を反射せず、落ちる速度が速い。

0.1% 1・・・(上を向けて)シャボン玉はできるが、空気中に飛ばせなくなった。

2…大ができなくなった。

小はたまにできる。

0.09% 1・・・(上を向けて)30%の確率でできる。

(下を向けて)100%できる。

2・・・0.1%と同じくらいの割合でできる。

0.08% 1・・・(上を向けて)10%の確率でできる。

2・・・小ができる。

0.07% 1,2・・・どちらも全くできなくなった。

※大・・・直径15㎝くらい、小・・・直径5㎝くらい

これは、シャボン玉ができはじめる値を調べる実験のため、大、小の大きさは目安である。

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⑥実験4考察

昨年の考察で、界面活性剤の割合が 3.0%~2.2%の間にシャボン玉ができるかどうかの境

目があると推測していた。この推測は、ボールド(P&G 衣料用洗剤)を 10%に薄めたとき(界面

活性剤の割合が 2.2%)シャボン玉ができず、市販のシャボン玉液(界面活性剤の割合が 3.0%)

でシャボン玉ができたからだ。しかし今年の実験で、シャボン玉は、ジョイの濃度が 0.08%~0.

07%、つまり界面活性剤の割合が 0.028%~0.0245%のときに初めてできる。それ以下の割合

は、シャボン玉ができないということがわかった。

このことからシャボン玉ができるかできないかは含まれる界面活性剤の量以外にも関係してい

ると考えられる。

昨年は、異なるシャボン玉液を使って、実験、考察をしたため界面活性剤の割合や、液の成分

などは、考慮していなかった。そのため、二つの結果を合わせて、2.2%~3.0%と決めてしまった

ので、このような間違いが起きてしまった。今年は、ジョイを統一して、実験を行ったため、このよう

な結果になった。しかし、シャボン玉液の種類を変えて、実験をすれば、また違う結果が得られる

かもしれない。

6.結論・感想

(1)結論

これら4つの実験の結果をまとめると、次のようなことが言える。

まず、昨年のデータと今年の実験1によって得られた膜の厚さを表しているグラフのデータ、そ

れに実験2のジョイの濃度と膜が割れるまでの平均時間のグラフを比較した。このデータを見てわ

かるように、40%(今年では 48%にあたる)で急激に膜の厚さが大きくなっていることが分かる。こ

の2つのデータの分析から膜の厚さが小さいほど膜が割れるまでの平均時間が長く、膜の厚さが

大きいほど膜が割れるまでの平均時間が短くなっている。よって、シャボン玉の膜の厚さと膜が割

れるまでの平均時間、すなわち割れにくさは相関関係があるということになる。

次に、実験3と実験4の結果からいえることを考察する。実験3では、溶液の濃度が、12%だっ

たときに、もっとも大きいシャボン玉ができた。また、実験4で 0.1%の時に下に向けて吹くと、大

きいシャボン玉(直径 15 ㎝くらい)ができなくなると分かった。このことから、シャボン玉は、0.1%

~12%の間で一番大きくなると考えられる。

実験 1 の膜の厚さの昨年と今年のグラフを見ると、昨年のグラフだと 12%~36%(去年の濃度

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10%~30%に当たる)は膜の厚さの値の変化が小さい。また、54%~84%も値の変化が小さい。

