Post on 25-Mar-2021
- 177 -
巻末資料
表面被覆材の水砂噴流摩耗試験方法(案) ························ 巻末-1
表面被覆材の繰り返しひび割れ追従性試験方法(案) ·············· 巻末-3
各試験の養生条件 ············································ 巻末-7
巻末-1
① 表面被覆材の水砂噴流摩耗試験方法(案) 1.適用範囲
この基準は、コンクリート構造物の補修等に使用する表面被覆材の水砂噴流摩耗試験方法に
ついて規定する。
2.供試体 供試体の作製は次による。
2.1 標準モルタル供試体は、195×145×40mmとし、JIS R 5201-1997「セメントの物理試験方法」
に基づき作成し、温度 23±2℃、相対湿度 50±5%で 28日間養生する。
2.2 表面被覆材の供試体 1※1は、195×145×40mmとし、製造業者の定める仕様で作成し、温度 23
±2℃、相対湿度 50±5%で 28日間養生する。
3.試験方法
水砂噴流摩耗試験方法は、供試体を回転ドラムに取り付け、ドラムの回転数 30rpmで、上部
に設置された噴射口から供試体に、2.0MPa、88.9ℓ/minの珪砂混入圧力水を 10時間 ※2噴射する。
その際、試験機に投入する珪砂は、3ℓ(試験機内水量 280ℓ)とし、粒径は 0.61~1.18mmとする。
4.計測方法
水砂噴流試験方法の計測は,試験前と試験時間 2 時間,5 時間,10 時間後に,レーザー変位
計(繰り返し精度 0.5μm)を摩耗深さ方向に使用することで実施する。計測範囲は,図1に示
すように,供試体中央部の濃灰色と淡灰色の範囲(50×75mm)とし,測線を供試体の短辺に平
行に約 10mm 間隔で設定し,側線上では 0.5mm 間隔で供試体表面形状(摩耗深さ)を測定する。
なお,平均摩耗深さの算出範囲は図の濃灰色の範囲(50×25mm)であり,試験中の摩耗の進行
状況を観察するための参考値である摩耗体積の算出範囲は図の濃灰色と淡灰色の範囲(50×
75mm)である。
※1 表面被覆材の供試体についての注意事項。厚さが 40 ㎜より薄い場合はコンクリート板等で調整して確保する。
また、摩耗量を正しく測定できない場合があるため、吸水により膨潤する材料を供試体に用いてはならない。 ※2 補修の効果が期待される期間を 20 年とした場合に相当する試験時間。
図1 摩耗量の計測範囲
巻末-2
5.報告 5.1 本試験による結果の報告は、次の事項を必須とする。
a) 表面被覆材の種類
b) 供試体の数
c) 摩耗量 試験時間ごとの摩耗体積、平均摩耗深さ
d) 水砂噴流摩耗試験の試験条件及び試験時間
e) 試験年月日
f) 試験機関名
巻末-3
② 表面被覆材の繰返しひび割れ追従性試験方法(案)
表面被覆材の繰返しひび割れ追従性試験方法の試験体の作成は、JSCE-K 532-2010「表面被覆材
のひび割れ追従性試験方法(案)」に準じて作成し、繰返し引張試験方法を追加したものである。
1. 適用範囲
この規準は、コンクリート構造物の補修に使用する表面被覆材の繰返しひび割れ追従性試験
方法について規定する。
2. 引用規格
次に挙げる規格は、この規準に引用されることによって、この規準の規定の一部を構成する。
これらの引用規格は、その最新版を適用する。
JSCE-K 511 表面被覆材の耐候性試験方法(試験用基板の作成方法)
JIS R 5201 セメントの物理試験方法(試験用基板(モルタル)の作成仕様)
JIS R 6252 研磨紙(研磨紙の種別)
3. 定義
この規準で用いる主な用語の定義は、下記のとおり。
繰返しひび割れ追従性:表面被覆材がその延伸性によって、コンクリートのひび割れの繰返
し挙動と無関係にその被覆性を保持する性能。
4. 試験体
4.1 試験用基板 試験用基板(以下、基板という)は、下記に従い作成する。
a) 試験用基板の作製は、JSCE-K 511の4.1 (試験用基板)を引用し、水セメント比50%、砂セメ
ント比3のモルタルを、内のり寸法40×120×10mmの金属製型枠を用いて成形する。
b) 温度20±2℃、相対温度80%以上の状態で24時間養生したのち脱型し、その後6日間温度20±
2℃で水中養生する。
c)水中養生終了後、温度23±2℃、相対湿度50±5%で7日間以上養生し、図1に示すように成形
