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患者発・宮城版退院時サポートプロジェクト
≪宮城県≫
郷内 淳子
2011/10/2 2 地域発:がん対策市民協働プログラム
プロジェクトの概要
Ⅰ. <宮城版 退院時サポートキット>の配布 '県内がん患者と家族向け(
① 在宅での療養生活のガイド編 《宮城の医療資源のまとめ》 ② 「食事に困ったときのヒント」 )苦しいときの症状別Q&A ③ 「あなたの家へかえろう」 '在宅緩和ケア 支援ハンドブック( ④ 療養手帳「あゆみ」
患者団体や患者の声・要望を集めて地域の医療資源の情報を満載。 在宅療養の支えとなる“地域の力”を集結した。 宮城県内のがん患者等 1,500人へ配布 '無料(
Ⅱ.【退院支援システム研修会を開催】 '医療機関対象(
石巻赤十字病院での「退院支援システム」を参考にして、
宮城県の地域がん診療拠点病院に指定されている
大崎市民病院や東北労災病院にて、
「退院支援に関する患者・家族とのコミュニケーション」をテーマとし、
退院支援システム研修会を開催しました。サポートキットの紹介をし
ながら、退院を控えた患者さんとのコミュニケーションのポイントを
講義しました。
プロジェクト参画組織
患者・市民・医療者・行政・大学
・宮城がん患者支援の会
・婦人科がん患者会「カトレアの森」
・NPO法人 在宅緩和ケア支援センター“虹”
・石巻ホッとサロン
・宮城県保健福祉部 がん対策班
・宮城県がん対策推進協議会
・宮城大学 看護学部
・東北大学大学院医学系研究科
・宮城県対がん協会
・宮城県内がん診療連携拠点病院
○東北大学病院
○宮城県立がんセンター
○国立病院機構仙台医療センター
○東北労災病院
○東北厚生年金病院
○石巻赤十字病院
○大崎市民病院
2011/10/2 3 地域発:がん対策市民協働プログラム
活動内容
○ がん治療の入院期間が短縮 急性期病院の在院日数 ○ 通院による外来化学療法の普及
在宅療養へ政策誘導 超高齢化社会における医療政策の転換 ○ がん患者一人ひとりが抱える不安の解消を図ったり、 心のケアを行うことは、容易ではない
・ 一人でも多くの患者が前向きに療養できるような環境を 整える必要がある ・ 環境の整備には、病院と患者・市民が参画する必要がある ・ 宮城県内には、がん患者の療養を支援する仕組みがある
地域の課題
Ⅰ. <宮城版 退院時サポートキット>の配布
地域発:がん対策市民協働プログラム
① 在宅での療養生活のガイド編 の内容
「充実して、納得したがん治療を受けるためのヒント」
1 患者を支える「家族」の力を高めましょう
2 医療者【医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど】との スムーズなコミュニケーションを目指しましょう
3 「入院主体の医療」から「外来や在宅を中心にした医療」へ気持ちを切り替えましょう
4 進行がん、再発がんと診断されても慌てない心の準備を
5 信頼できる患者会や患者むけの情報発信を上手に活用しましょう
6 医療費など経済的な課題は 相談窓口を積極的に活用しましょう
◎ 病院を出て
在宅療養で暮らす
がん患者が求め
る情報を整理して
分かりやすく
提示した。
2011/10/2
宮城県のサポート資源の情報を40ページにわたり紹介しています
◆ がん診療連携拠点病院リスト '7件(
◆ 相談支援センターなどがんの相談窓口一覧 '17件(
◆ がんに関するセカンドオピニオン実施窓口一覧 '13件(
◆ 外来化学療法の施設 '31件(
◆ 緩和ケア病棟・病床リスト '6件(
◆ 市町村福祉相談窓口 '12件(/ 地域包括支援センター '40件(
◆ がんの往診ができるクリニックや病院 '52件(
◆ がんの対応可能な訪問看護ステーション '62件(
◆ 介護タクシー一覧 '62件(
◆ 地域の有料の支え合い団体・住民参加型在宅福祉サービス '18件(
◆ 患者会・患者サロン・サポートグループ紹介 '9件(
地域発:がん対策市民協働プログラム 2011/10/2
♦患者にプロジェクトから直接発送 350部
♦がん診療連携拠点病院を経由して患者に配布した部数
'7拠点病院合計( 670部
