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支 援 機 関 指 導 員 の た め のデ ザ イ ン 支 援 ハ ン ド ブ ッ ク

発行:中小機構 支援体制サポート室 ※無断転載・複製を禁ず

商品開発とデザイン

支 援 機 関 指 導 員 の た め の

D E S I G N支援ハンドブック

第2回

H25

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【別添・記入シート付き】

① Xxxxxxxxxxxxxxxxx

② Xxxxxxxxxxxx

第2回は、第1回に引き続きデザインの基礎知識の解説を行います。特にプ

ロダクトデザインにおいては、商品開発プロセスモデルによりデザイナーの役

割も大きく異なるため、代表的なモデルについて説明します。

まずは、事業戦略におけるデザインの位置づけを俯瞰し、商品開発プロセス

の3つのモデルにおけるデザインやデザイナーの役割について説明します。

①プロダクトアウトによる“製品開発”プロセス

②マーケットインによる“商品開発”プロセス

③『問題解決のためのデザイン』プロセス

次に、標準的なデザインプロセスを示し、近年求められているプロデュース

機能と支援者の役割などを説明します。

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1. 商品開発プロセスとデザイン

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(1)戦略とデザインの関係

デザインについて考える前に、デザインの位置づけを確認しておきましょう。

デザインは商品開発の1プロセスですが、商品開発自体は事業戦略のもとに組み立てられるべきものです。従って、デザイン導入も事業戦略と一緒に行わなければ効果が上がりません。

デザイン支援を行う際には、事業戦略全体の聴き取りを行い、支援先企業がどのような戦略を講じるつもりか確認をする必要があります。

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事業戦略

事業戦略

商品戦略

商品企画

生 産

販売戦略

デザインワーク

商 品 開 発

経営理念

経営ビジョン

全社戦略

第2回 「商品開発とデザインプロセス」

■デザインと営業・広報戦略の関係性

デザイン導入と同時に、商品と連動した営業・広報戦略を策定・実施した場合は、実施しなかった場合に比べて、従来よりも高価格帯での価格設定に関して効果があったとの調査結果があります。※

この結果から、<商品デザインによる高価格での価格設定を目指す場合には、同時に、商品と連動した営業・広報戦略の策定を実施すると、より効果が上がる。>と言うことができ、事業戦略全体の中でのデザイン導入の重要性を示しています。

※(財)産業研究所『デザイン導入の効果測定等に関する調査研究』 グッドデザイン賞受賞企業に対するアンケート調査結果から

ポイント

デザイン導入は単独で行っても効果は薄い。事業戦略の中に位置づける。 商品開発担当部署のみの活動ではなく、他の部署との連携による活動であると

捉え、営業や広報などに関する支援も行う方が良い結果を得られる。

事業戦略 事業戦略

デザイン 事業戦略 + 高付加価値等の効果

導入 有り 有り

導入 無し 無し/限定的

経営指導員など支援者は、右図のプロセスを念頭に、支援先企業が強化すべき項目を分析し、支援計画を立てる必要があります。

同時に、経営理念や経営ビジョンとの整合性のチェックも重要です。

一口 メモ

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一口メモ

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(2)商品開発プロセスのモデルとデザイナーの役割

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① プロダクトアウトによる“製品開発”プロセス

第2回 「商品開発とデザインプロセス」

企業の持つ技術などのシーズを出発点とし、開発→製造→マーケティングへと進む直線的なプロセスで、経済成長時に多くの企業が採用していた開発手法です。作られるものも、ユーザーへの売買目的の“商品”というより、企業が製造する“製品”の意味合いが強く、大量生産によって市場に製品供給を行うのに適したモデルです。このような開発プロセスにおいては、通常、商品コンセプトは技術者を中心とした研究・開発部門などが担当し、デザイナーは製品基本設計から参画し、スタイリングやモデリングを担当します。

80年代に入ってから、後述するマーケットインによる商品開発プロセスの重要性が謳われるようになりましたが、本モデルは決して有効性がなくなったわけではなく、消費者の新しいニーズを切り開く提案力・イノベーション力のある企業には適したプロセスです。