時の上面(表面被覆材の塗布面と反対側の面)にダイヤモンドカッターにより深さ5mmのカッ
トを入れて折り曲げ基板を2つに切断する。
図1 試験体の形状
d) 2つに割った基板を鋼あるいはステンレス板上で突き合わせ、側面全周を粘着テープで巻いて
固定する。
4.2 試験体の作製
巻末-4
試験体の作製は、下記のとおり。
a) 切断線に沿って、約20mmの幅で製造業者の定める不陸調整材をへらですり込むようにして塗
布し、硬化後、不陸調整材塗布面をJIS R 6252に規定する150番研磨紙を用いて研磨して、余
分な不陸調整材を取り除く。
b) 切断面に材料が流れ込まないように注意して、両端を30mm残して製造業者の定める仕様で表
面被覆材を塗布し、温度23±2℃、相対湿度50±5%で28日以上養生したものを試験体とする。
c) 試験用基板及び試験体について、本案で示す寸法での作成が困難な場合は発注者と協議を行
いその仕様を決定する。
4.3 試験体の種類
試験体の種類、適用試験筒条及び試験体の数は、表1による。
4.3.1 標準状態試験体
試験体に鋼板を取り付けたままで、温度23±2℃、相対湿度50±5%で28日間以上養生を行っ
たのち、鋼板を取り外し、温度23±2℃で試験に供する。
5. 試験方法
5.1 初期引張変位
試験体を銀板あるいはステンレス板から取り外して、チャック間にあそびができるようにし
て疲労試験機に回定し、5mm/minの等速度で引張り、0.2mmの変位を加える。
5.2 繰返し引張試験
繰返し引張試験は、初期変位0.2mm、伸縮±0.1mmとし、1.0Hzの変位速度で行う。繰り返し回
数は、表面被覆材の耐用年数に従い、表2による。
表2 繰返し引張回数
表面被覆材の耐用年数 繰返し引張回数
20年 7,300回以上
40年 14,600回以上
試験を打ち切る時期は下記のとおり。
a) 表面被覆材が破断したり、目視により表面被覆材の一部に破断を確認したとき
b) a)の条件を満たさなかった場合は、繰返し引張回数が規定の回数を超えたとき
6. 試験結果
試験結果は、個々に算出し、四捨五入して、有効数字2けたの値に丸めて示す。
7. 報告
試験項目 試験体の種類 適用試験の箇条番号 試験体の数
繰返しひび割れ
追従性試験 標準状態試験体 4.3.1 3
表1 試験体の種類
巻末-5
本試験による結果の報告は、次の事項を必須とする。
a) 表面被覆材の種類と被覆仕様(JSCE-K 511の表3による)
表3 表面被覆材の種類と被覆仕様(JSCE-K 511)
b) 試験体の種類
c) 繰り返し回数 (繰り返し回数と引張荷重(最大荷重、最小荷重)曲線を添付)
d) 破断したり、目視により表面被覆材の一部に破断を確認したときの塗膜の状態
e) 規定の繰返し回数時の塗膜の状態
f) 試験年月日
g) 試験機関名
巻末-6
巻末-7
養生条件
*1基板の測定面となる2面に被覆材を塗布し、他の4面にシーリング材を塗布する。
測定1回目
測定2回目
16hr以上3日間以内に脱型
温度20±2℃で湿潤状態(水中又はRH95%以上)に
静置
35
温度20±2℃、RH60±5%二酸化炭素濃度5±0.2%
の試験槽に静置
21日
試験実施
5628
[5週] [8週]
28日
(日)
25日~27日と8hr16hr~3日
基盤に*
1
被覆(t=10㎜以上)
及びシール
温度20±2℃、RH60±5%の恒温恒湿室に静置
[4週]
養生条件
7日
0材齢
中性化抑止性試験
図-1 JIS A 1153「 無機系被覆材の促進中性化試験方法」の養生条件
試験基板の作製
供試体の作製及び試験
材齢 0 28[4週]
(日)
3
促進中性化(中性化抑止性)試験は以下によるほか、JIS A 1153に準拠するものとする。
巻末-8
*1基板、下地処理材、不陸調整材、主材、仕上げ材の試料を静置する。
耐候性(耐候性)試験は以下によるほか、JSCE-K 511に準拠するものとする。
温度20±2℃、RH80%以上
温度20±2℃の水中
脱型
試験実施
供試体の作製及び試験
28[4週]
(気中)
1日
養生条件
基盤に被覆
温度23±2℃、RH50±5%
温度23±2℃、RH50±5%
(気中)(気中) (水中)
1
温度23±2℃、RH50±5%
試料静置
*1
(日)
0
(日)
(気中)
28日
耐候性試験
