山梨に於ける甲州ワインの変遷...山梨に於ける甲州ワインの変遷...

Post on 23-Feb-2020

3 views 0 download

Transcript of 山梨に於ける甲州ワインの変遷...山梨に於ける甲州ワインの変遷...

山梨に於ける甲州ワインの変遷

2015年6月5日山梨県ワイン酒造組合会長 齋藤 浩

甲州ブドウと初めての出会いは、秋の運動会

当時は竹籠に入っていた。甲州ブドウとも本ブドウとも呼ばれていた。

フレッシュ&フルーティーのやや甘口ワインと一升瓶ワイン

醸造用ブドウの拡がり・甲州ブドウの東漸

タシュケントサマルカンド

甲州の遺伝子解析結果独立行政法人酒類総合研究場後藤先生2013年11月9日 ASEV JAPAN

甲州 3/4 Vinifera

甲斐ブラン3.5/4 Vinifera

甲州

トゲブドウ?

約3/4ヴィニフェラ

甲州の系図

ヴィニフェラ種

ヴィニフェラ種 50 : 50

♂ ♀

♂ ♀

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

甲州(山梨県)

(t) 醸造用に仕向けられた甲州の推移

山梨県ワイン酒造組合

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

18000

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

tha

栽培面積(ha)

収穫量(t)

1992年栽培面積 771ha収穫量 12700t

2006年(平成18年)

栽培面積 446ha収穫量 7060t

山梨県で栽培される甲州ぶどうは約15年で栽培面積・収穫量とも約半分に減少しています

山梨農林水産統計年報より

日本初のフレッシュ&フルーティータイプのワイン発売:1976年

勝沼ブラン・ド・ブラン (1975年製造)ドイツを視察してきた社員からの情報

フレッシュ&フルーティなワイン

ドイツではその頃(1974年)技術革新が始まり、フレッシュ&フルーティなワインが出てきていました。「甲州でもこういうワインが造れないか?」と研究がスタートしました。

新酵母の選択

メルシャン独自の技術をプラス

当時の研究所や外部機関から約200株を集め、ワイン醸造にどの酵母がいいかをテスト。その中でひときわ香りを強く出している酵母を見出し、メルシャンのMをとって「M1酵母」と名付け、「勝沼ブラン・ド・ブラン」に使用しました。

1975年/勝沼ブラン・ド・ブラン

フランスワイン「ミュスカデ」に学んだ国際レベルの辛口甲州ワイン

発売:1984年

甲州東雲シュール・リー 1983辛口でもいい甲州ワインが造りたい

フランスを視察してきた社員からの情報

ミュスカデでは、酵母やオリをそのまま残す「シュール・リー」という製法で白ワインを造っている。その酵母がなんらかの風味を出し、味わいを厚くし、辛口にしているのではないか?」

実用化試験がスタート

情報公開を開始

「日本のワイン産業発展のため、シュール・リーという技術を、勝沼の他のメーカーにも使ってもらいたい」 現在では“甲州のシュール・リー”は辛口甲州ワインの代名詞になっています

1983年/甲州シュール・リー

シュール・リーとは

酵母

甲州による熟成タイプの辛口ワイン発売:1993年

シャトー・メルシャン 甲州小樽仕込み 1992熟成タイプの辛口甲州ワインを造りたい

当時の甲州ワインの商品群

甲州ぶどうを、育成の段階からではなく、果汁の段階から小さな樽で発酵

ココ

辛口

甘口

熟成フレッシュ

1992年/甲州小樽仕込み

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

18000

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

tha

栽培面積(ha)

収穫量(t)

1992年栽培面積 771ha収穫量 12700t

2006年(平成18年)

栽培面積 446ha収穫量 7060t

山梨県で栽培される甲州ぶどうは約15年で栽培面積・収穫量とも約半分に減少しています

山梨農林水産統計年報より

<栽 培>

栽培様式・植栽密度・収穫量クローン・ウイルスの有無等

<醸造>

シュール・リー、冷凍濃縮等

<ワイン>中庸な香味を指摘されることが多かった

甲州ブドウを再度見つめなおしその可能性を探る

2000年甲州プロジェクトの始動

従来からの甲州ブドウにおける課題

日本のワイン、山梨のワインとして「産地の個性」「オリジナリティ」

を持つことは、そのワイン産地の存在価値である。

永年日本の風土で育まれた品種だからこそ、ワインを

その土地で造る価値がある。

一方で、世界各地で栽培されている国際品種を日本で栽培し、

良いワインを造ることは国際的品質レベルを担保する

技術力はもとより、「日本のワイン」としての個性が求められる。

日本固有の「甲州ワイン」を世界レベルへ

2000年 甲州プロジェクト 始動

比較的香りのおとなしい、凡庸な個性の甲州ワインをいかに変えられるか?

2000年 甲州プロジェクト 始動

赤ワイン用に使用される「黒ブドウ」と、白ワイン用に使用される「白ブドウ」との中間に甲州のような「淡い紫色の果皮を持つブドウ(グリ=フランス語で灰色の意)」があります

「グリ」ブドウ

黒ブドウ グリブドウ 白ブドウ

日本人の感性から「完熟」をイメージすると、桃が木からポトリと落ちる程熟した状態を想像するのではないでしょうか?もし、そうであれば、その状態をワイン用に使用するブドウに置き換えると「過熟」となってしまいます。

「完熟」という概念

糖度

香りの前駆体

適熟 過熟

ワインに使用する場合

生食に使用する場合

同じブドウ品種でも、食用とワイン醸造用で使用する場合の適した熟期は違います。

ブドウ生育期

「糖度」「総酸値」「香りの前駆物質」のブドウ中の含有量の推移(概念図)

総酸値

含有量

多様だからこそ自分の好みが見つかる

甘口 シュール・リー 小樽仕込

グリ アロマティック スパーク

甲州ワインのタイプ

スペイン プリオラート1985

NZ マールボロクラウディ・ベイ

1985

ナパ・ヴァレー1966

オレゴン州ウィラメット・ヴァレー

1966

桔梗ケ原1976

適地・適品種を探すリサーチつくり手の直感と推測 揺ぎ無い信念と努力

椀子(マリコ)2003

世界的に見た産地の形成

フィネスという概念