企画・コンセプト

詳細設計

技術

市場

構想設計

デザイン

試作

実験・評価

工程設計

作業設計

生産 モ

デリング

デザイナー

コンセプト設計 製品基本計画 製品エンジニアリング 工程エンジニアリング

市 場

チャネル

(販路)選択

マーケティング

製 造

■イノベーション(革新性)が生み出す新しい市場

プロダクトアウトによる開発プロセスは、顧客ニーズがはっきりしていない市場導入期においては、新製品のコンセプトがユーザーニーズを形成して新市場を創出する可能性があります。下記は代表的な成功事例です。

電子レンジ:レーダー開発のための技術が転用されて開発された。販売当初の60~70年代半ばまでは消費者理解が得られなかったが、現在では家庭の必需品となっている。

SONYのウォークマン:録音機能を省いて再生機能のみに絞り込むことで、携帯できる小型音楽プレーヤーを開発し、「音楽を持ち歩ける」生活スタイルを生み出した。

ポイント

それまで市場に存在しないような新しい製品やサービス(イノベーション)を市場に提案し、潜在的なユーザーニーズを具現化する場合に有効である。

「イノベーション」とは、必ずしも技術的な革新性とは限らない。ユーザーにとっての革新性があればよい。

Appleの「iPhone」:優れたインターフェイスとデザインにより、パーソナルな携帯端末として、ユーザーのニーズを喚起し、他社による近似製品の開発を促した。

市場への製品供給・市場創出

商品開発プロセスには、複数のモデルがあります。ここでは、技術や製品を起点として開発するプロセスとユーザーニーズに応える商品を開発しようとするプロセス、そして、その考え方を発展させ、デザインで問題解決を図るとする3つのプロセスモデルを紹介します。それぞれのモデルでは、デザイナーの役割が大きく異なることに留意してください。

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第2回 「商品開発とデザインプロセス」

市場が成熟して製品供給が過剰になると、<ユーザーに売れる商品>の開発と供給を目指す「マーケットイン」の考え方が生まれ、ユーザーニーズを起点とした“商品開発”の必要性が提唱されるようになりました。

開発プロセスにも変化が生じ、ユーザーのニーズ調査・分析が起点となり、チャネル(販路)選択は初期の段階からの想定が必要となりました。プロダクトアウトによる製品開発に比べ、開発すべき方向性が明確なので、開発サイクルは短くなるとともに、直線的ではなく、フィードバックによる反復サイクルがでてきました。

このモデルでは、ユーザーが求めるデザインを探りあてるために、デザイナーもコンセプト設計からの参加を求められることが多くなり、関与する領域は拡大します。

② マーケットインによる“商品開発”プロセス

アイデアシーズ

(顧客満足度)=(成果)-(期待値)

要求品質 品質特性

自社 技術

トレンド

知財

法規制

リサーチ マーケティング/商品開発

市場・ユーザー調査

ユーザーニーズの分析

商品化

市場

自社技術

知財・法規制など

チャネル(販路)

ユーザーニーズ コンセプト設計 製品開発

デザイナー

新商品アイデア創出

構想設計

デザイン

モデリング

アイデアスクリーニング

コンセプト開発

コンセプトテスト

市場テスト・評価

市場

■ユーザーが求めるものを発見・開発する商品開発

マーケットインによる商品開発で欠かせないのは、ニーズの収集と分析です。中小企業でも、バイヤーや販路開拓支援事業を活用して、リサーチやテストを重ねた商品開発が望まれます。

コンビニの少量のお弁当:ボリューム感や揚げ物など高カロリーで訴求していたお弁当を、低カロリー素材、少量にして販売。OLや健康を気にする男性のニーズに合致。

消費者リサーチを重ねた食品開発:地域資源の豚肉を使用した冷凍肉まんの商品開発にあたり、首都圏のバイヤーや主婦グループへのインタビューなどリサーチを重ね、食べやすい大きさや、野菜の種類、肉と野菜の割合を決めた。