図-2 JSCE-K 511 「表面被覆材の 耐候性試験方法(案)」の養生条件
0
養生条件
(日)
1日 6日 7日
試験基板の作製
[2週]0 1 147
[1週]
巻末-9
*1 試験用基板は、JSCE-K 561 5.8 a)に基づき、表2の配合で28日養生後のものを使用するか、若しくはJIS A 5371付属書Bの舗装用平板を使用する。*2 供試体作製後の養生期間は、JSCE-K 561の表3に基づき、製造業者が指定する期間又は28日間のどちらかを選択する。*3 日本下水道事業団「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル」付属資料1に準拠し、水中養生を開始するまでの気中養生を行う。*4 供試体を60±3℃の恒温中で18時間放置し、直ちに60±3℃の恒温水槽に6時間浸漬する(左記の操作を1サイクルという)。工法毎に定められたサイクル数(日数)を実施する。*5
試験実施
試験実施
温度20±2℃RH50%以上(気中)
温度20±2℃RH50%以上(気中)
試験実施
温度20±2℃RH50%以上(気中)
試験実施
0 35[5週]
28日間*2
(気中)
30分以内
7[1週]
温度20±2℃
RH60±10%*2
温度20±2℃、RH90%以上基盤Bに被覆
30分以内
28日間*2
(水中)
28日間*2
(気中)
10日間 1日間
温度20±2℃RH50%以上(気中)
試験実施
温度20±2℃RH50%以上(気中)
試験実施
温度20±2℃RH50%以上
10 11
10日間
(気中)
乾湿繰返し条件*4
10サイクル
温度20±2℃RH50%以上
(気中)
1日間
(気中)
温冷繰返し条件*5
10サイクル
30分以内
0
温度5±1℃
(気中)
28日間*2
基盤C
低温条件試験
28[4週]
基盤Bに被覆
30分以内
温度20±2℃、RH50%以上基盤Aに被覆
(気中)
温度20±2℃RH50%以上
5±1℃
(気中)
(気中)
試料静置
(容器)
24時間以上
0
⇒低温条件は、供試体(低温条件)へ続く(気中)
7日間 1日間
基盤Cに被覆
温度20±1℃の清水中に浸漬
温度5±1℃(気中)
(日)
0 28
基盤作製*1
(28日養生)
試験基板の作製
付着性試験
図-3 JSCE-K 561 「コンクリート構造物用断面修復材の試験方法(案)」の養生条件付着強度(付着性)試験は以下によるほか、JSCE-K 561 に準拠するものとする。
80
標準条件試験
乾湿繰り返し条件試験
温冷繰り返し条件試験
7[1週]
多湿条件試験
水中条件試験
⇒3条件とも、供試体(標準条件)へ続く
⇒多湿条件は、供試体(多湿条件)へ続く
⇒水中条件は、供試体(水中条件)へ続く
(気中)
温度20±2℃RH50%以上
(水中)
(気中)
7日間 1日間
7日間
基盤A
基盤B 20±1℃温度20±2℃RH50%以上
20±1℃の水中に18時間浸漬した後、直ちに-20±3℃の恒温器中で3時間冷却し、次いで50±3℃の別の恒温器中で3時間加湿する(左記の操作を1サイクルという)。工法毎に定められたサイクル数(日数)を実施する。
供試体(標準条件)
供試体(多湿条件)
供試体(水中条件)
供試体(低温条件)
供試体(乾湿繰り返し条件)
供試体(温冷繰り返し条件)
供試体の作製及び試験
※基盤Aを用いて供試体を作成し、標準状態に置いた後、乾湿を繰り返し、試験を行う
※基盤Aを用いて供試体を作成し、標準状態に置いた後、温冷を繰り返し、試験を行う
⇒乾湿繰り返し条件の試験及び温冷繰り返し条件の試験は、各条件の供試体作製へ続く
※基盤Aを用いて供試体を作成し、 標準状態に置いた後、試験を行う
※基盤Bを用いて供試体を作成し、 多湿状態に置いた後、試験を行う
※基盤Bを用いて供試体を作成し、 水中状態に置いた後、試験を行う
※基盤Cを用いて供試体を作成し、 低温状態に置いた後、試験を行う
7日間
0
28[4週]
温度20±2℃RH50%以上
10(日)
巻末-10
*1 標準モルタル供試体は、JIS R 5201-1997「セメントの物理試験方法」に基づき作製する。*2 標準モルタル供試体と表面被覆材の供試体は同時に試験を行う。*3 表面被覆材の供試体は、コンクリート板等で調整し、厚さ40㎜を確保する。また、吸水により膨潤する材料は使用不可。
水砂噴流摩耗(耐摩耗)試験は以下によるほか、表面被覆材の水流摩耗試験方法(案)に準拠するものとする。
