Post on 26-Feb-2021
C型慢性肝炎
病・医院名
PEG12PA133-0817
2012年9月作成
A5 Q&A小冊子
H2 P1
なぜ検診を受けたほうがよいのですか?
C型慢性肝炎とは、どんな病気ですか?
C型肝炎ウイルスの感染経路は?
C型慢性肝炎を治療しないとどうなりますか?
C型肝炎ウイルスへの感染は、どのような検査で分かるのですか?
肝炎の進行の程度は、どのようにして調べますか?
肝機能検査値が基準値以内なら、治療をしなくてもよいですか?
どのような治療法がありますか?
C型慢性肝炎の治療には、どのような進歩があるのでしょうか?
肝臓専門医でないと治療を受けられないのでしょうか?
医療費の助成について教えてください。
日常生活でどのようなことに気をつければよいでしょうか?
2
4
6
8
10
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14
16
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24
Q1.
Q2.
Q3.
Q4.
Q5.
Q6.
Q7.
Q8.
Q9.
Q10.
Q11.
Q12.
目 次
はじめに検診のすすめ
C型慢性肝炎について
C型慢性肝炎の治療について
その他
C型慢性肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染することにより
発症する病気です。日本には150~200万人もの患者さんが
いると考えられていますが、自覚症状がほとんどないため、
感染していることに気づいていない方が少なくありません。
C型慢性肝炎は、治療しないで放置すると、肝臓が次第に
硬くなる線維化が進み、肝硬変、さらには肝がんへと病気が
進む可能性があります。
そこで、C型肝炎ウイルスへの感染の有無を調べる検査を
受けていただくことが非常に大切です。これは「C型肝炎ウ
イルス検査」と呼ばれる血液検査で、ほとんどの自治体で
は、保健所や委託医療機関において、無料で受けることがで
きます。
C型慢性肝炎は、以前、治療の難しい病気とされていまし
たが、最近は治療が進歩し、治せる病気になっています。ま
た、医療費の公的な助成制度も導入されていて、治療を受け
やすい環境が整っています。
この小冊子では、C型慢性肝炎についての基本的な知識を
Q&A形式で分かりやすく説明しました。検査や治療を受け
る際の参考にしていただければ幸いです。
A5 Q&A小冊子
H2 P1
Q 1.なぜ検診を受けたほうが
よいのですか?
C型慢性肝炎は、C型肝炎ウイルスの感染により肝臓
に炎症が起き、肝臓の細胞が壊れていく病気です。治療
しないで放置すると、肝硬変、肝がんへと進む可能性が
あります。日本では毎年約3万人の方が肝がんで亡く
なっていますが、その約8割にC型慢性肝炎が関係しています。
現在わが国にはC型肝炎ウイルスに感染している方が150~200万
人いると推測されていますが、このうち、かなりの割合の方がウイル
スに感染していることに気づいていないと考えられています。これは
C型肝炎ウイルスに感染したり、慢性肝炎になったりしても、ほとんど
自覚症状がなく、肝機能の検査値にも異常がみられないことが少なく
ないためです。
C型慢性肝炎に対する治療法は進歩しており、早期に発見し、適切な
治療を受ければ、肝硬変や肝がんの発症を防ぐことができるように
なってきました。
C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、「C型肝炎ウイルス検
査」と呼ばれる血液検査で分かります。「C型肝炎ウイルス検査」は、保
健所や自治体が委託している医療機関において、多くの場合、無料で
受けることができます。また、肝臓の検査値などから肝炎が疑われる
方は、医療機関でこの検査を受けることができます(健康保険が適用
されます)。
A .
32
A5 Q&A小冊子
P2 P3
Q 2.C型慢性肝炎とは、どんな病気ですか?
