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発表スライド
13班 2番 安食 潤41番 焦 裕之48番 高橋 一肇70番 唄 寿夫97番 八木澤 朊弘100番 油原 佳子106番 渡辺 圭子
Case 11(49歳、蕎麦屋パート)①
あなたは、卒業後1年目の臨床研修医
ある平日、勤務交代の時間が近いので準備していたところ、中年の女性が不定愁訴を訴えているということで、他の研修医から応対を引き継いだ。
49歳の女性で、最近、体調がおもわしくないとのこと。今までに大きな病気はしたことがない。6歳頃に皮膚ア
レルギーか皮膚炎になっていたということだが、自分では病気の記憶はない。
Case 11(49歳、蕎麦屋パート)②
話を聞いてみると、パート事務員として働いているオフィスの内部が2ヶ月前改装され、その直後ころから出
勤日に限って頭痛、眼の充血、鼻閉感、全身倦怠感および皮膚掻痒が出現するようになり、集中力の低下と食欲不振とを自覚した。
話をしていても、表情はさえないが、意識は清明。体温、呼吸および血圧に異常はない。皮膚、頭頸部および胸腹部に異常を認めない。
A
何を考えるか?
更に、患者に尋ねたいことは?
現場(蕎麦屋およびその周辺)に行ってみたいか?
行く場合、何をするか/何を持っていくか?
何を考えるか? 既往歴は?
⇒特に既往歴はない。(6歳頃に皮膚アレルギーか皮膚炎)
蕎麦屋のパート事務員として働いている。
⇒蕎麦に対するアレルギーはないか?
そのオフィスが改装された2ヶ月前から出勤日のみ、頭痛、眼の充血、鼻閉感、全身倦怠感及び皮膚掻痒が出現し、集中力の低下と食欲不振を自覚
⇒シックハウス症候群?化学物質過敏症?
表情はさえないが、意識は清明で、体温、呼吸、血圧に異常はなく、皮膚、頭頸部および胸腹部に異常なし。
⇒循環器疾患ではない?
更に、患者に尋ねたいことは?
周りの従業員や常連客の中に、同じような症状を訴えているヒトはいないか?
今飲んでる薬はあるか?
現場(蕎麦屋及びその周辺)に行ってみたいか
◎行きたくない
⇒自分もシックハウス症候群になってしまう可能性がある。
行く場合は何をするか?何を持っていくか?
⇒シックハウス症候群の原因となる揮発性有化合物(VOC)の発生量が基準値を超えていないか、保健所に調査してもらう。
B 調べる
1.シックハウス症候群
2.ヒトに有害な揮発性有機化合物
3.鑑別疾患、類似疾患
シックハウス症候群
1.概要
2.症状
3.原因
4.対策
シックハウス症候群~概要~
◎シックハウス症候群とは
⇒住居内での室内空気汚染に由来する様々な健康障害の総称である。住宅建材(接着剤、壁紙、塗料など)や家具から発生するホルムアルデヒド、トルエンなどの化学物質が主な原因と考えられている。
シックハウス症候群~症状~
◎シックハウス症候群では共通した症状が見られることが多い
⇒新築や改築後の室内において、眼球結膜・鼻粘膜・咽頭粘膜刺激症状、粘膜・皮膚の乾燥、掻痒感、頭痛、吐き気、めまいなどがみられる。
シックハウス症候群~原因~
室内空気中に存在している可能性のある揮発性有機化合物質
8.フタル酸ジ-n-ブチル9.テトラデカン10.クロルビリホス11.ダイアジノン12.アセトアルデヒド13.フェノブカルブ
1.ホルムアルデヒド2.トルエン3.キシレン4.パラジクロロベンゼン5.エチルベンゼン6.スチレン7.フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
シックハウス症候群~対策~
◎シックハウス症候群の予防対策は室内のVOC
の低減が主となる
そのためには・・・・
窓開け、空調設備などによる十分な換気を行い、空気汚染された部屋の使用を控える
住宅建材、家具はVOCの発生の少ないものを使う
室温管理(化学物質は気温上昇と共に放散も活発になるため)
空気清浄機やVOC吸着板などの使用
補足
厚生労働省は平成12年からシックハウス症候群対策に乗り出した。13のvolatile organic
compounds(VOC)について室内濃度指針数(この値以下であれば一生暴露を受けたとしても有害な影響を受けないとされる値)を公表し、住宅施工業者などがこの指針数を越える恐れのある建材や家具を使用しないように求めている。
参考文献:サブノート 保健医療論・公衆衛生2010 出版Medicmedia
Step 公衆衛生 出版・海馬書房
ヒトに有害な揮発性有機化合物
環境中の有害物質の健康影響評価の方法論
健康影響の観察
