Post on 07-Dec-2014
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企業によるメディア構築の重要性
2008/3/31Takeshi KOUNO.
~キャンペーンサイトのその先へ~
自己紹介
• 河野武 / KOUNO Takeshi– 1974年7月3日生まれ。立命館大学経済学部卒。コミュニケーション・デザイナー。
– 1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーランスとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役
兼COOを務める。2005年から2007年までシックス・アパート株式会社のマーケティング担当執行役
員を務める。現在は、ブックオフオンライン株式会
社取締役のほか、ウノウ株式会社アドバイザーな
ど数社の顧問・アドバイザーを務める。
今日のメニュー
23コミュニケーションは持続しているか
企業によるメディア構築の重要性
1 その広告費の配分は適正か
でははじめます
その広告費の
配分は適正か
1
日本の広告費
日本の広告費(媒体別、年度推移)
日本の広告費(媒体別)
※改訂部分
・ 雑誌広告費に業界紙、専門誌、会員誌、ローカルタウン誌を追加
・ インターネット広告費に制作費を推計
電通調べによる「日本の広告費」によれば
• テレビ広告費は1兆9,981億円
– うち、テレビCM制作費は2,026億円• つまり媒体費は1兆7,955億円
• インターネット広告費は6,003億円
–媒体費は4,591億円、前年比126.5%• モバイル広告費621億円、検索連動広告費1,282億円
–制作費は1,412億円、前年比118.1%• キャンペーンサイトやバナー制作にかかるコスト
広告予算の大半は媒体費
グラフにするとこんな感じ
10%
90%
76%
24%
テレビ
インターネット
02,0004,0006,0008,000
10,00012,00014,00016,00018,000
テレビ インターネット
制作費
媒体費
繰り返します
広告予算の
大半は媒体費
という現実
考えてみれば当たり前
• そもそもメディア(媒体)とは、多くの人々に
メッセージを届ける「場」
–認知を獲得するために場を借りるんだから、媒体費がかかるのはしょうがない
• サイトを立ち上げても誰も見に来ない問題–本当にその認知は必要?
• 本当にそのターゲットは適切?• そのメディア、その時間帯、そのバナー枠で大丈夫?
– 媒体の変更でCTRが数倍になることはよくある
–制作費と媒体費のバランスは適切?• 1万円で作ったバナーを100万円の枠に掲載してない?
– クリエイティブの差でCTRが数倍になることはよくある
御社の広告費のうち、
媒体費の占める
割合は適正ですか?
媒体費を使わなくても
認知を獲得した事例
BMW Films(BMW)
BMW Films(BMW)
• 2001年にBMWが展開した「BMW Films」–有名監督による短編映画を公開
• プロダクト・プレースメントとして、BMWのクルマをフォーカスした映画を公開
• ブランデッド・エンターテインメントの代表例として有名–媒体費をほぼゼロにした
• ケーブルTVでの放送と一部紙媒体に広告出稿した以外は、あとはクチコミとBMWサイトからの誘導のみ
BMW Films(BMW)
• 2001年にBMWが展開した「BMW Films」–有名監督による短編映画を公開
• プロダクト・プレースメントとして、BMWのクルマをフォーカスした映画を公開
• ブランデッド・エンターテインメントの代表例として有名–媒体費をほぼゼロにした
• ケーブルTVでの放送と一部紙媒体に広告出稿した以外は、あとはクチコミとBMWサイトからの誘導のみ
「キャンペーンサイトを作っただけでは誰も見に来ない」
問題は、クチコミと企業サイトからの誘導で解決
(BMWの場合、UUが55%アップした)
Dove evolution(ユニリーバ)
Dove evolution(ユニリーバ)
• Real beauty キャンペーン• YouTubeにクリップを公開–つまり媒体費をゼロに–公開から1ヶ月で、約200万回の再生
• 最終的には500万回以上の再生– クチコミされ、テレビ番組等でも取り上げられる
• 売上にも貢献
–購入層のリピーター比率は、3年前の1/3から2/3まで増加した
Dove evolution(ユニリーバ)
• Real beauty キャンペーン• YouTubeにクリップを公開–つまり媒体費をゼロに–公開から1ヶ月で、約200万回の再生
• 最終的には500万回以上の再生– クチコミされ、テレビ番組等でも取り上げられる
• 売上にも貢献
–購入層のリピーター比率は、3年前の1/3から2/3まで増加した
Doveの場合、YouTubeという人の集まるサイトに露出し、そこから先は100%クチコミだけで広まったパターン
広告の媒体費と制作費の逆転
• USでは、数年前から媒体費をかけずに展開
するキャンペーンが登場している
–制作費はケチらず、むしろネット広告では高額• いま考えなければならないこと
–媒体費を現在の半分の金額にすると、効果も半分になるのだろうか?