C型慢性肝炎とは、C型肝炎ウイルスの感染により、
6ヵ月以上にわたって肝臓の炎症が続き、細胞が壊れて
肝臓の働きが悪くなる病気です。初期にはほとんど症状
はありませんが、治療しないで放置していると、長い経
過のうちに肝硬変や肝がんに進行することがあります。
肝硬変はウイルスによって壊された肝臓の細胞が線維成分に置き換
わり、肝臓が硬くなった状態です。肝硬変のうち、肝臓の働きがある程
度保たれている状態の肝硬変を代償性肝硬変といい、さらに病気が進
み、肝臓の働きが失われた状態を非代償性肝硬変といいます。
現在わが国には30歳以上の100人に1~3人の割合でC型慢性肝炎
の患者さん、あるいは本人も気づいていないC型肝炎ウイルスの持続
感染者(キャリア)がいると推測され、“21世紀の国民病”とまでいわ
れています。
C型肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)の65~70%は、初診の
段階で慢性肝炎と診断されます。患者さん本人が気づかないうちに、
感染しているだけでなく、病気も進行してしまっていることが多いの
です。
[Tanaka H et al. 1994;5:409.日本肝臓学会編.慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド 2011]
年齢別C型肝炎ウイルス抗体陽性率
A .
0 2 4 6 8 10 12(%)出生年(2012年時年齢)
1972-1975 (37-40)
男性女性
対象:大阪府の初回献血者197.600名採血期間:1992.2-7
C型慢性肝炎、HCVキャリアの推定数150~200万人
1967-1971 (41-45)
1962-1966 (46-50)
1957-1961 (51-55)
1952-1956 (56-60)
1947-1951 (61-65)
1942-1946 (66-70)
1937-1941 (71-75)
1932-1936 (76-80)
1927-1931 (81-85)
0.310.2
0.460.36
1.020.71
1.491.13
1.391.48
1.852.15
2.262.99
3.043.98
6.996.61
10.017.91
Cancer Causes and Control
54
A5 Q&A小冊子
P4 P5
Q 3.C型肝炎ウイルスの感染経路は?
C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。感染している人
の血液が他の人の血液の中に入ることで感染するもので、空気
感染や経口感染はありません。現在わが国の感染者の多くは、C
型肝炎ウイルスが発見される前の輸血や血液製剤、あるいは注
射針の使い回しなどで感染したものと考えられています。現在では対策が取ら
れていて、このような原因で新たに感染することはほとんどありません。また、
性交渉による感染や母から子への感染(母子感染)はごくまれとされています。
なお、以下の方々は、C型肝炎ウイルスの感染の可能性が一般の方より高い
と考えられるので、当てはまる場合は、C型肝炎ウイルスに感染しているかど
うか調べる検査を受けることをお勧めします。
フィブリノゲン製剤は、出産の際に出血の多かった方や、大きな手術を受け
た方に対して使われた可能性があります。血液凝固因子製剤は、血友病以外
に、新生児出血症等の病気で「血が止まりにくい」と指摘を受けた方や、病気や
手術により出血の多かった方に使われた可能性があります。
1992(平成4)年以前に輸血を受けた方大きな手術を受けた方フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む)を投与された方血液凝固因子製剤を投与された方長期に血液透析を受けている方臓器移植を受けた方薬物濫用者、入れ墨をしている方ボディピアスを施している方その他(過去に健康診断等で肝機能の異常を指摘されていて、その後肝炎の検査を受けていない方等)
a.b.c.d.e.f.g.h.i.
A .
そういえば
過去に…
輸血や血液製剤の投与注射針、注射器の共用や消毒が不十分な器具の使用(覚せい剤の回し打ち・入れ墨等)
76
A5 Q&A小冊子
P6 P7
Q 4.C型慢性肝炎を治療しないと
どうなりますか?
