住み慣れた地域での暮らしを支える医療・介護・保...

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フ ォ ー ラ ム

表紙「スタートレイン」次第に涼しく、夜が長くなってきましたね。宇宙では旅行の季節。人気列車はスタートレインです。手をつなぐ星のデザインが素敵ですね。 輝くお月さまとたくさんの星に見守られて、今日も夜空を駆け巡ります。

◎Run&Upの表紙には、知的障害者施設を運営する社会福祉法人共生社の「あじさいアート」を使用しています。

……………………………………………………………………………………………………表紙のことば

Run&Up̶ランナップ̶地域に暮らす人たちの健やかな暮らしを守るために、日々颯爽と街をゆく──。そんな訪問看護師のみなさんのさわやかなイメージを言葉にしました。

本冊子では「訪問看護Q&A」のコーナーで取り上げるQuestionを募集しています。下記URLよりアクセスしてご応募下さい。皆様からのご応募をお待ちしております! 応募URL http://www.eiyonomori.jp/m/

〈あじさいアートのお問い合わせ先〉社会福祉法人共生社 あじさい学園 TEL.0280-48-0431E-mail:tomoiki010@seagreen.ocn.ne.jp社会福祉法人共生社ホームページhttp://www4.ocn.ne.jp/̃ajisai/

●編集顧問太田 秀樹 医療法人アスムス 理事長/おやま城北クリニック 院長川越 正平 あおぞら診療所 院長●編集アドバイザー佐々木静枝 社会福祉法人世田谷区社会福祉事業団訪問サービス課 課長●編集委員乙坂 佳代 社団法人横浜市港北医療センター訪問看護ステーション 管理者角田 直枝 茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター 看護局長白井由里子 八幡医師会訪問看護ステーション 管理者当間 麻子 一般社団法人在宅医療推進会 代表理事中山 康子 NPO法人在宅緩和ケア支援センター虹 代表理事

(敬称略/五十音順)

Run&Up編集部(FAX:03-3835-3040)まで、ご意見、ご質問をお待ちしています。

少子高齢化が問題となっている日本において、地域で暮らす人たちを支える包括的なケアが重要になってきています。今回は、医療、介護、保育の連携によるサービス提供によって住み慣れたわが家で生涯安心して過ごせるよう、地域での生活を24時間365日支援する取り組みをスタートさせた保土ヶ谷プロジェクトを紹介します。

住み慣れた地域での暮らしを支える医療・介護・保育の連携による包括的ケアの場作り

コーナーででナ で取り上げるQuestionををげるQ上 io取 を

Question募集

…………保土ヶ谷プロジェクト

月~金の午前中は外来診療。駅前ハイツ住民のかかりつけ医として日常の診療や治療相談に応じます。午後は24時間365日対応する在宅医療を行います。がん末期の方や寝たきりの高齢者が対象です。

調剤薬局です。午後は服薬指導や栄養指導で高齢者宅やがん患者宅を訪問しています。近隣の在宅医の指示や訪問看護師の依頼にて、在宅治療に必要なモルヒネや医療材料を常備し、患者宅への配送業務を行っています。

近隣住民を対象とした保育サービスを行い、働く保護者ニーズにこたえて時間延長にも応じています。

筋トレマシーンを設置し、通所介護利用者には運動・入浴・食事サービスを提供しています。また、訪問介護も行っています。

診療所(在宅療養支援診療所・訪問看護)

保険薬局(調剤・訪問服薬指導・訪問栄養指導)

保育所(病後児保育・学童保育)

介護保険サービス(通所介護・訪問介護・居宅介護支援事業)

あいクリニックほどがや

こどもの森ほいく舎

ゆう薬局

表 保土ヶ谷駅前ハイツ内の業務内容

きらめいと

    Vol.7 No.3

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同じ場所で開業し、連携して地域を支える保土ヶ谷プロジェクト

 「あいクリニックほどがや」「ゆう薬局」「こどもの森ほいく舎」「きらめいと」は、2011年5月に同時オープンしました。医療・介護・保育の異なる施設が1カ所で開業した保土ヶ谷プロジェクトについて、臼井さんは次のように話します。 「現在、地域における病院の多くが特定機能化してしまい、在院日数も短くなっています。しかし、急性期を過ぎたすべての患者さんが、退院後に回復期リハビリテーション病棟や介護療養型医療施設等に入所できるわけではありません。そこで地域における受け皿として、在宅医療や介護が求められています。住み慣れた地域で暮らすことのできる在宅ケアの実現には、多職種による連携が必要といわれています。そこで私たちは、保育も含めた地域ケアに関わる専門職が同じ場所で開業し、連携しながら地域を支えていけないかと考えたのです」