高濃度から低濃度への外挿
暴露濃度、暴露人口の同定
↓
リスク総合評価
→有害性同定
→量同定
→暴露評価
健康影響評価とリスクアセスメント評価対象とする科学物質について、
①人の健康および生態系に対する有害性を同定する(健康影響評価)
②用量(濃度)-反応(影響)関係を明らかにする
③人および生態系に対する化学物質の環境経由の曝露量を見積もる「曝露評価」を行う
リスク評価
リスク管理者による諸要因の加味
リスクアセスメント(意思決定および実行)
リスクコミュニケーション(関係者相互における情報や意見の交換)
環境省では・・・
・情報の整備のためガイドブックを作成・配布するとともに、化学物質の情報データベースや学習関連資料データベースの充実化を進めている。・化学物質アドバイザーの研修・登録・派遣、アドバイザーの活動についてのホームページの更新や、ガイドブックの内容をインターネット上で効果的に学習するコンテンツの作成・公表を行っている。・場の提供として、市民、産業、行政等による情報の共有および相互理解のための「化学物質と環境円卓会議」を継続的に開催し、議論の内容を広く公開している。
厚生統計協会:国民衛生の動向 2009 p.336
リスクコミュニケーション
NEW 予防医学・公衆衛生学 p.328
勧告諮問
安全委員会
厚生労働省、農林水産省など
リスク管理
リスク評価 リスクコミュ
ニケーション
環境基本法に基づいた環境基準
◎公害防止の達成目標
⇒人の健康を保護する基準
⇒生活環境を保全する基準
STEP 公衆衛生 p.351
ヒトに健康影響をきたす主な有害物質
大気中
SO2、NO、浮遊粒子状物質(SPM)、NO2、光化学オキシダント、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、ダイオキシン類など
水中
カドミウム、鉛、砒素、シアン化合物、PCBなど
土壌中
鉛、砒素、6価クロム、重金属類、揮発性有機化合物など
規制基準
◎揮発性有機化合物(VOC) 発生の形態;大気中に排出され、又は飛散し
た時に気体である有機化合物
規制対象施設;塗装施設、乾燥施設、洗浄施
設等
規制方式と規制概要;400~60,000ppmC
(施設の種類によって異なる。一定規模以上)
厚生統計協会:国民衛生の動向 2009 p.341
類似疾患・鑑別疾患
鑑別疾患、類似疾患
◎うつ病⇒抑うつ気分と興味の喪失
⇒思考停止
⇒自己評価の異常な低下
⇒意欲と行動の異常
⇒日内変動
参考資料 うつ病→STEP精神科
更年期障害→STEP産婦人科
気管支喘息→STEP内科
鑑別疾患、類似疾患
◎更年期障害
⇒血管運動症状と精神神経症状に分類
血管運動症状⇒発汗、心悸亢進、頭重感、めまい
、耳鳴り
精神神経症状⇒抑うつ、易疲労感、いらいら、不眠
ホルモン値 ⇒エストロゲン↓、FSH↑↑、LH↑
鑑別疾患、類似疾患
◎気管支喘息⇒分類
アトピー型→IgE抗体、遺伝的素因
非アトピー型→遺伝的背景なし
⇒病態生理 即時型反応⇒Ⅰ型アレルギーによる平滑筋攣縮と気道壁腫脹
遅発型反応⇒好酸球浸潤で再び気道壁の腫脹
発作の反復で上皮細胞の剥離
慢性化⇒気道過敏性の亢進と気道壁のリモデリング
鑑別疾患、類似疾患
⇒症状 発作時以外は無症状
秋の台風シーズン
明け方
呼気性呼吸困難で、気管支呼吸音の呼気延長と連続ラ音
⇒検査値 喀痰検査→粘調性で多数の好酸球
呼吸生理学的検査→発作時に1秒率の低下
免疫学的検査→末梢血中の好酸球増加、アトピー型では特異的IgE抗体
大気汚染による障害
<現在の大気汚染の指標>
二酸化硫黄・一酸化窒素・浮遊粒子状物質・二酸化窒素・光化学オキシダント
⇒これらは粘膜刺激、呼吸困難などの呼吸器症状を引き起こす。
上記のような大気汚染物質の濃度が高い地域で生活しているかどうかで判断する
化学物質過敏症
⇒機序は不明
⇒慢性的に、または大量の化学物質に曝露された後に、きわめて微量の化学物質に反応し多岐にわたる症状を呈する。
⇒シックハウス症候群は「建物に由来する」ことが必須となる疾患概念であり、化学物質過敏症は「建物に由来する」物質に限定されない
15-A-1 医師間のチームワーク
70番 唄 寿夫
患者の医療ニーズは多岐にわたっており、異なった専門の医師間で適切な対診(コンサルテーション)が必要である。
コンサルテーション:「保険医は、患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるとき、又はその診療について疑義があるときは、ほかの保険医療機関へ転医させ、又は他の保険医の対診を求める等診療について適切な措置を講じなければならない」(『療養担当規則』 第16条)
