UE4コミック 『ロボットのモモ』 UnrealEngine4で漫画を描こう!

Post on 23-Jan-2017

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Unreal Engine4で漫画を描こう

UE4コミック

アジェンダ

・「ロボットのモモ」の物語について

・PC・モバイルで読む新しいコミックの提案

・UE4ぷちコンで始める締め切り駆動型開発

「灰原とう」は第3回電撃コミックグランプリ優秀賞をもらった

時のペンネーム。けっきょく『漫画家』になることはできな

かったものの、今でも憧れの職業には違いありません。

同一名義で小学館のガガガ文庫よりライトノベル

「イメイザーの美術」①~③巻を執筆して刊行。

以後は映像制作を主軸に関西で活動しており、特に最近は

UE4に傾倒しています。

今年の5月、UE4コミック『ロボットのモモ』で

第5回UE4ぷちコン【新表現賞】を受賞。続いてSPACE FLY -ショウジョゥバエのタンジョウ -で第6回UE4ぷちコン【真茅賞】を受賞(さりげなく自慢)

自己紹介 @haibaratou

ロボットのモモあらすじ自らをバージョンアップさせる自律進化と高度な管理社会

により発展してきたロボットの星で起きた奇跡の物語。

鋼鉄機械都市「ファクトリー」に破棄されたロボットたちが暮

らすユースレス島。遺跡で発見された型番不明の存在「モ

モ」を巡り、ロボット社会は大混乱に陥る。

豊かな想像力と柔らかな素材、不可解な生理現象。

ロボットたちは「モモ」の「遊び」と「感情」を学習していく

・・・。

「モモ」は本当にロボットなのか?

『紙に印刷する』という無駄な技術を持たないため

ロボットたちが理解できなかった惑星最古の遺跡『トショ・

カーン』において『ニ・ンーゲ』の伝説が明らかになろうとし

ていた。イラスト むーむー

似たテーマや題材の先行作品

『モンスターズ・インク』人間(の子ども)とモンスターの(ディス)コミュニケーション。

『WALL-E』感情豊かなAI。ロボットゆえのピュアさ。

『1984』ディストピア的管理社会への反乱。 SFの古典。

ファミリー層へのアピール、ある程度の普遍性を意識(自分にしては)

児童文学作品への参照

ミヒャエル・エンデ作のモモ。

灰色の男たちに時間を奪われ、せかせかと生活をするようにな

り、人生を楽しむことを忘れた大人たち。円形劇場の廃墟に住み

ついた子どもたちのカリスマ、小さな女の子モモが世界を救うた

め灰色の男たちに立ち向かう。

子どもの想像力や遊びに対するロマンにあふれ、とりわけ日本で

愛されている児童文学作品。

ロボットのモモでは児童文学的なファンタジーと古典的SFの想像力を混ぜ合わせたかった

4コマアニメというスタイル(初期構想)

PCやモバイルで読める新しいマンガの提案。ウェブ連載を想定したFLASHアニメのような形式が初期構想としてあった。

アニメーションとしての完成度ではなくテンポや軽快さを重視する4コママンガ

ならぬ4コマアニメ(造語)。

映像制作における「動画コンテ」とウェブ用アニメやモーションコミックには共

通点が多いこともあり、技術的な敷居もコストも低くすむ。

というふううに企画したたものの、時間の都合がつかず結局は放置すること

に・・・。

転機はUnreal Fest 2015 Osaka

リアルタイムレンダリングの驚異的な速度とクオリティ。

まるで映画撮影のロケ地のようだった Kite Demo。

FLASHがメインツールだった広告会社 1→10design, Inc.によるUE4採用事例。

etc・・・

Unreal Engene4との出会いでかつてのアイデアが再燃し加速していった。

UE4があれば秒速で

マンガ描ける?

黎明期のCGと漫画

『01 ZERO ONE』(ゼロワン)

奥浩哉のコンピューター初導入作品。その経費のために前作のヒット作

品『HEN』で稼いだ貯金がなくなったという。物語半ばで資金が底をつい

て自発的に連載終了。その後 3DCGを使った手法は『GANTZ』に継承さ

れた。

『Black Knight バット』『コブラ』で有名な寺沢武一はコンピュータグラフィックスを初めて連載漫画の原稿作成に導入したパイオニア的存在。週刊ジャンプ誌上『Black Knight バット』の巻頭カラーをCGで発表。PC-98ベースに、設備には 1000万円が投入された。

国内トップクラスの技術者から学生まで、ネタ作品もガチ作品も分け隔

てなく受け入れる名物イベント。毎回与えられるテーマに沿った作品を

短期間で制作する。

第5回テーマ「愛(AI)」

勝負(開発)の時は

来た!

開発開始!