ポイント

マッチング時や展示会出展時のバイヤーの意見収集や、首都圏の主婦グループとの連携など、中小企業でもできる市場リサーチ手法を考える。

目に見えるユーザーニーズほど競争が激しくなることにも留意する。他社も同じように商品開発を行う結果、差別化要素の少ない横並びの商品が増え、競争が激化する可能性もある。競争を回避するためには、ユーザーニーズに応える商品や手法における自社の独自性を追求し、他社との差別化を図る。

「製品開発」から「商品開発」へ

デルの「BTO(build to order:受注加工組立)モデル」:CPUの種類やメモリ容量などPCの仕様をユーザーが選択できるメーカー直販の製造・販売モデル。従来の見込み生産に対して、受注してから生産→出荷を行うため、完成品在庫を持たず、市場の変化に伴う売れ残りリスクを回避できる。自動車業界でも取組みが始まっている。

セブン-イレブン・ジャパン:POSシステムで販売動向を把握。品揃えやPB商品開発に活かしている。

少量、高付加価値のコンビニのお惣菜:若者ではなく大人を対象とし、内装も変えたコンビニを開店。少量のお惣菜などの品揃えでシニア層のニーズを掴む。

消費者リサーチを重ねた食品開発:地域資源の豚肉を使用した冷凍肉まんの商品開発に、首都圏のバイヤーや主婦にリサーチを重ね、食べやすい大きさや肉と野菜の割合を決めた。

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第2回 「商品開発とデザインプロセス」

「マーケットイン」の考え方を押し進めると、「ユーザーニーズに応えるとは、ユーザーの問題や課題の解決に応えることである。」という見方が出てきます。近年、「デザインとは、問題を解決することである。」と捉える人が増えてきました。この考え方に立てば、 <デザイン>とは、<問題を解決>するために、<思考・概念の組み立て>を行い、それを様々な媒体特性に合わせて<表現する>プロセスと言うことができ、問題解決のためのデザインがものづくりの中心となります。デザイン思考によるものづくりとも言えます。

問題解決のためのデザインプロセスでは、<問題の発見>が出発点となり、この段階からデザイナー、エンジニア共に参画して協働することが求められます。デザイナーはユーザーの視点に立ち、問題の発見、解決策の提案などを行いますが、解決すべき問題を発見するためには、ユーザーやその生活を知ることが必要です。

この手法では、<問題の解決が図られているか?>がポイントで、解決策に対する評価や検証は重要なプロセスとなり、ユーザー参加が望ましいとされています。支援者は、ユーザーの立場で参加することも考えられます。

③ 『問題解決のためのデザイン』プロセス

①解決の方向性決定

②情報収集

③選択肢の深堀

④解決策の選択

⑤計画の具体化

■何が問題なのかを発見して解決策を探るものづくり

問題解決のための商品開発では、問題を発見するために、丁寧な調査や観察が必要です。

こぼれにくい介護用食器:介護士が食事の介護をする際に、こぼれて困っているとの話を聞いた食器メーカーは、介護現場を訪問し、汁やおかずがこぼれるタイミングの観察を続け、お皿の角度が問題であると発見し、こぼれにくい角度のお皿を開発した。

難民キャンプの医療関係者の感染症予防:観察により、医師が医療針でワクチンを打った後、注射針を折るときに感染する割合が多いことを突き止め、問題は、廃棄のための処理道具が配られないことであると特定し、低コストで量産できる処理道具を開発した。

ポイント

何が問題であるのかを生活者の視点から観察し、隠れた問題を発見する。 支援者も生活者として問題発見の手助けができる。

課題を解決するデザインへ

ユニバーサルデザインやユーザビリティ(Usability:使いやすさ)に配慮した「利用品質」に留意した商品開発があります。

コンセプト設計

ユーザー を知る

ユーザーの 問題の発見

ユーザーの 問題の定義

製造

デザイナー

ユーザーの問題解決の デザイン

問題の整理・特定

解決策のアイデア

解決策の計画

プロトタイプ製作

開発

問題の リサーチ・ 発見

問題に関するデータ収集

解決すべき問題の明確化

評価・検証・テスト

製図など製品化プロセス

製造工程

市場

市場

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第2回 「商品開発とデザインプロセス」

一口 メモ

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消費者の意見を商品開発にフィードバックする 「プロダクトアウト」と「マーケット・イン」の融合