出典:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 2010 (p.68)
15-A-2 医師と看護師間のチームワーク
41番 焦 裕之
看護師の業務は法的には「診療の補助」であり医師の指示が必要とされる。これは、チームメンバーとしての上下関係を意味するのではない。適正な医療を行っていく上でも、また医療事故を防止する上でも、対等に協力しあい意見を交わせるチームワークづくりが重要となる。
出典:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 2010(p.68)
15-A-3 多職種間のチームワーク
48番 高橋 一肇
検査、治療・リハビリテーション、看護・介護等を含めた幅広いスタッフ(コメディカル・スタッフ)の間で、情報を共有し、お互いの役割やその意義について共通の認識を持ち、チームのメンバーが対等な立場で発言し(医師の指示が最優先されるとは限らない)かつそれぞれ各専門家としての責任のもとに行動することが望まれる。
チームの具体例として、感染対策チーム(ICT)、緩和ケアチーム(PCT)、栄養サポートチーム(NST)などがある。
出典:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 2010(p.68)
15-B-1 病診連携・病病連携
2番 安食 潤
病診連携:患者によりよい医療を提供するため高額医療機器などの資源を共用し、病院・診療所それぞれの長所を生かし、機能を活性化させ地域医療の充実をはかることが目的である。
病病連携:各々専門を持つ病院が密接な連携関係を持ち、患者の病態が変化したときに、その専門に合った病院に患者を紹介し合うことで、患者に、より適切で効率的な医療を提供するものである。急性期患者を中心とする病院と療養型の病院の連携なども典型的な例である。
出典:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 2010 (p.69)
15-B-2 保健・医療・福祉・介護・教育の連携
100番 油原 佳子
保健所は、市町村保健センターと共に、地域における地域保健活動の中心を担っており、同時に保健・医療・福祉に係る施設との連携を図っている。
介護保険、とくに居宅介護においては、異なった職種間の専門的意見の聴取と調整をはかるため、介護支援専門員は「サービス担当者会議」を招集する。医師もかかりつけ医として参加することが必要となる。
介護保険では、訪問看護のような医療サービスと訪問介護のような福祉サービスの両方が対象となる。医療サービスを受ける場合には医師の意見を求め、医師の指示を得ることを要する。福祉サービスでは医師の指示は必要ではないが、医師から医学的観点からの留意事項が示されれば、介護支援専門員はそれを尊重しなければならないと定められている。
出典:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 2010 (p.69)
15-B-3 家族との連携
97番 八木澤 朊弘
治療関係の主役は患者と医療従事者である。だが、患者は多くの場合家族の一員であり、患者の健康状態は即家族にも影響を及ぼす。また、患者が重症であったり末期状態にあったりすると、家族の患者へのケアや家族の代理判断が重要な要素となる。患者のケアのために家族の精神的、身体的に疲弊し援助が必要になることもしばしばある。したがって、医師は患者に対してだけではなく、患者の家族に対しても十分な対応をすることが期待される。
出典:NEW予防医学・公衆衛生学(p.37)
15-B-4 地域連携クリティカルパス
106番 渡辺 圭子
地域の急性期病院と回復期リハビリテーション病院などが連携して、疾病の発生から治療、リハビリなどの一連の診療計画(クリティカルパス)を共有し、その計画に従って患者の早期回復、早期退院を目指す仕組みのこと。
院内におけるクリニカルパスを地域に拡大し、複数の施設間で使用できるようにしたものであり、「病診連携」「病病連携」といった連携の際に用いられる。
平成18年4月から大腿骨頸部骨折に対して、平成20年4月からは脳卒中に対して、地域連携クリティカルパスの使用が診療報酬に加算されることとなった。
出典:サブノート 保健医療論・公衆衛生学 2010 (p.58)