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わが国鋳造産業の現状と課題

2013年1月30日(水)

社団法人日本鋳造協会

会 長 木村 博彦

~グローバル化の潮流を踏まえて~

第3回新素形材産業ビジョン策定委員会説明資料

資料5

目 次 1.鋳造産業の特徴 2.世界における位置付け 3.鋳造産業ビジョンによる取組状況 4.鋳造産業の強み/弱み 5.鋳造産業を取り巻くチャンスと脅威 6.国内市場の縮小と海外展開 7.鋳造産業の取り組むべき方向 8.鋳造産業が必要としている戦略

複雑な形状の品物を一体で成形

1個から大量生産まで生産可能

比較的、安価

あらゆる産業の

基 盤

1.鋳造産業の特徴

原材料に金属スクラップを使用する循環型社会の

重要な役割を担っている

歴史があり、かつ近代的装置産業

・江戸時代以前の創業13社が現在も操業

・ITを駆使したクリーンファンドリーの誕生

サポーティングインダストリー

2.世界における位置付け 出所:モダンキャスティング

①日本は、世界第4位の生産量 ②世界の鋳造品生産量は、世界経済の発展を反映し、 ’01~’11年の10年間で45%増 ③この間、日本6%減、アメリカ16%減、ドイツ18%増(ユーロ圏効果) 中国2.8倍、インド3.2倍、韓国1.4倍、ブラジル1.9倍

2011年の世界の鋳造品生産上位10カ国

0

10

20

30

40

50

生産量

百万トン

非鉄 鋳鋼 ダクタイル鋳鉄 ねずみ鋳鉄

3.鋳造産業ビジョンによる取組状況

(1)経過

2006年11月 “10年後の日本鋳造業のあるべき姿”

へ向かって “鋳造産業ビジョン2006年”を作成し

“アクションプラン”を毎年作成し、実施

第1期(’07~’09年) 第2期(’10~’12年) 第3期(’13~’15年)

6

ユーザーの競争力強化に貢献できる 製品(鋳物)を継続的に供給し共存共栄を図る

・クリーンファンドリー

・ゼロ・エミッション推進

中核人材育成事業

技能・技術者確保・育成

時流に合った材料開発

造りの革新・ITの活用

経営手法の活用

新工法の開発

・不良率低減

・歩留り向上

・可動率向上

新取引慣行の遵守

海外で儲ける

新市場へ参入

同業/異業の連携

強い鋳物マンの 確保と育成

収益力を向上させ

競争力強化の投資を促進

経営・若手後継者支援

鋳物マンの卵・指導者確保

(2)鋳造産業ビジョン2006の概要

時流に合った製品の開発と造りの革新

製品力・資金力・人材力 の画期的な向上

提案型企業へ

4.鋳造産業の強み/弱み

(1)強み ・高品質と安定供給、短納期に対応できる

・社員の定着率が高く、技術の蓄積・多能工化出来る ・鋳造工場をサポートする産業が整備されている (原材料、副資材の配送、鋳造機械のメンテ等) ・循環社会に貢献するリサイクル産業

(2)弱み ・下請企業形態が多く、商品の提案力・営業力が弱い

・受注産業としてユーザの動向に仕事量が左右される ・中小企業が多く、工場生産性が低い ・中小企業には海外進出する資本力不足と 人材確保が困難 ・中小企業のIT化が進んでいない

5.鋳造産業を取り巻くチャンスと脅威

(1)ビジネスチャンス ・国内市場のみで存続できる世界第4位の市場規模がある

・輸出比率の高いユーザ(自動車、工作機械、建機)が 国内にある ・将来、中国向け高級鋳物の輸出機会が出てくる ・鋳物のみから加工完成品・組立への範囲拡大が図れる

(2)脅威 六重苦 ・長引く円高 ユーザ産業の競争力低下 空洞化

・電力価格の高騰 事業継続が困難になる ・自由貿易協定への対応の遅れ ・製造業の派遣禁止などの労働規制 ・環境規制の強化 ・高い法人税

6.国内市場の縮小と海外展開

この状況に対処するための鋳造業界としての考え方を纏める

◎3パターンの海外展開への対応

①海外進出できる企業群

②国内に留まるも、輸出も行う企業群

③海外リスクを回避するため、

国内生産で成長する企業群

◎生産方法では、2パターンの対応

①量産鋳造工場:海外進出できる企業群 生産個数/台数 海外展開 ①-1 大量(乗用車) 速い、既に展開済み ①-2 中量(トラック、建機) 速くは無い、展開中 ①-3 少量(産業機械) 困難、特殊な事例のみ

②非量産鋳造工場(手込め受注企業):基本的に海外 進出が困難な企業群 企業規模 海外との関わり ②-1 大 一部を輸出する、差別化 ②-2 中小 国内の取引に特化する

○大中量生産工場の企業である

・生産量が大きくなればなるほど、

海外展開のスピードは速い。

・少数の顧客の海外展開と同調し、

グループとして海外に展開する。

・海外も含めて顧客の要求を満たして

いくのが使命である。

①海外進出できる企業群

○大規模な手込め受注鋳造企業

・特殊な差別化された技術と製品を持つ

・国際的な視点とネットワークを持つ

・人材の採用が出来、人材育成が出来ている

・独自の技術開発が定常的に行われている

・経営戦略が明確である

・多くの顧客を擁する専門企業

②国内に留まるも、輸出も行う企業群

○営業力が弱く、顧客が少数の企業

・企業規模は、拡大しない。間接部門を簡素化

して、製造原価を下げている

・正規社員は少なくし、受注変動に敏感に対応

できる

・情報・技術は、外部の材料メーカ等に依存

している

・新たな技術や設備の対応力に欠ける

③海外リスクを回避するため、 国内生産で成長する企業群

日本全体の顧客に対するスムーズな供給体制を構成している なくてはならない企業群である

(1)海外進出・輸出が出来る企業群

①最新のビジネス、技術情報の入手

②差別化できる技術開発

③顧客よりのワンストップ体制の

要求により、周辺業種との関係強化

④人材の採用と育成

⑤IT技術の徹底した活用

7.鋳造産業の取り組むべき方向

①需給ギャップの解消

・業務提携、グループ化の推進

・転廃業できる仕組みと援助が必要

②経営技術情報のサポート体制が必要

外部のサポート体制の整備

③後継経営者を含む人材育成システムの活用

(2)海外リスクを回避するため、 国内生産で成長する企業群

顧客に対するスムーズな供給体制を維持するため、 一定数の存続は必要である

(1)経営、技術の最新情報の入手システム

(2)差別化できる技術開発支援体制

(3)周辺異業種とのネットワークの強化と

周辺業界の競争力強化

(4)後継者と人材の採用と育成

(5)IT技術の徹底した活用

(6)転廃業できる仕組みと援助体制

(7)経営、技術情報の外部サポート体制

(8)緩やかな同業者の協調体制の確立

(9)クリーンファンドリーの推進

8.鋳造産業が必要としている戦略 ~提案型企業の育成~