C型慢性肝炎は軽い肝炎のまま経過するケースもあり
ますが、約7割は徐々に病気が進行し、治療しないと10
~30年でその3~4割が肝硬変、さらに肝がんに移行す
るといわれています。
肝硬変は長期間の炎症で肝臓の細胞が壊れ、それを埋める形で線維
成分が増加し、肝臓が硬くなってしまった状態です。肝硬変になると
肝がんが発生しやすくなるほか、食道静脈瘤※1の破裂や肝性脳症※2な
ど、生命に関わる重大な合併症も起こりやすくなります。
一方、わが国の肝がんによる死亡者数は1975年以降急増しており、
2009年には約3万3,000人が死亡し、肺がん、胃がんに次いでがん死
亡の第3位を占めています。肝がんの原因の約80%はC型肝炎ウイル
スが関係していることが分かっており、C型慢性肝炎を治療すること
が肝がんを予防することにつながります(国立がんセンター がん対策
情報センターによる「最新がん統計(2010年更新版)」より)。
※1 食道静脈瘤肝硬変になると肝臓に血液を運ぶ門脈の流れが悪くなり、血液は肝臓を迂回して食道の静脈を通るようになり、瘤を作ります。悪化すると瘤が破裂して下血、吐血を起こします。※2 肝性脳症肝臓で処理されるべきアンモニアが脳にたまり、異常な行動や昏睡などの症状が起こります。
A .
肝がんの原因
[日本肝臓学会:肝がん白書 平成11年度より]
その他
C型慢性肝炎
80 %
治療しないと10~30年後に肝硬変、肝がんに移行しやすい
C型慢性肝炎の自然経過
治癒
慢性肝炎
肝硬変肝がん
感染
一過性感染
ごく軽い肝炎
10~30年
正常
98
A5 Q&A小冊子
P8 P9
C型慢性肝炎の検査・診断の流れQ 5.C型肝炎ウイルスへの感染は、
どのような検査で分かるのですか?
C型肝炎ウイルスへの感染は、2段階の血液検査を経て見
つけることができます。一般的な健康診断で行われる血液
検査の項目に含まれていないことが多いので、「C型肝炎ウ
イルス検査」と指定して検査を受ける必要があります。
第1段階は採血をしてC型肝炎ウイルス抗体※1を測定して調べます(抗
体検査)。抗体検査で陽性の場合、過去にC型肝炎ウイルスに感染したことが分かります。
ただし、抗体検査が陽性でも、既にウイルスが排除されている場合もあ
ります。そこで、第2段階として抗体検査で陽性の方のみ、再び血液を調べ
て今現在も体の中にウイルスがいるかどうかを確認します(ウイルス遺伝子検査)。ウイルス遺伝子検査も陽性、すなわち今現在も体の中にウイルスがいると確認された場合は、C型慢性肝炎と診断されます。この場合は、肝
臓専門医のもとでさらに詳しい検査を受けて、治療計画を立ててもらうこ
とが大切です。
ウイルス遺伝子検査で陽性でも、AST(GOT)とALT(GPT)※2の数値が
基準値以下の場合(肝機能の異常がみられない場合)は、定期的に検査をしながら経過をみることもできます。しかし、最近では肝機能が正常でも患
者さんの年齢などを考慮して、治療を開始することもあります。
※1 抗体細菌やウイルスに感染した際に、身体にとって異物と認識する免疫反応により作られる蛋白質。※2 AST(GOT)とALT(GPT)どちらも肝臓の細胞に含まれる酵素です。肝臓に炎症が起きると、肝臓の細胞が壊れるため血液中に流れ出し、血液検査での数値が高くなります。AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ。GOTともいいます。ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ。GPTともいいます。
A .
C型肝炎ウイルス遺伝子検査血液中のC型肝炎ウイルスの存在を調べる検査。
C型肝炎ウイルス抗体検査血液中のC型肝炎ウイルスに対する抗体の有無を調べる検査。陽性なら現在または過去の感染を示す。
C型肝炎ウイルス遺伝子型検査ウイルスの遺伝子型が1型か2型かを調べる検査。1型か2型かによってインターフェロンの効き目が異なるため、治療計画を立てる際に重要な情報となる。
C型肝炎ウイルス抗体検査
肝機能[AST(GOT)・ALT(GPT)]検査
過去に感染したことがあるC型慢性肝炎
感染なし
治療の時期と方法を検討
定期的な検査(3~4ヵ月に1回)必要に応じて治療
陽性
陽性
異常
陰性
陰性
正常
C型肝炎ウイルス遺伝子検査
1110
A5 Q&A小冊子
P10 P11
Q 6.肝炎の進行の程度は、
どのようにして調べますか?
