Web制作 あとで揉めないための確認のポイント

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Web制作あとで揉めないための確認のポイント

株式会社8bit

自己紹介

高本 徹

企画・立案/UI設計/プログラミング

(たかもと とおる)

常務取締役

http://8bit.co.jp/

自己紹介

Webサービスの運営、CMS、グループウェア、バグ管理システムなどのカスタマイズ導入

+受託Web制作

自己紹介

ブログ記事をきっかけに2冊の本を共著を執筆させていただきました。いずれも受託制作などのトラブル事例。

「なぜ、Web制作は揉めやすいのか?」最初に

成果物の現物が発注時には存在しない。発注者も一緒に作り上げていく必要がある。

Web制作の特徴

Web制作は何故揉めやすいのか?

制作を進めるうえで、馴染み難い専門知識がある程度必要。(しかも英語ばっかり)

CSS HTML FTP Webサーバ PHP CGI

そうは思ってなかった

そういう認識ではなかった

そんなことは言ってない

揉める時、制作現場でよく聞く発注者の声

Web制作は何故揉めやすいのか?

「しかし、それは制作会社にとってみると」

仕様変更です。別作業&別料金です。

金銭が絡むために揉め事に発展!

ちゃんと説明してよ! それは違うだろ!

Web制作は何故揉めやすいのか?

仕様書があれば防げた?

Web制作は何故揉めやすいのか?

きちんと記録を残せば防げた?打ち合わせをすればよかった?

残念ながら理屈だけでは現場の揉め事は完全には防げない。

仕様書は本来制作者の味方

仕様書にちゃんと書いてあります! 以前、説明した通りです。

Web制作は何故揉めやすいのか?

実際に揉める原因

言葉の認識(理解)の違い。

完成イメージがうまく制作会社に伝わっていない。(伝えられない。)

よく分からないからお任せ。

Web制作は何故揉めやすいのか?

制作会社の説明不足

では、どうしたら揉めリスクを少なくできるのか?

Web制作は何故揉めやすいのか?

発注から制作、サイト公開・運用の流れでトラブルの傾向と事前対策をお話しします

提案・見積り 契約・発注 制作 サイト公開 サイト運用

契約・発注時

1 見積書の確認2 制作するのは誰?3 納品の定義4 検収期間5 成果物の著作権

見積書の確認ポイント

見積り書の確認

事あるごとに後で費用が加算される。

「制作の見積りは内容が分かりづらい!」

見積り書の確認

細かい作業項目が分からない。

単価や単位などが不明確。

作業の細かい条件などの説明がない。(作業範囲が不明)

見積り書の確認

では、何を確認すれば良いのか?

見積書の確認ポイント

作業の内訳を出来るだけ細かくして費用を算出してもらう。

単価や単位をきちんと説明してもらう。

各作業項目の制作条件を明記してもらう。

見積り書の確認

口頭でのサービスは費用に含まれているのか?

やります!

できます!

柔軟に対応します!

がんばります!提案します!

営業担当のリップサービスについても見積りの制作条件にきちんと記載してもらう。

見積り書の確認

内製(社内制作)なのか?外注制作なのか?

制作するのはどこの誰?

内製のメリット

制作するのはどこの誰?

社内で制作しているので対応が外注制作に比べて比較的早い。

イメージや要望が伝わりやすい。

仲介業者を挟むより制作費が安いことが多い。

内製のリスク

制作するのはどこの誰?

社内の人員は限られているので、発注時の人員状況によって希望納期などへの対応可不可がある。

会社の規模によっては、スタッフ退社などで対応不可、もしくは倒産のリスクはある。

外注制作(代理店)のメリット

制作するのはどこの誰?

制作会社の候補をいくつも持っている会社であれば、リソース不足のリスクは多少回避できる。

会社の規模としては代理店の方が大きい。(倒産リスクなど取引の安心感)

外注制作(代理店)のリスク

制作するのはどこの誰?

内製の制作会社より費用が高くつく。(仲介費用がかかる)

対応に時間がかかることが多い。

担当者によってはイメージや要望が外注先の制作会社にうまく伝わりにくい。

それぞれ費用面や対応スピードも変わってくるので

必ず確認しましょう。

制作するのはどこの誰?