沖縄でシークヮーサーの果汁やドリンクなどの関連商品を製造・販売するK社は、地元で栽培するシークヮーサーを生産者自ら加工・販売する目的で設立された会社である。

K社では、商品開発や販路開拓に当たって、N社のマーケティングサービスを活用した。N社では、消費者モニターを200名抱え、モニターが商品サンプルを評価して作り手にフィードバックするサービスを行っている。また、モニターから高い評価を得た商品に関しては、N社で認定した上で、自店舗や120社を超える卸先に商品提案するチャネル開発サービスを行っている。

K社では、このサービスを利用することにより、消費者モニターからの価格帯や商品量に関する意見を参考にし、シークヮーサー商品のポジショニングを確立していった。そして、2013年の国際味覚審査機構の食品コンクールでは、最高評価の「三ツ星」を獲得するに至った。

ポイント

地域資源(シークヮーサー)ありきの生産者側の一方的な思い込みだけではなく、消費者の意見を尊重した細やかな調整を行い、商品を開発していった。

他社のサービスをうまく活用し、「マーケットイン」による商品開発プロセスを実践できた。中小企業にとって大きな障壁である市場調査に関して、N社のサービスを利用することで、大きな負担なく、沖縄現地からでは直接のアクセスが難しい首都圏の消費者の意見を収集し、商品開発に活かすことができた。

右の図は、先の3つの商品開発プロセスモデルを踏まえて、企業内部と市場という外部を繋ぐものとしてデザインを捉えた概念図です。

青い矢印は、ユーザーニーズから発想した商品アイデアを、アイデアスケッチ経て自社技術により開発した試作品により市場調査を行うプロセスを表しています。オレンジ色の矢印は、自社技術により社会に貢献するという理念を持っている企業が、解決すべき問題をリサーチし、解決を図る商品を自社技術を活用して開発しようとしているプロセスを表しています。

商品開発において肝要なのは、何を起点として商品開発を行うのかを明確にする姿勢です。自社のものづくり・商品開発の「起点はどこか」をきちんと定めなければ、開発プロセスも曖昧になってしまいます。

支援先企業のポリシーが曖昧だと感じた時には、このような模式図を用いて、経営者や担当者の頭の整理のお手伝いをすることも有益です。

企業

市場

技術 条件 哲学

こだわり

ユーザー ニーズ

トレンド 問題

デザイン

プロダクト・アウトとマーケット・インの複眼思考と細かなスパイラルの展開

H酪農公社は、地元の農家が栽培する玉ねぎを植物性乳酸菌で発酵させ、牛乳を発酵させて作る動物性乳酸菌(ヨーグルト)を掛け合わせた新感覚のヨーグルト飲料の新商品を開発した。

開発に当たっては、ターゲットを40~50代女性に絞ることや、販路を規定するなど、商品コンセプトを明確にして臨んだ。しかし、開発責任者自らが売り場に立ち、消費者とコミュニケーションを図ることで、消費者が求める商品価値を把握し、訴求点や提案方法の把握に努め、トライ&エラーを繰り返すことで徐々にマーケットの特定化を図り、投入すべき市場を設定していった。

(3)商品開発プロセスモデルの留意点

■商品開発プロセスモデルと食品開発 3つの商品開発プロセスモデルは、工業製品を念頭に置いたものですが、<技術>を<地域資源>に置き換えれば、食品開発のプロセスにも当てはまります。例えばアレルギーの人のための食品開発は、「問題解決のためのデザインプロセス」と捉えることができます。

また、3つのモデルのうち、いずれが正しいというものでもありません。企業の体質や目的に合わせて、モデルとなる商品開発プロセスは変わってきます。

2. デザインプロセス

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(1)標準的なデザインプロセス

工業デザインにおける標準的なデザインプロセスを下に示します。商品企画を企業側で行う「プロダクトアウト」的な開発プロセスの模式図です。次ページ以降に解説します。

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第2回 「商品開発とデザインプロセス」

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「プロダクトアウト」的な開発プロセスの模式図。 「マーケットイン」や「問題解決型」商品開発では、デザイナーの参加時期は違ってきます。