♦イベントを通して参加者に配布 260部
♦県内の医療機関や医療者へ配布 170部
♦県外の行政・医療者・患者団体リーダーへ配布 50部
<宮城版 退院時サポートキット> を広める 広報活動
地域発:がん対策市民協働プログラム
♦県民向けサポートキットの広報イベント 下記イベントでサポートキットを配布した。
① カトレアの森 特別講演会 「岸本葉子さん~がんから始まる」 70人 ② 宮城県看護協会研修会「がん患者の終末期ケア 」講師菅原よしえ 100人 ③ みやぎ ホットサロン'宮城がん患者支援の会・中山康子( 40人 ④ 富谷町・大郷地区 ケアマネージャー対象緩和ケア研修会 講師:中山康子 42人 ⑤ 気仙沼地区がん患者会「かりがねの会」 設立集会「がんと共に青春を生きる」 スピーチ:中山康子 16人
2011/10/2
Ⅱ. 「退院支援システム研修会」開催
2009年11月~12月 大崎市民病院にて開催
'参加者 のべ55名(
2010年11月 東北労災病院にて開催
'参加者 64名(
研修会では、経済的負担を抱えているがん患者への退院支援の質問など具体的な質問が受講者から出た。
今後、院内の退院システムを患者のニーズに添ったものにするためにも、さらに病棟看護師が退院支援における看護師の役割を認識し、患者家族とのコミュニケーション力を高め、ソーシャルワーカーなどとの連携でチームとして取り組んでいく方向を目指す必要がある。
講師陣: 石巻赤十字病院で退院支援の実務を担当する看護師
がん看護専門看護師 資格者 / 看護学校教育指導者
2011/10/2 地域発:がん対策市民協働プログラム
2011/10/2 8 地域発:がん対策市民協働プログラム
成功のポイント
●活動の中で、特にポイントとなったところ プロジェクトメンバーが現場の第一線で活躍
病院と在宅の連携の強化
●特に良かったことや、人に伝えたいことは
宮城県では「病院と在宅」の医療スタッフの
顔の見える ネットワークがすでに構築できている。
・仙台市部 ・県南地域 ・大崎地域 ・石巻地域それぞれ
に在宅ケアの医師、看護師、薬剤師、のチームが形成されている。
宮城版退院時サポートキット の作成により、地域内完結型のがん医療
を提示でき、患者や家族の安心感につながった。
地域発:がん対策市民協働プログラム 2011/10/2
3.11 東日本大震災 の影響と課題
特に沿岸部'気仙沼・石巻・仙台市東部・県南(の広域にわたり甚大な被災により、医療機能がほぼ壊滅状態になった。
がん医療については医療機能の低下により、手術・化学療法・放射線療法に遅れが発生しており、在宅医療の機能も著しく低下している。
10/1現在では、県内のがん診療連携拠点病
院や東北大学病院が医療支援体制を敷き、
医師や看護師、薬剤師の派遣、患者の転院
コーディネートなどを鋭意取り組んでいる。
「宮城版 退院時サポートキット」の初版はこのような状況から現状に沿った改訂を余儀なくされている。 改訂版を10月を目標に3,000部作成して、がん患者と家族へ一刻も早く届けたい 。
地域発:がん対策市民協働プログラム 2011/10/2
http://www.asahi.com/photonews/gallery/110312tsunami/312tsunami112.htmlhttp://www.asahi.com/photonews/gallery/110312tsunami/312tsunami107.html
2011/10/2 11 地域発:がん対策市民協働プログラム
プロジェクトの成果
☆ 行政との協働 当プロジェクトが 「宮城県がん対策推進計画」を推進するための主な取り組み'アクションプラン( ④在宅医療の推進 ⑤相談支援と情報提供の充実に採択され、 地域で連携して取り組む方向性が明確になりました。
宮城県保健福祉部長より公文書として、県内の7カ所の「がん診療連携拠点病院」と5カ所の地域の中核的病院'計12病院(に向けて、当プロジェクトへの協力依頼を発出していただきました。 '10年9月9日疾感対第532号(。
平成23年度県予算において「地域統括相談支援センター事業」「がん患者・家族支援強化事業」「がん患者・家族地域支援推進連絡会」などに予算計上された。
2011/10/2
☆ 全国への波及効果