何を納めて何をもって納品とするのか?

納品の定義

納品物を決める

データ一式(HTMLやプログラムファイルなど)

ドキュメントデータ(仕様書やマニュアル)

デザインデータ

後からドキュメントやデザインデータを請求すると別費用が発生する場合も!

※データは必ず入手しましょう!(制作会社の変更時の引き継ぎなどで必ず使います。)

納品の定義

納品の定義を決める

電子データ納品サーバへ公開公開検品完了後

納品の認識が合っていないと請求のタイミングなどで揉めることも。

納品したんで請求します。 いやいや、まだ納品済んでないよ!

納品の定義

確認と修正はいつまで受け付けてくれる?

検収期間はいつからいつまで?

検収期間確認のポイント

納品後の成果物はいつまで確認できるのか?

誤記や簡単な修正についてはいつまで応じてくれるのか?

検収期間終了後のバグなどの不具合以外の改修についてはほぼ有料になることが多い。

検収期間はいつからいつまで?

検収で気を付けたいポイント

実務とチェックを並行して行う場合は長めに検収期間を取ってもらう。

バグなどの不具合など制作会社の作業ミスについてはいつまで保障してもらえるのか必ず確認する。

最初の見積りで上記のようなことも含んでもらい、追加の費用が発生しない工夫を。

検収期間はいつからいつまで?

成果物の著作権は誰のもの?

成果物の著作権は誰のもの?

成果物の著作権は誰のもの?

システムプログラムの著作権

デザイン、イラストの著作権

納品イコール著作権取得ではない。特にプログラムは開発会社に著作権がある場合も

多いので確認が必要。

成果物の著作権は誰のもの?

著作権がないとどうなる?

イラストやデザインの印刷物への流用

自社もしくは他制作会社での改変・流用など自由がきかない。

成果物の著作権は誰のもの?

技術や制作費以外でWeb制作会社を選ぶポイント

Web制作会社を選ぶポイント

担当者のコミュニケーション能力(メールの返信、電話対応、資料作り)

制作スケジュール(ゆとりを持った計画を立てられるか?)

提案に来られた担当者と制作進行する担当者は同一人物か?(最初の提案者と制作進行担当者との温度差)

Web制作会社を選ぶポイント

制作進行時に気を付けたいこと

1 デザインにはどこまで期待できる?

2 仕様変更と修正の境界線

3 発注後の契約キャンセル

デザインにはどこまで期待できる?

デザインにはどこまで期待できる?

プロに依頼すれば期待したデザインは必ず出来上がるのか?

デザイナーの個性やセンスによっては発注担当者と相性が合わない場合もある

デザインにはどこまで期待できる?

例えばこんなことが、

何回修正してもイメージ通りのデザインが出てこない。

伝えたいイメージがうまく伝わらない。伝えられない。

デザインにはどこまで期待できる?

デザイナー、発注者双方が辟易してしまい、イメージ通りにできない責任を押し付けあってしまう。

デザインにはどこまで期待できる?

発注者にとって強いストレスもっと提案ないの?! デザイナーでしょ?!

理想のデザインを手に入れるために

発注前にデザイナーの実績の確認デザインテイストや個性をよく確認する。

完成イメージの擦り合わせ参考サイトの共有などに時間をかける。

デザインをみながら修正したい場合は見積り段階で伝えておく。

デザインにはどこまで期待できる?

仕様変更修正の境界線

仕様変更と修正の境界線

品質やスケジュールの担保が出来なくなる。費用に作業が見合わなくなる。

制作会社が仕様変更を主張する理由

最悪、プログラムは作り直しの可能性もある。

作っている途中に仕様を変更することで、変更のない部分への影響も出てくる。

一旦作っているところに改変を加えることで、制作が遠回りになり、制作日数もかかってくる。

仕様変更と修正の境界線

仕様変更で別料金になるのは納得できない!

ちゃんと説明してくれなきゃ分からないよ

そういう動きという認識はなかった

出来るとも書いてないけど、出来ないとも書いてないよ!