※東京都中小企業振興公社『デザイン活用ガイド』、株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所『平成19年度・完成価値創造活動普及事業調査』などを参考にして作成

アイデア スケッチ

レンダ リング

試作図

デザイン 図面

レンダリング

モック アップ

プロト タイプ

パッケージ デザイン

取扱 説明書

カタログ パンフ

広告 HPなど

店頭 POP

展示会 パネル

デザイン 成果物 例

デザイン 指示書

② 基本デザイン

③ 詳細デザイン

① ④ ⑤

デザイナー選定・依頼

デザイナーへの

ブリーフィング(概要説明)

デザインコンセプト策定

デザイン検討

デザインモデル作成(モック)

図面検討

詳細デザイン(プロトタイプ)

チェック・調整

生産

販売

商品企画

パッケージデザイン

販売促進ツールのデザイン

商品戦略、販売戦略 市場 調査

市場 調査

製品開発に併せて、「ターゲットユーザーは誰か」「販売チャネルはどうするか」など「どのように売るか」といった商品戦略や販売戦略も立案していきます。これらの戦略は、商品のスタイリングやカラーリングなど、商品開発プロセスにフィードバックします。

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第2回 「商品開発とデザインプロセス」

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【デザインプロセスの解説】

① 市場やユーザーニーズなどの調査を基に商品企画を立てデザイナーを選定し、デザイナーへのブリーフィング(概要説明)により、企業や企画についての理解を促します。商品企画の段階からデザイナーが参加する場合もあります。

② デザイナー側では、デザインコンセプトを策定して複数のアイデアスケッチを企業に提案します。

それらのアイデアを検討して決定したコンセプトに基づき、デザイナーは構造やコストなど諸条件を考慮した、より具体的な基本デザインを検討して、コンピューターを使ったレンダリング(画像化)などにより、デザインの完成予想図を視覚化します。デザイナーは、企業の開発チームやマーケティングチームと協議を重ね、デザインを修正していきます。

③ 基本デザインで決定した大まかな構造やスタイルに関して、製造や販売における制約や条件を勘案し調整した詳細デザインを決定し、モックアップ(外観デザインの試作・検討レベルで用いられる模型)や機能を実装したプロトタイプ(試作品)を作成し、開発チームと共に、チェック・調整を行います。

この段階で、モックデザインやプロトタイプによるモニターテストなど市場調査を行い、デザインコンセプトや設計にフィードバックする場合もあります。

パッケージや販売促進ツールなどのグラフィックデザインなどを含めた、商品戦略の全体的な組み立てをこの段階から始めることもあります。

④ プロトタイプ(試作品)や図面、金型の最終的な調整・確認を経て、量産のための工程設計を行い、生産に入ります。(詳細は、P3「製品開発プロセスモデル」を参照)

⑤ パッケージデザインや取扱説明書など商品に付随する印刷物や、カタログ、HPなど販売促進ツールの制作を行います。

これらグラフィックデザインは、プロダクトデザインとは別の分野なので、通常は別のデザイナーが担当しますが、グラフィックも手掛けるプロダクトデザイナーもいます。それぞれのデザインを別のデザイナーに依頼する場合は、全体のイメージ統一が重要なポイントになります。

■工業系も食品系も、開発には必ず必要なモニターテスト

模式図は、主に工業系製品の開発プロセスの一部を、デザインに焦点を当てて分解したものです。食品開発の場合には、デザイナーの参画時期が⑤以降になるなど、プロセスには少し違いありますが、いずれもモニターテストが重要なことに代わりはありません。

ポイント

支援者には、モックアップやプロトタイプの評価や食品の試食などのモニターに関する支援が期待される。

所属する支援機関を動員してモニター人数を集めたり、首都圏のモニターネットワークを見つけるなど、数を集める工夫により、支援の効果が上がる。

「デザイナー主導型」プロデュースのミニ事例

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(2)プロデュース機能とデザイナー

昨今では、ものづくりは技術部門からマーケティング部門、広告宣伝部門、財務部門など、各部門が一体となったプロジェクトとして行うことが多くなっており、全体をまとめるプロデューサーが必要となってきています。