暮らし続け最期まで見守り看取る場を作る

 近年、地域の包括的なケアを支えるために、住居問題が注目されています。高齢者専用賃貸住宅(高専賃)に代表される在宅ケアを視野に入れた住宅供給が求められており、URでも自治体や民間事業者との連携で、高齢者や障害者を対象とした「高齢者等向け賃貸住宅」の供給や生活支援サービスを展

診療所、薬局、介護、保育施設等による独立した事業者の集合体

 住み慣れた地域・家庭で自立し、最期まで安心して暮らし続けたい。この住民の想いに応えられるよう包括的なケアサービスを提供する場作りを目的に、医療・介護・保育の専門職でもある有志が集まり2010年7月に設立されたのがアイシー有限

責任事業組合(以下、iC-LLP)です。 iC-LLPは、最初の場作りとして横浜市の中心でJR保土ヶ谷駅東口徒歩1分の独立行政法人都市再生機構(以下、UR)管理の250世帯が居住する保土ヶ谷駅前ハイツを再開発。この1階に診療所(在宅療養支援診療所)、保険薬

局、居宅介護支援事業所、デイサービス、ホームヘルプサービス、学童保育、病後保育所等を隣接開設(表)しました。 午前中は外来診療で午後は在宅医療の「あいクリニックほどがや(院長は宮司正道医師)」、無菌調剤室も備えて訪問服薬指導も行う「ゆう薬局(薬局長は山口秀樹薬剤師)」、保育所運営の「こどもの森ほいく舎(代表は石尾ひとみ)」、デイサービス「きらめいと(施設長は渡辺崇)」等の医療・介護・保育サービスを行う各事業所が、iC-LLPより適正規模の空間を割り振られ、情報共有等の連携が取りやすい敷地配置で開設されています。250世帯の団地のなかでかつ駅前という好立地で、高齢者・学童・幼児の地域包括ケアを一体で担っていきたいとの考え方です。 これら独立した事業者が地域住民のニーズに応じて連携し、包括ケアのサービスを提供する場作りを総称して“保土ヶ谷プロジェクト”と呼んでいます。

臼井正彦さんiC-LLPゼネラル・マネジャー

山口秀樹さんゆう薬局 代表

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フ ォ ー ラ ム

表紙「スタートレイン」次第に涼しく、夜が長くなってきましたね。宇宙では旅行の季節。人気列車はスタートレインです。手をつなぐ星のデザインが素敵ですね。 輝くお月さまとたくさんの星に見守られて、今日も夜空を駆け巡ります。

◎Run&Upの表紙には、知的障害者施設を運営する社会福祉法人共生社の「あじさいアート」を使用しています。

……………………………………………………………………………………………………表紙のことば

Run&Up̶ランナップ̶地域に暮らす人たちの健やかな暮らしを守るために、日々颯爽と街をゆく──。そんな訪問看護師のみなさんのさわやかなイメージを言葉にしました。

本冊子では「訪問看護Q&A」のコーナーで取り上げるQuestionを募集しています。下記URLよりアクセスしてご応募下さい。皆様からのご応募をお待ちしております! 応募URL http://www.eiyonomori.jp/m/

〈あじさいアートのお問い合わせ先〉社会福祉法人共生社 あじさい学園 TEL.0280-48-0431E-mail:tomoiki010@seagreen.ocn.ne.jp社会福祉法人共生社ホームページhttp://www4.ocn.ne.jp/̃ajisai/

●編集顧問太田 秀樹 医療法人アスムス 理事長/おやま城北クリニック 院長川越 正平 あおぞら診療所 院長●編集アドバイザー佐々木静枝 社会福祉法人世田谷区社会福祉事業団訪問サービス課 課長●編集委員乙坂 佳代 社団法人横浜市港北医療センター訪問看護ステーション 管理者角田 直枝 茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター 看護局長白井由里子 八幡医師会訪問看護ステーション 管理者当間 麻子 一般社団法人在宅医療推進会 代表理事中山 康子 NPO法人在宅緩和ケア支援センター虹 代表理事

(敬称略/五十音順)