「宮城版・退院時サポートキット」について、全国17都県の行政担当者や県外の患者団体10団体などから問い合わせがあり、送付して活動を紹介しました。
☆ 医療機関との協働
・県内の7カ所の「がん診療連携拠点病院」全てにおいて、宮城版退院時サポートキットを医療者から患者へ手渡すことに協力を得ました。
・宮城県対がん協会の「がん患者無料相談」でサポートキットを活用いただきました。
・石巻赤十字病院 / 石巻地区在宅ホスピスケア連絡会 主催の
「在宅緩和ケア研修会」において講演会を開催し、80名以上の医療スタッフの参 加を得ました。
演題:がん患者と家族が求める情報
~宮城版退院時サポートキットの活動を通して~
地域発:がん対策市民協働プログラム
2011/10/2
☆ 学会等での発表・評価
第28回 日本医学会総会 2011東京
明治35年以来4年に1度開催される医学系学会の総本山
'会員は110学会(
“地域医療を支える患者・住民活動
の見本市 ”に採択される
がん患者支援ゾーンの13団体の1つに選ばれ、地域医療の向上に患者・市民・医療者・行政など協働で取り組む姿勢が評価された。
(主催者コメント) 現在、地域医療を守り、育て、支えようという動きが各地で広がっています。 このようなプロジェクトの主体は、住民・患者・医療従事者・行政などさまざまであり、広い範囲での「協働」がポイントとなります。
第48回 日本癌治療学会学術集会 (京都)
特別企画
「がん難民を救うために」
)がん患者を孤立させない「相談支援」の確立を求めて
発表:郷内淳子
「宮城版退院時サポートプロジェクト」は県内の患者・医療者・行政・大学・マスコミ・市民の共同プロジェクトである。「入院治療」から「在宅療養」への移行において患者の不安・孤立を解消して、地域社会で患者を支えるセーフティネット構築の必要性を提言する。
第16回 日本緩和医療学会学術大会(札幌)
口演採択 '113/1,136(
演題: がんの療養生活で患者と家族が求める情報~がん情報冊子作成の活動を通して~
発表:菅原よしえ、川原礼子、大槻久美、郷内淳子、中山康子
退院時サポートキットを受け取った患者のアンケートの分析から、約8割の方が役に立ったと好評価を得た。
当大会への演題応募は1,136題のところ査読の審査で113題の口演が選ばれ、そのうちの
1つになった。'採択率10%(
地域発:がん対策市民協働プログラム
サポートキット アンケートより
自由記載 26件
知らなかったことが分かり、安心した。
治療や在宅での療養生活について新しいことを知ることができた。
今後の経過によって対処すべき点が多く参考になった。
食事について具体的に書かれており役立った。
転院時に地元の情報がほしいかったので役立った。
情報が多く、役立つ内容毎に冊子が分かれて使いやすいと感じた。
家族に心配させたくないので、一人で抱え込み悩んでいたが、サポートキットを見て安心した。 など。
地域発:がん対策市民協働プログラム 2011/10/2
結果: 背景
地域発:がん対策市民協働プログラム 2011/10/2
結果: 背景 配布方法
退院時手渡し
相談時手渡し
パンフレットと一緒に自由
地域発:がん対策市民協働プログラム 2011/10/2
結果: 内容は役立つか
地域発:がん対策市民協働プログラム 2011/10/2
2011/10/2 18 地域発:がん対策市民協働プログラム
プロジェクトを推進するための課題
●他の関係者と連携するためには ・県のがん対策推進協議会委員、行政担当者、患者団体 など 影響力とネットワークを持つ地域のキーマンに働きかける ・地域のがん医療の現状を客観的に把握し、患者や市民の要望を 反映してもらうために、日頃より協力関係を作る努力をする。
●やる気を維持するためには ・活動の客観的評価'アンケート、外部への広報(を定期的に受ける ・自己満足に陥らないように、関係学会や厚生労働省 審議会などの 議論の動向など、全国の動きの把握を続ける。
●活動を続けていくためには ・民間でがん対策に実績と信用のある団体との連携。 ・県内の病院、医師会、看護協会、患者支援団体の参加する組織作り '仮称:宮城がんサポートネット(
ご清聴ありがとうございました。
地域発:がん対策市民協働プログラム 2011/10/2