C型肝炎ウイルスの感染が確認された場合は、病気の
進行の程度をより詳しく知るため、各種の血液検査や、
超音波(エコー)・CT(コンピューター断層撮影)・MRI
(磁気共鳴断層撮影)といった画像検査が行われます。
超音波検査は、おなかに超音波の探子(プローブ)を当てて、肝臓の
様子をモニターに映し出して観察する検査です。痛みもなく、10分前
後で終わる簡単な検査です。
CTはX線、MRIは磁気を出すドーム状の機械の中に、横たわった状態
で入ります。肝臓を数ミリきざみで輪切りにした画像が得られます。
どちらの検査も痛みはなく、15~20分程度で終わります。
血液検査や画像検査で、病気の進行の程度はほぼ分かりますが、さらに
詳しく知る必要があるときは、肝生検が行われることがあります。肝生検
は直径2~3ミリの針を直接肝臓に刺し、肝臓の組織のごく一部を採って、
顕微鏡で観察する検査です。局所麻酔をして行いますので痛みは
なく、数分で済みますが、終了後数時間は安静が必要で、通常1泊入院し
て経過を観察します。
A .
肝機能検査
AST(GOT)基準値:
40IU/L以下
ALT(GPT)基準値:
30IU/L以下
(基準値は施設によって多少異なります)
肝臓の細胞に含まれる酵素。肝炎があると細胞の破壊により血液中に流れ出て血液中の値が高くなる。
AST/ALT比(GOT/GPT比)
検査項目 検査の意義 肝硬変の疑い
2.0以上(肝炎0.6前後)
肝硬変では上昇することが多い。肝炎では低下。
血小板 10万/mm3以下肝炎や肝硬変の進行とともに数が減少。
血清アルブミン
3.5g/dL以下肝臓で作られる蛋白質で肝障害の進行とともに低下。
プロトロンビン試験
ヘパプラスチン試験
50%以下プロトロンビンもヘパプラスチンも肝臓で作られる血液凝固因子で、肝障害の進行とともに低下。
ICG 試験 30%以上
肝臓で処理されるICG(インドシアニングリーン)という色素を注射。肝機能が低下すると処理が遅れ、色素が血中に滞る。
肝予備能
■肝炎の診断のための血液検査
■病気の進行の程度をみる血液検査
1312
A5 Q&A小冊子
P12 P13
Q 7.肝機能検査値が基準値以内なら、治療をしなくてもよいですか?
遺伝子検査でC型肝炎ウイルス陽性であっても、肝機
能異常のない方、つまり肝機能の目安であるA L T
(GPT)値が基準値以下の方もいらっしゃいます。以前、
肝機能異常がない場合には、定期的な検査のみで積極的
な治療は行われていませんでした。しかし、最近の研究で、その多くの
方において肝臓の線維化※1が認められたり、数年内にALT値が基準値
を超えて高くなったりして、肝炎が進行することが分かってきました。
C型慢性肝炎の場合、病気が進行して肝臓の線維化の程度が強くな
ると、肝硬変を経て肝がんを発症する可能性が高まります。日本では、
この肝がんによる死亡者数が、1年間で3万人を超えています。C型肝
炎ウイルスに感染していて、ALT値が基準値以下の方については、肝
硬変や肝がんへの進行を食い止めるために、定期的な検査を受けると
ともに、積極的な治療を開始するタイミングについて、肝臓の病気に
詳しい医師とよく相談することが大切です。
※1 肝臓の線維化肝臓の線維化の進み具合は、肝炎の重症度の目安となっています。線維化の進み具合は肝生検によって判定されます。線維化のない状態、軽度、中等度、高度、肝硬変と5段階に分けています。なお、血液検査で分かる血小板数でも、肝臓の線維化の進み具合がある程度推測できます。
ALT値が基準値以下の人の5年以上観察結果
[Okanoue T et al. 2005;43(4):599-605.から改変]J Hepatol
A .
