Post on 18-Jun-2020
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テクニカル分析徹底マスター講座(第8回)
~ 有効なチャートパターンを理解する(1) ~
インベストメントテクノロジーズ(株)
代表取締役 野川 徹
■□■ TRADER WIZARD FOR FUTURES & FOREX ━━━━トレードウィザード FOR フューチャーズ&フォレックス運営会社:インベストメントテクノロジーズ 株式会社
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<テクニカル分析入門>
1.テクニカル分析とは何か
必ず全体像を理解してから細部を理解する(逆は全く駄目)
ファンダメンタル(需給、業績)分析との違いテクニカル分析とは計器飛行見えない相場が見えてくるテクニカル分析以前(かつて情報は全てだった)開発者の考え方を理解する
2.テクニカル分析で使用する要素
①価格 9割以上がこれになる=損益は値動きで発生するから OHLCを加工したもの
②出来高
③時間・日柄
④取組高 先物市場のみ
⑤信用残高 株式のみ
⑥手口情報 外人買い、カテゴリー別取組高、COT
⑦売買内訳 新規売、新規買、転売、買戻=国内商品先物のみ
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3.テクニカル分析の目的別・種類別分類
<トレンドフォロー系> トレンドを定義するための指標移動平均ボリンジャーバンドエンベロープMACD(Moving Average Convergence Divergence)HLバンドスイングHLカギ足モメンタムORB(Opening Range Breakout) *短期ブレイクアウト認識指標
<オシレータ系> 転換点を見出すための指標乖離率ROC(Rate of Change=変化率)ストキャスティックスRSI(Relative Strength Index=相対力指数)
<ボラティリティ> 変動幅、過熱状態を見出すための指標ボラティリティ(標準偏差)ボラティリティ(HLバンド、ATR、H-L、C-C、O-C、C-O)VIXプット/コール レシオ
<パターン系、その他> 値動きや指標のパターンにより転換点やブレイクアウトポイントを見出そうとするもの各種チャートパターンエリオットウェーブ(フィボナッチ=38.2%、50%、61.8%=5:8) 1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233
<内部エネルギー系> 値動き以外を用いた指標(過熱状態を見出すための指標)出来高移動平均出来高%
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4.テクニカル分析の歴史
<国産テクニカル分析> ほとんどがトレンドフォロー系
①とめ足(星足)
②ローソク足
③パターン → 酒田五法(本間宗久=江戸時代後期の米相場で活躍)
④カギ足 → 柴田罫線(カギ足パターンの最適化)
⑤新値足
⑥練行足 → 日本版P&F
⑦コマ足 → 日本版移動平均
⑧一目均衡表
<外国産テクニカル分析>
テクニカル分析の西洋化
第一次 : 移動平均 → グランビルの法則 トレンドの概念
第二次 : RSI(相対力指数) ワイルダー オシレータの概念
第三次 : ボリンジャーバンド バンドの概念
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<チャートパターンのマスター>
■ チャートパターンとは
足の本数で区別
足の組み合わせには通常1~5本程度が使用される
足は、日足だけとは限らない(分足、時間足、週足でも可能)
それぞれの足のOHLCの位置関係の組み合わせでチャートパターンを認識
チャートパターンを組み合わせることで様々な売買戦略の構築が可能となる
短期売買の戦略に用いる指標としては、非常に効果が高い(長期の戦略には不向き)
■ 有効なチャートパターンの種類
①1本の足のOHLCの位置関係による有効なパターン = 長大線、極小線 (陰陽の区別あり)
(長大線) (極小線)
課題 :
* 何故チャートパターンは長期の戦略には不向きなのか?
* 長大線と極小線を実際に自分で定義してみよう(これが基本だが意外に難しい)
ヒント: 「何が、何に対して、どのように」 長大か極小かを定義する必要がある
* 何故、長大線と極小線がパターンとして有効なのか?