耐摩耗性試験
標準モルタル供試体の作製及び試験
28日間
図-4 「表面被覆材の水砂噴流摩耗試験方法(案)」の養生条件
[4週]0 28
温度23±2℃、RH50±5%脱型*3養生条件
(日)
(気中)
[4週]0 28
(日)
養生条件 脱型*1 温度23±2℃、RH50±5%
供試体の作製及び試験
試験実施*2
(気中) 試験実施*2
28日間
巻末-11
*1 供試体の養生は、同規格の標準状態(温度20±2℃、RH50±5%)で行うものとする。
一体化性試験
図-5 JSCE-K 561 「コンクリート構造物用断面修復材の試験方法(案)」の養生条件
0 1
供試体の作製及び試験
(日)
養生条件
圧縮強度(一体化性)試験は以下によるほか、JSCE-K 561 に準拠するものとする。
28[4週]
0
温度20±2℃RH50%以上
(日)
試料静置
(容器)
24時間以上
試験実施(気中)
28日間
温度20±2℃RH50%以上
(気中)
練り混ぜ
脱型 温度20±2℃、RH50±5%*1
巻末-12
*1 東・中・西日本高速道路株式会社「構造物施工管理要領」(平成23年7月)における断面修復の性能照査「硬化収縮性」を参考に、温度23±2℃、RH50±5%)で行うものとする。
養生条件
脱型 温度20±2℃、RH50±5%*1
温度20±2℃
RH50%以上*1
(気中)
測定
成型
(気中)
2日間
↑ 基長測定
26日間
温度23±2℃
RH50±5%*1
寸法安定性試験
図-6 JIS A 1129 「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法」の養生条件
材齢 2(日)
供試体の作製及び試験
[4週]0
長さ変化率(寸法安定性)試験は以下によるほか、JIS A 1129 に準拠するものとする。
1 28
巻末-13
養生条件
*4 試験の終了は300サイクルとするが、それまでに相対動弾性係数が60%以下になったものはそのサイクルで終了とする。
*1 JIS A 1132 の7.型枠の取り外し及び養生による。*2 各サイクルにおける供試体の中心部の最高及び最低温度は、それぞれ5±2℃及び-18±2℃の範囲内になければならない。
*3 凍結融解1サイクルに要する時間のうち、融解行程に要する時間は、A法の場合には25%以上とする。 また、供試体の中心温度が3℃~-16℃に下がるのに要する時間は、凍結行程に要する時間の1/2以下になってはならない。 同様に-16℃~3℃に上がるのに要する時間は、融解行程に要する時間の1/2になってはならない。
水中養生後、試験開
始前
2回目以降の測定は、融解行程終了直後に行う
測定 測定
16時間~3日 25日~27日と8hr
測定 測定
同左。300サイクル又は相対動弾性
係数が60%以下まで測定する。*436サイクル越え
ない間隔同左 同左
(水中)
(日)
16hr以上3日間以内に脱
型*1
耐凍害性試験
図-7 JIS A 1148 「コンクリートの凍結融解試験方法」の養生条件
材齢 0 28[4週]
3
凍結融解(耐凍害性)試験は以下によるほか、JIS A 1148 に準拠するものとする。
供試体の作製及び試験
凍結融解1サイクルは、供試体の中心部温度*2が、通常5℃~-18℃に下がり、また、-18℃~5℃に上がるものとする。
凍結融解1サイクルに要する時間*3は、3時間以上、4時間以内でなければならない。
温度20±2℃の水槽中
巻末-14
*1 試験用基板の作製は、JSCE-K 511の4.1(試験用基板)に準拠する。*2 JSCE-K 511に準拠し、作製した基板、下地処理材、不陸調整材、主材、仕上げ材の試料を静置する
28日
試験実施
温度23±2℃(気中)
供試体の作製及び試験
養生条件
28
[4週]
基盤に塗布
温度23±2℃、RH50±5%
(気中)
0
(日)
試験基板の作製*1
0
1日 6日 7日
[1週] [2週]14
脱型
養生条件
(日)
ひび割れ追従性試験
図-8 JSCE-K 532 「表面被覆材のひび割れ追従性試験方法(案)」の養生条件ひび割れ追従性試験は以下によるほか、JSCE-K 532に準拠するものとする。
(気中)
1日
温度20±2℃、RH80%以上
温度20±2℃温度23±2℃、RH50±5%
温度23±2℃、RH50±
5%*2
1 7 15
(水中) (気中) (気中)