キャラクターモデリング。ZbrushのレイヤーはMAYAのブレンドシェイプにあたり、モーフターゲットとしてFBX出力が可能。アニメーションを彫刻できる。今回のプロジェクトではリグは不要。

ただしUE4のバージョンや設定によってはモーフターゲットが読み込まれないので、一度MAYAを通してFBXを再出力する必要があり(経由させるだけなので MAYAは体験版でも可)FBXの細かい仕様は魔境・・・

ピポポの最終的なデザイン。頭と胴体が一本のネジになってて、量産品であることを示唆している

InfinityBlade GrassLandsでロケ岩や草の位置、ライティングなどを変えつつ、ベストショットを求めてひたすら撮影。

少し手を加えるだけで印象がかなり変わることもある。

リアルタイムレンダリングの特性を最大限に生かす撮影術

ショートカット「F」でフルスクリーン。

「G」でインゲームに表示されるものだけを

表示。

「F9」でスクリーンショット撮影。

これが最速撮影ワークフロー。

時間軸と空間の構成(コマ割り)

撮影した画像はPaper2Dスプライトにして上から

配置していく。

プレイヤーの入力は上下のみに制限。

各階層にイベント用ボックストリガーを配置。

イベントによるカメラの移動

プレイヤーに様々な方向のカメラを親子付

け・アタッチしておく。

このカメラをブレンドすることでプレイヤーの

単純な上下入力移動にダイナミックな変化

を加えることができる。

Set View Target with Blend

各カメラをブレンドするためのブループリント。

FLipFlopはプレイヤーが上方向に戻って再びトリ

ガーボックスに触れた時の分岐用。

「コミック」を名乗るからには時間軸に双方向性を持

たせたい。

Matineeによるカットシーン作成とレンダリング

普段はAfterEffectsを使用して作るPV的な表現をUE4内で

強引に作成。ムービーとしてレンダリング。(現在なら

Sequencerが圧倒的に効率が良い)

『アイゼルネ女王』ファクトリーの設計者。すべてのロボットの母。ニ・ンーゲの伝説を封印した。モデリング kounoike

『ピポポ』モモの一番のともだち

『カシオペイアG』モモを育てている最古のおじいちゃんロボット。グレーマンのGと爺をかけている

『モモ』四則演算もままならないポンコツロボット???ロボットという種の起源に関する重大な秘密に関わる存在。正体不明。

MovieTextureによる実装

出力した動画をMovieTextureとして再

度UE4へ読み込む。

この当時のMovieTextureは少し不安

定で再生にタイムラグがあったが、目を

つむった。

前半のコミック部分と後半のPV部分を

シームレスにつなげ、大まかな形はで

きた。後は作り込み。

ぷちコンの応募受付期間は毎回夜明けまで!

ファイト!!(自分)「夜明け」を拡大解釈してギリギリまで作業をして無事提出。

第5回UE4ぷちコン応募 UE4コミック『ロボットのモモ』 Meetupスペシャル調整版!

https://www.youtube.com/watch?v=aFanLy6IJJY

【新表現賞】 UE4コミック『ロボットのモモ』

審査員コメント

新たな試みに驚かされました。デジタルなストーリーテリングの可能性を見せて

もらいました。 (Epic Games Japan 篠山)

UE4×映像、というのはよく聞きますが、UE4×漫画はなるほどと思いました。ス

トーリーの広がりが感じられて、良かったです。物量が多く大変だったと思いま

すが、この表現には可能性を感じます! (ヒストリア 佐々木)

受賞後に付け加えた新仕様

モバイル的なインタラクションとして

プレイヤーが画面を何度もクリック(タップ)してモモに力を与えるかどうかで

物語がグッドエンドとバッドエンドに分岐。

ぷちコンが与えてくれたのはあくまできっかけであり予告編。

これからが本番本制作。

俺たちの戦いはこれからだ!

ホットでクールな現代のメディア著名なメディア論者マーシャル・マクルーハンは写真や映画などのように情報が高精細で、受け

手側で補完や推測する部分が少ないメディアを「ホットなメディア」逆に手紙や漫画などの情報が

低精細で、受け手側で補完や推測する部分が多いメディアを「クールなメディア」と評し分類し

た。

クール? ホット?

ゲームはその進化の過程でクールとホットの両極端な性質を手にしたメディアであり、他のメ

ディアを変容させたり、拡張させる可能性を秘めている。

ホットな部分とクールな部分をどう共演させるか、その切り口とバランス感覚こそが、エンジニ

アとクリエイターにとっての挑戦・・・腕の見せ所かもしれない。

UE4コミック「ロボットのモモ」UnrealEngine4で漫画を描こう!

ありがとうございました!

イラスト むーむー