仕様変更と修正の境界線

発注者にとってみると

なぜ、発注者と制作者の仕様変更は食い違うのか?

専門用語など言葉の壁

制作側の常識と発注側の常識の食い違い

よく分からないことをそのままに

制作会社の説明不足

仕様変更と修正の境界線

仕様変更で揉めないために

分からない用語や意味はとことん質問、確認を怠らない。

仕様書だけでイメージが付かない場合は、デモなどを見せてもらい、きちんとイメージを持つ。

ちょっとした口頭ベースのやり取りなども仕様書にきちんと盛り込んでもらう。

打ち合わせ議事録は必ず記録する。(制作会社にしてもらう。)

仕様変更と修正の境界線

本当にある!!突然の発注キャンセル

発注後の契約キャンセル

発注後の制作キャンセルや音信不通の主な原因

フリーランスの音信不通原因:体調不良、仕事自体が嫌になった、など。

制作会社の受注後のキャンセル原因:リソース(人員)不足など。

発注後の契約キャンセル

仕事なのに、本当にこういうことはあります!

結局、困るのは発注者<<制作会社の再選定からすべてやり直し>>

発注後の契約キャンセル

突然のリスクを回避するために

制作体制や会社の規模をきちんと把握(どんな人が作るの?対面での打ち合わせは大切。)

無理のないスケジュールを引けるか?

マメなコミュニケーション(進捗報告や連絡など)

発注後の契約キャンセル

うまく制作会社を使うコツ

うまく制作会社を扱うコツ

レスポンス(反応)をすることで制作者のモチベーションを維持

出来れば一度は制作者と顔を合わせて打ち合わせを

マメに進捗報告や品質を確認することで完成後の認識違いのリスクを軽減

うまく制作会社を扱うコツ

制作会社をコントロールするポイント

うまく制作者を盛り上げて多少の融通の利く良好な関係を。

多少の譲歩や相談を受け入れてくれる関係を作りましょう。

うまく制作会社を扱うコツ

制作会社とフリーランスどちらを使う?

制作会社とフリーランスどちらを使う?

制作会社とフリーランスどちらを使う?

フリーランスに依頼する場合のメリット

制作会社に比べて制作費用は比較的安い。

人によっては休日や時間帯、急ぎの案件など、臨機応変に対応してもらえる。

制作会社とフリーランスどちらを使う?

フリーランスに依頼する場合のリスク

急な病気や個人的な用事で対応や連絡が取れない場合も。

対応面で不満があっても担当者を変更してもらうことは出来ない。

本人の技術によってはやりたいことの内容に制限が出てきてしまう。

制作会社とフリーランスどちらを使う?

制作会社に依頼する場合のメリット

人員の補填は効くので、担当者の急な不在などにも対応できる。

案件の規模が大きくなればなるほど、制作スピードは制作会社の方が早くなる。

制作会社とフリーランスどちらを使う?

制作費用はフリーランスより高い場合が多い。

会社の制作実績が必ずしも担当する制作者とイコールではない。

制作会社に依頼する場合のリスク

では、どちらが良いのか?

人員の補填も効くので、安心感や対応面を求めるのであれば制作会社

費用面やフットワークの軽さを求めるようであればフリーランス

しかし、センスや品質については別問題。作業を分担させることも検討しましょう。

制作会社とフリーランスどちらを使う?

サイト公開後のこと

1 メンテナンス契約

2 セキュリティー脆弱性対策

3 SEO対策や広告宣伝

そのメンテナンス契約どこまでやってくれるの?

メンテナンス契約の確認

メンテナンスで発注者が抱える不満

いざ修正をお願いしようとしたら追加料金(メンテナンス契約の範囲)

依頼した修正などに対して対応やレスポンスが遅い。

メンテナンス契約の確認

メンテナンスで確認したいポイント

契約の形態について(固定なのか都度見積るのか)

不具合などの一次調査は入っているのか?

サーバの不具合やダウンなどへのサポートは?

メンテナンスで実施してもらえる修正の範囲は?