–媒体費の一部を制作費にまわすことで、より大きな効果を得られないのだろうか?
もちろん簡単に真似することは
できないが、ここにヒントがあるかも
その広告費の配分は適正か
企業の広告費のうち、
大半は媒体費である現実
その配分が最適かは
今一度考える必要がある
(制作費や広報活動費にまわすべきでは?)
コミュニケーションは
持続しているか
2
はじめに定義
コミュニケーション
?
コミュニケーションとはなんなのか
• とりあえずブログに書いた定義
コミュニケーションの数値化は難しい
• たしかにコミュニケーション、ユーザーとの距離
の数値化は難しい
• 距離が近づくと何が起こるか
–声に出して言ってくれる(メール、ブログ�)• 文句を言うためじゃなく、改善のために伝えてくれる
• 実際に経験した例
– ビーケーワンの例• 新サービスの提案をしていただいた
–ブックオフオンラインの例• サービスの改善点や代品手配のフローの不備を指摘していただいた
コミュニケーションとは(今日の定義)
消費者の声を企業に、
企業の声を消費者に、
100%届けあえる関係を築くこと
広告や広報で伝わるか
広告や広報活動ですべて伝わってる?
ここで会場のみなさんに質問
伝わってない伝わってる
正正 正
正正
正
広告や広報
の限界
広告の長所、広報の長所
広報
広告
コスト爆発力確実性
広告にも広報にも長所短所がある
伝わらない、届いてない現実
• 広告で伝わるか
– とにかくお金がかかる–放映、掲載が終わった瞬間に忘れられる
• もちろんCMの出来にもよる• 広報で伝わるか
–掲載されるかはメディア次第• 有名企業でもない限り、なかなか露出しない
– どんなふうに掲載されるかコントロールできない
ある程度は相互補完の関係
ただ、両方の短所もある
広告と広報に共通した短所
一番の問題は
持続しないこと
広告と広報の持続力
広報
広告
持続力コスト爆発力確実性
広告も広報も刹那的な効果しかない
持続しないコミュニケーション
• テレビCMを流しても、新聞に取材されても、
そのときだけしか盛り上がらない
–広告も広報も花火でしかない• 毎回お金をかけるのか?
• コミュニケーションは持続したほうがいい
–もっと長期間の関係を築きたい• 半年後、1年後も続くコミュニケーション
–短期的な購入者を増やす考え方よりも、長期的なファンを増やす考え方
そこにインターネットが活かせないか
コミュニケーションは持続しているか
従来の広告でも広報でも
持続するコミュニケーションは
達成できていない現実
持続性を確立するために
ネットを活用できないか
企業による
メディア構築の重要性
3
なにげに多い
企業サイトのアクセス数
なにげに多い企業サイトのアクセス数
• でも、ユーザーは必要な時にしか来訪しない
–流入経路の大半は検索エンジン• だから SEO、SEM に頼り続ける始末
– カタログでしかないからリピートしない• そもそも更新されるのがリリースや障害情報くらい?
• このアクセス数を活かしたい
–継続的に来訪してもらえるコンテンツ(自社メディア)を企業自ら運営できないか?
