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宇宙地球科学12014/07/29
林田 清http://wwwxray.ess.sci.osaka-u.ac.jp/~hayasida/
の下の“授業”に資料あり
大阪大学CLEにも同じ資料を置く予定
万有引力と惑星の運動
(近似的に)太陽を中心とする等速円運動
加速度は円の中心方向にv2/r太陽と惑星の間に働く万有引力GMm/r2
運動方程式は
2
2
v mMm Gr r=
質量x加速度=力
θ
y
xM
m
天の川
国立天文台提供http://www.nao.ac.jp/gallery/weekly/2013/20131106-milkyway.html
2014.07.28 2:21 白山室堂にて 撮影 林田
2014.07.28 1:26 白山室堂にて 撮影 林田
2014.07.28 2:57 白山室堂にて 撮影 林田
我々の銀河系 (Our galaxy, Galaxy)
• 太陽は銀河系の中心から約8kpc (25000光年)
• 直径30kpc• 恒星の数はおよそ1011個
• 恒星と恒星の空間には希薄なガスが存在する
宇宙開発事業団提供
想像図
Credit for Hubble Image: NASA, ESA, K. Kuntz (JHU), F. Bresolin (University of Hawaii), J. Trauger(Jet Propulsion Lab), J. Mould (NOAO), Y.-H. Chu (University of Illinois, Urbana), and STScI
M101
Image Credit: NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (STScI)
衝突中の銀河NGC 2207 and IC2163
(我々の)銀河の回転曲線
銀河系の中の星やガスの回転速度。
太陽系はr=8kpc, v=220km/s。
銀河系中心からの距離r (kpc)
回転速度
v (k
m/s
)
図はCopyright 2008 Peason Education, Inc.
M33の回転曲線
© M33 Image: NOAO, AURA, NSF, T.A.Rectorhttp://www.learner.org/courses/physics/unit/text.html?unit=10&secNum=2
𝑚𝑚𝑣𝑣2
𝑟𝑟= 𝐺𝐺
𝑚𝑚𝑚𝑚(< 𝑟𝑟)𝑟𝑟2
𝑣𝑣 = 𝐺𝐺𝑚𝑚(< 𝑟𝑟)/𝑟𝑟
もしある半径𝑅𝑅より内側だけに質量が分布していれば、
一方、回転速度が𝑟𝑟によら
ず一定であるためには、𝑚𝑚(< 𝑟𝑟) ∝ 𝑟𝑟に従って遠方まで質量が分布していなかればいけない
恒星と星間ガスのような”光を出す質量”以外にその約10倍くらいの量の”暗黒物質”が必要
𝑣𝑣 = 𝐺𝐺𝑚𝑚(< 𝑅𝑅)/𝑟𝑟
r(kpc)
暗黒物質の候補
1. 褐色惑星:太陽の1/10以下の星。 内部で核融合反応を起こさない。
2. ブラックホール
3. 質量をもつニュートリノ:質量がゼロでない証拠が実験などで得られたが、結果として寄与が小さいことがわかった。
4. その他の未知の(質量の大きい)素粒子
暗黒物質の正体は何か? 未解決の大問題!
半径によらない一定の速度(異なる角速度)で渦のパターンも回転していたら、すぐに渦が巻き込まれてしまう
銀河系の渦パターンは密度波
ドップラー効果と赤方偏移
運動している物体から発する音の高さ、光の波長がずれること
ct
vt
0
/
( ) /
/ 1 ( / )
t n
ctct n
nct vt
c v t n
v c
λ
λ
λ λ
=
+
= +
≡ = +
0
光源が時間の間に 個の波を出す。
ので
波列全体の長さは 、光源に
おける波長は
同じ 個の波列の長さは受け取る側
では となる。 従って観測さ
れる波長は
赤方偏移z
光速はどの系でみても
として
1+z
等しい
ムービーは裳華房宇宙スペクトル博物館体験版http://www.shokabo.co.jp/sample/labo/redshift/redshift.htmより
光の波長が長い方にずれて観測されること
(但しここでは特殊相対論的効果を無視している)
銀河のスペクトルと赤方偏移(redshift)
http://galaxy.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/cd-rom/galaxy/normal/KUG.htmより
ハッブルの法則
銀河の距離(d)と後退速度(v)の間の比例関係(1929年E.Hubble)
v=H0d H0ハッブル定数
H0~50-100km/s/Mpc
HSTによるセファイド変光星の観測H0=75+-10km/s/Mpc
© 2001. The American Astronomical Society Freedman et al., 2001, ApJ553, p.47.http://aas.nao.ac.jp/ApJ/journal/issues/ApJ/v553n1/52417/52417.figures.htmlより
銀河までの距離d(Mpc)
後退速度
v(km
/s)
膨張宇宙のモデル
ハッブルの法則
我々の銀河系が宇宙の中心か?
宇宙全体が一様に膨張していればよい。
http://www.mhhe.com/physsci/astronomy/arny/instructor/graphics/ch17/1702.htmlよりCopyright ©1999 The McGraw-Hill Companies
宇宙膨張による赤方変移
http://www.mhhe.com/physsci/astronomy/arny/instructor/graphics/ch17/1708.htmlよりCopyright ©1999 The McGraw-Hill Companies
宇宙膨張に伴い銀河と銀河の距離は
遠ざかっていく。光の波長も(ドップラー効果により)長くなっていく。
原子の大きさ、人間の大きさ、星の大きさ、銀河の大きさなどは?大きくならない。
これらは宇宙全体の重力以外の力が支配的。
宇宙マイクロ波背景放射
1965年ペンジアスとウィルソン マイクロ波背景放射の発見
絶対温度3Kの黒体放射に相当する電波強度で全天から一様な放射
3000K (宇宙の晴れ上がり)の時代に放射された光が宇宙膨張によって波長が1000倍に引き伸ばされたもの
ビッグバン宇宙の証拠のひとつ
宇宙背景放射のスペクトル
http://map.gsfc.nasa.gov/m_uni/uni_101bbtest3.html より
温度が高いほど波長が短い温度が高いほど光の強度が強い全波長範囲で積分すると𝜎𝜎𝑇𝑇4
可視光線 赤外線 電波紫外線X線
黒体輻射のスペクトル
恒星の絶対光度は𝐿𝐿 = 4𝜋𝜋𝑅𝑅2𝜎𝜎𝑇𝑇4
𝑅𝑅は恒星の半径𝑇𝑇は恒星の表面温度
10-10
10-6
10-2
102
106
1010
1014
10-2 10-1 100 101 102 103 104 105
T=30K
T=300K
T=3000K
T=30000K
W(W/m2 /
µm)
波長(µm)
23
マイクロ波背景放射の揺らぎの観測WMAPと宇宙論パラメータ
宇宙の年齢 137億年(1%の誤差)
宇宙の密度:4%バリオン(原子)、23%暗黒物質、73%ダークエネルギー
NASA WMAP ホームページhttp://map.gsfc.nasa.gov/m_mm.html より
マイクロ波背景放射の起源
WMAPチーム,NASA提供
遠方からの光ほど我々に届くのに時間がかかる。様々な年代の宇宙が視線方向に重ねてみえている。3000Kだった時代の宇宙の放射が、宇宙の1000倍の膨張に伴い、現在、3Kの黒体輻射のスペクトルをもつマイクロ波背景放射として観測されている。