メンテナンス契約の確認

知らなかったでは済まされない!セキュリティー脆弱性対策

セキュリティー脆弱性対策

インターネットサービスを運用する敷居はかなり低くなった

Webサービス運用ショッピングサイト運用プレゼントネットキャンペーンネットアンケート

インターネットを通じて個人情報を取得する機会は増えている。

セキュリティー脆弱性対策

個人情報の流出Webサイトの改竄

SQLインジェクション対策クロスサイトスクリプティング対策

個人情報(データベース)の管理

※セキュリティー脆弱性チェックについては独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のWebサイトなどを参考にしてください。

など

セキュリティー脆弱性対策

セキュリティー脆弱性対策は大丈夫?

怠ると…

信頼を失うのは運用元である発注者

セキュリティー脆弱性対策

セキュリティー対策は別費用。

専門的なチェックをしないと抜け漏れも。

特に指示がなかったので、そこまで厳密にはやっていない。

プロの仕事だから当然対処されているはず?

きちんと対策・確認されていない場合も多いのが現実

セキュリティー脆弱性対策

発注側から声をかけないとセキュリティー脆弱性対策のことについては話に挙がらないことも。

セキュリティー脆弱性対策

セキュリティー対策確認のポイント

見積りの開発費用の中にセキュリティー脆弱性対策も含まれているのか?

セキュリティー対策については、具体的にどのような施策をしてもらえるのか?

不安であれば第三者チェック機構などへ依頼し、セキュリティーチェックを行う。

セキュリティー脆弱性対策

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

検索順位アップ

アクセス数アップ

プロに発注したんだから成果出してよね!

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

発注者がSEO対策会社に求める成果

必ず期待した成果が出るわけではない。運用コンサルタント的な要素が強い。

内部施策(HTMLチューニング)

アクセスレポート報告、対策の提案

キーワード分析やSEO施策提案

など

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

実際にSEO対策会社は何をしてくれる?

基本的には成果報酬ではない。運用やコンサルタントに費用が発生する。

中には成果報酬型(順位保証)などもあるが、希望のキーワード

で必ずしもヒットさせるとは限らない。

※中には一時的な成果を出すために危険なSEO対策をする会社もあるようなので成果報酬には注意が必要

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

SEO会社に発注するということは

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

自分たちにない専門知識と経験をもって運用代行してもらうつもりで発注を。

発注者が広告掲載に求める成果

アクセス数アップ

売上や会員増加などの直接的な成果

知名度アップ(ブランディング)

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

広告出稿で成果が出ない理由

媒体とPRしたい内容がマッチしていなかった。

広告自体の品質(クリエイティブ)が良くなかった。

掲載したWebサイト自体の作りが良くなかった。

掲載すれば成果が出るとは限らない!

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

広告代理店は何をしてくれる?

必ず期待した成果が出るわけではない。コンサルタント+運用な要素が強い。

広告の制作など広告戦略の企画・提案

広告の運営(リスティング広告)

広告メディアの選定

など

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

広告出稿で成果を出すには予算ありき

テレビ番組での紹介や雑誌取材など様々なメディアをネゴシエーションしてくれる代理店が存在

充分な予算をかけられれば期待できるしかし、予算が少なければやらない方がマシな結果にも

SEO対策や広告宣伝にはどこまで期待できる?

業者に依頼する前に自分たちで出来ること

業者に依頼する前に自分たちで出来ること

SNS(twitterやfacebook)での運営

ブログの運用

時間をかけて工夫して運用すると広告費以上の効果も

リスティング広告やアフィリエイト運用は自分たちでも覚えれば運用可能。

業者に依頼する前に自分たちで出来ること

お金を払ってでもやりたいこと

プレスリリースの配信自分たちでメディアなどに配信することも出来るが、掲載確約メディアを多数持つ、プレスリリース配信会社へ依頼する。

業者に依頼する前に自分たちで出来ること

SEO効果、SNSやニュースサイトやテレビで紹介される場合も

発注制作の教科書 第一部の使い方

『こういうことにはならないですよね』

Web業界 発注制作の教科書 第一部の使い方

『こういうトラブル聞いたことあるんだけど御社は大丈夫だよね』

ちょっと知ってる、ちょっとうるさい発注者になってください。制作会社も慎重になります。