それに比べ 42%と 48%のときだけ飛び抜けて数値が高かった。おそらく、これは水溶液の界面活

性剤の親和性が影響しているためである。また、割れるまでの平均時間の最頻値の度数分布多

角形を見ると、48%のときだけほかの濃度と比べて特に数値が安定していた。またそのほかの

12%、24%、36%、60%の変化の仕方がほとんど一緒であり、最頻値の回数もあまり変わらない。

このことから、48%の濃度(つまり界面活性剤の割合が 16.8%)のときに、水溶液の界面活性剤

と水の割合がうまく調和したと考えられる。また、48%以外の濃度のグラフの変化は、同じ程度だ

と考えた。

次に、割れるまでの平均時間の最頻値の度数分布多角形を見ると、最頻値は、濃度が大きくな

るほど、割れやすいという数値が出た。これは、実験 3 の平均値のグラフと、重なるところがある。

つまり、シャボン玉の膜が割れにくいほど、シャボン玉に空気を送り続けられるので、シャボン玉

の大きさが大きくなる。

膜を作るのに不必要な液が下に落ちようとするため、濃度が高いほど含まれる界面活性剤が

多いので余分な溶液が落ちる際、圧力のかかり方が不安定になりやすく、余分な溶液がシャボン

玉の膜を引っ張るので、シャボン玉の膜が割れてしまうと考えた。

また、シャボン玉の膜は表面張力との関係があるので、今後表面張力との関連を調べていきた

いと思う

(2)個人の感想

酒井光希

今回、シャボン玉の実験を行っていろいろな体験をすることができました。今回の実験は、なに

もない状態からはじまりました。よって、なにもかもかんがえなければならず、とても難しかったで

す。一番大変だったのはテーマを決めることでした。いろいろなアイデアがあったので少し時間が

かかってしまいましたが、最終的にはこのテーマを選んでよかったと思っています。また、実験自

体も難しかったです。余分な液が落ちるように10度傾けたり、タイマーで時間を計測したりするな

どの仕事がいろいろありましたが、大体はうまくできてると思います。また、実験の途中でたまに問

題も起こったりしましたが、この実験を行ったみんなの知恵で何とか乗り越えることが出来ました。

この実験が完成したのは、この実験に関わってくださった皆様のおかげです。ここに厚く御礼申

し上げます。

東ひかり

今回、この実験で改めて「科学っておもしろい」と、思いました。初め、2年間先輩たちが積み上

げてきたシャボン玉の実験をすると決まってから、ワクワクした気持ちでいっぱいでした。しかし、

すぐに現実に打ちのめされました。何千回、何万回という作業の繰り返し。失敗。アイデアの出な

い苦しみにこれほど悩んだことは、ありませんでした。

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でも、その作業を終えた今、つらさよりも得たものの方が大きいです。簡単にできないほうが、

面白い。科学実験には、やった人にしかわからない喜びがあると知りました。

中学生ではつかみきれないほどの科学の広さに魅了された夏でした。しかし、私が知った科学

のおもしろさはほんの一部分でしかありません。先生方や、共に協力し合ったみんなに感謝すると

ともに、これからも新たな壁に挑戦していきたいと思いました。

高木充智

僕は、実験でシャボン玉の膜を作ってから割れるまでの時間を計りました。

この作業は、いつ割れるのかわからないシャボン玉をひたすら待ち、割れた瞬間にストップウォ

ッチを押さなくてはならなかったのでとても集中力がいりました。そして、実験場所は密室の中で

行ったのでとても暑かったです。なので、心身ともに疲れましたが、一生懸命したかいがあり、な

んとか実験を終わらせることができ、達成感も感じることができました。

僕は今回の実験で、みんなで協力し、成し遂げられたことは、僕にとって大切な経験となりまし

た。今回のレポートでは、みんなで話し合ったり、もう一度実験をやり直したりする事もあり、とても

大変でしたが、色々なことを学ぶこともでき、よい体験をできたと思います。これからは、この実験

の体験を生かしていきたいと思います。今回の実験では、先生に協力してもらい、みんなで協力

することが、実験の成功につながったのだと思います。

長谷祐希乃

最初、高木君に誘われたとき、後の苦労も知らずに、面白いなと思いました。しかし、実際に実

験となると、テーマは何にするか、どういう風にデータを得るかで、とても悩みました。難しい話も

持ち上がり、理解不能になって、「ああ、やらなかったら良かったなあ。」と思いました。やっとの思

いでテーマが決まり、実験しようとなると、だんだん面白くなって「やめたい」という気持ちがさっぱ

りなくなりました。でも、簡単とは言えませんでした。失敗したり、実験の途中で、越えられない壁

に差し掛かったり・・・。悩みに悩み、解決策が見つかったときは、やりきった感が一気に溢れてき

ました。

私は、シャボン玉の実験をしたことで、ものの見方が変わったと思います。実験前、洗剤のジョイ

は、ただ食器を洗うためのものでした。しかし、今は界面活性剤がどのくらい入っているのかによっ

て、泡のたち方は変わるのか等、何かと考えてしまいます。

今年の夏は、今まで以上に忙しかったです。でも、みんなの新たな面を見つけたり、みんなで悩

んだり、普段できないことを味わえたと思います。これも、高木君の誘いが無く、力と知恵を合わ

せたみんながいなかったりすると成立しなかったと思います。これからも様々なことに挑戦してい

きたいです。ありがとうございました。

古川晃嗣

僕は今回の実験で貴重な経験を積みました。それは、友達とのコミュニケーションです。僕は話

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し合ったりするのが苦手で、友達と話すのも少ない方だと思います。でも、今回の実験の合間を使