Run&Up編集部(FAX:03-3835-3040)まで、ご意見、ご質問をお待ちしています。

少子高齢化が問題となっている日本において、地域で暮らす人たちを支える包括的なケアが重要になってきています。今回は、医療、介護、保育の連携によるサービス提供によって住み慣れたわが家で生涯安心して過ごせるよう、地域での生活を24時間365日支援する取り組みをスタートさせた保土ヶ谷プロジェクトを紹介します。

住み慣れた地域での暮らしを支える医療・介護・保育の連携による包括的ケアの場作り

コーナーででナ で取り上げるQuestionををげるQ上 io取 を

Question募集

…………保土ヶ谷プロジェクト

月~金の午前中は外来診療。駅前ハイツ住民のかかりつけ医として日常の診療や治療相談に応じます。午後は24時間365日対応する在宅医療を行います。がん末期の方や寝たきりの高齢者が対象です。

調剤薬局です。午後は服薬指導や栄養指導で高齢者宅やがん患者宅を訪問しています。近隣の在宅医の指示や訪問看護師の依頼にて、在宅治療に必要なモルヒネや医療材料を常備し、患者宅への配送業務を行っています。

近隣住民を対象とした保育サービスを行い、働く保護者ニーズにこたえて時間延長にも応じています。

筋トレマシーンを設置し、通所介護利用者には運動・入浴・食事サービスを提供しています。また、訪問介護も行っています。

診療所(在宅療養支援診療所・訪問看護)

保険薬局(調剤・訪問服薬指導・訪問栄養指導)

保育所(病後児保育・学童保育)

介護保険サービス(通所介護・訪問介護・居宅介護支援事業)

あいクリニックほどがや

こどもの森ほいく舎

ゆう薬局

表 保土ヶ谷駅前ハイツ内の業務内容

きらめいと

2011年 秋号

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開しています。こうした背景もあり、臼井さんたちは保土ヶ谷プロジェクトとしてiC -LLPが一括して物件をURより借り上げ、計画配置後にそれを各事業者が独立して運営するという形で同時開業しました。

顔の見える連携の裾野を広げていきたい

 「あいクリニックほどがや」では、毎週8時30分から合同カンファレンスが行われます。各施設の直近のスケジュールをはじめ、在宅患者の褥瘡ケアに関する話、患者の服薬状況や薬剤の使用に関する情報共有、市民病院との連携や夏休み中の学童保育の取り組みなどについて情報共有を行います。 このように多職種が直接顔を合わせて直面する情報を共有して連携する意義について、薬剤師の山口さんは次のように考えています。 「地域のなかで、患者さん、医療職、介護職、保育職が連携していくためには、電話だけの対応では十分とはいえません。顔が見え、直接やりとりをして情報を共有することが重要なのです。そのため「ゆう薬局」では、地域の医療者や介護・福祉事業者なども自由に参

加できる勉強会を1カ月に1度主催しており、熱中症、感染症、褥瘡、栄養等をテーマに取り上げています。 「あいクリニックほどがや」では、地域の病院スタッフ、訪問看護ステーションの看護師、ケアマネジャー等、患者を支える関係者を集めた症例検討会を実施することで、顔の見

える病診・診看連携の裾野をさらに広げていくことを目標としています。 私は薬剤師の立場として、今後は特に、地域の介護関係者との連携に重点を置いていきたいと考えています。キュアはケアの一部分ですから、これからの地域ケアにおいて介護職の皆さんとの連携を密にしていかないと、地域を支えていくことは難しいのではないでしょうか」 臼井さんは今後の目標として、個々の事業所が、それぞれ地域に貢献する事業所として継続して成長していくことが重要だとした上で、その先のビジョンを立てています。 「訪問看護ステーションは2年後の設立を計画しています。

子育て支援については、現在、定員4名の病後児保育を行っていますが、今後は0歳児からの保育も行う予定です。医療・介護面では、患者数の増加が予想されているがんの緩和ケアや認知症ケアで地域を支えていくことを目標としています。そのために在宅緩和ケア支援センターや地域包括支援センターを保土ヶ谷プロジェクトで行う可能性を模索しているところです」 各施設が事業として自立した上で、連携して地域を支えていく取り組みは、地域における包括的なケアの具体的な実践例を示しているといえるでしょう。

カンファレンス

無菌調剤室のある薬局

無菌調剤室は通りに面しているため、通行人はガラス越しに作業を見ることができる。