• 企業サイト内でも、企業サイトから誘導でもいい–広告費(とくに媒体費)を企業サイトの制作費や運営費にまわしたほうが売上に繋がらないか?
自社メディアの優位性
広告でもなく、広報でもなく
自社メディア
広報
広告
持続力コスト爆発力確実性
広告でもなく、広報でもなく
自社メディア
広報
広告
持続力コスト爆発力確実性
これまでに取り組んできた自社メディア
• メルマガ–顧客のリピート率の向上
• ブログ–顧客のロイヤリティ向上–顧客ネットワークの可視化
• キャンペーンサイト–新規顧客を獲得
下に行くほど不特定多数にリーチ
何が足りなかったのか
• これまでの自社メディアの不満点
– メルマガやブログはコンテンツが貧弱• 継続性という点では悪くない• そもそも予算が少ないのでテキストが中心• 企業と消費者の距離を近づけた貢献は大きい
–キャンペーンサイトは金はかかる• 豪勢でアクセスが集まるのは良いことだが、キャンペーンのたびに広告を出稿している
• テレビCMなど、既存メディアにはできなかったコミュニケーションが築けることを証明した
そこそこのコストで、消費者との関係を長期間
持続できるサイトを構築できないものか
キャンペーンサイトの例
最初に言っときますが、
こういうキャンペーンサイトを
ぼくは好きです(ほんと)
Subservient Chicken(バーガーキング)
ニワトリに命令するといろいろ動く
シンプルながら隠しコマンド的なクチコミ要素
Subservient Chicken(バーガーキング)
• 「おもしろい」だけではダメ–ゲームは飽きる
• ひとりが何度もやらない• クチコミの爆発力はすごかった
– これは「キャンペーンサイト」の成功例• 売上にも繋がったらしい
ケチャップリポート(ハインツ)
逆さケチャップをユーザーが利用している
ビデオクリップを57本公開
ケチャップリポート(ハインツ)
• 全部見たら終わり
–動画を見終わったら何をする?• 実際にはCGCMの募集があった
• これを見た人はメーカー名を記憶してるのか
–ケチャップといったらカゴメをひっくり返せるのか• 逆さケチャップとして認知されるからいいのかな
–その結果、売上が増加するのかが問題
これらは自社メディアではない(正確には一部でしかない)
自社メディア≠キャンペーンサイト
自社メディア≠キャンペーンサイト
花火として短期的な売上に
貢献するのがキャンペーンサイト
顧客との関係を継続し、
中長期的な売上に
貢献するのが自社メディア
これは自社メディア?
Bud.tv (アンハイザー・ブッシュ、バドワイザーの会社)
多くのビデオクリップを公開する、企業放送局
ユーザー参加型の投稿コーナーも
Bud.tv (アンハイザー・ブッシュ)
• 自社メディアだと思う
–個人的には大好きな試み• でもBud.tvは苦戦しているらしい–登録制とか、閉じているという根本的な部分–アンハイザー・ブッシュ社がやる理由が見えない
• 直接的であれ、間接的であれ、これがバドワイザーの売上にどう結びつくのか
おもしろいサイト、役に立つサイトを運営するのは
悪くないし、スポンサーとしてのブランディング効果は
あるだろうけど、その会社がやる必然性がないと、
ユーザーとの深い関係は築けない
Bud.tv (アンハイザー・ブッシュ)
• 自社メディアだと思う
–個人的には大好きな試み• でもBud.tvは苦戦しているらしい–登録制とか、閉じているという根本的な部分–アンハイザー・ブッシュ社がやる理由が見えない
• 直接的であれ、間接的であれ、これがバドワイザーの売上にどう結びつくのか
おもしろいサイト、役に立つサイトを運営するのは
悪くないし、スポンサーとしてのブランディング効果は
あるだろうけど、その会社がやる必然性がないと、
ユーザーとの深い関係は築けない
ハナサクプロジェクト(リクルート)
たとえばこのサイト、キャンペーンも
なぜリクルートがやるのかがよくわからない
自社メディアを構築する際のポイント