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<長大陽線の定義方法の例>
陽線=終値が始値より高い=C>O
AND
①当日のC-Oレンジが、 当日のHLレンジに対して、A%以上 → C-O>=(H-L)×A%
②当日のC-Oレンジが、 前日終値に対して、A%以上 → C-O>=C[1] ×A%
③当日のC-Oレンジが、 前日時点のHLレンジn日平均に対して、A%以上 → C-O>=Average((H-L),n)[1] ×A%
前日時点のn日平均TR(トゥルーレンジ)に対して、A%以上 → C-O>=ATR(n)[1] ×A%
前日時点のHLバンドの値幅に対して、A%以上 → C-O>=(Max(H,n)[1]-Min(L,n)[1]) ×A%
前日時点のn日間の最大C-O値幅に対して、A%以上 → C-O>=Max(abs(C-O),n)[1] ×A%
実際の定義例としては、①+② あるいは②+③を組み合わせることが多い
課題:
* 長大陰線の例を自分で定義してみる。
* 何故、②を組み合わせる必要があるのか?
* 何故、前日時点のレンジや前日の値に対する%の方が良いのか?
* 長大線と極小線の定義方法で異なる部分は何か?
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②2本の足のOHLCの位置関係による有効なパターン = マド、はらみ足、包み足、連続足(陰陽の区別あり)
<マドの定義方法>①上マド=本日寄付が、前日高値よりも、(n刻み、or ****に対してA%)高く寄り付いた
②下マド=本日寄付が、前日安値よりも、(n刻み、or ****に対してA%)低く寄り付いた
課題:
* 前日の陰陽は関係ないのか?
* 前日の線の長さは関係ないのか?
* 前日の終値の、過去n日間のレンジにおける位置関係は、関係ないのか?
* 当日の始値の、過去n日間のレンジにおける位置関係は、関係ないのか?
<はらみ足=NR(Narrow Range)の定義方法>①本日HLレンジが、前日HLレンジよりも、(n刻み、or ****に対するA%より)小さい
<包み足=WR(Wide Range)の定義方法>①本日HLレンジが、前日HLレンジよりも、(n刻み、or ****に対するA%より)大きい
<連続足の定義方法>①本日と前日の線の陰陽が同じ
③3本以上の足のOHLCの位置関係による有効なパターン = マド、NR、WR、連続足(陰陽の区別あり)
3本以上の線の組み合わせは、2本の線の組み合わせの応用に過ぎない
<チャートパターンを利用した売買戦略>
1. ウップス(Oops)、TDオープンn
①開発者
ラリー・ウィリアムズ(ウップス)、トム・デマーク(TDオープン)
②定義
新規売 = 上マドが空いた後、前日の高値よりn刻み下回ったら売りエントリー
新規買 = 下マドが空いた後、前日の安値よりn刻み上回ったら買いエントリー
* TDオープンは、前日の高値と安値を、n日前の高値、安値と読み替える
手仕舞い =
・当日の大引け・翌日の寄り付き・翌日の大引け・最初に利の乗った寄り付き・利益目標(前日安値等)達成時・損切り水準(当日エントリー前の高値(売)、安値(買)等)を超えた時
③使用目的
逆張りの短期売買
④何故機能するか
マドが空いたということは、前日大引けから当日寄り付きまでの間に、何らかのサプライズが発生し、オーバーシュート状態となるため
⑤長所
ロジックがシンプルなので、過剰最適化リスクは低い
⑥短所
広く知れ渡ってしまったので、機能し辛くなってきている
電子取引で24時間取引となった市場ではギャップ(マド)が発生しない
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ウップスの図解(下記は売りの例を示したもの)
始値
高値
マド<デイトレードの場合の基本ルール確認>
・前日の線は陰線でも陽線でも構わない・前日の高値に対し、本日の始値がマドを空けて寄り付く・前日の高値のn刻み下に入ってきたら売りエントリー・ストップロスは、エントリー前につけた当日の高値を超えたポイントに置く・損切りになった後、再度前日高値を下回ってきた場合、再エントリーしても良い・通常は大引けで手仕舞い・利食い目標の指値を置く場合は、前日安値を下回ったあたり
<勝率を高めるための考察ポイント>
①前日の値動きがどういうものであれば良いか例:長大陽線、終値の値位置がその日の値動きの80%以上
②マドの幅はどのようなものが良いか例:10日平均HLレンジのX%以上
③エントリーの逆指値は、前日高値から何刻み下が良いか例:0刻み、1刻み、2刻み・・・、10日平均HLレンジのX%
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TDオープン2の図解(下記は売りの例を示したもの)
始値
高値
マド
<デイトレードの場合の基本ルール確認>
・前々日の線は陰線でも陽線でも構わない・前々日の高値に対し、本日の始値がマドを空けて寄り付く・前々日の高値のn刻み下に入ってきたら売りエントリー・ストップロスは、エントリー前につけた当日の高値を超えたポイントに置く・損切りになった後、再度前々日高値を下回ってきた場合、再エントリーしても良い・通常は大引けで手仕舞い・利食い目標の指値を置く場合は、前日安値を下回ったあたり
<勝率を高めるための考察ポイント>
①前々日の値動きがどういうものであれば良いか例:長大陽線、終値の値位置がその日の値動きの80%以上
②前日の値位置や値動きがどういうものであれば良いか例:前々日高値>前日高値、はらみ足
③マドの幅はどのようなものが良いか例:10日平均HLレンジのX%以上
④エントリーの逆指値は、前日高値から何刻み下が良いか例:0刻み、1刻み、2刻み・・・、10日平均HLレンジのX%
パターン1