ったりして、たくさんのことを友達と話し合えました。また、みんなと一緒に考えることもできました。

レポートの構成や考察、どのデータを入れるかなど、全員で話し合って決めるので、みんなの意

見や自分の意見をしっかりと交流させることができました。この交流こそが大切だということをとて

も実感出来ました。

今回の実験で学んだことはたくさんあります。しかし、学べることはもっとあったはずです。だから、

僕は今回学びきれなかったこと、学んでいかなければならないことなどをこれからの学校生活でし

っかりと学んでいきたいと思いました。実験は辛かったけど、そのおかげでこのレポートが完成し、

友達との交流も深まりました。だから、たとえ辛い事だとしてももっと挑戦していきたいと思いま

す。

林那莉沙

私ははじめ、「まぁやってみようかな」くらいの気持ちでこの実験に参加することを決めました。

正直そこまでしんどくはないだろうと思っていました。でもいざ実験が始まってみると苦労の連続

でした。テーマを決めることにしても、実験の方法を決めることにしても、何もない真っ白な状態か

らのスタートだったのでたくさん時間を費やしたくさん悩みました。実験を始めてみてもシャボン玉

がなかなかうまく膨らまなくて本当につらかったです。私は実験ってこんなにも大変なのかというこ

とを思い知らされました。でも私はやめようとは思いませんでした。毎日、毎日実験をすればする

ほど、この実験が終わってレポートが完成したら、私はどう感じるんだろうという想像がどんどん膨

らんでいきました。そして中途半端な状況では終わらせたくないという思いがいつも私の心の中に

ありました。何事でもすぐに飽きてあきらめてしまう私がこの実験を諦めないで最後まで続けられ

たのは、一緒に実験をした友達や先生のおかげです。夏の暑い中での実験は、友達との会話で

いつも笑いが絶えませんでした。先生は私達の実験を親身に見守り、的確なアドバイスを下さい

ました。この実験は私一人では多分出来なかったと思います。みんなで協力できたからこそ成し

遂げられたんだと思います。本当に感謝しています。

私はこの実験を終えて、とてつもない達成感とみんなで協力できたことへの幸せでいっぱいで

す。これからはこの体験を生かして、いろんなことに興味を持ち、何事にも最後まであきらめない

で取り組むようにしたいです。そしてたくさんの他人と協力し合い、助け合えるようになりたいで

す。

前田剛志

僕は今回の実験で、科学という物事をとても楽しめました。普段授業で行う基礎的な実験と違っ

て、一つ一つが繊細である本格的な実験を味わえました。データをまとめる際にも、統計の知識

を使って、今までにない力を発揮できたと思います。しかし、そんな実験だからこそ、苦難もたくさ

んありました。規則性がなかなか見つからなかったり、初期の頃では、テーマがなかなか決まらな

かったりと、大変でした。特に、一つの濃度につき 250 個のシャボン玉が割れるのを見守り続ける

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のは、集中力が何度も切れそうになり、とてもつらかったです。先輩方の苦労が身に染みて感じら

れました。それでもここまで進めることが出来たのは、実験の仲間や、先生方の支えがあったから

だと思います。協力して物事を進め、考えていくことの大切さが、実験を通じてとてもよく分かりま

した。

僕はこれからも、今回の実験で得たことを生かし、どんなことにも諦めずに、一生懸命頑張って

いきたいと思います。そして、この世に存在するすべての発見を、大事にしていきたいです。

7.謝辞・あとがき

(1)謝辞

本実験を行うにあたり、夏休み中にもかかわらず柚木先生には十数日にもわたり、たくさんのア

ドバイスやヒントを与えていただきました。私たちの意見を実現できるように最大限努めてください

ました。柚木先生には本当に感謝しております。

(2)あとがき

今回、シャボン玉の実験を行った7人は、自主的に集まり、研究を進めまとめあげた。私は、要

所要所でアドバイスをする程度で、あとは陰で応援することで見守った。非常に根気のいる実験

にもかかわらず、粘り強く最後まであきらめずにやり遂げたことは素晴らしい。実験結果を考察す

るときは、長い時間をかけて 7 人で議論し合う姿はとても頼もしかった。この研究の経験が、将来

いろいろな場面で生かされることを願う。

指導教諭 柚木 勝志

8.参考資料

H23 年度の日高高等学校附属中学校のシャボン玉の膜の厚さの求め方