それを自社でやる理由、
つまり売上に繋げる戦略がないと
企業がやる意味がない
(YouTubeに広告を出せばいい)実はユーザーもそのほうが必然性があるので
企業名とセットで記憶できるし愛着もわく
ここだけの話
• ブックオフオンラインではBud.tv的なメディア構築を検討している
–提供するコンテンツは、マンガの紹介や、新作ゲーム、DVD等の紹介をするビデオクリップ• 月イチくらいでライブ放送も
–紹介するのは新品でかまわない• 一次流通を活性化しない限り、二次流通(中古市場)に商品が流れてこなくなるから
• 着メロや電子出版ではなく、CDや本の有形の商品がきちんと売れるように啓蒙、普及に努めたい
–結果的に、ブックオフが儲かればいい
ここだけの話
• ブックオフオンラインではBud.tv的なメディア構築を検討している
–提供するコンテンツは、マンガの紹介や、新作ゲーム、DVD等の紹介をするビデオクリップ• 月イチくらいでライブ放送も
–紹介するのは新品でかまわない• 一次流通を活性化しない限り、二次流通(中古市場)に商品が流れてこなくなるから
• 着メロや電子出版ではなく、CDや本の有形の商品がきちんと売れるように啓蒙、普及に努めたい
–結果的に、ブックオフが儲かればいい
ブックオフが
やる理由
魂胆がバレバレくらいでちょうどいい
キャンペーンサイトのその先へ
あるべき自社メディアのカタチ
• ただ作ってもしょうがない
–自社のビジネスに関係ないなら広告と変わらない–一方的な情報配信なら広報と変わらない
• 日常的に、繰り返して使ってもらえるもの
–便利さ(データベース)、おもしろさ(コンテンツ)–瞬間的なアクセス数は重視すべきでない
• 送客は自社サイトからの誘導とクチコミ• 最終的に自社の売上に貢献できるか
–自社でやる「意味」「意義」について考える–その後も継続できるペースやコストか
• こちらが続けないと、コミュニケーションも持続しない
ヒントになるサイト
レシピ大百科(味の素KK)
10,000種類のレシピのデータベースを公開
サッカーニュース(KONAMI ウイニングイレブン)
サッカーゲームのサイトで
世界のサッカーニュースを毎日配信
その結果、自社の売上に貢献できるのか
• 味の素
– レシピに自社の調味料が入ってる(印刷にも対応)–ユーザー投稿を受け付ければもっといいかも
• ユーザーのほうが詳しいことはよくある• KONAMI–サッカーファンの購入率が高いので彼らに便益を提供することで近づく
– コミュニティを設置すればもっといいかも• ゲーム内の選手データのフィードバックとか
制作費だけではなく、運用コストがかかるんだから
きちんと収益性を考えなければならない
まとめます
企業によるメディア構築の重要性
• 広告費の適正配分
–媒体費の一部を、制作費やサイトの運用費に• 媒体費を1割でも2割でもいいのでカットする勇気
• コミュニケーションの持続性
–広告や広報は持続性において限界がある• 企業自らがメディアを構築しないと持続できない
• 自社メディアを構築する意義
– 「いつもそばに」いられるメディアを• 顧客のために、市場や業界のためにサービスしつつ、それを最終的に自社の利益に結びつけられるか
• 長期間、きちんと運営できる体制と予算を
企業によるメディア構築の重要性
コミュニケーションの本質は
–伝えたい人に–伝えたい内容を–伝えたいタイミングで届けること
そのための「伝える場」が自社メディア
企業自ら用意し、それを維持できれば
最強のコミュニケーションチャネルになる
(結果、広告費も節約できるはず)
御社のチャレンジに
期待しています
thank you!
• ご清聴ありがとうございました
• 興味のある方はぜひご連絡ください
– takeshi@smashmedia.jp– http://smashmedia.jp/blog/–検索してもOKです
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