ALT(GPT)値基準範囲を維持
ALT(GPT)値一時的に30 IU/Lを超える
ALT(GPT)値異常な状態が続く
14%
57%
29%
1514
A5 Q&A小冊子
P14 P15
Q 8.どのような治療法がありますか?
C型慢性肝炎・C型代償性肝硬変の治療法には、C型肝
炎ウイルスを体の中から排除して感染からの治癒を目指
す原因療法と、肝機能を改善して肝炎の悪化、進展を予
防する対症療法(肝庇護療法)があります。
原因療法(インターフェロン療法) 主役はウイルスの増殖を抑える働きを持つインターフェロンです。
C型肝炎ウイルスを体内から排除することを目指します。ウイルスを
排除できると、肝炎から肝硬変や肝がんに、あるいは代償性肝硬変か
ら非代償性肝硬変や肝がんへと進む危険性を大幅に少なくすることが
できます。いくつかの種類がありますが、いずれも注射剤です。抗ウイ
ルス薬(飲み薬)と組み合わせて使う場合もあります。
対症療法(肝庇護療法) ウイルスを体内から排除する効果はありません。進展の予防、肝炎
の沈静化を目的として肝機能〔AST(GOT)とALT(GPT)〕の改善を
目指します。
A .
C型慢性肝炎・C型代償性肝硬変の治療法
インターフェロン療法C型肝炎ウイルス(HCV)を体から排除することでC型慢性肝炎を治療する方法です。抗ウイルス薬として、インターフェロンを主体とした治療を行います。
進展予防療法(肝機能正常化)インターフェロンを使えない患者さんもしくはインターフェロンでウイルスが排除できなかった患者さんを対象に、肝臓の炎症を抑え肝硬変、肝がんへの進展を阻止または遅延を図る治療法です。
かん ひ ご
かん ひ ご
1716
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P16 P17
Q 9.C型慢性肝炎の治療には、どのような
進歩があるのでしょうか?
C型慢性肝炎やC型代償性肝硬変の方のウイルスを排
除できる可能性のある唯一の治療法はインターフェロ
ン治療です。インターフェロン治療によってウイルスを
排除できる割合は、インターフェロン治療が使われるよ
うになった1990年代から現在までの間に、ずいぶん高くなってきま
した。
このような進歩の理由の一つには、抗ウイルス薬(飲み薬)と組み合
わせた治療法や、改良型のインターフェロンを使った治療ができるよ
うになったことがあげられます。また、ウイルスの状態に応じた最適
なインターフェロン治療の種類や治療期間が分かってきたことも治療
を進歩させました。さらに、副作用への効果的な対応策が分かり、副作
用によって治療を中止することなく最後まで治療できる患者さんが増
えたこともよい結果につながりました。
こうしたインターフェロン治療の進歩によって、以前に比べて、イ
ンターフェロンに適した患者さんの範囲(年齢や肝臓の状態など)が
広がり、より多くの方がC型肝炎ウイルスを体外に排除できるように
なっています。
A .
1918
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かかりつけ医
患者さん
専門医
Q 10.肝臓専門医でないと治療を受けられないのでしょうか?
C型肝炎ウイルスに感染していると分かったら、肝臓
専門医の診察を受けて、詳しい血液検査や画像検査をし
てもらい、治療計画を立ててもらうことが大切です。た
だし、実際の治療は、かかりつけ医と肝臓専門医の2人を
主治医として進めることもできます。
かかりつけ医は、自宅や職場の近くにあって通いやすく、気心が知
れている安心感もあります。他の病気のことも把握して総合的に診
察してくれるのもメリットです。一方、肝臓専門医は、詳しい検査を
するための機器をそろえていて、治療に関する最新情報にも精通し
ています。
そこで、C型慢性肝炎の治療では、両者の特長を生かしながら、患者
さんが治療を受けやすいように工夫がされています。かかりつけ医に
は、インターフェロンの注射や抗ウイルス薬の処方をしてもらい、肝
臓専門医には、月1回、治療効果の確認、副作用のチェック、薬の加減な
どをしてもらう方法がよくとられています。
かかりつけ医と専門医が連携して治療することを「病診連携」とい
います。C型慢性肝炎の治療では、「病診連携」による治療が積極的に行
われています。
患者さん、かかりつけ医、専門医の三者一体の治療が大切
A .