<パターン1解説>・前々日高値>前日高値・本日寄付>前々日高値・前々日高値を下回った
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TDオープン2 その他のパターン図解(下記は売りの例を示したもの)
始値
高値
マド
マド
高値
始値
パターン2 パターン3
<パターン別考察>
・パターン1は発生率が意外に低い・パターン2はエネルギー的にあまり意味がない・パターン3が最も有効に機能するように思う(三線宵の明星、明けの明星と同じ意味を持つ)
<パターン3解説>・前々日高値<前日安値・前々日高値<本日寄付<前日安値・前日高値(終値)>本日高値・前々日高値を下回った
<パターン2解説>・前日安値<前々日高値<前日高値・前々日高値<本日寄付<前日高値・前々日高値を下回った
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ウップスの発生日(青丸)
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ウップスの発生日(青丸)
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ウップスの発生日(青丸)
TDオープン2(パターン3)の発生日(緑丸)
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ウップスの発生日
TDオープン2(パターン3)の発生日(緑丸)
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TDオープン2(パターン3)の発生日(緑丸)
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ウップス(オリジナル) 日経225先物
売り&買い
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買いのみ
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売りのみ
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売り&買い
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買いのみ
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売りのみ
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ウップス(オリジナル+130円Stop) 日経225先物
売り&買い
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買いのみ
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売りのみ
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売り&買い
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買いのみ
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売りのみ
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2. 条件定義の仕方
□ が □ に対し(どのように)(%、円)
<例>
■ 本日終値が移動平均に対し3%以上■ 本日始値が本日終値より上■ 終値が20日Hバンドを上抜く
上記のように複数の条件定義をANDとORで組み合わせていくことで、売買システムが完成する
上抜く
より上
以上
同じ
以下
より下
下抜く
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『先物市場のテクニカル分析』 ジョン J.マーフィー 著 (きんざい)
*テクニカル分析を理解するためのバイブルですので、購入して何度も熟読することを勧めます。
当セミナーは、基本的にこの書籍の内容に沿って進みます。
『マーケットの魔術師』 『新マーケットの魔術師』 ジャック・シュワッガー(パンローリング)
*相場の本質を理解するためのバイブルです。偉大なトレーダー達の思考が理解できます。必読!
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』 カーティス・フェイス(徳間書店)
*トレンドフォローを理解するには最適の書籍。
マネーマネジメント、ポートフォリオ管理は非常に参考になる。
『ロジカルトレーダー』 マーク・B・フィッシャー(パンローリング)
*ORB (Opening Range Breakout)を理解するには最適の書籍。
『ヘッジファンドの売買技術』 ジェームス・アルタッチャー(パンローリング)
*ヘッジファンドマネージャーが書いた本。本当に通用するシステマティックな売買手法が解説されている。
『ラリー・ウィリアムズの株式必勝法』 ラリー・ウィリアムズ(パンローリング)
*株式を売買する際に、これを知っているのと知らないのとでは大きな違いが出る。
その他お勧めの書籍は下記を参照下さい。
http://www.investechno.com/html/sp_c/menu_book.htm
*当セミナーで使用したチャートソフト(EdgeTrader)は、1ヶ月間無料で試用できます。
(月額利用料=2800円+消費税、 下記HPからダウンロードして下さい)。
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