デザイナーが、デザインだけでなく、商品コンセプト作りから企画・宣伝、流通まで一貫してプロデュースする事例も多く見られるようになってきました。著名なカーデザイナーがプロデュースし海外でヒットした南部鉄瓶など、プロダクトデザイナーによるプロデュース事例から、高付加価値のオリジナル商品の開発から販売チャネル変更まで支援した食品プロデュースの事例など、デザイナーが幅広く関わるケースが増えています。

デザインビジネスモデルをまとめた調査報告書※から、3つのプロデュース機能のタイプをご紹介します。

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第2回 「商品開発とデザインプロセス」

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① 「デザイナー主導型」のプロデュース機能

デザイナーなど

ものづくり企業 原材料 技術提供企業など

専門家 マーケッター

食材の選択からブランドストーリー、販売チャネルまで。 食品に詳しいデザイナーによる食品開発の総合プロデュース事例。

マーケティング部門を抱えるデザインコンサルティング会社の主催者M氏は、調味料の製造・販売を行うF社のオリジナル商品開発を全面的にプロデュースした。

F社は販売力が弱く、ドレッシングなど主力商品はスーパーの特売で安い納入価格を強いられ、利益が出ない状態が続いていた。そこでM氏は、利益率の高いオリジナル商品販売により、量販店との取引を縮小することを提案した。原料にも地元生産品を使うことで、「地産食品」のブランドストーリーを作り、ロゴ、パッケージなどデザインを一手に引き受けた。また、デパートや高級スーパーなど、高価格での納入が可能な販売チャネルの開発をF社に勧め、総合的なプロデュースを行った。

ポイント

デザイナーの能力やサービス範囲を事前に把握し、依頼範囲を明確化する。 プロデュースを担うデザイナーに丸投げしない。全面的に“お任せ”するので

は、企業内にノウハウが蓄積できないので、企業側も担当チームを作り、常に共同作業を行うようにして、プロデュースノウハウを吸収できるようにする。

プロデュース機能

商品コンセプトを導いたデザイナーがプロデューサーの役割を果たすモデル。企業の技術を基にしたコンセプト作りや企画、広報宣伝、流通に至るまで総合的に見直し、新しい商品を開発する。

※近畿経済産業局『近畿におけるデザインビジネスの活性化方策に関する調査報告書』

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第2回 「商品開発とデザインプロセス」

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②「集団型」のプロデュース機能

③「ブランド構築型」のプロデュース機能

ものづくり企業

専門家 マーケッターなど

プロデュース機能

ブランド

デザイナー プロデューサー

デザイナー

ものづくり企業

専門家 マーケッターなど

プロデュース機能

デザイナー

プロデューサー

プロデューサーが、複数のデザイナーやマーケッター、法律や知財の専門家のネットワークを作り、集団としてプロデュースできる体制を構築する。

プロデューサーの役割を担うデザイナーが、ものづくり企業と連携し、統一ブランドの下で商品プロデュースを行うビジネスモデル。

ものづくり企業

ものづくり企業

■支援者が目指す「集団による連携支援」モデル

3つのプロデュース機能モデルの内、支援機関の支援者が目標とできるモデルは、【②「集団型」のプロデュース機能】でしょう。

支援者自身がプロデューサー役となり、デザイナーや専門家をコーディネートし、国や県の支援策を活用して助成金や専門家派遣などの手段を駆使し、売れる仕組みづくりを支援します。

ポイント

支援者自身がデザインのプロフェッショナルである必要は無い。必要に応じて適切な外部専門家の支援体制を構築できるネットワークとコーディネート能力、そして、全体の支援シナリオ策定力が重要。

デザインに関しては、デザイナーに任せるとともに、デザイナーが存分に能力を発揮できるような環境作りにも留意する。

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制作著作  独立行政法人中小企業基盤整備機構 経営支援部 支援機関サポート課

作成担当  松嶌 葉子 (平成23~27年度 全国支援ネットマネージャー)地域支援機関等サポート事業 ホームページ

http://www.smrj.go.jp/keiei/chiikiryoku/index.html