●治療経過や 検査データなど の情報交換
●C型肝炎ウイルス抗体検査/ C型肝炎ウイルス遺伝子検査
●画像検査●肝炎進行度の検査●治療の必要性の判断
●早期の治療が 必要な場合●定期的(3ヵ月に 1回)な受診
●経過の観察●普段の診療
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医療費助成手続きのあらまし
Q 11.医療費の助成について教えてください。
2008年4月から、C型慢性肝炎・C型代償性肝硬変に対
するインターフェロン治療を受ける方に対して、医療費の
公的な助成制度を使うことができるようになりました。
肝がんの合併のないC型慢性肝炎、C型代償性肝硬変に
対するインターフェロン治療(医療保険が適応される治療)を受ける方
が対象となります。改良型のインターフェロン(ペグインターフェロン)
に抗ウイルス薬を併用する治療(2剤併用療法、3剤併用療法)も助成の
対象です。
感染経路に関係なく、この助成制度を利用できます。過去に医療費
助成を受けてインターフェロン治療を行った方でも、一定の条件を
満たせば、再びインターフェロン治療を行う場合でも助成の対象と
なります。
インターフェロン治療にかかる薬剤費、診察費、入院費などの自己
負担の上限を、月額1万円または2万円とし、残りの費用を国と自治
体(都道府県)が負担します。月額上限額の違いは、世帯の収入の違い
によるもので、具体的には世帯の市長村民課税年額によって分けら
れています。
助成期間は原則1年間ですが、1年6ヵ月まで延長できる場合があり
ます。医療費助成制度の詳しいことは、かかりつけ医や肝臓専門医、あ
るいは都道府県の窓口、最寄りの保健所などにお問い合わせください。
助成額
A .
世帯の市町村民税課税年額※ 自己負担の上限額(月額)
235,000円未満 10,000円
235,000円以上 20,000円
●医療費助成制度について詳しいことは主治医、肝臓の専門医および都道府県の窓口、 最寄りの保健所などにお問い合わせください。
※原則として世帯全員の合算、ただし税制上・医療保険上の扶養関係にないと認められる方については、当該世帯の市町村民税額の合算対象から除外できます。
②審査
③交付
受給者証
都道府県
最寄りの保健所
患者さん
医療機関
診断
受診
①申請
2322
A5 Q&A小冊子
P22 P23
Q 12.日常生活でどのようなことに気をつければよいでしょうか?
C型慢性肝炎の患者さんに日常生活の特別な制限はあ
りません。治療中の方も含めて、できるだけ普通の生活
を送るように勧められています。
以前、C型慢性肝炎の患者さんは、安静にして高カロ
リー食をとるとよいとされていました。しかし、現在では、適度な運動を
しながら、栄養バランスのよい食生活を心がけるとよいとされています。
偏食、暴飲暴食、アルコールは好ましくありません。健康食品の中には治
療の妨げとなる成分が入っていることもあるので、利用する方は主治医
に相談することが大切です。とくに鉄分の過剰摂取には注意が必要です。
C型肝炎ウイルスは血液を介して感染しますが、感染力は弱く、日常
生活で感染することはほとんどありません。身体に触れたり、食器を共
用したり、一緒に入浴したりしても大丈夫です。ただし念のため、乳幼
児に口移しで食べ物を与えたり、家族とカミソリ、歯ブラシなどを共用
したりしないように注意が必要です。また、ケガなどで出血した際は、
血液の付いた物を紙や布でしっかりと包んで捨ててください。患者さ
んの血液が皮膚に付いた場合は、流水で洗い流せば問題ありません。
C型慢性肝炎の患者さんは自覚症状がほとんどないため、C型肝炎
ウイルスに感染していることを忘れてしまいがちです。ALT値が基準
値以下で落ち着いていても、定期的に診察を受けて、病気が進行して
いないかチェックを怠らないことが大切です。
A .
2524
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